JP5059153B2 - 設計支援装置およびプログラム - Google Patents
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Description
また、例えば、特許文献2には、均質化法によるトポロジー最適化手法により構造物の剛性を最大にする構造物形状を検出する形状解析処理を行う設計支援装置が開示されている。
以下、従来技術による前記設計支援装置(コンピュータ)を利用した構造物の剛性・耐熱性の向上を図るリブ配置の設計方法について説明する。なお、以下では、構造物がインパネである場合を例に説明している。
そして、前記設計支援装置は、前記トポロジー最適化処理により、インパネの剛性・耐熱性の強度必要部位を算出し、ディスプレイ等の表示手段に、図8に示すような、インパネ200の強度必要部位を示した解析結果100を表示する。
図示する解析結果100では、インパネ200の各部位が、算出された密度の値毎に色分けされて示されており、所定以上の大きさの密度の部位が、剛性・耐熱性の向上のための強化が必要な部位(強度必要部位)であることを表している。なお、図中では、符号201で示す領域が、前記強度必要部位であることを表している。
例えば、図9に示すように、前記トポロジー最適化処理の解析結果に基づいて求めたリブ配置範囲202に、3本のリブ60を配置する。
例えば、設計者は、図10に示すように、前記トポロジー最適化処理により求めたリブ配置範囲202に、5本のリブ60を配置した上で、前記剛性・耐熱性CAEによる効果確認を行う。また、例えば、リブ配置範囲202に、2本のリブ60を配置した上で(図示せず)、剛性・耐熱性CAEによる効果確認を行う。
具体的には、前記リブ配置の設計方法は、設計者が複数通りのリブ要件(リブの本数及び配置)を推定し、リブ要件毎に面倒な剛性・耐熱性CAEによる検証を行わなければならず、工数が大きく、設計作業に長時間かかるという技術的課題を有している。すなわち、上述したリブ配置の設計方法は、強度必要部位に、効果的なリブを配置するために、設計者が経験測等に基づいて試行錯誤を繰り返していたため、設計に多大な時間が費やされていた。
特に、近年は、自動車等の工業製品において軽量化が要求される部品(樹脂部品等)が増加傾向にあり、設計現場等において、上記の技術的課題の解決が望まれていた。
また、本発明の目的は、コンピュータに、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるリブの配置を算出する処理を実行させるプログラムであって、リブ配置の設計の工数を低減させることができるプログラムを提供することにある。
そして、前記設計支援装置は、前記構造物の物性値情報、拘束条件、前記リブの成形条件の入力を受け付けるデータ取得部と、前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記構造物の第1体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、該構造物の中から前記剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な強度必要部位を抽出する構造解析部とを有し、前記設計情報には、他の構造物への取付けの位置を示すデータが含まれており、前記構造解析部は、前記設計情報を用いて、前記抽出した強度必要部位を含むリブ配置範囲を特定すると共に該リブ配置範囲の中にある前記取付けを選定し、さらに、前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記第1体積密度よりも小さい第2体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、前記選定した取付けの位置の密度を算出すると共に、前記抽出した取付けが複数ある場合、前記算出された各取付けの密度を用いて、前記複数の取付けを剛性及び耐熱性の向上に対する寄与度で順位付けし、前記寄与度の順位と前記リブの成形条件とを用いて前記リブ配置範囲に形成するリブの配置を選定することを特徴としている。
尚、前記構造解析部は、前記複数の取付けのうち寄与度が最上位の取付けの位置に第1本目のリブを配置し、その後は、該配置したリブを基準にして該リブの次に寄与度が高い取付けの方向に向けて所定間隔を開けてリブを配置していくことが望ましい。
このように構成しているのは、本願発明者らが研究を重ねた結果、「取付け」の位置の近傍にリブを形成すると、構造物の剛性及び耐熱性が効果的に向上することを見出したことによる。
すなわち、本発明によれば、リブ配置範囲の中にある「取付け」及び「成形条件」によりリブの本数が定まると共に、「取付け」の位置の密度によりリブの配置が選定されるため、上述した従来技術のように、設計者が複数通りのリブ要件(リブの本数及び配置)を推定して検証する試行錯誤的な処理を繰り返す必要がなくなる。
したがって、本発明によれば、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるリブ配置の設計の工数を低減させることができる。
上記のように構成したのは、本願発明者らが研究の結果、構造物の「取付け」の密度が「リブを形成した場合の寄与度(リブが形成されたときの剛性及び耐熱性の向上に寄与する度合)」に比例することを見出したことによる。
したがって、本発明によれば、構造物の剛性及び耐熱性を効果的に向上させることができるリブ配置を求めることができる。
そして、前記プログラムは、前記構造物の物性値情報、拘束条件、前記リブの成形条件の入力を受け付けるステップと、前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記構造物の第1体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、該構造物の中から前記剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な強度必要部位を抽出するステップと、前記設計情報を用いて前記抽出した強度必要部位を含むリブ配置範囲を特定するステップと、前記設計情報を用いて前記リブ配置範囲の中にある前記取付けを選定するステップと、前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記第1体積密度よりも小さい第2体積密度を制約条件にしたトポロジー最適化処理を行い、前記選定した取付けの位置の密度を算出すると共に、前記抽出した取付けが複数ある場合、前記算出された各取付けの密度を用いて、前記複数の取付けを剛性及び耐熱性の向上に対する寄与度で順位付けし、前記寄与度の順位と前記リブの成形条件とを用いて前記リブ配置範囲に形成するリブの配置を選定するステップとを有することを特徴としている。
また、本発明によれば、コンピュータに、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるリブの配置を算出する処理を実行させるプログラムであって、リブ配置の設計の工数を低減させることができるプログラムを提供することができる。
先ず、本実施形態の設計支援装置の機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。
出力装置3は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置1が出力する画像情報を表示する。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明を省略する。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する、解析対象の構造物の解析条件の入力を受け付ける。
また、出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報(図4参照)を出力する。
図2は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)50と、RAM(RandomAccess Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
ここで、図3は、本発明の実施形態の設計支援装置が行う構造物の設計支援処理の手順を示したフローチャートである。
また、図4は、本発明の実施形態の設計支援装置が出力するインパネの強度必要部位及びリブ配置範囲を示した模式図である。また、図5は、本発明の実施形態の設計支援装置が選定したインパネのリブ配置範囲の取付けを示した模式図である。また、図6は、本発明の実施形態の設計支援装置が算出したインパネのリブ配置範囲に選定された各取付けの密度を示した模式図である。また、図7は、本発明の実施形態の設計支援装置が行うリブの配置順序を説明するための模式図である。
なお、以下の説明では、解析対象の構造物が自動車のインパネ(合成樹脂製のインパネ)である場合を例にする。また、以下の処理ステップの中で行われるトポロジー最適化処理は、周知のものと同様であるため詳細な説明を省略する。
具体的には、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されているインパネの設計情報(CAD情報)を取得し、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記取得したインパネの設計情報を格納する。
また、データ取得部20は、設計者が入力装置2を介して入力する「インパネの解析条件」及び「リブの成形条件(隣接するリブの間の間隔(所定間隔)等を含むデータ)」を受け付け(受信し)、前記メモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記解析条件及び前記リブの成形条件を格納する。
また、前記解析条件には、S3及びS5のトポロジー最適化処理に用いられる体積密度(「第1体積密度a」、「第2体積密度b(b<a)」)、物性値情報、拘束条件等のデータが含まれている。
すなわち、本ステップ(S2)におけるトポロジー最適化処理では、インパネの基準体積密度に対して第1体積密度aでインパネを作った場合の材料配置を算出し、インパネのどの部位に強度を与えれば、剛性及び耐熱性を向上させることができるのかを求めている。
なお、本ステップで行われるトポロジー最適化処理によるインパネ(構造物)の強度必要部位の抽出処理は、上述した従来技術と同じである。
上記のリブ配置範囲は、インパネに取付けられる他の部品(メータ等)との関係等で定まるものであり、構造解析部30は、「インパネの設計情報」を参照して、インパネの中から、前記強度必要部位が含まれ且つリブを設けるところができるリブ配置範囲を選定する。
なお、本ステップ(S2)では、構造解析部30が「インパネの設計情報」を用いて前記リブ配置範囲を選定しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、構造解析部30が、設計者が入力する「リブ配置範囲」を示すデータを受け付け(データ取得部20を介して受け付け)、その受け付けたデータにしたがい「リブ配置範囲」を選定するように構成されていてもよい。
なお、出力部40は、構造解析部30からの解析結果を受け付けると、その解析結果を用いて、インパネの強度必要部位を示した解析結果を示す画像情報を生成し、例えば、図4に示す画像情報90を出力装置3に表示する。
なお、S4では、構造解析部30が「インパネの設計情報」を用いて前記取付けを選定しているが、特にこれに限定されるものではない。
例えば、構造解析部30が、出力部40を介して、出力装置3に、リブ配置範囲206の中の「取付け」を示すデータを表示させて、設計者に、表示させた「取付け」からリブ配置設計に用いる「取付け」を選択させるようにしてもよい。この場合、構造解析部30は、入力装置2を介して設計者が入力する「取付け」を指定するデータを受け付け、当該受け付けたデータにより「取付け」を選定する。
なお、以下では、S4において、4箇所の取付け(A、B、C、D)が選定(抽出)された場合を例にして説明する。
すなわち、本願発明者らが、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるためのリブ配置の研究を重ねた結果、「取付け」が前記剛性及び耐熱性に密接に関連しており、当該「取付け」の近傍の位置にリブを形成することにより、構造物の剛性及び耐熱性が効果的に向上することを見出したためである。
そして、構造解析部30は、上記のトポロジー最適化処理により得られたインパネの密度分布と、S4で選定した「取付け」(4箇所の取付け(A、B、C、D)の位置)とを用いて、各「取付け」の密度を抽出する(S5)。
なお、図6に示す例では、「取付けAの密度が0.5」、「取付けBの密度が0.8」、「取付けCの密度が0.6」、「取付けDの密度が0.7」であることを示している。
すなわち、本願発明者らが、前記研究の結果、構造物に使う材料の量を減らしていくほど強度必要部位(前記密度が高い部位)が構造物の一般的な面領域ではなく「取付け」の位置に振られる傾向があり、且つ「取付け」の密度が「リブを形成した場合の寄与度(リブが形成されたときの剛性・耐熱性の向上に寄与する度合)」に比例することを見出したためである。
具体的には、構造解析部30は、「取付け」の位置の密度の大きさに応じて、各「取付け」の寄与度の順位付けを行う。例えば、図6に示した各「取付け」の密度においては、「取付けB>取付けD>取付けC>取付けA」という順位付けがなされる。
例えば、上述したように、「取付けB>取付けD>取付けC>取付けA」と順位付がなされている場合には、リブ配置範囲206の中において、以下の順番にリブが配置されていく。
次に、構造解析部30は、リブ配置範囲206に配置した1本目のリブ61を基準に、次に寄与度の高い「取付けD」の方向に向けて所定間隔を開けて、2本目のリブ62を配置する。なお、前記所定間隔は、S1で読み込んだ「リブの成形条件」に定められている。
次に、構造解析部30は、リブ配置範囲206に配置した2本目のリブ62を基準に、次に寄与度の高い「取付けC」の方向に向けて、所定間隔を開けて、3本目のリブ63を配置する。
そのため、構造解析部30は、リブ配置範囲206において、リブ61から「取付けA」の方向に向けて所定間隔を開けた位置に、4本目のリブ64を配置する。
そのため、本実施形態の設計支援装置Wによれば、設計工数を削減できると共に、設計時間を短縮することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
W 設計支援装置
1 情報処理装置
10 制御部(情報処理装置)
20 データ取得部(情報処理装置)
30 構造解析部(情報処理装置)
40 出力部(情報処理装置)
2 入力装置
3 出力装置
4 CAD装置
50 CPU
51 主記憶装置
52 I/Oインタフェース
53 補助記憶装置
54 NWインタフェース
55 設計支援プログラム
61、62、63、64 リブ
200 インストルメントパネル
201 強度必要部位(インストルメントパネル)
206 リブ配置範囲(インストルメントパネル)
Claims (3)
- 構造物の設計情報を用いて該構造物の剛性及び耐熱性を向上させるリブの配置を算出する設計支援装置であって、
前記構造物の物性値情報、拘束条件、前記リブの成形条件の入力を受け付けるデータ取得部と、
前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記構造物の第1体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、該構造物の中から前記剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な強度必要部位を抽出する構造解析部とを有し、
前記設計情報には、他の構造物への取付けの位置を示すデータが含まれており、
前記構造解析部は、
前記設計情報を用いて、前記抽出した強度必要部位を含むリブ配置範囲を特定すると共に該リブ配置範囲の中にある前記取付けを選定し、
さらに、前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記第1体積密度よりも小さい第2体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、前記選定した取付けの位置の密度を算出すると共に、前記抽出した取付けが複数ある場合、前記算出された各取付けの密度を用いて、前記複数の取付けを剛性及び耐熱性の向上に対する寄与度で順位付けし、前記寄与度の順位と前記リブの成形条件とを用いて前記リブ配置範囲に形成するリブの配置を選定することを特徴とする設計支援装置。 - 前記構造解析部は、前記複数の取付けのうち寄与度が最上位の取付けの位置に第1本目のリブを配置し、その後は、該配置したリブを基準にして該リブの次に寄与度が高い取付けの方向に向けて所定間隔を開けてリブを配置していくことを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
- コンピュータに、設計情報を利用して構造物の剛性及び耐熱性を向上させるリブの配置を算出する処理を実行させるプログラムであって、
前記設計情報には、他の構造物への取付けの位置を示すデータが含まれており、
前記構造物の物性値情報、拘束条件、前記リブの成形条件の入力を受け付けるステップと、
前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記構造物の第1体積密度を制約条件としたトポロジー最適化処理を行い、該構造物の中から前記剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な強度必要部位を抽出するステップと、
前記設計情報を用いて前記抽出した強度必要部位を含むリブ配置範囲を特定するステップと、
前記設計情報を用いて前記リブ配置範囲の中にある前記取付けを選定するステップと、
前記設計情報、前記物性値情報及び前記拘束条件を用いて、前記第1体積密度よりも小さい第2体積密度を制約条件にしたトポロジー最適化処理を行い、前記選定した取付けの位置の密度を算出すると共に、前記抽出した取付けが複数ある場合、前記算出された各取付けの密度を用いて、前記複数の取付けを剛性及び耐熱性の向上に対する寄与度で順位付けし、前記寄与度の順位と前記リブの成形条件とを用いて前記リブ配置範囲に形成するリブの配置を選定するステップとを有することを特徴とするプログラム。
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