JP5091331B2 - 設計支援装置およびプログラム - Google Patents
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Description
また、例えば、特許文献2には、均質化法によるトポロジー最適化手法により構造物の剛性を最大にする構造物形状を検出する形状解析処理を行う設計支援装置が開示されている。
また、前記強度必要部位を求めるトポロジー最適化処理では、入力値として「剛性及び耐熱性の強度割合」を与える必要があるため、設計者は、当該トポロジー最適化処理に先だって、「剛性及び耐熱性の強度割合」を求める作業(処理)を行っていた。
ここで、従来技術による「剛性及び耐熱性の強度割合(単に「強度割合」ということもある)」の算出処理の手順について説明する。なお、以下では、構造物がインパネである場合を例にする。
なお、図中では、インパネ200の各領域が、算出された密度の値毎に色分けされ示されており、所定以上の密度の領域が強度部位201であることを表している。
また、上記板厚データの入力を終えると、前記設計支援装置に、有限要素法による剛性CAE(Computer Aided Engineering)を実行させ、前記強度必要部位の「たわみ量」を求める。また、前記設計支援装置に、有限要素法による耐熱性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「熱変形量」を求める。
また、設計者は、前記座標面Gに、「剛性目標の範囲(「たわみ量」がe以下)を示す剛性目標線(y=e)」及び「耐熱性目標の範囲(「熱変形量」がf以下)を示す耐熱性目標線(y=f)」を記載する。
次に、設計者は、前記座標面Gにおいて、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上に、前記求めた「たわみ量」の値をプロット(図示するB1点をプロット)し、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上に、前記求めた「熱変形量」の値をプロット(図示するB2点をプロット)する。
なお、図中では、インパネ200の各領域が、算出された密度の値毎に色分けされ示されており、所定以上の密度の領域が強度部位202であることを表している。
具体的には、設計者は、前記設計支援装置に、有限要素法による剛性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「たわみ量」を求める。また、前記設計支援装置に、有限要素法による耐熱性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「熱変形量」を求める。
次に、設計者は、前記座標面Gにおいて、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上に、前記求めた「たわみ量」の値をプロット(図示するB3点をプロット)し、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上に、前記求めた「熱変形量」の値をプロット(図示するB4点をプロット)する。
そして、設計者は、前記座標面上のB1点及びB3点を結んだ剛性ライン110を作成すると共に、B2点及びB4点を結んだ耐熱性ライン112を作成する。
なお、図6に示す例では、「両性能達成範囲RAB」の領域が大き過ぎるため、設計者が最適な強度割合(剛性及び耐熱性の強度割合)を選択することが困難であった。
そのため、図示するような大きさの「両性能達成範囲RAB」が得られたときには、板厚を変更した上で、再度、上記同様のCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)を行い、「両性能達成範囲RAB」を求めていた。すなわち、ある程度の大きさの「両性能達成範囲RAB」が得られるまで、前記板厚変更及び前記CAE処理を繰り返し行っていた。
具体的には、上述した従来技術の前記強度割合の算出方法では、設計者自身が「板厚変更及びCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)」の操作を複数回繰り返して行わないと、ある程度の大きさに絞り込んだ「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB(図6参照)」を得ることができなかった。そのため、前記強度割合の算出方法では、工数が大きく、設計作業に長時間かかっていた。
すなわち、前記強度割合の算出方法は、工数が大きく面倒であると共に、設計に長時間費やされるという技術的課題を有していた。
また、本発明の目的は、コンピュータに、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、当該強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させるプログラムを提供することにある。
そして、前記設計支援装置は、前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行う構造解析部を備え、前記構造解析部は、前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理と、前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理とを実行し、さらに、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出し、前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行することを特徴としている。
そして、本発明によれば、設計支援装置の構造解析部が、前記トポロジー最適化処理の入力値として用いる好適な強度割合を算出するため、上述した従来技術と比べて、設計者の工数が削減されると共に、設計者の手間が大幅に軽減される。
特に、強度必要部位の板厚初期値に基づき得られた剛性関数と耐熱性関数の傾きを固定し、y切片を変数として当該両関数をy軸に沿ってシフトすることにより、最終的に求めたい値に少なくとも近似する第2の板厚、及び剛性と耐熱性との強度割合の値を容易に得ることができる。したがって、強度割合(剛性割合)を算出するために費やされる設計時間を大幅に短縮することができる。
また、前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合との比較処理の結果、該第2強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合に、前記構造解析部は、前記第1強度割合と前記第2強度割合の差分を算出し、該差分が所定値より大きい場合には、該差分が所定値以下となるまで、前記第2の板厚を所定値減少させ、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することが望ましい。
この構成により、確実に剛性及び耐熱性の両性能達成範囲が存在し、且つ、その範囲が所定値以下となる強度割合を自動的に短時間で確実に算出することが可能となる。
そして、前記プログラムは、前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行うステップと、前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理を行うステップと、前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理を行うステップと、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出するステップと、前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行するステップとを有することを特徴としている。
また、本発明によれば、コンピュータに、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、当該強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させるプログラムを提供することができる。
先ず、本実施形態の設計支援装置の機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。
出力装置3は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置1が出力する画像情報を表示する。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明を省略する。
制御部10は、情報処理装置1の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して、設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして、制御部10は、上記の受け付けた要求にしたがい、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を制御して、設計者からの要求に応じた各種の処理を行う。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する解析対象の構造物の解析条件の入力を受け付ける。
また、出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
図2は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)50と、RAM(Random Access Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
ここで、図3は、本発明の実施形態の設計支援装置が行うトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理の手順を示したフローチャートである。また、図4は、本発明の実施形態の剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理において用いる剛性ラインを示す剛性関数、耐熱性ラインを示す耐熱性関数、剛性目標線、及び耐熱線目標線を示した模式図である。
なお、以下の説明では、解析対象の構造物が自動車のインパネ(合成樹脂製のインパネ)である場合を例にする。また、以下の処理ステップの中で行われるトポロジー最適化処理及びCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)は、周知のものと同様であるため詳細な説明を省略する。
具体的には、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されているインパネの設計情報(CAD情報)を取得し、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記取得したインパネの設計情報を格納する。
また、データ取得部20は、設計者が入力装置2を介して入力する「インパネの解析条件」を受け付け(受信し)、前記メモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記解析条件を格納する。
なお、構造解析部30は、「S2〜S4の処理」及び「S5〜S7の処理」を並列処理で実行するように構成されていてもよいし、「S2〜S4(又はS5〜S7)の処理」を終えた後に「S5〜S7(又はS2〜S4)の処理」を実行するように構成されていてもよい。
なお、以下では、説明の便宜上、「S2〜S4の処理」を説明してから「S5〜S7の処理」を説明する。
なお、本実施形態では、剛性割合を優位にした強度割合に、「剛性を100%とし、耐熱性を0%とした強度割合」を用いる。また、本実施形態では、1箇所の強度必要部位が抽出される場合を例にする。
なお、構造解析部30は、デフォルト値として設定された「剛性割合を優位にした強度割合」を利用しないで、設計者が入力する任意の「剛性割合を優位にした強度割合」を用いたトポロジー最適化処理も実行できるようになっている。この場合、構造解析部30は、設計者が入力する「剛性割合を優位にした強度割合」を示すデータを受け付け(データ取得部20を介して受け付け)、その受け付けた「剛性割合を優位にした強度割合」を用いてトポロジー最適化処理を行う。
また、本ステップ(S2)において、ディスプレイ等の表示手段に、上述した図5に示すような、インパネ200の強度必要部位を示した解析結果210を表示させるようにしてもよい。
具体的には、構造解析部30は、S2において求めた強度必要部位に対して、密度の値に応じて定められた板厚を設定する(変更する)。すなわち、構造解析部30は、前記設計情報に含まれるインパネの板厚のうち、強度必要部位の板厚を前記トポロジー最適化処理により求められた密度に応じて設定する。
例えば、構造解析部30は、密度が「r1」の範囲の強度必要部位に「t=W0(mm)」の厚さの板厚を初期値として設定する。
具体的には、構造解析部30は、S3において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による剛性CAEを実行し、前記強度必要部位の「たわみ量(説明の便宜上、「第1たわみ量」という)」を求める。
また、構造解析部30は、S3において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による耐熱性CAEを実行し、前記強度必要部位の「熱変形量(説明の便宜上、「第1熱変形量」という)」を求める。
具体的には、S5では、構造解析部30は、S1で読み込んだ「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、耐熱性割合を優位にした強度割合で構造物(インパネ)のトポロジー最適化処理(第2トポロジー最適化処理)を行い、インパネ(構造物)の強度必要部位を抽出する。
なお、本実施形態では、耐熱性割合を優位にした強度割合に、「剛性を0%とし、耐熱性を100%とした強度割合」を用いる。
また、S5の処理は、上述したS2の処理と、強度割合が異なる以外は同じであるため、詳細な説明を省略する。
具体的には、構造解析部30は、S6において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による剛性CAEを実行し、前記強度必要部位の「たわみ量(説明の便宜上、「第2たわみ量」という)」を求める。
また、構造解析部30は、S6において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による耐熱性CAEを実行し、前記強度必要部位の「熱変形量(説明の便宜上、「第2熱変形量」という)」を求める。
ここで、前記座標面Gは、左端GLのx座標が「100(剛性が100%、耐熱性が0%)」を示し、右端GRのx座標が「0(剛性が0%、耐熱性が100%)」を示している。
すなわち、図示する座標面Gは、左端GLから右端GRに向けてx1方向に進むにつれて、x軸の値が減少するようになっている(剛性の割合が減少して耐熱性の割合が増加するようになっている)。
また、上記「A3」のx座標の値が「0」となっているのは、S6の剛性CAEにより得られた「第2たわみ量」が、S5のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
すなわち、S2及びS5において実施するトポロジー最適化処理における強度割合により、「A1」及び「A3」のx座標の値は変わってくる。
ここで、上記「A2」のx座標の値が「100」となっているのは、S4の耐熱性CAEにより得られた「第1熱変形量」が、S2のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
また、上記「A4」のx座標の値が「0」となっているのは、S6の耐熱性CAEにより得られた「第2熱変形量」が、S5のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
すなわち、ここでは、剛性関数(y=ax+b)上において、上記の剛性目標の要件を満たし且つ剛性割合が最小となるX座標の値である「第1強度割合(m)」が算出される。
なお、「m(第1強度割合)」は、剛性割合が「m」であり、耐熱性割合が「100−m」であることを示している。
すなわち、耐熱性関数(y=cx+d)上において、上記の耐熱性目標の要件を満たし且つ耐熱性割合が最小となるX座標の値である「第2強度割合(n)」が算出される。
なお、「n(第2強度割合)」は、剛性割合が「n」であり、耐熱性割合が「100−n」であることを示している。
なお、「n>m」の要件を満たす場合とは、図4に示すように「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在する場合を示し、「n>m」の要件を満たさない場合とは、上述した図7に示すような「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在しないケースを示している。
また、n−m≦閾値の場合とは、「n−m」すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」の大きさが、「閾値(所定値)」以下であるケースを示している。
なお、「閾値(所定値)」の値は、ある程度小さい値(例えば、1未満の値)に設定されていることが望ましい。
このようにS10では、剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RABの有無の判定を行い、さらに前記両性能達成範囲RABを有する場合、「n−m」の値が閾値以下であるか否かの判定を行っている。
すなわち、前記差分Δ(n−m)が小さい場合の「n(或いは「m」)」の値を剛性割合にした強度割合を入力値にした前記トポロジー最適化処理を実行した場合に、剛性及び耐熱性を向上させるための強度必要部位を正確に抽出できることを見出したためである。
設計者は、出力装置3に出力された「n」及び「m」の値により、剛性及び耐熱性の強度割合を簡単に選定することができる。例えば、「n」が「45.8」であり、「m」が「45.1」である場合には、設計者は、上記「n」及び「m」より、剛性割合を「45%」と選定する。この場合、耐熱性割合は、「55%」に定まる。
なお、本ステップにおいて、構造解析部30が、「n」及び「m」の値から剛性割合を算出し(例えば、n及びmの平均値を求めて小数点を四捨五入した値を剛性割合とする)、その剛性割合に対応する耐熱性割合を算出し、当該算出した剛性割合及び耐熱性割合を出力するように構成されていてもよい。
S10の条件を満たさないとする判定が初回の場合、S2、S5からの処理に戻るが、新たに板厚を設定するためにステップS12へ進む(ステップS11)。一方、S10の条件を満たさないとする判定が2回目以上の場合はS14の処理に進む(ステップS11)。
具体的には、S10の条件を満たさないとする判定が初回の場合、構造解析部30は、上記S8で求められた剛性関数(y=ax+b)、及び耐熱性関数(y=cx+d)において、それぞれb、dを変数として、S10の条件、即ち「n>m」且つ「n−m≦閾値」を満たすb=b1、d=d1を設定する(ステップS12)。
尚、「n−m≦閾値」の条件を満たさない場合、すなわち図6に示したように剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RABが広すぎる場合にも、同様に剛性関数(y=ax+b)と耐熱性関数(y=cx+d)の傾きa、cをそれぞれ固定し、剛性ライン及び耐熱性ラインをY軸に沿って上方にシフトすることによって、S10の条件を満たすb=b1,d=d1を求めることができる。
構造解析部30は、上記求めた第2の板厚W1を新たな板厚として設定し、上述したS4、S7の処理に戻る。
このようにS10での条件を満たさない初回時に、S12及びS13の処理を実行するのは、これらの処理により、最終的に求めたい値に少なくとも近似する(剛性と耐熱性との)強度割合の値を得ることができるためである。
詳しく説明すると、本願発明者らが研究を重ねた結果、板厚を変化させて剛性CAE及び耐熱性CAEをそれぞれ実施した場合、剛性ライン及び耐熱性ラインの傾きの変化よりも、たわみ量或いは熱変形量が大きく変化することを見出した。そのため、剛性ライン及び耐熱性ラインにおいて、変形量(すなわちy切片「b」「d」)を変化させ、所望のx=m、x=nとしたときの板厚を求めれば、それが設計上最も好ましい板厚に近似することを見出すに至った。
また、S9において第1強度割合(m)及び第2強度割合(n)が算出され、再びS10において、「n>m」且つ「n−m≦閾値」の条件を満たしているか否かが判定される。
ここで、上記S10の条件を満たす場合には、出力部30を介して、出力装置3に「n」及び「m」の値を示す情報(例えば、画像情報)を出力して処理を終了する。また、いずれか一方の条件でも満たさない場合、S11の処理に進む。
S14では、「n>m」であるか、すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在するか否かが判定される。
ここで、「n>m」、すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在しない場合、S13において板厚変更した「インパネの設計情報」を用いて、当該板厚変更したインパネの強度必要部位に対して所定の板厚(T1)を加算する(ステップS16)。そして、S16の処理を終えると上述したS4、S7の処理に戻る。
ここで、「n>m」の条件を満たさない場合には、当該条件を満たすまで、S11,S14,S16,S4,S7,及びS8〜S10の処理を繰り返す。
S15では、構造解析部30は、S9で改めて算出された「m」及び「n」から、差分Δ(n−m)が「閾値(所定値)」以下であるか否かを判定する(n−m≦閾値)。
S17において、「n−m≦閾値」を満たしていないと判定した場合、構造解析部30は、前段のS14の判定処理時の所定板厚を所定の厚さT2だけ減算した上で、上述したS4、S7の処理に戻る。
そして、S4,S7でのCAEの処理が終わると、再び、S8〜S10の処理を行い、「n>m」且つ「n−m≦閾値」の条件を満たしているか否かが判定される。
ここで、「n−m≦閾値」の条件を満たさない場合には、当該条件を満たすまで、S11,S14,S15,S17,S4,S7,及びS8−S10の処理を繰り返す。
以上の構成により、構造解析部30が、トポロジー最適化処理の入力値として好適な強度割合(剛性割合)を自動的に比較的短時間で導き出すことが可能になる。
特に、強度必要部位の板厚初期値に基づき得られた剛性関数(剛性ライン)と耐熱性関数(耐熱性ライン)の傾きを固定し、y切片を変数として当該両関数をy軸に沿ってシフトすることにより、最終的に求めたい値に少なくとも近似する板厚、及び剛性と耐熱性との強度割合の値を容易に得ることができる。したがって、強度割合を算出するために費やされる設計時間を大幅に短縮することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
1 情報処理装置
10 制御部(情報処理装置)
20 データ取得部(情報処理装置)
30 構造解析部(情報処理装置)
40 出力部(情報処理装置)
2 入力装置
3 出力装置
4 CAD装置
50 CPU
51 主記憶装置
52 I/Oインタフェース
53 補助記憶装置
54 NWインタフェース
55 設計支援プログラム
200 インストルメントパネル
201、202 強度必要部位(インストルメントパネル)
Claims (4)
- 構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する設計支援装置であって、
前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行う構造解析部を備え、
前記構造解析部は、
前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理と、
前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理とを実行し、
さらに、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出し、
前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行することを特徴とする設計支援装置。 - 前記第2の板厚に基づき実行された前記解析処理と前記強度割合算出処理の結果、
前記構造解析部は、算出された前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合とを比較し、該第1強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合には、前記第2強度割合の方が大きい値となるまで、前記第2の板厚を所定値加算し、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載された設計支援装置。 - 前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合との比較処理の結果、該第2強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合に、
前記構造解析部は、前記第1強度割合と前記第2強度割合の差分を算出し、該差分が所定値より大きい場合には、該差分が所定値以下となるまで、前記板厚を所定値減算し、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された設計支援装置。 - コンピュータに、構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、
前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行うステップと、
前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理を行うステップと、
前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理を行うステップと、
剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出するステップと、
前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行するステップとを有することを特徴とするプログラム。
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