JP5091331B2 - 設計支援装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、製品や部品等の構造物の構造設計を支援する設計支援装置及びプログラムに関し、例えば、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な部位を求めるためのトポロジー最適化処理の入力値として用いる、剛性及び耐熱性の強度割合を算出する設計支援装置及びプログラムに関する。
従来から、コンピュータに有限要素法による構造解析を実行させるプログラムや、当該プログラムを実装した設計支援装置(コンピュータ)が提案されており、構造物の設計において、前記プログラムや前記設計支援装置が広く利用されるようになっている。
例えば、特許文献1には、インストルメントパネル(以下、「インパネ」という)等の構造物に対する構造解析を行い、構造物の弱体部位を抽出したり、構造物における剛性強化が必要な部位を抽出して表示したりする設計支援装置(コンピュータ)が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、均質化法によるトポロジー最適化手法により構造物の剛性を最大にする構造物形状を検出する形状解析処理を行う設計支援装置が開示されている。
そして、上記のような構造解析を実行する機能を備えた設計支援装置(コンピュータ)を利用して、「構造物の剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な部位(以下、単に「強度必要部位」という)」を求めるトポロジー最適化処理が行われ、トポロジー最適化処理により求めた強度必要部位に板厚を追加したり、リブを配置したりすることが行われている。
また、前記強度必要部位を求めるトポロジー最適化処理では、入力値として「剛性及び耐熱性の強度割合」を与える必要があるため、設計者は、当該トポロジー最適化処理に先だって、「剛性及び耐熱性の強度割合」を求める作業(処理)を行っていた。
ここで、従来技術による「剛性及び耐熱性の強度割合(単に「強度割合」ということもある)」の算出処理の手順について説明する。なお、以下では、構造物がインパネである場合を例にする。
先ず、設計者は、前記設計支援装置に、インパネ(構造物)の「設計情報」及び「物性値情報、拘束条件、荷重条件、体積密度等の解析条件」を入力する。
次に、前記設計支援装置に、「設計情報」及び「解析条件」を用いて、剛性割合を優位にした強度割合(例えば、剛性を100%、耐熱性を0%とした強度割合)」で有限要素法によるトポロジー最適化処理を実行させ、インパネの剛性・耐熱性の強度必要部位を算出し、ディスプレイ等の表示手段に、図5(a)に示すような、インパネ200の強度必要部位を示した解析結果210を表示させる。
なお、図中では、インパネ200の各領域が、算出された密度の値毎に色分けされ示されており、所定以上の密度の領域が強度部位201であることを表している。
次に、設計者は、上記の「剛性を優位にした強度割合」を用いたトポロジー最適化処理により求めた強度必要部位に追加する板厚を選定し(経験則などから選定し)、前記入力された設計情報に、前記選定した板厚のデータを入力する(強度必要部位の板厚を選定したものに変更する)。
また、上記板厚データの入力を終えると、前記設計支援装置に、有限要素法による剛性CAE(Computer Aided Engineering)を実行させ、前記強度必要部位の「たわみ量」を求める。また、前記設計支援装置に、有限要素法による耐熱性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「熱変形量」を求める。
次に、設計者は、図6に示すような「剛性及び耐熱性の強度割合」を横軸(x軸)にとり、「たわみ量」及び「熱変形量」を縦軸(y軸)にとった座標面Gを作成する。
また、設計者は、前記座標面Gに、「剛性目標の範囲(「たわみ量」がe以下)を示す剛性目標線(y=e)」及び「耐熱性目標の範囲(「熱変形量」がf以下)を示す耐熱性目標線(y=f)」を記載する。
次に、設計者は、前記座標面Gにおいて、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上に、前記求めた「たわみ量」の値をプロット(図示するB1点をプロット)し、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上に、前記求めた「熱変形量」の値をプロット(図示するB2点をプロット)する。
次に、設計者は、前記設計支援装置に、「設計情報」及び「解析条件」を用いた「耐熱性を優位にした強度割合(例えば、耐熱性を100%、剛性を0%とした強度割合)」を用いた有限要素法によるトポロジー最適化処理を実行させ、インパネの剛性・耐熱性の強度必要部位を算出し、ディスプレイ等の表示手段に、図5(b)に示すような、インパネ200の強度必要部位を示した解析結果211を表示させる。
なお、図中では、インパネ200の各領域が、算出された密度の値毎に色分けされ示されており、所定以上の密度の領域が強度部位202であることを表している。
次に、設計者は、上記「耐熱性を優位にした強度割合」を用いたトポロジー最適化処理で求めた強度必要部位の板厚を選定し(強度必要部位の板厚を選定した板厚に変更し)、上記同様の処理を行う。
具体的には、設計者は、前記設計支援装置に、有限要素法による剛性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「たわみ量」を求める。また、前記設計支援装置に、有限要素法による耐熱性CAEを実行させ、前記強度必要部位の「熱変形量」を求める。
次に、設計者は、前記座標面Gにおいて、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上に、前記求めた「たわみ量」の値をプロット(図示するB3点をプロット)し、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上に、前記求めた「熱変形量」の値をプロット(図示するB4点をプロット)する。
そして、設計者は、前記座標面上のB1点及びB3点を結んだ剛性ライン110を作成すると共に、B2点及びB4点を結んだ耐熱性ライン112を作成する。
次に、設計者は、上記座標面G上で作成した剛性ライン110及び剛性目標線(y=e)に基づいて、剛性ライン110上においてy座標が「e」以下となるx座標の範囲(剛性達成範囲RA)を特定する。また、耐熱性ライン112及び耐熱性目標線(y=f)に基づいて、耐熱性ライン112上においてy座標が「f」以下となるx座標の範囲(耐熱性達成範囲RB)を特定する(図6参照)。
そして、設計者は、「剛性達成範囲RA」及び「耐熱性達成範囲RB」の両者を満たす「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」を特定し、その特定した「両性能達成範囲RAB」から強度割合を選定する。
なお、図6に示す例では、「両性能達成範囲RAB」の領域が大き過ぎるため、設計者が最適な強度割合(剛性及び耐熱性の強度割合)を選択することが困難であった。
そのため、図示するような大きさの「両性能達成範囲RAB」が得られたときには、板厚を変更した上で、再度、上記同様のCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)を行い、「両性能達成範囲RAB」を求めていた。すなわち、ある程度の大きさの「両性能達成範囲RAB」が得られるまで、前記板厚変更及び前記CAE処理を繰り返し行っていた。
また、図7に示すように、強度必要部位に設定する板厚によっては、「剛性達成範囲RA」及び「耐熱性達成範囲RB」の両者を満たす領域(剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB)が存在しないことがある。このような場合、設計者は、「両性能達成範囲RAB」が得られるまで、前記板厚変更及び前記CAE処理を繰り返し行っていた。
特開2009−217547号公報 特開2002−7487号公報
しかしながら、上述した従来技術による「剛性及び耐熱性の強度割合」の算出方法は、以下に示す技術的課題を有している。
具体的には、上述した従来技術の前記強度割合の算出方法では、設計者自身が「板厚変更及びCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)」の操作を複数回繰り返して行わないと、ある程度の大きさに絞り込んだ「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB(図6参照)」を得ることができなかった。そのため、前記強度割合の算出方法では、工数が大きく、設計作業に長時間かかっていた。
すなわち、前記強度割合の算出方法は、工数が大きく面倒であると共に、設計に長時間費やされるという技術的課題を有していた。
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させる設計支援装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、コンピュータに、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、当該強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させるプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する設計支援装置に適用される。
そして、前記設計支援装置は、前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行う構造解析部を備え、前記構造解析部は、前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理と、前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理とを実行し、さらに、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出し、前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行することを特徴としている。
上記のように構成したのは、本願発明者らが、剛性関数(上述した図6の剛性ライン110に相当)から求めた第1強度割合と、耐熱性関数(上述した図6の耐熱性ライン112に相当)から求めた第2強度割合との差分が所定値以下の場合の第1強度割合(又は第2強度割合)を入力値にしたトポロジー最適化処理を実行した場合に、剛性及び耐熱性を向上させるための強度必要部位が高精度に抽出されることを見出したためである。
そして、本発明によれば、設計支援装置の構造解析部が、前記トポロジー最適化処理の入力値として用いる好適な強度割合を算出するため、上述した従来技術と比べて、設計者の工数が削減されると共に、設計者の手間が大幅に軽減される。
特に、強度必要部位の板厚初期値に基づき得られた剛性関数と耐熱性関数の傾きを固定し、y切片を変数として当該両関数をy軸に沿ってシフトすることにより、最終的に求めたい値に少なくとも近似する第2の板厚、及び剛性と耐熱性との強度割合の値を容易に得ることができる。したがって、強度割合(剛性割合)を算出するために費やされる設計時間を大幅に短縮することができる。
また、前記第2の板厚に基づき実行された前記解析処理と前記強度割合算出処理の結果、前記構造解析部は、算出された前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合とを比較し、該第1強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合には、前記第2強度割合の方が大きい値となるまで、前記第2の板厚を所定値増加させ、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することが望ましい。
また、前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合との比較処理の結果、該第2強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合に、前記構造解析部は、前記第1強度割合と前記第2強度割合の差分を算出し、該差分が所定値より大きい場合には、該差分が所定値以下となるまで、前記第2の板厚を所定値減少させ、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することが望ましい。
この構成により、確実に剛性及び耐熱性の両性能達成範囲が存在し、且つ、その範囲が所定値以下となる強度割合を自動的に短時間で確実に算出することが可能となる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明は、コンピュータに、構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムに適用される。
そして、前記プログラムは、前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行うステップと、前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理を行うステップと、前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理を行うステップと、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出するステップと、前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行するステップとを有することを特徴としている。
本発明によれば、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させる設計支援装置を提供することができる。
また、本発明によれば、コンピュータに、トポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、当該強度割合の算出工数を低減し、当該強度割合の算出時間を短縮させるプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。 本発明の実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。 本発明の実施形態の設計支援装置が行うトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理の手順を示したフローチャートである。 本発明の実施形態の剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理において用いる剛性ラインを示す剛性関数、耐熱性ラインを示す耐熱性関数、剛性目標線、及び耐熱線目標線を示した模式図である。 従来技術の設計支援装置が行うトポロジー最適化処理により得られた構造物の解析結果を示した模式図である。 従来技術による剛性及び耐熱性の強度割合の算出方法を説明するための模式図である。 従来技術による剛性及び耐熱性の強度割合の算出方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態の設計支援装置の機能構成を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の設計支援装置の機能ブロック図である。
図示するように、本実施形態の設計支援装置Wは、トポロジー最適化処理の入力値として用いる「剛性及び耐熱性の強度割合」を算出する情報処理装置1と、設計者からの各種要求を受け付ける入力装置2と、情報処理装置1が行った解析結果を出力する出力装置3とを備えている。また、情報処理装置1は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、CAD装置4に接続されている。
ここで、入力装置2は、キーボードやマウス等により構成され、設計者からの各種要求や解析条件(物性値情報、拘束条件、荷重条件、体積密度等)等を受け付け情報処理装置1に出力する。
出力装置3は、液晶ディスプレイ等により構成され、情報処理装置1が出力する画像情報を表示する。
また、CAD装置4には、構造解析を行う対象の構造物のCAD情報(例えば、自動車の構成部品の設計情報)が格納されている。そして、CAD装置4は、情報処理装置1からの要求にしたがい、情報処理装置1にCAD情報を出力する。なお、本実施形態のCAD装置4は、公知の技術により実現されるため、詳細な説明を省略する。
また、情報処理装置1は、制御部10、データ取得部20、構造解析部30および出力部40を備えている。
制御部10は、情報処理装置1の全体の動作を制御する。また、制御部10は、入力装置2を介して、設計者が入力する各種要求を受け付ける。そして、制御部10は、上記の受け付けた要求にしたがい、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40を制御して、設計者からの要求に応じた各種の処理を行う。
また、データ取得部20は、ネットワークNWに接続されている外部装置(例えば、CAD装置4)と通信を行い、外部装置との間でデータの授受を行う。例えば、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されている設計情報(CAD情報)を取得する。
また、データ取得部20は、入力装置2を介して、設計者が入力する解析対象の構造物の解析条件の入力を受け付ける。
構造解析部30は、CAD装置4から取得した構造物の「設計情報」および「解析条件」を用いて、後述する図3に示す各処理ステップを実行し、構造物の剛性及び耐熱性を向上させるために強化が必要な部位(強度必要部位)を求めるためのトポロジー最適化処理の入力値として用いる、剛性及び耐熱性の強度割合を算出する。
また、出力部40は、構造解析部30から解析結果を取得し、その解析結果を示す画像情報を生成し、出力装置3に、その生成した画像情報を出力する。
つぎに、本実施形態の情報処理装置1のハードウェア構成を説明する。
図2は、本実施形態の情報処理装置のハードウェア構成図である。
図示するように、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)50と、RAM(Random Access Memory)等により構成された主記憶装置51と、I/Oインタフェース52と、ハードディスク等により構成された補助記憶装置53と、ネットワークNWに接続されている装置との間で行うデータ授受の制御を行うネットワークインタフェース54とを有する。
また、補助記憶装置53には、上述した各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能を実現するためのプログラム(設計支援プログラム55)が格納されている。
そして、情報処理装置1の各部(制御部10、データ取得部20、構造解析部30、および出力部40)の機能は、CPU50が補助記憶装置53に格納されている前記プログラムを主記憶装置51にロードして実行することにより実現される。
続いて、本実施形態の設計支援装置Wが行う構造物の剛性及び耐熱性を向上させる強度必要部位を求めるトポロジー最適化処理の入力値として用いる、剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理について図3及び図4に基づいて説明する。
ここで、図3は、本発明の実施形態の設計支援装置が行うトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理の手順を示したフローチャートである。また、図4は、本発明の実施形態の剛性及び耐熱性の強度割合の算出処理において用いる剛性ラインを示す剛性関数、耐熱性ラインを示す耐熱性関数、剛性目標線、及び耐熱線目標線を示した模式図である。
なお、以下の説明では、解析対象の構造物が自動車のインパネ(合成樹脂製のインパネ)である場合を例にする。また、以下の処理ステップの中で行われるトポロジー最適化処理及びCAE処理(剛性CAE、耐熱性CAE)は、周知のものと同様であるため詳細な説明を省略する。
先ず、情報処理装置1のデータ取得部20が、解析対象のデータの読み込みを行う(S1)。
具体的には、データ取得部20は、ネットワークNWを介して、CAD装置4にアクセスし、CAD装置4に格納されているインパネの設計情報(CAD情報)を取得し、情報処理装置1のメモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記取得したインパネの設計情報を格納する。
また、データ取得部20は、設計者が入力装置2を介して入力する「インパネの解析条件」を受け付け(受信し)、前記メモリ(主記憶装置51又は補助記憶装置53)に、前記解析条件を格納する。
そして、S1の処理が終わると、構造解析部30は、「S2〜S4の処理」及び「S5〜S7の処理」を行う。
なお、構造解析部30は、「S2〜S4の処理」及び「S5〜S7の処理」を並列処理で実行するように構成されていてもよいし、「S2〜S4(又はS5〜S7)の処理」を終えた後に「S5〜S7(又はS2〜S4)の処理」を実行するように構成されていてもよい。
なお、以下では、説明の便宜上、「S2〜S4の処理」を説明してから「S5〜S7の処理」を説明する。
具体的には、S2では、構造解析部30は、上述したS1により前記メモリに格納された「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で構造物(インパネ)のトポロジー最適化処理(第1トポロジー最適化処理)を行い、インパネ(構造物)の強度必要部位を抽出する。
なお、本実施形態では、剛性割合を優位にした強度割合に、「剛性を100%とし、耐熱性を0%とした強度割合」を用いる。また、本実施形態では、1箇所の強度必要部位が抽出される場合を例にする。
また、本ステップ(S2)で用いられる「剛性割合を優位にした強度割合」は、デフォルト値として、構造解析部30に予め設定されている。
なお、構造解析部30は、デフォルト値として設定された「剛性割合を優位にした強度割合」を利用しないで、設計者が入力する任意の「剛性割合を優位にした強度割合」を用いたトポロジー最適化処理も実行できるようになっている。この場合、構造解析部30は、設計者が入力する「剛性割合を優位にした強度割合」を示すデータを受け付け(データ取得部20を介して受け付け)、その受け付けた「剛性割合を優位にした強度割合」を用いてトポロジー最適化処理を行う。
また、本ステップ(S2)において、ディスプレイ等の表示手段に、上述した図5に示すような、インパネ200の強度必要部位を示した解析結果210を表示させるようにしてもよい。
次に、構造解析部30は、S2において求めた強度必要部位に対する板厚初期値設定を行う(S3)。
具体的には、構造解析部30は、S2において求めた強度必要部位に対して、密度の値に応じて定められた板厚を設定する(変更する)。すなわち、構造解析部30は、前記設計情報に含まれるインパネの板厚のうち、強度必要部位の板厚を前記トポロジー最適化処理により求められた密度に応じて設定する。
例えば、構造解析部30は、密度が「r1」の範囲の強度必要部位に「t=W0(mm)」の厚さの板厚を初期値として設定する。
次に、構造解析部30は、剛性CAE(剛性解析)及び耐熱性CAE(耐熱性解析)を実行して、板厚設定した強度必要部位の「たわみ量」及び「熱変形量」を算出する(S4)。
具体的には、構造解析部30は、S3において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による剛性CAEを実行し、前記強度必要部位の「たわみ量(説明の便宜上、「第1たわみ量」という)」を求める。
また、構造解析部30は、S3において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による耐熱性CAEを実行し、前記強度必要部位の「熱変形量(説明の便宜上、「第1熱変形量」という)」を求める。
次に、構造解析部30は、S5〜S7の処理を行う。
具体的には、S5では、構造解析部30は、S1で読み込んだ「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、耐熱性割合を優位にした強度割合で構造物(インパネ)のトポロジー最適化処理(第2トポロジー最適化処理)を行い、インパネ(構造物)の強度必要部位を抽出する。
なお、本実施形態では、耐熱性割合を優位にした強度割合に、「剛性を0%とし、耐熱性を100%とした強度割合」を用いる。
また、S5の処理は、上述したS2の処理と、強度割合が異なる以外は同じであるため、詳細な説明を省略する。
次に、構造解析部30は、上述したS3と同様の手順により、S7において求めた強度必要部位に対する板厚設定を行う(S6)。
次に、構造解析部30は、上述したS4と同様の手順により、剛性CAE及び耐熱性CAEを実行して、板厚変更した強度必要部位の「たわみ量」及び「熱変形量」を算出する(S7)。
具体的には、構造解析部30は、S6において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による剛性CAEを実行し、前記強度必要部位の「たわみ量(説明の便宜上、「第2たわみ量」という)」を求める。
また、構造解析部30は、S6において板厚設定した「インパネの設計情報」および「インパネの解析条件」を用いて、有限要素法による耐熱性CAEを実行し、前記強度必要部位の「熱変形量(説明の便宜上、「第2熱変形量」という)」を求める。
次に、構造解析部30は、S4及びS7で求めた「たわみ量(第1たわみ量、第2たわみ量)」及び「熱変形量(第2熱変形量、第2熱変形量)」を用いて、「剛性ラインを示す剛性関数(y=ax+b)」及び「耐熱性ラインを示す耐熱性関数(y=cx+d)」を算出する(S8)。
具体的には、S8では、構造解析部30は、図4に示すような「剛性及び耐熱性の強度割合(図中では剛性割合の値を用いている)」を横軸(x軸)にとり、「たわみ量」及び「熱変形量」を縦軸(y軸)にとったxy直交座標面Gを作成する。
ここで、前記座標面Gは、左端GLのx座標が「100(剛性が100%、耐熱性が0%)」を示し、右端GRのx座標が「0(剛性が0%、耐熱性が100%)」を示している。
すなわち、図示する座標面Gは、左端GLから右端GRに向けてx1方向に進むにつれて、x軸の値が減少するようになっている(剛性の割合が減少して耐熱性の割合が増加するようになっている)。
そして、S8では、構造解析部30は、前記座標面Gにおいて、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上(左端GLのx座標上)に、S4で求めた「第1たわみ量」の値をプロット(A1)し、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上(右端GRのx座標上)に、S6で求めた「第2たわみ量」の値をプロット(A3)する。また、構造解析部30は、前記プロットした2点(A1、A3)を用いて、当該2点(A1、A3)を通る剛性ラインを示す剛性関数(y=ax+b)を算出する。尚、前記剛性ラインは、実際には図示するように僅かに曲線となるが、この剛性関数の算出においては、近似式として一次関数が算出される。
ここで、上記「A1」のx座標の値が「100」となっているのは、S4の剛性CAEにより得られた「第1たわみ量」が、S2のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
また、上記「A3」のx座標の値が「0」となっているのは、S6の剛性CAEにより得られた「第2たわみ量」が、S5のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
すなわち、S2及びS5において実施するトポロジー最適化処理における強度割合により、「A1」及び「A3」のx座標の値は変わってくる。
さらに、構造解析部30は、S8において、前記座標面Gにおいて、剛性が100(耐熱性が0)のx座標上(左端GLのx座標上)に、S4で求めた「第1熱変形量」の値をプロット(A2)し、剛性が0(耐熱性が100)のx座標上(右端GRのx座標上)に、S6で求めた「第2熱変形量」の値をプロット(A4)する。また、構造解析部30は、前記プロットした2点(A2、A4)を用いて、当該2点(A2、A4)を通る耐熱性ラインを示す耐熱性関数(y=cx+d)を算出する。尚、前記剛性ラインは、実際には図示するように僅かに曲線となるが、この剛性関数の算出においては、近似式として一次関数が算出される。
ここで、上記「A2」のx座標の値が「100」となっているのは、S4の耐熱性CAEにより得られた「第1熱変形量」が、S2のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
また、上記「A4」のx座標の値が「0」となっているのは、S6の耐熱性CAEにより得られた「第2熱変形量」が、S5のトポロジー最適化処理により得られた強度必要部位に対して実施されたものであるためである。
次に、構造解析部30は、上記剛性関数(y=ax+b)を用いて第1強度割合mを算出すると共に、上記耐熱性関数(y=cx+d)を用いて第2強度割合nを算出する(S9)。
具体的には、S9では、構造解析部30は、「剛性目標の範囲(「たわみ量」がe以下)を示す剛性目標線(y=e)と、剛性ラインを示す剛性関数(y=ax+b)との交点((e−b)/a,e)を算出して、その交点のx座標(x=(e−b)/a)の値を「第1強度割合(m)」とする。
すなわち、ここでは、剛性関数(y=ax+b)上において、上記の剛性目標の要件を満たし且つ剛性割合が最小となるX座標の値である「第1強度割合(m)」が算出される。
なお、「m(第1強度割合)」は、剛性割合が「m」であり、耐熱性割合が「100−m」であることを示している。
さらに、構造解析部30は、S9において、耐熱性目標の範囲(「熱変形量」がf以下)を示す耐熱性目標線(y=f)と、耐熱性関数(y=cx+d)との交点((f−d)/c,f)を算出して、その交点のx座標(x=(f−d)/c)の値を「第2強度割合(n)」とする。
すなわち、耐熱性関数(y=cx+d)上において、上記の耐熱性目標の要件を満たし且つ耐熱性割合が最小となるX座標の値である「第2強度割合(n)」が算出される。
なお、「n(第2強度割合)」は、剛性割合が「n」であり、耐熱性割合が「100−n」であることを示している。
次に、構造解析部30は、S9で求めた「m」と「n」とを比較し、「n>m」、且つ「n−m≦閾値」の条件を満たす場合には、出力部30を介して、出力装置3に「n」及び「m」の値を示す情報(例えば、画像情報)を出力して処理を終了する。また、いずれか一方の条件でも満たさない場合、S11の処理に進む(ステップS10)。
なお、「n>m」の要件を満たす場合とは、図4に示すように「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在する場合を示し、「n>m」の要件を満たさない場合とは、上述した図7に示すような「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在しないケースを示している。
また、n−m≦閾値の場合とは、「n−m」すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」の大きさが、「閾値(所定値)」以下であるケースを示している。
なお、「閾値(所定値)」の値は、ある程度小さい値(例えば、1未満の値)に設定されていることが望ましい。
このようにS10では、剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RABの有無の判定を行い、さらに前記両性能達成範囲RABを有する場合、「n−m」の値が閾値以下であるか否かの判定を行っている。
また、このように構成するのは、本願発明者らが研究を重ねた結果、本処理ステップにより算出される差分Δ(n−m)が小さい場合の「n(或いは「m」)」の値が、前記トポロジー最適化処理の入力値として用いる強度割合(剛性割合)」に好適であることを見出したことによる。
すなわち、前記差分Δ(n−m)が小さい場合の「n(或いは「m」)」の値を剛性割合にした強度割合を入力値にした前記トポロジー最適化処理を実行した場合に、剛性及び耐熱性を向上させるための強度必要部位を正確に抽出できることを見出したためである。
具体的には、構造解析部30は、「n−m≦閾値」であれば、上術したように、出力装置3に「n」及び「m」の値を示す情報(例えば、画像情報)を出力する。
設計者は、出力装置3に出力された「n」及び「m」の値により、剛性及び耐熱性の強度割合を簡単に選定することができる。例えば、「n」が「45.8」であり、「m」が「45.1」である場合には、設計者は、上記「n」及び「m」より、剛性割合を「45%」と選定する。この場合、耐熱性割合は、「55%」に定まる。
なお、本ステップにおいて、構造解析部30が、「n」及び「m」の値から剛性割合を算出し(例えば、n及びmの平均値を求めて小数点を四捨五入した値を剛性割合とする)、その剛性割合に対応する耐熱性割合を算出し、当該算出した剛性割合及び耐熱性割合を出力するように構成されていてもよい。
次に、S10の条件を満たさないと判定された場合に進むS11以降の処理を説明する。
S10の条件を満たさないとする判定が初回の場合、S2、S5からの処理に戻るが、新たに板厚を設定するためにステップS12へ進む(ステップS11)。一方、S10の条件を満たさないとする判定が2回目以上の場合はS14の処理に進む(ステップS11)。
具体的には、S10の条件を満たさないとする判定が初回の場合、構造解析部30は、上記S8で求められた剛性関数(y=ax+b)、及び耐熱性関数(y=cx+d)において、それぞれb、dを変数として、S10の条件、即ち「n>m」且つ「n−m≦閾値」を満たすb=b1、d=d1を設定する(ステップS12)。
例えば、S10の条件のうち、「n>m」の条件を満たさない場合、すなわち、図7に示したように剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RABが存在しない場合、剛性関数(y=ax+b)と耐熱性関数(y=cx+d)の傾きa、cをそれぞれ固定し、剛性ライン及び耐熱性ラインをY軸に沿って下方にシフトする。これにより、y切片(b,d)の変化に伴い上記n,mの値が変化し、「n>m」、且つ「n−m≦閾値」を満たすb=b1,d=d1を求めることができる。
尚、「n−m≦閾値」の条件を満たさない場合、すなわち図6に示したように剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RABが広すぎる場合にも、同様に剛性関数(y=ax+b)と耐熱性関数(y=cx+d)の傾きa、cをそれぞれ固定し、剛性ライン及び耐熱性ラインをY軸に沿って上方にシフトすることによって、S10の条件を満たすb=b1,d=d1を求めることができる。
さらに、構造解析部30は、S4,S7での剛性CAE及び耐熱性CAEに基づき、第2の構造関数(y=ax+b1)、及び第2の耐熱性関数(y=cx+d1)から、第2の板厚W1を逆算処理により求める(ステップS13)。
構造解析部30は、上記求めた第2の板厚W1を新たな板厚として設定し、上述したS4、S7の処理に戻る。
このようにS10での条件を満たさない初回時に、S12及びS13の処理を実行するのは、これらの処理により、最終的に求めたい値に少なくとも近似する(剛性と耐熱性との)強度割合の値を得ることができるためである。
詳しく説明すると、本願発明者らが研究を重ねた結果、板厚を変化させて剛性CAE及び耐熱性CAEをそれぞれ実施した場合、剛性ライン及び耐熱性ラインの傾きの変化よりも、たわみ量或いは熱変形量が大きく変化することを見出した。そのため、剛性ライン及び耐熱性ラインにおいて、変形量(すなわちy切片「b」「d」)を変化させ、所望のx=m、x=nとしたときの板厚を求めれば、それが設計上最も好ましい板厚に近似することを見出すに至った。
上記のように新たな板厚W1によりS4,S7でのCAEが実施されると、改めて構造関数(y=ax+b)、及び耐熱性関数(y=cx+d)が算出される(ステップS8)。
また、S9において第1強度割合(m)及び第2強度割合(n)が算出され、再びS10において、「n>m」且つ「n−m≦閾値」の条件を満たしているか否かが判定される。
ここで、上記S10の条件を満たす場合には、出力部30を介して、出力装置3に「n」及び「m」の値を示す情報(例えば、画像情報)を出力して処理を終了する。また、いずれか一方の条件でも満たさない場合、S11の処理に進む。
ここで、S10の条件を満たさないとする判定は2回目であるため、S14での処理に進む(ステップS14)。
S14では、「n>m」であるか、すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在するか否かが判定される。
ここで、「n>m」、すなわち「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」が存在しない場合、S13において板厚変更した「インパネの設計情報」を用いて、当該板厚変更したインパネの強度必要部位に対して所定の板厚(T1)を加算する(ステップS16)。そして、S16の処理を終えると上述したS4、S7の処理に戻る。
そして、S4,S7でのCAEの処理が終わると、再び、S8〜S10の処理を行い、「n>m」且つ「n−m≦閾値」の条件を満たしているか否かが判定される。
ここで、「n>m」の条件を満たさない場合には、当該条件を満たすまで、S11,S14,S16,S4,S7,及びS8〜S10の処理を繰り返す。
次に、S14において「剛性及び耐熱性の両性能達成範囲RAB」があると判定された場合(「n>m」を満たす場合)に進むS15の処理を説明する。
S15では、構造解析部30は、S9で改めて算出された「m」及び「n」から、差分Δ(n−m)が「閾値(所定値)」以下であるか否かを判定する(n−m≦閾値)。
そして、構造解析部30は、「n−m≦閾値」であれば、出力部30を介して、出力装置3に「n」及び「m」の値を示す情報(例えば、画像情報)を出力して処理を終了し、「n−m≦閾値」を満たさなければ、S17の処理に進む。
S17において、「n−m≦閾値」を満たしていないと判定した場合、構造解析部30は、前段のS14の判定処理時の所定板厚を所定の厚さT2だけ減算した上で、上述したS4、S7の処理に戻る。
そして、S4,S7でのCAEの処理が終わると、再び、S8〜S10の処理を行い、「n>m」且つ「n−m≦閾値」の条件を満たしているか否かが判定される。
ここで、「n−m≦閾値」の条件を満たさない場合には、当該条件を満たすまで、S11,S14,S15,S17,S4,S7,及びS8−S10の処理を繰り返す。
以上の構成により、構造解析部30が、トポロジー最適化処理の入力値として好適な強度割合(剛性割合)を自動的に比較的短時間で導き出すことが可能になる。
このように、本実施形態によれば、設計支援装置Wの構造解析部30が、トポロジー最適化処理の入力値として用いる好適な強度割合(剛性割合)を自動的に算出するため、上述した従来技術と比べて、設計者の工数が削減されると共に、設計者の手間が大幅に軽減される。
特に、強度必要部位の板厚初期値に基づき得られた剛性関数(剛性ライン)と耐熱性関数(耐熱性ライン)の傾きを固定し、y切片を変数として当該両関数をy軸に沿ってシフトすることにより、最終的に求めたい値に少なくとも近似する板厚、及び剛性と耐熱性との強度割合の値を容易に得ることができる。したがって、強度割合を算出するために費やされる設計時間を大幅に短縮することができる。
また、本実施形態によれば、設計支援装置Wの構造解析部30が、前記トポロジー最適化処理の入力値として用いる強度割合(剛性割合)を算出するため、設計者の習熟度に関係なく、効果的なトポロジー最適化処理が実現される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、構造物として自動車のインパネを例にしたがあくまでもこれは一例に過ぎない。樹脂製の製品や部品の設計であれば、どのようなものにも適用することができる。
W 設計支援装置
1 情報処理装置
10 制御部(情報処理装置)
20 データ取得部(情報処理装置)
30 構造解析部(情報処理装置)
40 出力部(情報処理装置)
2 入力装置
3 出力装置
4 CAD装置
50 CPU
51 主記憶装置
52 I/Oインタフェース
53 補助記憶装置
54 NWインタフェース
55 設計支援プログラム
200 インストルメントパネル
201、202 強度必要部位(インストルメントパネル)

Claims (4)

  1. 構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する設計支援装置であって、
    前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行う構造解析部を備え、
    前記構造解析部は、
    前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理と、
    前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理とを実行し、
    さらに、剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出し、
    前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行することを特徴とする設計支援装置。
  2. 前記第2の板厚に基づき実行された前記解析処理と前記強度割合算出処理の結果、
    前記構造解析部は、算出された前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合とを比較し、該第1強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合には、前記第2強度割合の方が大きい値となるまで、前記第2の板厚を所定値加算し、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することを特徴とする請求項1に記載された設計支援装置。
  3. 前記第1強度割合と前記第2強度割合の剛性割合との比較処理の結果、該第2強度割合の剛性割合の方が大きい値の場合に、
    前記構造解析部は、前記第1強度割合と前記第2強度割合の差分を算出し、該差分が所定値より大きい場合には、該差分が所定値以下となるまで、前記板厚を所定値減算し、該板厚に基づく前記解析処理と、前記強度割合算出処理とを繰り返し実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された設計支援装置。
  4. コンピュータに、構造物のトポロジー最適化処理の入力値として用いる剛性及び耐熱性の強度割合を算出する処理を実行させるプログラムであって、
    前記構造物の設計情報及び解析条件を用いて、剛性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第1トポロジー最適化処理を行うと共に耐熱性割合を優位にした強度割合で前記構造物の第2トポロジー最適化処理を行うステップと、
    前記第1トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第1たわみ量及び第1熱変形量を算出すると共に、前記第2トポロジー最適化処理で抽出された前記構造物の強度必要部位の板厚を変更した上で剛性解析および耐熱性解析を実施して該強度必要部位の第2たわみ量及び第2熱変形量を算出する解析処理を行うステップと、
    前記第1たわみ量及び前記第2たわみ量を用いて一次関数からなる剛性関数を算出し、該剛性関数及び所定剛性目標値を用いて、該剛性目標を満たし且つ剛性割合が最小となる第1強度割合を算出すると共に、前記第1熱変形量及び第2熱変形量を用いて一次関数からなる耐熱性関数を算出し、該耐熱性関数及び所定耐熱性目標値を用いて、耐熱性目標を満たし且つ耐熱性割合が最小となる第2強度割合を算出する強度割合算出処理を行うステップと、
    剛性及び耐熱性の強度割合をx軸とし、たわみ量及び熱変形量をy軸としたxy直交座標上の前記剛性関数及び前記耐熱性関数において、傾きをそれぞれ固定し、y切片をそれぞれ変数として、当該両関数をy軸に沿ってシフトし、前記第1強度割合の剛性割合よりも前記第2強度割合が大きく、且つ、前記第1強度割合と前記第2強度割合との差分が所定値以下となる条件を満たす第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とを算出するステップと、
    前記第2の剛性関数と第2の耐熱性関数とから前記構造物の強度必要部位の第2の板厚を算出し、前記第2の板厚に基づき前記解析処理と前記強度割合算出処理とを再実行するステップとを有することを特徴とするプログラム。
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