JP4743945B2 - 接続装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ICチップ及び液晶デバイス等の電極に接触して電気信号を入出力することによりこれらの半導体ICチップ及び液晶デバイス等の検査を行う接続装置の製造方法に関し、特に、高密度に集積された多数の電極を有する半導体ICチップ及び液晶デバイス等を検査可能な接続装置を精度良く効率的に製造できる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI(Large Scale Integrated Circuit:大規模集積回路)用の半導体素子は、1枚の半導体ウェハ上に多数形成された後、個々のチップに切り分けられ、夫々のチップがLSI用の半導体素子(チップ)として使用される。前記半導体素子の表面には、その周囲に沿って多数の電極、即ちコンタクトパッドが列設されている。このような半導体素子を工業的に多数生産し、その電気的性能を効率的に検査するために、図9に示すような相互接続装置が使用されている。この相互接続装置は、ブローブカード22とプローブカード22から斜めに突出したタングステン針からなるコンタクトブローブ23とにより構成されている。この相互接続装置による半導体素子24の検査においては、コンタクトプローブ23の撓みを利用してコンタクトプローブ23と半導体素子24との間に接触圧を印加し、コンタクトプローブ23に電極25をこすらせ、電極25の表面に自然に形成された酸化膜を除去することによりコンタクトプローブ23を電極25に電気的に接続し、半導体素子24の電気特性を検査している。
【0003】
近時、半導体素子の高集積化及び微細化に伴い、コンタクトパッドの多ピン狭ピッチ化が進むにつれ、コンタクトプローブの狭ピッチ化が要望されている。しかしながら、従来から使用されてきたタングステン針からなるコンタクトプローブでは、タングステン針の直径の微細化に限界があることから、多ピン化及び狭ピッチ化への対応は困難となっている。更に、タングステン針からなるコンタクトプローブはその長さが長いことからインダクタンスが大きく、高速信号での検査に限界がある。
【0004】
このため、半導体素子の電極とこれを検査するための検査回路との間で電気信号を伝送するための接続装置であって、高密度に集積された電極に簡便に接続できる接続装置の開発が望まれている。
【0005】
そこで近時、マイクロマシン技術を使用する極細コンタクトプロ一ブの製造方法が開発されている。極細コンタクトプローブにおいては、その先端部の高さ及び間隔を揃えることが重要である。仮に、コンタクトプローブの先端部に不揃いが生じると、このコンタクトプローブをLSIチップ及び液晶デバイス等の各電極に接触させる際にコンタクトプローブの一部が導通しない状態となり、接触精度が悪くなる。更に、シリコンウェハを使用して極細プローブを製造する場合、一連のシリコン加工プロセスへの適合性を考慮すると、使用するプロセスに合わせて使用する材料を最適化した効率的な製造方法が必要である。
【0006】
上述のような半導体素子の高密度化、狭ピッチ化に対応し、高速信号による動作試験にも対応可能な相互接続装置の製造方法が、特表平10−506238号公報、特開平7−283280号公報及び特開平8−50146号公報に開示されている。特表平10−506238号公報に開示されている技術は、互いに反対方向に突出するようにバネで付勢された2本の可動ピンを、チューブに出没自在に嵌め込んだ形状のプローブ、即ち、スプリングプローブを製造するものである。このスプリングブローブにおいては、このスプリングブローブの一端側の可動ピンを半導体素子等の検査対象物の電極に当接させ、他端側の可動ピンを測定回路側の基板に設けられた端子に当接させることにより検査を行う。また、この検査対象物に当接させる可動ピンを犠牲基板上において予備製造することにより、一括して電子コンポーネントに転移することを可能とする。
【0007】
また、特開平7−283280号公報に開示されている技術は、シリコンウェハからなる型材上に接触子を形成するための型となる穴を形成し、この型を使用して接触子、絶縁フィルム及び引き出し用配線を形成することにより、接続装置を製造するものである。
【0008】
更に、特開平8−50146号公報に開示されている技術は、シリコンウェハの異方性エッチングにより突起部を形成し、更に前記シリコンウェハをコの字型にエッチングすることにより片持ち梁を形成して接触子を形成し、この接触子に緩衝層及び配線基板を接着することにより、接続装置を製造するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特表平10−506238号公報に記載された技術には以下に示す問題点がある。この方法では犠牲基材として、アルミニウム基材若しくは薄い鋼箔、アルミニウム箔等の金属箔又はシリコンウェハを使用している。犠牲基材として前述の金属箔を使用する場合は、微細加工を行う際に犠牲基材のハンドリングが難しいという問題点がある。また、当然であるが、金属箔は一般的な半導体製造装置において微細加工を行うことができない。
【0010】
一方、犠牲基材としてシリコンウェハを使用する場合は、犠牲基板をプローブから剥離するために過大な時間がかかり、プローブの生産性を著しく低下させるという問題点がある。特表平10−506238号公報においては、犠牲基板としてシリコンウェハを使用し、犠牲基板上に形成する犠牲層としてアルミニウムを使用し、チタン層を前記シリコンウェハと前記アルミニウム層の間に介在させた例が示されている。このとき、チタン層は積極的に接着層の役割を果たすために使用している。この方法によれば、シリコンデバイスに適応した一般的な半導体製造装置によりプローブの微細加工を行うことができるが、犠牲層と犠牲基板との間の付着力及び犠牲層と形成されたプローブとの間の付着力が大きいため、犠牲層の溶解に過大な時間が必要となる。また、犠牲基板にシリコンウェハを使用し、犠牲層としてアルミニウム薄膜又は銅薄膜を使用する例も示されているが、この例においては、犠牲層の膜厚が数μm程度と薄く前記薄膜とシリコンウュハとの間の付着力が大きく、薄膜へのエッチング液の染み込みが悪くなってエッチング速度が遅くなり、その結果、犠牲層の溶解に相当の時間が必要となる。このように、特表平10−506238号公報において、前記犠牲層又は犠牲基材を短時間で効率的に除去できる技術は明らかになっていない。
【0011】
また、特表平10−506238号公報において、例えば、シリコンウェハを溶解するためには、溶解するための薬液としてフッ硝酢酸又は強アルカリ液が必要となる。フッ硝酢酸はフッ化水素酸、硝酸及び酢酸を1:2:1の割合で混合した混合液であり、強アルカリ液の例としては、水酸化カリウム、イソプロバノール及び水を含むエッチング液並びにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含むエッチング液がある。これらのエッチング液を使用する場合には、コンタクトプローブを支持する支持基板の材料が制限されるという問題点がある。例えば、溶解用の薬液としてフッ硝酢酸を使用する場合は、前記支持基板の材料としてシリコン、二酸化シリコン、ガラス及び耐酸性が弱い金属は使用できない。また、溶解用の薬液として強アルカリ液を使用する場合は、前記支持基板の材料としてシリコン、有機材料及び耐アルカリ性が弱い金属は使用できない。
【0012】
更に、特表平10−506238号公報において示されているマイクロマシン技術は、高精度な接触子を形成でき接触圧を低下させることも可能であるが、検査対象となる半導体素子の電極に接するコンタクトプローブは微小突起の表層に形成された薄膜の配線であるため、このコンタクトプローブの機械的強度が劣るという問題点がある。特に、例えばアルミニウム等の表面に酸化皮膜を有する金属により構成された電極への多数回の接触により、コンタクトプローブが容易に摩耗又は剥離するという問題点がある。このため、数十万回という従来のタングステン針による検査装置の寿命に比較して、この技術は信頼性の観点から実用化には困難が伴う。
【0013】
更にまた、特開平7−283280号公報に開示されている技術においても、特表平10−506238号公報において示されている技術と同様に、型材の分離に極めて長時間を要し、生産性が劣るという問題点がある。また、特開平8−50146号公報に開示されている技術においては、シリコンウェハからエッチングにより接触子を削り出す方法であるため、エッチングに時間を要し生産性が劣ると共に犠牲基板を使用する方法と比較して加工精度が劣るという問題点がある。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、先端部の高さ精度及び間隔精度が優れ、電極への多数回の接触に対する耐磨耗性及び信頼性が優れており長期間良好な接触性能を維持できる接続装置をマイクロマシン技術を使用して簡便に歩留まりよく製造でき、スループットを向上させることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る接続装置の製造方法は、検査対象と電気的に接触して電気信号を入出力するための接続装置の製造方法であって、シリコンからなる犠牲基板の表面に接触子を形成するための複数個の凹部を形成する工程と、前記凹部の内面を含む前記犠牲基板の表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、前記凹部内の前記二酸化シリコン膜の上に硬質の導電膜を形成して検査対象と電気的に接触し前記電気信号を入出力するための接触子を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜上における前記接触子に接続する位置に前記電気信号を導通するための引き出し配線を前記凹部を埋めてその表面が平坦になるように形成する工程と、前記接触子及び前記引き出し配線からなる先端構造の上にこの先端構造を支持するための支持基板を重ねて連結する工程と、前記二酸化シリコン膜を除去することによって前記先端構造を前記犠牲基板から分離する工程と、前記先端構造を支持する支持基板を配線基板上に搭載し前記配線基板上の配線と前記引き出し配線とを延長配線により接続する工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明においては、犠牲基板上に予め接触子及び引き出し配線からなる接続装置の先端構造(以下、先端構造という)を形成し、この先端構造を支持基板に連結したうえで前記先端構造から犠牲基板を分離することにより、前記犠牲基板上に形成した前記先端構造を支持基板に転写することができ、これにより、形状精度が高い接続装置を容易に製造でき、接続装置の製造コストを低減させることができる。また、このとき、前記犠牲基板上に二酸化シリコンよりなる犠牲層を形成し、この二酸化シリコン膜を溶解することにより、前記先端構造から前記犠牲基板を容易に分離することができ、接続装置を短時間で効率よく製造することが可能となる。更に、前記二酸化シリコン膜の厚さを400nm以上とすることにより、この効果が著しく増大する。
【0018】
また、前記二酸化シリコン膜を形成する工程の後に、白金、金、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、銅及び錫からなる群から選択された少なくとも1種の金属又はその合金からなる膜を形成する工程を有することができる。
【0019】
前記金属は二酸化シリコンとの付着力が低い金属である。例えば、白金等の貴金属は表層に酸化物を形成しにくいため二酸化シリコンとの付着力が低い。このため、これらの金属を二酸化シリコン膜と前記先端構造との間に配置することにより、先端構造と犠牲基板との分離工程において分離時間が短縮でき好ましい。即ち、先端構造と犠牲層との間に犠牲層に対して付着力が低い金属を配置することにより、犠牲層の溶解工程においてエッチング液の染み込み速度が加速され、犠牲基板と先端構造の分離に必要な時間が著しく短縮される。
【0020】
前記犠牲基板の表面に接触子を形成する工程は、前記犠牲基板の表面に前記接触子を形成するための凹部を形成する工程と、この凹部に硬質の導電膜を形成する工程と、を有することができ、前記凹部を形成する工程は、異方性エッチングにより行うことができる。
【0021】
IC製造工程と同じリソグラフィ技術により前記凹部を形成することにより、先端構造の形状の精度を向上させることができる。更に、異方性エッチングにより前記凹部を形成することにより、犠牲基板の表面に多数個の角錐形状又は角錐台形状の先端が尖った凹部をより精度よく形成することができ、形状が均一な接触子を形成することができる。
【0022】
本発明に係る他の接続装置の製造方法は、検査対象と電気的に接触して電気信号を入出力するための接続装置の製造方法であって、二酸化シリコンからなる犠牲基板の表面に接触子を形成するための複数個の凹部を形成する工程と、前記凹部内に硬質の導電膜を形成して検査対象と電気的に接触し前記電気信号を入出力するための接触子を形成する工程と、前記二酸化シリコン犠牲基板上における前記接触子に接続する位置に前記電気信号を導通するための引き出し配線を前記凹部を埋めてその表面が平坦になるように形成する工程と、前記接触子及び前記引き出し配線からなる先端構造をこの先端構造を支持するための支持基板に連結する工程と、前記犠牲基板の一部又は全部を除去することによって前記先端構造を前記犠牲基板から分離する工程と、前記先端構造を支持する支持基板を配線基板上に搭載し前記配線基板上の配線と前記引き出し配線とを延長配線により接続する工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の製造方法により製造される接続装置は、検査対象と電気的に接触して電気信号を入出力するための接続装置であって、検査対象と電気的に接触し前記電気信号を入出力するための接触子であって前記検査対象に接触する部分が硬質の導電性材料で覆われている接触子と、この接触子に接続され前記電気信号を導通するための引き出し配線と、前記接触子及び前記引き出し配線を支持するための支持基板と、前記支持基板を支持し前記引き出し配線に接続され前記電気信号を導通するための配線基板と、この配線基板と前記支持基板との間に配置され前記接触子に印加される外力を緩衝するための緩衝層と、を有することを特徴とする。
【0024】
これにより、接触子における検査対象に接触する部分を硬質の導電性材料で覆うことにより、接触子の耐磨耗性及び信頼性を向上させることができる。また、支持基板と配線基板との間に緩衝層を設けることにより、電極と接触子との間隔のばらつきを吸収することができる。また、接触対象である電極に多少の段差があっても、接続装置はこれらの電極に安定して接触することができる。
【0025】
また、前記硬質の導電性材料は、タングステン若しくはその合金又はダイヤモンド若しくはダイヤモンドライクカーボン(DLC)であることが好ましい。
【0026】
従来技術の項において述べたように、タングステンは従来からコンタクトブローブ用の材料として広く使用され、導電性が良好で耐摩耗性が高い材料であるため接触子の先端材料として好ましい。また、ダイヤモンド及びDLCは薄膜硬質材料の中でも極めて高い硬度を有し、接触子の耐磨耗性及び耐変形性を向上させることができる。更に、ダイヤモンド及びDLCは特に摩擦係数が低く、接触子が直接電極の表面酸化層を削る場合においても接触子が電極上をスムーズに移動できるため、ある接触子の引っ掛かりによって他の端子の電極への接触に必要な接触圧が増加し接触に支障をきたすことが起こりにくい。
【0027】
更に、前記支持基板は、シリコン又はセラミックにより形成されていることが好ましい。
【0028】
これにより、検査対象がシリコンにより形成されている半導体素子である場合は、この半導体素子と前記支持基板との間の線膨張率の差が小さくなるため、測定時の温度に起因するコンタクトプローブの位置と半導体素子の電極の位置との間の変位が少ない接続装置が実現でき、測定時の温度によらず安定して検査を行うことができる。例えば、ウェハ状態でも高温で容易に検査可能である。同様に、セラミックもシリコンに対して線膨張率の差が少なく、好適な材料である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本実施例のコンタクトプロ一ブの製造方法について説明する。図1(a)乃至(d)、図2(a)乃至(e)、図3(a)乃至(d)、図4(a)及び(b)並びに図5は、本実施例における接続装置の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【0030】
先ず、図1(a)に示すように、犠牲基板1として、単結晶シリコンウェハ基板を用意し、この単結晶シリコンウェハ基板の(100)面に、熱酸化により厚さ0.1μmの二酸化シリコン膜2を形成する。熱酸化は、例えば酸化温度を1000℃としたウェット酸素中にて100分間保持することにより行う。
【0031】
次に、図1(b)に示すように、二酸化シリコン膜2の表面に、東京応化工業製のTSMR8900を厚さ1μmに塗布し、次いで、後の工程において接触子を形成する予定の領域に、一辺が約10乃至40μmの正方形のコンタクトパターンを露光し現像液により現像することにより、前記領域に開口部4を有するフォトレジスト3を形成する。次に、二酸化シリコン膜2及びフォトレジスト3を備えた犠牲基板1をフッ化水素酸とフッ化アンモニウム液とを1:7に混合した混合液に浸潰し、フォトレジスト3をマスクとして二酸化シリコン膜2をエッチングし、二酸化シリコン膜2によるマスクを形成する。
【0032】
次に、図1(c)に示すように、フォトレジスト3を除去し、二酸化シリコン膜2をマスクとして犠牲基板1の(100)面に異方性エッチングを施し、四角錐状の形状を有するモールド5(鋳型)を形成する。犠牲基板1のエッチングは、例えば、水酸化カリウム、イソプロバノール及び水を含むエッチング液又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含むエッチング液に犠牲基板1を浸債することにより行う。
【0033】
次に、図1(d)に示すように、二酸化シリコン膜2を全面エッチングし除去する。
【0034】
次に、図2(a)に示すように、犠牲基板1の全面に二酸化シリコン膜からなる犠牲層6を形成する。犠牲層6の成膜はウェット酸化により、5時間で600nmの厚さまで成膜する。
【0035】
ここで、犠牲層6の膜厚の限定理由について説明する。図7は、犠牲基板1の表面に形成される犠牲層6の膜厚と、犠牲基板1と犠牲基板1上に形成された先端構造との分離に要する時間との関係を示すグラフ図である。前述の如く本実施例においては、犠牲基板1の表層に二酸化シリコンからなる犠牲層6を形成することにより、後に示す工程において、犠牲層6の上に接触子及び引き出し配線からなる接続装置の先端構造を形成した後、前記先端構造から犠牲基板1を分離する際に、犠牲層6を溶解することにより容易に分離できるようにする。
【0036】
この理由は、平面上の二酸化シリコンにおけるフッ酸によるエッチング速度は通常約120nm/分であるが、二酸化シリコン膜(犠牲層6)が犠牲基板1及び前記先端構造により両側から挟まれている場合には、エッチング液が犠牲層6に浸透しにくくなり、犠牲層6が溶解され前記先端構造から犠牲基板1が分離する時間が犠牲層6の膜厚及び面積に大きく依存するからである。図7に示すように、本実施例の条件においては、前記先端構造から犠牲基板1が分離する時間は二酸化シリコン膜の膜厚に指数関数的に依存し、二酸化シリコンの膜厚が厚いほど分離時間は短くなる。分離時間の観点からは犠牲層6は厚ければ厚いほど好ましいが、犠牲層6の成膜時間とモールド5の深さを考慮すると、犠牲層6の膜厚は400nm乃至10μmの範囲が適当であり、少なくとも400nm以上であることが好ましく、600nm以上であることがより好ましい。なお、エッチング液への超音波の印加は前記エッチング速度を増加させる効果があるが、犠牲層6の膜厚による影響が圧倒的に大きいため、犠牲層6の薄膜化を超音波の印加により補うことは困難である。
【0037】
犠牲層6を形成した後、図2(b)に示すように、犠牲層6の表面に接触子の先端部を形成するタングステン膜7を成膜する。タングステン膜7はスパッタリング法により形成し、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィーにて形成したマスク(フォトレジスト8)を利用して6弗化硫黄のプラズマによるドライエッチングによってタングステン膜7のパターンを形成する。
【0038】
次に、図2(d)に示すように、フォトレジスト8を酸素プラズマによりアッシングするか又は剥離液によって剥離しフォトレジスト8を除去する。
【0039】
次に、図2(e)に示すように、後の工程で金めっき膜を成膜するために必要であると共に、犠牲層6の溶解を促進させるためのシード層9をスパッタリング法により形成する。本実施例では、白金を厚さ200nmまで成膜する。白金は表面に酸化膜を形成しにくい貴金属であるため、二酸化シリコンとの付着力が低い。
【0040】
本実施例においては、犠牲層6上に二酸化シリコン膜との付着力が低い金属からなるシード層9を配置し、微細構造形成の妨げにならない程度に積極的に犠牲層6と犠牲層6の上に形成される先端構造との間の付着力を下げることにより、後の工程において前記先端構造から犠牲基板1を剥離する際に、犠牲層6へのエッチング液の染み込みを加速することができる。その結果、犠牲層6の溶解が促進され、先端構造と犠牲基板1との分離に要する時間が短縮される。この目的のためには、犠牲層6上に形成する金属膜として一般的に貴金属が有効である。その理由は、貴金属は電気化学的に安定で酸化物を形成しにくく二酸化シリコンとの付着力が低いためである。白金以外の貴金属としては金、銀、イリジウム、パラジウム、ルテニウム及びロジウムがある。
【0041】
これらの貴金属と二酸化シリコンとの間の付着力について説明する。付着力の測定方法のひとつに、鋭利な先端を備えた針を測定対象となる金属膜に当接し、この針に荷重を加え、前記金属膜に傷が発生するときの荷重を測定することにより前記金属膜と下地との間の付着力を判断する引っかき法がある。この引っかき法において、白金の二酸化シリコンに対する付着力は1gであった。同様に、金は2g、銀は5gであった。一方、アルミニウム、チタン及びクロムは酸化しやすく二酸化シリコンとの付着力が高い。前記測定方法において、アルミニウムは70g、チタン及びクロムは500g以上の荷重が必要であり、犠牲層6上に形成する金属膜の材料としては適さないことが明らかとなった。二酸化シリコンに対する付着力が弱い貴金属以外の金属として、銅及び錫がある。これらの付着力の弱い金属又はその合金は、貴金属と同様の効果を発揮するため、本工程において犠牲層6上に形成する金属膜の材料として使用することができる。
【0042】
シード層9を形成後、図3(a)に示すように、金めっき膜11のフレームパターンとして、シード層9上にフォトレジスト10を形成する。そして、電解めっき法により厚さ20乃至50μmの金めっき膜11を成膜する。このとき、電解めっき法の替わりに無電界めっき法により金めっき膜11を成膜しても、得られる効果は同じである。電解めっきは、液温は55乃至70℃、電流は0.5A/dm2の条件で、めっき液を攪拌しながら行う。
【0043】
めっき成膜後、図3(b)に示すように、フォトレジスト10を剥離し、金めっき膜11の表面を、アルゴンプラズマを使用するドライエッチング法によってエッチバックすることにより、金めっき膜11をマスクとしてシード層9をエッチングし除去する。これにより、タングステン膜7、シード層9及び金めっき膜11から構成される接触子12及び引き出し配線13が形成される。接触子12及び引き出し配線13は、接続装置の先端構造14を構成する。
【0044】
次に、図3(c)に示すように、シリコンウェハからなる支持基板16の表面に被覆されたポリイミドからなる支持層15に、先端構造14を接着する。
【0045】
次に、図3(d)に示すように、犠牲基板1及び先端構造14を支持層15及び支持基板16に接着した接合体をエッチング液に浸し、犠牲層6を溶解する。犠牲層6は二酸化シリコン膜であるため、フッ化水素酸とフッ化アンモニウム液とを1:7で混合した混合液に前記接合体を浸潰してエッチングする。このとき、エッチング液に超音波を印加することによって、犠牲層6の溶解時間を短縮することができる。
【0046】
なお、犠牲層6として二酸化シリコン膜を使用した場合には、その溶解時間は接着面積によっても異なるが、この二酸化シリコン膜の膜厚が例えば600nmである場合には、大きさが1.5cm角の前記接合体において、溶解時間は3乃至24時間であった。同様に、犠牲層6としてイリジウムを使用した場合もほぼ同じ溶解時間であった。また、犠牲層6を構成する二酸化シリコン膜と白金膜により構成されるシード層9との間に窒化タンタル膜を挿入した場合は、前記窒化タンタル膜は二酸化シリコン膜と白金膜との接着層として働くため、白金膜の付着力が大きくなり、溶解にかかる時間は240乃至336時間となり、実用に適さなかった。更に、犠牲層6をチタン又はクロムにより構成した場合も、溶解に極めて長い時間を要した。
【0047】
また、請求項6に記載したように、犠牲基板1自体に二酸化シリコン又はそれに類するガラス材料を使用することで、上記作用と同様に弗化水素酸と弗化アンモニウムとの混合液により犠牲基板1全体を溶解させることができる。この方法によれば、安価な材料で高価な単結晶シリコンウェハを使用する場合と同様な効果が期待できる利点の他に、犠牲基板1全体を溶解するようにすれば、犠牲基板1と犠牲基板1上に形成される薄膜との密着力に依存せずに犠牲基板1を溶解できるため、犠牲基板1上に窒化タンタル等の密着層を形成しても実用的な時間内に犠牲基板1の溶解を行うことができる。また、犠牲基板1を薄く研磨することにより、溶解時間を短縮することも可能となる。なお、このように犠牲基板1にガラス類を使用する場合には、突起部(接触子12)を形成するための犠牲基板1への凹部(モールド5)の形成には、前記弗化アンモニウム混合液によるエッチング及びプラズマドライエッチング等の方法を利用することができる。
【0048】
上述の工程を経て、図4(a)に示すように、先端が尖った形状の突起を有する接触子12が形成される。また、このとき、支持基材16は接触子12の近傍にて切断され、接触子12の直上とその周辺に相当する部分を除いて取り除かれる。
【0049】
次に、図4(b)に示すように、シリコンゴムにより構成される緩衝層17を支持基板16に接着し、更に緩衝層17を配線基板18に接着する。即ち、支持基板16と配線基板18との間にシリコンゴムを挟み込み一体化させることにより、シリコンゴムは緩衝層17として働く。そして、支持基板16の端部よりはみ出した支持層15及び引き出し配線13を滑らかに折り曲げて、配線基板18に接着する。このとき、支持基板16、緩衝層17及び配線基板18の接着は、シリコンゴム自体に接着力があるため接着剤を必要としない。なお、接着剤を使用して接着するようにしてもよい。本実施例では、緩衝層17として、例えば厚さが0.2乃至3mmで、硬さ(JISA)が約15乃至70のシリコンゴムを使用する。但し、緩衝層17を構成する材料は前記シリコンゴムに限定されず、緩衝材となりうる有機系のフィルム等でもよい。
【0050】
次に、図5に示すように、引き出し配線13の端部に位置する引き出し電極(図示せず)を、配線基板18上の接続端子19に延長配線20により接続する。
これにより、図5に示すような接続装置21を形成することができる。
【0051】
次に、本実施例の接続装置21の構造について説明する。図5は、本実施例の接続装置21の構成を示す断面図であり、図6は、図5に示す接続装置21を先端構造14側からみた平面図である。
【0052】
本実施例のコンタクトブローブ21は、図5に示すように、配線基板18の表面に緩衝層17が接合され、緩衝層17の表面に支持基板16が接合され、支持基板16の表面に支持層15が配置され、支持層15の表面に先端構造14が配置されている。配線基板18の緩衝層17が接合されている側の表面には接続端子19が配置され、接続端子19は延長配線20を介して先端構造14に接続されている。また、先端構造14は、測定対象となる半導体素子等の電極に接触する接触子12と一端が接触子12に接続され他端が延長配線20に接続されている引き出し配線13とから構成されている。
【0053】
配線基板18は、緩衝層17、支持基板16、支持層15及び先端構造14を支持し、先端構造14を外部の装置に電気的に接続するためのものであって、例えば、ボリイミド、ガラスエポキシ等の樹脂材料からなり、その表面には先端構造14の引き出し配線13と接続するための接続端子19が設けられ、また、内部配線等(図示せず)を有している。
【0054】
緩衝層17は、接触子12に印加される外力を緩和し、接触子12が安定して測定対象物の電極に接触できるようにするためのものであって、配線基板18と支持基板16との間に配置され、本実施例においてはシリコンゴムにより構成されている。
【0055】
支持基板16は支持層15及び先端構造14を支持するためのものであって、緩衝層17と支持層15の間に配置されている。本実施例においては、支持基板16はシリコンウェハにより構成されている。支持基板16及び緩衝層17は、接触子12の近傍にのみ配置されている。これにより、接触子12を支持層15、支持基板16及び緩衝層17の厚さを合計した分だけ配線基板18の表面から突出させている。
【0056】
支持層15は先端構造14を支持するためのものであって、ポリイミドにより形成され、支持層15の一部は支持基板16上に搭載され残部は支持基板16上からはみ出している。このはみ出した部分は緩やかに湾曲し、配線基板18に連結されている。
【0057】
接触子12は測定対象物の電極に接触しこの電極との間で電気信号を入出力するためのものであって、支持層15上に配置されている。接触子12は、四角錐状の形状の突起部を有し、表面がタングステン膜7で覆われ、タングステン膜7の下には白金膜(シード層9)が設けられ、この白金膜の下には金めっき膜11が設けられている。
【0058】
引き出し配線13は接触子12により入出力される電気信号を延長配線20及び接続端子19を介して配線基板18に導通させるためのものであって、支持層15上に配置され、金めっき膜11と金めっき膜11の表面を覆うように形成された白金膜(シード層9)とから構成されている。引き出し配線13の一端は接触子12と一体化し電気的に接続され、他端は前述の支持層15と配線基板18との連結部における引き出し配線13の端部に設けられた引き出し電極(図示せず)において延長配線20に接続されている。
【0059】
延長配線20は、引き出し配線13を接続端子19に接続するためのものであって、引き出し用延長配線又は絶縁フィルム上に設けられた引き出し用延長配線により構成されている。また、延長配線20は、先端構造14の外側で滑らかに折り曲げられて、一端が先端構造14の綾部に固定され引き出し配線13の端部に設けられた引き出し電極(図示せず)に接続され、他端が配線基板18上に固定され接続端子19に接続されている。延長配線20と引き出し電極及び接続端子19との接続は、例えば、はんだを使用して行われている。なお、これらの接続はワイヤボンディングにより行ってもよい。
【0060】
また、本実施例のおける接続装置21と検査対象物を変位自在に支持する試料支持系とによりプローブ系を構成し、このプローブ系と前記試料支持系において検査対象物の変位駆動を制御する駆動制御系及び前記プローブ系と接続されて検査を行うテスタとにより、多数の電極が配置された検査対象物の各電極に対する接触装置を構成することができる。
【0061】
本実施例の製造方法によれば、犠牲基板1による予備製造工程を有することにより、測定対象物である半導体素子等の各電極に接触する接触子12を有する接続装置21を、容易に歩留まり良く形成することができる。本実施例の方法によれば、前記電極のピッチが10μm程度であっても、これに対応する先端構造14を形成することが可能となる。
【0062】
また、図2(a)に示す工程において、所定の膜厚を有する犠牲層6を犠牲基板1の表層に設けることにより、先端構造14から犠牲基板1を分離する工程において、分離に要する時間を短縮することが可能となり、接続装置21を効率よく製造することができる。
【0063】
更に、図2(e)に示す工程において、犠牲層6上に白金からなるシード層9を設けることにより、前記分離時間を更に短縮することができる。
【0064】
更にまた、図1(c)に示すような犠牲基板1上に接触子12を形成するためのモールド5を形成する工程において、異方性エッチングによりモールド5を形成することにより、複数の接触子12の高さを揃えることができる。本実施例においては、接触子12の高さの精度として、±0.2μm以内の精度を達成できる。
【0065】
更にまた、異方性エッチングによりモールド5を形成することにより、接触子12の形状を先端が尖った角錐状の形状とすることができる。一般に、測定対象物の電極を構成する金属がアルミニウム等の表面に酸化膜を形成しやすい金属である場合、電極表面に酸化膜が形成されていて、接触時の電気抵抗値が不安定となる。しかしながら、本実施例の接続装置21のように、接触子12の形状を先端が尖った角錐状の形状とし、表層に硬質なタングステン膜を形成することによって、この接触抵抗の不安定性を解消することができる。即ち、接触子12によるアルミニウム電極への接触において、先ず硬度の高いタングステン膜が被覆された突起部によりアルミニウム電極表面の酸化層が除去され、次に突起部がアルミニウム電極へ食い込むことにより表面酸化層が除去された部分へ接触することができる。本実施例の接続装置21の場合、1個の接触子12当たり5mN以上の荷重となる接触圧が印加されれば、単に接続装置21を押圧するだけで安定した接触抵抗で接触子12を介して測定対象物に通電を行うことができる。従って、接続装置21は低針圧で電極に接触すればよいため、半導体素子の電極及びその直下にある素子に損傷を与えることが防止できる。また、接触子12の表層に硬質のタングステン膜が形成されているため、本実施例の接続装置21は耐磨耗性及び耐久性が優れている。
【0066】
更にまた、図3(a)に示した工程において、金めっき膜11を成膜する際に、先端構造14間において金めっき膜11の膜厚にばらつきが発生した場合においても、図3(c)に示した工程において、犠牲基板1上に形成された先端構造14を支持層15に接着剤層(図示せず)を介して接着することにより、前記膜厚のばらつきを前記接着剤層により容易に吸収することができる。このため、各先端構造における接触子12の突起先端部は必ず同一平面上に配置される。
【0067】
更にまた、本実施例の接続装置21は、配線基板18と支持基板6との間に柔軟なシリコンゴムにより形成された緩衝層7を有するため、個々の接触子12に印加される外力を緩和でき、半導体素子における電極の凹凸の影響を吸収することができる。これにより、半導体素子の電極の高さにばらつきがあっても、この電極と接触子12との間において安定した接触を得ることができる。また、支持層15をポリイミド等の柔軟な素材により構成することにより、前記効果を更に向上させることができる。
【0068】
更にまた、図3(c)に示した工程において、先端構造14から犠牲基板1を分離する際に、シリコンからなる犠牲基板1ではなく二酸化シリコンからなる犠牲層6を溶解するため、この溶解工程において、エッチング液がシリコンからなる支持基板16に与える損傷を極めて小さくすることができる。
【0069】
更にまた、接続装置21が図5に示すような構造を持つことにより、接触子12が配線基板18の表面より支持層15、支持基板16及び緩衝層7の合計厚さ分だけ突出する。これにより、接触子12を電極に接触させ押し込みを行う際に接触子又は半導体素子より発生する金属片等のゴミを、次回測定時に半導体素子と接続装置21の各部との間に挟み込むことを極力回避することができる。
【0070】
次に、本実施例の変形例について説明する。前記本実施例においては、図2(b)乃至(d)に示す工程において、接触子12の表面を覆う硬質の導電性皮膜としてタングステン膜7を形成する例を示した。本変形例においては、タングステン膜7の替わりにダイヤモンド又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)により硬質の導電性皮膜を形成する例を示す。
【0071】
本変形例の製造方法において、図1(a)乃至(d)及び図2(a)に示す工程は、前記実施例と同じである。図2(b)に示す工程において、タングステン膜7の替わりにダイヤモンド又はDLCからなる膜を形成する。ダイヤモンド膜は、メタン、水素及びジボランを原料ガスとしてマイクロ波プラズマCVD法により成膜する。ダイヤモンド膜の成膜条件は、例えば、原料ガスとしてメタン0.5体積%、水素99。5体積%からなるガスにジボランを0.1体積ppm添加したガスを使用し、基板温度を800℃、圧力を8KPaとし、12時間の合成で1μmの厚さに成膜する。成膜条件の範囲として、メタン濃度は0.3乃至2体積%、ジボラン濃度は0.1乃至10体積ppm、基板温度は600乃至950℃、圧力は4乃至8KPaの条件において成膜が可能である。また、ダイヤモンド膜の膜厚はモールド5の深さに合わせて1乃至5μmの範囲で適宜変更する。一方、DLC膜は直流スパッタリング法により成膜する。その後の工程は、図2(c)以降に示した前記本実施例の製造方法と同じである。
【0072】
本変形例によれば、接触子の表面がタングステン膜ではなくダイヤモンド膜又はDLC膜により被覆された接続装置を得ることができる。これにより、接触子が電極に接触する際の摩擦力を減少させることができる。なお、本変形例の接続装置における前記接触子の表層部分以外の構成は、前記本実施例の接続装置21と同一である。
【0073】
次に、本実施例における他の変形例について説明する。図8は、本変形例における接続装置21aの構成を示す断面図である。接続装置21aにおける先端構造14aは、複数の接触子12aを備えている。各接触子12aは引き出し配線13に接続されている。
【0074】
本変形例の製造方法においては、前記実施例における図1(b)に示す工程において、フォトレジスト3の開口部4を複数個設けることにより、図1(c)に示す工程においてモールド5を複数個形成し、接触子12aを複数個形成することである。
【0075】
本変形例においては、接触子12aを複数個形成することにより、接触子12aと接触対象物との接触確率が高まり、信頼性が向上する。また、荷重が各接触子12aに分散するため、接続装置21aの耐久性が向上する。なお、本変形例においても、各接触子12aの表層に形成される硬質膜の種類を、タングステン膜に替えてダイヤモンド膜又はDLC膜としてもよい。
【0076】
なお、本実施例においては、接触子12又は12aの形状を四角錐としたが、本発明においては、接触子の形状はこれに限らず、例えば、四角錐台としてもよい。接触子12又は12aの形状を四角台錐とすることにより、接触対象物との実効的な接触面積が大きくなりコンタクト抵抗が減少する。また、接触子12又は12aと接触対象物との接触圧が減少するため、接触子及び接触対象物が破損する可能性を低減できる。更に、接触子の形状は、異方性エッチングにおけるエッチング液の成分比、液温及びエッチング時間等を適宜設定することにより変化させることができる。例えば、八角錐又は八角錐台等他の形状とすることができる。
【0077】
また、本実施例においては、支持基板16はシリコンにより形成したが、本発明においては、セラミック等他の材料により構成してもよい。
【0078】
更に、本実施例においては、緩衝層7をシリコンゴムにより形成したが、本発明においてはシリコンゴムに限らず他の材料を選択してもよい。緩衝層7の弾性率を適宜選択することにより、接触子12の接触圧を接触子12と半導体素子の電極との間の電気的接続がとれ、且つ前記電極及びその直下の能動素子に損傷を与えない適度な値に調整することが可能である。
【0079】
更にまた、本実施例においては接触子12と引き出し配線13とを同時に形成したが、本発明においては、これらを別々に形成することも可能である。
【0080】
更にまた、本実施例においては図2(e)に示す工程において、シード層9を白金により形成したが、本発明においてはシード層9は白金に限らず、金、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウム若しくはルテニウム等の貴金属又は銅若しくは錫により形成することができる。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、先端部の高さ精度及び間隔精度が優れ、電極への多数回の接触に対する耐磨耗性及び信頼性が優れており長期間良好な接触性能を維持できる接続装置を得ることができる。また、表面に犠牲層を設けた犠牲基板上において先端構造を形成した後、前記犠牲層を溶解することにより前記犠牲基板を前記先端構造から短時間で分離する工程を設けることにより、この接続装置をシリコンウェハ上でシリコンプロセスを適用して簡便に歩留まりよく製造できる。また、エッチング液による接続装置へのダメージを低減できる最適な材料と製造方法を得ることができる。なお、本発明の接続装置の製造方法及びこの製造方法により製造される接続装置は、接触対象物が半導体素子に限定されず、単なる対向する電極の接触装置への適用においても有効であり、前記電極の狭ピッチ化及び多ピン化に対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(d)は、本発明の実施例における接続装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】(a)乃至(e)は、この実施例における接続装置の製造方法における図1の次の工程を工程順に示す断面図である。
【図3】(a)乃至(d)は、この実施例における接続装置の製造方法における図2の次の工程を工程順に示す断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、この実施例における接続装置の製造方法における図3の次の工程を工程順に示す断面図である。
【図5】この実施例における接続装置の製造方法における図4の次の工程を工程順に示す断面図である。
【図6】図5に示した本発明の実施例における接続装置の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の実施例において、犠牲基板1の表面に形成される犠牲層6の膜厚と、犠牲基板1と先端構造14との分離に要する時間との関係を示すグラフ図である。
【図8】本発明の実施例の変形例における接続装置の構成を示す断面図である。
【図9】従来の接続装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1;犠牲基板
2;二酸化シリコン膜
3;フォトレジスト
4;開口部
5;モールド
6;犠牲層
7;タングステン膜
8;フォトレジスト
9;シード層
10;フォトレジスト
11;金めっき膜
12、12a;接触子
13;引き出し配線
14、14a;先端構造
15;支持層
16;支持基板
17;緩衝層
18;配線基板
19;接続端子
20;延長配線
21、21a;接続装置
22;プローブカード
23;プローブ
24;半導体素子
25;電極

Claims (6)

  1. 検査対象と電気的に接触して電気信号を入出力するための接続装置の製造方法であって、シリコンからなる犠牲基板の表面に接触子を形成するための複数個の凹部を形成する工程と、前記凹部の内面を含む前記犠牲基板の表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、前記凹部内の前記二酸化シリコン膜の上に硬質の導電膜を形成して検査対象と電気的に接触し前記電気信号を入出力するための複数個の接触子を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜上における複数個の前記接触子に接続する位置に前記電気信号を導通するための引き出し配線を前記凹部を埋めてその表面が平坦になるように形成する工程と、前記接触子及び前記引き出し配線からなる先端構造の上にこの先端構造を支持するための支持基板を重ねて連結する工程と、前記二酸化シリコン膜を除去することによって前記先端構造を前記犠牲基板から分離する工程と、前記先端構造を支持する支持基板を配線基板上に搭載し前記配線基板上の配線と前記引き出し配線とを延長配線により接続する工程と、を有することを特徴とする接続装置の製造方法。
  2. 前記二酸化シリコン膜は厚さ400nm以上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の接続装置の製造方法。
  3. 前記接触子を形成する工程と、前記引き出し配線を形成する工程との間に、白金、金、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、銅及び錫からなる群から選択された少なくとも1種の金属又はその合金からなる膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置の製造方法。
  4. 前記犠牲基板の表面に前記接触子を形成するための凹部を形成する工程は、異方性エッチングにより行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の接続装置の製造方法。
  5. 検査対象と電気的に接触して電気信号を入出力するための接続装置の製造方法であって、二酸化シリコンからなる犠牲基板の表面に接触子を形成するための複数個の凹部を形成する工程と、前記凹部内に硬質の導電膜を形成して検査対象と電気的に接触し前記電気信号を入出力するための複数個の接触子を形成する工程と、前記二酸化シリコン犠牲基板上における複数個の前記接触子に接続する位置に前記電気信号を導通するための引き出し配線を前記凹部を埋めてその表面が平坦になるように形成する工程と、前記接触子及び前記引き出し配線からなる先端構造をこの先端構造を支持するための支持基板に連結する工程と、前記犠牲基板の一部又は全部を除去することによって前記先端構造を前記犠牲基板から分離する工程と、前記先端構造を支持する支持基板を配線基板上に搭載し前記配線基板上の配線と前記引き出し配線とを延長配線により接続する工程と、を有することを特徴とする接続装置の製造方法。
  6. 前記接触子を形成する工程と、前記引き出し配線を形成する工程との間に、白金、金、銀、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、銅及び錫からなる群から選択された少なくとも1種の金属又はその合金からなる膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項に記載の接続装置の製造方法。
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