JP2009300079A - コンタクトプローブ及びプローブカード - Google Patents

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Abstract

【課題】検査対象物の電極パッドが狭ピッチで配置される場合であっても、複数のコンタクト部は狭ピッチで配置させたまま、ビーム部の剛性を上げて、各コンタクト部が十分な押圧力により検査対象物へ確実に接触できるようにする。
【解決手段】片持ち梁構造を有するビーム部31と、互いに絶縁され、ビーム部31上で固定端から自由端に向かって延びる2以上の配線33と、ビーム部31の自由端付近に形成され、配線33にそれぞれ接続された2以上のコンタクト部2とを備える。複数のコンタクト部2を1つのビーム部31に設けることにより、ビーム部31の剛性を上げて、各コンタクト部2の検査対象物への押圧力を向上させる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、片持ち梁構造を有するコンタクトプローブ及びこのコンタクトプローブを備えるプローブカードに関する。さらに詳しくは、所定の押圧力により確実に検査対象物に接触させることができるコンタクトプローブ及びこのコンタクトプローブを備えるプローブカードに関する。
半導体集積回路の電極パッドなどの検査対象物の電気的特性を検査するために用いられるプローブカードは、複数のコンタクトプローブ(接触探針)を備えている。複数のコンタクトプローブは、電極パッドの数およびピッチに対応して基板上に固定され、これらコンタクトプローブを電極パッドに接触させることにより、電気信号を取出すことができる。
半導体ウエハ上のデバイスの電気的特性を検査する時は、コンタクトプローブを半導体ウエハ上の電極パッドに接触させた後、コンタクトプローブを更に半導体ウエハ側に押し付ける動作であるオーバードライブを行って、すべてのコンタクトプローブをそれぞれ電極パッドに確実に接触させる。
上記コンタクトプローブとしては、一端が基板に固定され、他端が自由端となる弾性変形可能な片持ち梁構造のビーム部と、このビーム部の自由端側に形成されたコンタクト部とを有するものがある(例えば特許文献1参照)。このようなコンタクトプローブは、一般に、ビーム部が基板の主面と平行に延びた状態で配置され、このビーム部の固定端側に略直角に屈曲した部分が形成されている。そして、この種のコンタクトプローブは、コンタクト部を半導体ウエハ側に押し付けて、ビーム部を弾性変形させる。
ところで、半導体デバイスは、フォトリソグラフィ技術などの進歩による微細加工精度の著しい向上によって高集積化されてきた。その結果、半導体デバイスは、そのチップ面積に対する電極パッド数が飛躍的に増大し、最近では、千個を越える電極パッドが数ミリ角の半導体チップ上に狭ピッチで配置されるようになってきた。このような半導体チップについて電気的特性試験を行うためには、電極パッドと同様のピッチでコンタクトプローブを配置させたプローブカードが必要となる。そこで、上記した特許文献1にも開示されているように、半導体デバイスと同様のフォトリソグラフィ技術を利用して、コンタクトプローブを製造する技術が種々提案されている。
特許文献1には、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて形成された積層体からなるコンタクトプローブが開示されている。このコンタクトプローブは、プローブ基板に垂直な方向、すなわち、コンタクトプローブの高さ方向に積層された複数のめっき層によって構成される。各めっき層は、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングされており、2次元形状の異なるめっき層を順に積層していくことによって、3次元形状のコンタクトプローブを形成することができる。このようにして形成された片持ち梁構造のコンタクトプローブは、ビーム部の固定端側を略直角に屈曲させた形状となる。
特開2001−91539号公報の図7(A)〜図10(O)
従来のコンタクトプローブは、ビーム部の固定端側を略直角に屈曲させた形状を有しており、弾性変形時には、この屈曲部付近に応力の集中が発生することからコンタクトプローブの針圧を増大させることが容易ではないという問題があった。さらに、検査対象物の電極パッドの位置に合わせて狭ピッチでコンタクトプローブを配置させる場合には、ビーム部は幅を狭くして形成する必要がある。このように幅の狭いビーム部は所定の剛性が得られず、コンタクト部を所定の押圧力で検査対象物に接触させることができず、確実に検査が行えない場合が生じていた。
また、上記のようにビーム部の固定側に屈曲部分を有し、かつ、幅の狭いコンタクトプローブは、剛性が弱いので検査対象物に対し所定の押圧力を得るためには大きなオーバードライブ量で弾性変形をさせなければならない。しかしながら、オーバードライブ量が大きくなると、上記屈曲部分が検査対象物に接触する問題が生じる。このように十分なオーバードライブ量が得られない場合には、コンタクトプローブを検査対象物へ確実に接触させるための十分な押圧力が得られないことになる。
さらに、狭ピッチでコンタクトプローブを基板上に配置させる場合、ビーム部の幅が狭くなるようにコンタクトプローブを形成しなければならない。そのため、MEMS技術を用いて所定の高さを有するビーム部を形成する際、フォトレジストのパターニング処理が困難となる問題もあった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、検査対象物の電極パッドが狭ピッチで配置される場合であっても、複数のコンタクト部は狭ピッチで配置させたまま、ビーム部の剛性を上げて、各コンタクト部が十分な押圧力により検査対象物へ確実に接触できるコンタクトプローブ及びプローブカードを提供することを目的とする。
第1の本発明によるコンタクトプローブは、片持ち梁構造を有するビーム部と、互いに絶縁され、上記ビーム部上で固定端から自由端に向かって延びる2以上の配線と、上記ビーム部の自由端付近に形成され、上記配線にそれぞれ接続された2以上のコンタクト部とを備えるように構成されている。
本発明のコンタクトプローブによれば、1つの上記ビーム部上に複数の上記コンタクト部及び上記配線を形成するので、上記ビーム部の剛性を上げることができる。その結果、上記コンタクト部のピッチが狭くなっても、上記ビーム部の剛性を上げることができるので、上記各コンタクト部の検査対象物に対する押圧力が十分得られ、上記コンタクト部を検査対象物に確実に接触させることができる。
さらに、上記配線は、上記ビーム部上に互いに絶縁された状態で形成されるので、配線はそれぞれ電気的に分離され、各コンタクト部により確実に検査対象物の検査を行うことができる。
また、本発明のコンタクトプローブは、従来のコンタクトプローブのビーム部の幅よりも大きくなるように本発明に係る上記ビーム部を形成することができる。その結果、本発明では、上記ビーム部をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして形成する場合、レジスト層にパターニングして形成するビーム部形成用の開口部の大きさを従来よりも大きくすることができる。その結果、厚いレジスト層に対してビーム部形成用の開口部を有する穴を高精度で簡単に形成することができる。
第2の本発明によるコンタクトプローブは、上記構成に加え、上記コンタクト部が、上記ビーム部の固定端から自由端に向かって延びる方向と交差するように配列するように構成している。本発明のコンタクトプローブによれば、複数の上記コンタクト部は、上記ビーム部の自由端側において、固定端から自由端に向かって延びる方向である上記ビーム部の幅方向と交差する方向に配列される。その結果、本発明のコンタクトプローブは、上記ビーム部の自由端側を弾性変形させることにより、検査対象物に設けられた複数の電極パッドに同時に上記ビーム部に設けた複数の上記各コンタクト部を接触させることができる。
第3の本発明によるコンタクトプローブは、上記構成に加え、上記ビーム部上に絶縁膜が形成され、上記配線が上記絶縁膜を介して上記ビーム部上に形成されるように構成している。本発明のコンタクトプローブによれば、同一の上記ビーム部上に複数の上記配線を設けても、上記絶縁膜により上記各配線を確実に電気的に分離することができる。
第4の本発明によるコンタクトプローブは、第三の本発明の上記構成に加え、上記ビーム部は、電気めっきにより導電性材料を積層して形成されるように構成している。本発明のコンタクトプローブによれば、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングして電気めっきすることにより上記ビーム部を所望の形状に簡単に形成することができる。しかも、導電性材料で上記ビーム部を形成しても、上記絶縁膜により上記配線を上記ビーム部に対して確実に電気的に分離することができる。
第5の本発明によるコンタクトプローブは、上記構成に加え、上記ビーム部は、自由端部における上記各配線の間に上記固定端側に向かって凹むスリット部が形成されるように構成している。本発明のコンタクトプローブによれば、上記ビーム部の自由端に形成されるスリット部により、各コンタクト部が上記ビーム部の先端部において分離された状態に配置される。その結果、上記各コンタクト部の検査対象物と接触する端面の位置がプローブ高さ方向にばらつきがあっても、上記ビーム部の自由端部は、上記スリット部を挟んで個別に弾性変形させることができる。従って、上記各コンタクト部の上記端面の高さ方向の位置にばらつきがあっても、この高さの差は、上記スリット部により分離された上記ビーム部の各先端部を個別に弾性変形させることにより吸収することができるので、上記各コンタクト部の端面を検査対象物に確実に接触させることができる。
第6の本発明によるコンタクトプローブは、第3の本発明の上記構成に加え、上記絶縁膜は、上記コンタクト部が上記ビーム部に向かう移動を許容する弾性部材で形成されるように構成している。本発明のコンタクトプローブによれば、上記各コンタクト部の検査対象物と接触する端面の位置がプローブ高さ方向にばらつきがあっても、上記各コンタクト部の検査対象物に対する押圧力がほぼ一定となるように、上記絶縁膜は上記コンタクト部に押されて変形する。その結果、上記各コンタクト部の上記端面の高さ方向の位置にばらつきがあっても、この高さの差を上記絶縁膜によって吸収することができるので、上記各コンタクト部の端面を検査対象物に確実に接触させることができる。
第7の本発明によるプローブカードは、外部から信号が入力されるメイン基板と、自由端と固定端を有する複数のコンタクトプローブと、上記コンタクトプローブの固定端が固定され、上記メイン基板と導通するプローブ基板とを備えたプローブカードであって、上記コンタクトプローブは、片持ち梁構造を有するビーム部と、互いに絶縁され、上記ビーム部上で上記固定端から上記自由端に向かって延びる2以上の配線と、上記ビーム部の自由端付近に形成され、上記配線にそれぞれ接続された2以上のコンタクト部とを備えるように構成されている。
本発明のプローブカードによれば、上記コンタクトプローブは、1つの上記ビーム部上に複数の上記コンタクト部及び上記配線を形成するので、上記ビーム部の剛性を上げることができる。その結果、上記コンタクトプローブは、上記コンタクト部のピッチが狭くなっても、上記ビーム部の剛性を上げることができるので、上記各コンタクト部の検査対象物に対する押圧力が十分得られ、上記コンタクト部を検査対象物に確実に接触させることができる。
本発明のコンタクトプローブ及びプローブカードは、検査対象物の電極パッドの位置に合わせて上記コンタクト部が狭ピッチで配置される場合でも、1つの上記ビーム部上に互いに絶縁された複数の配線を設け、これら配線のそれぞれにコンタクト部を設けるように構成しているので、上記ビーム部の剛性を上げて、上記コンタクト部の検査対象物に対する押圧力を上げることができ、上記各コンタクト部を検査対象物に確実に接触させることができる。
以下、本発明にかかるコンタクトプローブの製造方法の実施の形態について図面に基づいて説明する。
〔プローブ装置〕
図1は、本発明の実施の形態によるプローブカード110を含むプローブ装置100の概略構成の一例を示した図であり、プローブ装置100の内部の様子が示されている。このプローブ装置100は、プローブカード110と、検査対象物102が載置される可動ステージ103と、可動ステージ103を昇降させる駆動装置104と、可動ステージ103及び駆動装置104が収容される筐体105とにより構成される。
検査対象物102は、半導体ウエハなどの半導体装置からなり、複数の電子回路(図示せず)が形成されている。可動ステージ103は、水平な載置面を有する載置台であり、駆動装置104の駆動により、検査対象物102を載置面上に載置させた状態のまま鉛直方向に上昇又は下降するようになっている。筐体105は、上部中央部に開口部が形成されており、この開口部を封鎖するように、プローブカード110が取り付けられる。また、可動ステージ103は、この開口部の下方に配置される。
〔プローブカード〕
図2(a)及び(b)は、図1のプローブ装置100におけるプローブカード110の構成例を示した図であり、図中の(a)は、検査対象物102側(図1の下方側)から見た平面図であり、図中の(b)は、側面図である。
プローブカード110は、筐体105の開口部に取り付けられるメイン基板106と、メイン基板106に保持される矩形状のプローブ基板107と、プローブ基板107上に固着された複数のコンタクトプローブ1とを備える。
メイン基板106は、円板状のプリント基板であり、テスター装置との間で信号入出力を行うための外部端子161を有している。例えば、ガラスエポキシを主成分とする多層プリント回路基板がメイン基板106として用いられる。このメイン基板106は、その周辺部が筐体105の開口部の周縁で保持されて水平に支持される。
プローブ基板107は、メイン基板106の下方に配置され、メイン基板106に支持される。さらに、プローブ基板107は、連結部材108に電気的に接続され、この連結部材108をメイン基板106のコネクタ162に接続するようになっている。このプローブ基板107は、メイン基板106よりも小さい矩形をしており、基板上に配線パターンが形成されている。配線パターンは、電源供給線、グランド線及び信号線の各配線パターンにより形成されている。なお、検査対象物102がシリコンウエハからなる場合には、シリコンなどの単結晶基板を用いてプローブ基板107を構成することが好ましい。このように、プローブ基板107をシリコン基板を用いて構成することにより、プローブ基板107と検査対象物102との熱膨張の状態を近づけることができる。
連結部材108は、メイン基板106及びプローブ基板107を連結し、導電線としてメイン基板106とプローブ基板107とにそれぞれ形成されている配線間を導通させている。ここでは、ポリイミドを主成分とする可撓性を有するフィルム上に配線パターンが印刷されたフレキシブルプリント回路基板(FPC)が連結部材108として用いられている。このフレキシブル基板は、その一端がプローブ基板107の周辺部に固着され、他端は着脱可能なコネクタ162を介してメイン基板106に連結されている。
本実施形態では、プローブ基板107には多数の電極パッドが形成され、各電極パッドとコンタクトプローブ1とをボンディングワイヤを用いて接合できるように、プローブ基板107上に多数のコンタクトプローブ1が形成される。プローブ基板107は、上記したように、連結部材108を介してテスター装置に接続されたメイン基板106に導通しており、当該メイン基板106とともにプローブカードを構成する。検査時には、駆動装置104によって可動ステージ103を上昇させて、半導体ウエハにコンタクトプローブ1を接触させることにより、テスター装置と半導体ウエハとの間で各コンタクトプローブ1を介して信号が入出力されて、半導体ウエハの電気的特性の検査が行われるようになっている。
〔コンタクトプローブ〕
コンタクトプローブ1は、図1及び図2に示すように、検査対象物102上に形成された微細な電極パッド121に対し、弾性的に当接させるプローブ(探針)である。各コンタクトプローブ1は、プローブ基板107における一方の主面上に整列配置されて固着されている。各コンタクトプローブ1は、各コンタクトプローブ1が固着されたプローブ基板107の主面が鉛直方向下側に向けて配置されることにより、可動ステージ103に配置された検査対象物102と対向するようになっている。
図3は、コンタクトプローブ1の斜視図である。本実施の形態では、コンタクトプローブ1は、検査対象物102上の電極パッド121に当接させる3つのコンタクト部2と、一端がプローブ基板107に固定され、他端にコンタクト部2が突設されるビーム部31とにより構成される。
また、ビーム部31における検査対象物102との対向面上には、この対向面の全面を覆うように絶縁膜32が形成されている。さらに、この絶縁膜32上には、固定端から自由端に向かって延びる3本の長尺な配線33が形成されている。
ビーム部31は、湾曲した板状を有しており、その一端部がプローブ基板107に固着される片持ち梁構造(カンチレバー)を有している。ビーム部31は、プローブ基板107に固定される基板固定部31aと、この基板固定部31aからプローブ基板107に対して湾曲しながら立ち上がってプローブ基板107に平行して伸び、さらに、上方に向かって湾曲した後、プローブ基板107に平行して伸びる弾性変形部31bとから構成される。さらに、ビーム部31の自由端部には、基板固定部31a側に向かって凹む2箇所のスリット部31cが形成されている。これらスリット部31cは、各配線33の間に形成される。基板固定部31aは、プローブ基板107との対向面側の一部が後記する第2導電性膜6で形成されている。
本実施の形態では、ビーム部31は、フォトリソグラフィ技術を用いて電気めっきにより導電性材料を積層して形成している。本実施の形態では、ビーム部31は、後記する第2犠牲層82上に電気めっきにより形成される。さらに、本実施の形態では、第2犠牲層82を銅によって形成するため、ビーム部31は、銅のエッチング液によって溶けない導電性材料を用いて形成している。本実施の形態では、ビーム部31はニッケルコバルト合金により形成している。このようにビーム部31は、フォトリソグラフィ技術によりパターニングして電気めっきにより形成するので、ビーム部31を所望の形状に簡単に形成することができる。
なお、ビーム部31は、ゴム材料など高抵抗の材料を用いて形成することもできる。さらに、ビーム部31は、陽極酸化法により絶縁性を有する酸化金属層を形成して構成するようにしてもよい。ビーム部31を酸化金属で形成する場合には、絶縁膜32は形成する必要が無くなる。
本実施の形態では、スリット部31cを設けることにより、ビーム部31におけるこれらスリット部31cの間に3つの突出部31dが形成される。そして、3つの突出部31dにそれぞれ配線33の端部を位置させると共に、各突出部31dの各配線33上にそれぞれコンタクト部2を設けている。ビーム部31の自由端部に、コンタクト部2ごとに突出部31dを形成することにより、これら突出部31dは、個別に弾性変形させることができる。
即ち、各コンタクト部2がビーム部31の先端部において各突出部31dにより分離された状態に配置される。そして、各コンタクト部2の検査対象物102と接触する端面の位置がプローブ高さ方向にばらつきがあっても、オーバードライブ時に、各突出部31dを個別に変形させて、これら端面の高さの差が突出部31dの個別の弾性変形によって吸収される。このように突出部31dを形成することにより、各コンタクト部2の端面は検査対象物102に確実に接触する。
各コンタクト部2は、検査対象物102の電極パッド121の位置に対応させて形成する必要があり、しかも、突出部31dは、基本的には、オーバードライブ時に同じように弾性変形をさせる必要があることから、本実施の形態では、各突出部31dは同じ幅に形成している。従って、各スリット部31cの幅は、これらコンタクト部2の位置に応じて決定される。例えば、電極パッド121の配置間隔が一定である場合には、全てのスリット部31cの幅の大きさが一定になるようにスリット部31cが形成され、電極パッド121の配置間隔が一定でない場合には、全て幅の大きさが異なるようにスリット部31cが形成される。
また、各スリット部31cのスリットの長さ(自由端から基板固定部31aに向かう長さ)は、必要とされるビーム部31のオーバードライブ量に応じて決定される。即ち、スリット部31cの間に形成される突出部31dは、ビーム部31の全体の幅に比べてかなり小さくできるので、オーバードライブ時の弾性変形もし易くなる。そこで、オーバードライブ量を大きくしたい場合には、スリット部31cはスリットの長さが長くなるように形成され、オーバードライブ量を小さくしたい場合には、スリット部31cはスリットの長さが短くなるように形成される。
なお、本実施の形態では、ビーム部31に3つのコンタクト部2を形成するようにしたため、スリット部31cは2つ形成した。しかしながら、本発明のコンタクトプローブは、ビーム部31に設けるコンタクト部2の数は適宜決定することができ、コンタクト部2を2つ設けたり、4つ以上のコンタクト部2を設けるようにすることもできる。従って、コンタクト部2の数に応じて、スリット部31cの数が決定される。
ビーム部31の検査対象物102との対向面全面を覆う絶縁膜32は、本実施の形態では、酸化金属膜で形成されている。この酸化金属膜は、ビーム部31を構成するニッケルコバルトの酸化膜により形成している。なお、この絶縁膜32は、ニッケルコバルトの酸化膜に限らず、他の酸化金属膜で形成することもできる。
また、絶縁膜32は、絶縁性を有する高分子材料で形成するようにしてもよい。特に、絶縁膜32は、コンタクト部2がビーム部31に向かう移動を許容する弾性力を有するような高分子材料で形成すると、各コンタクト部2の検査対象物102と接触する端面のプローブ高さ位置にばらつきがあったとき、各コンタクト部2の検査対象物102に対する押圧力がほぼ一定となるようにコンタクト部2に押されて変形する。その結果、各コンタクト部2の上記端面の高さ方向の位置にばらつきがあっても、この高さの差を絶縁膜32によって吸収することができるので、各コンタクト部2を検査対象物102に確実に接触させることができる。このような構成にする場合には、ビーム部31にスリット部31cを形成しなくてもよくなる。
本実施の形態では、各配線33は、突出部31d上に一端が位置し、他端が基板固定部31a上に位置するように導電性薄膜で形成されている。各配線33は、絶縁膜32上に形成されているため、互いに絶縁された状態となっている。そして、各配線33における自由端部の表面上にコンタクト部2が接続されている。
配線33は、抵抗値が低いほど望ましいことから、導電率の高い材料を用いて構成されている必要がある。このような高導電性材料には、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、金銅合金(Au−Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウムニッケル合金(Pd−Ni)、ニッケルコバルト合金(Ni−Co)、ニッケルタングステン(Ni−W)、白金(Pt)、金(Au)、ロジウム(Rh)などがある。本実施の形態では、第2犠牲層82を銅によって形成するため、配線33も、銅のエッチング液によって溶けない導電性材料を用いて形成している。本実施の形態では、配線33は、金(Au)を用いて形成している。
上述したように、ビーム部31は、自由端付近に形成されるコンタクト部2に検査対象物102側から荷重がかかることにより、ビーム部31の自由端側を弾性変形させることができるようになっている。本実施の形態では、特に、ビーム部31におけるスリット部31cの間に形成される突出部31dが個別に弾性変形するようになっている。本実施の形態では、可動ステージ103をプローブカード110に向けて上昇させて、ビーム部31の自由端部をコンタクト部2を介して検査対象物102に接触させて押圧することにより、ビーム部31の自由端側が弾性変形するようになっている。
コンタクト部2は、配線33における自由端部の表面上に突出させて形成されたコンタクトチップにより構成されている。このコンタクトチップは端面が五角形の柱状体からなる。コンタクト部2の検査対象物102と対向する面をこの検査対象物102の電極パッド121と当接する当接面としている。
また、コンタクト部2は、検査対象物102の電極パッド121に繰り返し当接させるため高い耐磨耗性が要求され、しかも当接させるたびに、電極パッド121の表面を引掻いて表面のゴミや酸化膜等を除去することが求められる。そこで、本実施の形態では、コンタクト部2は、ロジウム(Rh)で形成している。
さらに、各コンタクト部2は、ビーム部31の固定端から自由端に向かって延びる方向と直交する方向に配列させている。このように各コンタクト部2をビーム部31上に形成することにより、コンタクトプローブ1をオーバードライブさせてビーム部31の自由端側を弾性変形させる場合、1つのビーム部31により検査対象物102の複数の電極パッド121に対して同時に各コンタクト部2を接触させることができる。
本実施形態のプローブカード110では、3つのコンタクト部2を有する複数のコンタクトプローブ1がプローブ基板107上にビーム幅方向に所定のピッチで配置されている。さらに、このようなピッチで配置されるコンタクトプローブ1の列が、プローブ基板107上にビーム先端が対向するように2列形成されている。本実施形態では、矩形のプローブ基板107の何れか1辺に平行な方向を配列方向として、コンタクトプローブ1の列が形成されている。なお、各コンタクトプローブ1に設けるコンタクト部2の間隔は、検査対象物102上に形成されている電極パッド121間のピッチに応じて定められる。
そして、各コンタクトプローブ1は、プローブ基板107、連結部材108、メイン基板106に形成される各配線を介してメイン基板106の外部端子161と導通している。コンタクトプローブ1のコンタクト部2を検査対象物102の微小な電極パッド121に当接させることによって、この検査対象物102をテスター装置と導通させるようになっている。
〔コンタクトプローブの製造プロセス〕
図4から図6は、図3に示したコンタクトプローブ1の製造プロセスの一例を示した図である。コンタクトプローブ1は、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製される。MEMS技術とは、フォトリソグラフィ技術及び犠牲層エッチング技術を利用して、微細な立体的構造物を作成する技術である。フォトリソグラフィ技術は、半導体製造プロセスなどで利用される感光レジストを用いた微細パターンの加工技術である。また、犠牲層エッチング技術は、犠牲層と呼ばれる下層を形成し、その上に構造物を構成する層をさらに形成した後、上記犠牲層のみをエッチングして立体的な構造物を作製する技術である。
このような犠牲層を含む各層の形成処理には、周知のめっき技術を利用することができる。例えば、陰極としての基板と、陽極としての金属片とを電解液中に浸し、両電極間に電圧を印加することにより、電解液中の金属イオンを基板表面に付着させることができる。このような処理は電気めっき処理と呼ばれている。このような電気めっき処理は、基板を電解液に浸すウエットプロセスであるため、めっき処理後は乾燥処理が行われる。また、乾燥後には、研磨処理などによって積層面を平坦化させる平坦化処理が必要に応じて行われる。
図4(a)〜(b)は、絶縁性基板であるプローブ基板107上に導電性膜を部分的に形成する導電性膜形成工程を示している。なお、この導電性膜形成工程は、絶縁膜4を形成する工程、第1導電性膜5を形成する工程及び第2導電性膜6を形成する工程を含んでいる。
まず、図4(a)に示すように、プローブ基板107上に、二酸化珪素(SiO2)からなる絶縁膜4を形成する。さらに、この絶縁膜4の上に銅(Cu)以外の導電性材料であって、かつ、銅のめっき液に溶けない導電性材料を用いて第2導電性膜6を形成する。絶縁膜4及び第2導電性膜6は、スパッタリングなど真空蒸着により形成することが好ましい。
この第2導電性膜6を形成する導電性材料としては、例えば、ニッケルコバルト合金(Ni−Co)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、金(Au)、ニッケル(Ni)などが好ましい。特に、コンタクトプローブ1のビーム部31を構成する材料と同じ材料を用いることにより、この第2導電性膜6はコンタクトプローブ1のプローブ下地膜として使用する場合にコンタクトプローブ1の一部とすることができる。
そして、図示していないが、さらに第2導電性膜6上に、感光性有機物質からなるフォトレジストを塗布してレジスト層を形成する。その後、このレジスト層の表面を選択的に露光することにより、レジスト層を部分的に除去する。このようにしてレジスト層が除去された部分に対して、アルゴンイオンによるドライエッチングを行って、レジスト層が残っている部分を除いた第2導電性膜6を除去する。そして、レジスト層を完全に除去することにより、図4(a)に示すように、プローブ基板107上に、部分的に第2導電性膜6が形成された状態になる。
本実施の形態では、第2導電性膜6は、絶縁膜4が露出して形成される絶縁性領域41を挟んで2箇所の長方形状の第2導電性領域61が形成されるように、プローブ基板107上に形成される。図4(a)において左側に形成される長方形状の第2導電性領域61の第2導電性膜6がプローブ形成用下地膜6aとなり、右側の長方形状の第2導電性領域61の第2導電性膜6が犠牲層8を形成するための犠牲層形成用下地膜6bとなる。
次に、図4(b)に示すように、絶縁膜4及び第2導電性膜6上に銅により第1導電性膜5を形成する。この第1導電性膜5もスパッタリングなど真空蒸着により形成することが好ましい。そして、図示していないが、第1導電性膜5上に、感光性有機物質からなるフォトレジストを塗布してレジスト層を形成する。その後、このレジスト層の表面を選択的に露光することにより、レジスト層を部分的に除去する。
このようにしてレジスト層が除去された部分に対して、アルゴンイオンによるドライエッチングを行って、レジスト層が残っている部分を除いた第1導電性膜5を除去する。そして、レジスト層を完全に除去することにより、図4(b)に示すように、プローブ基板107上に、第1導電性膜5により構成される第1導電性領域51と、第2導電性膜6により構成される第2導電性領域61と、露出する絶縁膜4により構成される絶縁性領域41とが形成される。
本実施の形態では、上記したように、図4(b)においてプローブ基板107の中央付近に絶縁性領域41を挟んで2箇所の第2導電性領域61が形成され、これら第2導電性領域61の外側に絶縁性領域41を介して第1導電性領域51が形成されている。第1導電性領域51及び2箇所の第2導電性領域61は、それぞれ絶縁性領域41により絶縁された状態になっている。
図4(c)は、絶縁性領域41を介して形成される第1導電性領域51及び第2導電性領域61を露出させる第1開口部71aを有するように第1レジスト層71を形成する第1レジスト形成工程を示している。まず、プローブ基板107の全面に感光性有機物質からなるフォトレジストを塗布して第1レジスト層71を形成する。その後、この第1レジスト層71の表面を選択的に露光することにより、図4(c)に示すように、第1レジスト層71を部分的に除去する。
第1レジスト層71を部分的に除去することにより、図4(c)に示すように、第1レジスト層71に第1開口部71aが形成される。残った第1レジスト層71は、第2導電性膜6のプローブ形成用下地膜6aの全てを覆った状態になる。そして、第1開口部71a内には、第1導電性膜5と犠牲層形成用下地膜6bとが絶縁膜4を挟んで露出される。
図4(d)〜(e)は、第1導電性膜5上と犠牲層形成用下地膜6b上とに銅を電気めっきすることにより、第1犠牲層81及び第2犠牲層82により構成される犠牲層8を形成する犠牲層形成工程を示している。
上記した図4(c)の状態から、第1導電性膜5に電圧を印加することにより、図4(d)に示すように、第1導電性膜5の上面に銅を電気めっきしていく。このとき、第1導電性膜5の上面だけでなくエッチング面である端面にも銅がめっきされて堆積されていき、銅めっきが第1導電性膜5の上面からオーバーフローし、第1導電性膜5の上面及び端面を覆うだけでなく、絶縁膜4の一部の上にも形成された状態になる。このようにして銅を電気めっきすることにより図4(d)に示すようなベース曲面81aを有する第1犠牲層81が形成される。
第1犠牲層81は、絶縁膜4から立ち上がって、第1導電性膜5に向かって曲がるベース曲面81aを有するように形成されるとともに、第1導電性膜5と犠牲層形成用下地膜6bの間の絶縁性領域41の全域を覆うまで形成される。第1犠牲層81を形成するための電気めっき処理は、犠牲層形成用下地膜6bに接触するまで行われる。
そして、上記した図4(d)の状態から、さらに第1導電性膜5に電圧を印加し続けて、電気めっきを続ける。第1犠牲層81と犠牲層形成用下地膜6bとは接触して導通されているので、図4(e)に示すように、第1犠牲層81上と犠牲層形成用下地膜6b上とに銅が電気めっきされていく。このときも、犠牲層形成用下地膜6bの上面だけでなくエッチング面である端面にも銅がめっきされて堆積されていき、銅めっきが犠牲層形成用下地膜6bの上面からオーバーフローした第2犠牲層82が形成される。この第2犠牲層82は、犠牲層形成用下地膜6bの上面及び端面を覆うだけでなく、絶縁膜4の一部の上にも形成された状態になり、このようにして銅を電気めっきしていくことにより、図4(e)及び図7のプローブ基板107の部分斜視図に示すような複数の曲面を有する段状の第2犠牲層82が形成される。
そして、第1レジスト層71を除去すると、図7に示すように、プローブ基板107上に第1曲面82aと第2曲面82bとを有する段状の第2犠牲層82が得られる。第1曲面82aは、図4(e)に示すように、プローブ基板107に絶縁性領域41から立ち上がり、犠牲層形成用下地膜6bに向かって曲がるように形成される。第2曲面82bは、この第1曲面82aより上方位置で、第1犠牲層81のベース曲面81aの上方において形成される。本実施の形態では、第1犠牲層81と第2犠牲層82とにより犠牲層8が構成され、この犠牲層8は、第1曲面82aの反対側の側面がプローブ基板107に対して垂直に立ち上がるように形成される。
図4(f)は、犠牲層8及びプローブ形成用下地膜6aを露出させる第2開口部72aを複数有するプローブ形成用の第2レジスト層72を形成する第2レジスト形成工程である。プローブ基板107上に、再びフォトレジストが塗布されることにより第2レジスト層72が形成され、その第2レジスト層72の表面が選択的に露光されることにより、第2レジスト層72の一部が除去され、第2開口部72aが複数形成される。
第2開口部72aは、図8のプローブ基板107の部分斜視図に示すように、コンタクトプローブ1のビーム部31の形状に合わせて所定の間隔をおいて複数形成される。これら第2開口部72a内には、プローブ形成用下地膜6aと犠牲層8とが絶縁性領域41を挟んだ状態で露出される。第2開口部72aの形状は、長方形の一対の短辺の一方の辺に凹凸が形成された形状となっている。この凹部の部分によりビーム部31にスリット部31cと突出部31dとが形成される。
本実施の形態では、図8に示すように、犠牲層8が第2開口部72aの長手方向における凹凸部形成側で露出し、プローブ形成用下地膜6aが長手方向他方側で露出し、犠牲層8とプローブ形成用下地膜6aとの間に僅かに絶縁膜4が露出するようになっている。そして、犠牲層8の第1曲面82aが絶縁膜4から立ち上がって犠牲層形成用下地膜6bに向かって曲がるように第2開口部72aを形成している。さらに、本実施の形態では、図7及び図8に示すように、1つの犠牲層8及びプローブ形成用下地膜6a上に複数の第2開口部72aが形成されている。
図5(a)〜図6(d)は、コンタクトプローブ1を形成するプローブ形成工程を示している。図5(a)及び図8に示すように、第1導電性膜5を介して犠牲層8に電圧を印加することにより、各第2開口部72a内においてニッケルコバルト合金(Ni−Co)を犠牲層8上に電気めっきしていく。この電気めっきにより、犠牲層8上にニッケルコバルト合金が堆積されてビーム金属層91が形成されていく。
そして、このビーム金属層91が、プローブ形成用下地膜6aに接触するまで成長すると、ビーム金属層91とプローブ形成用下地膜6aとが導通し、このプローブ形成用下地膜6a上にもニッケルコバルト合金が堆積されてビーム金属層91が犠牲層8からプローブ形成用下地膜6aに亘って連続して形成される。このビーム金属層91の形成により、基板固定部31aを有し、自由端部にスリット部31cと突出部31dとを有する湾曲した板状のビーム部31を形成することができる。
ビーム金属層91が形成された後は、第2レジスト層72はそのまま、図5(b)及び図9のプローブ基板107の部分斜視図に示すように、例えば、陽極酸化法によりビーム金属層91上に薄肉の絶縁層92を形成する。この絶縁層92が絶縁膜32となる。
そして、絶縁層92が形成された後は、第2レジスト層72を除去し、次に、図5(c)及び図10のプローブ基板107の部分斜視図に示すように、再びフォトレジストが塗布されることにより第3レジスト層73が形成される。そして、この第3レジスト層73の表面が選択的に露光されることにより、第3レジスト層73の一部が除去されて細長い第3開口部73aが形成される。第3開口部73aは配線33を形成するために用いられるので、細長く形成されている。
次に、図5(d)及び図10に示すように、スパッタリングなど蒸着方法で導電性の薄膜を形成することにより絶縁層92上に薄膜の金(Au)から成る長尺な配線用導電層93を形成する。この配線用導電層93が配線33となる。
配線用導電層93が形成された後は、第3レジスト層73を除去し、次に、図6(a)に示すように、再びフォトレジストが塗布されることにより第4レジスト層74が形成される。そして、この第4レジスト層74の表面が選択的に露光されることにより、第4レジスト層74の一部が除去される。コンタクト部2に相当する領域についてレジストの除去行い、第4開口部74aが形成される。
次に、図6(b)に示すように、第4開口部74a内に、ロジウム(Rh)を電気めっきすることにより、コンタクト用導電層94が形成される。このコンタクト用導電層94の上面は、平滑な面にする必要があるので、図6(c)に示すように、第4レジスト層74とともに、コンタクト用導電層94を研磨して、コンタクト用導電層94の上面を平坦にする。このコンタクト用導電層94がコンタクト部2を構成する。
そして、第4レジスト層74を除去すると、プローブ基板107上に複数のコンタクトプローブ1がプローブ形成用下地膜6aを介して固定された状態になる。さらに、図6(d)及び図11のプローブ基板107の部分斜視図に示すように、犠牲層8と第1導電性膜5とを除去し、プローブ基板107上で露出している第2導電性膜6をドライエッチングにより除去する。第2導電性膜6の除去は、犠牲層形成用下地膜6bの全てを除去すると共に、ビーム金属層91の下に形成されたプローブ形成用下地膜6aをコンタクトプローブ1毎に分離するように除去する。従って、ビーム金属層91で覆われているプローブ形成用下地膜6aは残された状態になっている。
本実施の形態では、プローブ基板107上に形成されたコンタクトプローブ1は、図示していないが、各コンタクトプローブ1に形成される配線33をプローブ基板107上に形成された電極パッドにボンディングワイヤにより接続する。
このように、本実施の形態によれば、複数のコンタクト部2を狭ピッチで配置させる場合でも、1つのビーム部31上に、互いに絶縁された複数の配線33を設け、これら配線33にそれぞれコンタクト部2を接続するように構成しているので、複数のコンタクト部2を狭ピッチで配置させたまま、ビーム部31の剛性を上げることができる。その結果、オーバードライブ量をさほど大きくしなくても、コンタクト部2の検査対象物102に対する押圧力を上げることができ、各コンタクト部2を検査対象物102に確実に接触させることができる。
さらに、各配線33は、ビーム部31上に絶縁膜32を介して互いに絶縁された状態で形成されるので、各配線33を確実に電気的に分離することができ、各コンタクト部2によって検査対象物102の検査を確実に行うことができる。
また、ビーム部31の形状は、従来のコンタクトプローブのビーム部の幅よりも大きくすることができるので、ビーム部31をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして形成する場合、レジスト層にパターニングされたビーム部形成用の開口部の大きさを従来よりも大きくすることができる。その結果、厚いレジスト層に対してビーム部形成用の開口部を有する穴を高精度で簡単に形成することができる。
また、本実施の形態にかかる製造方法によれば、コンタクトプローブ1をプローブ基板107への固定側から自由端側へと形成していくので、コンタクトプローブ1を形成すると同時にプローブ基板107にコンタクトプローブ1を固定することができる。従って、コンタクトプローブ1を1つずつわざわざプローブ基板107に固定する作業を不要にでき、製造コストを低廉にすることができる。
なお、上記した各実施の形態では、コンタクトプローブ1をプローブ基板107上に固定した状態のまま形成する場合の例について説明したが、本発明のコンタクトプローブの製造方法は、これらの実施の形態に限らず、別途用意した絶縁性基板上にコンタクトプローブ1を形成して、このコンタクトプローブを例えば犠牲層と共に絶縁性基板から最終的に剥離する場合にも適用できる。
この場合、コンタクトプローブを1つずつプローブ基板107に固定する作業を要するが、1つのコンタクトプローブに複数のコンタクト部が形成されているので、コンタクトプローブを1つずつプローブ基板107に固定する作業は従来に比べて短縮できる。
本発明の実施の形態によるプローブカード110を含むプローブ装置100の概略構成の一例を示した図であり、プローブ装置100の内部の様子が示されている。 図1のプローブ装置100におけるプローブカード110の構成例を示した図である。 本発明の実施の形態によるコンタクトプローブの一例を示した斜視図である。 実施の形態に係るコンタクトプローブを形成する工程の一例を示した図である。 実施の形態に係るコンタクトプローブを形成する工程の一例を示した図であり、図4(f)の続きを示している。 実施の形態に係るコンタクトプローブを形成する工程の一例を示した図であり、図5(d)の続きを示している。 プローブ基板107の部分斜視図であって、第1レジスト層71が除去されてプローブ基板107上に犠牲層8が形成された状態を示している。 図5(a)に対応したプローブ基板107の部分斜視図であって、プローブ基板107上に第2開口部72aを有する第2レジスト層72が形成され、第2開口部72aの犠牲層8上にビーム金属層91が形成された状態を示している。 図5(b)に対応したプローブ基板107の部分斜視図であって、ビーム金属層91上に絶縁層92が形成された状態を示している。 図5(c)に対応したプローブ基板107の部分斜視図であって、プローブ基板107上に第3開口部73aを有する第3レジスト層73が形成され、絶縁層92上に配線用導電層93が形成された状態を示している。 図6(d)に対応したプローブ基板107の部分斜視図であって、プローブ基板107上にコンタクトプローブ1が固定された状態を示している。
符号の説明
1 コンタクトプローブ
2 コンタクト部
31 ビーム部
31a 基板固定部
31b 弾性変形部
31c スリット部
31d 突出部
32 絶縁膜
33 配線
4 絶縁膜
41 絶縁性領域
5 第1導電性膜
51 第1導電性領域
6 第2導電性膜
6a プローブ形成用下地膜
6b 犠牲層形成用下地膜
61 第2導電性領域
71 第1レジスト層
71a 第1開口部
72 第2レジスト層
72a 第2開口部
73 第3レジスト層
73a 第3開口部
74 第4レジスト層
74a 第4開口部
8 犠牲層
81 第1犠牲層
81a ベース曲面
82 第2犠牲層
82a 第1曲面
82b 第2曲面
91 ビーム金属層
92 絶縁層
93 配線用導電層
94 コンタクト用導電層
10 切削工具
100 プローブ装置
102 検査対象物
121 電極パッド
103 可動ステージ
104 駆動装置
105 筐体
106 メイン基板
161 外部端子
162 コネクタ
107 プローブ基板
108 連結部材
110 プローブカード

Claims (7)

  1. 片持ち梁構造を有するビーム部と、
    互いに絶縁され、上記ビーム部上で固定端から自由端に向かって延びる2以上の配線と、
    上記ビーム部の自由端付近に形成され、上記配線にそれぞれ接続された2以上のコンタクト部とを備えたことを特徴とするコンタクトプローブ。
  2. 上記コンタクト部が、上記ビーム部の固定端から自由端に向かって延びる方向と交差するように配列されていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
  3. 上記ビーム部上に絶縁膜が形成され、上記配線が上記絶縁膜を介して上記ビーム部上に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンタクトプローブ。
  4. 上記ビーム部は、電気めっきにより導電性材料を積層して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコンタクトプローブ。
  5. 上記ビーム部は、自由端部における上記各配線の間に上記固定端側に向かって凹むスリット部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のコンタクトプローブ。
  6. 上記絶縁膜は、上記コンタクト部が上記ビーム部に向かう移動を許容する弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコンタクトプローブ。
  7. 外部から信号が入力されるメイン基板と、自由端と固定端を有する複数のコンタクトプローブと、上記コンタクトプローブの固定端が固定され、上記メイン基板と導通するプローブ基板とを備えたプローブカードであって、
    上記コンタクトプローブは、
    片持ち梁構造を有するビーム部と、
    互いに絶縁され、上記ビーム部上で上記固定端から上記自由端に向かって延びる2以上の配線と、
    上記ビーム部の自由端付近に形成され、上記配線にそれぞれ接続された2以上のコンタクト部とを備えたことを特徴とするプローブカード。
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