JP4738848B2 - エポキシ系接着剤、金属張積層板、カバーレイ、およびフレキシブルプリント基板 - Google Patents
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Description
エラストマーとしては、カルボキシ化NBR(なおNBRはニトリルブタジエンゴムを表す。)やアクリルゴム等が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
そこで特許文献2では、高圧ラジカル重合により生成されたカルボキシ化エチレン−アクリルゴムを添加することで耐マイグレーション性の改善を図っている。しかし、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムは粘度が低いため、加熱プレスにより接着および硬化を行う際に接着剤の接着剤フロー量が多い(接着剤フロー特性が悪い)という問題がある。
本発明のエポキシ系接着剤においては、前記カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの配合比が、40:60(質量比)であることが好ましい。
また、本発明は、上述のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を、絶縁フィルムの片面に設けたことを特徴とするカバーレイを提供する。
また、本発明は、上述の金属張積層板の金属箔面に上述のカバーレイを貼着してなるフレキシブルプリント基板を提供する。
本発明のエポキシ系接着剤は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含有するベース樹脂と、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムと、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとからなり、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの配合比が80:20〜20:80の範囲内であることを特徴とするものである。
硬化剤(B)の配合量はエポキシ樹脂(A)に応じて定めることができるが、例えばエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部とすることができる。
カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であるニトリルブタジエンゴム(NBR)を変性してカルボキシ基を導入したものである。カルボキシル基の導入方法としては、(1)アクリロニトリルとブタジエンとを共重合する際に、さらにカルボキシ基を有するモノマーを共重合する方法、(2)アクリロニトリルとブタジエンとを共重合したのち、カルボキシ基を有するモノマーをグラフト反応させる方法等が挙げられる。
カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとは、エチレンと、アクリル酸エステルと、カルボキシ基を有するモノマーとを共重合させた三元系共重合体である。
前記カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β−不飽和多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和多価カルボン酸無水物などが挙げられる。
カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの添加量の合計(すなわちエラストマー(C)の添加量)は、ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部の範囲内が好ましい。これにより、接着剤フロー量の低減と耐マイグレーション性の改善とを両立するとともに、高温高湿環境でも高い絶縁抵抗を維持することができ、かつ柔軟性にも優れるエポキシ系接着剤を得ることができる。
なお、本発明の接着剤組成物中には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、硬化促進剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、難燃化剤、分散剤、粘度調節剤、レベリング剤等を適宜添加してもよい。
本発明のエポキシ系接着剤組成物は、前記接着剤溶液を対象物に塗布し、乾燥および硬化させることで、対象物の接着や封止などを行うために用いることができる。この接着剤組成物の乾燥および硬化に際しては、例えば20〜200℃程度の温度下で行うことができる。
前記接着剤溶液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、ジメチルホルムアミド、2−メトキシエタノールなどが挙げられる。接着剤溶液中の固形分濃度は、塗工むらの抑制と接着剤の溶解性とを考慮して、好ましくは5〜70質量%の範囲内であり、より好ましくは、10〜50質量%の範囲内である。
カバーレイ用の絶縁フィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる厚み10μm〜150μm程度のフィルムなどを用いることができる。カバーレイ側の接着剤層の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。本発明のエポキシ系接着剤から接着剤層を形成する方法は、上述したように、塗布などの方法によることができる。
なお、本発明のカバーレイが適用されるCCLとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド等からなるベースフィルムに銅箔(金属箔)を接着剤で接着してなる3層CCLや、銅箔(金属箔)の片面にポリイミドワニスを塗布して乾燥してなる2層CCL(接着剤層を有しないCCL)等を用いることができる。
ベースフィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる厚み10μm〜150μm程度のフィルムなどを用いることができる。
金属張積層板の接着剤層の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜50μm程度とすることができる。銅箔等の金属箔としては、特に限定されるものではないが、電解銅箔、圧延銅箔などの厚み5μm〜100μm程度のものを用いることができる。
本発明の金属張積層板を用いてFPCを製造するときに使用されるカバーレイは特に限定されるものではないが、上述した本発明のカバーレイを用いることが好ましい。
表1〜表3に示す配合により、実施例(実施例1〜4及び実施例6〜8は参考例である。)および比較例に係るエポキシ系接着剤を調製した。なお各表において配合比は、ベース樹脂を100質量部とした質量部で表す。
各表において、ベース樹脂は、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピコート828EL)77質量%、硬化剤として4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(試薬特級)23質量%からなるものを用いた。
エラストマーとしては、カルボキシ化NBR(日本ゼオン株式会社製、商品名:ニポール1072)およびカルボキシ化エチレン−アクリルゴム(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、商品名:ベイマックHVG)を用いた。
各エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が10μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、接着層面に厚さ18μmの圧延銅箔を貼着して片面板を作製する。この片面板の銅箔にL/S=100μm/100μmのくし型パターンを形成し、その上に各エポキシ系接着剤の混和物(ポリイミドフィルムと圧延銅箔との貼着に用いたものと同じもの)を乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布し、乾燥後170℃、4MPaで40分間プレスすることによって試験サンプルを作製する。
各試験サンプルに、85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気下で50Vの直流電流(DC)を印加しながら250時間保持する。その後、絶縁抵抗を測定し、その測定結果を「絶縁抵抗」の評価結果とする。
また、顕微鏡で試験サンプル中のデンドライト発生の有無を確認し、その結果、デンドライト発生が認められたものは×、デンドライトが全く発生していないものは○と評価する。
各エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)に塗布し、乾燥後、直径5mmのパンチ穴を10箇所にあける。さらに接着層面に圧延銅箔(厚さ18μm)を貼り合わせ、170℃、4MPaで40分間プレスすることによって試験サンプルを作製する。
プレス後、試験サンプルのパンチ穴内部への最大浸出距離をそれぞれのパンチ穴ごとに10箇所すべて測定し、10箇所の平均距離を「接着剤フロー距離」の評価結果とする。
この試験では、上記接着剤フロー距離の評価結果が0.50mm未満の場合に接着剤フロー特性が優れているものと評価する。
ポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン株式会社製、商品名:カプトン−100H)を2枚用意し、各ポリイミドフィルムの片面に上記エポキシ系接着剤の混和物を乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布する。乾燥後、両ポリイミドフィルムの接着層面同士を貼り合わせ、170℃、4MPaで40分間プレスしたものを試験サンプルとする。
試験サンプルを180°折り曲げた後に外観を観察し、割れや白化があるものは×、割れや白化がないものは○と評価する。
実施例1〜8の結果から、カルボキシ化NBRとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムとの配合比が80:20〜20:80の範囲内にある場合、接着剤フロー距離が0.5mm未満であり、デンドライトの発生がなかった。これにより、本発明のエポキシ系接着剤は、接着剤フロー量の低減と耐マイグレーション性の改善とを両立したエポキシ系接着剤であると評価することができる。
とりわけ、実施例1〜6に示すように、カルボキシ化NBRとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの添加量の合計が、ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部の範囲内である場合、85℃、85%RH、250時間後の絶縁抵抗が108Ω以上であり、しかも180°折り曲げた後に割れや白化がなかった。このことから、絶縁抵抗および柔軟性も優れたものであることが分かる。
比較例3,4の結果から、カルボキシ化NBRとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムとの配合比が20:80よりもカルボキシ化エチレン−アクリルゴムが多くなると、接着剤フロー距離が0.50mm以上となり、接着剤フロー特性が悪くなることが分かる。
Claims (5)
- エポキシ樹脂と硬化剤を含有するベース樹脂と、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムと、カルボキシ化エチレン−アクリルゴムとからなり、
カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの配合比が80:20〜20:80(質量比)の範囲内にあり、かつ、
カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの添加量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10質量部であることを特徴とするエポキシ系接着剤。 - 前記カルボキシ化ニトリルブタジエンゴムとカルボキシ化エチレン−アクリルゴムの配合比が、40:60(質量比)であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ系接着剤。
- 請求項1又は2に記載のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を、ベースフィルムと金属箔との間に設けたことを特徴とする金属張積層板。
- 請求項1又は2に記載のエポキシ系接着剤からなる接着剤層を、絶縁フィルムの片面に設けたことを特徴とするカバーレイ。
- 請求項3に記載の金属張積層板の金属箔面に、請求項4に記載のカバーレイを貼着してなることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
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