JP5150361B2 - エポキシ系接着剤、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線基板 - Google Patents
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このフレキシブルプリント基板は、可撓性の基材に接着剤層を介して配線層が形成されたものであり、その表面には、配線層を保護する目的で絶縁性のカバーレイフィルムが接着されている。
可撓性の基材としては、例えば、ポリイミドフィルムが用いられており、配線層は銅箔などの金属箔などから形成されている。
カバーレイフィルムには、可撓性の絶縁フィルム、例えば、ポリイミドフィルムが用いられている。
これらを接着する接着剤としては、エポキシ樹脂に、高分子成分と硬化剤を添加したエポキシ系接着剤が用いられている。
また、エポキシ系接着剤の柔軟性(可撓性)を高めるために、スチレン系熱可塑性エラストマーを添加する方法が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
また、エポキシ系接着剤にスチレン系熱可塑性エラストマーを添加すると、柔軟性が向上するものの、接着性が不十分であった。
したがって、本発明のエポキシ系接着剤によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。
カルボキシ化NBRとエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が80/20を超えると、エポキシ系接着剤の耐マイグレーション性が低下する。一方、カルボキシ化NBRとエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が30/70未満では、エポキシ系接着剤の接着性が低下する。
また、エポキシ化されていないスチレン系熱可塑性エラストマーを用いると、エポキシ系接着剤からなる接着剤層は接着性が大幅に低下する。
また、硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂に応じて定められるとともに、硬化剤が通常使用される範囲内において成形条件や特性等に応じて適宜調整される。
カルボキシ基の導入方法としては、(1)アクリロニトリルとブタジエンとを共重合する際に、さらにカルボキシ基を有するモノマーを共重合する方法、(2)アクリロニトリルとブタジエンとを共重合したのち、カルボキシ基を有するモノマーをグラフト反応させる方法等が挙げられる。
このカルボキシ化NBRは、エポキシ樹脂中に分散し、エポキシ樹脂に柔軟性を付与するものである。
エポキシ基の導入方法としては、(1)予め過酸化水素とギ酸、酢酸などの低級カルボン酸とを反応させ、過カルボン酸を製造しておき、反応系にエポキシ化剤として過カルボン酸を加え、エポキシ化反応を行う方法、(2)オスミウム塩、タングステン酸などの触媒及び溶剤の存在下で過酸化水素を用いてエポキシ化する方法等が挙げられる。
このエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーは、エポキシ樹脂中に分散し、エポキシ樹脂に柔軟性を付与するものである。
充填剤としては、例えば、シリカ、マイカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上記のエポキシ樹脂、硬化剤、カルボキシ化NBR、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマー等の構成材料と、有機溶剤とを所定量配合し、ポットミル、ボールミル、ホモジナイザー、スーパーミル等を用いて攪拌混合することにより、本発明のエポキシ系接着剤が得られる。
この実施形態のカバーレイ1は、絶縁基材2の片面2aに、本発明のエポキシ系接着剤からなる接着剤層3が設けられてなるものであり、フレキシブルプリント基板において、CCLに形成した回路等の上に積層して、この回路等を絶縁保護するために用いられる。
接着剤層3の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。
本発明のエポキシ系接着剤から接着剤層を形成する方法は、上述したように、塗布等の方法によることができる。
したがって、本発明のカバーレイによれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。また、本発明のカバーレイは、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
したがって、本発明のプリプレグによれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。また、本発明のプリプレグは、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
この実施形態の金属張積層板4は、本発明のプリプレグからなる接着剤層6が、ベースフィルム5と金属箔7との間に設けられてなるものである。
金属箔7は、銅箔等からなり、所定の回路パターンをなしている。
したがって、本発明の金属張積層板によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。また、本発明の金属張積層板は、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
この実施形態のプリント配線基板10は、カバーレイ1を、金属張積層板4の金属箔7が設けられている面(金属箔面)に貼着し、カバーレイ1と金属張積層板4とを積層一体化したものである。
カバーレイ1の貼着は、カバーレイ1の接着剤層3と金属張積層板4の金属箔面とが向かい合うように重ね合わせ、熱プレスなどにより一体化させる。熱プレス条件としては、例えば、加熱温度を140〜200℃程度、加熱時間を0.1〜3時間程度とすることができる。
なお、マイグレーションは、回路腐食促進物質の存在により、回路間の絶縁性接着剤中へ銅イオンなどの金属イオンが溶出し、これが還元されることによりデンドライトが成長し、このデンドライトが回路間を短絡させることにより起こるものと推定される。
したがって、本発明のプリント配線基板によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。また、本発明のプリント配線基板は、可撓性を有するカバーレイと金属張積層板を積層一体化したものであるから、可撓性を有する。
(エポキシ系接着剤の調製)
表1に示す配合により、実施例1に係るエポキシ系接着剤を調製した。なお、表1において配合比は、エポキシ樹脂を100質量部とした質量部で表した。
エポキシ樹脂、硬化剤及び絶縁性粒子をメチルエチルケトンに溶解、分散させて、固形分(エポキシ樹脂、硬化剤、絶縁性粒子)の濃度が30質量%の溶液を調製した。
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピコート828EL)、硬化剤として4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(和光純薬社製、試薬特級)を用いた。
なお、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比を、77質量%:23質量%とした。
カルボキシ化NBRとして、ニポール1072(日本ゼオン社製)を用いた。
エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとして、スチレン系熱可塑性エラストマーA(ダイセル化学工業社製、商品名:AT501)を用いた。
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:カプトン100H)に乾燥後の厚みが10μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて20分間乾燥することにより、ポリイミドフィルム状に接着剤層を形成した。
次いで、この接着剤層の上に厚み18μmの圧延銅箔を貼付して、金属張積層板を得た。
次いで、この金属張積層板の圧延銅箔に、L/S=100μm/100μmの櫛形の回路パターンを形成した。
次いで、厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:カプトン100H)に乾燥後の厚みが30μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて20分間乾燥することにより、接着剤層が形成されたカバーレイを得た。
次いで、このカバーレイを、その接着剤層を介して、金属張積層板の櫛形の回路パターンが形成された面に重ね合わせて、170℃、圧力40kg/cm2にて40分間プレスすることにより、耐マイグレーション性評価用のプリント配線基板を作製した。
上記のようにして作製したプリント配線基板を用いて、耐マイグレーション性を評価した。
試験条件としては、85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気下において電極間に50Vの直流電圧を、250時間印加し、電極間の絶縁抵抗を測定した。
耐マイグレーション性の評価は、絶縁抵抗値の測定、および、顕微鏡によるプリント配線基板中のデンドライトの発生の観察により行った。
デンドライトが発生していない場合を合格(○)、デンドライトが発生した場合を不合格(×)と評価した。
結果を表1に示す。
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:カプトン100H)に乾燥後の厚みが25μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて10分間乾燥することによりカバーレイを得た。
次いで、このカバーレイの接着剤層の接着面に厚み35μmの圧延銅箔を貼着した。
次いで、圧延銅箔を貼着したカバーレイを、170℃、圧力40kg/cm2にて40分間プレスし、接着性評価用片面板を得た。
この片面板からPI引き、90度における剥離強度を測定した。
結果を表1に示す。
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:カプトン100H)に乾燥後の厚みが30μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて20分間乾燥することにより、接着剤層が形成されたカバーレイを得た。
次いで、このカバーレイを2つ用意し、互いの接着剤層面を重ね合わせて、170℃、圧力40kg/cm2にて40分間プレスすることにより、柔軟性評価用サンプルを作製した。
(柔軟性の評価)
得られた柔軟性評価用サンプルを180度折り曲げた後、接着剤層に割れ、白化が生じなかった場合を合格(○)、接着剤層に割れ、白化が生じた場合を不合格(×)と評価した。
結果を表1に示す。
表1に示す配合により、実施例1と同様にして、実施例2〜9に係るエポキシ系接着剤をそれぞれ調製した。
これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれプリント配線基板を作製して耐マイグレーション性を評価した。
また、これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれ接着性を評価した。
また、これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれ柔軟性評価用サンプルを作製して柔軟性を評価した。
結果を表1に示す。
表2に示す配合により、スチレン系熱可塑性エラストマーAを用いなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るエポキシ系接着剤を調製した。
このエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、プリント配線基板を作製して耐マイグレーション性を評価した。
また、このエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、接着性を評価した。
また、このエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、柔軟性評価用サンプルを作製して柔軟性を評価した。
結果を表2に示す。
表2に示す配合により、実施例1と同様にして、比較例2〜8に係るエポキシ系接着剤をそれぞれ調製した。
なお、比較例5および6では、スチレン系熱可塑性エラストマーAの替わりにエポキシ化されていないスチレン系熱可塑性エラストマーB(旭化成ケミカルズ、商品名:タフプレンA)を用いた。
これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれプリント配線基板を作製して耐マイグレーション性を評価した。
また、これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれ接着性を評価した。
また、これらのエポキシ系接着剤を用いて、実施例1と同様にして、それぞれ柔軟性評価用サンプルを作製して柔軟性を評価した。
結果を表2に示す。
比較例3、4では、カルボキシ化NBRとエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が30/70未満であるので、エポキシ系接着剤によって形成された接着剤層は、接着強度が11.5N/cm以下であり、実用に耐える接着性を有していないことが確認された。
比較例5、6では、エポキシ化されていないスチレン系熱可塑性エラストマーを用いているので、エポキシ系接着剤によって形成された接着剤層は、接着強度が11.5N/cm以下であり、実用に耐える接着性を有していないことが確認された。
比較例7では、ベース樹脂100質量部に対して、カルボキシ化NBRとエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの総量を10質量部未満としたので、エポキシ系接着剤によって形成された接着剤層は柔軟性が低いことが確認された。
比較例8では、ベース樹脂100質量部に対して、カルボキシ化NBRとエポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの総量が100質量部を超えるので、絶縁抵抗値が108Ω未満であり、実用に耐える絶縁抵抗を有していないことが確認された。
Claims (5)
- エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるベース樹脂と、カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとを含むエポキシ系接着剤であって、
前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が80/20〜30/70の範囲内にあり、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であることを特徴とするエポキシ系接着剤。 - 絶縁基材の片面に接着剤層を設けてなるカバーレイであって、
前記接着剤層を構成する接着剤が、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるベース樹脂と、カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとを含む、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が80/20〜30/70の範囲内にあり、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であるエポキシ系接着剤であることを特徴とするカバーレイ。 - 基材に接着剤を含浸させてなるプリプレグであって、
前記接着剤が、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるベース樹脂と、カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとを含む、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が80/20〜30/70の範囲内にあり、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であるエポキシ系接着剤であることを特徴とするプリプレグ。 - ベースフィルムと金属箔との間に接着剤層を設けてなる金属張積層板であって、
前記接着剤層を構成する接着剤が、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるベース樹脂と、カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと、エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとを含む、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーとの配合質量比が80/20〜30/70の範囲内にあり、前記カルボキシ化アクリロニトリルブタジエンゴムと前記エポキシ化スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量の合計が、前記ベース樹脂100質量部に対して10〜100質量部であるエポキシ系接着剤であることを特徴とする金属張積層板。 - 請求項2に記載のカバーレイを、請求項4に記載の金属張積層板の金属箔面に貼着してなることを特徴とするプリント配線基板。
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