JP2010006921A - 接着剤組成物、並びにそれを用いた接着シート及びカバーレイフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)(a1)エポキシ樹脂 100質量部と(a2)カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴム 5〜200質量部との反応生成物、(B)硬化剤 (A)成分を生成するのに用いた(a1)成分100質量部に対し0.1〜80質量部、ならびに(C)無機充填剤 (A)および(B)成分の合計100質量部に対して5〜100質量部、を含む接着剤組成物;離型基材と、該離型基材上に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを有する接着シート;電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルム上に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを有するカバーレイフィルム。
【選択図】なし
Description
(A)(a1)エポキシ樹脂 100質量部と(a2)カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴム 5〜200質量部との反応生成物、
(B)硬化剤 (A)成分を生成するのに用いた(a1)成分100質量部に対し0.1〜80質量部、ならびに
(C)無機充填剤 (A)および(B)成分の合計100質量部に対して5〜100質量部、
を含有してなる接着剤組成物を提供する。
本発明の接着剤組成物は、上記の(A)〜(C)成分を含有してなる熱硬化性接着剤組成物であり、必要に応じて、溶剤等の任意成分を更に含有していてもよい。なお、本発明の接着剤組成物が任意成分として溶剤を含む場合、通常、溶剤は有機樹脂成分に含まれない。
以下、上記の(A)〜(C)成分について、詳しく説明する。
(A)成分は、(a1)エポキシ樹脂 100質量部と(a2)カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、「カルボキシル基含有NBR」という場合がある。) 5〜200質量部との反応生成物である。
(a1)成分であるエポキシ樹脂は、通常、重量平均分子量が10,000未満のエポキシ樹脂が好ましく、具体的には、1分子中に2個又は3個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド等で変性されてもよい。また、難燃性を付与させるために臭素化エポキシ樹脂を使用することも可能である。さらに、分子骨格内にリン原子、硫黄原子、窒素原子等を含んでいてもよい。
(a2)成分であるカルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴムは、本成分中のアクリロニトリル残基含有量が好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは25〜45質量%であり、かつ、カルボキシル基含有量が好ましくは1〜10質量、更に好ましくは1〜5質量%である。アクリロニトリル残基含有量が20〜50質量%であると、(a2)成分と他成分(特に、(a1)成分のエポキシ樹脂、および、場合により配合される溶剤)との相溶性が特に良好であるため、保存性に優れた硬化物を容易に得ることができ、また、該硬化物の接着性および電気特性は良好なものとなりやすい。カルボキシル基含有量が1〜10質量であると、得られる組成物の反応性は適度な範囲に維持されやすいため、優れた耐溶剤性及び半田耐熱性を有する硬化物を容易に得ることができ、また、該硬化物の接着性および電気特性は良好なものとなりやすい。
(A)成分は、(a1)成分のエポキシ樹脂と(a2)成分のカルボキシル基含有NBRとを、無溶剤で又は溶剤に溶解した状態で混合して反応させることで得ることができる。反応は、室温で行ってもよいし、適度な温度(例えば、40〜120℃程度)まで加熱して行ってもよい。反応の進行に伴い、カルボキシル基に帰属される3200cm-1付近および1716cm-1付近の吸収ピークは減少し、エステル結合中のカルボニル基に帰属される1735cm-1付近の吸収ピーク及び水酸基に帰属される3500cm-1付近の吸収ピークは増加する。このことを利用して、(a1)成分と(a2)成分との混合物の赤外吸収スペクトルの変化を反応前後で観察し、反応の進行を追跡することができる。反応が終了したとの判断は、例えば、カルボキシル基に帰属される上記吸収ピークが消失したことを確認することにより行うことができる。
(B)成分である硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる公知のものでよい。かかる硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン系硬化剤;イソホロンジアミン等の脂環式アミン系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン等の芳香族アミン系硬化剤;レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂;無水フタル酸、無水ピロメリト酸、無水トリメリト酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系硬化剤;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;ジシアンジアミド;三フッ化ホウ素アミン錯塩、硼弗化錫、硼弗化亜鉛等の硼弗化物;オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛等のオクチル酸塩等が挙げられ、好ましくは脂肪族アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、フェノール樹脂、イミダゾール化合物、硼弗化物、ジシアンジアミド、オクチル酸塩であり、特に好ましくは芳香族アミン系硬化剤、フェノール樹脂、イミダゾール化合物、硼弗化物である。
(C)成分である無機充填剤は、硬化物の難燃性の補助、剥離状態の安定性(接着剤硬化物の凝集剥離)の向上、耐吸湿性の安定化等を目的として配合される成分である。この無機充填剤は、従来、カバーレイフィルムまたは接着シートに使用されているものであれば特に限定されない。無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化モリブデン等の金属酸化物;ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム等のホウ酸化合物等が挙げられ、好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、およびホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム等のホウ酸化合物であり、特に好ましくは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびホウ酸亜鉛である。これらの無機充填剤の樹脂マトリックスへの密着性や耐水性を向上させ、硬化物の耐熱性、耐吸湿性等を向上させるために、該無機充填剤の表面が、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等により疎水化処理されていることが好ましい。
上記(A)〜(C)成分以外にも、必要に応じて、接着剤組成物及びそれを用いた接着シート、カバーレイフィルムの特性を低下させない範囲で、溶剤、難燃剤、カップリング剤、酸化防止剤、イオン吸着剤等の任意成分を添加してもよい。
本発明の接着剤組成物は、上記のとおりに調製した(A)成分と、(B)および(C)成分と、必要に応じて添加される任意成分とを常法に準じて混合することにより調製することができる。(A)〜(C)成分および任意成分を混合する順序は特に限定されず、添加される成分の溶解性や得られる接着剤組成物溶液の粘度を考慮して適宜決められる。例えば、(A)成分を溶剤に溶解した状態で調製した場合、(A)成分の溶剤溶液に(B)および(C)成分ならびに場合により任意成分を添加し混合すればよい。混合には、ポットミル、ボールミル、ホモジナイザー、スーパーミル等を用いることができる。
〔構成〕
本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を有する接着シートは、離型基材と、該離型基材上に設けられた該接着剤層とを有するものである。具体的には、例えば、離型基材と接着剤層とを有する2層構造、もしくは接着剤層と、該接着剤層の両面に設けられた離型基材とを有する3層構造等が挙げられる。フレキシブル印刷配線板製造時の加工方法等に応じて、2層構造および3層構造のいずれかを、適宜、選択すればよい。この接着剤層の厚さとしては、使用目的により任意の厚さを選択できるが、乾燥状態で、10〜50μmが好ましく、より好ましくは15〜35μm、特に好ましくは15〜25μmである。
次に、本発明の接着シートの製造方法について、好ましい実施形態である有機溶剤を用いた場合を一例として説明する。
まず、予め調製された有機溶剤を含有する接着剤組成物溶液を、リバースロールコーター、コンマコーター等を用いて離型基材片面に塗布する。この接着剤組成物を塗布した離型基材をインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理して、接着剤組成物中の有機溶剤を除去することにより、接着剤組成物を半硬化状態とし、2層構造の接着シートとする。さらに、この接着シートの接着剤組成物の塗布面に別の離型基材を、加熱ロールにより、線圧0.2〜20kg/cm、温度40〜120℃の条件で圧着させ、3層構造の接着シートとする。離型基材は使用に際して剥離される。なお、「半硬化状態」とは、組成物が乾燥した状態で、その一部において硬化反応が進行している状態を意味する。
〔構成〕
本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を有するカバーレイフィルムは、電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルム上に設けられた該接着剤層とを有するものである。具体的には、例えば、電気絶縁性フィルムと、接着剤層と、該接着剤層上に設けられた離型基材とを有する3層構造が挙げられる。この接着剤層の厚さとしては、使用目的により任意の厚さを選択できるが、乾燥状態で、10〜50μmが好ましく、より好ましくは15〜35μm、特に好ましくは15〜25μmである。
離型基材は、前記接着シートの項で説明したとおりである。
次に、本発明のカバーレイフィルムの製造方法について、好ましい実施形態である有機溶剤を用いた場合を一例として説明する。
まず、予め調製された有機溶剤を含有する接着剤組成物溶液を、リバースロールコーター、コンマコーター等を用いて電気絶縁性フィルム片面に塗布する。この接着剤組成物を塗布した該フィルムをインラインドライヤーに通して40〜160℃で2〜20分間加熱処理して、接着剤組成物中の有機溶剤を除去することにより、接着剤組成物を半硬化状態とする。次いで、このフィルムの接着剤組成物の塗布面と離型基材とを、加熱ロールにより、線圧0.2〜20kg/cm、温度40〜120℃の条件で圧着させ、カバーレイフィルムとする。離型基材は使用に際して剥離される。
実施例および比較例で用いた(a1)、(a2)、(B)および(C)成分ならびにその他の任意成分としては、具体的には以下のものを用いた。
・エピコート604(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、重量平均分子量:約500、エポキシ当量:約109g/eq)
・エピコート828(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、重量平均分子量:約300、エポキシ当量:約189g/eq)
・エピコート1001(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、重量平均分子量:約1,000、エポキシ当量:約475g/eq)
・エピコート5050(商品名)(ジャパンエポキシレジン製、重量平均分子量:約800、エポキシ当量:約395g/eq、臭素含有率:約50質量%)
・ニポール1072B(商品名)(日本ゼオン製)
・DN631(商品名)(日本ゼオン製)
・XER-91(商品名)(JSR製)
・DDS(4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、分子量:約248、活性水素当量約62g/eq)
・フェノライトJ-325(商品名)(レゾール型フェノール樹脂、大日本インキ化学工業製、活性水素当量約65g/eq)
・ホウフッ化錫の45質量%水溶液(ホウフッ化錫の分子量:約292)
・2E4MZ−CN(商品名)(イミダゾール化合物、四国化成製)
・H43STE(商品名)(水酸化アルミニウム、昭和電工製)
・キスマ5A(商品名)(水酸化マグネシウム、協和化学製)
・ニポール1043(商品名)(カルボキシル基不含有NBR、日本ゼオン製)
・テイサンレジン SG-708-6DR(商品名)(カルボキシル基含有アクリル樹脂、ナガセケムテックス製)
・TPP(トリフェニルホスフィン、分子量:約262)
・カプトン100H(商品名)(東レデュポン製、ポリイミドフィルム、厚さ:25μm)
・Y7TF(商品名)(リンテック製、離型紙、厚さ:約130μm)
・PET38X(商品名)(リンテック製、離型フィルム、厚さ:約38μm)
・HTE(商品名)(三井金属製、電解銅箔)
・RAS22S47(商品名)(信越化学製、フレキシブル印刷配線用基板、カプトン50H/接着剤層の厚さ:13μm/圧延銅箔1/2oz(オンス))
表1に示す配合比(質量部)にて、(a1)エポキシ樹脂、(a2)カルボキシル基含有NBR及び触媒(TPP)を量り取り、不揮発性成分の合計濃度が35質量%となるように、MEK/トルエンの混合溶剤(MEK:トルエン=80:20(質量比))に溶解させて溶液を得、この溶液をボールミルを用いて撹拌しながら、エポキシ樹脂とカルボキシル基含有NBRとを十分に反応させた。なお、エポキシ樹脂とカルボキシル基含有NBRとの反応の進行は、2枚のKBr板の間に反応混合物をはさんで調製した液膜を測定用サンプルとし、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて、反応前後での該混合物の赤外吸収スペクトル変化(反応の進行に伴い、カルボキシル基に帰属される3200cm-1付近および1716cm-1付近の吸収ピークは減少し、エステル結合中のカルボニル基に帰属される1735cm-1付近の吸収ピーク及び水酸基に帰属される3500cm-1付近の吸収ピークは増加する。)を観察することで追跡した。カルボキシル基に帰属される上記吸収ピークが消失したことを確認した時点で、反応は十分に進行して終了したと判断した。また、得られた反応生成物((A)成分)中に含まれる未反応のカルボキシル基を定量するため、反応生成物((A)成分)を、フェノールフタレイン指示薬を用いてアルコール性水酸化ナトリウム標準液で滴定した。
表1に示す配合比(質量部)で、接着剤組成物の各成分を全てまとめて混合し、混合物を調製した。この混合物を、MEK/トルエンの混合溶剤(MEK:トルエン=80:20(質量比))に溶解させ、均一になるようにボールミルを用いて十分に攪拌し、不揮発性成分の合計濃度が35質量%の接着剤組成物(溶液状態)を調製した。なお、(a1)成分と(a2)成分との合計中に含まれる未反応のカルボキシル基を定量するため、(a1)成分と(a2)成分との混合物を、フェノールフタレイン指示薬を用いてアルコール性水酸化ナトリウム標準液で滴定した。
(評価用サンプルの構成)
以下のサンプル1及び2を、160℃、5.0MPa、60分のプレス加工条件で加熱圧着し、剥離強度及び半田耐熱性の評価用サンプルとして用いた。なお、離型基材を剥離してからサンプルを作製した。
サンプル1:接着シートの接着剤層両面を各1枚のRAS22S47のフィルム面で被覆したもの
サンプル2:カバーレイフィルムの接着剤層とHTE箔1oz(1オンス)の光沢面とを接着したもの
1.剥離強度(JIS C6471に準ずる)
・剥離強度A:サンプル1を10mm幅にカットして試験片1を作製し、該試験片1について、25℃の条件下でRAS22S47を90度の方向に50mm/分の速度で連続的に50mm引き剥がしたときの荷重の最低値を測定し、剥離強度とした。
・剥離強度B:サンプル2を10mm幅にカットして試験片2を作製し、該試験片2について、25℃の条件下でHTE箔を90度の方向に50mm/分の速度で連続的に50mm引き剥がしたときの荷重の最低値を測定し、剥離強度とした。
・常態半田耐熱性:サンプル2を25mm角にカットして試験片3を作製し、該試験片3を80℃で10分間乾燥した後、半田浴上に30秒間浮かべた。その後、該試験片3を半田浴から取り出し、該試験片3の外観を目視により確認して、膨れ、剥がれ等の有無を調べた。半田浴の温度を変えて、この操作を繰り返し、該サンプルに膨れ、剥がれ等が生じない最高温度を測定した。
・吸湿半田耐熱性:サンプル2を25mm角にカットして試験片4を作製し、該試験片4を40℃、90%RHで1時間静置した後、半田浴上に30秒間浮かべた。残りの操作は常態半田耐熱性の項で説明したのと同様に行って最高温度を測定した。
接着シート及びカバーレイフィルムを40℃で3ヶ月間保存し、上記と同様の方法で剥離強度と半田耐熱性を評価した。
接着シートから離型基材を除去し、残った接着剤層を180度方向に折り曲げて開いて、接着剤層の折れ、欠けを目視により確認した。接着剤層に折れおよび欠けが認められなかった場合を加工性が良好と評価して○と示し、接着剤層に折れまたは欠けの少なくとも一方が認められた場合を加工性が不良と評価して×と示した。
実施例1〜5で調製した組成物は、本発明の要件を満足するものであって、優れた保存安定性、接着性、半田耐熱性及び加工性を有していた。
一方、比較例1〜6で調製した組成物は、本発明の要件を満足しないものであって、保存安定性、接着性、半田耐熱性及び加工性の少なくとも一種の特性が、実施例で調製したものに比べて劣っていた。
Claims (6)
- (A)(a1)エポキシ樹脂 100質量部と(a2)カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエンゴム 5〜200質量部との反応生成物、
(B)硬化剤 (A)成分を生成するのに用いた(a1)成分100質量部に対し0.1〜80質量部、ならびに
(C)無機充填剤 (A)および(B)成分の合計100質量部に対して5〜100質量部、
を含有してなる接着剤組成物。 - 2つの被着体間に挟まれてこれら被着体を接着する、層状である請求項1に係る組成物。
- 離型基材と、該離型基材上に設けられた請求項1に記載の組成物からなる接着剤層とを有する接着シート。
- 電気絶縁性フィルムと、該電気絶縁性フィルム上に設けられた請求項1に記載の組成物からなる接着剤層とを有するカバーレイフィルム。
- 前記電気絶縁性フィルムがポリイミドフィルムである請求項4に係るカバーレイフィルム。
- 前記接着剤層上に設けられた離型基材を更に有する請求項4又は5に係るカバーレイフィルム。
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