JP4864462B2 - エポキシ系接着剤、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線基板 - Google Patents
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Description
エラストマーとしては、カルボキシ化NBR(なおNBRはアクリロニトリルブタジエンゴムを表す。)やアクリルゴム等が用いられている。
また、カルボキシ化NBRを添加したエポキシ系接着剤は、耐マイグレーション性に劣ることが知られているが、従来のようにプリント基板に設ける配線間隔が広い場合には実用上問題なかった。しかしながら、近年、配線間隔が急速に狭ピッチ化(100μmピッチ以下)するに伴って、耐マイグレーション性の問題が顕在化している。
このマイグレーションが発現する原因は、NBRの重合反応に使用される乳化剤、重合開始剤、pH調製剤、重合停止剤等に由来するNa+、K+、Cl−等が接着剤中に存在することによるものと考えられている。
(1)接着剤塗膜の凝集力を高め、これによりマイグレーションを抑制するもの(例えば、特許文献1、2参照。)。
(2)Na+、K+、Cl−等のイオン性不純物が少ないラジカル重合により合成されるアクリルゴムのエラストマーを使用することにより、マイグレーションを抑制するもの(例えば、特許文献3参照。)。
本発明の請求項2に係るエポキシ系接着剤は、請求項1において、前記ベース樹脂は、さらに、エラストマーと、硬化剤とを含むことを特徴とする。
したがって、本発明のエポキシ系接着剤によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化及び長寿命化に寄与することができる。
そこで、本発明では、金属イオンを捕捉し、安定な錯イオンを形成するキレート剤として、ニトリロトリ酢酸を適量含有することにより、溶出した金属イオンが還元されて金属になり、デンドライトを生成することを妨げ、その結果、耐マイグレーション性を大幅に向上させることを可能にしたものである。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や水素添加物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。臭素化エポキシ樹脂等は、接着剤に難燃性が要求される場合に、特に有効である。また、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)は、感光性を有するので、エポキシ系樹脂組成物に光硬化性を付与するために有効である。また、これらのエポキシ樹脂は、架橋反応するノボラック型フェノール樹脂、ビニルフェノール樹脂、臭素化ビニルフェノール樹脂等と共に用いることもできる。
また、硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂に応じて定められるとともに、硬化剤が通常使用される範囲内において成形条件や特性等に応じて適宜調整される。
充填剤としては、例えば、シリカ、マイカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本発明のエポキシ系接着剤の使用方法としては、エポキシ樹脂、硬化剤、エラストマー等の構成材料と、有機溶剤とを所定量配合し、ポットミル、ボールミル、ホモジナイザー、スーパーミル等を用いて攪拌混合することにより接着剤溶液を調製し、この接着剤溶液を対象物に塗布する方法が用いられる。
この実施形態のカバーレイ1は、絶縁フィルム(フィルム基材)2の片面2aに、本発明のエポキシ系接着剤からなる接着剤層3が設けられてなるものであり、フレキシブルプリント基板において、CCLに形成した回路等の上に積層して、この回路等を絶縁保護するために用いられる。
接着剤層3の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。
本発明のエポキシ系接着剤から接着剤層を形成する方法は、上述したように、塗布等の方法によることができる。
したがって、本発明のカバーレイによれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化および長寿命化に寄与することができる。また、本発明のカバーレイは、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
したがって、本発明のプリプレグによれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化および長寿命化に寄与することができる。また、本発明のプリプレグは、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
この実施形態の金属張積層板4は、本発明のプリプレグからなる接着剤層6が、ベースフィルム5と金属箔7との間に設けられてなるものである。
金属箔7は、銅箔等からなり、所定の回路パターンをなしている。
したがって、本発明の金属張積層板によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化および長寿命化に寄与することができる。また、本発明の金属張積層板は、可撓性を有するから、これをプリント配線基板に適用すれば、プリント配線基板も可撓性を有するものとなる。
この実施形態のプリント配線基板10は、カバーレイ1を、金属張積層板4の金属箔7が設けられている面(金属箔面)に貼着し、カバーレイ1と金属張積層板4とを積層一体化したものである。
カバーレイ1の貼着は、カバーレイ1の接着剤層3と金属張積層板4の金属箔面とが向かい合うように重ね合わせ、熱プレスなどにより一体化させる。熱プレス条件としては、例えば、加熱温度を140〜200℃程度、加熱時間を0.1〜3時間程度とすることができる。
したがって、本発明のプリント配線基板によれば、狭ピッチの配線を要するFPCなどのプリント配線基板を提供することができるので、その結果として、各種電子機器の小型化、高機能化および長寿命化に寄与することができる。また、本発明のプリント配線基板は、可撓性を有するカバーレイと金属張積層板を積層一体化したものであるから、可撓性を有する。
表1および表2に示す配合により、実施例および比較例に係るエポキシ系接着剤を調製した。なお、各表において配合比は、エポキシ樹脂を100質量部とした質量部で表し、ニトリロトリ酢酸の配合割合については、ppmによっても表す。
エポキシ樹脂、エラストマーおよび硬化剤をメチルエチルケトンに溶解、分散させて溶液Aを調製した。
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:エピコート828EL)、エラストマーとしてカルボキシル化NBR(日本ゼオン株式会社製、商品名:ニポール1072)、硬化剤として4,4′−ジアミノジフェニルスルホン(和光純薬社製、試薬特級)を用いた。
また、ニトリロトリ酢酸をメチルエチルケトンに溶解し、5質量%の水溶液Bを調製した。
ニトリロトリ酢酸として、純正化学社製のものを用いた。
固形分(エポキシ樹脂、硬化剤、エラストマー)に対して所定の濃度になるように、溶液Aと水溶液Bを配合し、攪拌混合して、固形分濃度30質量%の接着剤溶液を調製した。
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:K−100V)に乾燥後の厚みが25μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて20分間乾燥することによりカバーレイを得た。
次いで、このカバーレイと、ラインピッチ80μmの櫛形の銅回路パターンを形成した2層銅箔張積層板(有沢製作所社製、商品名:PKW1018RA)とを重ね合わせて、160℃、圧力50kg/cm2にて60分間プレスすることにより、耐マイグレーション性評価用のプリント配線基板を作製した。
(接着性評価基板の作製)
厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名:K−100V)に乾燥後の厚みが25μmとなるように接着剤溶液を塗布し、さらに150℃にて20分間乾燥することによりカバーレイを得た。
次いで、このカバーレイと、回路を形成していない2層銅箔張積層板(有沢製作所社製、商品名:PKW1018RA)とを重ね合わせて、160℃、圧力50kg/cm2にて60分間プレスすることにより、接着性評価基板を作製した。
上記のようにして作製したプリント配線基板を用いて、耐マイグレーション性を評価した。
試験条件としては、85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気下において電極間に50Vの直流電圧を印可し、電極間の絶縁抵抗を測定した。
耐マイグレーション性の評価は、絶縁抵抗値により行い、試験開始後1000時間経過後、絶縁抵抗値が107Ω以上の場合を合格(○)、1000時間未満で絶縁抵抗値が107Ω未満になった場合を不合格(×)と評価した。
(接着性の評価)
上記のようにして作製した接着性評価基板を用いて、接着性を評価した。
試験サンプルは、作製した接着性評価用基板を幅5mm、長さ100mmに切断し、一方の端部のカバーレイと2層銅箔張積層板を剥離した。
次に、この接着性評価基板を構成する2層銅箔張積層板を水平な板に固定するとともに、2層銅箔張積層板に対して90°の方向に剥離させたカバーレイを、引張試験機を用いて引っ張り、この時の強度を測定した。強度が7N/cm以上の場合を合格(○)、7N/cm未満の場合を不合格(×)とした。
結果を表1および表2に示す。
一方、表2の結果から、比較例1では、ニトリロトリ酢酸が含まれていないから、プリント配線基板に設けられた銅回路の短絡時間は合格基準の半分の500時間であった。比較例2では、エポキシ樹脂を含有するベース樹脂とニトリロトリ酢酸の総量を1とした際に、この総量1に対して、ニトリロトリ酢酸が5ppmであるから、ニトリロトリ酢酸の添加効果が見られず、プリント配線基板に設けられた銅回路の短絡時間は短かった。さらに、比較例3では、エポキシ樹脂を含有するベース樹脂とニトリロトリ酢酸の総量を1とした際に、この総量1に対して、ニトリロトリ酢酸が6000ppmであるから、絶縁抵抗の低下が認められた。
すなわち、実施例1〜3においては、ベース樹脂に含まれる何らかの成分により銅回路から溶出した銅イオンが、エポキシ系接着剤中のニトリロトリ酢酸により捕捉されて安定なキレート化合物を形成し、陰極側での銅の析出(デンドライトの生成)が抑えられたと考えられる。
しかしながら、比較例1においては、ニトリロトリ酢酸が含まれていないから、ニトリロトリ酢酸による銅イオンの捕捉効果が発揮されない。また、比較例2においては、ニトリロトリ酢酸の含有量が少なすぎて、ニトリロトリ酢酸による銅イオンの捕捉効果が十分に発揮されないと考えられる。また、比較例3においては、ニトリロトリ酢酸の含有量が多すぎて、ニトリロトリ酢酸によりエポキシ系接着剤の酸性度が高くなり過ぎて、銅イオンの捕捉効果以上に、銅回路の溶解を促進する作用が大きくなってしまったためであると考えられる。
Claims (6)
- エポキシ樹脂に硬化剤を含有してなるベース樹脂、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム及びニトリロトリ酢酸を構成物としてなるエポキシ系接着剤であって、
前記構成物の総量を1とした際に、該総量1に対して、前記ニトリロトリ酢酸を100ppm以上、5000ppm以下としたことを特徴とするエポキシ系接着剤。 - 前記ベース樹脂は、さらに、エラストマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のエポキシ系接着剤。
- 絶縁フィルムの片面に接着剤層を設けてなるカバーレイにおいて、
前記接着剤層を構成する接着剤が、エポキシ樹脂に硬化剤を含有してなるベース樹脂、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム及びニトリロトリ酢酸を構成物としてなるエポキシ系接着剤であって、前記構成物の総量を1とした際に、該総量1に対して、前記ニトリロトリ酢酸を100ppm以上、5000ppm以下としたことを特徴とするカバーレイ。 - ガラスクロスにエポキシ系接着剤を含浸させてなるプリプレグにおいて、
前記エポキシ系接着剤が、エポキシ樹脂に硬化剤を含有してなるベース樹脂、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム及びニトリロトリ酢酸を構成物としてなるエポキシ系接着剤であって、前記構成物の総量を1とした際に、該総量1に対して、前記ニトリロトリ酢酸を100ppm以上、5000ppm以下としたことを特徴とするプリプレグ。 - ベースフィルムと金属箔との間に接着剤層を設けてなる金属張積層板において、
前記接着剤層を構成する接着剤が、ガラスクロスにエポキシ系接着剤を含浸させてなるプリプレグであって、前記エポキシ系接着剤が、エポキシ樹脂に硬化剤を含有してなるベース樹脂、カルボキシ化ニトリルブタジエンゴム及びニトリロトリ酢酸を構成物としてなるエポキシ系接着剤であって、前記構成物の総量を1とした際に、該総量1に対して、前記ニトリロトリ酢酸を100ppm以上、5000ppm以下としたことを特徴とする金属張積層板。 - 請求項3に記載のカバーレイを、請求項5に記載の金属張積層板の金属箔面に貼着してなることを特徴とするプリント配線基板。
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