JP4737167B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置およびこれを備えるレーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
レーザプリンタなどの画像形成装置には、用紙に転写されたトナーをその用紙に定着させる定着装置が設けられている。定着装置は、加熱ローラと、加熱ローラに押圧状態で配置される加圧ローラとを備えている。トナーが転写された用紙は、加熱ローラと加圧ローラとの間を搬送される。そして、用紙が加熱ローラと加圧ローラとの間を通過する間に、加熱および加圧によりトナーが用紙に定着する。
この種の定着装置では、用紙が加熱ローラまたは加圧ローラの周面に沿って湾曲する、いわゆる用紙カールを生じることが知られている。用紙カールは、用紙詰まり(搬送不良)の原因や排紙トレイ上での用紙のスタック状態が乱れる原因となる。
そこで、加圧ローラを加熱ローラに対して移動可能(位置変更可能)に設け、用紙カールの状態(用紙のトナー転写面が凹湾曲または凸湾曲した状態)に応じて、加熱ローラに対する加圧ローラの位置を変更することにより、用紙カールの修正を図るようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開昭64−9484号公報
しかし、前記の提案に係る構成では、モータと、モータの駆動力を加圧ローラの移動力に変換するための機構(ラックピニオン機構など)とが備えられており、装置のサイズが大きくなってしまう。また、装置の小型化のために、加圧ローラの移動のためのモータなどを省略し、加圧ローラを手で移動させるようにすることが考えられるが、この場合、加熱ローラに対する加圧ローラの摺動抵抗以上の大きな力を加えなければならず、その操作性が良くない。
そこで、本発明の目的は、加圧部材と加熱ローラとの相対位置を変更するときの手動操作性に優れた、定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、定着装置において、加熱ローラと、前記加熱ローラに対向配置される加圧部材と、前記加圧部材を押圧し、前記加圧部材を前記加熱ローラに圧接させる押圧部材と、前記押圧部材による前記加圧部材の押圧を解除する解除部材と、前記加熱ローラを保持する第1フレームと、前記加圧部材を保持し、少なくとも前記押圧部材による前記加圧部材の押圧が解除された状態にあるときに、前記周方向において、前記加熱ローラに対する前記加圧部材の対向位置が変更可能なように、前記押圧部材に変位可能に支持された第2フレームと、前記第2フレームに設けられ、前記押圧部材と係合することで、前記第2フレームを前記第1フレームに対して位置決めするための位置決め部材とを備え、前記位置決め部材には、前記第2フレームを前記周方向における複数の位置で位置決めするための複数の位置決め部が、前記周方向に並べて形成され、前記加圧部材は、前記第2フレームがいずれかの前記位置決め部に対応する位置に位置決めされ、かつ、前記押圧部材による押圧が前記解除部材により解除されていないときに、前記加熱ローラに圧接されることを特徴としている。
求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記位置決め部材には、複数の凹部および凸部が前記周方向に交互に形成されており、前記位置決め部は、前記凹部であり、前記押圧部材は、前記凹部に係合する係合片を備えていることを特徴としている。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記係合片は、前記凹部の底面と非接触な状態で前記凹部に係合するように構成されたことを特徴としている。
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記位置決め部材は、前記加熱ローラの軸方向における前記第2フレームの両端部に設けられていることを特徴としている。
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記位置決め部材は、前記第2フレームに対して移動可能に設けられており、前記定着装置は、前記押圧部材を付勢し、前記押圧部材を前記第2フレームに押圧させるための第1付勢部材と、前記位置決め部材を前記第1付勢部材による付勢方向と反対方向に付勢する第2付勢部材とを備えていることを特徴としている。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、前記押圧部材は、前記周方向における少なくとも2つの位置で、前記第2フレームに当接することを特徴としている。
請求項に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜のいずれか一項に記載の定着装置を備えていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも加圧部材の加熱ローラに対する押圧が解除された状態において、加圧部材が加熱ローラに対して変位可能に構成されているので、加熱ローラに対する加圧部材の位置を容易に変更することができる。したがって、加圧部材と加熱ローラとの相対位置を変更するときの手動操作性に優れている。
また、加圧部材を保持する第2フレームが押圧部材に係合することによって、加圧部材が第1フレーム(加熱ローラ)に位置決めされる構成となっているので、加圧部材を加熱ローラに精度良く位置決めすることができる。
また、位置決め部材には、複数の位置決め部が熱ローラの回転軸線を中心とする周方向に並べて形成されている。そして、各位置決め部において、第2フレームが位置決めされる。そのため、第2フレームを、周方向における複数の位置に位置決めすることができる。その結果、加圧部材を熱ローラに対して複数の各位置で精度よく配置することができる。
請求項に記載の発明によれば、位置決め部材に形成されている凹部が位置決め部をなし、押圧部材に備えられる係合片が凹部に係合することにより、第2フレームを第1フレームに対して位置決めすることができる。
請求項に記載の発明によれば、係合片が凹部に係合した状態で、係合片と凹部の底面とが接触していない。そのため、押圧部材から係合片を介して位置決め部材に力が加わることがない。その結果、位置決め部材を介して加圧部材に不要な力が加わることが防止されるので、加圧部材を確実に加熱ローラに押圧することができる。
請求項に記載の発明によれば、加熱ローラの軸方向における第2フレームの両端部に位置決め部材が設けられているので、第2フレームを第1フレームに対してその両端部で位置決めすることができる。そのため、第1フレームに対する第2フレームの高精度な位置決めを達成することができる。
請求項に記載の発明によれば、押圧部材は、第1付勢部材により付勢されている。位置決め部材は、第2フレームに対して移動可能に設けられ、第2付勢部材により第1付勢部材による付勢方向と反対方向に付勢されている。すなわち、押圧部材および位置決め部材は、それぞれ第1付勢部材および第2付勢部材によって、互いに近接し合う方向に付勢されている。そのため、押圧部材と位置決め部材との係合が外れにくく、位置決め部材による第1フレームに対する第2フレームの位置決め状態を良好に維持することができる。
請求項に記載の発明によれば、加熱ローラの周方向において、加圧部材を加熱ローラに対してバランスの良い押圧状態で接触させることができる。
請求項に記載の発明によれば、画像形成装置のサイズの小型化を図ることができながら、定着装置における優れた手動操作性を確保することができる。
1.レーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの側断面図である。
画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、フィーダ部3および画像形成部4を備えている。
本体ケーシング2の一方側の側壁には、フロントカバー5がその下端部を支点として開閉可能に設けられている。フロントカバー5を開くと、本体ケーシング2の内部空間が開放される。この状態で、プロセスカートリッジ13(後述)を、本体ケーシング2の内部空間に着脱させることができる。フロントカバー5を閉じると、本体ケーシング2の内部空間が閉鎖される。
なお、以下の説明では、フロントカバー5が設けられる一方側(図1における右側)を前側とし、その反対側(図1における左側)を後側とする。また、レーザプリンタ1を前側から見たときを基準として左右を規定する。さらに、プロセスカートリッジ13および現像カートリッジ19(後述)に関しても、本体ケーシング2に対する装着状態を基準として前後左右上下を規定する。
(1)フィーダ部
フィーダ部3は、給紙トレイ6、給紙ローラ7、給紙パッド8、ピックアップローラ9、ピンチローラ10および1対のレジストローラ11を備えている。
給紙トレイ6内には、記録シートの一例としての用紙Pがスタックされている。給紙トレイ6内の最上位にある用紙Pは、ピックアップローラ9によって、給紙ローラ7と給紙パッド8との間に向けて送り出される。その送り出された用紙Pは、給紙ローラ7と給紙パッド8との間、給紙ローラ7とピンチローラ10との間を順に通過し、レジストローラ11に搬送される。そして、用紙Pは、レジストローラ11によって、レジスト後に、画像形成部4の転写位置(後述)へ向けて搬送される。
(2)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット12、プロセスカートリッジ13および定着装置の一例としての定着ユニット14を備えている。
(2−1)スキャナユニット
スキャナユニット12は、本体ケーシング2内の上部に配置されている。スキャナユニット12は、レーザ(図示せず)、ポリゴンミラー15、複数のレンズ16および複数の反射鏡17を備えており、鎖線で示すように、プロセスカートリッジ13の感光ドラム20(後述)に向けてレーザビームを出射する。
(2−2)プロセスカートリッジ
プロセスカートリッジ13は、スキャナユニット12の下方に配置されている。プロセスカートリッジ13は、ドラムカートリッジ18と、そのドラムカートリッジ18に着脱自在に装着される現像カートリッジ19とを備えている。
ドラムカートリッジ18には、感光ドラム20が回転可能に設けられている。また、ドラムカートリッジ18において、感光ドラム20の周囲には、スコロトロン型帯電器21および転写ローラ22が配置されている。
現像カートリッジ19は、筐体23内に、アジテータ24、供給ローラ25、現像ローラ26および層厚規制ブレード27を備えている。
筐体23内には、トナー収容室28と現像室29とが前後に並んで形成されている。トナー収容室28と現像室29とは、連通口30により連通されている。
トナー収容室28には、非磁性一成分の正帯電の重合トナーが収容されている。
アジテータ24は、トナー収容室28内に設けられている。
供給ローラ25は、現像室29内において、連通口30の後方に設けられている。
現像ローラ26は、現像室29内に設けられ、供給ローラ25に対して後側から圧接している。
層厚規制ブレード27は、左右方向に延びる板状に形成されている。層厚規制ブレード27の基端部は、筐体23に固定され、その遊端部は、現像ローラ26の周面に圧接している。
(2−3)現像・転写動作
トナー収容室28内のトナーは、アジテータ24の回転により、トナー収容室28内で攪拌されつつ、その一部が連通口を介して現像室29内の供給ローラ25に供給される。供給ローラ25に供給されたトナーは、供給ローラ25の回転により、現像ローラ26に供給される。このとき、トナーは、供給ローラ25と現像バイアスが印加されている現像ローラ26との間で正極性に摩擦帯電される。こうして現像ローラ26に供給されたトナーは、現像ローラ26の回転に伴って、層厚規制ブレード27により厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ26の周面上に担持される。
一方、感光ドラム20の表面は、感光ドラム20の回転に伴って、スコロトロン型帯電器21により一様に正帯電される。そして、その正帯電した感光ドラム20の表面に、スキャナユニット12からのレーザビームが選択的に照射されることにより、画像データに基づく静電潜像が形成される。
感光ドラム20の回転により、感光ドラム20の表面に形成されている静電潜像が現像ローラ26と対向すると、現像ローラ26の表面に担持されている正帯電トナーが、その静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光ドラム20の表面にトナー像が担持される。そして、トナー像は、感光ドラム20と転写ローラ22との間(転写位置)に搬送されてくる用紙P上に転写される。
(3)定着ユニット
定着ユニット14は、プロセスカートリッジ13の後方に設けられている。定着ユニット14は、加熱部材の一例としての加熱ローラ31と、加熱ローラ31に下方から圧接される加圧部材の一例としての加圧ローラ32とを備えている。加熱ローラ31は、表面がフッ素樹脂によってコーティングされている金属管と、その金属管内に挿入されている加熱のためのハロゲンランプとを備えている。加圧ローラ32は、金属製のローラ軸31Aをゴム材料で被覆した構成を有している。
用紙Pに転写されたトナー像は、定着ユニット14において、その用紙Pが加熱ローラ31と加圧ローラ32との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに定着する。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、排紙ローラ33に向けて搬送され、排紙ローラ33によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ34上に排紙される。
2.定着ユニットの詳細
図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)は、定着ユニット14を一部切断して示す右側面図である。図5および図6は、定着ユニット14の背面図(後側から見た図)である。
(1)フレーム
定着ユニット14は、加熱ローラ31を回転可能に保持する第1フレームの一例としての上フレーム41と、加圧ローラ32を回転可能に保持する第2フレームの一例としての下フレーム42とを備えている。上フレーム41と下フレーム42とは、互いに連結されておらず、下フレーム42は、上フレーム41に対して、加熱ローラ31の周方向に移動可能に設けられている。
(1−1)上フレーム
上フレーム41は、樹脂からなり、左右1対の側壁43、上壁44、前壁45および後壁46を一体的に備えている。
1対の側壁43は、図5および図6に示すように、左右方向に間隔を空けて対向配置されている。各側壁43には、たとえば、図2(a)に示すように、加熱ローラ31の端部を受け入れる切欠部47が形成されている。
各側壁43の前側部位には、押圧部材72(後述)を支持するための押圧部材支持部48が設けられている。また、各側壁43の後端部には、コイルばね77(後述)を収容する四角筒状のばね収容部49が設けられている。
上壁44は、両側壁43の各上端部の間に架設されている。
前壁45は、両側壁43の各前側部位の間に架設されている。前壁45の前面には、用紙Pを加熱ローラ31と加圧ローラ32との間に誘導するための複数の用紙誘導リブ50が、左右方向に適当な間隔を空けて並べて設けられている。各用紙誘導リブ50は、前方に向けて突出し、下方ほどその突出量が小さくなる三角形板状に形成されている。
後壁46は、両側壁43の後端部間に架設されている。後壁46には、ローラ保持部51が設けられている。ローラ保持部51は、後壁46のほぼ全幅から後方に向けて突出している。ローラ保持部51の先端部には、図5および図6に示すように、定着処理後の用紙Pの搬送を案内するためのローラ52が、左右方向に適当な間隔を空けた複数の位置に、それぞれ回転自在に保持されている。また、ローラ保持部51の下面には、各ローラ52と対応する位置に、加熱ローラ31の周面から用紙Pを剥離するための側面視略三角形状の用紙剥離爪84が設けられている。
(1−2)下フレーム
下フレーム42は、金属板を折曲加工して形成され、図2〜図4に示すように、前壁53、底壁54、後壁55および左右1対の側壁56を一体的に備えている。
前壁53は、加圧ローラ32に対して前側から対向している。
底壁54は、前壁53の下端縁から後方に向けて延びる略矩形状に形成されている。底壁54は、図5および図6に示すように、左右方向の幅が前壁53の左右方向の幅よりも短く形成され、底壁54の左右端縁と左右の側壁56との間には、スペース57が形成されている。
後壁55は、底壁54の後端縁から上方に延びている。後壁55の上端部には、それぞれ左側および右側へと延びる一対の延出部58が形成されている。
各側壁56は、後壁55の延出部58の先端縁から前方に屈曲し、前後方向に延びている。各側壁56には、たとえば、図2(a)に示すように、その上端縁から下方に向かって略U字状に切り欠かれることによって、軸受収容部59が形成されている。軸受収容部59には、樹脂製の軸受部材60が嵌合されて固定されている。そして、軸受部材60に加圧ローラ32の回転軸32aが回転自在に挿通されることにより、加圧ローラ32は、両側壁56間に回転自在に保持されている。
(2)位置決め部材
下フレーム42の各側壁56の外側(左側壁56の左側、右側壁56の右側)には、たとえば、図2(a)に示すように、金属板を折曲加工して形成される位置決め部材61が設けられている。各位置決め部材61は、加圧ローラ32の軸方向において側壁56に外側から対向する本体部62と、本体部62の下端縁の中央部分から下フレーム42の底壁54と側壁56との間のスペース57に向けて延びる操作部63とを一体的に備えている。
本体部62には、図2(b)に示すように、前後方向の中央部に、加熱ローラ31と加圧ローラ32との対向方向(略上下方向)に長い長穴64が形成されている。長穴64には、下フレーム42の側壁56に突設されたボス65が遊嵌状態で挿通されている。ボス65の先端部には、略C字状の樹脂製のストッパ66が固着されている。また、本体部62には、長穴64の前後にそれぞれ間隔を空けた位置に、加熱ローラ31と加圧ローラ32との対向方向(長穴64の長径方向)に長い長穴67が形成されている。各長穴67には、下フレーム42の側壁56に突設されたボス68が遊嵌状態で挿通されている。これにより、位置決め部材61は、下フレーム42の側壁56に対して、脱落不能、かつ加熱ローラ31と加圧ローラ32との対向方向に移動可能に設けられている。
本体部62の下端縁は、操作部63の前後両側において、加熱ローラ31の回転軸線を中心とする円弧状に形成されている。そして、本体部62の下端縁から下方に向けて突出する凸部69が互いに間隔を空けて複数形成されることにより、本体部62には、各凸部69に隣接する凹部からなる位置決め部70が加熱ローラ31の周方向(以下、単に「周方向」という場合がある。)に沿って並んで形成されている。各位置決め部70は、底面が下フレーム42の側壁56の下端部56aよりも上方に位置し、その底面に後述する係合片80,81が接触しないような深さに形成されている。
各操作部63は、略矩形状に形成されている。各操作部63の加圧ローラ32との対向面には、第2付勢部材の一例としての板ばね71の一端部が固定されている。板ばね71の他端部は、下フレーム42の前壁53に固定されている。これにより、位置決め部材61は、板ばね71により、下方に向けて(後述するコイルばね77の付勢方向と反対方向に)付勢されている。また、板バネ71の一端部は、各操作部63の加圧ローラ32との対向面に当接しているだけであってもよい。
(3)押圧部材
各位置決め部材61の外側には、金属板を折曲加工して形成される押圧部材72が設けられている。各押圧部材72は、側面視略V字状の本体部73と、2つの係合部74,75とを一体的に備えている。
本体部73は、加圧ローラ32の回転軸方向において、下フレーム42の側壁56に外側から対向している。本体部73の略V字状の一端部は、上フレーム41の押圧部材支持部48に入り込んでいる。押圧部材支持部48には、左右方向に延びる支持軸(図示せず)が設けられており、本体部73の一端部は、その支持軸に回転可能に支持されている。一方、たとえば、図3(a)に示すように、本体部73の略V字状の他端部には、鉤部76が形成されている。鉤部76には、上フレーム41のばね収容部49に収容された第1付勢部材の一例としてのコイルばね77の一端が係止されている。コイルばね77の他端は、ばね収容部49に係止されており、コイルばね77は、両端が近接する方向、つまり鉤部76を上フレーム41に近接させる方向の弾性力を有している。
本体部73の一端部と他端部との間には、側面視略U字状の切欠78が形成されている。この切欠78には、軸受部材60が入り込んでおり、これによって、下フレーム42の周方向移動量が規制されている。
また、切欠78の前後両側には、下フレーム42の側壁56に向けて延びる爪部79が形成されている。各爪部79は、軸受部材60に上方から対向している。これにより、下フレーム42は、4つの爪部79と次に述べる係合部74,75との間に、遊びを有する状態で脱落不能に設けられている。
係合部74は、本体部73の下端部の前側部分から下方に延び、位置決め部材61の操作部63に前側から対向するように屈曲する、底面視略L字状に形成されている。係合部74の先端部(操作部63に対向する部分)80は、その上端から矩形状に切り欠かれることにより、位置決め部材61の本体部62の下端縁に下方から対向している。そして、その先端部80は、位置決め部材61に板ばね71の付勢力以外の力が加えられていない状態で、位置決め部材61の位置決め部70に入り込み、位置決め部(凹部)70と係合する係合片をなしている。
係合部75は、本体部73の下端部の後側部分から下方に延びている。係合部75は、その下端部の前端縁から位置決め部材61に向けて延びる係合片81を備えている。係合片81は、位置決め部材61の本体部62の下端縁に下方から対向し、位置決め部材61に板ばね71の付勢力以外の力が加えられていない状態で、位置決め部材61の位置決め部70に入り込んでいる。
各押圧部材72は、コイルばね77の弾性力により、本体部73の一端部を支点として、本体部73の他端部が近接する方向に付勢されている。この付勢によって、各押圧部材72の係合片80,81は、下フレーム42の側壁56の下端部56aに当接し、下フレーム42を上フレーム41近接する方向に押圧する。これにより、下フレーム42に保持されている加圧ローラ32が上フレーム41に保持されている加熱ローラ31に押圧状態で接触し、いわゆるニップ状態となる。
(4)解除部材
各押圧部材72には、加熱ローラ31に対する加圧ローラ32の押圧状態を解除するための解除部材82が取り付けられている。解除部材82は、樹脂からなり、側面視略L字状に形成されている。解除部材82の屈曲部分には、押圧部材72から外側に延びる支持軸83が挿通されている。解除部材82は、支持軸83に、その長片部分が下方に延び、短片部分が上フレーム41の側壁43に間隔を空けて対向する第1状態(図2(a)および図2(b)参照)と、長片部分が後方に延び、短片部分の先端が上フレーム41の側壁43に当接する第2状態(図3(a)、図3(b)、図4(a)および図4(b)参照)とに揺動可能に支持されている。
(5)加圧ローラ32の加熱ローラ31に対する接触位置変更動作
図2(a)に示すように、各解除部材82が第1状態にあるとき、各解除部材82が上フレーム41の側壁43に接触していないので、各押圧部材72には、コイルばね77の弾性力のみが作用している。そのため、各押圧部材72により下フレーム42が押圧され、加圧ローラ32が加熱ローラ31に押圧状態で接触する。
図3(a)に示すように、各解除部材82を第1状態から第2状態に変位させると、各解除部材82が上フレーム41の側壁43に当接し、各解除部材82により上フレーム41が押されることにより、上フレーム41と各押圧部材72とがコイルばね82の弾性力に抗して離間する。その結果、加圧ローラ32が加熱ローラ31から離間する方向に少し移動し、加熱ローラ31に対する加圧ローラ32の押圧状態が解除され、加圧ローラ32が加熱ローラ31に対して離間または弱い力で接触するリリース状態となる。
図4(a)に示すように、リリース状態において、各位置決め部材61の操作部63を板ばね71の付勢力に抗して押圧すると(加圧ローラ32側に押圧すると)、各位置決め部材61が上方に移動し、各押圧部材72の係合片80,81が位置決め部70から離脱する。これにより、係合片80,81が位置決め部70に係合することによる下フレーム42の位置決め状態が解除され(ストッパリリース)、下フレーム42を、上フレーム41に対して、加熱ローラ31の周方向に移動させることができる。
この上フレーム41に対する下フレーム42の移動によって、リリース状態において加圧ローラ32を加熱ローラ31の周方向に移動させることができる。例えば、図4(b)に示すように、加圧ローラ32を加熱ローラ31に対して、図4(a)に示す状態よりも、周方向に沿って後側へ移動させることができる。
図4(b)に示すリリース状態から、各解除部材82を第2状態から第1状態に変位させると、図2(b)に示すように、加圧ローラ32が加熱ローラ31に押圧されて、加圧ローラ32と加熱ローラ31とが接触状態となる。図4(b)において、加圧ローラ32は、図4(a)に示した状態よりも、周方向に沿った後側において、加熱ローラ31と接触している。
加圧ローラ32を加熱ローラ31に対して、周方向に沿って前側に移動する場合も、上記と同様の操作で行うことができる。
3.効果
以上のように、少なくとも加圧ローラ32の加熱ローラ31に対する押圧が解除された状態において、加圧ローラ32が加熱ローラ31に対して変位可能に構成されているので、加熱ローラ31に対する加圧ローラ32の位置を容易に変更することができる。したがって、加圧ローラ32と加熱ローラ31との相対位置を変更するときの手動操作性に優れている。そして、加熱ローラ31に対する加圧ローラ32の位置を容易に変更することができるので、用紙Pのカール状態に応じて、容易にそのカールを修正することができる。
さらに、押圧状態を解除することによって、上フレーム41と下フレーム42とを小さな力で相対的に移動させることができる。そのため、上フレーム41と下フレーム42とを相対的に移動させるためのモータなどが不要であり、定着ユニット14のサイズの小型化を図ることができながら、加圧ローラ32と加熱ローラ31との相対位置を変更するための優れた手動操作性を確保することができる。そして、定着ユニット14のサイズの小型化を図ることにより、レーザプリンタ1のサイズの小型化を図ることができる。
また、加圧ローラ32を保持する下フレーム42が押圧部材72に係合することによって、加圧ローラ32が上フレーム41(加熱ローラ31)に位置決めされる構成となっているので、加圧ローラ32を加熱ローラ31に精度良く位置決めすることができる。
位置決め部材61には、複数の位置決め部70が加熱ローラ31の周方向に沿って並べて形成されている。そして、各位置決め部70において、下フレーム42が位置決めされる。そのため、下フレーム42を、周方向に沿った複数の位置に位置決めすることができる。その結果、加圧ローラ32を、加熱ローラ31に対して複数の各位置で精度よく配置することができる。
定着ユニット14では、位置決め部材61に形成されている凹部が位置決め部70をなし、押圧部材72に備えられる係合片80,81が凹部に係合することにより、下フレーム42を上フレーム41に対して位置決めすることができる。
そして、係合片80,81が凹部(位置決め部70)に係合した状態で、係合片80,81と凹部の底面とが接触していない。そのため、押圧部材72から係合片80,81を介して位置決め部材61に力が加わることがない。その結果、位置決め部材61を介して加圧ローラ32に不要な力が加わることが防止されるので、加圧ローラ32を確実に加熱ローラ31に押圧することができる。
また、下フレーム42における加圧ローラ32の軸方向の両端部に位置決め部材61が設けられているので、下フレーム42を上フレーム41に対してその両端部で位置決めすることができる。そのため、上フレーム41に対する下フレーム42の高精度な位置決めを達成することができる。
押圧部材72は、コイルばね77により付勢されている。位置決め部材61は、下フレーム42に対して移動可能に設けられ、板ばね71によりコイルばね77による付勢方向と反対方向に付勢されている。すなわち、押圧部材72および位置決め部材61は、それぞれコイルばね77および板ばね71によって、互いに近接し合う方向に付勢されている。そのため、押圧部材72と位置決め部材61との係合が外れにくく、位置決め部材61による上フレーム41に対する下フレーム42の位置決め状態を良好に維持することができる。
また、押圧部材72は、下フレーム42に対して加熱ローラ31の周方向における2つの位置(係合片80,81)で当接する。そのため、加熱ローラ31の周方向において、加圧ローラ32を加熱ローラ31に対してバランスの良い押圧状態で接触させることができる。
4.他の実施形態
画像形成装置の一例として、モノクロカラーレーザプリンタを挙げたが、本発明に係る画像形成装置は、カラーレーザプリンタ(タンデムタイプ、中間転写タイプを含む。)として構成することもできる。
また、加熱部材の一例として、加熱ローラ31を取り上げたが、加熱部材は、フィルム定着方式で用いられるフィルムであってもよいし、加熱ローラにフィルムが張られた構成のものであってもよい。
また、加圧部材としては、加圧ローラ32に限らず、ローラにベルトが張られた構成のものであってもよい。
本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの側断面図である。 ニップ状態の定着ユニットを一部切断して示す右側面図であり、(a)は、圧ローラが相対的に前側に配置された状態を示し、(b)は、圧ローラが相対的に後側に配置された状態を示す。 リリース状態の定着ユニットを一部切断して示す右側面図であり、(a)は、圧ローラが相対的に前側に配置された状態を示し、(b)は、圧ローラが相対的に後側に配置された状態を示す。 リリース状態でストッパリリースされた定着ユニットを一部切断して示す右側面図であり、(a)は、圧ローラが相対的に前側に配置された状態を示し、(b)は、圧ローラが相対的に後側に配置された状態を示す。 ニップ状態の定着ユニットの背面図(後側から見た図)である。 リリース状態の定着ユニットの背面図である。
符号の説明
1 レーザプリンタ
31 熱ローラ
32 圧ローラ
41 上フレーム
42 下フレーム
61 位置決め部材
69 凸部
70 位置決め部
72 押圧部材
80 係合片
81 係合片
82 解除部材
P 用紙

Claims (7)

  1. 加熱ローラと、
    前記加熱ローラに対向配置される加圧部材と、
    前記加圧部材を押圧し、前記加圧部材を前記加熱ローラに圧接させる押圧部材と、
    前記押圧部材による前記加圧部材の押圧を解除する解除部材と
    前記加熱ローラを保持する第1フレームと、
    前記加圧部材を保持し、少なくとも前記押圧部材による前記加圧部材の押圧が解除された状態にあるときに、前記周方向において、前記加熱ローラに対する前記加圧部材の対向位置が変更可能なように、前記押圧部材に変位可能に支持された第2フレームと、
    前記第2フレームに設けられ、前記押圧部材と係合することで、前記第2フレームを前記第1フレームに対して位置決めするための位置決め部材とを備え、
    前記位置決め部材には、前記第2フレームを前記周方向における複数の位置で位置決めするための複数の位置決め部が、前記周方向に並べて形成され、
    前記加圧部材は、前記第2フレームがいずれかの前記位置決め部に対応する位置に位置決めされ、かつ、前記押圧部材による押圧が前記解除部材により解除されていないときに、前記加熱ローラに圧接されることを特徴とする、定着装置。
  2. 前記位置決め部材には、複数の凹部および凸部が前記周方向に交互に形成されており、
    前記位置決め部は、前記凹部であり、
    前記押圧部材は、前記凹部に係合する係合片を備えていることを特徴とする、請求項に記載の定着装置。
  3. 前記係合片は、前記凹部の底面と非接触な状態で前記凹部に係合するように構成されたことを特徴とする、請求項に記載の定着装置。
  4. 前記位置決め部材は、前記加熱ローラの軸方向における前記第2フレームの両端部に設けられていることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記位置決め部材は、第2フレームに対して移動可能に設けられており、
    前記押圧部材を付勢し、前記押圧部材を前記第2フレームに前記押圧させるための第1付勢部材と、
    前記位置決め部材を前記第1付勢部材による付勢方向と反対方向に付勢する第2付勢部材とを備えていることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記押圧部材は、前記周方向における少なくとも2つの位置で、前記第2フレームに当接することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
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