JP4732576B2 - ポリビニルアルコールフィルムの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光フィルムの製造原料として有用な筋状の欠点がないポリビニルアルコールフィルムを得るための製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、高精細化のため異物等による欠点がないことや、筋状の欠点などの厚み斑に起因する色斑が少ないことが要求されている。
【0003】
一般に偏光板は、ポリビニルアルコールフィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢酸セルロース(TAC)膜などの保護膜を貼り合わせた構成をしている。その際にPVAフィルムに筋状の厚み斑があると、得られた偏光板にも色斑が発生するため光学的品質が低下する。
【0004】
フィルムやシート等を製造するときには、ポリビニルアルコール樹脂を含む製膜原料を押出機やタンクで溶解した後脱泡し、さらに濾過フィルターで異物を濾過した後に所定形状の吐出口を有する押出ダイから押し出すことにより、所望形状に成形する押出成形が広く一般的に行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のいずれの押出ダイも、長期間にわたって連続的にPVAを含む製膜原料を押出製膜する場合には、厚み異常である筋状の欠点を生じやすい。すなわち、流路面に樹脂等が付着して局部的な滞留を起こし、時間の経過とともに、それらの滞留物の蓄積が製膜原料の流れを部分的に阻害するため、フィルムの厚み異常である筋状の欠点を生じさせる。このようなPVAフィルムを用いて偏光板を作製することが、色斑の原因の一つとなっていた。
【0006】
そこで本発明の目的は、長期間にわたって連続運転を行っても、製膜原料が通過する濾過フィルターからダイにいたる流路面での製膜原料の滞留や付着を防止できて、筋状の欠点などが少なくて厚み均一性に優れた偏光フィルムの製造原料として有用なPVAフィルムの製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、PVAを含有する製膜原料を押出製膜する方法において、製膜原料が通過する1〜5μmの濾過フィルターとダイとの間に配置された配管における流路面が研磨されており、当該流路面の表面粗さの最大高さが0.5μm以下とされていることを特徴とする偏光フィルム製造用PVAフィルムの製造法である。
【0008】
以上の製造法によれば、製膜原料の滞留または付着を防止し、筋状の欠点などを少なくして厚み均一性に優れた偏光フィルムの製造原料として有用なPVAフィルムが得られる。
【0009】
前記ダイとしては、流路面がメッキされたものが好適に用いられる。これによれば、前記流路面への樹脂の滞留又は付着がより顕著に減少して、より厚み均一性に優れた偏光フィルム製造用PVAフィルムが得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の製造法に用いるPVAフィルムの製造装置の一例として、含水PVA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融して押し出す溶融押出製膜機の要部を示している。この製膜機は、図示しない押出機から押出されてきた溶融PVA(製膜原料)を例えば円筒形の濾過フィルタ7で異物を濾過した後に、配管8などを介してダイ1に供給する。
【0011】
図2(a)に示すように、濾過フィルタ7には、例えば複数のフィルタユニットを内蔵したディスクフィルタが用いられる。図2(b)に示す(a)の部分拡大図のように、溶融PVAはフィルタ外側通路7aを流れ、複数のフィルタユニットを介して、フィルタ内側通路7bへ濾過後の溶融PVAが排出される。こうして、濾過フィルタ7から配管8などを介してダイ1に供給された濾過後の溶融PVAを、ダイ1内部のリップ3全長にわたって均一に分配するため、まず、投入路4からマニホールド(空洞部)2に一旦満たして足並みをそろえ、リップ3内面のリップ面10を介して吐出部5から定量の溶融PVA(製膜原料)を定速で回転する金属ロール6上に押し出し、この金属ロール6の円周面の一部を通過させて、PVAフィルムを乾燥させる。前記リップ3は例えばフレキシブルリップであり、リップ開度調整ボルト12でリップ開度の微調整を行う。この後、このPVAフィルムは、図示しないフローティングドライヤーや乾燥用金属ロールや検査機などを通過してワインダーに巻き取られる。
【0012】
本発明では、以上の製膜機を用いてPVAフイルムを溶融押出製膜する際に、前記溶融PVAが通過する濾過フィルター7から配管8などを経てダイ1にいたる全ての流路面を研磨したものが用いられる。濾過フィルター7の流路面とはフィルタ外側通路7a、フィルタ内側通路7bを含み、ダイ1の流路面とは投入路4、マニホールド2、リップ面10が含まれる。この流路面の研磨方法としては、特に限定はなく公知の方法が用いられるが、例えばバフ仕上げや流体研磨などの方法が好適に用いられる。このとき、研磨された流路面の表面粗さは、最大高さで3μm以下であり、1.5μm以下が好ましく、0.8μm以下がさらに好ましい。流路面の表面粗さが3μmを超えるような仕上げ精度が低い場合には、表面の微少な凹凸部に樹脂が滞留し、PVAフィルムにスジ状の欠点を生じさせる。
ここで、表面粗さの最大高さ(Rmax )とは、JIS B 0601に準じ、対象物の断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行な最も高い山と最も深い谷に接する2直線間の間隔をマイクロメーター(μm)単位で表示したものをいう。
【0013】
本発明に用いるダイの種類には特に限定はなく、溶融押出製膜等に使用される周知の押出ダイを使用できる。例えばフィルム又はシート製造のためのTダイ、Lダイ又はIダイ、インフレーションダイ(丸ダイ)、ラミネートダイなどが挙げられる。
【0014】
前記ダイの流路面は、異物の付着を減少させるために、メッキされていることが好ましい。メッキの種類としては、例えばクロームメッキ、酸化クロームメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキなどが好適に採用される。このメッキは、単独または2種類以上の組み合わせで行うことができるが、特に表面平滑化の容易さや平滑さを維持する耐久性の点からは、最表面がクロームメッキされていることが特に好ましい。
【0015】
本発明に用いるダイは、樹脂吐出部の製膜原料が接する樹脂流路面の表面粗さが、最大高さRmax で1.5μm以下、特に0.2〜0.6μmであることが好ましい。表面粗さが上記の範囲より大きいと、表面に形成された微少な凹凸に樹脂が滞留し、時間の経過とともに滞留樹脂が劣化し、これがPVAフィルムに混入したり、PVAフィルムに筋状の欠点を生じさせたりする。従って、表面粗さが小さいほど樹脂の滞留を防止できるが、最大高さRmax が0.2μmより小さくなると、樹脂の滞留抑止効果は向上しないのに対し、このような平滑表面を得るための表面加工には多大の手間がかかる。
【0016】
本発明にかかるPVAフィルムを構成するポリビニルアルコール系重合体としては、ビニルエステル系モノマー重合して得られたビニルエステル系重合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものが用いられる。前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0017】
ビニルエステル系モノマーを共重合させる際には、必要に応じて共重合可能なモノマーを、発明の効果を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させても良い。
【0018】
このようなビニルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30のオレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等を挙げることができる。
【0019】
前記PVAフィルムを構成するPVAの平均重合度は、強度の点からは500以上が好ましく、得られる偏光フィルムの偏光性能の点からは1000以上が好ましく、2000以上がさらに好ましく、3500以上が特に好ましい。さらに、PVAの重合度の上限は、フィルムの製膜性の点から10000以下が好ましい。
【0020】
前記PVAの重合度(Po )は、JIS K 6726に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
Po =([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0021】
また、PVAフィルムを構成するビニルエステル系重合体のけん化度は、フィルムの耐久性の点からは90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。さらに、PVAフィルムの染色性の点からは99.99モル%以下が好ましい。前記けん化度とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化されている単位の割合を示したものである。なお、ビニルエステル系重合体のけん化度は、JIS記載の方法により測定を行った。
【0022】
PVAフィルムを製造する際には、可塑剤として多価アルコールを添加することが好ましい。この多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも延伸性の向上効果から、エチレングリコールまたはグリセリンが好適に使用される。
【0023】
多価アルコールの添加量としては、PVA100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、30重量部より多いと、PVAフィルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
【0024】
また、PVAフィルムを製造する際には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせて使用することもできる。
【0025】
界面活性剤の添加量としては、PVA100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと、延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部より多いと、フィルム表面に溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0026】
以上のPVAを使用してPVAフィルムを製造する方法としては、前述した含水PVAを押出機で溶融混練して押出す溶融押出製膜法のほか、例えば、PVAを溶剤に溶解したPVA溶液を使用して流延させる流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVAフィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法などを採用することができる。これらのなかでも流延製膜法および溶融押出製膜法が、透明性の高い良好なフィルムが得られることから好ましい。
【0027】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVA溶液の揮発分濃度は、50〜90重量%が好ましく、55〜80重量%がさらに好ましい。揮発分濃度が50%より小さいと、粘度が高くなるため製膜が困難となる。また、揮発分濃度が90%より大きいと、粘度が低くなり過ぎて、PVAフィルムの厚み均一性が損なわれ易くなる。
【0028】
前記PVAフィルムの厚みは5〜150μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。
【0029】
本発明のPVAフィルムから偏光フィルムを製造するためには、例えば、PVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、および乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行えば良い。各工程の順序は特に限定はなく、また染色と一軸延伸などの二つの工程を同時に実施しても構わない。また、各工程を複数回繰り返しても良い。
【0030】
染色は、一軸延伸の前、一軸延伸と同時、一軸延伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一軸延伸により結晶化度が上がりやすく染色性が低下することがあるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延伸工程中において染色するのが好ましい。
【0031】
染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などの二色性染料などが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物で使用できる。通常、染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うのが一般的であるが、PVAフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
【0032】
前記PVAフィルムの一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法が使用され、温水中(前記染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中でも良い)または吸水後のフィルムを用いて空気中で行うことができる。また、一軸延伸の延伸倍率は4倍以上が好ましく、5倍以上が特に好ましい。延伸倍率が4倍より小さいと、偏光フィルムとしたとき、実用的に十分な偏光性能や耐久性能が得られにくい。延伸温度は特に限定されないが、フィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延伸する場合は50〜180℃が好適である。延伸後のフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
【0033】
PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸およびホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加しても良い。
【0034】
前記PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)は、30〜80℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
【0035】
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、通常、セルロースアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム等が使用される。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例中の二色性比は以下の方法により評価した。
【0037】
二色性比
得られた偏光フィルムの偏光性能を評価する指数として二色性比を使用した。この二色性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光源、2度視野にて測定、計算して得られた透過率TS (%)と偏光度P(%)を使用して下記の式から求めた。
【0038】
実施例1
けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA100重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部および水からなる揮発分70%の含水チップ(製膜原料)を押出機で加熱溶融した。そして、製膜原料を1μmのフィルターで濾過し、内部が#400のバフで研磨された表面粗さ0.5μmの配管を通して、表面粗さ0.2μmの流路面を有するクロームメッキされたコートハンガータイプのTダイに導いて、金属ロールに押出製膜した。さらに金属ロール表面の製膜原料を100℃の熱風で乾燥し、平均厚さ75μmのPVAフィルムを得た。以上のようにして、連続10日間運転した結果、PVAフィルムには筋状の欠点は認められなかった。さらに配管およびダイを分解して観察したところ、樹脂などの滞留や劣化樹脂の付着は認められなかった。
【0039】
以上のPVAフィルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作製した。すなわち、PVAフィルムを30℃の水中に3分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの40℃の水溶液中に4分間浸漬させた。続いて、ホウ酸4.2%の50℃の水溶液中で5.7倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。この後にフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0040】
得られた偏光フィルムの厚みは26μmであった。このとき、10cm四方の偏光フィルムの平均透過率は43.3%、平均偏光度は99.9%、平均二色性比は53.6であった。得られた偏光フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に置いて透過光を目視で観察した結果、光学ムラは認められなかった。
【0041】
実施例2
けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA100重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部および水からなる揮発分70%の含水チップを押出機で加熱溶融した。そして、この製膜原料を5μmフィルターで濾過し、内部が#400のバフで研磨された表面粗さ0.8μmの配管を通して、表面粗さ0.5μmの流路面を有するクロームメッキされたコートハンガータイプのTダイに導いて、金属ロールに押出製膜した。さらに金属ロール表面の製膜原料を100℃の熱風で乾燥し、平均厚さ75μmのPVAフィルムを得た。以上のようにして、連続10日間運転した結果、PVAフィルムにはかすかに筋状の欠点が認められた。さらに配管およびダイを分解して観察したところ、劣化樹脂と思われる異物の付着がわずかに認められた。
【0042】
以上のPVAフィルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作製した。すなわち、PVAフィルムを30℃の水中に3分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの40℃の水溶液中に4分間浸漬させた。続いて、ホウ酸4.2%の50℃の水溶液中で5.7倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。この後にフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0043】
得られた偏光フィルムの厚みは26μmであった。このとき、10cm四方の偏光フィルムの平均透過率は43.3%、平均偏光度は99.9%、平均二色性比は53.6であった。得られた偏光フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に置いて透過光を目視で観察した結果、光学ムラは認められず、LCD用途に使用可能であった。
【0044】
比較例1
けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA100重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノールアミド0.1重量部および水からなる揮発分70%の含水チップを押出機で加熱溶融した。そして、この製膜原料を1μmフィルターで濾過し、内部が#400のバフで研磨された表面粗さ4μmの配管を通して、表面粗さ2μmの流路面を有するクロームメッキされたコートハンガータイプのTダイに導いて、金属ロールに押出製膜した。さらに金属ロール表面の製膜原料を100℃の熱風で乾燥し、平均厚さ75μmのPVAフィルムを得た。以上のようにして、連続10日間運転した結果、PVAフィルムには多くの筋状の欠点が認められた。さらに配管およびTダイを分解して観察を行ったところ、劣化樹脂と思われる付着が認められた。
【0045】
以上のPVAフィルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作製した。すなわち、PVAフィルムを30℃の水中に3分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの40℃の水溶液中に4分間浸漬させた。続いて、ホウ酸4.2%の50℃の水溶液中で5.7倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。この後にフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0046】
得られた偏光フィルムの厚みは26μmであった。このとき、スジがない部分をサンプリングした10cm四方の偏光フィルムの平均透過率は43.3%、平均偏光度は99.9%、平均二色性比は53.6であった。得られた偏光フィルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度に置いて透過光を目視で観察した結果、光学ムラが認められ、LCD用途には使用不可のレベルであった。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、長期間にわたって連続運転を行っても、濾過フィルターからダイに至る流路面での製膜原料の滞留や付着を防止できて、筋状の欠点などが少なくて厚み均一性に優れた偏光フィルムの製造原料として有用なPVAフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるPVAフィルムの製造法に用いるロール製膜機の要部を示す構成図である。
【図2】(a)は濾過フィルタを示す構成図、(b)はその部分拡大図である。
【符号の説明】
1…ダイ、6…金属ロール、7…濾過フィルタ。
Claims (4)
- ポリビニルアルコールを含有する製膜原料を押出製膜する方法において、製膜原料が通過する1〜5μmの濾過フィルターとダイとの間に配置された配管における流路面が研磨されており、当該流路面の表面粗さの最大高さが0.5μm以下とされていることを特徴とする偏光フィルム製造用ポリビニルアルコールフィルムの製造法。
- 請求項1において、前記ダイの流路面がメッキされている偏光フィルム製造用ポリビニルアルコールフィルムの製造法。
- 厚みが30〜100μmである請求項1または2に記載の偏光フィルム製造用ポリビニルアルコールフィルムの製造法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の製造法により得られた偏光フィルム製造用ポリビニルアルコールフィルムを、染色、一軸延伸、固定処理、および乾燥処理する偏光フィルムの製造法。
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