JP4731130B2 - 異物検査方法 - Google Patents

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本発明は、検査対象物に混入した異物検査方法および異物検査装置に関し、特に印刷が施された検査対象物に混入した異物を高精度で検出する方法および装置に関する。
工業製品の出荷時には、検査装置により異物の混入がないかの検査が行われている。例えば、図4に示すように、投光器22により、検査対象物10を裏側から照らし、画像センサー21により撮像したものに画像処理を行うことにより異物検査が行われている。
しかしながら、従来の異物検査装置においては、印刷を施された検査対象物に混入した異物の判別は困難であった。すなわち、検査対象物の映像は、図5(a)に示すとおり、印刷部も含まれてしまうため、画像処理を施すのが通常であるが、画像処理を行うと図5(b)に示すように印刷部の裏側にある異物は検知されなくなってしまうという問題があり、充分な精度を確保することができなかった。
一方で、不透明な液体における異物混入検査の方法としては、近赤外光を使用した異物検査装置および異物検査方法が提言されている(特許文献1)。
特開2002−131239号公報
本発明は、印刷を施された検査対象物において、混入した異物を高精度に判別することを課題とする。
また、印刷部の画像処理を行うことなく高速に異物検査を行うことを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、検査対象物内部へ浸透する性質をもつ赤外光を用いて検査を行う。外乱光の影響を軽減させるために、検査装置の光源として0.75〜2.5μmの近赤外光を用いる。また、印刷部の画像処理を行わなくてよいように、近赤外感度を有するカメラに、赤外光透過フィルターを装着し、検査対象物の撮像を行う。
すなわち、1の発明は、印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラとは反対側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、検査対象物を透過した光を、800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第2のステップと、LEDが発する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで該抽出された赤外光を撮影する第3のステップと、撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第4のステップからなることを特徴とする。
2の発明は、印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラと同じ側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、検査対象物を透過した光を反射させて検査対象物に再度透過させる第2のステップと、第1のステップで照射された光の反射光と第2ステップで反射され検査対象物を透過した光を、800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第3のステップと、LEDが発光する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで抽出された赤外光を撮影する第4のステップと、撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第5のステップ、からなることを特徴とする。
3の発明は、印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラと同じ側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、検査対象物に、撮像手段とは反対側から赤外光を照射する第2のステップと、第1のステップで照射された光の反射光と第2のステップで照射され検査対象物を透過した光を800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第3のステップと、LEDが発する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで抽出された赤外光を撮影する第4のステップと、撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第5のステップ、からなることを特徴とする。
4の発明は、第1、2または3の発明において、上記の検査対象物が、不織布にゲルシートを積層したハップ剤であることを特徴とする。
本発明の検査方法及び検査装置によれば、検査対象物に印刷が施されていても、検査対象物の全体の検査が可能となる。
また、印刷部を除去する画像処理を行う必要がないため、混入した異物の位置や形状の測定を正確に行うことができる。
また、印刷部の位置の制約がなくなるため、工業製品の自由なデザインが可能となる。
また、画像処理装置内での処理が簡易なものとなるため、検査時間を短縮できる。
また、印刷パターン除去処理の必要がなくなるため、検査装置の構造を簡易なものとすることができる。
また、処理が簡易になる分相対的に低速な演算処理装置を採用することが可能となるため、検査装置のコストを抑えることができる。
また、赤外光撮像センサーの受光部に可視光を除外する赤外光透過フィルターを設置することで光源や室内照明など外部光によるノイズを除去することができるため、検査の精度が高くなる。
また、印刷の施されたフィルムで包装された製品の内部状態(例えば、気泡、ピンホール、混合ムラ、厚みムラ等)を、輝度の変化により検査することができる。
本発明に係る光透過方式での検査方法は、図1に示すとおりの手順で実施される。すなわち、検査対象物に赤外光を照射し(step1)、検査対象物を透過した光のうち、赤外光のみを抽出し(step2)、該抽出した赤外光を撮像する(step3)。撮像した赤外像において、一定値以上の輝度の差が検出された場合には、異物混入と判断する(step4)。
上記検査方法を実現するためには、近赤外光(0.75〜2.5μm)を検査対象物に照射できる赤外光投光器と、赤外光透過フィルターを付けた近赤外光CCDカメラと、撮影した画像を判別するための画像処理部と、画像表示部とから構成される異物検査装置が必要である。
本発明に係る反射投光方式での検査方法は、図2に示すとおりの手順で実施される。すなわち、検査対象物に赤外光を照射し(step11)、検査対象物を透過した光を反射し(step12)、再度検査対象物を透過した該反射光のうち、赤外光のみを抽出し(step13)、該抽出した赤外光を撮像する(step14)。撮像した赤外像において、一定値以上の輝度の差が検出された場合には、異物混入と判断する(step15)。
本検査方法においては、検査対象物を反射した光と、検査対象物を透過した後に反射板により反射され再度検査対象物を透過した光の両方を撮像することとなる。従って、異物が混入している場合には、異物の存在領域とそれ以外の領域との輝度の差がより顕著に表されることとなる。
上記検査方法を実現するためには、近赤外光(0.75〜2.5μm)を検査対象物に照射できる赤外光投光器と、赤外光透過フィルターを付けた近赤外光CCDカメラと、赤外光を反射する反射板と、撮影した画像を判別するための画像処理部と画像表示部とから構成される異物検査装置が必要である。なお、赤外光投光器は複数であってもよい。
本発明に係る反射投光方式での検査方法は、図3に示すとおりの手順で実施される。すなわち、検査対象物に撮像手段側から赤外光を照射し(step21)、それと同時に検査対象物の裏側から赤外光を照射し(step22)、step21で反射した光とstep22で透過した光のうち、赤外光のみを抽出し(step23)、該抽出した赤外光を撮像する(step24)。撮像した赤外像において、一定値以上の輝度の差が検出された場合には、異物混入と判断する(step25)。
上記検査方法を実現するためには、近赤外光(0.75〜2.5μm)を撮像手段側から検査対象物に照射できる赤外光投光器と、検査対象物の裏側から照射できる赤外光投光器と、赤外光透過フィルターを付けた近赤外光CCDカメラと、赤外光を反射する反射板と、撮影した画像を判別するための画像処理部と画像表示部とから構成される異物検査装置が必要である。なお、撮像手段側の赤外光投光器は複数であってもよい。
検査対象物に印刷を施す場合には、当該印刷に可視光線内(約0.8μm以下)の波長で反射、吸収を行うものを使用することにより、あたかも印刷が施されていない画像が得られる。
また、本発明においては、CCDカメラの近赤外感度波長と赤外投光器(LED)と赤外光透過フィルターの各々の特性を利用している。異物検査において微細な検出をする場合は、光の回析現象の影響を少なくするため波長ができるだけ短い方が有利であるが、あまり波長を短くすると可視光の赤の範囲に近づくため誤差が生じ易くなる。
従って、高精度での撮像を行うためには、好ましくは0.8〜1.0μm程度の波長を利用すべきである。すなわち、CCDカメラの近赤外感度波長と赤外投光器(LED)と赤外光透過フィルターの各々の特性、印刷インクの特性を勘案した好ましい撮像範囲は図6のとおりとなる。
以下、本発明の詳細を実施例により説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されることはない。
実施例1は、不織布にゲルシートを積層した工業製品における反射投光方式の異物検査装置である。
図7に示すとおり、実施例1に係る異物検査装置は、検査対象物の検査位置の斜め上方に配置された一対の赤外光投光器3と、被検査物10の上方に配置された赤外光撮像センサー1と、赤外光撮像センサー1の受光部の前方に配置した可視光を除外する赤外光透過フィルター2と、被検査物を透過した赤外光を赤外光撮像センサー方向に反射する反射板4とで構成されている。反射板4には、耐久性、コストを考慮して鏡面ステンレスを採用した。
赤外光投光器3の最適な角度は、検査対象物の形状等により異なるが、原則的には正面の正反射成分(照明が写り込むような画像)にならないようにすればよい。本実施例においては、赤外光投光器3の角度は45°とした。
検査対象物10は、不織布11上にゲルシート12を積層し、印刷14が施された保護フィルム13を重ね合わせたものである。従来の異物検査装置においては、上述のとおり、図4の構成で図5(a)及び(b)の画像処理を施して、検査対象物10に混入した異物15の検査を行っていた。
これに対して、実施例1に係る異物検査装置においては、赤外光投光器3から照射された近赤外光が検査対象物10を透過して、反射板4により反射され、再度検査対象物10透過し、赤外光透過フィルター2を透過した赤外光のみが撮像される。すなわち、通常の可視光では図8(a)のように撮像される検査対象物10が、図8(b)のように印刷14が除去された状態で撮像される。
従って、異物15の存在のみならず、異物15の位置や形状を、印刷14の画像処理を施さずに検知することが可能となる。
実施例2は、不織布にゲルシートを積層した工業製品における光透過方式の異物検査装置である。図9に示すとおり、実施例2に係る異物検査装置は、検査対象物の下方に配置した赤外光投光器3と、検査対象物の上方に配置した赤外光撮像センサー1と、赤外光撮像センサー1の受光部の前方に配置した可視光を除外する赤外光透過フィルター2とで構成されている。
実施例2に係る検査装置では、赤外光が可視光よりも透過率が高いことを利用して、不織布11またはゲルシート12に混入した異物15を検出する。すなわち、光透過方式では、検査対象物の透過光のみしか入光しないため、可視光と比べ波長が長い赤外光は反射成分が少なくなる分、浸透性の高い光であり異物15のない部分は輝度が高くなる。一方、異物15があるとその部分は輝度が低くなり、画像処理では良好なコントラストが得られることとなる。
実施例3は、不織布にゲルシートを積層した工業製品における複合照明方式の異物検査装置である。図10に示すとおり、実施例3に係る異物検査装置は、検査対象物の上方に配置した赤外光投光器3aと、検査対象物の下方に配置した赤外光投光器3bと、検査対象物の上方に配置した赤外光撮像センサー1と、赤外光撮像センサー1の受光部の前方に配置した可視光を除外する赤外光透過フィルター2とで構成されている。
実施例3に係る異物検査装置は、実施例1及び2に係る異物検査装置と比べ、より高精度に異物を検出することができる。すなわち、実施例1に係る異物検査装置においては、不織布の厚みムラにより乱反射が生じ、それがノイズとなって撮影した画像に反映されるが、本実施例に係る異物検査装置においては、全面からの照射量と背面からの照射量を調整することによりノイズを少なくすることができる。
また、実施例2に係る異物検査装置と比べても、検査対象物を反射した光と、検査対象物を透過した光の両方が撮影した画像に反映されるため、異物が混入している場合には、異物の存在領域とそれ以外の領域との輝度の差がより顕著に表されることとなる。
以上不織布にゲルシートを貼付した工業製品における異物検査を説明したが、不織布にゲル状の素材を積層し保護フィルムを施した工業製品の異物検査、印刷されたアルミ包装材等のピンホール検査、印刷されたフィルムで包装された製品の内容物の品質検査、印刷されたシートそのものの検査にも用いることができる。
現時点で想定される利用態様の具体例としては、下記のものが挙げられる。
(1)食品分野
スライスチーズ、カット済みハム、真空パックのかまぼこ、カップ詰め製品(プリン、豆腐、茶碗蒸し等)、ペットボトル
(2)家庭用品
詰め替え用洗剤、トイレットペーパー、キッチンタオル
(3)電機・機械分野
電波吸収ゲルシート、放熱ゲルシート、衝撃吸収ゲルシート
(4)医薬品
点滴ボトル、ハップ剤
本発明に係る異物検査方法(光透過方式)の流れ図である。 本発明に係る異物検査方法(反射投光方式)の流れ図である。 本発明に係る異物検査方法(複合照明方式)の流れ図である。 従来の異物検査装置の概略図である。 従来の異物検査装置による画像の説明図である。 本発明に係る好ましい撮像範囲を示すグラフである。 実施例1に係る反射投光方式を用いた異物検査装置の概略図である。 実施例1に係る異物検査装置による撮影画像の説明図である。 実施例2に係る光透過方式を用いた異物検査装置の概略図である。 実施例3に係る複合照明方式を用いた異物検査装置の概略図である。
符号の説明
1 赤外光撮像センサー
2 赤外光透過フィルター
3 赤外光投光器
4 反射板
10 検査対象物
11 不織布
12 ゲルシート
13 保護フィルム
14 印刷インク
15 異物
21 画像センサー
22 投光器(蛍光灯)
23 画像処理装置

Claims (4)

  1. 印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、
    750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラとは反対側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、
    検査対象物を透過した光を、800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第2のステップと、
    LEDが発する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで該抽出された赤外光を撮影する第3のステップと、
    撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第4のステップからなることを特徴とする異物検査方法。
  2. 印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、
    750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラと同じ側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、
    検査対象物を透過した光を反射させて検査対象物に再度透過させる第2のステップと、
    第1のステップで照射された光の反射光と第2ステップで反射され検査対象物を透過した光を、800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第3のステップと、
    LEDが発光する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで抽出された赤外光を撮影する第4のステップと、
    撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第5のステップ、からなることを特徴とする異物検査方法。
  3. 印刷が施されたフィルムを積層したシート状製品または印刷が施されたフィルムで包装された製品であって赤外線を透過する検査対象物を撮影し、画像処理することで異物を判別する異物検査方法において、
    750nm以上の光を反射・吸収するブラックを含み、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローからなるインクのうち750nm以上の光を反射・吸収しないマゼンタ、シアン、イエローのインクを選択して前記フィルムに印刷が施された前記検査対象物に、CCDカメラと同じ側からLEDが発光する870nmから1040nmの赤外光を照射する第1のステップと、
    検査対象物に、撮像手段とは反対側から該赤外光を照射する第2のステップと、
    第1のステップで照射された光の反射光と第2のステップで照射され検査対象物を透過した光を800nm以下の光を遮断するフィルターに透過させて赤外光のみを抽出する第3のステップと、
    LEDが発する光の波長領域に感度を有するCCDカメラで抽出された赤外光を撮影する第4のステップと、
    撮影した赤外像の輝度の差を検出して異物混入を判別する第5のステップ、
    からなることを特徴とする異物検査方法。
  4. 上記の検査対象物が、不織布にゲルシートを積層したハップ剤である請求項1、2または3の異物検査方法。
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