JP7229657B2 - 積層シートの欠陥検査装置及びシート製品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,積層シートの欠陥検査装置及びそれを用いたシート製品の製造方法に関する。
従来から,トイレットペーパーやティッシュペーパーのようなシート製品に関し,その製造過程で生じた欠陥(穴や,スジ,異物の付着等)を検査する手法として,シートをローラなどによって高速で搬送しつつ,その搬送中にライトによって照明を当てて,その照明領域をカメラで撮影することにより,シート表面に生じた欠陥が検出することが知られている。
このようなシート製品の欠陥検査技術に関し,例えば特許文献1には,搬送されるシートに片側にライト及びカメラを設置し,シート表面を反射した反射光をカメラで捉えることにより,シート表面の欠陥を検出する技術が開示されている。
特開2017-21003号公報
しかしながら,特許文献1に開示された装置のように,シート表面の反射光を当ててシート表面を撮像する反射型の欠陥検査装置は,シートを1層ずつ検査することは可能であるものの,シートが2層以上に重なっている場合には,カメラ及びライトと対向しているシートの欠陥しか検出することができず,その反対側に位置するシートに生じた欠陥を適切に検出できないという問題がある。特にトイレットペーパーのような衛生用紙は,2層以上のシートが重ね合わされていることが多いが,このような衛生用紙の欠陥を検査する場合に従来の装置を用いると,シートを重ね合わせる前に1層ずつ欠陥を検査する必要があり,2層のシートを重ね合わせた後にその積層シートに生じた欠陥を検出することが困難であった。
そこで,本発明は,2層以上のシートを重ねた製品を製造するにあたり,積層シートに生じた欠陥を検査することのできる技術を提供することを目的とする。
本発明の発明者は,上記の従来技術の問題の解決手段について鋭意検討した結果,2層のシートを重ねた後に,その積層シートの一方面側から照明を当てつつ,他方面側からその積層シートを撮影することにより,積層シートに生じた欠陥を効率的に検出できるという知見を得た。そして,本発明者は,このような知見に基づけば従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の工程・構成を有する。
本発明の第1の側面は,2枚以上のシートが積層されたシート製品の製造方法に関する。本発明は,特にシート製品の製造過程に含まれる欠陥検査方法に特徴を有する。シート製品の例は,トイレットペーパーや,ティッシュペーパー,キッチンペーパーなどの光透過性を有する衛生薄葉紙である。本発明の製造方法では,まず2枚以上のシートを重ね合わせて積層シートを得る(重ね合せ工程)。次に,積層シートの表面側及び裏面側の少なくとも一方側から当該積層シートを照明するとともに,少なくとも他方側から当該積層シートを撮影して,当該積層シートの画像を得る(撮影工程)。その後,積層シートの画像を解析して,積層シートの欠陥の有無を検査する(画像解析工程)。
上記工程のように,2枚のシートを重ね合わせた後に一方面側から照明光を当てつつ,他方面側からその透過光を撮像することにより,積層シートを構成する各シートの生じた欠陥をまとめて検出することができる。これにより,ティッシュペーパー等のシート製品を効率的に製造することが可能になる。
本発明に係る製造方法では,撮影工程において,積層シートの表面側及び裏面側の両側から当該積層シートを照明するとともに,当該積層シートの表面側及び裏面側の少なくとも一方面側から当該積層シートを撮影して,当該積層シートの画像を得ることとしてもよい。ここでは,積層シートの両面側に照明装置を設置し,積層シートの片面側のみに撮影装置をすることとしてもよい。このように,撮影装置によって,積層シートの透過光とともに,積層シートの表面側の反射光を当てた積層シートの画像を撮像することにより,透過光のみでは検出し得なかった欠陥を検出することができるため,欠陥検出の精度を高めることができる。具体的には,透過方式によれば,積層シートに生じた穴やそこに付着した異物を検出することができる。他方で,透過方式では,積層シートの表面に付着した薄い汚れ(煤汚れ等)を検出することが困難である。そこで,そのような薄い汚れを検出するために,透過方式と反射方式を併用する。これにより,積層シートに生じた欠陥を全般的に検出することができる。
本発明に係る製造方法では,撮影工程において,積層シートの表面側に位置する第1の照明装置により積層シートが照明された表側照明領域と,当該積層シートの裏面側に位置する第2の照明装置により当該積層シートが照明され表照明領域と少なくとも部分的に位置が異なる裏側照明領域を形成することが好ましい。この場合に,積層シートの表面側及び裏面側の少なくとも一方面側に位置する撮影装置によって,表側照明領域及び裏側照明領域の両方を少なくとも部分的に含む領域の画像を撮影することが好ましい。このように,一つの撮影装置の撮影範囲に,表側照明領域の少なくとも一部と裏側照明領域の少なくとも一部が同時に映り込むように,照明装置と撮影装置の配置を調整することとが好ましい。このように,透過方式と反射方式を併用することで,欠陥検出の精度を向上させることができる。また,例えば積層シートのあるポイントが表側照明領域に位置しているときの撮影画像と,同ポイントが裏側照明領域に位置しているときの撮影画像とを比較することにより,積層シートに生じた欠陥の種類(例:穴や異物であるのか,あるいは薄い煤汚れであるのか)を判別することも可能である。
本発明に係る製造方法では,撮影工程において,積層シートの表面側及び裏面側の両側から当該積層シートを撮影して,当該積層シートの表側及び裏側の画像を得るとともに,画像解析工程において,積層シートの表側及び裏側の画像を解析して,積層シートの欠陥の有無を検査することが好ましい。すなわち,この形態においては,積層シートの表面側と裏面側の両方に照明装置を配置するとともに,積層シートの表面側と裏面側の両方に撮影装置を配置する。このようにすることで,積層シートの表面側と裏面側に生じた欠陥をより正確に検査することができる。
本発明に係る製造方法において,少なくとも画像解析工程の間,積層シートは一方向に向かって一定速度で搬送されている。この場合に,画像解析工程は,積層シートの画像から,積層シートと同方向に向かって同速度で移動する未知の欠陥部分のみを検出することが好ましい。これにより,積層シートに付着した未知の異物又は積層シートに発生した未知の異常のみを検出することができる。ティッシュペーパー等の衛生薄葉紙を製造することを考える場合,積層シートの周囲には紙粉が飛散していることが多いため,積層シートの撮影画像の中に紙粉が映り込むこととなる。このとき,画像解析工程において紙粉を欠陥として検出してしまうエラーを避けるために,画像解析装置(コンピュータ)では,積層シートと同方向に向かって同速度で移動する欠陥部分のみを検出することが好ましい。また,画像解析工程では,積層シートに形成したミシン目などの既知の欠陥部分を検出しないように,積層シートの未知の欠陥部分のみを検出することが好ましい。例えば,ミシン目のパターンなどの特徴を予め画像解析装置に記憶させておくことで,この装置がミシン目を欠陥として検出することを回避できる。
本発明の第2の側面は,積層シートの欠陥検査装置に関する。欠陥検査装置は,重ね合せ部,照明部,撮影部,及び画像解析部を含む。重ね合せ部は,2枚以上のシートを重ね合わせて積層シートを得る。照明部は,積層シートの表面側及び裏面側の少なくとも一方面側から積層シートを照明する。撮影部は,照明部により前記積層シートが照明された状態において,当該積層シートの表面側及び裏面側の少なくとも他方面側から当該積層シートを撮影して,当該積層シートの画像を得る。画像解析部は,積層シートの画像を解析して,前記積層シートの欠陥の有無を検査する。
本発明によれば,2層以上のシートを重ねた製品を製造するにあたり,積層シートに生じた欠陥を検査することができる。
図1は,シート製品の製造工程の一部を模式的に示している。 図2は,欠陥検査装置の第1の実施形態を模式的に示している。 図3は,欠陥検査装置の第2の実施形態を模式的に示している。 図4は,欠陥検査装置の機能構成例を示したブロック図である。 図5は,照明装置の照明範囲と撮影装置の撮影範囲を模式的に示している。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
図1は,本発明に係るシート製品の製造工程の一部を示している。本発明で製造可能なシート製品は特に限定されないが,光透過方式による欠陥検査を効率的に行うために光透過性を有する薄葉紙を製造の対象とすることが好ましい。薄葉紙の例は,ティッシュペーパー,トイレットペーパー,キッチンペーパーなどの家庭用の衛生薄葉紙である。図1に示した例では,2層のシートを重ね合わせて積層シートを形成した後に,この積層シートにエンボスとミシン目が形成される。また,エンボス加工後とミシン目加工の後にそれぞれ積層シートの欠陥検査を行うこととしている。
具体的に説明すると,図1右側の装置上流から左側の装置下流に向かってシート部材が搬送される。装置上流には,第1の原反ロール11と第2の原反ロール12が位置している。第1の原反ロール11には長尺の第1のシートS1が巻回されており,第2の原反ロール12には長尺の第2のシートS2が巻回されている。第1の原反ロール11及び第2の原反ロール12からそれぞれ第1のシートS1及び第2のシートS2が繰り出されると,各シートS1,S2は駆動回転する搬送ローラや従動回転するガイドローラを介して装置下流側へと搬送され,第1の重ね合せ部20(重ね合せローラ21)において,互いに重ね合わされる。ここで,第1のシートS1及び第2のシートS2が重ね合わされた複数層のシートを積層シートと称する。積層シートは,装置下流側へと搬送される。
第1の重ね合せ部20の下流は,エンボス加工部30が位置している。図1に示された例では,積層シートはエンボス加工部30において第1のシートS1と第2のシートS2とに再度分離されて,シートごとにエンボス加工が施される。エンボス加工部30は,例えば各シートの搬送経路を挟んで対向する位置にエンボスローラ31,32と受けローラ33,34とを備える。第1のシートS1は,第1のエンボスローラ31と第1の受けローラ33の間に導入され,第2のシートS2は,第2のエンボスローラ32と第2の受けローラ34の間に導入される。各エンボスローラ31,32,は,各シートS1,S2に対して付与するエンボスのパターンに応じた複数の凸部を有する。他方,各受けローラ33,34は,例えばエンボスローラ31,32の凸部のパターンと相補的な凹パターンが外周面に形成された金属製のローラや,ローラの外周面がゴムで被覆されたラバー製のローラを用いることができる。エンボス加工部30においては,エンボスローラ31,32と受けローラ33,34との間にシートS1,S2を導入し,これらを挟みこんで押圧することにより,エンボスローラ31,32の凸部に応じたパターンのエンボスを,各シートS,S2の紙面に施すことができる。
エンボス加工部30の下流側には,第2の重ね合わせ部40(重ね合せローラ41)が位置している。第2の重ね合わせ部40では,エンボス加工部30においてそれぞれ別々にエンボス加工が施された第1のシートS1と第2のシートS2を互いに重ね合わせる。これにより,各層にエンボスが施された2層構造の積層シートが得られる。また,例えばキッチンペーパーを製造する場合など,エンボス加工後に各層の間に粘着剤を塗布して2層を接着することとしてもよい。
第2の重ね合わせ部40の下流側には,ミシン目加工部50が位置している。ミシン目加工部50では,積層シートに対し,幅方向(搬送方向と平面的に直交する方向)に延びるミシン目を一定間隔で形成する。ミシン目を形成することで,積層シートを所定の長さごとに切り離しやすくなる。ミシン目加工部50は,例えば固定刃51と回転刃52とを備える。固定刃51の周面には,そのローラの軸方向に沿って複数の刃がミシン目パターンにて間欠的に設けられており,回転刃52との間で積層シートを挟み込むことで,その刃によって積層シートにミシン目が形成される。ミシン目が必要なシート製品としては,トイレットペーパーやキッチンペーパーが挙げられる。
ミシン目加工部50の下流側には,ログ形成部70が位置している。ログ形成部70では,ミシン目加工後,巻取りローラによって所定の長さとなるまで積層シートを巻き取り,ログを形成する。積層シートのログは,その後に切断部(図示省略)へと搬出され,ログソー等によって所定幅に切断されて,個々のシート製品となる。このような工程では,トイレットロールやキッチンロールといったロール状のシート製品を製造することができる。ただし,本発明はティッシュペーパー等のシート製品にも適用することが可能である。
また,図1に示されるように,第2の重ね合わせ部40とミシン目加工部50の間と,このミシン目加工部50とログ形成部70の間の合計2箇所に,欠陥検査装置60がそれぞれ配置されている。欠陥検査装置60は,2層のシートS1,S2を重ね合わせた積層シートを対象として,その積層シートにおける欠陥の有無を検査する。このため,欠陥検査装置60は,少なくとも,2層のシートS1,S2の重ね合わせ部の下流側に1箇所設けられていればよい。ただし,図1に示した例のように,各シートに対してエンボス加工やミシン目加工を施す場合には,各加工工程においてシートに欠陥が生じやすいため,エンボス加工部30の直後に1箇所,さらにミシン目加工部50の直後に1箇所,それぞれ欠陥検査装置60を設けることが好ましい。
欠陥検査装置60は,基本的に,カメラによって積層シートを撮影し,その撮影画像を解析することで積層シートに生じた欠陥の有無を検査する。検査対象とする欠陥の種類は特に制限されないが,例えば積層シートの各層に生じた穴や破れ,スジ,ムラ,あるいは積層シートの各層の表面に付着した汚れや異物などを検査対象とすることができる。
図2は,欠陥検査装置60の第1の実施形態を示している。図2に示されるように,欠陥検査装置60は,撮影装置61(カメラ)と照明装置62,64(ライト)とを備える。撮影装置61は,静止画又は動画の画像データを取得するためのカメラである。撮影装置61によって取得された画像データは,画像解析装置65(図4参照)へと送信され欠陥検出のための所定の画像解析が行われる。カメラは,例えば,レンズ,メカシャッター,シャッタードライバ,CCDイメージセンサユニットやCMOSイメージセンサユニットといった光電変換素子,光電変換素子から電荷量を読み出し画像データを生成するデジタルシグナルプロセッサ(DSP),ICメモリなどで実現される。なお,カメラは,静止画を撮影するものであってもよいし,所定のフレームレートの動画を撮影するものであってもよい。また,照明装置62,64は,積層シートのうち,撮影装置61によって撮影される領域に照明光を当てるライトである。照明装置62,64は白色光を積層シートに照射するものであることが好ましい。照明装置62,64の例としては,蛍光灯,LED(発光ダイオード),OLED(有機発光ダイオード),ランプ,アーク灯,白熱電球などが挙げられる。
図2に示されるように,積層シートは,第1のシートS1と第2のシートS2が積層されてなるものである。ここでは,説明の簡便化のために,積層シートのうちの第1のシートS1の面側を「積層シートの表面側」とし,積層シートのうちの第2のシートS2の面側を「積層シートの裏面側」と表現する。
図2に示した例では,積層シートの表面側に撮影装置61と第1の照明装置62が配置され,積層シートの裏面側に第2の照明装置64が配置されている。撮影装置61は,第1のシートS1の表面を撮影しており,第1の照明装置62は,撮影装置61と同方向からその撮影範囲に照明光を当てている。このため,第1の照明装置62から照射されて第1のシートS1の表面にて反射した光が,撮影装置61に入射する。他方で,第2の照明装置64は,撮影装置61と積層シートを挟んで対向する位置に配置されている。第2の照明装置64は,積層シートの裏面側から撮影装置61の撮影範囲に照明光を当てている。このため,第2の照明装置64から照射されて積層シートを透過した光が,撮影装置61に入射する。また,撮影装置61で撮像された積層シートの画像データは,後述する画像解析装置65において解析されて,当該積層シートに欠陥が生じているか否かの検査に用いられる。
このように,第1及び第2のシートS1,S2を重ね合わせた後に裏面側から照明光を当てつつ,表面側からその透過光を撮像することにより,積層シートを構成する各シートの生じた欠陥をまとめて検出することができる。すなわち,積層シートの透過光を撮影装置61で検出することで,仮に積層シートを構成する各シートS1,S2のいずれかに穴や異物付着といった欠陥が生じている場合には,その撮影画像には一部明暗の差が生じたり黒い影が映り込むこととなる。撮影画像中にこのような異常が含まれている場合には,画像解析装置65において積層シートに欠陥が有るものと判断できる。さらに,図2に示した実施形態のように,撮影装置によって,積層シートの透過光とともに,積層シートの表面側の反射光を撮像することにより,透過光のみでは検出し得なかった欠陥を検出することができる。具体的には,透過方式によっては,積層シートに生じた穴やそこに付着した異物を検出することができるが,積層シートの表面に付着した薄い汚れ(煤汚れ等)を検出することが困難である。他方で,反射方式によれば,積層シートの表面に付着した薄い汚れ等を検出することが可能になる。そこで,透過方式と反射方式を併用することにより,積層シートに生じた欠陥を全般的に検出することができる。
図3は,図2とは異なる欠陥検査装置60の実施形態を示している。図3に示した例では,積層シートの表面側に第1の撮影装置61と第1の照明装置62が配置され,積層シートの裏面側に第2の撮影装置63と第2の照明装置64が配置されている。図2の実施形態と同様に,第1の撮影装置61は,第1のシートS1の表面を撮影しており,第1の照明装置62は,第1の撮影装置61と同方向からその撮影範囲に照明光を当てている。また,第2の照明装置64は,第1の撮影装置61と積層シートを挟んで対向する位置に配置されており,積層シートの裏面側から第1の撮影装置61の撮影範囲に照明光を当てている。さらに,図3の実施形態では,第2の撮影装置63が,第2のシートS2の表面を撮影しており,第1の照明装置62が,第2の撮影装置63と同方向からその撮影範囲に照明光を当てている。このため,第2の照明装置64から照射されて第2のシートS2の表面にて反射した光が,第2の撮影装置63に入射する。また,第1の照明装置62は,第2の撮影装置63と積層シートを挟んで対向する位置に配置されている。第1の照明装置62は,積層シートの表面側から第2の撮影装置63の撮影範囲に照明光を当てている。このため,第1の照明装置62から照射されて積層シートを透過した光が,第2の撮影装置63に入射するようになっている。第1及び第2の撮影装置61,63で撮像された積層シートの画像データは,後述する画像解析装置65において解析されて,当該積層シートに欠陥が生じているか否かの検査に用いられる。
図3の実施形態の特徴は,第1の照明装置62が,第1の撮影装置61に対しては積層シートの表面側の反射光を提供すると同時に第2の撮影装置63に対しては積層シートの透過光を提供し,さらに,第2の照明装置64が,第2の撮影装置63に対しては積層シートの裏面側の反射光を提供すると同時に第1の撮影装置61に対しては積層シートの透過光を提供するように,それぞれ配置されているという点にある。このように,2つの照明装置62,64がそれぞれ反射光用の照明と透過光用の照明として機能する。さらに,図3の実施形態によれば,2台の撮影装置61,63によって,積層シートの表面側から反射方式と透過方式の両方による欠陥検査を行うと共に,積層シートの裏面側からも反射方式と透過方式の両方による欠陥検査を行うことが可能になる。このように,この実施形態では,各撮影装置61,63と各照明装置62,64の効率的な配置により,高精度な欠陥検査をコンパクトなスペースで行うことができる。
図4は,撮影装置のそれぞれに接続された画像解析装置65の機能構成例を示している。画像解析装置65には一般的なコンピュータを用いればよい。画像解析装置65は,撮影装置用のインターフェースを備えており,撮影装置が取得した画像データが入力される。画像解析装置65は,制御演算部65a,記憶部65b,操作部65c,及び表示部65dを備える。制御演算部65aは,各要素65b~65dを制御するとともに,記憶部65bに記憶されている欠陥検査用のコンピュータプログラムに従って,撮影装置から取得した画像データの画像解析処理を行う。制御演算部65aは,CPU又はGPUといったプロセッサにより実現できる。記憶部65bは,HDD又はSDDといった不揮発性メモリや,RAM又はDRAMといった揮発性メモリにより実現できる。操作部65cは,マウス,キーボード,タッチパネル,マイクなどの入力装置により構成され,人による操作情報を受け付ける。表示部65dは,液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのような表示装置であって,撮影装置から取得した画像データを表示することとしてもよい。なお,表示部65d0は,操作部65cと一体となってタッチパネルディスプレイを構成していてもよい。
画像解析装置65の制御演算部65aは,基本的に,積層シートの画像データの画素又は画素群ごとに濃度を測定し,正常な濃度範囲よりも暗い部分又は明るい部分があったときに,その画像データの積層シートに欠陥があると判断する。例えば,積層シートに異物が付着している場合,その異物部分については濃度が暗く表れる。例えば,撮影装置(カメラ)に対して裏側の層に付着した異物は,表側の層を通して撮影装置により撮影されることとなるが,その異物は撮影画像中に薄暗く表れることとなる。また,積層シートの内の一層に穴が開いている場合,透過方式によって取得した画像データでは,その穴部分については濃度が明るく表れる。すなわち,積層シートの一層に形成された穴は,表側の層に穴がある場合と裏側の層に穴がある場合のいずれでも,穴の部分が1層少なくなることによって透過光が明るく表れることとなる。このように,制御演算部65aは画像データの濃度に異常が発生している部位を,積層シートの欠陥部位であると判断する。
図5(a)は,図3に示した実施形態に含まれる第1の撮影装置61による積層シートの撮影範囲と,第1の照明装置62及び第2の照明装置64による照明領域の関係性を模式的に示している。図5に示されるように,積層シートの表側に位置する第1の照明装置62による照明領域(表側照明領域)と,積層シートの裏側に位置する第2の照明装置64による照明領域(裏側照明領域)は,その一部が重畳しているものの,他部は重畳していない。このため,各照明装置62,64の照明範囲には,表側照明領域と,裏側照明領域と,それらの重畳領域とが含まれる。この場合に,第1の撮影装置61は,重畳領域を中心にして表側照明領域の一部と裏側照明領域の一部が撮影範囲に入るように,その配置や画角が調整されている。表側照明領域は,第1の撮影装置61と同じ方面に配置された第1の照明装置62によって照明されている領域であるため,第1の撮影装置61には積層シート表面の反射光が入射する。他方で,裏側照明領域は,積層シートを挟んで第1の撮影装置61と対向する位置に配置された第2の照明装置64によって照明されている領域であるため,第1の撮影装置61には積層シートの透過光が入射する。
ここで,第1の撮影装置61は,重畳領域を除く表側照明領域と,重畳領域を除く裏側照明領域とを同時に撮影範囲に捉えている。ここで,第1の撮影装置61は,あるポイントPが表側照明領域(重畳領域を除く)に在る第1のタイミングと,同じポイントPが裏側照明領域(重畳領域を除く)に在る第2のタイミングとにおいて,同じポイントが撮影範囲に含まれている時間帯の中で少なくとも2度の撮影を行うことが好ましい。すなわち,積層シートは同じ速度で同じ方向に搬送されているため,積層シート中のあるポイントPは時間経過にともなって表側照明領域から裏側照明領域へと移動する。このとき,第1の撮影装置61は,ポイントPが表側照明領域(重畳領域を除く)に在る第1のタイミングと,同じポイントPが裏側照明領域(重畳領域を除く)に在る第2のタイミングとの少なくとも2つのタイミングで積層シートの画像を撮影する。このようにして取得した2つのフレームは,画像解析装置65へと送信され画像解析に利用される。画像解析装置65は,このような同じポイントを2回以上に亘って撮影したフレームの比較結果を,欠陥検査処理に利用することができる。なお,撮影装置は,少なくとも上記した2つのタイミングの静止画を撮影するものであってもよいし,上記2つのタイミングを含むフレームレートの動画を撮影するものであってもよい。
図5(b)は,第1の撮影装置61による撮影画像内に異常部分が含まれる場合において,表側照明領域(重畳領域を除く)内で撮影した異常部分と,裏側照明領域(重畳領域を除く)で撮影した異常分の変化の様子を模式的に示している。ここで,第1の撮影装置61にとって表側照明領域は反射方式によって撮影する領域であり,裏側照明領域は透過方式によって撮影する領域である。反射方式による撮影画像は,撮影面に付着した薄い煤汚れを検出しやすい反面,積層シートに生じた穴などの欠陥を検出しにくいという特徴がある。他方で,透過方式による撮影画像は,積層シートに生じた穴などの欠陥を検出しやすい反面,撮影面に付着した薄い煤汚れを検出ししにくいという特徴がある。このような各方式の特徴を利用すると,表側照明領域の撮影画像と裏側照明領域の撮影画像を比較することにより,それらの画像内に写っている異常がどのようなものであるかを推定することができる。例えば,図5(b)上段に示されるように,表側照明領域と裏側照明領域の両方で異常が検出された場合,その異常は反射方式及び透過方式の両方によって検出可能な大きな影を持つ付着物であると推測できる。また,図5(b)中段に示されるように,積層シートの異常が表側照明領域で検出され裏側照明領域では検出されなかった場合,その異常は透過方式では検出困難な撮影面に付着した薄い煤汚れであると推測できる。反対に,図5(b)下段に示されるように,積層シートの異常が表側照明領域で検出されなかったものの裏側照明領域では検出された場合,その異常は反射方式では検出困難な積層シートの層のいずれかに生じた穴であると推測できる。このように,画像解析装置65では,表側照明領域における撮影画像と裏側照明領域における撮影画像を比較して,その結果を積層シートの欠陥検査に利用することとしてもよい。
また,特に重畳領域において積層シートを透過する光と積層シートを反射する光が混じり合うことを抑制するために,第1の照明装置62及び第2の照明装置64に,光の照射方向を制御するための仕切り板やフィルタを取り付けることが好ましい。透過光と反射光が混合すると積層シートの表面に発生した薄い汚れ等を検出しにくくなるため,これらの光の重畳領域は可能な限り狭く調整することが好ましい。
なお,図5に示した例では,第1の撮影装置61の撮影画像に基づく検査処理の一例を説明したが,第2の撮影装置63の撮影画像に基づく検査処理も同様に行うことができる。前述したように,第1の撮影装置61は,積層シートの表側照明領域を反射方式で撮影し,裏側照明領域を透過方式によって撮影するものであるが,第2の撮影装置63は反対に,積層シートの表側照明領域を透過方式によって撮影し,積層シートの裏側照明領域を反射方式によって撮影することとなる。
また,検査対象がティッシュペーパーやトイレットペーパーのような木材パルプを主原料とする衛生薄葉紙の場合,その製造過程において紙粉が発生し,撮影装置が置かれた雰囲気中にも紙粉が飛散していることが予測される。このため,画像解析装置65は,撮影画像を解析する際に,積層シートの周囲に飛散している紙粉は無視(キャンセル)して,その検査対象となる積層シートに生じた欠陥のみを検出するようにプログラムされていることが好ましい。具体的には,積層シートは一方向に向かって一定速度で搬送されているため,その積層シートに発生している欠陥は積層シートと同方向に向かって同速度で移動しているといえる。他方で,紙粉は雰囲気中に舞っているものであるため,移動方向や移動速は積層シートとは全く異なるものである。そこで,画像解析装置65は,積層シートの撮影画像から,その積層シートと同方向に向かって同速度で移動する欠陥部分のみを検出することにより,その他の紙粉等は無視して,積層シートに付着した異物又は積層シートに発生した異常のみを検出することが可能となる。
また,紙粉による誤作動を防止するために,撮影装置61,62を構成するカメラをケース内部に収容するとともに,当該ケース内に清浄なエアーを導入して陽圧化し,紙粉がケース内部に侵入することを防止することが好ましい。この場合,カメラはケースのエアー排出口を通して対象物を撮影するようにすればよい。このようにすることで,ケース内部に紙粉が侵入することを防ぎ,カメラレンズに紙粉が付着することを防止することができる。
また,ミシン目加工部50とログ形成部70の間に位置する欠陥検査装置60では,画像解析装置65が,撮影画像を解析する際に積層シートに形成された既知のミシン目は無視(キャンセル)して,その検査対象となる積層シートに生じたミシン目を除く未知の欠陥のみを検出するようにプログラムされていることが好ましい。例えば,画像解析装置65は,ミシン目が形成された周期に関する情報を保持しており,その周期で発生するミシン目を欠陥として認識しないようにプログラムされていてもよい。また,画像解析装置65は,ミシン目の形状的特徴(流れ方向のサイズや幅方向に沿って全体的に形成されているという形状的特徴)に関する情報を保持しており,その形状的特徴を持つミシン目を欠陥として認識しないようにプログラムされていてもよい。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
11…第1の原反ロール 12…第2の原反ロール
20…第1の重ね合せ部 21…重ね合せローラ
30…エンボス加工部 31…第1のエンボスローラ
32…第2のエンボスローラ 33…第1の受けローラ
34…第2の受けローラ 40…第2の重ね合せ部
41…重ね合せローラ 50…ミシン目加工部
51…カッターローラ 52…アンビルローラ
60…欠陥検査装置 61…第1の撮影装置
62…第1の照明装置 63…第2の撮影装置
64…第2の照明装置 65…画像解析装置
70…ログ形成部 S1…第1のシート
S2…第2のシート

Claims (3)

  1. 2枚以上のシートが積層されたシート製品の製造方法であって,
    2枚以上のシートを重ね合わせて積層シートを得る重ね合せ工程と,
    前記積層シートの表面側に位置する第1の照明装置と当該積層シートの裏面側に位置する第2の照明装置とにより当該積層シートを照明するとともに,当該積層シートの表面側に位置する第1の撮影装置と当該積層シートの裏面側に位置する第2の撮影装置により当該積層シートを撮影して,当該積層シートの表側及び裏側の画像を得る撮影工程と,
    前記積層シートの表側及び裏側の画像を解析して,前記積層シートの欠陥の有無を検査する画像解析工程と,を含み,
    前記撮影工程では,前記第1の照明装置により前記積層シートが照明された表側照明領域と,前記第2の照明装置により当該積層シートが照明され前記表照明領域と少なくとも部分的に位置が異なる裏側照明領域を形成するとともに,前記第1の撮影装置及び前記第2の撮影装置により,前記表側照明領域及び前記裏側照明領域を少なくとも部分的に含む領域の画像を,前記積層シートの表側及び裏側からそれぞれ,当該積層シート上のあるポイントが前記表側照明領域に在るときのタイミングと前記裏側照明領域に在るときのタイミングとで2回以上に亘って撮影し,
    このとき,前記第1の照明装置は,前記第1の撮影装置に対して当該積層シートの表面側の反射光を提供すると同時に前記第2の撮影装置に対して当該積層シートの透過光を提供するように配置され,前記第2の照明装置は,前記第2の撮影装置に対して当該積層シートの裏面側の反射光を提供すると同時に前記第1の撮影装置に対して当該積層シートの透過光を提供するように配置されており,
    前記第1の撮影装置と前記第2の撮影装置は,前記積層シートの撮影範囲に対して垂直な同一の軸線上に配置されており,
    前記画像解析工程では,前記積層シート上に欠陥が有る場合に,当該欠陥が前記表側照明領域に位置しているときの撮影画像と前記裏側照明領域に位置しているときの撮影画像とを比較することにより,当該欠陥の種類を判別する
    シート製品の製造方法。
  2. 前記画像解析工程の間,前記積層シートは一方向に向かって一定速度で搬送されており,
    前記画像解析工程は,前記積層シートの画像から,前記積層シートに形成した既知の欠陥部分は検出せずに,前記積層シートと同方向に向かって同速度で移動する未知の欠陥部分のみを検出する
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 2枚以上のシートを重ね合わせて積層シートを得る重ね合せ部と,
    前記積層シートの表面側及び裏面側の両側から当該積層シートを照明する照明部であって,当該積層シートの表面側に位置する第1の照明装置と当該積層シートの裏面側に位置する第2の照明装置を含むものと,
    前記照明部により前記積層シートが照明された状態において,当該積層シートの表面側及び裏面側の側から当該積層シートを撮影して,当該積層シートの表側及び裏側の画像を得る撮影部であって,当該積層シートの表面側に位置する第1の撮影装置と当該積層シートの裏面側に位置する第2の撮影装置を含むものと,
    前記積層シートの表側及び裏側の画像を解析して,前記積層シートの欠陥の有無を検査する画像解析部と,を含み,
    前記照明部は,前記第1の照明装置により前記積層シートが照明された表側照明領域と,前記第2の照明装置により当該積層シートが照明され前記表照明領域と少なくとも部分的に位置が異なる裏側照明領域を形成するとともに前記第1の照明装置が,前記第1の撮影装置に対して当該積層シートの表面側の反射光を提供すると同時に前記第2の撮影装置に対して当該積層シートの透過光を提供するように配置され,前記第2の照明装置が,前記第2の撮影装置に対して当該積層シートの裏面側の反射光を提供すると同時に前記第1の撮影装置に対して当該積層シートの透過光を提供するように配置されており,
    前記撮影部は,前記第1の撮影装置及び前記2の撮影装置により,前記表側照明領域及び前記裏側照明領域を少なくとも部分的に含む領域の画像を,前記積層シートの表側及び裏側からそれぞれ,当該積層シート上のあるポイントが前記表側照明領域に在るときのタイミングと前記裏側照明領域に在るときのタイミングとで2回以上に亘って撮影し,前記第1の撮影装置と前記第2の撮影装置は,前記積層シートの撮影範囲に対して垂直な同一の軸線上に配置されており,
    前記画像解析部は,前記積層シート上に欠陥が有る場合に,当該欠陥が前記表側照明領域に位置しているときの撮影画像と前記裏側照明領域に位置しているときの撮影画像とを比較することにより,当該欠陥の種類を判別する
    積層シートの欠陥検査装置。
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