JP4728469B2 - 抗酸化作用を有する肝保護剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然物由来、特にニシキギ科サラシア属の植物を含有する肝保護剤であって、体内での活性酸素種の産生および蓄積を抑制でき、肝障害を予防し、または病状の更なる悪化を防止できる肝保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、生体内、特に人体内に存在する活性酸素種が、健康との関連において注目されてきている。活性酸素種は、酸素呼吸する生体内のあらゆる部位で必ず産生されるもので、スーパーオキサイドアニオン(O2 -)、過酸化水素、ヒドロキシラジカル(OH・)および一重項励起種(12)などの種々の形をとる。活性酸素種は、食物などの形で生体外部からも生体内に取りこまれることがある。例えば、食用油中に存在する過酸化脂質も活性酸素種の一種である。
活性酸素種は、生体内に存在すると、各種細胞死、ガン、動脈硬化などの種々の疾患の原因になると言われている。従って、活性酸素種は、生体内ではスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)などの酵素の働きで除去あるいは解毒されているが、老化と共に体内のSOD活性は低下し、活性酸素種が原因となる種々の疾患の可能性が高くなる。
【0003】
ところで、肝臓は、一般には解毒器官とも言われるほど多種多様の酵素の働きを有する。生体内に有害な物質が存在すると、それは、この肝臓の働きによって解毒または代謝され、酸素と水として体外へ排出される。
【0004】
しかし、この解毒や代謝により、活性酸素種が産生されることもあり、それによって肝細胞膜などが損傷を受ける。
また、老化とともに、解毒作用や代謝機能が低下して、活性酸素種が体内に蓄積すると、高血圧症や肝障害などを発症させたり症状を悪化させる原因となることがある。
【0005】
したがって、健康や生命を維持するために、肝臓を保護しながら活性酸素種を速やかに解毒または分解して、生体外へ排出する必要がある。
【0006】
肝臓を保護する目的で現在使用されている医療製剤や漢方製剤には、単独または組み合わせて使用すると、精神障害、投薬中止後のリバウンド、間質性肺炎の発症やそれが原因と思われる死亡例を含む種々の副作用が報告されていることから、肝臓を保護しかつ体内での活性酸素種の産生および蓄積を抑制でき、有効成分として副作用の少ない天然起源物質を含有する肝保護剤が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、活性酸素種を速やかに解毒し代謝してその産生や蓄積を防止するために肝臓を保護しながら、抗酸化活性を有する肝保護剤を提供することであって、特に、従来の医薬品に比べて副作用が少ない、天然起源の物質を含有する経口投与可能な肝保護剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ニシキギ科サラシア属の植物(特に、サラシア・レティキュラータまたはサラシア・オブロンガ)の根または幹の粉砕物、あるいはその水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスを有効成分として含有する、抗酸化作用を有する肝保護剤を提供する。
【0009】
サラシア・レティキュラータの属するニシキギ科植物サラシアの植物は、主にスリランカ、インドなどの温暖で湿潤な地方に生育するつる性の植物で、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・エキスキュプタ(Salacia exculpta)、サラシア・マクロフィリア(Salacia macrophylla)、サラシア・ウンデュラータ(Salacia undulata)などの同属植物が存在することが知られている。特に、サラシア・レティキュラータは、現地において、抗炎症、無月経、抗潰瘍、抗糖尿病などの治療に用いられてきた伝承薬効がある。
例えば、天然起源物質であるサラシア・レティキュラータ抽出物は、抗糖尿病作用に有効であると考えられており、様々な研究が報告されている(例えば、ラットおよびヒトにおける糖質負荷時の血糖値上昇抑制作用[下田ら著、日本栄養・食糧学会誌、51巻、第279〜287頁 (1998年)]、およびその安全性について[下田ら著、食品衛生学雑誌、40巻、第198〜205頁 (1999年)])。あるいは、サラシア・レティキュラータ抽出物の薬理活性成分や作用機序についても詳細な研究がなされており、非常に強い二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)阻害作用を有するチオ糖成分サラシノールが単離・構造決定されている[Yoshikawa M.ら著、Tetrahedron Letters、38巻、第8367〜8370頁 (1997年)]。
【0010】
しかしながら、サラシア・レティキュラータを含むニシキギ科サラシア属植物からの天然起源物質が、生体内の活性酸素種に対する抗酸化性作用を有すること、すなわち活性酸素種を消去するのに有効であるという科学的研究はこれまで報告されておらず、それらを有効成分として含有する肝保護剤も未だ見出されていなかった。
【0011】
本発明者らは、天然起源物質であるサラシア属植物の粉砕物またはその水およびメタノール抽出物が、四塩化炭素誘発肝障害モデルに対して強い肝障害抑制作用を示すこと、およびこの肝障害抑制作用の作用機序が、サラシア属植物の抗酸化作用に基づくことを見出し、本発明を達成するに至った。
【0012】
本発明の肝保護剤は、従来から民間療法で利用されている天然起源物質またはそれからの抽出物を有効成分とすることから、人体に対して安全性が非常に高いことを特徴とする。
本発明は別態様として、この肝保護剤を含有する医薬組成物または食品も提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の第1の態様は、ニシキギ科サラシア属の植物の根または幹を含む粉砕物そのもの、またはその水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスを含有する抗酸化作用を有する肝保護剤である。
【0014】
本発明では、サラシア属の植物、特にサラシア・レティキュラータまたはサラシア・オブロンガ)の根または幹を、一般的な粉砕手法により粉砕した形態で使用される。
【0015】
本発明の肝保護剤は、前記植物の粉砕物からの水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスを有効成分として含有していてもよい。この水抽出エキスは、先ず粉砕物に水を加えて100℃で1〜3時間還流した後、水を減圧下で蒸発させて除去することにより得ることができる。ここで、水の蒸発による除去は、例えば45℃以下の温度において減圧下(特に90〜750mmHg以下=11998.98〜99991.5Pa以下)で行う。
抽出溶媒として、水の代わりにアルコール系溶媒(好ましくはメタノールやエタノール)を用いることにより、アルコール系溶媒抽出エキスが得られる。この場合、アルコール系溶媒の除去は、水の蒸発による除去条件と同様の条件下で行ってよい。
【0016】
得られた水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスは、本発明の肝保護剤の有効成分として、最も好ましくはそのままの形態で使用することにより、十分な抗酸化作用に基づく肝保護作用を発揮し得る。
【0017】
水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスの抗酸化作用は、以下に説明するin vitroまたはin vivo評価法を用いて、その効果を確認することができる。
【0018】
in vitro 評価法
(1) 物質が抗酸化作用を有するか否かをスクリーニングするための安全で簡便な方法としては、安定なフリーラジカルである1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)を用いたラジカル消去作用評価実験が挙げられる。DPPHは通常、青紫色を呈しているが、このラジカルが抗酸化作用により消去されると、青紫色が消色する。したがって、この消色を、吸光度測定により確認することにより、ラジカル消去能を確認することができる。
【0019】
(2) in vitro評価法の別法として、キサンチンを基質として用いてもよい。すなわち、キサンチンと酸素の存在下へキサンチンオキシダーゼを作用させたときに産生される活性酸素種(O2 -)に、本発明の肝保護剤を作用させて、活性酸素種(O2 -)の消去活性を確認することもできる。この活性酸素種(O2 -)の産生および消去に関する反応機構を模式的に図1に示す。
【0020】
in vivo 評価法
四塩化炭素で惹起されるマウスの四塩化炭素誘発肝障害に対する抑制作用を調べることで、抗酸化能を決定することができる。
四塩化炭素誘発肝障害の発症機構は以下の通りである。先ず、マウスに投与された四塩化炭素が肝臓に存在する代謝酵素によりトリクロルメチルラジカルに代謝され、このラジカルによるラジカル連鎖反応の結果、過酸化脂質などが肝臓内に堆積することにより、肝臓に重篤な障害が発症する。
この肝障害に対する抑制活性は、本発明の肝保護剤を投与した後、肝細胞が破壊されたときに血中に放出される酵素であるトランスアミナーゼ(GOT、GPT)の活性を決定することにより評価できる。
【0021】
本発明の肝保護剤は、有効成分としてサラシア属の植物の根または幹の水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスを含有する場合、年齢等によりその投与量が変化し得るが、例えば成人の1回の服用量につき100〜1000mg、好ましくは250〜500mg(または肝保護剤全重量の10重量%)の量で配合される。
【0022】
本発明は、第2の態様として、前記肝保護剤を含有する医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、有効成分として、前記サラシア属の植物の根または幹の粉砕物、またはその水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスを、例えば成人の一回の服用量につき、100〜1,000mg、好ましくは250〜500mgの量で含有し得る。本発明の肝保護剤において、前記有効成分の含有量は、年齢等により変化してよい。
【0023】
本発明の医薬組成物は、前記肝保護剤以外に、医薬分野において常用される既知の他の化合物、および経口投与に適した形態に成型するのに必要な化合物を包含していてもよい。そのような化合物としては、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0024】
本発明の医薬組成物は、経口投与に適した形状(例えば、粉末、固形剤、液剤)に成型されてよい。
【0025】
本発明の抗酸化作用を有する肝保護剤は、食事の際に1日3回程度服用するのが好ましい。
【0026】
さらに、本発明は、第3の態様として、有効成分として、前記肝保護剤を含有する食品も提供する。このような食品としては、例えばタブレット、ドリンク、ガム、キャンディー、チュアブル、グミ、ゼリー等が挙げられる。
本発明の食品は、前記肝保護剤(例えば、水抽出エキスまたはアルコール系溶媒抽出エキスの場合)を、食品全重量に対し、0.05〜10重量%の範囲の量で含有し得る。
【0027】
以下の調製例および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
以下の調製例1および2では、先ず、サラシア属の植物の根または幹の粉砕物から水抽出エキスを調製し、更にこの残渣から、アルコール系溶媒抽出エキスを調製した。続く実施例1〜3では、これら調製例で得られた水抽出エキスおよびその残渣からのアルコール系溶媒抽出エキスについて、抗酸化作用および肝保護作用をそれぞれ調べた。更に実施例4および5に、調製例1および2で得られた有効成分を含有する本発明の第2の態様の医薬組成物、または第3の態様の食品に関する具体的な製剤処方例または配合例をそれぞれ示す。
【0029】
調製例1
サラシア属の植物として、スリランカ産の乾燥したサラシア・レティキュラータ(根または幹)の粉砕物を用いた。この粉砕物(83.5g)に水(450mL)を加えて100℃で3時間加温抽出した。得られた抽出液を濾過後、45℃以下で、減圧下(180mmHg以下=23997.96Pa以下)、水を留去することにより、水抽出エキス6.0gを得た。
【0030】
調製例2
調製例1で得た水抽出液を濾過した後に残った残渣にメタノール(300mL)を加えて80℃で3時間加温抽出した。得られた抽出液を濾過後、45℃以下で、減圧下(180mmHg以下=23997.96Pa以下)、溶媒を留去することにより、水抽出物残渣からのメタノール抽出エキス3.3gを得た。
【0031】
実施例1: DPPH ラジカル消去作用試験
調製例1および2で得られたサラシア・レティキュラータの根または幹の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣からのメタノール抽出エキスについて、DPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去能を調べた。
先ず、0.1M酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)1.0mLに、エタノール0.5mLと、被験物質である調製例1または2の各エキスのエタノール溶液(濃度:1〜100μg/mL;0.5mL)とを混合し、これに2.0×10-4M DPPHエタノール溶液0.5mLを加えて攪拌した後、室温にて30分間放置した。この溶液の517nmにおける吸光度を測定し、2値平均値をとった後、グラフ用紙上で縦軸に吸光度、横軸に被験物質の濃度をプロットした。このグラフ上より1.0×10-7モル(全DPPHの半量)のDPPHラジカルを消去するのに必要な被験物質の濃度(SC50)を算出した。得られた結果を表1に示す。
陽性の対照として、同様の試験による(+)-catechinの結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004728469
【0033】
上記表1の結果より、本発明のサラシア属の植物(サラシア・レティキュラータ)の水抽出エキスおよびその残渣から得たメタノール抽出エキスはいずれも、優れたラジカル消去作用を有することが分かる。
【0034】
実施例2:活性酸素消去作用試験
上記、調製例1および2で得られたサラシア・レティキュラータの根または幹の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣からのメタノール抽出エキスの活性酸素消去活性(スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様活性)について調べた。
被験物質として、予め、前記調製例1または2で得たエキスをそれぞれ、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した後、蒸留水で希釈したものを調製した(DMSO最終濃度;0.3%)。
先ず、40mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH 10.2)2.4mLに、3mMキサンチン、3mM EDTA、0.15%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.75mMニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および予め調製した前記被験物質をそれぞれ0.1mLずつ加えて混合した。次に、キサンチンオキシダーゼ溶液を0.1mL加え、25℃で20分間インキュベートした後、反応液に6mM CuCl2 0.1mLを加えて反応を停止させ、560nmにおける吸光度を測定し、本反応において活性酸素と反応したNBTのフォルマザン(formazan)の量を算出した。表2に示す各結果は、フォルマザンの生成を50%阻害する濃度(IC50)を表わしている。
【0035】
本実施例では更に、被験物質がキサンチンオキシダーゼの反応を阻害する場合には、誤って、SOD様活性を有すると判断される恐れがあることから、キサンチンオキシダーゼに対する阻害活性についても調べた。
上記試験において、NBTを含まない反応液を調製したこと以外は同様の反応条件で25℃で20分間インキュベートした後、この反応液に2N HCl(0.1mL)を加えて反応を停止させた後、290nmにおける吸光度を測定し、反応液中の尿酸の生成量を算出した。算出結果のプロットから50%キサンチンオキシダーゼ反応阻止濃度(IC50)を導き出した。結果を表2に示す。
陽性の対照として、同様の試験による(+)-catechinの結果も同様に表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004728469
a):水抽出エキス残渣からのメタノール抽出エキス
【0037】
上記表2の結果より、本発明のサラシア属の植物の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣から得たメタノール抽出エキスがいずれも、優れた活性酸素消去能を有することが分かる。また表2には、本発明の試料がいずれも、キサンチンオキシダーゼを阻害しないことも示されている。
【0038】
実施例3:四塩化炭素誘発肝障害抑制活性
調製例1および2で得られたサラシア・レティキュラータの根または幹の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣からのメタノール抽出エキスの肝保護作用を、四塩化炭素により惹起された急性肝障害モデルを使用して調べた。
【0039】
被験物質として、予め、調製例1または2からの各エキスの5%アラビアゴム末含有水性懸濁液を調製した。
約20時間絶食したddY系雄性マウス(5週齢、体重約20g)に、被験物質を10mL/kgの液量で経口投与し、1時間後にエーテル麻酔下、オリーブオイルで希釈した10%(v/v)四塩化炭素を5mL/kgの用量で皮下投与した。20時間後に無麻酔下で、眼窩静脈叢より採血を行った。得られた血液サンプルを遠心分離(3000rpm、10分間)して、血清を得た。この血清中のトランスアミナーゼ活性を市販キット[エス.ティーエーテストワコー(和光純薬)]を用いて測定した。測定結果を表3に示す。
【0040】
表3の結果はいずれも、平均値±標準偏差で表記し、対照群との有意差検定にはDunnettの多重比較検定を用いて算出した。
表3には、陽性の対照として、同様の試験による「malotilate」(第一製薬)の結果も示す。
【0041】
【表3】
Figure 0004728469
a):水抽出エキス残渣からのメタノール抽出エキス
血清中トランスアミナーゼ活性の末尾の符号「*」および「**」は、Dunnettの多重比較検定で検定した対照との有意差、すなわち危険率(p)がそれぞれ0.05および0.01未満であったことを表す。
【0042】
上記表3の結果より、本発明のサラシア属の植物の根または幹の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣からのメタノール抽出エキスがいずれも、in vivoにおいて肝障害の発症を抑制することが判る。
【0043】
四塩化炭素により惹起される肝障害は、前述のように、投与された四塩化炭素が肝臓に存在する代謝酵素によりトリクロルメチルラジカルに代謝され、このラジカルに起因する連鎖反応により、肝内に過酸化脂質が堆積することによって誘導される障害であると考えられている。従って、この四塩化炭素によって誘発される肝障害を抑制するには、トリクロルメチルラジカルを消去することと、過剰に産生される活性酸素を消去すること(すなわち、抗酸化作用)の両者が必要である。
本発明の肝保護剤(すなわち、サラシア属の植物の根または幹の粉砕物の水抽出エキスおよびその残渣からのメタノール抽出エキス)は、前述の実施例1および2において、DPPHラジカルの消去や活性酸素の消去作用を有することを示しており、これからも、本実施例3で示された優れた肝障害抑制作用は、これら両者の作用に基づくものであると考えられる。
【0044】
以下の実施例4および5には、本発明の第2態様の医薬組成物としてのチュアブル錠および第3態様の食品としてのドリンク剤に関する製剤処方例および製造例をそれぞれ示しているが、これらは例示であって、本発明は特にこれらに制限されるものではない。
実施例4:チュアブル錠の製造
Figure 0004728469
【0045】
〔製法〕
上記組成において、香料、ハッカ、タイム、ショ糖脂肪酸エステルを除いた材料を、ミルでよく混合した後、蒸留水を加えて成型可能な適当な粘度まで練合する。ここに、ハッカ、タイム、ショ糖脂肪酸エステルを加えてさらに練合した後、最後に香料を加えて、押し出し造粒にて顆粒を作製する。顆粒を40℃で乾燥後、打錠機を用いて本発明の抗酸化作用を有する肝保護剤含有チュアブル錠を得た。
【0046】
実施例5:ドリンク剤の製造
Figure 0004728469
【0047】
〔製法〕
前記組成を全て蒸留水800mLに溶解し、さらに蒸留水を加えて全量1000mLとした後、0.22μmの除菌フィルターで滅菌し、100mLずつ褐色びんに無菌充填することにより、実施例1の水抽出物を1剤あたり200mg含有するドリンク剤を製造した。
【0048】
【発明の効果】
本発明の抗酸化作用を有する肝保護剤は、毎日摂取することにより体内の酸化障害が予防できかつ活性酸素の毒性に基づく肝障害を予防でき、さらには病態の悪化を緩和することができる。
本発明の肝保護剤は、ニシキギ科サラシア属の天然植物、特にサラシア・レティキュラータまたはアラシア・オブロンガから誘導される物質、またはその水抽出物およびアルコール系溶媒抽出物を含有することから、現在入手可能な肝保護剤に比べて、副作用が少なく人体により安全である。
本発明の肝保護剤を医薬組成物または食品に含有させることにより、日常において、より簡易に経口摂取できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 活性酸素種の産生および本発明の肝保護剤による消去作用を模式的に表す反応スキームである。

Claims (3)

  1. ニシキギ科サラシア(Salacia)属の植物の根または幹の粉砕物を含有する肝保護剤。
  2. ニシキギ科サラシア属の植物の根または幹の水またはアルコール系溶媒抽出エキスを含有する肝保護剤。
  3. 請求項1または2記載の肝保護剤を含有する、肝臓を保護するための医薬組成物。
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JP2001149038A (ja) * 1999-11-22 2001-06-05 Kyoto Eiyo Kagaku Kenkyusho:Kk サラシア食品素材およびその製造方法、およびその食品素材を含有する食品。

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