JP4754190B2 - アルコール代謝向上剤 - Google Patents
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しかし、アルコールの代謝生成物であるアセトアルデヒドが十分に代謝されないで体内に蓄積している状態は、いわゆる「酔い」が生じている状態であり、アルデヒドが体内に蓄積すると皮膚紅潮や悪酔いを生じさせ、さらには頭痛、吐気等の二日酔いの症状を引き起こす。
また、アルコールの代謝を向上することで悪酔いや二日酔いを低減することができる、安全性の高い新たな植物由来のアルコール代謝向上剤が望まれている。
一方、植物の抽出物が種々の効果を有することも明らかになってきた。
すなわち本発明は、乾燥重量で20重量%以上のオリゴメリック・プロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物を含有する、アルコール代謝向上剤である。
重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)が特に好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、本明細書ではOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。
プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、松、樫、山桃などの樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチの実の殻、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも極微量ではあるが、OPCが含まれることが知られている。
なお、OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、2〜4量体のOPCを20重量%以上含み、かつカテキン類を5重量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。
また、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量の上限は、特に制限されないが、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量が高濃度となると、プロアントシアニジン自身の生理活性が低くなることがあるため、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量が90重量%未満、好ましくは85重量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは80重量%未満である。
なお、本発明のアルコール代謝向上剤は、アルコール摂取前および摂取後いずれにおいても、アルコールの分解を促進し、悪酔いや二日酔いの防止効果を得ることができる。特にアルコール摂取90分前に摂取しても、十分そのアルコール代謝向上効果、悪酔いまたは二日酔いの予防効果を得ることが可能である。
このような成分としては、例えば、水、他の薬効成分、他の油剤、保湿剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、吸収促進剤、香料、色素、保存剤、増粘剤、キレート剤、防腐防黴剤などを挙げることができる。ここで、他の薬効成分としては、活性酸素除去剤、抗酸化剤、消炎鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、止痒剤、殺菌剤、ビタミン剤、ホルモン剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンAなどのカロテノイド類、ビタミンB類、アスコルビン酸、ビタミンE、これらの誘導体またはこれらの塩、L−システインおよびこれらの誘導体やその塩、リボフラビン、SOD、マンニトール、トリプトファン、ヒスチジン、ケルセチン、没食子酸およびその誘導体、茶抽出物、セサミンおよびその類似体、およびグルタチオン酵母抽出物などの抽出物が挙げられる。
なお、アスコルビン酸の誘導体としてはアスコルビル−2−リン酸、アスコルビル−2−グルコシド等が挙げられ、その塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
アスコルビン酸を添加する場合は、プロアントシアニジンに対して、重量比で、好ましくは1:0.1〜500、より好ましくは1:0.2〜200となるように、本発明のアルコール代謝向上剤に含有され得る。
セサミンの類似体としては、セサモリン、セサミノール、セサモール、エピセサミン、ピルジノール、セサンゴリン、シンプレオキシドアグリコン等があげられ、これらを含有するゴマ抽出物(ゴマリグナン等)等でもよい。
このようなセサミンおよびその類似体は、プロアントシアニジンに対して、重量比で1:0.01〜50、より好ましくは1:0.02〜20である。
なお、セサミン及びその類似体とアスコルビン酸及びその誘導体又はその塩とを併用してもよい。これらの相乗効果が期待されるからである。
例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、卵殻カルシウムなどのカルシウム、キトサン、レシチン、クロレラ末、アシタバ末、モロヘイヤ末などの栄養成分としての食品添加物;ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、還元麦芽糖、乳糖、糖液などの調味料が混合され得る。
そしてこれらは、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤などに、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、液体、ペースト状などの形態に成形され得る。これらは、形状または好みに応じて、そのまま飲食してもよく、あるいは水、湯などに溶いて飲んでも良い。
10週齢のSD系雄性ラット(九動株式会社)18匹を固形飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)で1週間予備飼育した後、12時間絶食させた。
40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)の0.1重量%水溶液を、ゾンデを用い5mLを投与した。松樹皮抽出物投与30分後に、15重量%エタノール水溶液を、エタノール濃度が1.0g/kgとなるように強制経口投与した。エタノール投与後の0.5、1、6時間後に採血し、血中エタノール及びアセトアルデヒドを測定した。測定は、市販測定用キット(F−キットエタノール,F−キット アセトアルデヒド[ベーリンガー・マンハイム社])を用いた。
結果を表1に示す。
実施例1の松樹皮抽出物に加えて、0.1重量%となるようにアスコルビン酸を松樹皮抽出物水溶液に添加したこと以外は同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
松樹皮抽出物を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
松樹皮抽出物に代え、プロアントシアニジンを38重量%含有するブドウ種子抽出物(キッコーマン株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
また、プロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)とアスコルビン酸の組み合わせはさらにその効果が高いことが分かった。
健常な成人男性5名を被験者とし、1週間禁酒してもらった。
その被験者に、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を含む表2に記載の食品1を3錠摂取してもらった後に、試験開始0分より、体重1kgあたり2g相当のアルコールとなるように、アルコールが6重量%のウィスキーの水割りを2時間で摂取してもらった。
そして、アルコール摂取完了後3時間の状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
なお、食品の重量は1錠あたり100mgである(以下、同様)。
結果を表3に示す。
上記と同じ被験者に、1週間禁酒してもらい、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)およびアスコルビン酸を含有する表2に記載の食品2を3錠摂取してもらった以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取完了後3時間および翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表3に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)およびゴマ抽出物を含有する表2に記載の食品3を3錠摂取してもらった以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取完了後3時間および翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表3に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、表2記載の食品4を3錠摂取してもらった以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取完了後3時間および翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表3に示す。
また、アスコルビン酸やセサミン及びその類似体を含有させた場合は、より効果が高いことが分かる。
健常な成人男性5名を被験者とし、1週間禁酒してもらった。
そして被験者に試験開始0分より、体重1kgあたり2g相当のアルコールとなるように、アルコールが6重量%のウィスキーの水割りを2時間で摂取してもらった。
アルコール摂取完了後、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を含む表2の食品1を3錠摂取してもらった。
そして、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表4に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。
アルコール摂取完了後、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)およびアスコルビン酸を含有する表2に記載の食品2を3錠摂取してもらった。
そして、翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表4に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。
アルコール摂取完了後、40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)およびゴマ抽出物を含有する表2に記載の食品3を3錠摂取してもらった。そして、翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表4に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。
アルコール摂取完了後、表2記載の食品4を3錠摂取してもらった。
そして、翌朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表4に示す。
また、アスコルビン酸やセサミン及びその類似体(ゴマ抽出物中に存在)を含有させた場合は、より効果の高いことがわかる。
アルコールが25度の焼酎と松樹皮抽出物を1錠当たり30mg含有する錠剤(1錠が250mgの錠剤であり、松樹皮抽出物(実施例1と同じ)30mgと賦形剤として結晶セルロース、ショ糖エステル、還元麦芽糖、トレハロースを含有)を用いてアルコール代謝に対する影響を下記のようにして評価を行った。
まず、5名の被験者からアルコール摂取前の呼気アルコール濃度をアルコール検知器(中央自動車工業株式会社製)で測定した。測定結果が0を示したことを確認した後に、60mLの焼酎を5分以内で全てを摂取してもらった。次いで、焼酎の摂取開始から30、60、120、150分後に呼気アルコール濃度を5回測定して、平均値を算出した。
次いで、翌日のほぼ同時刻に同じ被験者に対し、焼酎を摂取する90分前に前記松樹皮抽出物を含有する錠剤を4錠摂取してもらったこと以外は、同様の試験を実施し、呼気アルコール濃度を測定した。
第3日目には焼酎を摂取する60分前に、第4日目には30分前に松樹皮抽出物を含有する錠剤を4条摂取してもらい、前記と同様にして、呼気アルコール濃度を測定し、平均値を求めた。
結果を表5に示す。
アルコール摂取後の呼気中のアルコール濃度が摂取しなかった場合に比べ、早い時間で減少していることが分かる。すなわち、本発明のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物を含有するアルコール代謝向上剤をアルコール摂取前に摂取することによって、アルコールの代謝を促進し、悪酔いや二日酔いを防止することが可能であることが分かる。
Claims (3)
- 乾燥重量で20重量%以上のオリゴメリック・プロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物を含有する、アルコール代謝向上剤。
- アスコルビン酸を含有することを特徴とする、請求項1に記載のアルコール代謝向上剤。
- セサミンおよびその類似体を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルコール代謝向上剤。
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