JP4504118B2 - アルコール飲料 - Google Patents
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しかし、アルコールの代謝生成物であるアセトアルデヒドが十分に代謝されないで体内に蓄積している状態は、いわゆる「酔い」が生じている状態であり、アルデヒドが体内に蓄積すると皮膚紅潮や悪酔いを生じさせ、さらには頭痛、吐気等の二日酔いの症状を引き起こす。
したがって、溶血作用がなく、安全性の高い植物由来の素材による悪酔いや二日酔いを低減することができるアルコール飲料を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、乾燥重量で20重量%以上のオリゴメトリック・プロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物を添加した、アルコール飲料である。
重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)が特に好ましい。この重合度が2〜4の縮重合体を、本明細書ではOPC(オリゴメリック・プロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。
プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジン、特にOPCは、具体的には、松、樫、山桃などの樹皮、ブドウ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、ニセアカシア、コケモモの果実もしくは種子、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオ、小豆、トチの実の殻、ピーナッツの薄皮、イチョウ葉などに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根、日本の緑茶にも極微量ではあるが、OPCが含まれることが知られている。OPCは、ヒトの体内では、生成することのできない物質である。
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性成分などを含有し、その主要成分であるプロアントシアニジンに、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する酢酸エチル層回収工程を5回行う。なお、この酢酸エチル層回収工程では、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウム200gに直接回収する。その後、この酢酸エチル層を濾過し、濾液を元の5分の1の量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル層を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、カテキン類を5重量%以上含有し、2〜4量体のOPCを20重量%含む、約5gの松樹皮抽出物が得られる。
また、本発明においては、食品に添加するときの安全性の観点から、松樹皮をエタノールまたは水等を用いて、より好ましくは加温しながら松樹皮からプロアントシアニジンを抽出し、吸着性の樹脂(ダイアイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチン等)などや限外ろ過膜を用いて、プロアントシアニジンの含有量が高められた松樹皮抽出物を添加することが好ましい。
また、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量の上限は、特に制限されないが、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量が高濃度となると、プロアントシアニジン自身の生理活性が低くなることがあるため、植物抽出物中のプロアントシアニジン含有量が90重量%未満、好ましくは85重量%未満であることが好ましく、さらに好ましくは80重量%未満である。
このような成分としては、例えば、水、他の薬効成分、他の油剤、保湿剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、吸収促進剤、香料、色素、保存剤、増粘剤、キレート剤、防腐防黴剤などを挙げることができる。ここで、他の薬効成分としては、活性酸素除去剤、抗酸化剤、消炎鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、止痒剤、殺菌剤、ビタミン剤、ホルモン剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンAなどのカロテノイド類、ビタミンB類、アスコルビン酸、ビタミンE、これらの誘導体またはこれらの塩、L−システインおよびこれらの誘導体やその塩、リボフラビン、SOD、マンニトール、トリプトファン、ヒスチジン、ケルセチン、没食子酸およびその誘導体、茶抽出物、およびグルタチオン酵母抽出物などの抽出物が挙げられる。
なお、アスコルビン酸の誘導体としてはアスコルビル−2−リン酸、アスコルビル−2−グルコシド等が、アスコルビン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
アスコルビン酸を添加する場合は、プロアントシアニジンに対して、重量比で、好ましくは1:0.1〜500、より好ましくは1:0.2〜200となるように、本発明のアルコール飲料に含有され得る。
10週齢のSD系雄性ラット(九動株式会社)18匹を固形飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)で1週間予備飼育した後、12時間絶食させた。
40重量%のプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を最終濃度が0.005重量%となるように、エタノールを15重量%含有する水溶液に添加した。そして、該エタノール水溶液をエタノールが1.0g/kgとなるようラットに強制経口投与した。エタノール投与後の0.5、1、6時間後に採血し、血中エタノール及びアセトアルデヒドを測定した。測定は、市販測定用キット(F−キット エタノール,F−キット アセトアルデヒド[ベーリンガー・マンハイム社])を用いた。
結果を表1に示す。
実施例1の松樹皮抽出物に加えて、投与するエタノール水溶液中の最終濃度が0.005重量%となるようにアスコルビン酸を添加したこと以外は同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
実施例1の松樹皮抽出物を添加しなかったこと以外は同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
実施例1の松樹皮抽出物に代え、プロアントシアニジンを38重量%含有するブドウ種子抽出物(キッコーマン株式会社)を添加したこと以外は、同様の操作を行い、血中エタノールおよびアセトアルデヒドを測定した。
結果を表1に示す。
また、プロアントシアニジン(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)とアスコルビン酸の組み合わせはさらにその効果が高いことが分かった。
健常な成人男性5名を被験者とし、1週間禁酒してもらった。
40重量%のプロアントシアニジン(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を含有する松樹皮抽出物0.6gをウィスキー(アルコール含有量34重量%:サントリー株式会社)300mLに添加したものをアルコール飲料として用いた。
そして被験者に試験開始0分より、体重1kgあたり、3g相当のアルコールとなるようにウイスキーの水割り(アルコール含有量6重量%)を2時間で摂取してもらった。
そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表2に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、松樹皮抽出物(実施例3と同じ)およびアスコルビン酸をそれぞれ0.6g添加したこと以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。
そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表2に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、松樹皮抽出物を含有させなかったアルコール飲料を用いたこと以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表2に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、松樹皮抽出物を含有させず、ウイスキーの水割りの変わりに赤ワイン(サッポロ株式会社)を摂取してもらった以外は、実施例3と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表2に示す。
また、プロアントシアニジンを含有するといわれる赤ワインとの比較から、本発明のようにアルコール飲料へプロアントシアニジン(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を添加した方が高い効果が得られることが分かった。
さらに、被験者からはアルコール飲料の風味が良くなったという意見があったことから、嗜好性も向上していることが分かった。
健常な成人男性15名を被験者とし、1週間禁酒してもらった。
被験者を1群5名に振り分け、試験開始0分より、体重1kgあたり、3g相当のアルコールとなるように40重量%のプロアントシアニジン(OPCを20重量%含有、商標名:フラバンジェノール、株式会社東洋新薬)を含有する松樹皮抽出物を0.01重量%含有するビール(アルコール含有量4重量%)、赤ワイン(アルコール含有量6重量%)、焼酎の水割り(アルコール6重量%)を2時間で摂取してもらった。そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表3に示す。
上記と同じ被験者に1週間禁酒してもらい、松樹皮抽出物を添加しなかったこと以外は、実施例5〜7と同様にアルコールを摂取してもらった。そして、アルコール摂取後から3時間経過したときの状態と、翌日の朝の体調を自己診断してもらった。
結果を表3に示す。
アルコールが25度の焼酎300mLへ松樹皮抽出物(実施例1と同じ)を500mg溶解し、アルコール飲料を調整した。このアルコール飲料と松樹皮抽出物を溶解していない焼酎(対照飲料という)とを用いて、下記評価を行った。
まず、3名の被験者においてアルコール摂取前の呼気アルコール濃度をアルコール検知器(中央自動車工業株式会社製)で測定した。測定結果が0を示したことを確認した後に、60mLの対照飲料を5分以内で全てを摂取してもらった。
次いで、アルコール摂取開始から30、60、120、150分後に呼気アルコール濃度を一人当たり5回測定して、平均値を算出した。
また、翌日の同時刻に同じ被験者に対し、対照飲料の変わりにアルコール飲料を用いて同様の試験を実施し、呼気アルコール濃度を測定した。
3名の平均値を表4に示す。
Claims (2)
- 乾燥重量で20重量%以上のオリゴメトリック・プロアントシアニジンを含む松樹皮抽出物を添加した、アルコール飲料。
- アスコルビン酸が添加された、アルコール代謝向上に優れた請求項1に記載のアルコール飲料。
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