JP2001106634A

JP2001106634A - 月経困難症、子宮内膜症の治療薬

Info

Publication number: JP2001106634A
Application number: JP28762899A
Authority: JP
Inventors: Nobutaka Suzuki; 信孝鈴木; Takafumi Kohama; 隆文小濱
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1999-10-08
Filing date: 1999-10-08
Publication date: 2001-04-17
Anticipated expiration: 2019-10-08
Also published as: JP3260134B2; US6372266B1

Abstract

(57)【要約】【課題】月経困難症、子宮内膜症の症状改善・治療効
果を有する治療薬の提供【解決手段】フランス海岸松樹皮抽出物であって、プ
ロアントシアニジンを有効成分とし、ソフトカプセル、
錠剤、散剤、液剤の形態で提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、月経困難症及び子
宮内膜症の治療薬に関するものである。特にプロアント
シアニジンを含有する植物抽出物を有効成分とする治療
薬に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】月経困難症は、月経時に激しい下腹部
痛、腰痛、頭痛、吐き気などの症状が突発的に生じるも
ので、他の婦人科疾患(子宮付属器炎、子宮内膜症、子
宮筋腫、子宮腺筋症など)が認められないものをいう。
その原因としては、月経血中のプロスタグランデインの
増加、子宮口の狭窄などのために子宮内に月経血が貯留
することによる急激な子宮内圧の上昇などが挙げられ
る。その治療は、ボルタレン(一般名；ジクロフェナク
ナトリウム)、セデス(一般名；ビラゾロン系解熱鎮痛消
炎配合)を内服している。しかしこの治療は、一時的な
症状軽減を認めることもあるが、無効の場合が多い。

【０００３】子宮内膜症は、子宮内膜が子宮内腔以外の
場所(卵巣、卵管、ダグラス窩)に発生・増殖し、その場
所に炎症が生じることにより、激しい月経痛、月経時以
外の下腹部痛、腰痛などの症状を認める。また、不妊症
の原因の一つに数えられている。原因は不明であるが、
近年ダイオキシンとの関連性が注目されている。本疾患
は、生殖可能年齢(１８歳から４２歳ごろまで)に圧倒的
に多く、卵胞ホルモン(エストロゲン)依存性であるた
め、月経を有する年齢では徐々に増悪してゆき、逆に閉
経後はエストロゲンの減少とともに、退縮・消失してい
く。治療は、卵巣からのエストロゲン分泌を抑制させ、
病変部を退縮させるGn-RH療法がもっとも多く用いら
れ、続いて男性ホルモン(テストステロン)の誘導体であ
るダナゾールを用い、病巣のエストロゲン作用を抑える
ダナゾール療法等が行われている。しかしながら、これ
らの治療は、ほてり、全身倦怠感といった卵巣欠落症
状、骨粗鬆症、浮腫、肥満、といった副作用が高頻度に
出現し、さらに、４０歳までの女性の場合では、治療終
了後３ヶ月から半年で８０％以上が、内膜症の再発を認
め、優れた治療法とは言い難い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来、月経困難症及び
子宮内膜症の病態改善及び治療に機能する薬剤は、前述
したものの他、特に有効な薬剤は知られておらず、これ
の出現は永く望まれていた。発明者等は、フランス海岸
松樹皮抽出物が、予想外に月経困難症、子宮内膜症の患
者に対して、これまでの薬物治療ではみられない、著し
い改善・治療効果があることを見出した。この知見を基
にして、本発明はプロアントシアニジンを含有する植物
抽出物を有効成分とし、これを月経困難症及び子宮内膜
症の治療薬とするものである。

【０００５】フランス海岸松樹皮抽出物＝ＦＲＥＮＣＨ
ＭＡＲＩＴＩＭＥＰＩＮＥＢＡＲＫＥＸＴＲＡ
ＣＴＳとは、フランスのボルドー地方の海岸に植生する
学名：ＰＩＮＵＳＰＩＮＡＳＴＥＲ(ＦＲＥＮＣＨ
ＭＡＲＩＴＩＭＥ)という松の樹皮からの抽出物である
(米国特許第３４３６４０７号)。ピクノジェノール(ス
イスのホーファー・リサーチ社の商品名)として、現在
では世界的に広く栄養補助食品として使用されている。
フランス海岸松樹皮抽出物は、ＯＰＣ(オリゴメリック
プロアントシアニジン)を主体とした約４０種類の有
機酸を含む生体フラボノイド複合体である。その薬理機
序としては、１）強力な抗酸化作用(Blazso, G. Gabor, M., Sibbel,
R. and Rohdewald, P.Pharm. Parmacol. Lett., 3: 21
7-220. 1994) ２）抗炎症作用(同上) ３）末梢血管拡張作用(Fitzpatrick, D.F., Bing, B. a
nd Rohdewald, P. Jour.Cardiovasc. Pharmacol., 32:
509-515. 1998) ４）血小板凝集阻止能(米国特許第4698360号) ５）末梢血管抵抗減弱作用(Gabor, M.Engi, E. and Son
kodi, S. Phlebologie,22: 178-182. 1993) ６）結合組織の補強作用(Tixier, J. M., Godeau, G.,
Robert, A. M. andHornebeck, W. Biochemical Pharma
cology, 33: 3933-3939. 1984) ７）ビタミンＣの生体内作用に対する増強作用(Cossin
s, E., Lee, R. andPacker, L. Biochem Mol. Biol. I
nt., 45 (3): 583-597. 1998)が挙げられる。

【０００６】また、フランス海岸松樹皮抽出物のもつ薬
理効果は多彩で、１）老人の脳血流障害の改善(.Cahn and M.G.Borzeix,S
em.Hop.Paris,1983,59,No.27-28,2031-2034) ２）動脈硬化症による末梢血流障害の改善３）血栓予防(米国特許第5720956号) ４）ADHD(注意欠陥多動障害＝いわゆる、落ち着きのな
い子、多動児)への改善・治療効果(米国特許第5719178
号) ５）糖尿病性網膜症(フランスでは、医薬品として認可) ６）美肌効果７）鎮痛作用８）不眠の改善・治療９）こむら返りの治療１０）慢性疲労症候群：CFS(chronic fatigue syndrom
e)の改善・治療１１）その他；足のむくみ、静脈瘤花粉症や喘息等の
アレルギー性疾患、眼精疲労、糖尿病、インフルエン
ザ、ガンの予防といったような疾患の改善・治療効果が
報告されている。また、安全性についても、過去３０年
間に亘る、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、イ
タリアなどの研究者によって、フランス海岸松樹皮抽出
物の安全性は確認されている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、プロアントシ
アニジンを含有する植物抽出物を有効成分とする月経困
難症治療薬及び子宮内膜症治療薬を提供するものであ
る。特にフランス海岸松樹皮抽出物は有効であり、ソフ
トカプセル、錠剤、液剤、散剤の形態で内服用に提供す
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】（フランス海岸松樹皮抽出物につ
いて）フランス海岸松樹皮抽出物の抽出法は米国特許第
３４３６４０７号に詳細に記載されているとおり、抽出
法、一般的性状、組成、容量は次のとおりである。（１）抽出法(米国特許第３４３６４０７号) 粗い粉末にした１００ｋｇフランス海岸松樹皮を３５０
ｌの沸騰水で１２時間抽出処理し、かすを絞り、抽出と
絞りの合計液量が２５０ｌの液を集める。この液を２０
℃に冷却し濾過する。濾液に塩化ナトリウムを飽和する
まで加える。沈澱物を濾過して取り除く。濾液を酢酸エ
チルで３回、各回とも水槽の１／１０量を用いて抽出す
る。その酢酸エチルを集め、無水硫酸ナトリウム(NaSO
4)で乾燥し、減圧下でその量の１／５になるまで蒸留す
る。次に、物理的に撹拌しながら３倍量のクロロフォル
ムに注ぐ。プロアントシアニジンが沈澱し、それを濾過
して集める。酢酸エチルに再溶解して精製し、クロロフ
ォルム中で新たに沈澱物を得る。最終的にクロロフォル
ムで洗い、５０℃を越えぬ温度で乾燥させる。

【０００９】（２）抽出物質の一般的性状しぶ味のある、淡いベージュ色の粉末。水およびエチル
アルコールに易溶で、CHCl3、C4H6、石油エーテル、エ
チルエーテルに不溶。乾燥した瓶の中では常温で無期限
に保存可能。確認試験：１０％(v/v)の塩酸で酸性にした水溶液を沸
点まで加熱すると濃い赤色となる。この溶液をイソアミ
ルアルコールと撹拌すると、アントシアニジンの物理
的、化学的性質を有する上澄み層ができる。

【００１０】（３）組成フランス海岸松樹皮抽出物は、芳香族構造とフェノール
基とを有するフェノール化合物を有している。フェノー
ル化合物を構成しているポリフェノールとは、大きな分
子を持つフェノール基を含有する物質であって、多くの
植物に含まれており、ポリフェノールの一群がプロアン
トシアニジンである。プロアントシアニジンは、カテキ
ン及び／又はエピカテキン単位で構成され、図１の構造
を有している。図中、３ヶ所でＯＨ基が波線で繋がれて
いるのは、水酸基(ＯＨ)がシス配列又はトランス配列の
両方に可能であることを示している。それは、プロアン
トシアニジンが、カテキンとその異性体のエピカテキン
の両方から構成されているためである。

【００１１】アントシアニジンはプロアントシアニジン
のサブグループであるカテキン及び／又はエピカテキン
単位から作られている。カテキン及びエピカテキンは、
植物体内でより小さな単位から合成されるフェニルアラ
ニンおよびフェニルカルボン酸の誘導体である。フラン
ス海岸松樹皮抽出物中には、多種のフェノールカルボン
酸、すなわちカフェー酸、フェルラ酸、ｐ−クマリン
酸、ｐ−安息香酸があり、それらはすべて植物中に分布
しているものである。これらの酸の中で、あるものはグ
ルコースと結合し、グルコースエステル若しくはグルコ
ースエーテルとなる。フランス海岸松樹皮抽出物の組成
成分は、プロアントシアニジン類８０〜８５ｗｔ％、カ
テキン及びエピカテキン５ｗｔ％、カテキン及びエピカ
テキンの前駆物質であるカフェイン酸を含む有機酸２〜
４ｗｔ％、水８ｗｔ％以下、夾雑物残部である。

【００１２】（４）フランス海岸松樹皮抽出物のプロア
ントシアニジンの定量フランス海岸松樹皮抽出物のプロアントシアニジン含有
量を評価するため、この物質の特異なコラーゲン親和性
を利用する。その抽出物質に含まれる成分で、皮膚のコ
ラーゲンに対して同様な親和性を持つものは、プロアン
トシアニジンの他にはない。なめし皮産業で奨励されて
いる方法は(タンニンとハイドパウダーを一緒に使う)樹
皮抽出物質と置き換えることができる。すなわち、一定
量の抽出物を水に溶かし、既知濃度の水溶液をつくる。
ハイドパウダーと混合し、その混合物を濾過する。濾過
液のアリコット量で、残った固体物質を定量する。調整
した溶液の濃度と固体抽出物との差はプロアントシアニ
ジンの合量に相当し、ハイドパウダーにそのまま残る。

【００１３】（使用した治療薬）本発明は、プロアント
シアニジンを含有する植物抽出物を、月経困難症及び子
宮内膜症の治療に使用することに関する。または、有効
成分としてこの抽出物を含有する医薬混合物に関するも
のである。本発明に係る物質は、植物原料を下記の基準
に従って抽出することにより得られる。すなわち、１）プロアントシアニジン類を含有する。２）原料が容易かつ永続的に安価で供給されること。３）天然もしくは人工的な有毒成分がないこと。針葉樹の樹皮、特にフランス海岸松の樹皮のごとき松の
樹皮はこの点で第一級の原料となる。「フランス海岸松
樹皮抽出物」という表現は、「プロアントシアニジンを
含有するフランス海岸松樹皮抽出物」を意味するものと
して理解するべきである。プロアントシアニジンは、経
口薬又は座薬の形態で消化管で吸収される。服用する場
合、プロアントシアニジンは、錠剤、糖衣錠、ペレッ
ト、丸薬、カプセル、薬包、引用アンプルの形態とす
る。服用量は、体重１ｋｇ当たり、１日につき１．５〜
３ｍｇが通常である。１．５ｍｇ以下では、プロアント
シアニジンの効果は発現せず、３ｍｇを越えると、余剰
量は体外へ排渫されるから無駄になる。体重７０ｋｇ成
人男性であれば、１日当たり１００〜２００ｍｇを服用
する。但し１回の服用量は、活性酸素除去効果を発揮す
る様に、５０〜１００ｍｇが適当である。フランス海岸
松樹皮抽出物含有食品として、１ソフトカプセルあた
り、フランス海岸松樹皮抽出物を１５ｍｇ含み、賦形剤
としてオリーブ油を２０５ｍｇ、及び乳化剤を３０ｍｇ
の割合で混合したソフトカプセル製品を適当数使用した
(ホーファー・リサーチ社製商品名「ピクノジェノー
ル」)。

【００１４】（月経困難症）（１）患者患者は、過去６ヶ月以上の間継続して毎回月経時に、激
しい下腹痛、腰痛を認め、鎮痛剤(ボルタレン、セデス
等)を必ず服用していた。婦人科専門医で婦人科的内
診、血液学的検査(炎症所見、血清CA-125)、画像学的診
断(CT scan, MRI)を受け、子宮内膜症、子宮付属器炎な
どの他の婦人科疾患の認められない１７歳から３２歳ま
での女性８名を対象とした。

【００１５】（２）投与法投与法は、表１の患者に対し、Ａ方法を６名、Ｂ方法を
１名、Ｃ方法を１名に適用した。Ａ方法では、患者は月
経７日前から１４日間、３０ｍｇ／日を服用した。Ｂ方
法では、患者は継続して１ヶ月間、３０ｍｇ／日を服用
した。Ｃ方法では、患者は一時的に６０ｍｇ／日を１回
だけ服用した。

【００１６】

【表１】

【００１７】（３）結果無効例は、(Ａ)を３クール(月経３周期)施行した１名の
患者のみであった(有効率８８％)。他の患者は、いずれ
も月経時の激しい下腹部痛・腰痛は消失し、鎮痛剤を必
要としなくなった。さらに、改善を認めた症例のうち、
３例では改善以後の月経時において、フランス海岸松樹
皮抽出物および、他のこれまで使用していた鎮痛剤を服
用せずとも、月経痛が改善・消失した。

【００１８】（４）考察月経困難症の治療法は、通常鎮痛剤(ボルタレン、セデ
ス等)を使用する。しかしながら、これらの内服で、月
経時の疼痛が完全に無くなることはまずなく、大半は疼
痛を我慢するしか仕方ないのが現状である。患者は、そ
の月経時に訪れる激痛に対して恐怖心を抱き、月経時の
みならず、月経が近づくごとに精神的に不安定となり、
本人のQ.O.L(Quality of life,生活の質)は著しく損な
われる。そのため、患者はしばしば月経を止める方法、
すなわち、Gn-RH analog(これは脳下垂体からのLH,FSH
の分泌を抑え、卵巣のエストロゲンの分泌を抑えてしま
うため、月経は止まる)の使用を要するようになる。し
かしながら、この治療はほてり、全身倦怠感といった卵
巣欠落症状が高頻度に出現するため、患者のQ.O.L.は損
なわれる。さらに、治療終了後、ほとんどの場合、再発
する。フランス海岸松樹皮抽出物の投与により、通常の
鎮痛剤以上の鎮痛効果が認められた。さらに８例中３例
において、その後、フランス海岸松樹皮抽出物および他
の鎮痛剤の内服なしに月経痛が軽減・消失したことは、
フランス海岸松樹皮抽出物の月経困難症に対する、優れ
た治療効果を示すものである。

【００１９】（子宮内膜症）（１）患者患者は、前述した月経困難症の場合と同じく、過去６ヶ
月以上継続して毎回月経時に、激しい下腹痛、腰痛を認
め、鎮痛剤(ボルタレン、セデス等)を必ず服用してい
た。婦人科専門医で婦人科的内診、血液学的検査(炎症
所見、血清CA-125)、画像学的診断(CT scan, MRI)を受
け、子宮内膜症と診断された２４歳から４９歳までの女
性２２名を対象とした。

【００２０】（２）投与法投与法は、表２の２２名の患者に対し、月経困難症の場
合と同じ(Ａ)、(Ｂ)、(Ｃ)方法であって、Ａ方法は１３
名の患者に、Ｂ方法は８名の患者に、Ｃ方法は１名の患
者に適用した。確定診断は、腹腔鏡、あるいは開腹によ
る病巣部の組織診断がもっとも確実である。しかし、あ
る程度病巣部が広がっている場合には、腫瘍マーカーの
一つである血清CA-125が上昇するため、本発明では、血
清CA-125の有意な上昇をもって子宮内膜症のマーカーと
し、CA-125の上昇・下降をもって、病変の進行・改善の
指標とした。

【００２１】

【表２】

【００２２】（３）結果１４例(６３％)に月経痛の改善・消失が認められた。ま
た、婦人科的内診時におけるダグラス窩圧痛所見では、
投与前に圧痛を認めた１０例中６例(６０％)に改善所見
が認められた。また、表２のNo.17からNo.22までの６例
の対象者において、フランス海岸松樹皮抽出物投与前・
後の血清CA-125の変動を調べたところ、表３のとおり３
例に明らかなCA-125の減少が認められた(５０％)。副作
用は、月経期間の延長(１例)および頻回月経(１例)で極
めてマイナーなものであった。

【００２３】

【表３】

【００２４】（４）考察現代の、子宮内膜症治療の中心はGn-RH analogである。
通常は６ヶ月治療を続け、この間の内膜症による月経痛
およびその他の疼痛所見は確かに軽減・消失する。しか
し、この間はやはり、卵巣欠落症状が高頻度に出現し、
Q.O.L.は著しく損なわれる。さらに、その後の内膜症の
再発率は、２０歳−４０歳までであればほぼ１００％と
いえる。子宮内膜症に対するフランス海岸松樹皮抽出物
投与により、月経痛の著しい軽減・消失が認められた。
さらに、３例において、血清CA−125が投与１ヶ月後に
明らかに減少しており、これはフランス海岸松樹皮抽出
物が、子宮内膜症に対して治療効果を有していることを
示唆する。しかも、副作用は、月経期間の延長(１例)お
よび頻回月経(１例)で極めて軽微なものである。以上よ
り、フランス海岸松樹皮抽出物が、子宮内膜症に対し、
これまでの治療法以上に効果的なものであることを示し
ているといえる。

【００２５】フランス海岸松樹皮抽出物は、生体フラボ
ノイド、カテキン、タキシフォリン、phenolic fruit a
cidsおよび構造の異なる他の多くのプロアントシアニジ
ンを含有するフランス海岸松の樹皮から得られた乾燥抽
出物質である。フランス海岸松樹皮抽出物は、様々な動
物実験により、抗炎症作用を有することが証明されてい
る(Gabor M.et al, 1993)が、この抗炎症作用は、フラ
ンス海岸松樹皮抽出物に含まれる様々なプロアントシア
ニジンによってもたらされると考えられている。したが
って、フランス海岸松樹皮抽出物の、月経困難症、子宮
内膜症に対する症状改善・治療効果は、プロアントシア
ニジンによるものと思われる。プロアントシアニジンの
他に、フランス海岸松樹皮抽出物に含有される前述した
カフェー酸およびフェルラ酸は、ラットの子宮全体はも
ちろん血管壁に極めて速やかに作用を示す(Ortiz de Ur
bina et al, Phytotherapy Res. 4:71-76, 1990)。ま
た、フェルラ酸が子宮の収縮を抑制するとの報告もある
(Ozaki and Ma, Chem Pharm Bull, 38: 1620-1623 199
0)。したがって、フランス海岸松樹皮抽出物の組成物質
の中で、プロアントシアニジンの他に上記成分も月経時
の激痛を軽減するのに作用したものと思われる。

【００２６】また、活性酸素除去能が、ヒト子宮内膜の
機能に対し重要な働きを担っているとの報告がある(Sug
ino et al, Human Rerod 11: 1073-4 1996)。さらに、
月経周期に伴い、子宮内膜内の活性酸素レベルの変動を
示した報告もある(Dabrosinet al,J.Clin. Endocrin. M
etab 82: 1382-4 1997)。これらの報告は、フランス海
岸松樹皮抽出物が有する活性酸素除去能により、ヒトの
正常な子宮内膜を維持する働きがあることの可能性を示
唆している。

【００２７】

【発明の効果】表１及び表２の実施例の結果から解るよ
うに、長期間月経痛に苦しみ、従来の薬物治療では殆ど
効果がなかった月経困難症及び子宮内膜症の患者に対し
て、本発明の治療剤は、極めて有効に機能している。こ
れは本発明に係る治療薬の有効性を示すものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】プロアントシアニジンの構造図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者小濱隆文石川県七尾市富岡町75番１号Ｆターム(参考） 4C086 AA01 AA02 BA08 GA17 MA01 MA04 MA16 MA35 MA37 MA43 NA14 ZA81 4C088 AB03 AC06 BA09 MA01 MA16 MA35 MA37 MA43 NA14 ZA81

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】プロアントシアニジンを含有する植物抽
出物を有効成分とする月経困難症治療薬。
【請求項２】プロアントシアニジンを含有する植物抽
出物は、フランス海岸松樹皮抽出物である、請求項１の
月経困難症治療薬。
【請求項３】フランス海岸松樹皮抽出物は、ソフトカ
プセル、錠剤、散剤、液剤の何れかの形態で提供され
る、請求項２の月経困難症治療薬。
【請求項４】ソフトカプセルは、フランス海岸松樹皮
抽出物と、賦形剤と、乳化剤を、１：１３：２の重量割
合で混合したものである、請求項３の月経困難症治療
薬。
【請求項５】プロアントシアニジンを含有する植物抽
出物を有効成分とする、子宮内膜症治療薬。
【請求項６】プロアントシアニジンを含有する植物抽
出物は、フランス海岸松樹皮抽出物である、請求項５の
子宮内膜症治療薬。
【請求項７】フランス海岸松樹皮抽出物は、ソフトカ
プセル、錠剤、散剤、液剤の何れかの形態で提供され
る、請求項６の子宮内膜症治療薬。
【請求項８】ソフトカプセルは、フランス海岸松樹皮
抽出物と、賦形剤と、乳化剤を、１：１３：２の重量割
合で混合したものである、請求項７の子宮内膜症治療
薬。