JP2724318B2 - 口臭除去用組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はショウキョウの水溶性画分を配合することに
より優れた口臭除去効果を有する口臭除去用組成物に関
する。

（従来技術およびその課題） 口臭除去効果を有する節分としては一般的にクロロフ
ィル、β−シクロデキストリンあるいはレシチン等が知
られている。これらの成分は優れた口臭除去効果が認め
られているが、製品として全ての要求を満足するものは
見出されていない。

例えば、クロロフィルは種々の臭いに対して高い口臭
除去効果を有し、有望な成分であるが、入手が容易なク
ロロフィル、即ちクロロフィリン類は着色性が高く、口
腔内を濃い緑色に着色してしまう。低濃度で用いれば着
色性は回避できるものの、口臭除去効果が不足する。

また、β−シクロデキストリンやレシチン等も口臭除
去成分として用いられているが、通常の口臭（一般には
メルカプタン臭といわれている）に対しては殆ど除去効
果が見られない。

（課題を解決するための手段） 本発明者等は通常の口臭に対して高い除去効果を示
し、しかも容易に製造し得る口臭除去成分を得るために
検討の結果、ショウキョウ（Zingiberis Rhizoma）の水
抽出物（水溶性画分）が上記要請を満足し得ることを見
出した。即ち、本発明はショウキョウの水溶性画分を含
有する口臭除去用組成物を提供する。

ショウキョウ（Zingiberis Rhizoma）は日本薬局方収
載生薬であり、精油を0.25〜３％有し、一般に芳香性健
胃剤の配合原料として用いられる他、かぜ薬、鎮吐薬、
鎮痛薬としても配合される。また、ショウキョウの有機
溶媒抽出物は、口腔用組成物に配合することにより、歯
垢の形成および酸産生を抑制してう触および歯周疾患を
予防する作用を高めることも知られている（特開昭56−
83416号公報）。しかしながら、ショウキョウ自体およ
びショウキョウの有機溶媒抽出物のどちらも、口臭除去
のために使用されたことはない。むしろ、ショウキョウ
の有機溶媒（メタノール）抽出物はメチルメルカプタン
臭の消臭能が殆どないと報告されている（日本農芸化学
会誌Vol.58、No.6 pp585〜589、1984）。

本発明に用いる水溶性画分はショウキョウを水で抽出
するなどにより得られるものであり、通常の口臭に対し
直接的に作用して消臭効果を奏する。ショウキョウの水
溶性画分を得るために用いられる原料としては、ショウ
キョウの乾燥生薬、乾燥刻み、乾燥粉末等の乾燥物；こ
れらを水蒸気蒸留処理により採油したものの残渣をその
他の精油採取残渣；或いはショウキョウをエチルエーテ
ル、エチレンクロライド、ジオキサン、アセトン、エタ
ノールやメタノール等の低級アルコール、酢酸エチル、
プロピレングリコール、グリセリン等の極性溶媒で抽出
することにより得られたオレオレジンおよびその抽出残
渣；ショウキョウをｎ−ヘキサン、石油エーテル、リグ
ロイン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、
ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、トルエン、ベ
ンゼン等の非極性溶媒で抽出することによって得られた
オレオレジンおよびその抽出残渣から選ばれるものが使
用される。これらの原料からショウキョウの水溶性画分
を得る場合は、これらの原料の１種または２種以上を水
で抽出処理し、その抽出物（抽出液またはこれから水を
留去したもの）を採取することが好ましい。

本発明においては、この抽出物をそのままあるいは濃
縮物として使用することもできるが、この抽出物を水蒸
気蒸留処理することによって得られる水蒸気蒸留残渣、
この抽出物もしくは前記水蒸気蒸留残渣を活性炭、珪藻
土、酸性白土等の吸着剤で処理したもの、さらに前記抽
出物を吸着剤で処理した後、水蒸気蒸留処理して得られ
る残渣などもショウキョウの水溶性画分として好適に使
用することができる。また、抽出液は減圧濃縮、フリー
ズドライ、スプレードライ等の方法により水を留去して
用いてもよい。なお、抽出方法としては公知の方法が採
用できるが、好ましくは例えばショウキョウの乾燥物に
これと等重量以上、好ましくは５〜10倍重量の水を加
え、室温下ないしは煮沸下において0.5〜24時間、好ま
しくは３〜10時間抽出処理を行い、抽出処理後に濾過、
遠心分離、デカンテーション等の通常の方法で、好まし
くは加温下において抽出液と抽出残渣とに分けて抽出液
を採取する方法が採用される。この場合、必要により抽
出残渣に同様の抽出処理を再度施して抽出液を得、これ
を先の抽出液を合わせて用いることができる。

本発明において、口臭除去用組成物とは、トローチ、
錠剤、丸剤、キャンデー、ドリンク剤、チューイングガ
ム、ゼリー、洗口剤、口腔用パスタ、練歯磨、潤製歯
磨、粉歯磨等の歯磨類等である。

上記ショウキョウの水溶性画分の口臭除去用組成物へ
の配合量は、固形分において全体の0.001〜20％、特に
0.003〜10％とすることが好ましい。さらに好ましくは
0.005〜５％配合することである。

本発明の口臭除去用組成物には種類に応じた適宜な成
分を配合してもよい。例えば、トローチの場合であれ
ば、ブドウ糖、乳糖、白糖等の賦形剤、アラビアガム、
結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム等の結合剤、デンプン、結晶セルロース、カルボキシ
メチルセルロースカルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸
マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル等の滑沢剤、サッ
カリンナトリウム、グリチルリチン等の甘味剤、香料等
の成分を混和し、常法に従って製造する。また、錠剤、
丸剤、キャンデー、ドリンク剤その他においても製品の
性状に応じた成分が適宜配合される。さらに、本発明の
口臭除去用組成物には天然クロロフィル、銅クロロフィ
リンNa、鉄クロロフィリンNa、β−シクロデキストリ
ン、レシチン、塩化リゾチーム、ｌ−メントールなどの
有効成分を配合することもできる。

（発明の効果） 本発明に係る口臭除去用組成物は、ショウキョウの水
溶性画分を配合したことにより、通常の口臭に対し速効
的かつ優れた口臭除去効果を有する。特に、ショウキョ
ウの水溶性画分は比較的低濃度の配合でも上記効果を示
す。また、ショウキョウの水溶性画分は、精油成分が除
去されており、ショウキョウ独特の辛味がない。また、
匂いが少なく、色は淡褐色であるため、口臭除去用組成
物の匂い、色を損ねることがなく、クロロフィルに見ら
れる如き着色性はない。さらに、ショウキョウは日本薬
局方収載の生薬であり、その水溶性画分を口臭除去用組
成物に配合することは使用上の安全性が極めて高い。

（実施例） 本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明
はこれら実施例に限定されるものと解してはならない。

実施例１ ショウキョウの乾燥生薬をミルにより粉砕した粉末10
0gに水800mlを加え、50〜60℃の水浴上で５時間加温
し、次いで温時に水抽出液を濾別し、残渣に新しい水を
加えて同様の操作を２回繰り返し、計３回の抽出操作を
行った。水抽出液をまとめて凍結乾燥し、淡褐色粉末6.
5g（ショウキョウ水抽出物Ｉ）を得た。

得られたショウキョウ水抽出物を用いて以下の実験を
行った。22〜23ml容試験管に抽出物を100mg入れ、精製
水3mlを加える。シリコンキャップで密栓し、撹拌後、
メチルメルカプタン300ngを添加し、３分間振とうす
る。ヘッドスペースより1.0mlのガスを採取し、直ちに
ガスクロマトグラフィー（検出器FPD）に付した。結果
は下記計算式により一般口臭の指標となるメチルメルカ
プタンの残存率で示した。結果を第１表に示す。なお、
対照はショウキョウエキスの代わりに乳糖を同量添加
し、同様に操作した。

S:エキス添加時のメチルメルカプタン濃度（ng/1.0ml） C:対照のメチルメルカプタン濃度（ng/1.0ml） 実施例２ ショウキョウの乾燥刻み100gに水１を加え、水が約
半量になるまで煎じ、次いで煎液を濾別した。煎液を凍
結乾燥し、淡褐色粉末4.0g（ショウキョウ水抽出物II）
を得た。

得られた抽出物を用いて実施例１と同様に試験した。
結果を第１表に示す。

実施例３ ショウキョウの乾燥粉末100gに水500mlを加え、室温
で８時間撹拌し、次いで水抽出液を濾別した。水抽出液
を減圧濃縮し、淡褐色状ペースト2.2g（ショウキョウ水
抽出物III）を得た。

得られた抽出物を用いて実施例１と同様に試験した。
結果を第１表に示す。

第１表より、ショウキョウ水抽出物が口臭の原因成分
であるメチルメルカプタンの匂いを効果的に消臭するこ
とが認められた。

実施例４ 本実施例は本発明のショウキョウの水溶性画分と他の
口臭除去能を有する化合物との口臭除去効果の比較を示
す。

実施例３と同様に得たショウキョウ水抽出物を第２表
に示す供試量で実施例１と同様の試験を行った。メチル
メルカプタン残存率を第２表に示す。

比較のため、従来用いられているβ−シクロデキスト
リン、レシチンおよび銅クロロフィリンナトリウムにつ
いて同様の実験を行った。結果を第２表に示す。

上表より銅クロロフィリンナトリウム、ショウキョウ
水抽出物の口臭除去効果はβ−シクロデキストリン、レ
シチンより著しく高い。

実施例５ 本実施例は本発明のショウキョウ水抽出物と他の口臭
除去能を有する化合物との着色性の比較を示す。

実施例３と同様に得られたショウキョウ水抽出物を含
有した錠剤を製造した。つまり、ショウキョウ水抽出物
に粉糖を加え、顆粒を製し、これにブドウ糖、アラビア
ゴム、ステアリン酸マグネシウムを添加し、圧縮成型し
て錠剤（700mg）を得た。この錠剤を口中で５分間なめ
てもらい、舌の着色性を目視で観察した。結果を第３表
に示す。

比較のために、銅クロロフィリンナトリウム、β−シ
クロデキストリンおよびレシチンについて同様の試験を
行った。結果を第３表に示す。

上表より、銅クロロフィリンナトリウムには口中着色
性があり、好ましくはないが、ショウキョウ水抽出物に
は口中着色性がない。

以下、製剤例を示す。なお、％はすべて重量％を示
す。

［製剤例１］ トローチ アラビアゴム 6.0 ブドウ糖 72.0 ゼラチン 3.0 香料 0.2 デキストラナーゼ 0.1 グルコン酸クロルヘキシジン 0.01 ショウキョウ水抽出物III 1.0 スペアミント油 0.2 アスコルビン酸ナトリウム 0.1 水 残 合計 100.0 ［製剤例２］ トローチ （％） ブドウ糖 83.5 β−シクロデキストリン 10.0 銅クロロフィリンナトリウム 0.2 大豆リン脂質 0.1 ショウキョウ水抽出物III 5.0 アラビアゴム 1.0 香料 0.1ステアリン酸マグネシウム 0.1 合計 100.0 ［製剤例３］ 丸剤 （％） 白糖 75.9 アラビアゴム末 3.0 結晶セルロース 7.0 コーンスターチ 10.0 ショウキョウ水抽出物Ｉ 1.0 β−シクロデキストリン 3.0 香料 0.1 合計 100.0 ［製剤例４］ キャンデー （％） グラニュー糖 58.5 水アメ 37.4 ショウキョウ水抽出物III 3.0 呈味物 1.0 香料 0.1 合計 100.0 ［製剤例５］ ドリンク剤 （％） 果糖ぶどう糖液糖 5.0 ハチミツ 5.0 ショウキョウ水抽出物Ｉ 1.0 dl−リンゴ酸 0.2 香料 0.1 合成保存料 0.01 精製水 86.69 合計 100.0 ［製剤例６］ 口腔用パスタ （％） ポリオキシエチレンモノステアレート 2.0 ソルビタンモノオレエート 2.0 セチルアルコール 2.0 パルミチルアルコール 3.0 プロピレングリコール 15.0 カルボキシメチルセルロース 5.0 ゼラチン 1.0 サッカリン 0.2 ショウオキュ水抽出物III 1.0 香料 1.0 塩化リゾチーム 5000単位/g 塩酸クロルヘキシジン 0.01水 残 合計 100.0 ［製剤例７］ チューインガム （％） ガムベース 40.0 炭酸カルシウム 2.0 水アメ 15.0 粉糖 40.0 ペパーミント油 0.2 デキストラナーゼ 0.1 ショウキョウ水抽出物II 1.0水 残 合計 100.0 ［製剤例８］ うがい用錠剤 （％） 炭酸水素ナトリウム 54 第２リン酸ナトリウム 10 ポリエチレングリコール 3.0 香料 1.0 オレイン酸 0.1 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1 塩酸クロルヘキシジン 0.05 ショウキョウ水抽出物II 0.5 アラントイン 0.1 クエン酸 17.0 水 残 合計 100.0 ［製剤例９］ 洗口剤 （％） エタノール 20.0 サッカリンナトリウム 0.05 香料 1.5 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1 グルコン酸クロルヘキシジン 0.01 ラウリルジエタノールアマイド 0.3 ショウキョウ水抽出物II 0.05 グリチルリチン酸塩 0.1 アラントイン 0.1 水 残 合計 100.0 ［製剤例10］ 練歯磨 （％） 第２リン酸カルシウム・２水和物 40.0 ソルビット 10.0 グリセリン 5.0 ソジウムラウリルサルフェート 2.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 ショウキョウ水抽出物III 2.0 塩化ナトリウム 2.0 香料 1.0水 残 合計 100.0

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−160438（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−83416（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−213707（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−228419（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−192311（ＪＰ，Ａ) 特許943（ＪＰ，Ｃ１)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ショウキョウの水溶性画分を含有する口臭
   除去用組成物。
2. 【請求項２】水溶性画分が固形分で0.003〜10重量％存
   在する第１項記載の口臭除去用組成物。
3. 【請求項３】口臭除去用組成物が錠剤、丸剤、ドリンク
   剤またはキャンデーである第１項記載の口臭除去用組成
   物。