JP4727854B2 - 移動農機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインなど移動農機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、特開平1−28079号公報に示す如く、駆動スプロケット及びアイドルローラに支持させる左右走行クローラを左右トラックフレームにトラックローラを介して装設させると共に、本機にクローラ昇降アームを介して左右トラックフレームを昇降制御動作自在に設け、本機の左右傾斜を修正して昇降に支持させる技術がある。しかし乍ら、前記従来技術は、本機を上昇させるとき、トラックフレームを駆動スプロケット側に近づける方向に下降させるから、走行クローラの周長変化を少なくしてテンションが変化するのを防止できるが、機体重心が走行クローラの前後接地幅の後側に移動して機体が後傾し、機体前部の刈取部が上昇して刈高さが変化する不具合があると共に、機体重心の後方移動により走行クローラ後側の接地圧が高くなり、後進走行させることによって走行クローラ後側が土中に突入し易くなり、湿田など軟弱な圃場枕地での方向転換性能が低下する不具合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、本機に昇降アームを介し左右トラックフレームを昇降自在に支持させると共に、走行クローラを張設するテンションローラをアイドラリンクを介してテンション調節自在にトラックフレームに支持させた移動農機において、テンションローラを有するアイドラフレームをテンションフレームに伸縮自在に連結し、同テンションフレームは、トラックフレーム後部に前後アイドラリンクを介して前後方向移動自在に連結するとともに、本機の機台の地上高を高くした際に、テンションフレームの前側をトラックフレームから持ち上げながら後アイドラリンクを後方に傾倒させて、テンションフレームの後側をトラックフレームに設けた後下がり斜面方向に下降させ、テンションフレーム後部のテンションローラを下降させて走行クローラの前後方向接地幅を拡大させることを特徴とする移動農機を提供せんとするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図、図3はトラックフレーム部の側面図であり、図中1・2は左右走行クローラ3・4を装設する左右トラックフレーム、5は前記トラックフレーム1・2に架設する機台、6はフィードチェン7を左側に張架し扱胴8及び処理胴9を内蔵している脱穀部、10は刈刃11及び穀稈搬送機構12などを備える刈取部、13は刈取フレーム14を介して刈取支点軸15回りに刈取部10を昇降させる油圧刈取昇降シリンダ、16は排藁チェン17終端を臨ませる排藁カッター、18は脱穀部6からの穀粒を揚穀筒19を介して搬入する穀物タンク、20は前記タンク18の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、21は操向ハンドルなど運転操作部22及び運転席23を備える運転キャビン、24は運転キャビン21下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0008】
図4乃至図11に示す如く、前記機台5下面に一対の左右本機フレーム25・26を前後横フレーム27によってを固定させ、左右本機フレーム25・26の前後方向延設両端部に軸受体28を固定させ、前後支点軸29・30を軸受体28に回転自在に軸支させ、左右一対で前後略同一形状の側面視L形の上下スイングアーム31・32を前記支点軸29・30両端部に固定させ、前記トラックフレーム1・2に回転自在に軸支させる支軸33に下スイングアーム32の後端側を回転自在に連結させ、前後方向に延設させる連結部材34両端に前後の上スイングアーム31の上端側を連結させ、連結部材34の中間に油圧昇降シリンダ35を設け、昇降シリンダ35の油圧力によって連結部材34を前後に押引動作させ、左右一対の前後スイングアーム31・32を介して左右トラックフレーム1・2を機台5に対して各別に昇降自在に取付ける。また、前記機台5にブラケット36を介して昇降シリンダ35を取付ける。
【0009】
さらに、前記機台5前側のミッションケース37に車軸ケース38を介して取付ける駆動スプロケット39と、前記トラックフレーム1・2の機外側面に取付ける複数のトラックローラ40及び可動ローラ41及びテンションローラ42と、本機フレーム25・26に取付けるキャリヤローラ43とを備え、トラックフレーム1・2に走行クローラ3・4接地側を張設させると共に、トラックフレーム1・2後部に取付けるテンションフレーム44にテンション調節用ボルト45及びアイドラフレーム46を介してテンションローラ42を設け、前記テンションフレーム44後方にテンションボルト45操作によりアイドラフレーム46を出入させる半固定テンション調節によって走行クローラ3・4のテンションを設定するもので、昇降シリンダ35によって前後スイングアーム31・32を支点軸29・30回りに揺動させ、各ローラ40・41・42とトラックフレーム1・2を昇降させ、走行クローラ3・4の接地側を昇降させるもので、運転操作部22に設ける昇降調節スイッチの手動操作、並びに機台5の左右傾動を検出する傾斜センサの検出結果に基づく自動制御などにより、左右昇降シリンダ35・35を各別に作動させ、左右走行クローラ3・4の接地高さを変更して機台5の左右傾斜を修正して略水平に支持させるように構成している。
【0010】
図12乃至図20にも示す如く、前記トラックフレーム1・2後部に前後アイドラリンク47・48を介しテンションフレーム44の左右両側を前後方向移動自在に連結させ、トラックフレーム1・2後端側上面に後下り斜面1a・2aを形成するもので、トラックフレーム1・2の後部両側に左右一対の座板49を固定させ、左右座板49間を貫通させる支点軸33及びリンク軸50に前後アイドラリンク47・48を介しテンションフレーム44両側の枢支軸51・52を連結させている。
【0011】
また前記テンションフレーム44前端外側の180度対称位置に2つ1対のボルト取付座53を固定させ、該取付座53に2本の締結ボルト54を介してテンションボルト受け55を取外し自在に固定させ、前記アイドラフレーム46の前部内側に固設するナット受板56とボルト受け55間の略中央にテンションボルト45を配置させるもので、テンションボルト45の六角頭部45aをボルト受け55の貫通孔57より外側に突出させ、段付部45bをボルト受け57内面に当接させ、テンションボルト45に結合するナット58をナット受板56外面に当接させ、テンションフレーム44の内側面に外形を沿わせる4角形回り止め部材59をナット58に固設させ、ボルト受け55外側からのテンションボルト45の回転操作によってテンションフレーム44からアイドラフレーム46を伸縮させて、テンションローラ42による走行クローラ3・4のテンション調節自在な張設を行うように構成している。
【0012】
そして図9(1)に示す如く、機台5に対してトラックフレーム1・2を最も接近させ、昇降シリンダ35による昇降制御動作を中止している状態、または乾田及び農道など硬い走行路面を移動する状態のとき、前記後アイドラリンク48を略垂直に立設させ、かつ前記前アイドラリンク47を支軸33前方に略水平に突出させ、下スイングアーム32及び支軸33と前記テンションフレーム44を連結する軸51を支軸33と略同一高さに支持させ、トラックフレーム1・2前後端部のトラックローラ40間で走行クローラ3・4を接地させる。このときの左右走行クローラ3・4の接地長Lと軌間幅Bの比(L/B)を1.5以下に設定して旋回半径が最小になるように構成し、前記比(L/B)が例えば1,7以上に大きくなることにより旋回半径も大きくなり旋回抵抗モーメントが増大する不具合をなくしている。
【0013】
また、図9の(2)(3)に示す如く、前記昇降シリンダ35を駆動して連結部材34を後方に摺動させ、支点軸29・30回りに上スイングアーム31を後方に回転させ、支点軸29・30回りに下スイングアーム32を下方に回転させ、トラックフレーム1・2を下方前方に移動させ、トラックローラ40及び可動ローラ41に支持させる走行クローラ3・4接地側を下方前方に移動させ、機台5の地上高を高くすると共に、後方の下スイングアーム32の下方回転によって支軸33回りに前アイドラリンク47の軸51を上昇させ、テンションフレーム44前側をトラックフレーム1・2から持上げ、後アイドラリンク48を後方に傾倒させてテンションフレーム44後側をトラックフレーム1・2の後下り斜面1a・2a方向に下降させ、テンションフレーム44後部のテンションローラ42を下降させてトラックフレーム1・2に対して後方下方に移動させ、図21に示す如く走行クローラ3・4の周長を従来に比べ略一定に保ち乍らテンションローラ42の後方下方移動によりトラックローラ1・2後方に走行クローラ3・4の前後方向接地幅を拡大させ、最前部と最後部のトラックローラ40間に支持させる走行クローラ3・4の接地長L1に、最後部のトラックローラ40とテンションローラ42間に支持させる走行クローラ3・4の接地長L2を加え、走行クローラ3・4の接地長(L1+L2)を後方に長くする。このときの左右走行クローラ3・4の接地長(L=L1+L2)と軌間幅Bの比(L/B)を約1.7以下に保ち、前記比が大きくなって旋回半径が大きくなり旋回抵抗モーメントが増大するのを防ぐと共に、走行クローラ3・4の接地長を後方に延長させることによって、走行クローラ3・4接地側の前後方向の機体重心移動を少なくし、走行クローラ3・4後部の土中沈下を防ぎ、しかも走行クローラ3・4接地面の拡大により単位面積当りの接地圧を低下させ、走行クローラ3・4の土中沈下を少なくする。
【0014】
上記から明らかなように、トラックフレーム1・2にリンク機構であるアイドラリンク47・48を揺動自在に設け、テンションローラ42をテンション調節自在に取付けるテンションフレーム44を前記アイドラリンク47・48に設け、トラックフレーム1・2延長方向に離反させ乍ら下降させる方向にテンションローラ42を移動させ、走行クローラ3・4の周長を変化させることなくテンションローラ42の後方下方移動によって走行クローラ3・4後側の前後接地長を拡大または縮少させ、走行クローラ3・4のテンション構造の簡略化並びに走行性能の向上などを図ると共に、テンションローラ42をテンション調節自在に取付けるテンションフレーム44をスイングアーム31・32の昇降制御動作と連動して移動させ、昇降制御動作によるトラックフレーム1・2の前後方向移動と逆の方向にテンションローラ42を移動させて走行クローラ3・4後側の接地長を伸縮させ、昇降制御動作に伴う機体重心の後方移動を少なくして走行クローラ3・4後側の接地圧変化を低減させ、昇降制御動作によって生じる従来の走行クローラ3・4後部が過大に沈下する等の不具合をなくし、走行クローラ3・4の沈下量が多くなる湿田作業または圃場枕地での旋回性など走行性能の向上を図る。
【0015】
また、走行クローラ3・4前側を駆動スプロケット39に支持させ、走行クローラ3・4後側をテンションローラ42に支持させ、トラックローラ40及びトラックフレーム1・2をスイングアーム31・32の機体持上げ動作によって前方移動させる動作に、テンションローラ42を走行クローラ3・4接地方向に移動させる動作を連動させて行わせるもので、機体を持上げる昇降制御動作時に走行クローラ3・4後側に接地長を伸張させ、走行クローラ3・4後側の不適正な沈下を防止し、従来の重心移動によって走行クローラ3・4の前部と後部とで沈下量に差が生じて後傾状態に傾くのを阻止し、湿田走行性能の向上などを図る。
【0016】
図12、図18に示す如く、前記テンションフレーム44下方のトラックフレーム1・2の上面に一定長さの開口60を形成して、昇降制御よってトラックフレーム1・2とテンションフレーム44との間に隙間が生じて泥や台などをはさみ込んでも、これら泥や石などを開口60より下方に落下させて昇降制御不良となるなどの不都合を防止するように構成している。
【0017】
さらに、ターンバックル61付きの伸縮調節ロッド62後端にシリンダ受板63を固定させて前記連結部材34を構成し、前記ロッド62及びシリンダ受板63を前後スイングアーム31上端に軸64・65を介して連結させると共に、前記機台5の機枠66背面に固定させるブラケット36に軸67を介して昇降シリンダ35を取付け、昇降シリンダ35のピストン68先端をシリンダ受板63に軸69を介して連結させ、昇降シリンダ35のピストン68の軸芯延長線上に各軸65・67・69を設け、ピストン68の伸張力がシリンダ受板63に圧縮力として作用して変形させるのを防ぎ、かつシリンダ受板63の小型軽量化などを行えるように構成している。
【0018】
図13乃至図15に示す如く、後方のスイングアーム31にスイング軸70を介し連結する下スイングアーム32は前アイドラリンク47を兼用させ、該アーム32の中間を枢支軸51に連結させて部品点数を削減させると共に、トラックフレーム1・2とテンションフレーム44とをスイングアーム32と前アイドラリンク47及び左右の後アイドラリンク48の4本で両持ち状態に連結させて、コンパクト且つ強度良好な連結を行うように構成している。
【0019】
また、前記シリンダ受板63に軸65を介して連結する後スイングアーム31の端ボス部31aにスイング軸70内端のスプライン軸部71を結合連結させると共に、スイング軸70外端のスプライン軸部72に下スイングアーム32の基端ボス部32aを結合連結させ、前記支軸33の内端スプライン軸部73と外端キー74付軸部75に下スイングアーム32の先端ボス部32bと前アイドラリンク47の基端ボス部47aをそれぞれ結合連結させて、後方内側及び外側のスイングアーム31・32と、下スイングアーム32と支軸33と、支軸33と前アイドラリンク47とに相対位置関係をもたせて、昇降シリンダ35に対し適正位置関係のアイドラリンク47の取付けを可能とさせて、組立性を向上させるように構成している。
【0020】
さらに図10、図13に示す如く、前記アイドラリンク47・48は前アイドラリンク47より後アイドラリンク48のリンク長さを大に形成し、昇降シリンダ35の最縮少時に前アイドラリンク47を略水平(aライン)、後アイドラリンク48を略垂直(bライン)に位置させて、昇降シリンダ35の伸張時には支軸33を中心に前アイドラリンク47を上動、後アイドラリンク48をリンク軸50を中心として後方に回動させ、昇降シリンダ35の伸張開始直後の前アイドラリンク47の上動量を大、後アイドラリンク48の後揺動量を大とさせて、テンションフレーム44の略水平姿勢位置より最初の動き量を大とさせて、後側のテンションローラ42を下方のみ下動させて、走行クローラ3・4の周長変化を最小に抑制したテンションローラ42の後方下動を行うように構成している。
【0021】
なお、76は機台5上部に固設して刈取部10の昇降支点軸を支持する刈取支点台、77は本機フレーム25・26上面に基端を固設して外側の水平突出端にキャリヤローラ43を支持するローラ軸である。
【0022】
また図6、図7に示す如く、前記トラックフレーム1・2に下スイングアーム32を介し連結させる下部本機フレーム25・26に、走行クローラ3・4内に臨ませる内側フレーム部25a・26aを有して、前後支点軸29・30を支持する軸受体28を内側フレーム部25a・26aを設けると共に、下方のスイングアーム32も走行クローラ3・4内に配置させたもので、下方のスイングアーム32を走行クローラ3・4の外側に出張らせることなくコンパクトにクローラ3・4内側に配置させて泥はけ性を向上させ、スイングアーム32の揺動をスムーズなものとさせると共に、クローラ3・4より外側のフレーム25・26をクローラ3・4に関係なく後方に延設させて、このフレーム25・26間を連結させる横フレーム27の配置自由度などを高めて、フレーム25・26全体の剛性を向上させるように構成している。
【0023】
上記からも明らかなように、本機に昇降アームであるスイングアーム31・32を介し左右トラックフレーム1・2を昇降自在に支持させると共に、走行クローラ3・4を張設するテンションローラ42をアイドラリンク47・48を介しテンション調節自在にトラックフレーム1・2に支持させたコンバインにおいて、テンションローラ42を有するアイドラフレーム46をテンションフレーム44に伸縮自在に連結させると共に、テンションフレーム44にテンションボルト45及びナット58を介しアイドラフレーム46を間接的に連結させることによって、例えば湿田など走行クローラ3・4の沈下量が多くなる軟弱走行面のとき、トラックフレーム1・2を下動させる昇降制御動作を行っても、アイドルローラ42の移動によって走行クローラ3・4の前後接地長さを拡大でき、走行クローラ3・4の接地面に対する前後方向の機体重心移動を少なくして前後バランスを容易に維持でき、かつ走行クローラ3・4の接地面が大きくなって接地圧を低下でき、走行クローラ3・4の沈下を低減して方向転換など走行性能の向上などを容易に図ることができると共に、例えば乾田または農道など硬い走行面では走行クローラ3・4の前後接地長さを短くして所定の旋回性能を確保するもので、またアイドラフレーム46の伸縮ネジ部に破損など発生した場合にもテンションボルト45のみの交換などで性能の安定保持を容易に図ることができる。
【0024】
また、アイドラフレーム46の略中心部にナット58を当接させて、アイドラフレーム46と押圧するように設けたことによって、アイドラフレーム46とテンションフレーム44のこじれなどを防止したスムーズな伸縮を可能とさせることができる。
【0025】
さらに、テンションボルト45を支持するボルト受け55部材をテンションフレーム44に締結ボルト54を介し連結させると共に、テンションボルト45を中心として対称位置に等ピッチに締結ボルト54を配置させたことによって、各締結ボルト54に加わる力を略均等とさせてテンションボルト45などによる支持の安定性を向上させることができる。
【0026】
また、スイングアーム31・32とアイドラリンク47・48の取付位置関係を保って連結させたことによって、昇降シリンダ35にトラックフレーム1・2及びテンションローラ42を適正に連結させて、組立性を向上させると共に、トラックフレーム1・2の昇降制御を良好なものとさせることができる。
【0027】
さらに、テンションローラ42を取付けるテンションフレーム44とトラックフレーム1・2を別体に形成し、左右トラックフレーム1・2の昇降制御時にトラックフレーム1・2とテンションフレーム44の相対位置を変更可能とさせることによって、昇降制御時のクローラ周長の変化をトラックフレーム1・2とテンションローラ42の移動によって吸収して、常に走行クローラ3・4の適正な支持を行って、クローラ3・4の耐久性を向上させることができる。
【0028】
また、テンションフレーム44をトラックフレーム1・2の左右両側にアイドラリンク47・48を介し連結させて、アイドラリンク47・48を両持ち構造に設けたことによって、テンションフレーム46とトラックフレーム1・2のコンパクトにして強度良好な連結を可能とさせて、昇降制御での安定性を向上させることができる。
【0029】
さらに、スイングアーム32とテンションフレーム44をアイドラリンク47を介し連結させると共に、アイドラリンク47をテンションローラ42のテンション方向と一致させる状態に略平行に配設したことによって、テンションフレーム44とアイドラリンク47で連結する連結軸である支軸33にテンション作用による捩りが加わるのを抑制させ、耐久性の向上と支軸33を中心としたテンションフレーム44のスムーズな回動を可能とさせることができる。
【0030】
また、スイングアーム31・32とアイドラリンク47・48は走行クローラ3・4の周長変化を最小に抑制するように設けたことによって、昇降制御に関係なく駆動スプロケット39・トラックローラ40・テンションローラ42などによる走行クローラ3・4の良好な支持を可能とさせて、走行性能を安定維持させることができる。
【0031】
さらに、テンションフレーム44下方のトラックフレーム1・2の上面部に泥土落下用の開口60を設けたことによって、トラックフレーム1・2とテンションフレーム44との間の隙間に泥や石などがはさみ込まれても、これら泥や石などを下方に速やかに落下させて昇降制御不良などの不都合を防止して、本機の左右傾斜を修正する昇降制御精度を向上させることができる。
【0032】
また、トラックフレーム1・2に連結させる下部本機フレーム25・26に、走行クローラ3・4内に臨ませる内側フレーム部25a・26aを設け、下方のスイングアーム32の支点軸部である軸受体28を内側フレーム部25a・26aに設けたことによって、下方のスイングアーム32も走行クローラ3・4より外側に出張らせることなくクローラ3・4内側にコンパクトに配置させて、泥はけ性を向上させることができる。
【0033】
ところで、図22、図23に示す如く、前記可動ローラ41は断面門形のトラックフレーム1・2内にローラアーム79の基端ボス部79aを軸80を介し揺動自在に取付けたもので、フレーム1・2とボス部79a間にローラ41をクローラ3・4内面側に付勢する捩りバネ81を介設して、構造コンパクトに可動ローラ41を支持させ、フレーム1・2によってローラアーム79上に泥が付着するなどの不都合を防止して、掃除性を向上させると共に、可動ローラ41の機能の安定保持を図るように構成している。
【0034】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、本機に昇降アームを介し左右トラックフレームを昇降自在に支持させると共に、走行クローラを張設するテンションローラをアイドラリンクを介してテンション調節自在にトラックフレームに支持させた移動農機において、テンションローラを有するアイドラフレームをテンションフレームに伸縮自在に連結し、同テンションフレームは、トラックフレーム後部に前後アイドラリンクを介して前後方向移動自在に連結するとともに、本機の機台の地上高を高くした際に、テンションフレームの前側をトラックフレームから持ち上げながら後アイドラリンクを後方に傾倒させて、テンションフレームの後側をトラックフレームに設けた後下がり斜面方向に下降させ、テンションフレーム後部のテンションローラを下降させて走行クローラの前後方向接地幅を拡大させるものであるから、例えば湿田など走行クローラ沈下量が多くなる軟弱走行面のとき、トラックフレームを下動させる昇降制御動作を行っても、アイドルローラの移動によって走行クローラの前後接地長さを拡大でき、走行クローラの接地面に対する前後方向の機体重心移動を少なくして前後バランスを容易に維持でき、かつ走行クローラの接地面が大きくなって接地圧を低下でき、走行クローラの沈下を低減して方向転換など走行性能の向上などを容易に図ることができると共に、例えば乾田または農道など硬い走行面では走行クローラの前後接地長さを短くして所定の旋回性能を確保するものある。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の側面図。
【図2】同平面図。
【図3】走行クローラ部の側面図。
【図4】機台部の平面図。
【図5】本機フレーム部の平面図。
【図6】走行クローラ部の平面図。
【図7】本機フレーム部の平面説明図。
【図8】本機フレーム部の斜視説明図。
【図9】本機フレーム部の昇降説明図。
【図10】水平シリンダ部の側面説明図。
【図11】機台部の側面説明図。
【図12】テンションローラ部の斜視説明図。
【図13】テンションローラ部の側面説明図。
【図14】開口部の説明図。
【図15】テンションローラ部の平面図。
【図16】テンションローラ部の平面説明図。
【図17】水平シリンダの平面説明図。
【図18】テンションボルト部の説明図。
【図19】テンションフレーム部の断面説明図。
【図20】テンションボルト部の断面説明図。
【図21】クローラの周長変化説明図。
【図22】可動ローラ部の側面説明図。
【図23】可動ローラ部の平面説明図。
【符号の説明】
1・2 トラックフレーム
3・4 走行クローラ
31・32 スイングアーム(昇降アーム)
41 可動ローラ
42 テンションローラ
44 テンションフレーム
45 テンションボルト
46 アイドラフレーム
47・48 アイドラリンク
54 締結ボルト
55 ボルト受け
58 ナット
79 ローラアーム
Claims (1)
- 本機に昇降アームを介し左右トラックフレームを昇降自在に支持させると共に、走行クローラを張設するテンションローラをアイドラリンクを介してテンション調節自在にトラックフレームに支持させた移動農機において、
テンションローラを有するアイドラフレームをテンションフレームに伸縮自在に連結し、
同テンションフレームは、トラックフレーム後部に前後アイドラリンクを介して前後方向移動自在に連結するとともに、
本機の機台の地上高を高くした際に、テンションフレームの前側をトラックフレームから持ち上げながら後アイドラリンクを後方に傾倒させて、テンションフレームの後側をトラックフレームに設けた後下がり斜面方向に下降させ、テンションフレーム後部のテンションローラを下降させて走行クローラの前後方向接地幅を拡大させることを特徴とする移動農機。
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