JP4727423B2 - 湾曲した反射側面を持つ三角錐型キューブコーナー再帰反射物品 - Google Patents
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Description
詳しくは、本発明は、道路標識(一般的な交通標識やデリニエーター)、路面標識(ペーブメントマーカー)、工事標識等の標識類、自動車やオートバイ等の車両のナンバープレート類、トラックやトレーラーのボディーに貼付される反射テープ、衣料、救命具等の安全資材類、看板等のマーキング、可視光、レーザー光あるいは赤外光反射型センサー類に用いる反射板等において有用な三角錐型キューブコーナー再帰反射素子によって構成されるキューブコーナー型再帰反射シートなどの再帰反射物品に関する。
さらに詳しくは、x方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該平行V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、共通平面(S−S’)および、該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx、Svy、またはSvz)とに垂直な面と該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1、b1、c1、a2、b2、またはc2)とが交差してなる線分と、V溝垂直平面とがなす片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品に関する。
さらに詳しくは、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対を構成する少なくとも一つの反射側面において、該片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、GRz)がキューブコーナーを形成する正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさず、反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品に関する。
また、さらに詳しくは、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該再帰反射素子対におけるいずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品に関する。
さらに詳しくは、非直線底辺の両端を結んだ両端直線からの該非直線底辺への垂直線と該非直線底辺との交点と両端直線との最大距離で規定される非直線因子(fx、fy、またはfz)が、両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lであることを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品に関する。
しかしながら従来公知の三角錐型再帰反射素子は、その反射原理から、三角錐型再帰反射素子を構成する互いに90°の角度で交叉する3つの反射側面から等しい距離にあり三角錐の頂点を通る光学軸と入射光線とがなす角度が小さい範囲では良好な再帰反射効率を示すが、該角度が大きくなるにつれて再帰反射効率は急激に低下するという不具合があった。また、観測者が光源から離れた位置で再帰反射光を観察した場合には観測される反射光は弱いという不具合があった。
上記の理由により従来公知の三角錐型再帰反射素子は、再帰反射物品の基準表面に垂直な線と入射光線とがなす角度、即ち入射角が大きくなるにつれて再帰反射効率は急激に低下するという欠点がある。これは、入射角が大きくなるにつれて三角錐型反射素子を構成する透明媒体の屈折率と空気の屈折率との比によって定まる内部全反射条件を満足する臨界角より小さな角度で反射側面に光線が入射するために、反射側面で内部全反射することなく再帰反射素子の背面に透過するためである。このために三角錐型反射素子を用いる再帰反射物品は一般に正面方向の再帰反射特性は優れていても大きな入射角での再帰反射特性が劣り、いわゆる入射角特性が劣るという欠点があった。また、素子の形状が三角形であるために素子のどの方位から光が入射するか、あるいは、観測者が素子のどの方向に位置するか(回転角)により再帰反射効率が大きく変化するという欠点を有していた。
一方、三角錐型再帰反射素子はマイクロ硝子球型反射素子に比べて比較的大きな素子が採用されているために回折効果による反射光の広がりが小さく、さらに、マイクロ硝子球型反射素子のように球面収差によって反射光が過度に発散することがないので優れた反射性能を得る事が出来る。
しかしながら、再帰反射光の過度に狭い反射光の発散は、実用面においては自動車のヘッドランプから発せられた光が交通標識で再帰反射したとき再帰反射光がヘッドランプに集中的に戻り、その入射光軸から離れた位置にいる運転者の目には達しにくいという不都合が生じやすい。このような不都合は、特に自動車と交通標識との距離が近接したときに、光線の入射光軸と運転者と反射点とを結ぶ軸(観測軸)とがなす角度(観測角)が増大するために特に顕著であった。このように従来公知の三角錐型再帰反射素子を用いた再帰反射物品は観測角特性が劣るという問題を有していた。
このようなキューブコーナー型再帰反射シートおよび再帰反射物品、特に三角錐型キューブコーナー再帰反射シートおよび再帰反射物品の入射角特性または観測角特性の改良に関しては、古くから多くの提案が知られており、種々の改良検討がなされている。
例えば、ユンゲルセン(Jungersen)の米国特許第2、310、790号においては薄いシートの上に様々な形の再帰反射素子を設置述べられている。この米国特許に例示されている三角錐型反射素子は頂点を底面三角形の中心に位置した光学軸の傾斜のない底面形状が正三角形の三角錐型反射素子や、頂点の位置が底面三角形の中心に位置していない底面形状が二等辺三角形の三角錐型反射素子が例示されており、接近してくる自動車に対して効率的に光を反射させる(入射角特性の改善)ことが記載されている。
また、三角錐型反射素子の大きさとしては素子の深さとして1/10インチ(2、540μm)以内であることが記載されている。さらに、この米国特許のFig.15には、光学軸が、後述するようにプラス(+)となる方向に傾斜している三角錐型反射素子対が図示されており、その光学軸の傾斜角(θ)は、図示されている三角錐型反射素子の底面二等辺三角形の長辺と短辺の長さの比率から求めると、約6.5°であると推定される。
しかしながら、上記Jungersenの米国特許には、後述するような極めて小さい三角錐型反射素子についての具体的な開示はなく、また、優れた観測角特性や入射角特性を与えるために、三角錐型反射素子がどのような大きさおよび光学軸傾斜を有することが望ましいかなどについての記載も示唆もされていない。
また、スタム(Stamm)の米国特許第3、712、706号においては薄いシート上に底面の三角形の形状が正三角形である、所謂、正三角錐型キューブコーナー再帰反射素子をその底面が共通面上に最密充填状となるように配置された再帰反射シートおよび再帰反射物品について述べられている。このStammの米国特許では、反射素子の反射側面を例えばアルミニウムなどの金属で蒸着処理を行って入射光を鏡面反射させて、入射角を増大させることにより、再帰反射効率の低下という問題や内部全反射条件未満の角度で入射した光が素子の界面を透過してしまい再帰反射しないと言う上記の不具合の改善を行っている。
しかしながら上記Stammの提案では、広角性の改善手段として反射側面に鏡面層を設置しているために、得られる再帰反射シートおよび再帰反射物品の外観が暗くなったり、鏡面層に採用されているアルミニウム、銀などの金属が使用中に水や空気の浸入により酸化されてしまい、反射輝度の低下を起しがちであるなどの不具合を起しやすい。さらに、光学軸の傾斜により広角性を改善する手段に関してはまったく記載されていない。
さらに、ホープマン(Hoopman)のヨーロッパ特許第137、736B1においては、薄いシート上に底面の三角形の形状が二等辺三角形である一対の傾斜三角錐型キューブコーナー再帰反射素子がお互いに180°回転した形でその底面が共通面上に最密充填状に並べられた再帰反射シートおよび再帰反射物品について述べられている。この特許に記載の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の光学軸の傾斜は、本明細書に記載するマイナス(−)方向に傾斜しており、その傾斜角は約7〜13°であることが示されている。
さらにまた、スチェッチ(Szczech)の米国特許第5、138、488号においても、同様に薄いシート上に底面の三角形の形状が二等辺三角形である傾斜三角錐型キューブコーナー再帰反射素子をその底面が共通面上に最密充填状となるように並べられた再帰反射シートおよび再帰反射物品が開示されている。この米国特許においては、該三角錐型反射素子の光学軸は、お互いに向き合って対を成す二つの三角錐型反射素子が互いに共有する辺の方向、すなわち後述するプラス(+)方向に傾斜しており、その傾斜角は約2〜5°であり、素子の大きさが25μm〜100μmであることが規定されている。
また、上記特許に対応するヨーロッパ特許第548、280B1においては、光学軸の傾きの方向が、対をなす二つの素子の共通の辺を含みかつ共通平面に垂直な面と素子の頂点との距離が、素子の光学軸が共通平面と交差する点と前記垂直な面との距離に等しくなく、その傾斜角は約2〜5°であり素子の大きさが25μm〜100μmであることが記載されている。
上記の様に、Szczechのヨーロッパ特許第548、280B1おいては、光学軸の傾きがプラス(+)およびマイナス(−)の両方を含む約2〜5°の範囲となっている。しかし、Szczechの上記米国特許およびヨーロッパ特許の実施例には、光学軸の傾斜角度が(−)8.2°、(−)9.2°および(−)4.3°で、素子の高さ(h)が87.5μmの三角錐型反射素子しか開示されていない。
上記の4つの特許に示される再帰反射素子はいずれも素子を形成する三方向のV字状溝が本発明を説明する図7(a)に示されるような対称形を呈しており、形成される再帰反射素子は本発明を説明する図5および図6に示されるような左右対称形の一対の三角錐型キューブコーナー素子対として得られる。しかしながら、これらの発明においては、入射角特性の改善は得られても観測角特性の改善は達成されない。
一方、観測角特性を改善する提案としては、例えば、アッペルドーン(Appeldorn)の米国特許第4、775、219号には、素子を形成するV字状溝が本発明を説明する図7(b)に示されるような非対称形を呈し、キューブコーナーを形成する理論的なV字状溝の角度に対してわずかな偏差を有している。さらに、隣り合うV字状溝との非対称性を与える偏差を周期的に変化させることにより、観測角特性の改善を試みている。
しかしながら、隣り合うV字状溝の角度を周期的に変化させることは金型加工の困難性を増大させるものであった。たとえ、この困難性を克服できたとしても与えうる偏差の組み合わせは有限であり均一な反射光の広がりを与えることはできなかった。また、V字状溝を形成するダイアモンドバイトなどの加工工具を一つのV字状の溝方向に対しても数種類準備する必要があった。さらに、V字状溝を非対称に形成する場合にも高精度の加工技術を要した。
さらに、ウオルター(Walter)の米国特許第5、171、624号においては、本発明を説明する図7(c)に示されるような曲線状の断面形状を有した加工工具を用いて、一定の2次曲面の断面形状を有した反射側面を形成した三角錐型再帰反射素子が開示されている。このような、2次曲面を有した反射側面を形成した三角錘型再帰反射素子においては適度の再帰反射光の発散が可能であり観測角特性の改善が得られる。
しかしながら、このような曲面状の断面形状を有した加工工具を意図した形状で作成することは非常に困難である。従って、工具の加工の困難性から意図した設計に基づく2次曲面を得ることは非常に困難であった。さらに、与えうる曲面形状は用いる加工工具の形状によってのみ決定され様々な形状の2次曲面を同一の再帰反射物品上に形成することは不可能であった。
ニルセン(Nilsen)の米国特許第5、565、151号においては、本発明を説明する図8に示されるような、反射側面(A−B−H)の一部を切り取り、それにより形成した三角柱形状(A−A1−A2−B2−B1−B)の部分と新しい反射側面(A2−H1−B2)とにより再帰反射光の発散を促進して観測角特性の改善を試みている。
しかしながら、ニルセンの発明においてはどの様な形状の三角柱形状の設置が好ましいのか、あるいは、新しい反射側面はどのような角度で形成されるのが好ましいかの具体的な記載は少ない。また、反射側面の一部を切り取り三角柱形状の部分を形成するための特殊な工具を必要とする。さらに、新しく形成された三角柱形状の素子は再帰反射機能を有しておらず単に光をさまざまな方向に分散することにより再帰反射光の広がりを得ようとするものである。
以上述べたように、従来公知のJungersenの米国特許第2、481、757号;Stammの米国特許第3、712、706号;Hoopmanのヨーロッパ特許第137、736B1;Szczechの米国特許第5、138、488号、ヨーロッパ特許第548、280B1等の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子は、図6に示されるように、いずれも、光の入射および反射の中核をなす多数の三角錐型反射素子の底面が同一平面上にある点、および、相対峙した一対の素子が相似形の形状をなして、かつ素子の高さが等しいという点で共通しており、かように底面が同一平面にある三角錐型反射素子で構成された再帰反射シートおよび再帰反射物品はいずれも入射角特性が劣り、すなわち光線の該三角錐型反射素子に対する入射角が増大すると、再帰反射輝度が急激に減少するという欠点を有している。
また、同じく以上に述べた従来公知のAppeldornの米国特許第4、775、219号;Walterの米国特許第5、171、624号;Nilsenの米国特許第5、565、151号にはさまざまな手法による観測角特性の改善が提案されているが、いずれの発明も工具の作成や金型加工が困難であることなどの欠点を有している。
本発明の目的は、上記の従来公知の方法によらずに、x方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該平行V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、共通平面(S−S’)および該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx、Svy、またはSvz)とに垂直な面と該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1、b1、c1、a2、b2、またはc2)とが交差してなる線分と、V溝垂平直面とがなす片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成することにより、簡易な方法で三つの角度特性、特に観測角特性の改善を達成することにある。
なお、本発明に言う正規反射側面とはキューブコーナー再帰反射素子において、三つの反射側面が互いに実質的に垂直であるような理論的なキューブコーナー反射側面の関係にあるような反射側面をいう。さらに、正規な片側溝角とは正規な再帰反射素子を形成するに必要な溝角を意味している。
本発明の他の目的は、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対を構成する少なくとも一方向のV字状溝(x、y、またはz)を底辺に持つ反射側面において、該片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、GRz)がキューブコーナーを形成する正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさず、反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群を形成することにより、意図された観測角における再帰反射性能を選択的に改善することにある。
本発明に従うと、上記目的は、x方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該平行V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、
共通平面(S−S’)および該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx、Svy、またはSvz)とに垂直な面と、該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1、b1、c1、a2、b2、またはc2)とが交差してなる線分と、V溝垂直平面とがなす片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が平面を形成しないことを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品
を提供することによって、達成される。
更に、本発明の目的は、上記の従来公知の方法によらずに、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該再帰反射素子対におけるいずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成することにより、簡易な方法で三つの角度特性、特に観測角特性の改善を達成することにある。
本発明の他の目的は、該非直線底辺の両端を結んだ両端直線からの該非直線底辺への垂直線と該非直線底辺との交点と両端直線との最大距離で規定される非直線因子(fx、fy、またはfz)が、両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lであることを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を用いて、意図された観測角における再帰反射性能を選択的に改善することにある。
なお、本発明における正規反射側面とはキューブコーナー再帰反射素子のもつ三つの反射側面が互いに実質的に垂直であるような理論的なキューブコーナー反射側面の関係にあるような反射側面をいう。さらに、正規な片側溝角とは正規な再帰反射素子を形成するに必要なV字状溝のもつ片側溝角を意味している。また、非直線底辺とは反射側面を形成する底辺が直線状の軌跡をなさない底辺を意味し、このような底辺を持つ反射側面は平面を形成せず、2次または3次曲面およびこれらの曲面の組み合わせからなる多面反射側面、あるいは複数の平面の組み合わせからなる多面反射側面を形成している。
また、本発明における光学軸とは三つの正規反射側面の中心軸として一般的によく知られており、前記のフープマンやスチェッチの発明に記載されている。入射光は光学軸に平行に入射した場合に再帰反射性能がもっとも高くなる性質を有しており、反射素子の持つ入射角特性の目安として用いられる。
光学軸の傾斜角は光学軸と素子の頂点から共通平面(S−S’)におろした垂線との角度として定義される。なお、光学軸を傾けることによって大きな入射角に対する再帰反射性能を改善する事ができるが、その際に反射素子の底面形状は正三角形でなくなる。従って、光学軸の傾斜角と傾斜の方向によって底面の三角形の三つの内角が一義的に定まる。
なお、本発明における正規でない反射側面をもった再帰反射素子においても光学軸に相当する擬光学軸を有する。この擬光学軸とは該反射素子の非直線底辺の両端を結んだ両端直線と他の直線状の底辺とにより形成された底面三角形により確定される正規な反射側面を有する正規再帰反射素子の光学軸と同じ傾斜角と方向を有する軸であり、本発明の素子の入射角特性の目安として有用である。
本発明によると、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該再帰反射素子対におけるいずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を用いることにより本発明の課題である観測角特性の改善を行なう。
さらに、上記の再帰反射素子対を構成する三つの反射側面の底辺の両端を結んだ両端直線により形作られる底面三角形の一つの内角が35〜75°好ましくは45〜70°とすることにより入射角特性の改善を行なう。
また、上記の再帰反射素子対を構成する少なくとも一つの方向の該V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)の底辺群が形成する平面(Sx、Sy、またはSz)の深さが他の面の深さと異なるようにすることによりさらに入射角特性の改善を行なう。
本発明の効果は、上記の従来公知の方法によらずに、x方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該平行V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、共通平面(S−S’)および該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx、Svy、またはSvz)とに垂直な面と該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1、b1、c1、a2、b2、またはc2)とが交差してなる線分と、V溝垂直平面とがなす片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成することにより、簡易な方法で三つの角度特性、特に観測角特性の改善を達成される。
本発明における三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群による再帰反射物品は、意図された範囲の再帰反射光の広がりを容易に制御する事ができ、従来困難であった観測角特性の改善を達成する事ができる。さらに、選択的に片側溝角に偏差を与えることにより、特定の方向に再帰反射光の広がりを与える事ができるために、一定の方向、たとえば、運転者のいる方向に選択的に観測角特性を改善することもできる。
更に、本発明の効果は、上記の従来公知の方法によらずに、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され、該V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該再帰反射素子対におけるいずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成することにより、簡易な方法で三つの角度特性、特に観測角特性の改善を達成することにある。
図2は、再帰反射素子の形成に用いる加工工具である。
図3は、再帰反射素子の形成に用いる加工工具の取付け方法である。
図4は、再帰反射素子の形成に用いる加工方法を説明する図である。
図5は、従来技術による再帰反射素子対の図である。
図6は、従来技術による再帰反射素子の斜視図である。
図7は、従来技術によるV字状溝の断面図である。
図8は、従来技術による再帰反射素子の斜視図である。
図9は、従来技術によるV字状溝の断面図である。
図10は、本発明の第1の形態によるV字状溝の断面図である。
図11は、本発明の第1の形態による再帰反射素子対の図である。
図12は、本発明の第1の形態による再帰反射素子の斜視図である。
図13は、本発明の第1の形態による再帰反射素子群の集合平面図である。
図14は、本発明の第1の形態による再帰反射素子群の集合平面図である。
図15は、本発明の第1の形態による再帰反射素子群の断面図である。
図16は、本発明の第1の形態による再帰反射素子群の断面図である。
図17は、本発明の第2の形態によるV字状溝の断面図である。
図18は、本発明の第2の形態による再帰反射素子対の図である。
図19は、本発明の第2の形態による再帰反射素子の斜視図である。
図20は、本発明の第2の形態による再帰反射素子対の図である。
図21は、本発明の第2の形態による再帰反射素子群の集合平面図である。
図22は、本発明の第2の形態による再帰反射素子群の集合平面図である。
図23は、本発明の第2の形態による再帰反射素子対の非直線底辺の軌跡の平面図である。
図1には本発明による三角錐型再帰反射素子対群を形成するのに用いたシェーパー加工機の例を示す。この加工機は図1にMx軸、My軸として示された2方向のスライドテーブル上に設置された回転テーブル(Mb軸)、その上に設置されたスライド軸(Mz軸)に設置されたもう一つの回転軸(Mc軸)の下端に設置されたダイアモンド工具により構成されている。加工素材は回転テーブル上に固定されてダイアモンド工具が一定の力で押しあてられ、Mx軸またはMy軸にそって移動させることにより任意の軌跡を描いてV字状の溝が形成される。この際にMz軸の位置を制御することによりV字状の溝の深さをわずかに変化させることが出来る。さらに、本発明のV字状の溝を作成するためにMc軸をわずかに回転させることによりV字状の先端形状を持った工具の投影形状を変化させてV字状の溝の角度を一つのV字状溝のなかで連続的に変化させることが出来る。
シェーパー加工においては所望の深さのV字状の溝を形成させるには1回の加工深さを例えば1〜10μmとして、所定の深さになるように数回の溝加工を行なう必要がある。この加工中にMx軸およびMy軸にそって移動させることにより直線だけではなく任意の軌跡を描いてV字状の溝が形成される。これによって本発明による再帰反射素子対におけるいずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺をもつ再帰反射素子が形成できる。
本発明の再帰反射素子を形成する工具としては、ダイアモンド、サファイア、各種の切削合金を用いる事ができ、その中でもダイアモンドが特に耐摩耗性にすぐれており、加工中にV字状溝の角度を一定に保つ上で好ましい。また、磨耗によるV字状の溝の角度が変化しないようにするために、2つの加工工具を用いて所定の深さまでの予備切削と目的とする深さでの仕上げ切削を分けてもよい。
従来公知のいわゆるフライカット法とよばれる加工方法においてもV字状溝加工法を実施する事が可能であり、ダイアモンド工具の取り付け角度を変化させることによって工具の投影形状を変化させてV字状の溝の角度を微小に変化させることが出来る。フライカット法においては所望の溝の深さを一度の切削で形成できる利点がある。しかしながら、フライカット法においては直線状の軌跡を描かせることには適しているが、任意の非直線的な軌跡を精度よく形成するには適さない。また、加工中に工具取付け角度を変化させて一つのV字状溝のなかでV字状の溝の角度を変化させることは出来ない。
図2(a)には本発明の三角錐型再帰反射素子を形成するのに用いたダイアモンド工具の例が示されている。工具の先端には拡大図(b)に示されているようなV字状の先端形状を持ったダイアモンドが取り付けてあり、V字状の溝の形状と角度はこのダイアモンドの投影形状が反映される。さらに図3の(a)〜(d)にはこのダイアモンド工具の設置角度をさまざまに変化させることによりV字状の先端の投影形状を変化させ、形成されるV字状の溝を如何に変化させる事が出来るかを説明している。
図3(a)には標準の取り付け方法により対称形のV字状のダイアモンドが対称の位置で加工基準面に対して垂直に取り付けられている。この加工工具は先述した3つの方向の加工軸により3つの方向に回転させることができる。
図3(b)においては加工工具の先端を中心としてMx軸に沿った回転により工具をわずかに傾斜させることにより、V字状溝の角度を狭くする事が出来ることを示している。この様な変化は通常工具の垂直方向(Mc軸)の取り付け角度を変更させることによって達成される。
また、図3(c)においては加工工具の先端を中心としてMc軸に沿った回転(角度;η)により工具をわずかに旋回させて投影形状を変化させ、V字状溝の角度をわずかに狭くする事が出来ることを示している。この様な角度の変更はV字状の溝の加工中にMc軸を旋回させて行なう事ができ、この様な方法によって形成されたV字状溝の断面形状は一定の角度をもたない。
このような切削工具の図3(c)に図示されている旋回角(η)と切削工具の先端の投影角度(両側の片側溝角の和に一致し両側溝角(2G’)とも言う)との関係は式1によって表すことができる。
なお、式1においてGは旋回がない加工工具の先端の片側溝角、ηは図3(c)に示される工具の旋回角そしてG’は旋回した工具の投影片側溝角を表している。
具体的には、正規な光学軸の傾斜のない三角錐型キューブコーナー再帰素子を形成するのに必要な加工工具の先端の片側溝角は35.2640°であるが、工具をη=1°旋回させたときの投影角度G’は35.2599°であり、η=2°旋回させたときの投影角度G’は35.2475°であり、さらにη=10°旋回させた場合には34.8516°の投影角度が得られる。このような微小な角度の変化は加工工具の製作精度をはるかに上回るものである。しかしながら、図2に示されているように加工工具の厚さと加工先端部分のすくい角からくる制限から過剰の旋回角は好ましくない。
さらに、図3(d)に示された方法においては、加工工具の先端中心にMy軸に沿った方向で左右にわずかに傾斜させて、V字状の溝を非対称に変化させる事が可能である。かかる、非対称のV字状溝の形成は対称形のV字状の工具を用いて左右同時に形成することも出来るが、左右非対称な工具を用いて片側ずつ形成してもよい。この方法は非対称のV字状の溝形成する際に特に有用である。
図4には、前記従来公知の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子群を形成する原理を図示してある。これらの素子群を形成するには、α−β−γ軸で定義されたα−β面(加工機における回転テーブル上)に設置された被切削物を、α−β面上の三方向(x、y、z方向)からの実質的に対称な平行V字状溝群により形成することにより達成される。一般的な再帰反射素子においては、三方向のV字状の溝は互いに一点で交差するようにして形成されており、その結果、図5や図6に示されるような三角錐型キューブコーナー再帰反射素子が対として該平行V字状溝群の底辺群により定められるα−β面に平行な共通平面(S−S’)の上に、底辺を隣り合う素子の底辺と共有するようにして最密充填の状態で形成される。
図5に示される従来公知の底辺が二等辺三角形の再帰反射素子の大きさは、素子の高さ(h)として代表され、素子の高さは三方向の平行溝群の間隔により定まる。また、三つの互いに垂直な反射側面の中心軸として定められる光学軸の傾斜角は底面の三角形の形状、即ち、三方向のV字状の溝が交差する角度により一義的に定まる。底辺が二等辺三角形の再帰反射素子の光学軸の傾斜がない再帰反射素子の交差の角度はx−y方向の交差角∠A−B−C1、y−z方向の交差角∠A−C1−B、x−z方向の交差角∠B−A−C1がともに60°である。また、底辺が二等辺三角形の再帰反射素子の光学軸がプラス方向に傾斜する場合はy−zの交差角∠A−C1−Bが60°より小さく、また、光学軸がマイナス方向に傾斜する場合はy−zの交差角∠A−C1−Bが60°より大きくなる。
なお、光学軸の傾斜角がプラスまたはマイナスである傾斜素子とは、図5において、頂点H1から下した垂線が共通平面(S−S’)と交差する点(P1)と共通の底辺(A−B)の中点(O)までの距離をp、光学軸と共通平面(S−S’)とが交差する点(Q1)と中点(O)との距離をqとしたときに(q−p)がプラスとなるように光学軸が傾斜した素子をプラス傾斜素子といい、マイナスとなるように光学軸が傾斜した素子をマイナス傾斜素子と呼ぶ。また、光学軸が傾斜していない正規素子においては点P1と点Q1は同じ位置にあり(q−p)はゼロである。
図6に示される従来公知の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の斜視図において、三つの反射側面a面(A−C−H)、b面(B−C−H)、c面(A−B−H)は共通平面(S−S’)上にある三つの底辺(A−B、B−C、C−A)により定められる底面(A−B−C)上にある。また、これらの三つの反射側面は全て平面であり互いに垂直になるように形成されている。
図6においてx方向のV字状溝の底部はα軸方向に一致しており、V溝垂直平面(Ux)はα軸上にある底辺(A−B)と共通平面(S−S’)に垂直な面である。底辺に垂直に交差する片側溝角を定義する面は、点Oにおいては点O−H−Cを含む面であり、点Lにおいては点L−K−Jを含む面である。さらに、素子を形成するV字状溝の片側溝角は図6に示されているように、底辺ABの点Oでの片側溝角(図において∠γOHで表される)も任意の点Lでの片側溝角(図において∠γLKで表される)も等しくなっている。y方向およびZ方向のV字状の溝においても同様に底辺(B−CおよびA−C)と共通平面(S−S’)に垂直な面としてV溝垂直平面(UyおよびUz)が定義される。
(第1の形態)
以下に、本発明における再帰反射物品を形成する方法に関して図を引用しながらさらに詳細に説明を加える。
図9には、従来公知の方法によって多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群を形成するためのV字状溝を形成する方法が示されている。図9(a)においては左右対称のV字状溝を形成した図が示されている。形成されたV字状溝の断面に示される片側溝角(図7(a)におけるGL、GR)は一つのV字状の溝において一定の角度を示している。
図9(b)においては左右非対称のV字状溝を形成した図が示されている。形成されたV字状溝の断面に示される片側溝角(図7(b)におけるGL、GR)はやはり一つのV字状の溝において一定の角度を示している。
図9(c)においては断面が曲線の形状を持った溝を形成した図が示されている。形成された断面が曲線の形状を持った溝の断面に示される片側溝角(図7(c)におけるGL、GR)は一つのV字状の溝において一定の形状を示している。
図10には本発明における、共通平面(S−S’)および該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx、Svy、またはSvz)とに垂直な面と該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1、b1、c1、a2、b2、またはc2)とが交差してなる線分と、ことを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成するのに用いたV字状溝を形成する方法が示されている。
図10(a)には左右対称の状態(GL=GR)で片側溝角(GL、GR)が連続的に変化して、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝が示されている。この様な溝の具体的な加工方法としては図3(b)あるいは(c)に示されるような方法で、V字状溝を加工する間に加工工具を傾斜あるいは旋回させることにより工具投影形状を連続的に変化させることにより達成される。
図10(b)には左右非対称の状態で片側溝角(GL、GR)が連続的に変化して、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝が示されている。この様な溝の具体的な加工方法としては図3(d)に示されるような方法で、V字状溝を加工する間に加工工具を左右に傾斜させることにより工具投影形状を非対称に連続的に変化させることにより達成される。
図10(c)には断面が曲線の形状を持った溝が左右対称の状態(GL=GR)で片側溝角(GL、GR)が連続的に変化して、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝が示されている。この様な溝の具体的な加工方法としては断面が曲線の形状を持った加工工具を用いて図3(b)あるいは(c)に示されるような方法で、V字状溝を加工する間に加工工具を傾斜あるいは旋回させることにより工具投影形状を連続的に変化させることにより達成される。また、この断面が曲線の形状を持った加工工具を用いて図10(b)に示されるような左右非対称な溝の形成も可能である。
上記の方法により片側溝角(GL、GR)が連続的に変化して、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず、該反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝を形成することにより作成した本発明による三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対の一例を図11を用いながら説明する。
図11(a)は本発明による再帰反射素子対の平面図を示している。二つの素子はx方向の底辺(A−B)を共有する形で互いに反射側面(A−B−H1、A−B−H2)が対峙するようにしている。二つの素子の底面(A−B−C1、A−B−C2)は共通平面(S−S’)上にある。
また、図11(b)には図11(a)に示されている再帰反射素子対の切断線C−C’によって切取った断面形状(O−C1−H1、O−C2−H2)が示されている。x方向のV字状溝の断面はH1−O−H2として示されており、断面形状は左右対称形の直線であり、その片側溝角は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度で形作られている。
図11(c)には図11(a)に示されている再帰反射素子対の切断線J−J’によって切取った断面形状(O−K1’−J1、O−K2’−J2)が示されている。x方向のV字状溝の断面はK1’−O−K2’として示されており、断面形状は左右対称形の直線である。しかしながら、そのV字状溝の形状(K1’−O−K2’)は図11(b)に示されているような正規な角度K1−O−K2とは異なって小さくなっている。
図11(d)には図11(c)に示された正規な角度より小さな角度のV字状溝を形成するために、切削工具を旋回させてその投影形状を変化させる方法が図示されている。位置O、Aにおいては切削工具は旋回されておらずその投影形状は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度になっている。位置Jにおいては切削工具は加工機械のMc軸にたいして旋回しておりその投影形状は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度よりわずかに小さくなっている。切削工具が平面図11(a)のA点からO点へ移動するにつれて加工工具は図11(d)に示されるように加工機械のMc軸にたいして連続的に旋回しておりその投影形状は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度にたいして連続的に変化する。
従って、対峙する反射側面(A−B−H1、A−B−H2)は平面を形成せず曲面となるがいずれの位置においても断面は直線状のV字状溝形状を示している。このような曲面をもった反射側面は入射した光線を光源に向かって平行に再帰反射しない。したがって、このような曲面をもった反射側面は様々な反射角度で反射するために、再帰反射した光線が均一な広がりを持つ発散パターンをもつ事ができて好ましい観測特性を得ることができる。
さらに、断面図11(b)には光学軸(t1、t2)が示されているが本発明において反射側面の一部は平面形状を有していないために、ここに示される光学軸は平面形状を有していない反射側面と対応する平面形状を有する反射側面によって形成されたキューブコーナー型再帰反射素子の光学軸を意味している。しかしながら、本発明における再帰反射素子の平面形状を有していない反射側面の平面からの偏差は非常に微小であり、光学軸で定められる入射角特性はこの対応する光学軸によって近似的に算定可能である。
以下、c面(A−B−H)について、説明する。
図12は本発明における三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の立体図を示している。二つの反射側面a面(A−C−H)、b面(B−C−H)は共通平面(S−S’)上にある三つの底辺(A−B、B−C、C−A)により定められる底面(A−B−C)上にあり、これらの二つの反射側面はいずれも平面であり互いに垂直になるように形成されている。さらに、素子を形成する残りの反射側面c面(A−B−H)も共通平面上にあり、c面を形成する断面がV字状溝は、底辺A−Bの点Oでの片側溝角(図において∠γOHで表される)と任意の点Lでの片側溝角(図において∠γLK’で表される)は等しくなく、底辺A−Bにわたって連続的に変化している。従って、反射側面c面(A−B−H)は曲面となっている。
図13には本発明の多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群の平面図形が示されている。この再帰反射素子群はx方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x’、x’、x’…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されている。なお、図面においてx’と記載されているのは反射側面を平面形状としないために、加工工具を旋回させながら形成したx方向のV字状溝であることを示している。本態様においてはx方向だけが平面形状をなしておらず、y方向とz方向は平面状の反射側面を有しているが、3方向のいずれのV字状溝も平面形状をなさないように形成してもよい。
図14には本発明の他の態様の多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群の平面図形が示されている。この再帰反射素子群はx方向、y方向、およびz方向の三つの方向からの半行V字状溝群(x’、x、x’、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されており、x方向のV字状溝は1本おきに反射側面が平面形状をなさないように形成されている。このような再帰反射素子は小さな観測角において大きな再帰反射性能を得ることができる。
また、同様な方法で数種類の異なった平面からの偏差パターンをもったV字状溝を数種類くみあわせて繰り返しのパターンでx方向、y方向およびz方向のV字状溝を形成させてもよく、このような組み合わせは均一な再帰反射光の広がりを得られるために特に好ましい。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対を構成する少なくとも一方向のV字状溝(x、y、またはz)を底辺に持つ反射側面において、該片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、GRz)がキューブコーナーを形成する正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさず、反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群であることが様々な観測角での再帰反射特性を均一なものとするうえで特に好ましい。
従来技術における類似の技術においては、一つの再帰反射素子に対して1通りの片側溝角あるいは頂角の偏差を与えることしかできないために、数種類の片側溝角の組み合わせを形成する必要があり非常に煩雑な加工方法を採用せざるを得なかった。
しかしながら、本発明における片側溝角の偏差の付与の方法においては、一つの素子の中で最大偏差から正規な片側溝角からの偏差がない角度まで連続的に変化させる事ができる。したがって、形成された再帰反射素子の頂角は最大偏差に基づいた頂角偏差から正規な頂角までをあわせもった素子として存在しうるのである。
さらに、与えうる最大偏差は単一の切削工具を用いてその工具の旋回角を調節することで簡単に得られるという利点がある。具体的には、一つの素子あるいは隣接したいくつかの素子にわたって加工工具の旋回角の変化パターンを調節することにより、たとえば旋回角の小さな範囲を多くすることにより観測角の小さな部分の再帰反射性能を優先的に向上する事ができ、また、旋回角の大きな範囲を多くすれば観測角の大きな部分での再帰反射性能を改善する事ができる。
与えることのできる正規な片側溝角からの最大偏差は0.0001〜0.1°が好ましい。0.0001°未満の場合は光の発散が過小となり観測角特性の改善が得られにくく、0.1°を超える場合には光の発散が過剰となり正面方向の再帰反射特性が著しく低下する不具合がある。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対を構成する三方向のV字状溝において、共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含む垂直面(V溝垂直平面;Svx、Svy、またはSvz)と、V溝垂直平面および共通平面(S−S’)とに垂直な面と該底辺を含む反射側面とが交差する線分とがなす角(片側溝角;GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、GRz)が一定の角度をなさず、反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群であることが、素子の様々な方位からの入射光に対して均一な再帰反射パターンを与える事ができて好ましい。
しかしながら、一定方向の方位に対する観測角特性を選択的に改善することも可能である。そのためには一定方向のV字状溝に対して選択的に片側溝角に対して偏差を与えることにより達成される。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性と入射角特性との両方の角度特性を改善するために、三方向(x、y、z方向)からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、反射素子を構成する三つの底面により形作られる底面三角形の一つの内角が35〜75°、好ましくは45〜70°である三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群を用いる事が好ましい。
このような形状の底面三角形をもつ再帰反射素子の採用は、実質的に該素子の持つ擬光学軸を傾斜することと同様な意味をもつ。
このような内角の変化は、底面が二等辺三角形の再帰反射素子を例として説明すると、辺の長さが等しい辺によってはさまれる角(∠ACB)が35〜75°にわたって変化すると対応する擬光学軸の傾きは約−15〜+18°にわたって変化し、他の角(∠ABC、∠BAC)が35〜75°にわたって変化すると対応する擬光学軸の傾きは約−30〜+18°にわたる変化に相当する。
さらに、本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性と入射角特性との両方の角度特性を一層改善するために、三方向(x、y、z方向)からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、少なくとも一つの方向のV字状溝群の底辺群が形成する平面(Sx、Sy、Sz)の深さが他の面の深さと異なることを特徴とする再帰反射物品を用いることが好ましい。
このような、少なくとも一つの方向のV字状溝群の底辺群が形成する平面(Sx、Sy、Sz)の深さが他の面の深さと異なるような再帰反射素子に関しての具体的な態様とその効果に関する記載に関しては、本発明の発明者らによる国際公開WO98/18028号、国際公開WO00/52503号及び国際公開WO99/54760号に詳しく記載されているのでここではそれら発明の特許番号の記載をもって説明にかえる。
なお、好ましい深さの差異は、式2と式3で表される範囲が好ましい。
また、
ここに、式2、式3において
θ=擬光学軸の傾斜角度
h3=最も深いV字状溝群により形成されるV字状溝の深さ
h1=最も浅いV字状溝群により形成されるV字状溝の深さ
を表している。
さらにまた、本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性と入射角特性との両方の角度特性を一層改善するために、三方向(x、y、z方向)からの平行V字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、x方向のV字状の溝がy方向とz方向のV字状の溝の交点(A、B)を通過せず、交点Aと交点Bを結ぶ直線からオフセット(Δx)を持った位置に形成されており、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が非対称の対であることを特徴とする再帰反射物品を用いることが出来る。
このような、三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が非対称の対であるような再帰反射素子に関しての具体的な態様とその効果に関する記載に関しては、本発明の発明者らによる特開2001−264525号及びその対応である米国特許第6、318、866号に詳しく記載されているのでここではその発明の特許番号の記載をもって説明にかえる。
このような非対称の対からなる再帰反射素子対における好ましいオフセット(△x)の範囲としては、素子の高さをhとした際に、式4の範囲である事が好ましい。
前記三角錐型キューブコーナー再帰反射素子母型の作成に好適に用いることのできる基材としては、JIS−Z2244に規定されたビッカース硬さが350以上、特に380以上の金属材料が好ましく、具体的には、アモルファス銅、無電解銅、電析ニッケル、アルミニウム等を挙げることができ、合金系材料としては、例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−錫−亜鉛合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−亜鉛合金、アルミニウム合金等を挙げることができる。
また前記基材としては、合成樹脂材料の使用も可能であり、切削加工時に軟化して高精度の切削が困難となるなどの不都合が生じにくい等の理由から、そのガラス転移点が150℃以上、特に200℃以上で且つロックウェル硬さ(JIS−Z2245)が70以上、特に75以上の合成樹脂からなる材料であるのが好ましく、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、およびセルローストリアセテート系樹脂等を挙げることができる。
得られた凸形状の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子母型は、その表面を電鋳加工を行うことにより金属被膜が形成される。この金属被膜を母型表面から取り外すことにより、本発明の樹脂製の再帰反射物体の成形に用いるための金属製金型を作成することができる。前記のようにして加工された金型は、電鋳加工法によって反転された形状として転写されて樹脂成型用の凹形状の金型として供される。
電鋳加工は、一般に、例えば、スルファミン酸ニッケル60重量%水溶液中、40℃、電流条件10A/dm2の条件下で行われる。電鋳層の形成速度としては、例えば、0.02mm/時間以下程度とすることにより均一な電鋳層が得られやすく、それ以上の形成速度においては表面の平滑性の欠如や電鋳層の中に欠損部分が生じるなどの不具合が起こりやすい。
このようにして再帰反射素子母型から作成した第1世代の電鋳金型は、さらに第2世代の電鋳金型を作成するのに用いる電鋳マスターとして、繰り返し用いることができる。従って、一つの再帰反射素子母型から幾つもの電鋳金型を作成することが可能である。
複製された複数個の電鋳金型は、精密に切断された後に、合成樹脂による再帰反射物品の成形を行うための最終的な金型の大きさまで組み合せ接合して用いることができる。この接合の方法としては、切断端面を精密に切断した後に単に突き合わせる方法や、組み合わせた接合部分を、例えば電子ビーム溶接、YAGレーザー溶接、炭酸ガスレーザー溶接などの方法で溶接する方法などが採用可能である。
組み合わされた電鋳金型は、合成樹脂成形用金型として合成樹脂の成形に用いられる。この合成樹脂成形の方法としては圧縮成形や射出成形を採用することができる。
圧縮成形は、例えば、形成した薄肉状のニッケル電鋳金型、所定の厚さの合成樹脂シートおよびクッション材として厚さ5mm程度のシリコーンゴム製シートを、所定の温度に加熱された圧縮成形プレスに挿入した後、成形圧の10〜20%の圧力下で30秒予熱を行った後、180〜250℃、10〜30kg/cm2程度の条件下で約2分間加熱加圧することにより行うことができる。しかるのち、加圧状態のままで室温まで冷却して圧力を開放することにより、プリズム成形品を得ることが可能である。
射出成形は、例えば、上記の方法で形成した肉厚のニッケル電鋳金型を常法に基づいて射出成形金型として、常用の射出成形機を用いて成形することが出来る。その際に、溶融樹脂を金型内に注入する際に可動金型と固定金型を加圧したままにする射出成形法や、可動金型と固定金型を加圧せずにわずかな間隙を開いて溶融樹脂を注入した後に加圧する射出圧縮法が採用できる。この様な方法は特に肉厚の成型品、たとえば、ペーブメントマーカーなどを製造するのに適している。
さらに、例えば、上記方法で形成した厚さ約0.5mmの薄肉電鋳金型を、前記溶接法により接合してエンドレスベルト金型を作成し、このベルト金型を加熱ロールと冷却ロールとからなる1対のロール上に設置して回転させ、加熱ロール上にあるベルト金型に、溶融した合成樹脂をシート状の形状で供給し、1個以上のシリコーン製ロールで加圧成形を行った後、冷却ロール上でガラス転移点温度以下に冷却して、ベルト金型から引き剥がすことにより連続したシート状の製品を得ることが可能である。
次に本発明の第1の形態のキューブコーナー再帰反射物品および再帰反射物体の好適な構造の一態様について、その断面図である図15を参照しながら説明する。
図15において、4は本発明による三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対(R1、R2)が最密充填状に配置された反射素子層、3は反射素子を保持する保持体層であり、11は光の入射方向である。反射素子層(4)および保持体層(3)は一体(5)であるのが普通であるが、別々の層を積層しても構わない。本発明における再帰反射シートおよび再帰反射物体の使用目的、使用環境に応じて表面保護層(1)、観測者に情報を伝達したり、シートの着色のための印刷層(2)、反射素子層の裏面に水分が侵入するのを防止するための封入密封構造を達成するための結合材層(7)、結合材層(7)を支持する支持体層(8)、および、該再帰反射シートおよび再帰反射物体を他の構造体に貼付するために用いる接着剤層(9)と剥離材層(10)とを設けることができる。
印刷層(2)は通常、表面保護層(1)と保持体層(3)の間、あるいは、表面保護層(1)の上や反射素子(4)の反射側面上に設置することが出来、通常グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、熱転写印刷、デジタルレーザー印刷、およびインクジェット印刷などの手段により設置可能である。
上記反射素子層(4)および保持体層(3)を構成する材料としては本発明の一つの目的である柔軟性を満足するものであれば特に限定されるものではないが、光学的に透明性で均一性のあるものが好ましい。本発明において使用し得る材料の例としては、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂およびウレタン樹脂などを例示できる。また、耐候性を向上する目的で紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤などをそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。さらに、着色剤としての各種の有機顔料、無機顔料、蛍光顔料および染料、蛍光染料などを含有させることが出来る。
表面保護層(1)には再帰反射素子層(4)に用いたのと同じ樹脂を用いることが出来るが耐候性を向上する目的で紫外線吸収剤、光安定剤および酸化防止剤などをそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。さらに、着色剤としての各種の有機顔料、無機顔料、蛍光顔料および染料、蛍光染料などを含有させることが出来る。耐久性の観点から特に、(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂および塩化ビニール樹脂が好ましい。
本発明における再帰反射物品の反射素子層(4)は内部全反射条件を満足する臨界角度を大きくする目的で複合キューブコーナー再帰反射素子背面に空気層(6)を設置するのが一般的である。使用条件下において水分の侵入による臨界角の低下および金属層の腐食などの不具合を防止するために反射素子層(4)と支持体層(8)とは結合剤層(7)によって密封封入されるのが好ましい。
この密封封入の方法としては米国特許第3、190、178号、第4、025、159号、日本公開実用新案昭和50−28669号等に示されている方法が採用できる。結合剤層(7)に用いる樹脂としては(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などがあげられ、接合の方法としては公知の熱融着性樹脂接合法、熱硬化性樹脂接合法、紫外線硬化性樹脂接合法、電子線硬化性樹脂接合法などが適宜採用可能である。
本発明に用いる結合剤層(7)は支持体層(8)の全面にわたって塗布しうるし、再帰反射素子層との接合部分に印刷法などの方法により選択的に設置することも可能である。
支持体層(8)を構成する材料の例としては再帰反射素子層を構成する樹脂や一般のフィルム成形可能な樹脂、繊維、布、ステンレスやアルミニウムなどの金属箔または板をそれぞれ単独または複合して用いることが出来る。
本発明による再帰反射物体を金属板、木板、ガラス板、プラスチック板などに貼付するために用いる接着剤層(9)および該接着剤のための剥離材層(10)は、適宜、公知のものを選択することができる。接着剤としては感圧型接着剤、感熱型接着剤、架橋型接着剤などを適宜選択できる。感圧接着剤としてはブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノニルアクリレートなどアクリル酸エステルをアクリル酸、酢酸ビニールなどと共重合して得られるポリアクリル酸エステル粘着剤やシリコーン樹脂系粘着剤、ゴム系粘着剤などを用いる事ができる。感熱型接着剤としてはアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系樹脂などを用いる事ができる。
次に、本発明の第1の形態による再帰反射物体の他の好適な構造の一態様について、その断面図である図16を参照しながら説明する。
図16において、反射素子(4)の素子の反射側面には金属の鏡面反射層(12)が設置されており、さらに、接着剤層と剥離剤層とが鏡面反射層(12)に直接接触されて積層されている。この態様におけるキューブコーナー再帰反射物品および再帰反射物体は鏡面反射原理で再帰反射するために空気層を必要としないために結合剤層と支持体層を必要としない。また、本発明における反射素子(4)の素子の表面に設置された金属の鏡面反射層(12)は素子表面の全域を覆われていてもよく、あるいは、部分的に覆われていてもよい。
本発明の三角錐キューブコーナー再帰反射物品および再帰反射物体は、反射素子(4)の表面上に、真空蒸着、化学メッキ、スパッタリングなどの手段を用いて、アルミニウム、銅、銀、ニッケルなどの金属からなる鏡面反射層(12)を設けることができる。鏡面反射層(12)を設ける方法のうち、アルミニウムを用いた真空蒸着法が、蒸着温度を低くすることができるため、蒸着工程における再帰反射素子の熱変形を最小に抑えることができ、また得られる鏡面反射層(12)の色調も最も明るくなるので好ましい。
上記アルミニウム鏡面反射層(12)の連続蒸着処理装置は、真空度が7〜9×10−4mmHg程度に維持できる真空容器、その中に設置された基体シートおよびその光入射側表面上に積層された表面保護層の2層からなるプリズム原反シートを繰り出す巻出装置、蒸着処理されたプリズム原反シートを巻き取る巻取装置、並びに、それらの間にあって、黒鉛坩堝中で電熱ヒーターを用いてアルミニウムを溶融させることが可能な加熱装置よりなっている。黒鉛坩堝中には純度が99.99重量%以上の純アルミニウムペレットが投入され、例えば、交流電圧350〜360V、電流が115〜120A、処理速度が30〜70m/分の条件で溶融され、蒸気化されたアルミニウム原子によって再帰反射素子の表面に鏡面反射層(12)を例えば0.08〜1.0μmの厚さで蒸着処理することにより設けることができる。
(第2の形態)
以下に、本発明の第2の形態における再帰反射物品を形成する方法に関して図を引用しながらさらに詳細に説明を加える。
図17には本発明の第2の形態における、いずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品を形成するのに用いたV字状溝を形成する方法が示されている。
図17(a)には図7(a)に示されるような左右対称の状態(GL=GR)でV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線の軌跡を持つために、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該V字状溝内で一定の角度であっても、反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝が示されている。この様なV字状溝の具体的な加工方法としては図1に示されるMx軸およびMy軸にそって加工工具を移動させることにより直線だけではなく任意の軌跡を描いてV字状の溝が形成される。これによって本発明による底辺が直線でない非直線底辺を連続的にあるいは反復的に変化させることにより達成される。
図17(b)には図7(b)に示されるような左右非対称の状態でV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線の軌跡を持つために、片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、またはGRz)が該V字状溝内で一定角度であっても、該反射側面が曲面および/または複平面を形成するようなV字状溝が示されている。この様な溝の具体的な加工方法としては図3(d)に示されるような方法で、V字状溝を加工する際に加工工具を傾斜させることにより工具投影形状を非対称にすることにより達成される。
図17(a)または図17(b)の非直線底辺であるV字状溝を形成する際に、図7(c)に示されるような断面が曲線の形状を持った加工工具を用いたV字状溝の形成も可能である。さらに、図3(c)に示されるようにMc軸に沿った回転により、V字状の溝の形成中に加工工具をわずかに左右に旋回させて投影形状を変化させV字状溝の角度を連続的に変化させる事ができる。それによって形成されたV字状溝の断面形状は一定の片側溝角を有しない。
上記の方法による、いずれかの方向のV字状溝を構成する底辺が直線状の軌跡をなさない非直線底辺であり、該V字状溝により形成される反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対の一例を図18を用いながら説明する。
図18(a)は本発明による再帰反射素子対の平面図を示している。二つの素子はx方向の非直線底辺(A−O’−B)を共有する形で反射側面(A−O’−B−H1、A−O’−B−H2)が互いに対峙するようにしている。二つの素子の底面(A−B−C1、A−B−C2)は共通平面(S−S’)上にある。底辺(A−O’−B)は曲線状の非直線底辺であり、該非直線底辺の両端を結んだ両端直線(A−B)からの該非直線底辺(A−O’−B)への垂直線(O−O’)と該非直線底辺との交点(O’)と両端直線との最大距離で規定される非直線因子(fx)は、両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lとなるように形成される事が好ましい。
また、図18(b)には図18(a)に示されている再帰反射素子対の切断線D−D’によって切取った断面形状(O’−C1−H1、O’−C2−H2)が示されている。x方向のV字状溝の断面はH1−O’−H2として示されており、断面形状は左右対称形のV字形状であり、その片側溝角は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度と同じ角度で作られている。
さらに、該非直線底辺(A−O’−B)は両端直線(A−B)に対して、非直線因子(fx)だけ偏った位置で左右対称なV字状溝が形成されているために、左右の素子は高さ(h1、h2)が異なるようにして形成されている。
以上のようにして形成した本発明による反射素子対は、対峙する反射側面(A−O’−B−H1、A−O’−B−H2)は平面を形成せず曲面となるがいずれの位置においても断面は直線状のV字状溝形状を示している。このような曲面をもった反射側面は入射した光線を光源に向かって平行に再帰反射せず、非直線因子(fx)と底面の形状に依存する様々な角度でわずかに広がりを持って再帰反射する。したがって、このような曲面をもった反射側面は様々な反射角度で反射するために、再帰反射した光線が均一な広がりを持つ発散パターンをもつ事ができて好ましい観測角特性を得ることができる。
さらに、断面図18(b)には擬光学軸(t1、t2)が示されているが本発明において反射側面の一部は平面形状を有していないために、ここに示される擬光学軸は両端直線を底面として持つ平面形状を有する正規な反射側面によって形成されたキューブコーナー型再帰反射素子の光学軸と同じ角度と方向を持っていることを意味している。しかしながら、本発明における再帰反射素子の平面形状を有していない反射側面の平面からの偏差は非常にわずかであり、該反射素子の入射角特性は、対応する擬光学軸の傾きによって定められる。
図19は図18に示された本発明における三角錐型キューブコーナー再帰反射素子の斜視図を示している。二つの反射側面a面(A−C−H’)、b面(B−C−H’)は共通平面(S−S’)上にある三つの底辺(A−B、B−C、C−A)により定められる底面(A−B−C)上にあり、これらの二つの反射側面はいずれも平面であり互いに垂直になるように形成されている。さらに、素子を形成する残りの平面形状を有していない反射側面c面(A−O’−B−H’)の底辺も共通平面上にある。c面を形成する断面がV字状溝は、底辺A−Bの点O’での片側溝角(∠γO’H’)と任意の点L’での片側溝角(∠γL’K’)は底辺(A−O’−B)の全域にわたって等しくなるようにして形成されている。
図20には本発明による他の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対の平面図(a)および断面図(b)が示されている。本態様においては全ての底辺が非直線底辺を有しているために、三つの反射側面は平面を形成していない。図20(a)において、二つの素子はx方向の非直線底辺(A−O’−B)を共有する形で二つの反射側面(A−O’−B−H1、A−O’−B−H2)が互いに対峙するようにしている。また、二つの素子の底面(A−O’−B−C1、A−O’−B−C2)は共通平面(S−S’)上にある。底辺(A−O’−B)は曲線状の該非直線底辺を有しており、該非直線底辺の両端を結んだ両端直線(A−B)からの該非直線底辺(A−O’−B)への垂直線(O−O’)と該非直線底辺との交点(O’)と両端直線との最大距離で規定される非直線因子(fx)は、両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lとなるように形成されている。他の二つの底辺においても、両端直線との最大距離で規定される非直線因子(fy、およびfz)は同様に両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lとなるように形成されている。なお、fx、fy、およびfzは同じであっても異なっていてもよい。
また、図20(b)には図20(a)に示されている再帰反射素子対の切断線D−D’によって切取った断面形状(O’−C1−H1、O’−C2−H2)が示されている。x方向のV字状溝の断面はH1−O’−H2として示されており、断面形状は左右対称形の直線であり、その片側溝角は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度と同じ角度で作られている。yおよびz方向のV字状溝の断面形状においても断面形状は左右対称形の直線であり、その片側溝角は三つの反射側面が互いに垂直をなすような正規な角度と同じ角度で作られている。
図20(b)においては非直線底辺(A−O’−B)は両端直線(A−B)にたいして、fxだけ偏った位置で左右対称なV字状溝が形成されているために、左右の素子は高さ(h1、h2)が異なるようにして形成されている。しかしながら、採用する非直線因子(fx、fy、およびfz)の値によっては左右の素子の高さは同じになる場合もある。
図21には図18に示された三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が多数集まった再帰反射素子対群の平面図形が示されている。この素子対群はx方向、y方向、およびz方向の三つの方向からのV字状溝群(x’、x’、x’…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されている。なお、図面においてx’と記載されているのは底辺が直線でないV字状溝を形成したことを示している。本態様においてはx方向だけが平面形状を形成しておらず、y方向とz方向は平面状の反射側面を有している。
図22には図20に示された三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が多数集まった素子対群の平面図形が示されている。この再帰反射素子群はx方向、y方向、およびz方向の三つの方向からのV字状溝群(x’、x’、x’…、y’、y’、y’…、およびz’、z’、z’…)により形成されており、全ての方向のV字状溝は反射側面が平面形状を形成しないようにするために、底辺が直線でないようにして形成されている。
また、数種類の異なったfx値をもった底辺が直線でないV字状溝や底辺が直線のV字状溝を数種類くみあわせて繰り返しのパターンでx方向、y方向およびz方向のV字状溝を形成させてもよく、このような再帰反射素子は小さな観測角において大きな再帰反射性能を得ることができる。このように、様々な観測角特性を有した反射素子を一種類の加工工具を用いて作成できることが本発明による再帰反射物品の従来技術にない特徴である。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、非直線因子(fx、fy、またはfz)が、両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lであることが広範な観測角での再帰反射特性を均一なものとするうえで特に好ましい。
従来技術における類似の技術においては、一つの再帰反射素子に対して1通りの片側溝角あるいは頂角の偏差を与えることしかできないために、数種類の片側溝角の組み合わせを形成する必要があり非常に煩雑な加工方法を採用せざるを得なかった。
しかしながら、本発明における底辺が直線でないV字状溝をもち反射側面が曲面および/または複平面を形成するような反射素子を用いる方法においては、該反射側面の任意の反射点における法線に垂直な仮想的な接面と、隣接する反射側面となす頂角は理論的な90°という角度に対して連続的にわずかに変化させる事ができる。この理論的な90°という角度からの偏差を頂角偏差としたときに、一つの反射側面のなかで頂角偏差が0°である反射領域からfx値に基づいてた最大頂角偏差をもつ反射領域まで連続して存在しうるのである。
さらに、与えうる頂角偏差は非直線因子(fx、fy、またはfz)を調節することで簡単に得られるという利点がある。具体的には、一つの素子あるいは隣接したいくつかの素子にわたってfx値の変化パターンを変化させることにより、たとえばfx値の小さな素子の範囲を多くすることにより観測角の小さな部分の再帰反射性能を優先的に向上する事ができ、また、fx値の大きな素子の範囲を多くすれば観測角の大きな部分での再帰反射性能を改善する事ができる。
与えることのできるfx値は反射側面の両端直線の長さをLとしたときに0.0001L〜0.05Lとなるように形成されているが好ましい。fx値が0.0001L未満の場合は光の発散が過小となり観測角特性の改善が得られにくく、0.05Lを超える場合には光の発散が過剰となり正面方向の再帰反射特性が著しく低下する不具合がある。しかしながら、本発明による再帰反射光の発散の方法においては、従来のような単一の頂角偏差を与えた場合のように再帰反射した光束が複数の反射光束に分裂せず、一つの反射光束として均一な分布を持つ再帰反射パターンが得られる。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群の、非直線底辺の軌跡は様々な形状、例えば、曲線、矩形線、折線などの形状を有する事ができるが、特に非直線底辺の軌跡が円弧、三角関数(正弦曲線、余弦曲線、正切曲線)、逆三角関数、楕円関数、双曲線関数およびそれら関数を組み合わせた関数から選ばれる曲線で表されることを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群であることが、素子の様々な方位からの入射光に対して均一な再帰反射パターンを与える事ができて好ましい。さらに、このような非直線の底辺を持つ反射側面は平面を形成せず、2次または3次曲面およびこれらの曲面の組み合わせからなる多面反射側面、あるいは複数の平面の組み合わせからなる多面反射側面を形成している。
図23(a)、(b)、および(c)には、本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対に採用できる非直線底辺の軌跡の形状の例が示されている。
図23(a)には底面三角形(A−O−B−C1)の頂点AとBとを通り、非直線因子(fx)によって隔てられた点O’を通過するようにして形成された曲線状の非直線底辺(A−O’−B)が示されている。この曲線は円弧、三角関数(正弦曲線、余弦曲線、正切曲線)、逆三角関数、楕円関数、双曲線関数などの曲線を表す関数によって定義できる。これによって、右側の素子の反射側面(A−O’−B−H1)は湾曲した曲面を形成している。
図23(b)には底面三角形(A−O−B−C1)の頂点AとBとを通り、非直線因子(fx)によって隔てられた点O’を通過するようにして形成された屈曲線状の非直線底辺(A−O’−B)が示されている。この屈曲線状の底辺は点O’において折れ曲がっており、これによって、右側の素子の反射側面(A−O’−B−H1)は二つの副反射側面(A−O’−H1、およびB−O’−H1)に分割されている。
図23(c)には底面三角形(A−O−B−C1)の頂点AとBとを通り、非直線因子(fx)によって隔てられた点O’および屈曲点L0およびM0を通過するようにして形成された屈曲線状の非直線底辺(A−L0−O’−M0−B)が示されている。この屈曲線状の底辺は点O’、L0、およびM0において折れ曲がっており、これによって、右側の素子の反射側面(A−O’−B−H1)は四つの副反射側面(A−L0−L1、L0−L1−H1−0、H1−M1−M0−0、およびM0−M1−B)に分割されている。これらの副反射側面のうち二つの副反射側面(A−L0−L1、およびM0−M1−B)は正規な反射側面であり、他の二つの副反射側面(L0−L1−H1−0、およびH1−M1−M0−0)は正規な反射側面を形成していない。
また、一定方向の方位に対する観測角特性を選択的に改善することも可能である。そのためには一定方向のV字状溝に対して選択的に片側溝角に対して偏差を与えることにより達成される。
さらに、一つのV字状溝において片側溝角が一定でないような反射素子も採用可能である。具体的には本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子の両端直線と垂直に交わる平面が該反射側面と交差して定められる線分と、共通平面(S−S’)に垂直で該両端直線(図18および図20におけるA−B)を含むV溝垂直平面(Ux、Uy、またはUz)とがなす片側溝角(GLx、GRx、GLy、GRy、GLz、GRz)がキューブコーナーを形成する正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさず、反射側面が曲面および/または複平面を形成する反射素子対であることも観測角特性を向上させるために好ましい。このような反射素子においては、底面が直線をなさず、さらに、片側溝角が底辺の両端にわたって一定の角度を形成していない。
このような片側溝角は、正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさないように形成されているが好ましい。最大偏差が0.0001°未満の場合は再帰反射光の発散が過小となり観測角特性の改善が得られにくく、0.1°を超える場合には再帰反射光の発散が過剰となり正面方向の再帰反射特性が著しく低下する不具合がある。
本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性に加えて入射角特性の両方の角度特性を改善するために、反射素子を構成する三つの反射側面の底辺の両端を結んだ両端直線により形作られる底面三角形の一つの内角が35〜75°、好ましくは45〜70°である三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群を用いる事が好ましい。
このような正三角形でない形状の底面三角形をもつ再帰反射素子の採用は、実質的に該素子の持つ擬光学軸を傾斜することと同様な効果をもつ。このような底面三角形の内角の変化は、底面が二等辺三角形の再帰反射素子を例として説明すると、辺の長さが等しい辺によってはさまれる角(∠ACB)が35〜75°にわたって変化すると対応する擬光学軸の傾きは約−15〜+18°にわたって変化し、他の角(∠ABC、∠BAC)が35〜75°にわたって変化すると対応する擬光学軸の傾きは約−30〜+18°にわたる変化に相当する。
さらに、本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性と入射角特性との両方の角度特性を一層改善するために、三方向(x、y、z方向)からのV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、三つの方向のV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)の各底辺群が形成するそれぞれの平面(Sx、Sy、またはSz)の少なくとも一つの平面の深さが他の平面の深さと異なることがより好ましい。一般に擬光学軸を傾斜させたときに得られる反射素子三つの反射側面の面積は等しくなくなるために再帰反射の効率が低下するという不具合を有する。このようなV字状溝群の深さが異なるような反射素子は、このような不具合を改善し、三つの反射側面の面積の違いを少なくすることによって再帰反射の効率を向上させるとともに、本発明による反射素子の特徴である反射側面が平面を持たないために観測角特性の改善も図れる。
このような、少なくとも一つの方向のV字状溝群の底辺群が形成する平面(Sx、Sy、Sz)の深さが他の面の深さと異なるような再帰反射素子に関しての具体的な態様とその効果に関する記載に関しては、本発明の発明者らによる国際公開WO98/18028号、国際公開WO00/52503号及び国際公開WO99/54760号に詳しく記載されているのでここではそれら発明の特許番号の記載をもって説明に代える。
なお、好ましい深さの差異は、上記式2と式3で表される範囲が好ましい。
さらにまた、本発明における再帰反射物品を構成する再帰反射素子対群は、観測角特性と入射角特性との両方の角度特性を一層改善するために、三方向(x、y、z方向)から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、x方向のV字状の溝がy方向とz方向のV字状の溝の交点(A、B)を通過せず、交点Aと交点Bを結ぶ両端直線からオフセット(Δx)を持った位置に形成されており、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が非対称の対であることを特徴とする再帰反射物品を用いることも出来る。
このような、三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が非対称の対であるような再帰反射素子に関しての具体的な態様とその効果に関する記載に関しては、本発明の発明者らによる特開2001−264525号及びその対応である米国特許第6、318、866号に詳しく記載されているのでここではその発明の特許番号の記載をもって説明に代える。
このような非対称の対からなる再帰反射素子対における好ましいオフセット(△x)の範囲としては、上記式4の範囲である事が好ましい。
本発明第2の形態による三角錐型キューブコーナー再帰反射素子群からなる樹脂成形品製造用の金型の作成に用いる母型の作成に好適に用いることのできる基材としては、JIS−Z2244に規定されたビッカース硬さが350以上、特に380以上の金属材料が好ましく、具体的には、アモルファス銅、無電解銅、電析ニッケル、アルミニウム等を挙げることができ、合金系材料としては、例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−錫−亜鉛合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−亜鉛合金、アルミニウム合金等を挙げることができる。
本発明の第2の形態の基材、三角錐型キューブコーナー再帰反射素子母型、電鋳金型、断面形状等は、本発明の第1の形態において説明したものと同様である。
[実施例1]
表1の実施例1として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー素子の,三方向のV字状溝の両側の片側溝角が最大0.01°だけ正規な片側溝角よりも小さくなるように図12で示されたような連続的な変化をもつ反射側面をもつ本発明による再帰反射物品の形状を有する金型を作成した。この際に,図12の点Aおよび点Oにおける切削工具の旋回角(η)は0であり,点Aと点Oの中点における切削工具の旋回角(η)は1.55°であり,その間の旋回角は連続的に変化させた。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が0°であった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品1として作成した。
[実施例2]
表1の実施例2として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー素子の,三方向のV字状溝の両側の片側溝角が最大0.01°だけ正規な片側溝角よりも小さくなるように図12で示されたような連続的な変化をもつ反射側面をもつ本発明による再帰反射物品の形状を有する金型を実施例1と同じ方法で作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が+7°であった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品2として作成した。
[実施例3]
表1の実施例3として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー素子の,三方向のV字状溝の両側の片側溝角が最大0.01°だけ正規な片側溝角よりも小さくなるように図12で示されたような連続的な変化をもつ反射側面をもつ本発明による再帰反射物品の形状を有する金型を実施例1と同じ方法で作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が−7°であった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品3として作成した。
[実施例4]
表1の実施例4として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー素子の,三方向のV字状溝の両側の片側溝角が最大0.01°だけ正規な片側溝角よりも小さくなるように図12で示されたような連続的な変化をもつ反射側面をもつ本発明による再帰反射物品の形状を有する金型を実施例1と同じ方法で作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が+7°であり,x方向のV字状溝とyおよびz方向のV字状溝との深さの違いが10μmであった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品4として作成した。
[実施例5]
表1の実施例5として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー素子の,三方向のV字状溝の両側の片側溝角が最大0.01°だけ正規な片側溝角よりも小さくなるように図12で示されたような連続的な変化をもつ反射側面をもつ本発明による再帰反射物品の形状を有する金型を実施例1と同じ方法で作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が+1°であり,x方向のV字状溝とyおよびz方向のV字状溝との深さの違いが5μmであり,x方向のV字状溝のオフセット(△x)が10μmであった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品5として作成した。
<比較例1>
表1の比較例1として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群よりなる反射物品の形状を有する金型を作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm,擬光学軸の傾斜角度が0°であった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に,電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し,厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって比較品1として作成した。
<再帰反射係数>
実施例をはじめ本明細書に記載の再帰反射係数は以下で述べる方法で測定されたものである。再帰反射係数測定器として、ガンマーサイエンティフィック社製「モデル920」を用い100mm×100mmの再帰反射物品の再帰反射係数をASTM E810−91に準じて、観測角0.2°、1.0°、入射角5°、10°、30°の角度条件で、適宜の5個所について測定し、その平均値をもって再帰反射物品の再帰反射係数とした。
<測定結果>
上記の発明品1〜5および比較品1の再帰反射係数を測定し以下の表2の値を得た。
いずれの発明品も比較品1に比べて優れた再帰反射性能,特に,優れた観測角特性を有していた。
[実施例6]
本発明を説明する図20および図22に示されるような形状を持つ三角錐型キューブコーナー再帰反射素子であって、擬光学軸の傾斜角度が0°であり、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されており、それらの三方向のV字状溝群の間隔(V溝ピッチ)がいずれも212.13μmで、両側溝角(片側溝角の和)がいずれも70.53°で一定しており、V字状溝の深さは100μmで一定で、底面三角形の内角はいずれも60°であるような再帰反射素子を作成した。
その際に、V字状溝の溝は図22に示されるようなx’、y’、およびz’で示される曲線形状をもっており、その曲線軌跡は図18における反射素子の底面の頂点(A、B、およびC1、C2)を通過する正弦曲線によって決定される。図20の線分A−Bで示されるx方向の非直線因子(fx)は0.5μmであり、yおよびz方向の非直線因子(fy、およびfz)も同じく0.5μmとした。これらの加工パラメーターと素子形状を表すパラメータとをまとめて表1に示した。
この様な形状の金型をシェーパー法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品6として作成した。
[実施例7]
本発明を説明する図18および図21に示されるような形状を持つ三角錐型キューブコーナー再帰反射素子であって、擬光学軸の傾斜角度が+7°であり、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されており、それらの三方向のV字状溝群の間隔(V溝ピッチ)がx方向が239.76μmでyおよびz方向が205.23μmで、両側溝角(片側溝角の和)がいずれもx方向が56.53°でyおよびz方向が77.04°で一定しており、V字状溝の深さは100μmで一定で、底面三角形の内角はy−z溝をはさむ内角が50.68°でz−x溝およびx−y溝をはさむ内角が64.66°であるような再帰反射素子を作成した。
その際に、V字状溝の溝は図21に示されるようなx’で示される曲線形状をもっており、その曲線軌跡は図18に示される反射素子の底面の頂点Aおよび頂点Bを通過する正弦曲線によって決定される。図18の線分A−Bで示されるx方向の非直線因子(fx)は0.5μmとした。これらの加工パラメーターと素子形状を表すパラメータとをまとめて表3に示した。
この様な形状の金型をシェーパー法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品7として作成した。
[実施例8]
本発明を説明する図18および図21に示されるような形状を持つ三角錐型キューブコーナー再帰反射素子であって、擬光学軸の傾斜角度が+7°であり、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されており、それらの三方向のV字状溝群の間隔(V溝ピッチ)がx方向が239.76μmでyおよびz方向が205.23μmで、両側溝角(片側溝角の和)がいずれもx方向が56.53°でyおよびz方向が77.04°で一定しており、V字状溝の深さは100μmで一定で、底面三角形の内角はy−z溝をはさむ内角が50.68°でz−x溝およびx−y溝をはさむ内角が64.66°であるような再帰反射素子を作成した。
その際に、V字状溝の溝は図21に示されるようなx’、y’およびz’で示される曲線形状をもっており、その曲線軌跡は図18に示される反射素子の底面の頂点(A、B、およびC1、C2)を通過する正弦曲線によって決定される。図18の線分A−Bで示されるx方向の非直線因子(fx)は0.5μmとし、yおよびz方向の非直線因子(fy、およびfz)も同じく0.5μmとした。これらの加工パラメーターと素子形状を表すパラメータとをまとめて表2に示した。
この様な形状の金型をシェーパー法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品8として作成した。
[実施例9]
実施例8においてx方向のV字状溝群(x’)の溝の深さを110μmとした以外は実施例8と同じ方法で本発明における再帰反射素子を作成した。この様な形状の金型をシェーパー法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品9として作成した。
[実施例10]
本発明を説明する図18および図21に示されるような形状を持つ三角錐型キューブコーナー再帰反射素子であって、擬光学軸の傾斜角度が−7°であり、三つの方向から等間隔に配置されたV字状溝群(x、x、x…、y、y、y…、およびz、z、z…)により形成されており、それらの三方向のV字状溝群の間隔(V溝ピッチ)がx方向が200.92μmでyおよびz方向が224.25μmで、両側溝角(片側溝角の和)がいずれもx方向が84.53°でyおよびz方向が63.11°で一定しており、V字状溝の深さは100μmで一定で、底面三角形の内角はy−z溝をはさむ内角が67.85°でz−x溝およびx−y溝をはさむ内角が56.08°であるような再帰反射素子を作成した。
その際に、V字状溝の溝は図21に示されるようなx’、y’およびz’で示される曲線形状をもっており、その曲線軌跡は図18に示される反射素子の底面の頂点(A、B、およびC1、C2)を通過する正弦曲線によって決定される。図18の線分A−Bで示されるx方向の非直線因子(fx)は0.5μmとし、yおよびz方向の非直線因子(fy、およびfz)も同じく0.5μmとした。これらの加工パラメーターと素子形状を表すパラメータとをまとめて表3に示した。
この様な形状の金型をシェーパー法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって本発明品10として作成した。
<比較例2>
表3の比較例2として示されたような形状を有する従来公知の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群よりなる反射物品の形状を有する金型を作成した。作成した素子の形状は高さ(h)が100μm、光学軸の傾斜角度が0°であった。この様な形状の金型をフライカット法によってニッケル製の金型母材に形成した後に、電鋳法を用いて凹形状の成形金型を作成し、厚さ200μmのポリカーボネートシート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン H3000」)を用いて圧縮成形によって比較品2として作成した。
<測定結果>
上記の発明品6〜10および比較品2の再帰反射係数を測定し以下の表2の値を得た。
いずれの発明品も比較品2に比べて優れた再帰反射性能、特に、優れた観測角特性を有していた。
Claims (6)
- x方向,y方向,およびz方向の三つの方向からの平行V字状溝群(x,x,x…,y,y,y…,およびz,z,z…)により形成され、該平行V字状溝群の底辺群により定められる共通平面(S−S’)上に設置された多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、
共通平面(S−S’)および、該共通平面(S−S’)に垂直でV字状溝の底辺を含むV溝垂直平面(Svx,Svy,またはSvz)とに垂直な面と、該V字状溝の底辺を含む反射側面(a1,b1,c1,a2,b2,またはc2)とが交差してなる線分と、V溝垂直平面とがなす片側溝角(GLx,GRx,GLy,GRy,GLz,またはGRz)が該反射側面内で一定の角度をなさず,該反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品。 - 該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対を構成する少なくとも一つの反射側面において、該片側溝角(GLx,GRx,GLy,GRy,GLz,GRz)がキューブコーナーを形成する正規な片側溝角から0.0001〜0.1°の最大偏差をもって一定の角度をなさず,反射側面が曲面および/または複平面を形成することを特徴とする多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される請求項1に記載の再帰反射物品。
- 三方向(x,y,z方向)からの平行V字状溝群(x,x,x…,y,y,y…,およびz,z,z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該反射素子を構成する三つの底面により形作られる底面三角形の一つの内角が35〜75°であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1に記載の再帰反射物品。
- 三方向(x,y,z方向)からの平行V字状溝群(x,x,x…,y,y,y…,およびz,z,z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該反射素子を構成する三つの底面により形作られる底面三角形の一つの内角が45〜70°であることを特徴とする請求項3に記載の再帰反射物品。
- 三方向(x,y,z方向)からの平行V字状溝群(x,x,x…,y,y,y…,およびz,z,z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該反射素子を構成する少なくとも一つの方向のV字状溝の底辺群が形成する平面(Sx,Sy,Sz)の深さが他の面の深さと異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の再帰反射物品。
- 三方向(x,y,z方向)からの平行V字状溝群(x,x,x…,y,y,y…,およびz,z,z…)により形成され多数の三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対群により形成される再帰反射物品において、該反射素子を構成するx方向のV字状の溝がy方向とz方向のV字状の溝の交点(A,B)を通過せず、交点Aと交点Bを結ぶ直線からオフセット(Δx)を持った位置に形成されており、該三角錐型キューブコーナー再帰反射素子対が非対称の対であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の再帰反射物品。
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