JP4723169B2 - 紫外線硬化性ウレタン外被層を有する薄くて柔軟性及び適応性に富んだシート状のエレクトロルミネッセンス構造体 - Google Patents

紫外線硬化性ウレタン外被層を有する薄くて柔軟性及び適応性に富んだシート状のエレクトロルミネッセンス構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【関連出願】
本願は、2000年10月11日付け米国仮出願第60/239,507号の優先権を主張する。
【0002】
本願はさらに、1998年10月15日に出願され、現在米国特許第6,261,633号が付与された、本出願人の米国特許出願第09/173,521号(発明の名称:TRANSLUCENTLAYER INCLUDINGMETAL/METAL OXIDE DOPANT SUSPENDED INGEL RESON)と関連し、この出願を本願の一部として引用する。
【0003】
本願はまた、1998年10月15日に出願され、現在米国特許第6,270,834号が付与された、本出願人の米国特許出願第09/173,404号(発明の名称:METHODFOR CONSTRUCTIONOF ELESTOMERICELECTROLUMINUESCENT LAMP)と関連し、この出願を本願の一部として引用する。
【0004】
【発明の技術分野】
本発明は、一般的に、エレクトロルミネッセンス装置に関し、さらに詳細には、エレクトロルミネッセンス装置が紫外線硬化ウレタンの外被層内に実装された薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンス構造体に関する。
【0005】
【発明の背景】
関連の米国特許出願第09/173,521号に記載された発明の実施例は、一体的なキャリアの層がモノリシック構造を形成するエレクトロルミネッセンス(EL)装置に係るものである。この装置の好ましい一体的なキャリアはビニル樹脂である。このモノリシックなエレクトロルミネッセンス装置の1つの利点は、その層をスクリーン印刷法または他の適当な方法により広い範囲の基体上にインキとして展開できることである。特許出願第09/173,521号の記載を本願の一部として引用する。
【0006】
このビニル系モノリシック構造は、関連の米国特許出願第09/173,404号に記載された薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンス装置の実施例に開示されている。詳述すると、この特許出願第09/173,404号は、2つの薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のウレタン外被層の間に展開されるエレクトロルミネッセンス積層体としてのビニル系モノリシック構造体の使用を教示している。この特許出願第09/173,404号の記載を本願の一部として引用する。
【0007】
米国特許出願第09/173,521号及び第09/173,404号に記載されたエレクトロルミネッセンス装置は使用可能であることが判明しているが、モノリシック構造のさらに別の利点は、米国特許出願第09/173,404号のエレクトロルミネッセンス積層体の各層がウレタンキャリア中において浮遊状態であれば得られることがわかるであろう。このようにして、米国特許出願第09/173,404号に記載された薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンス装置は、周囲のウレタン外被層とモノリシックな一体性を有するエレクトロルミネッセンス積層体中の層を含んでいる。同日に出願され現在係属中の米国特許出願(発明の名称:MEMBRANOUSMONOLITHIC EL SYSTEM WITH URETHANE CARRIER)は、実施例として、モノリシック相が硬化時に一体的なウレタンキャリアに変換するよう触媒を添加したゲル状の一体的なビニル樹脂キャリアを用いて展開された一連の接触エレクトロルミネッセンス層より成る薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のモノリシックウレタンエレクトロルミネッセンス構造体を提供することによってこの要望に対処する。米国特許出願(発明の名称:MEMBRANOUSMONOLITHIC EL SYSTEM WITH URETHANE CARRIER)の記載を本願の一部として引用する。
【0008】
しかしながら、エレクトロルミネッセンス装置の層が硬化後にビニルになるかウレタン(もしくは他の任意のポリマー)になるかとは無関係に、周囲の薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の外被層は現在に至るまで熱により硬化されている。通常、米国特許出願第09/173,404号に記載された薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のランプでは、展開したウレタン外被層につき約105℃で約35分の熱硬化が必要である。外被層の厚さが展開した幾つかの個々のウレタン層より成る構造体では、硬化相は35分の硬化を多数回行う必要があるため、その構造体の製造サイクル時間が有意に増加する。
【0009】
さらに、熱硬化は個々に展開した層の高さを収縮させることが判明している。従って、外被層全体の高さを得るためにはさらに多くの層を展開する必要があるが、これは硬化のための製造サイクル時間をさらに増加させる。
【0010】
従って、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンス構造体の外被層の熱硬化を代替するものが当該技術分野において求められている。有利なことに、かかる代替策は硬化時サイクル時間を減少させるだけでなく、個々に展開される層の高さの収縮を最小限に抑える点で有利である。
【0011】
【発明の概要】
本発明によると、エレクトロルミネッセンス装置と、エレクトロルミネッセンス装置を包み込む周囲の紫外線硬化性外被層とより成り、紫外線硬化性外被層は硬化済み層の積層体であり、硬化済み層のうち選択された層は紫外線により硬化される紫外線硬化性ウレタンより成り、エレクトロルミネッセンス装置と外被層とは共に堅牢でメンブレイン特性を有するメンブレインエレクトロルミネッセンス構造体が提供される。紫外線(UV)によりメンブレインエレクトロルミネッセンス構造の外被層を硬化させることにより上述の問題に対処するものである。現在において好ましい実施例において、これらの外被層は、ウレタンアクリレート/アクリレートモノマーのような紫外線硬化性インキより成る。層状に展開され紫外線にさらされると、インキは数秒で硬化するが、その際、層の高さには目立ったほどの収縮は見られない。従来の熱硬化プロセスと比べて製造サイクル時間が有意に最適化される。そして、その結果得られる紫外線硬化メンブレインエレクトロルミネッセンス構造体は、米国特許出願第09/173,404号及び同日出願の特許出願に記載されたメンブレインエレクトロルミネッセンス構造体の全ての利点を有するものである。
【0012】
個々に展開する層の硬化サイクル時間が数分から数秒に短縮されるため、製造をバッチ硬化システムから連続硬化システムへ転換することが可能になる。本発明の好ましい実施例では、当該技術分野においてよく知られた紫外線硬化コンベヤーシステム上で硬化させてもよい。これは、現在の製造法で通常行われるオーブン内でのエレクトロルミネッセンス層の層毎のバッチ方式による熱硬化と著しく異なるものである。製造サイクル時間がさらに最適化される。各外被層が数分でなく数秒で硬化するため、硬化サイクル時間が短縮されるだけでなく、連続システムの使用による取扱い時間が最適化される。
【0013】
従って、本発明の技術的な利点は、本発明の薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の外被層のインキ硬化サイクル時間が劇的に減少することである。
【0014】
本発明の別の技術的な利点は、展開される層の高さの収縮が減少することである。その結果、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の外被層全体を所望の厚さにするために個々に展開される層を加える必要はほとんどない。
【0015】
本発明のさらに別の技術的な利点は、製造プロセスとして現在使用されているバッチ方式とは対照的な連続硬化法を使用できることである。
【0016】
以上において、以下の詳細な説明を理解しやすくするため本発明の特徴及び技術的利点を概略的に述べた。本発明の特許請求の範囲の主題を構成する本発明のさらに別の特徴及び利点について後述する。当業者は、本明細書に述べる発明思想及び特定の実施例を容易に利用して変形または設計することにより同一目的を達成する他の構造体を想到することができるであろう。当業者はまた、かかる等価的構成が特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱するものではないことを理解されたい。
【0017】
【好ましい実施例の詳細な説明】
図1は、本発明による薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の構造としてのエレクトロルミネッセンスランプの好ましい実施例を示す断面図である。図2は、図の斜視図である。図1及び2に示す全ての層は転写剥離紙102上に展開されることがわかる。好ましい実施例において、転写剥離紙102はMidlandPaper社により製造されるAquatron 剥離紙である。また、紙の代替物として、例えば、転写剥離フィルムまたはシリコン被覆ポリエステルシートを本発明に従って使用できることがわかるであろう。あるいは、エレクトロルミネッセンスランプを永続的な基体上に直接展開してもよい。
【0018】
図1及び2(及び後続の図面)に示す連続する全ての層は、当該技術分野において知られたスクリーン印刷プロセスにより展開すると有利である。しかしながら、再び、本発明は各層がスクリーン印刷だけにより適用される薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプに限定されず、本発明に従って他の層適用方法により薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプを構成できることもわかるであろう。
【0019】
以下において、図1及び2に示す第1の紫外線硬化外被層104について説明する。しかしながら、第1の紫外線硬化外被層104に関する以下の説明は、図1及び2に示す第2の紫外線硬化外被層114にも等しく当てはまり、それを説明するものであることがわかるであろう。
【0020】
第1の紫外線硬化外被層104は、転写剥離紙102の上に印刷される。第1の紫外線硬化外被層104を幾つかの中間層として印刷することにより所望の全を得るようにすると有利である。一連の中間層として第1の紫外線硬化外被層104を印刷すると、特定の層の染色または他の方法による着色が容易になり、エレクトロルミネッセンスランプの自然光での所望の外観が得られる。現在において好ましい実施例では、第1の紫外線硬化外被層104は、Nazdar651818PSのような紫外線硬化性ウレタンアクリレート/アクリレートモノマーである。これは、スクリーン印刷のための紫外線硬化性ウレタンインクである。この製品Nazdar651818PSは、紫外線にさらされると硬化及び橋かけを開始させる紫外線に敏感な触媒と予め混合された形で得られる。硬化すると、このポリマーは外被層としての所望の、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状特性を示し、エレクトロルミネッセンス構造体の他のコンポーネントと化学的に安定であり、展性及び延性に極めて富む。このポリマーはさらに、硬化するとモノリシックの最終的な厚さに到達するように多数の層として展開するのに好適である。このポリマーはまた、実質的に無色で、ほぼ透明であり、その層はさらに、染色または他の方法による着色処理(以下にさらに述べる)を受けるのに適しているため、自然光での外観が柔らかな光の下で作動時の光の外観を相補うように設計されたエレクトロルミネッセンス構体造を提供する。最後に、ウレタンであるこのポリマーは、触媒によりビニル層から変化したウレタン層が接触ウレタン外被層と組合されて薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のモノリシックウレタンエレクトロルミネッセンス構造体を形成する、米国特許出願に記載されたようなエレクトロルミネッセンス構造体との適合性を有する。
【0021】
しかしながら、本発明は、この製品Nazdar 651818PSによる実施に限定されず、ウレタン製品にも限定されないことがわかるであろう。任意の紫外線硬化性ポリマーを用いることにより、硬化したポリマーが所望の、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の外被特性を有し、隣接するエレクトロルミネッセンス層と化学的安定である限り、等価の作用効果を得るように本発明を実施することができる。
【0022】
Nazdar 651818PSのような紫外線硬化性ウレタンアクリレート/アクリレートモノマーの層として実現する場合、図1及び2に示す第1の紫外線硬化外被層104は、好ましくは、厚さが20乃至40ミクロンの範囲の一連の個々の層として展開される。50乃至100ミクロンの全厚は、ほとんどの用途において第1の紫外線硬化外被層104としては一般的に受け入れ可能である。
【0023】
個々の層は、スクリーン印刷または他の適当な技術により順次展開される。個々の層はそれぞれ、次の層を展開する前に紫外線により硬化される。硬化は、従来の紫外線硬化コンベヤーにより行い、それにより連続製造プロセスを実現するのが好ましい。紫外線硬化コンベヤーは、紫外線光源として従来の水銀蒸気ランプを使用する。
【0024】
層の所望の硬化を達成するように最適な紫外線照射時間及び強度を決定するためには、何らかの実験及び調整が必要であることは明らかである。紫外線光源の周波数及び強度、光源から硬化すべき層までの距離、硬化すべき層の厚さ及び使用する正確な紫外線硬化ポリマーのような変数は、最適の露光時間の決定を左右する。かかる実験は一般的であり、任意の紫外線硬化コンベヤープロセスにおいて予想可能であることが知られている。しかしながら、一例として、周波数が320−390nmで強度が約500−600mJ/cm2の紫外線を3秒間照射すると厚さ約20ミクロンの層が満足に硬化することが判明している。
【0025】
紫外線硬化速度を速めると、層の高さに目立った収縮を伴わずに個々の層が硬化することが理解されるであろう。
【0026】
図1及び2を再び参照して、第1の紫外線硬化外被層104は、境界105にエレクトロルミネッセンス装置の層106−112の端縁部が存在しないように転写剥離紙102の上に印刷される。これは、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のウレタンモノリシック構造体において第2の外被層114がエレクトロルミネッセンス装置を完全に密封し橋かけするように結合する領域を提供できるようにするためであり、この点については後で詳しく説明する。
【0027】
次に、エレクトロルミネッセンス装置を第1の紫外線硬化外被層104の上に印刷する。図1及び2からわかるように、エレクトロルミネッセンスランプは「下向き」に構成される。しかしながら、これは本発明を限定するものでなく、「上向き」に構成することも容易であろう。
【0028】
図1及び2のエレクトロルミネッセンス層106−112は、任意のエレクトロルミネッセンス装置として展開可能であり、この装置は第1及び第2の紫外線硬化外被層104、114と共に薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状の特性を有するエレクトロルミネッセンス構造を提供する。例えば、米国特許出願第09/173,521号及び第09/173,404号に記載されたようなエレクトロルミネッセンス装置は、第1及び第2の紫外線硬化外被層104、114と共に使用できる。あるいは、硬化時に層が触媒によりビニルからウレタンに変換したエレクトロルミネッセンス装置も、薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のモノリシックウレタンエレクトロルミネッセンス構造体を形成するために第1及び第2の紫外線硬化外被層104、114と共に使用することができる。
【0029】
かかる薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のモノリシックウレタンエレクトロルミネッセンス構造体において、半透明電極層106、発光層108、誘電体層110及び後方電極層112を構成する層のうちの1またはそれ以上、好ましくは全ての層を、ゲル状の一体的なビニル樹脂キャリアに最初に浮遊する活性成分(以下、ドーパントと呼ぶ)として展開される。好ましい実施例は全ての層が浮遊状態にある一体的なゲル状ビニルキャリアの使用を開示しているが、本発明の別の実施例では全部でない隣接層が浮遊状態にある。
【0030】
最初にゲル状ビニル樹脂中にドーパントを浮遊状態で展開すると、同じ浮遊液を貯蔵、混合、取り扱い、硬化且つ清浄するだけでなく多量のキャリア購入できるため製造コストが減少することがわかる。
【0031】
研究によると、最初にゲル状キャリアを使用するとさらに別の利点が得られることが判明している。ゲルの粘性及び実装性により、ゲルに混合される粒状ドーパントの浮遊性が改善される。この浮遊性の改善により、ドーパントを浮遊状態で保持するための化合物の攪拌を頻繁に行う必要がない。経験によると、攪拌を頻繁に行わないため、製造プロセス間における化合物の効能の低下が少ない。
【0032】
さらに、ゲル状ビニル樹脂は、従来方法において現在使用する液体系セルロース、アクリル及びポリエステル系樹脂と比べて揮発性及び毒性が本質的に低い。本発明の好ましい実施例において一体的なキャリアとして使用するゲル状ビニルは、Acheson社から市販されるSS24865のような電子等級のビニルインキである。かかるゲル状の電子等級ビニルインキは、製造プロセスの間中、粒状ドーパントを実質的に浮遊状態に維持することが判明している。さらに、かかる電子等級ビニルインキは当該技術で標準のスクリーン印刷技術を用いる多層適用法にとり理想的である。
【0033】
モノリシックなウレタンの実施例では、ゲル状ビニル樹脂キャリアに特定の活性成分をドーピングしてインキを形成した後、インキのゲル状ビニル樹脂含有量に依存する量の触媒をそのインキに混合する。この触媒は、硬化時にビニルキャリアのウレタンへの変換を促進する。従って、図1及び図2を再び参照すると、エレクトロルミネッセンス層106、108、110、112が硬化すると、隣接するウレタン層はそれ自身との間だけでなく周囲の外被層104、114との間に橋かけが生じ、ウレタンである最終の積層体のモノリシック性が増加する。米国特許出願第09/173,404号に記載されるように、ウレタンである最終の積層体も薄くて適応性を有するシート状の性質と共に高い柔軟性を備えている。
【0034】
本願の実施例に用いる好ましい触媒は、ポリマーの脂肪族ポリイソシアナートの高分子ヘキサメチレンジイソシアナートとしても知られている1、6ヘキサメチレンジイソシアナート系ポリイソシアナートである。本願明細書は、以後、以下の本発明の好ましい実施例における触媒としての例示的な使用を説明する際にこのポリマーを「PHD」と呼ぶ。PHDは、製品名DesmodurN−100、製品コードD−113でBayer Corporationから市販されている。しかしながら、本発明は触媒としてのPHDの使用に限定されず、ビニルをウレタンに変換するPHDと同じ触媒特性を有する任意の触媒を使用できることがわかるであろう。
【0035】
再び、図1及び2を参照して、第1の外被層104の上に最初に半透明電極層106を印刷する。半透明電極106は、一体的なキャリアに粒状で半透明な適当な電気導体をドーピングしたものである。本発明の好ましい実施例において、このドーパントは粉末状の酸化インジウム−スズ(ITO)である。
【0036】
半透明電極層106の設計は、幾つかの変数について行う必要がある。半透明電極層106の性能は、使用するITOの濃度だけでなくITOドーパント中のスズに対する酸化インジウムの比率に影響されることがわかるであろう。半透明電極層106に使用するITOの正確な濃度を決定するにあたり、エレクトロルミネッセンスランプのサイズ及び利用可能な電力のようなファクターを考慮しなければならない。混合物中のITOが多ければ多いほど半透明電極層106の導電性が高くなる。しかしながら、これには半透明電極層106の半透明性が低くなるという犠牲が伴う。電極の半透明性が低くなると、十分なエレクトロルミネッセンス光を発生するために必要な電力が大きくなる。一方、半透明電極層106の導電性が高くなればなるほどエレクトロルミネッセンス装置106−112全体の抵抗が低くなり、エレクトロルミネッセンス光の発生に必要な電力が少なくなる。従って、設計仕様を満足する性能を発揮させるためには、ITO中のスズに対する酸化インジウムの比率、浮遊液中のITOの濃度及び層の全厚をすべて注意深くバランスさせなければならないことが容易にわかるであろう。
【0037】
実験によると、90%の酸化インジウムと10%のスズを含む重量比25%乃至50%のITO粉末と、50%乃至75%のゲル状電子等級ビニルインキとより成る浮遊液を約9ミクロンの厚さにスクリーン印刷により適用すると、ほとんどの用途にとって使用可能な半透明電極層106が得られることがわかっている。ITO粉末をゲル状ビニルとボールミルの中で約24時間混合すると有利である。ITO粉末はArconium社から市販されており、ゲル状ビニルはAcheson社から市販されているSS24865である。あるいは、ゲル状ビニルのITOを予め混合した適当なインキは、Acheson社から製品名EL020で市販されている。さらに、半透明電極層106中のドーパントはITOに限定されず、半透明性を有する他の任意の導電性ドーパントでよいことがわかるであろう。
【0038】
モノリシックなウレタンの実施例では、ボールミル粉砕後にITOインキに触媒を添加するか、または予め混合したものが得られれば触媒をインキに直接添加する。所要重量の触媒をポリポロピレンのかいまたはへらを用いて手でインキ内で攪拌するのが好ましい。攪拌は、触媒がインキ内で目で見て十分に分散したように見えるまで継続する。
【0039】
触媒を添加したインクはその後、スクリーン印刷または他の適当な方法により半透明電極層106として展開する。触媒を添加した未使用のインキは約5℃の温度で冷蔵する必要がある。冷蔵すると、かかる未使用のインキは、触媒を最初に添加した後数日間使用可能であることが判明している。
【0040】
添加すべき触媒の量は、ITO及びビニル樹脂キャリアのインキ組成に応じて異なる。ITO粉末をボールミル粉砕によりゲル状ビニルにする時最適な結果を得るために実験が必要であるが、PHD触媒の最適重量は、ボールミル粉砕した混合物に用いる電子等級ビニルインキ(Acheson社のSS24865のような)の重量の3%乃至5%の範囲である。あるいは、予め混合したインキを用いる「近道」の方法では、予め混合したAcheson社のITOインキ製品EL020にPHDを、予め混合した発光インキ製品100グラムに対してPHD0.45グラムの比率で添加することにより利用可能な結果を得られることが判明している。
【0041】
図1及び2を再び参照すると、該図に示す前方バスバー107は、半透明電極層106と電源(図示せず)とを電気的に接触させるために半透明電極層106上に展開されることがわかる。好ましい実施例において、前方バスバー107は、半透明電極106を第1の外被層104上に展開した後に半透明電極層106と接触関係に配設する。本発明にとって特別な必要条件ではないが、実験によると、前方バスバー107を半透明電極層106上に展開した方が逆、即ち、半透明電極層106を前方バスバー107上に展開する場合よりも性能が改善することが分かっている。これは、半透明電極層106を前方バスバー107上に展開すると、半透明電極層106が硬化して先に形成した前方バスバー107との導電を阻止する障壁を形成する傾向があることが判明しているからである。しかしながら、この現象は逆の場合は発生しないように思われるため、前方バスバー107を半透明電極層106の上に展開する方が好ましい。
【0042】
前方バスバー107が薄い金属バーであれば、硬化前に前方バスバー107を半透明電極層106に適用して前方バスバー107がモノリシック構造の一部となるようにし、前方バスバー107と半透明電極層106との間の電気的接触を最適化することが好ましいが、これは必要条件ではない。しかしながら、他の実施例において、前方バスバー107としてスクリーン印刷または他の適当な方法によりインキを展開してもよい。かかる場合、後方電極層112に関して以下に説明するように、インキを配合し展開すればよい。しかしながら、後方電極層112に関連して以下に説明するように、前方バスバーへ触媒を使用しても実際は効果がないことが判明していることに注意されたい。インキに電極が含まれると過剰反応の傾向があり、インキがたった数分で使用不可になる。
【0043】
発光層108(好ましくはリン/チタン酸バリウムの混合物)はその後、半透明電極層106及び前方バスバー107の上に印刷する。発光層108は、エレクトロルミネッセンス等級のカプセル化したリンをドーピングした一体的なキャリアより成る。実験により、重量比で50%のリンと、50%のゲル状電子等級ビニルインキとを含む浮遊液を約25乃至35ミクロンの厚さに適用すると、使用可能な発光層108が得られることがわかっている。リンは、約10乃至15分の間ゲル状ビニルと混合すると有利である。混合は、個々のリン粒子への損傷を最小限に抑える方法により行う必要がある。適当なリンはOsramSylvania社から市販され、ゲル状ビニルは再びAcheson社のSS24865である。
【0044】
発光の色は発光層108に用いるリンの色に左右され、さらに染料を用いて変化できることがわかるであろう。所望の色の染料をリンを添加する前にゲル状ビニルに混合すると有利である。例えば、発光層108のゲル状ビニルにローダミンを添加すると、白色光が発生する。
【0045】
実験によると、チタン酸バリウムのような適当な混合物が発光層108の性能を向上させることがわかっている。上述したように、チタン酸バリウムのような混合物は発光層108中で浮遊状態のエレクトロルミネッセンス等級リンより粒子構造が小さい。その結果、混合物は浮遊液のコンシステンシーを一つにして、発光層108がより均一におさまるようにすると共に浮遊液中のリンをより均等に分布させるのに役立つ。混合物の小さい粒子は、発光性リンの粒状の外観を改善する光拡散手段として作用する傾向がある。最後に、実験によると、バリウムとチタン酸塩の混合物が実際、光子放出速度を刺激することにより分子レベルにおけるリンの発光を増加させることがわかる。
【0046】
好ましい実施例に用いるチタン酸バリウムの混合物は、以下に延べるように、誘電体層110に用いるチタン酸バリウムと同じである。後述するように、このチタン酸バリウムは、TamCeramics社から粉末とし手に入れることができる。再び、ゲル状ビニルのキャリアはAcheson社のSS24865である。好ましい実施例において、チタン酸バリウムをゲル状ビニルのキャリアと、好ましくはチタン酸バリウム30%に対してゲル状ビニル70重量パーセントの比率で予め混合すると有利である。この混合物は、少なくとも48時間ボールミルで混合する。あるいは、予め混合され、チタン酸バリウムを配合したゲル状ビニルの発光インキが、Acheson社から製品名EL035、EL035A及びEL033で市販されている。発光層108を染色する場合、かかる染料はボールミルにより混合する前にゲル状ビニルのキャリアに添加する必要がある。
【0047】
モノリシックなウレタンの実施例では、発光インキ(それがチタン酸バリウムを配合したものか否かは無関係に)への触媒の添加をボールミル粉砕の後に行うかまたは、予め混合したものであれば触媒をインキに直接添加する。上述したITOインキの場合と同様に、所要重量の触媒をポリプロピレンのかいまたはへらを用いて手によりインク中で攪拌するのが好ましい。攪拌は、目で見て触媒がインキ内に十分に分散するまで継続する必要がある。
【0048】
触媒を添加したインキはその後、スクリーン印刷または他の適当な方法により発光層108として展開すればよい。前と同様に、触媒を加えた未使用のインキは冷蔵すれば、数日間は性能が大きく低下することなく再使用できる。
【0049】
再び、添加する触媒の量は、リンとビニル樹脂キャリアのインキ組成に応じて異なる。リン粉末(チタン酸バリウムを含むまたは含まない)をボールミルによりゲル状ビニルにする時最適な結果を得るために実験が必要であるが、PHD触媒の最適重量は再び、ボールミル粉砕した混合物に用いる電子等級インキ(Acheson社のSS24865のような)の重量の3乃至5%の範囲内にある。あるいは、予め混合したチタン酸バリウムを配合した発光インキを用いる「近道」では、PHDを予め混合した発光インキ製品EL035、EL035A及びEL033にEL020が100グラムに対してPHDが0.22グラムの割合で添加すると利用可能な結果が得られることが判明している。
【0050】
再び、図1及び2を参照して、誘電体層110(チタン酸バリウムが好ましい)は発光層108の上に印刷する。誘電体層110は、粒状の誘電体をドープした一体的なキャリアである。好ましい実施例において、このドーパントはチタン酸バリウム粉末である。実験によると、重量比で50%乃至25%のゲル状電子等級ビニルインキに対して50%乃至75%のチタン酸バリウム粉末を含む浮遊液を厚さ約13乃至35ミクロンにスクリーン印刷により適用すると、使用可能な誘電体層110が得られることがわかっている。チタン酸バリウムは、ボールミルにおいて約48時間ゲル状ビニルと混合すると有利である。前述したように、適当なチタン酸バリウム粉末はTamCeramics社から手に入れることができ、ゲル状ビニルはAcheson社のSS24865である。あるいは、ゲル状ビニルの予め混合した適当なチタン酸バリウムインキは、Acheson社から製品名EL040で市販されている。さらに、誘電体層110におけるドーピング剤は、他の誘電体材料から単独で、または混合物の形で選択できることがわかるであろう。かかる他の材料には、二酸化チタンまたはマイラー、テフロン、ポリスチレンの誘導体が含まれる。
【0051】
モノリシックなウレタンの実施例では、ボールミル粉砕後、触媒を誘電体インキに添加するか、触媒を予め混合したものがある場合はインキに直接添加する。上述した前のインキと同様に、所要重量の触媒をポリプロピレンのかいまたはへらを用いて手でインク内で攪拌するのが好ましい。攪拌は、目で見て触媒がインク内に十分に分散するまで継続する必要がある。
【0052】
触媒を添加したインキはその後、スクリーン印刷または他の適当な方法により誘電体層110として展開する。前と同様に、触媒を加えた未使用のインキを冷蔵すると数日間後に性能低下に気づくことなく再使用できる。
【0053】
再び、添加する触媒の量は誘電体ドーパント及びビニル樹脂キャリアのインキ組成に応じて異なる。誘電体ドーパント(チタン酸バリウムのような)をボールミル粉砕によりゲル状ビニルにする時に最適な結果を得るために実験が必要であるが、PHD触媒の最適重量は、ボールミル粉砕による混合物に用いる電子等級ビニルインキ(Acheson社のSS24865のような)の重量の3%乃至5%の範囲である。あるいは、予め混合した誘電体インキを用いる「近道」では、PHDを予め混合した誘電体インキ製品EL040100グラムに対してPHD0.345グラムの比率で添加すると、利用可能な結果が得られることが判明している。
【0054】
本発明のエレクトロルミネッセンス構造体のさらなる「堅牢化」は、誘電体層110として展開される誘電体インキにウレタンを添加することにより達成できることも判明している。例えば、製品名DA170“Clear TGrade”のポリウレタンのようなウレタンを、Acheson社の予め混合した誘電体インキ製品EL040に添加する。DA170“Clear TGrade”のポリウレタン添加物を最初にDA176触媒と、ポリウレタン約3部に対し触媒1部の割合で混合する。その後、触媒を添加した添加剤を、誘電体インキをPHD触媒と混合した後、EL040と混合する。ポリウレタン添加物と誘電体インキとの混合は、任意の触媒(DA176またはPHD)を添加する前に、重量で測定して、添加剤25%/インキ75%乃至添加剤75%/インキ25%の範囲内の比率で行ってもよい。
【0055】
ウレタンを誘電体インキに添加すると、展開し硬化させた時の誘電体層110の機械的強度が大きく改善される。誘電体層110と隣接するウレタン層との間の橋かけも改善される。さらに、ウレタンを含有するため、誘電体層110が電気的絶縁破壊を生じる可能性が減少する傾向にある。ウレタンの含有量が大きければ大きいほど、硬化済み誘電体インキの堅牢性が増加する。
【0056】
しかしながら、誘電体インキのウレタン含有量を増加するとエレクトロルミネッセンス構造全体の動作容量が減少し、そのため、例えば、その構造を展開したランプの潜在的輝度が減少することに注意されたい。誘電体層110の添加物としてのウレタン含有量のレベルを選択するに当たり、設計者は得られるであろう堅牢性と強度とを構造体のエレクトロルミネッセンス能力との間でバランスさせる必要がある。
【0057】
図1及び2を再び参照して、後方電極層112を誘電体層110の上に印刷する。後方電極層112は最初は、一体的なビニルキャリアに浮遊液を導電性にする成分をドーピングしてものである。好ましい実施例において、後方電極層112のドーピング剤は粒状の銀である。しかしながら、後方電極層112のドーピング剤は、金、亜鉛、アルミニウム、グラファイト及び銅またはそれらの組合せを含む(それらに限定されない)任意の導電性材料でよいことを理解されたい。実験によると、GraceChemicals社から部品番号M4200及びM3001−1RSとしてそれぞれ市販される電子等級ビニルインキ中に浮遊する銀/グラファイトを含む特許混合物は、後方電極層112としての使用に好適であることがわかっている。あるいは、ゲル状ビニルの予め混合した適当な銀インキが、Acheson社から製品名EL010として市販されている。研究によりさらに、層の厚さを約8乃至12ミクロンにすると利用可能な結果が得られることが判明している。これらの層は、標準のスクリーン印刷技術を用いてそのような厚さに付着させる。
【0058】
理論上、触媒を後方電極インキに添加することによりキャリアをビニルからウレタンに変換できるが、かかる触媒の使用は実際は効果がないことが判明している。触媒はインキ中の後方電極のドーパントと過剰反応する傾向があることが判明している。急速な橋かけが起こると、触媒添加の数分以内にインキが使用不可状態となる。
【0059】
再び図1及び2を参照して、第2の外被層114を後方電極層112の上に印刷する。図1及び2からわかるように、エレクトロルミネッセンス装置の層106−112は境界105に何もない状態にして印刷すると有利である。これにより、第2の外被層114は境界105の周りで第1の外被層104と接合するように印刷することが可能となり、それにより、(1)エレクトロルミネッセンス装置が外被内に密封されて電気的に隔離され、(2)第2の外被層114とエレクトロルミネッセンス装置の硬化済みウレタン層106−112の端部との間で橋かけが可能となり、(3)積層体全体が実質的に耐湿性となる。第2の外被層114は、第1の外被層104と同じ材料で形成すると有利である。さらに、上述したように、第2の外被層114は所望の厚さにするために一連の中間層として印刷することができる。
【0060】
上述したように、第1の外被層104、エレクトロルミネッセンス装置のウレタン層106−112並びに第2の外被層114より成る積層体は、モノリシックなウレタン構造を提供する。ゲル状ビニル樹脂を最初に展開する時にエレクトロルミネッセンス装置の層106−110に添加される触媒は、硬化時にエレクトロルミネッセンス装置の層106−110をウレタンに変換する。これらの変換済みウレタン層は、元々ウレタンとして展開された第1及び第2の外被層104、114と結合し橋かけする。その結果得られるウレタン積層体は、米国特許出願第09/173,404号に記載されるように高い堅牢性と共にメンブレイン特性を有する。
【0061】
図1及び2に示す最後(頂部)の層は、オプションとして設ける接着剤層116である。上述したように、本発明のエラストマーエレクトロルミネッセンスランプの1つの用途は基体へ固着される転写シートとしての用途である。この場合、転写シートは熱接着剤により固着できるが、接触接着剤のような他の固着手段を使用することができる。熱接着剤は、組立体の他の層と同じ製造プロセスにより印刷できるという利点があり、転写シートは簡単な熱プレス法により基体に後で接着することができる状態で貯蔵する。この場合、図1及び2に示すように、接着剤層116は第2の外被層114の上に印刷する。
【0062】
もちろん、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプが別の製品の自蔵コンポーネントである本発明の他の用途では、オプションとしての接着剤層116は不要である可能性がある。
【0063】
図1及び2に示すさらに別の特徴として、一対の後方接点窓118A、118Bがある。エレクトロルミネッセンス装置106−112を作動させる電力を供給するために、この後方接点窓118Aは接着剤層116及び第2の外被層114を介して後方電極層112に到達するために必要であるのは明らかである。同様に、接着剤層116、第2の外被層114、後方電極層112、誘電体層110及び発光層108を介して前方バスバー107に到達するためにさらに別の窓が必要である。この別の窓は図示を簡略にするため図1には示さないが、図2において前方バスバー107へ到達するために全ての層を貫通してそのバスバーへの給電を可能にするための窓118Bとして示されている。
【0064】
図3は、完成後であって転写剥離紙102から剥ぎ取る準備ができた状態における上述した組立体を示す。薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプ300(図1及び2に示す層及びコンポーネント104−116より成る)は、基体に固着するための準備段階として転写剥離紙102から引き剥がされる段階にある。後方及び前方接点窓118A、118Bも示してある。
【0065】
図示はしないが、本発明は、多数の同一デザインのランプを必要とする状況では従来のエレクトロルミネッセンスランプ製造プロセスに比べて製造コストをさらに軽減できることがわかる。スクリーン印刷技術により、多数のエレクトロルミネッセンスランプ300を転写剥離紙102の1枚の大きなシートの上に同時に構成することができる。これらのランプ300の位置を1枚の転写紙102の上に見当合わせした後、適当な大型パンチにより同時にパンチングする。その後、個々のランプ300を貯蔵して後で使用するようにすればよい。
【0066】
上述したように、本発明によると、自然光でのエラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300の前方の外観を、第1の外被層104の選択した中間層について染色または他の技術を用いることにより設計及び調製することができる。かかる技術に従って、図3は、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300を引き剥がす際にロゴ301の第1の部分が明らかになる状態を示している。ロゴ301の好ましい調製方法の特徴は、以下に詳説する。
【0067】
しかしながら、最初に、本発明のエラストマーエレクトロルミネッセンスランプに電力を供給する2つの好ましい代替手段についてさらに述べる。図4を参照して、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300は後方及び前方接点窓118A、118Bを見えるようにするため右側が上方にめくれ、反対方向に巻いた形になっている。電力は、例えば、当該技術分野で知られるような銀をポリエステル上に印刷した印刷回路である可撓性バス401により遠隔の電源から供給する。あるいは、可撓性バス401をポリウレタンの薄い条片上に印刷した導体(銀のような)で構成してもよい。可撓性バス401はコネクター402で終端するが、そのサイズ及び形状は後方及び前方接点窓118A及び118Bと係合するように予め決定されている。コネクター402は、各々が後方及び前方接点窓118A及び118Bに嵌合する2つの接点403より成り、接点403は、機械的な圧力を加えると、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300のエレクトロルミネッセンス装置へ必要な電力を供給する。
【0068】
好ましい実施例において、接点403は、可撓性バス401の端部を後方及び前方接点窓118A及び118B内の電気接点に接続するための導電性シリコンゴム接点パッドより成る。この構成は、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300を熱接着剤により基体に固着する場合、特に有用である。転写シートを基体に固着するために熱プレスを用いると、シリコンゴムの接点パッドと接点窓118A、118B内の接点403上の接点表面との間の電気的接触を増加させる機械的圧力が発生する。接点表面の間にシリコン接着剤を適用すると、電気的接触はさらに増加する。シリコンゴムの接点パッドはChromerics社により製造され、その製造業者により「導電性シリコンゴム」と呼ばれている。シリコンの接着剤はChromerics130である。
【0069】
シリコンゴムの接点パッドを用いる特別な利点は、パッドがエラストマーエレクトロルミネッセンスランプとコネクター402との間の相対的せん断変位を吸収する傾向があることである。例えば、エポキシで接着した機械的接続部と比較されたい。転写シート300とコネクター402との間の接着は本質的に非常に強力であるが、その接着が剛性的で柔軟性がないと、転写シート300とコネクター402との間の相対的なせん断変位が2つのコンポーネントのうちの一方または両方へ直接伝達される。その結果、エポキシで接着した界面(エポキシと転写シート300の間またはエポキシとコネクター400との間)の一方または他方が剥離する可能性がある。
【0070】
しかしながら、これとは対照的に、シリコンゴム接点パッドは、その可撓性によりシリコンゴムの界面のかかる相対的せん断変位を吸収し、その際パッドも電気機械的接合部も劣化しない。かくして、電気的接点が破壊的なせん断応力を受けることによりエラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300への給電が早い時期に断たれる可能性が最小限に抑えられる。
【0071】
図5は、本発明のエレクトロルミネッセンスランプに電力を供給する別の好ましい手段を示す。この場合、前方バスバー107及び後方電極層112を印刷する時(図1を参照して上述した)、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300の境界を越えて、また後続の印刷バス501上に延長部を印刷する。後続の印刷バス501のための適当な基体は、例えば、第1または第2の外被層104、114から延びるポリウレタンの「尾部」である。さらに、所望であれば、後続の印刷バス501の導体を第1及び第2の外被層104、114の両方から後に続く延長部内に封止すればよいことがわかる。その後、後続の印刷バス501により転写シート300から離れた所で電源に接続できる。
【0072】
好ましい実施例の電源は非常に薄いバッテリー/インバーター印刷回路を使用することに注意されたい。例えば、シリコンチップを用いるインバーターは、非常に薄く小型である。このため、電源のこれらのコンポーネントは、本発明のエラストマーエレクトロルミネッセンスランプを使用する製品中に容易且つ安全にまた目障りにならないように隠すことができる。例えば、衣料では、これらの電源コンポーネントを特別のポケットに効果的に隠すことが可能である。ポケットは安全のために密封してもよい。当該技術で標準の6ボルトリチウム電池のような電源は、バッテリーを衣料と共に折曲げることができるような展性及び延性を有する。さらに、図4に示すような可撓性バス401または図5に示すような後続の印刷バス501は、完全な電気的隔離のための封止が容易であり、製品の構造内に便宜的に隠すことができる。
【0073】
印刷技術については、本発明は、自然光での外観とエレクトロルミネッセンスによる外観とが相補的になるように設計されたエレクトロルミネッセンスランプ(エラストマーエレクトロルミネッセンスランプを含む)を製造するELランプ印刷技術を改良するものである。かかる相補的方式は、エレクトロルミネッセンスランプの自然光での外観がエレクトロルミネッセンスによる外観と実質的に同じように見えるように設計することにより、エレクトロルミネッセンスランプが、点灯中か点灯中でないかに拘らず、少なくとも画像及び色相の点で同じように見えるようにする。あるいは、ランプを一定の画像を表示するように設計するが、その一部が点灯中と点灯中でない時とで色相を変化させるようにすることができる。あるいは、エレクトロルミネッセンスランプの外観を点灯すると変化するように設計してもよい。
【0074】
これらの効果を実現するために組合せて使用できる印刷技術には、(1)エレクトロルミネッセンス層108に用いるリンのタイプ(とりわけ発光色)を変化させ、(2)エレクトロルミネッセンス層108の上に印刷する層を着色する染料を選択し、(3)ドットサイジング印刷法により点灯時及び非点灯時のエレクトロルミネッセンスランプの見かけ上の色相を徐々に変化させることが含まれる。
【0075】
図6は、これらの技術を説明するための図である。エラストマーエレクトロルミネッセンスランプの切欠き部分601は、エレクトロルミネッセンス層108を示している。切欠き部分601には3つの別個のエレクトロルミネッセンス領域602B、602W、602Gがあるが、各領域は異なる色の光(それぞれ青、白及び緑)を発するリンを含むエレクトロルミネッセンス材料を用いて印刷されている。当該技術において知られたスクリーン印刷技術によると、3つの別個の領域602B、602W、602Gを印刷できることがわかる。このようにして、種々の色の光を発する種々の領域を印刷し、必要に応じて、発光しない領域(即ち、エレクトロルミネッセンス材料が印刷されていない領域)と組合せて、エレクトロルミネッセンス層108が作動されると表示される任意のデザイン、ロゴまたは情報を表すようにすることができる。
【0076】
その後、作動時におけるエレクトロルミネッセンス層108の外観を、エレクトロルミネッセンスランプのエレクトロルミネッセンス層108と前面との間の層を選択的に着色(染色が有利である)することにより、さらに変化することができる。かかる選択的な着色は、エレクトロルミネッセンス層108の上方の選択領域だけの着色層を印刷することによりさらに制御することが可能である。
【0077】
図6を再び参照して、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300は第1の外被層104がエレクトロルミネッセンス層108に亘って配設されているが、図1及び2を参照して述べたように、第1の外被層104は、複数の中間層をその上に形成することにより所望の厚さに印刷できる。これらの層のうち1またはそれ以上の層が、所定の色に染色され印刷された外被層を含むようにして、その色が作動時における下方からの予想される光による外観を相補うようにすることができる。その結果、エレクトロルミネッセンスランプの点灯または非点灯状態を交番させると全体的に所望の効果が得られる。
【0078】
例えば、図6において、領域603Bが青に着色され、領域603Xが着色されず、領域603Rが赤に着色され、領域603Pが紫に着色されていると仮定する。エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300の自然光での外観は、実質的に、赤と紫のストライプのデザイン605が青の境界606に接したものであろう。赤の領域603Rと紫の領域603Pとはその下の領域602Wの白の色相を変化させ、無着色領域603Xはその下の領域602Bのベイジュの色相を変化させず、また青の領域603Bはその下の領域602Gの軽い緑/ベイジュの色相を変化させて、わずかに暗い青の外観を与える。さらに領域603Bを青色に選択すると、その下の領域602Gの緑と結合されて自然光での外観は実質的に同じ青になることがわかるであろう。
【0079】
しかしながら、エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300を作動されると、領域603R、603P、603Xは依然としてそれぞれ赤、紫、青であり、一方、領域603Bは下からの強い緑のリンの光が領域603Bの青により変化するため青緑色になる。従って、画像の一部はエラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300が点灯状態か非点灯状態かに拘らず事実上同じであるが、画像の別の部分は作動時に外観が変化するように設計された例示的な効果が生じる。
【0080】
従って、リンによる種々の着色領域をその上の種々の着色領域と組合せて印刷することにより、ランプ点灯時の外観と非点灯時の外観とを相関させる無限のデザインの可能性が生じることがわかるであろう。かかる点灯時/非点灯時の外観の設計の融通性及び範囲は、種々の「着色」領域を精密に印刷するかまたはモノリシックな厚さ構造内の中間層として印刷するのが困難な従来のエレクトロルミネッセンス製造技術では得られないことが分かるであろう。
【0081】
さらに、上述した着色技術では、例えば、ペイントまたは他の着色層の使用とは対照的に、蛍光着色染料を着色すべき材料も配合すると有利であることを強調したい。かかる染色技術を使用すると、反射する自然光及び作動時のエレクトロルミネッセンス光において事実上等価の色相を容易に得ることができる。色の混合は、「試行錯誤」によるか、例えば、ペイントカラーの混合に関して当該技術において従来から知られているコンピューターによる色を混合を行うことにより可能になる。
【0082】
さらに図6を参照して、該図は、領域603Bと603Xとの間の移行領域620を示している。移行領域620は、領域603Bの暗い青の色相(エラストマーエレクトロルミネッセンスランプ300の作動時)が徐々に領域603Xの明るい青の色相に変化する領域を表すように意図されている。
【0083】
印刷業界では、「ドット印刷」は標準の技術である。さらに、「ドット印刷」技術はスクリーン印刷により容易に実現できることがわかる。「ドット印刷」により隣接する2つの印刷領域の境界を「融合」させて見かけ上の移行領域を形成する。これは、各隣接領域から移行領域へドットを延ばし、移行領域内へ延びるに従ってドットのサイズを減少させ、間隔を増加させることにより行う。このようにして、移行領域におけるドットパターンをオーバーラップまたは重畳させると、1つの隣接領域から次の隣接領域への移行領域において効果が徐々に変化する。
【0084】
この効果は、本発明により容易に実現可能であることがわかるであろう。図6を再び参照して、領域603Bに特定の色相を与える染色層を印刷し、ドットが移行領域620内へ延びるにつれてドットのサイズが減少し間隔が増加するようにしてもよい。領域603Xにおいて特定の色相を与える染色層をその上に印刷し、ドットが移行領域620内へ相互に延びるように印刷してもよい。自然光及び作動時の光の両方での正味の効果は、移行領域620が1つの色相から次の色相へ徐々に変化する。
【0085】
本発明及びその利点を詳細に説明したが、頭書の特許請求の範囲により規定された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変形例及び設計変更を想到できることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明による薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプの好ましい実施例を示す断面図である。
【図2】 図2は、図1の断面図の斜視図である。
【図3】 図3は、転写剥離紙102を引き剥がした状態で示す本発明の薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプの斜視図である。
【図4】 図4は、本発明の薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプの給電を可能にする好ましい方法を示す。
【図5】 図5は、本発明の薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプの給電を可能にする別の好ましい方法を示す。
【図6】 図6は、所定の照明なし部分/照明部分の外観を与えるために層の種々の着色法をサポートする切欠き部601を有する薄くて柔軟性及び適応性を有するシート状のエレクトロルミネッセンスランプ300の領域を示す。

Claims (5)

  1. エレクトロルミネッセンス装置と、
    エレクトロルミネッセンス装置を包み込む周囲の紫外線硬化性外被層とより成り、
    紫外線硬化性外被層は硬化済み層の積層体であり、硬化済み層のうち選択された層は紫外線により硬化される紫外線硬化性ウレタンより成り、エレクトロルミネッセンス装置と外被層とは共に堅牢でメンブレイン特性を有するメンブレインエレクトロルミネッセンス構造体。
  2. 紫外線硬化性ウレタンは、ウレタンアクリレート/アクリレートモノマーより成る請求項のエレクトロルミネッセンス構造体。
  3. 紫外線硬化性ウレタンの層の厚さは20ミクロンであり、紫外線硬化性ウレタンの前記層は強度が500−600mJ/cm2の紫外線を3秒間照射することにより硬化される請求項のエレクトロルミネッセンス構造体。
  4. エレクトロルミネッセンス構造体は硬化済み層の積層体であり、硬化済み層のうち選択された層はスクリーン印刷プロセスにより最初に展開される請求項1のエレクトロルミネッセンス構造体。
  5. 紫外線硬化性外被層及びエレクトロルミネッセンス装置は、硬化すると実質的にモノリシックな集合体を形成する請求項1のエレクトロルミネッセンス構造体。
JP2002548747A 2000-10-11 2001-10-10 紫外線硬化性ウレタン外被層を有する薄くて柔軟性及び適応性に富んだシート状のエレクトロルミネッセンス構造体 Expired - Lifetime JP4723169B2 (ja)

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