JP2000150145A - El素子の密封方法 - Google Patents

El素子の密封方法

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JP2000150145A
JP2000150145A JP10312575A JP31257598A JP2000150145A JP 2000150145 A JP2000150145 A JP 2000150145A JP 10312575 A JP10312575 A JP 10312575A JP 31257598 A JP31257598 A JP 31257598A JP 2000150145 A JP2000150145 A JP 2000150145A
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sealing
ultraviolet light
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Keiichi Kohama
恵一 小浜
Hiroaki Saito
広明 斎藤
Takehiko Nakajima
毅彦 中島
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 EL素子を劣化させることなくEL素子を容
易に密封する。 【解決手段】 表面上にEL素子が形成された透明基板
と、EL素子を被包する被包部材とを、紫外線の照射に
より硬化する接着剤を用いて互いに接着し、EL素子を
密封する際、被包部材の接着面に鏡面を形成する。ま
た、被包部材の接着面で反射した紫外線が、1μW/c
2以下の強度に減衰してEL素子に到達するようにE
L素子と接着剤との間隔の大きさを適切に設定する。さ
らに、接着剤に紫外線吸収剤を含有させたり、透明基板
の表面に紫外線吸収皮膜を設ける。これらの方法によ
り、EL素子が間接的に受ける紫外線の量を十分に減ら
すことができ、その劣化を防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL素子など
のEL素子を密封する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】EL素子は、陽極と陰極との間に発光体
が介設されてなる素子であり、その一種に、有機質の発
光体を備えた有機EL素子がある。その有機EL素子の
多くでは、図2に示すように、第1電極層(陽極)、正
孔輸送層、発光層、電子輸送層及び第2電極層(陰極)
の順に積層されて構成されている。このような構成の有
機EL素子は、発光特性に優れ、様々な種類の光表示装
置に用いることが検討されている。
【0003】しかし、EL素子を大気に曝して使用する
と、その発光層などの構成層が大気中の水分などと反応
して劣化してしまい、EL素子の性能が低下してしまう
恐れがある。実際に、有機EL素子において、発光層な
どが大気中の水分と反応して劣化し、発光特性が低下し
てしまうことが確認されている。そこで、特開平10−
233283号公報で開示されているように、表面上に
EL素子が形成された透明基板と、該EL素子を被包す
る被包部材とを用意し、該透明基板の接着面と該被包部
材の接着面との間に紫外線の照射により硬化する接着剤
を隙間なく介在させて該接着剤に紫外線を照射すること
により、該接着剤を硬化させて該透明基板及び該被包部
材を互いに接着して該EL素子を密封する方法が広く知
られている。このEL素子の密封方法では、具体的に次
のように工程を進めることができる。
【0004】先ず、透明基板及び被包部材の少なくとも
一方の接着面に接着剤を塗布して、それらの接着面の間
に隙間なく接着剤が介在するように、それぞれの接着面
を互いに重ね合わせる。その後、例えば、透明基板のE
L素子が形成されていない側から紫外線を接着剤に照射
する。その結果、接着剤が硬化して、透明基板と被包部
材とが強固に接合されるとともに、それらの接着面が封
止されてEL素子が密封される。
【0005】このEL素子の密封方法によれば、容易に
かつ短時間でEL素子を密封することができる。そのた
め、使用中に性能が低下することのないEL素子を安価
に量産することができるようになる。しかしながら、接
着剤に紫外線を照射する際に、接着剤だけでなくEL素
子にも紫外線を照射してしまうと、EL素子が大きく劣
化して、その駆動電圧や輝度などの性能が大幅に低下し
てしまう。
【0006】そこで、図8に示すように、EL素子をマ
スクで遮蔽して紫外線を接着剤に照射することがなされ
ている。このマスクによってEL素子に紫外線が直接照
射されないようにすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、マスク
を用いるなどしてEL素子に紫外線が直接照射されない
ようにしても、接着剤に照射された紫外線の一部が接着
剤を透過し、被包部材の接着面で乱反射することがあ
る。さらには、透明基板及び被包部材を支持する治具の
表面でも乱反射が起こることがある。これらのような乱
反射によって透明基板に再入射した紫外線は、透明基板
及び外気の屈折率が異なることから、図9に示すよう
に、透明基板内をその界面で反射しながらEL素子の方
向に進み、EL素子に到達することがある。
【0008】また、透明基板に入射する紫外線の中に
は、図10に示すように、透明基板の表面の法線に対し
てEL素子の反対方向から斜めに入射するものが存在す
ることがある。このように斜めに入射した紫外線は、被
包部材の接着面でEL素子の方向に斜めに反射されたり
する。さらには、透明基板及び被包部材を支持する治具
の表面などでもEL素子の方向に斜めに反射されたりす
ることがある。これらのようにEL素子の方向に斜めに
反射された紫外線は、透明基板内をその界面で反射しな
がらEL素子の方向に進み、EL素子に到達することが
ある。
【0009】ただし、透明基板内をその界面で反射しな
がら進む紫外線は、次第にその強度を減衰させていく。
そのため、EL素子に到達した紫外線の強度は、直接照
射された場合の紫外線の強度よりも小さい。しかし、透
明基板に入射したときの紫外線の強度が非常に大きい場
合には、その紫外線が透明基板内を進む過程で減衰して
も、EL素子に到達したときの強度が十分に小さくなっ
ていない場合がある。また、入射したときの紫外線の強
度がそれほど大きくなくても、その紫外線が透明基板内
を進む過程で十分に減衰しなければ、EL素子に到達し
たときの強度が十分に小さくなっていない場合もある。
【0010】このように、EL素子が、間接的であって
も強度が十分に小さくなっていない紫外線を受けると、
紫外線を直接受けたときほどではないにしても劣化して
しまう。その結果、EL素子の駆動電圧や輝度などの性
能が、大幅ではないにしても低下してしまう。本発明は
上記実情に鑑みてなされたものであり、EL素子を劣化
させることなくEL素子を容易に密封することができる
EL素子の密封方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の請求項1に記載のEL素子の密封方法は、表面上に
EL素子が形成された透明基板と、該EL素子を被包す
る被包部材とを用意し、該透明基板の接着面と該被包部
材の接着面との間に紫外線の照射により硬化する接着剤
を隙間なく介在させてから、該接着剤に紫外線を照射し
て該接着剤を硬化させることにより、該透明基板及び該
被包部材を互いに接着して該EL素子を密封するEL素
子の密封方法であって、前記被包部材の接着面に鏡面を
形成するとともに、該鏡面に対向する側から前記紫外線
を該接着剤に照射することを特徴とする。
【0012】上記課題を解決する本発明の請求項2に記
載のEL素子の密封方法は、表面上にEL素子が形成さ
れた透明基板と、該EL素子を被包する被包部材とを用
意し、該透明基板の接着面と該被包部材の接着面との間
に紫外線の照射により硬化する接着剤を隙間なく介在さ
せてから、該接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化
させることにより、該透明基板及び該被包部材を互いに
接着して該EL素子を密封するEL素子の密封方法であ
って、前記接着剤に照射した前記紫外線が、前記透明基
板内をその界面で反射しながら前記EL素子の形成され
ている方向に進んだとき、該EL素子に到達した紫外線
の強度が1μW/cm2以下に減衰しているように、該
EL素子と該接着剤との間隔の大きさを設定するととも
に、該透明基板の該EL素子が形成されていない側から
該紫外線を該接着剤に照射することを特徴とする。
【0013】上記課題を解決する本発明の請求項3に記
載のEL素子の密封方法は、表面上にEL素子が形成さ
れた透明基板と、該EL素子を被包する被包部材とを用
意し、該透明基板の接着面と該被包部材の接着面との間
に紫外線の照射により硬化する接着剤を隙間なく介在さ
せてから、該接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化
させることにより、該透明基板及び該被包部材を互いに
接着して該EL素子を密封するEL素子の密封方法であ
って、前記接着剤として、前記紫外線を吸収できる紫外
線吸収剤を含有する接着剤を用い、前記透明基板の該E
L素子が形成されていない側から該紫外線を該接着剤に
照射することを特徴とする。
【0014】上記課題を解決する本発明の請求項4に記
載のEL素子の密封方法は、表面上にEL素子が形成さ
れた透明基板と、該EL素子を被包する被包部材とを用
意し、該透明基板の接着面と該被包部材の接着面との間
に紫外線の照射により硬化する接着剤を隙間なく介在さ
せてから、該接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化
させることにより、該透明基板及び該被包部材を互いに
接着して該EL素子を密封するEL素子の密封方法であ
って、前記透明基板の少なくとも一方の側の表面上に、
紫外線を吸収することができる皮膜を、前記接着剤に照
射される前記紫外線に対して該接着剤を遮蔽しないよう
に設けてから、該紫外線を該接着剤に照射することを特
徴とする。
【0015】上記課題を解決する本発明の請求項5に記
載のEL素子の密封方法は、請求項4に記載のEL素子
の密封方法において、前記皮膜は、樹脂フィルムと、該
樹脂フィルム中に分散された前記紫外線を吸収できる紫
外線吸収剤とからなり、前記透明基板の前記EL素子が
形成されていない側の表面上に貼着されていることを特
徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】[請求項1に記載のEL素子の密
封方法]本EL素子の密封方法では、被包部材として、
その接着面に鏡面が形成されたものを用意し、透明基板
及び被包部材の少なくとも一方の接着面に接着剤を塗布
して、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在する
ように、それぞれの接着面を互いに重ね合わせる。その
後、被包部材の接着面に形成された鏡面に対向する側か
ら、すなわち透明基板のEL素子が形成されていない側
から紫外線を接着剤に照射する。その結果、接着剤が硬
化して、透明基板と被包部材とが強固に接合されるとと
もに、それらの接着面が封止されてEL素子が密封され
る。
【0017】なお、鏡面に対向する側から紫外線を接着
剤に照射する方法としては、接着剤の塗布幅と同じ幅の
照射面をもつ紫外線を用い、接着剤に一度または複数回
にわたって照射する方法が挙げられる。また、接着剤だ
けでなくEL素子が形成されている方向にも紫外線を照
射する手段を用いる場合には、EL素子をマスクで遮蔽
して接着剤に紫外線を照射する方法が挙げられる。
【0018】本EL素子の密封方法では、接着剤に照射
された紫外線のうち、接着剤を透過して被包部材の接着
面に入射した紫外線は、被包部材の接着面に形成された
鏡面により、入射してきた方向、すなわち外部の方向へ
反射させることができる。従って、被包部材の接着面で
の紫外線の乱反射を防ぐことができる。そのため、透明
基板内をその界面で反射しながらEL素子の方向に進む
紫外線の量を十分に減らすことができ、その結果として
EL素子に到達する紫外線の量を十分に減らすことがで
きる。
【0019】透明基板の材質および形状は特に限定され
るものではない。透明基板には、ガラス基板が用いられ
ることが多いが、透明な合成樹脂基板を用いることもで
きる。EL素子としては、公知のものを形成することが
でき、例えば、透明基板上に形成された透明な第1電極
層と、第1電極層上に形成された発光層と、発光層上に
形成された第2電極層とからなるものを形成することが
できる。
【0020】第1電極層の材料としては、ITO、AZ
O(Al添加ZnO)、SnO2などが挙げられる。こ
れらの材料からなる第1電極層は、スパッタリング法な
どによって形成することができる。発光層は、無機材料
から形成してもよいし、有機材料から形成してもよい。
発光層を有機材料から形成する場合には、第1電極層上
に形成された正孔輸送層と、正孔輸送層上に形成された
有機質の発光層と、発光層上に形成された電子輸送層と
からEL素子(有機EL素子)を構成することができ
る。いずれの層も公知の材料から形成することができ
る。例えば、正孔輸送層は、トリフェニルジアミン誘導
体などの第3級アミン誘導体や、MTDATA、ヒドラ
ゾンなどより形成することができる。有機質の発光層
は、トリスキノリノアルミニム錯体(Alq 3)や、キ
ナクリドン、ルブレン等のドーパントを含有したAlq
3などより形成することができる。電子輸送層は、Al
3、Bebq2、オキサジアゾール誘導体などより形成
することができる。これら各有機材料からなる層は、真
空蒸着法、ディップコーティング法、スピンコーティン
グ法、有機分子線エピタキシ法などの成膜方法を用いて
形成することができる。
【0021】第2電極層の材料としては、Mg−Ag合
金、Alなどの導電性金属が挙げられる。被包部材とし
ては、従来と同様にステンレスよりなるものを用いるこ
とができる。その形状は、EL素子を被包することがで
きれば特に限定されないが、例えば、一面に開口をもつ
箱状のものを用いることができる。この場合、被包部材
の接着面は、開口の周縁部の面にとられることになる。
【0022】一方、被包部材の接着面に形成される鏡面
は、その形成方法で特に限定されるものではないが、例
えばその接着面をよく研磨して十分に平滑にすることに
より形成することができる。ところで、EL素子と被包
部材との間に空間部(密閉空間)を設けてもよいし、E
L素子と被包部材とを完全に密着させてもよい。前者の
ように空間部を設ける場合には、空間部に窒素ガスなど
の不活性ガスを充填することが好ましい。
【0023】接着剤は、紫外線の照射により硬化するも
のであれば特に限定されるものではないが、例えばエポ
キシ樹脂を挙げることができる。以上のように、本EL
素子の密封方法によれば、接着剤に紫外線が照射される
際、EL素子が紫外線を直接受けないことはもちろんの
こと、間接的に受ける紫外線の量も十分に減らすことが
できるため、紫外線によるEL素子の劣化を十分に抑制
して、EL素子を容易に密封することができる。その結
果、駆動電圧や輝度などの諸性能に優れ、使用中に性能
が低下することのないEL素子を容易に量産することが
できるようになる。 [請求項2に記載のEL素子の密封方法]本EL素子の
密封方法では、前述のように、接着剤に照射した紫外線
が、透明基板内をその界面で反射しながらEL素子の形
成されている方向に進んだとき、EL素子に到達した紫
外線の強度が1μW/cm2以下に減衰しているよう
に、EL素子と接着剤との間隔の大きさを設定するとと
もに、透明基板のEL素子が形成されていない側から、
EL素子をマスクで遮蔽して紫外線を該接着剤に照射す
る他は、請求項1に記載のEL素子の密封方法と同様に
工程を進めることができる。
【0024】本EL素子の密封方法では、接着剤に照射
した紫外線の中に、図9及び図10に示したように、被
包部材の接着面でEL素子の方向に乱反射する紫外線
や、被包部材の接着面に透明基板の表面の法線に対して
EL素子の方向に斜めに反射される紫外線があると、そ
れらの紫外線は、透明基板内をその界面で反射しながら
EL素子の方向に進み、EL素子に到達する。
【0025】ここで、本発明者は、種々検討した結果、
EL素子に照射される紫外線の強度が1μW/cm2
下であれば、そのEL素子に駆動電圧の上昇が起こらな
いことを見いだした。本EL素子の密封方法では、EL
素子と接着剤との間隔が、その紫外線がEL素子に到達
したときには1μW/cm2以下に減衰するように適切
な大きさに設定されているため、透明基板内をその界面
で反射しながらEL素子の方向に進んでEL素子に到達
する紫外線の量を十分に減らすことができる。
【0026】以上のように、本EL素子の密封方法によ
れば、接着剤に紫外線が照射される際、EL素子が紫外
線を直接受けないことはもちろんのこと、間接的に受け
る紫外線の量も十分に減らすことができるため、紫外線
によるEL素子の劣化を十分に抑制して、EL素子を容
易に密封することができる。その結果、駆動電圧や輝度
などの諸性能に優れ、使用中に性能が低下することのな
いEL素子を容易に量産することができるようになる。 [請求項3に記載のEL素子の密封方法]本EL素子の
密封方法では、前述のように、接着剤に紫外線を吸収で
きる紫外線吸収剤を含有させるとともに、EL素子をマ
スクで遮蔽して、透明基板のEL素子が形成されていな
い側から紫外線を接着剤に照射する他は、請求項1に記
載のEL素子の密封方法と同様に工程を進めることがで
きる。
【0027】本EL素子の密封方法では、接着剤に紫外
線を照射したとき、接着剤を透過した紫外線が被包部材
の接着面で乱反射しても、その乱反射した紫外線は接着
剤に含まれる紫外線吸収剤に吸収される。その結果、透
明基板内をその界面で反射しながらEL素子の方向に進
んでEL素子に到達する紫外線の量を十分に減らすこと
ができる。
【0028】紫外線吸収剤は、その種類で特に限定され
るものではないが、例えば、ZrO 2やCeO2などを主
成分とする粉末を挙げることができる。また、その粉末
の粒子形態は特に限定されるものではないが、微小な粒
子形態の粉末を接着剤中に緻密に分散させれば、粉末の
紫外線の吸収効果を高くすることができる。特に、粉末
の含有量を接着剤に対して5〜10重量%とすれば、接
着剤の接着能を低下させることなく、粉末の紫外線の吸
収効果を確実に高くすることができる。
【0029】ところで、EL素子の電極層と外部電源と
を接続するリードを設ける必要がある。このリードは、
例えば透明基板上にリード層として形成され、透明基板
の接着面と被包部材の接着面との間隙を通じて外部へ導
出される。被包部材とリードとの電気絶縁性を保持した
り、リードが被包部材によって損傷されないようにする
ために、接着剤の塗布厚は、20〜50μmが好まし
い。
【0030】そこで、ZrO2やCeO2などを主成分と
する粉末を用いる場合、その粒子の粒径を20〜50μ
mとすれば、その粒子に透明基板の接着面と被包部材の
接着面とのスペーサの機能をもたせることもできる。な
お、本EL素子の密封方法では、被包部材の接着面で反
射する紫外線だけでなく、接着剤に入射する紫外線も紫
外線吸収剤に吸収されてしまうため、紫外線吸収剤に吸
収されてもなお接着剤を硬化させるのに十分な紫外線を
照射する。
【0031】以上のように、本EL素子の密封方法によ
れば、接着剤に紫外線が照射される際、EL素子が紫外
線を直接受けないことはもちろんのこと、間接的に受け
る紫外線の量も十分に減らすことができるため、紫外線
によるEL素子の劣化を十分に抑制して、EL素子を容
易に密封することができる。その結果、駆動電圧や輝度
などの諸性能に優れ、使用中に性能が低下することのな
いEL素子を容易に量産することができるようになる。 [請求項4に記載のEL素子の密封方法]本EL素子の
密封方法では、前述のように、透明基板の少なくとも一
方の側の表面上に、紫外線を吸収することができる皮膜
(以下、紫外線吸収皮膜と呼ぶことにする)を、接着剤
に照射される紫外線に対して接着剤を遮蔽しないように
設けてから、紫外線を接着剤に照射する他は、請求項1
に記載のEL素子の密封方法と同様に工程を進めること
ができる。
【0032】本EL素子の密封方法では、接着剤に紫外
線を照射したとき、被包部材の接着面でEL素子の方向
に乱反射する紫外線や、被包部材の接着面に透明基板の
表面の法線に対してEL素子の方向に斜めに反射される
紫外線があっても、それらの紫外線は、透明基板内をそ
の界面で反射しながらEL素子の方向に進む途中で紫外
線吸収皮膜に吸収される。その結果、EL素子に到達す
る紫外線の量を十分に減らすことができる。
【0033】紫外線吸収皮膜は、その材質で特に限定さ
れるものではないが、例えばZrO 2やCeO2などを含
有する皮膜であることが好ましい。特に、ZrO2及び
CeO2は紫外線の吸収能に優れるため、これらの酸化
物が含まれる紫外線吸収皮膜を用いれば、紫外線が効果
的に吸収されるようになる。中でも、ZrO2及びCe
2にTiO2を加えた3種の酸化物の少なくとも一種か
らなる紫外線吸収皮膜を設けることが望ましい。このよ
うな酸化物皮膜は、極めて効率的に紫外線を吸収するこ
とができる。
【0034】ところで、紫外線吸収皮膜を透明基板上に
設けたままにしてEL素子を使用するのであれば、その
紫外線吸収皮膜には、EL素子から発光される光を透過
できるものを設ける必要がある。前述の酸化物皮膜は、
EL素子から発光される光を透過できる点でも優れてい
る。また、紫外線吸収皮膜が紫外線を全く透過させない
もの、すなわち紫外線を遮蔽できるものであれば、接着
剤が設けられている方向だけでなくEL素子の方向にも
紫外線を照射する紫外線照射手段を用いても、EL素子
は紫外線吸収皮膜によって紫外線を直接受けることが防
止される。一方、紫外線吸収皮膜が紫外線を完全には遮
蔽できないものであれば、請求項1に記載のEL素子の
密封方法で説明した紫外線を接着剤に照射する方法を用
いて、接着剤に紫外線を照射する。
【0035】以上のように、本EL素子の密封方法によ
れば、接着剤に紫外線が照射される際、EL素子が紫外
線を直接受けないことはもちろんのこと、間接的に受け
る紫外線の量も十分に減らすことができるため、紫外線
によるEL素子の劣化を十分に抑制して、EL素子を容
易に密封することができる。その結果、駆動電圧や輝度
などの諸性能に優れ、使用中に性能が低下することのな
いEL素子を容易に量産することができるようになる。 [請求項5に記載のEL素子の密封方法]本EL素子の
密封方法では、紫外線吸収皮膜として、樹脂フィルム
と、その樹脂フィルム中に分散された紫外線を吸収でき
る紫外線吸収剤とからなる皮膜を用意し、透明基板のE
L素子が形成されていない側の表面上に貼着する他は、
請求項4に記載のEL素子の密封方法と同様に工程を進
めることができる。
【0036】本紫外線吸収皮膜は、その形成が容易であ
る上に、透明基板に容易に貼着することができる。その
ため、紫外線吸収皮膜を透明基板に形設するコストを小
さいものとすることができる。また、EL素子から発光
される光を透過できないものを用いても、EL素子を使
用する際には、その紫外線吸収皮膜を容易に剥がすこと
ができる。さらに、剥がした紫外線吸収皮膜は再利用す
ることができる。
【0037】本EL素子の密封方法によれば、紫外線に
よるEL素子の劣化を十分に抑制してEL素子を密封す
ることを、安価に行うことができる。そのため、駆動電
圧や輝度などの諸性能に優れ、使用中に性能が低下する
ことのないEL素子を安価に量産することができるよう
になる。紫外線吸収皮膜については、樹脂フィルムの材
質で特に限定されるものではないが、ポリ塩化ビニル、
ポリエステル、PET、PP、PEなどを用いることが
できる。また、樹脂フィルムは、その屈折率が透明基板
より大きいことが望ましい。このような屈折率の大きい
樹脂フィルムを用いることにより、ガラス基板とフィル
ムとの界面での反射を低減し、効果的に紫外線を紫外線
吸収剤に吸収させることができるようになる。
【0038】一方、紫外線吸収剤については、ZrO2
やCeO2などを主成分とする粉末を用いることができ
る。その粉末の粒子形態は特に限定されるものではない
が、微小な粒子形態の粉末を樹脂フィルム中に緻密に分
散させれば、粉末の紫外線の吸収効果を高くすることが
できる。特に、粉末の含有量を樹脂フィルムに対して5
〜10重量%とすれば、樹脂フィルムの粘着能を低下さ
せることなく、粉末の紫外線の吸収効果を確実に高くす
ることができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 [実施例1]先ず、図2に示したように、透明基板とし
て厚さ1.1mmのガラス基板を用意し、そのガラス基
板上に、ITOよりなる透明な第1電極層(陽極)、T
PDよりなる正孔輸送層、Alq3よりなる発光層、A
lq3よりなる電子輸送層、及びMg−Ag合金よりな
る第2電極層(陰極)が順に積層されてなる有機EL素
子を複数形成した。なお、それらの有機EL素子の各層
は、真空蒸着法によりそれぞれ所定の厚さで形成した。
【0040】また、被包部材としては、一面に開口をも
つ箱状のステンレス(SUS)よりなる被包部材を用意
した。この被包部材は、有機EL素子が形成された透明
基板に重ね合わせられたときに、有機EL素子と被包部
材との間に空間部を形成するものである。この被包部材
では、その開口の周縁に透明基板との接着面をもつ突出
部が形成されて接着面が広くとられており、その接着面
に鏡面が形成されている。この鏡面は、被包部材の接着
面をよく研磨して十分に平滑にすることにより形成し
た。なお、被包部材の開口の幅は、以下のことを考慮し
て、図2に示したように、複数の有機EL素子のうち最
も外側に位置する有機EL素子と、接着剤との間隔の大
きさが1.6mmになるように設定した。
【0041】本実施例では、長さ250mmの紫外線ラ
ンプを用意し、被包部材の接着面に形成された鏡面に対
向する側、すなわち透明基板の有機EL素子が形成され
ていない側において、接着剤から300mm離れた位置
にその紫外線ランプを設置して接着剤に紫外線を照射す
る。このとき、被包部材の接着面に入射する紫外線の中
には、透明基板の表面の法線方向に対して入射角度が1
2°にもなる紫外線が現れる。入射角度が12°の紫外
線は、1回の反射で0.4mm内側に反射する。
【0042】ところで、本実施例で使用する接着剤は、
その硬化に100mW/cm2の紫外線の照射を必要と
する。紫外線は1回の反射でその強度を約4%に減衰す
るため、100mW/cm2の紫外線は、4回以上反射
させれば1μW/cm2以下に減衰する。従って、有機
EL素子と接着剤との間隔の大きさを1.6mm以上に
設定すれば、紫外線を4回以上反射させることができ
る。そこで、出来る限り有機EL素子と接着剤との間隔
の大きさを小さくして、透明基板及び被包部材の小型化
を図るため、その間隔の大きさを、紫外線が1μW/c
2以下に減衰する限界値の1.6mmに設定した。
【0043】こうして用意された透明基板及び被包部材
の少なくとも一方の接着面に接着剤を塗布し、図1に示
すように、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、窒素ガスの雰囲気中でそれぞれの接着面を
互いに重ね合わせた。透明基板及び被包部材を固定治具
で支持し、透明基板及び被包部材の接着面の間に介在さ
れた接着剤に対して、先述の所定位置に紫外線ランプを
設置した。図1で示したように、ガラス板の表面上にC
r皮膜が形成されたマスクであって、紫外線ランプから
発せられる紫外線に対して、接着剤は遮蔽せず、有機E
L素子及び固定治具などは遮蔽するマスクを用い、接着
剤に紫外線を100mW/cm 2の強度で照射した。そ
の結果、接着剤が硬化して、透明基板と被包部材とが互
いに強固に接着され、かつそれらの接着面が封止されて
有機EL素子が密封された。
【0044】本実施例では、接着剤に紫外線を照射した
とき、接着剤を透過して被包部材の接着面に入射した紫
外線は、図1に示したように、その接着面に形成された
鏡面により、入射してきた方向、すなわち外部へ反射さ
れる。その結果、透明基板内をその界面で反射しながら
有機EL素子の方向に進んで有機EL素子に到達する紫
外線の量が十分に減らされる。
【0045】さらに、接着剤に照射された紫外線のう
ち、透明基板の表面の法線に対して有機EL素子のある
方向に斜めに入射したものは、図1に示したように、少
なくとも4回反射することになり、有機EL素子に到達
したときの減衰強度が1μW/cm2以下となる。その
結果、透明基板内をその界面で反射しながら有機EL素
子の方向に進んで有機EL素子に到達する紫外線の量が
十分に減らされる。 [実施例2]実施例1と同様にして、厚さ1.1mmの
透明ガラス上に有機EL素子を形成した。また、被包部
材として、実施例1で使用した被包部材と同様のものを
用意した。ただし、その開口の径は、実施例1のように
限定せずに、複数の有機EL素子を被包できるのに十分
な大きさとした。
【0046】こうして用意された透明基板及び被包部材
の少なくとも一方の接着面に接着剤を塗布し、図3に示
すように、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、窒素ガスの雰囲気中で透明ガラス及び被包
部材を固定治具で支持しながら、それぞれの接着面を互
いに重ね合わせた。なお、紫外線吸収剤が含まれる紫外
線硬化接着剤は、エポキシ系接着剤に、紫外線吸収剤で
あるZrO2粉末(平均粒径が20μm)を5〜10重
量%混合して調製したものを用いた。紫外線吸収剤は、
図4に示すように透明基板の接着面と被包部材の接着面
とのスペーサの役割をすることができる。
【0047】続いて、実施例1と同様の位置に同様の紫
外線ランプを設置し、図3に示すように、実施例1で使
用したマスクと同様のマスクを用い、接着剤に紫外線を
所定の強度で照射した。その結果、接着剤が硬化して、
透明基板と被包部材とが互いに強固に接着され、かつそ
れらの接着面が封止されて有機EL素子が密封された。
【0048】本実施例では、接着剤に照射された紫外線
のうち、接着剤を透過して被包部材の接着面に入射した
紫外線が、その接着面で有機EL素子の方向に乱反射し
ても、接着剤に含まれる紫外線吸収剤に吸収される。そ
の結果、透明基板内をその界面で反射しながら有機EL
素子の方向に進んで有機EL素子に到達する紫外線の量
が十分に減らされる。 [実施例3]透明基板として厚さ1.1mmの透明ガラ
スを用意し、その透明ガラスの一方の側の表面上の一部
にZrO2よりなる紫外線吸収皮膜を形成するととも
に、他方の側の表面上に実施例1と同様にして有機EL
素子を形成した。なお、この紫外線吸収皮膜は、スパッ
タリング法により200〜300nmの厚さで形成し
た。
【0049】実施例2と同様の被包部材を用意して、透
明基板及び被包部材の少なくとも一方の接着面に接着剤
を塗布し、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、窒素ガスの雰囲気中で透明基板及び被包部
材を固定治具で支持しながら、それぞれの接着面を互い
に重ね合わせた。続いて、実施例1と同様の位置に同様
の紫外線ランプを設置し、実施例1で使用したマスクと
同様のマスクを用い、接着剤に紫外線を所定の強度で照
射した。その結果、接着剤が硬化して、透明基板と被包
部材とが互いに強固に接着され、かつそれらの接着面が
封止されて有機EL素子が密封された。
【0050】本実施例では、接着剤に紫外線を照射した
とき、被包部材の接着面で有機EL素子の方向に乱反射
する紫外線や、被包部材の接着面に透明基板の表面の法
線に対して有機EL素子の方向に斜めに反射される紫外
線があっても、透明基板内をその界面で反射しながら有
機EL素子の方向に進む途中で、図5に示すように紫外
線吸収皮膜に吸収される。その結果、有機EL素子に到
達する紫外線の量が十分に減らされる。 [実施例4]透明基板として厚さ1.1mmの透明ガラ
スを用意し、その透明ガラスの一方の側の表面上の一部
にZrO2よりなる紫外線吸収皮膜を形成するととも
に、この紫外線吸収皮膜の表面上に実施例1と同様にし
て有機EL素子を形成した。なお、この紫外線吸収皮膜
は、スパッタリング法により200〜300nmの厚さ
で形成した。
【0051】実施例2と同様の被包部材を用意して、透
明基板及び被包部材の少なくとも一方の接着面に接着剤
を塗布し、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、窒素ガスの雰囲気中で透明基板及び被包部
材を固定治具で支持しながら、それぞれの接着面を互い
に重ね合わせた。続いて、実施例1と同様の位置に同様
の紫外線ランプを設置し、図6に示すように、実施例1
で使用したマスクと同様のマスクを用い、接着剤に紫外
線を所定の強度で照射した。その結果、接着剤が硬化し
て、透明基板と被包部材とが互いに強固に接着され、か
つそれらの接着面が封止されて有機EL素子が密封され
た。
【0052】本実施例では、接着剤に紫外線を照射した
とき、被包部材の接着面で有機EL素子の方向に乱反射
する紫外線や、被包部材の接着面に透明基板の表面の法
線に対して有機EL素子の方向に斜めに反射される紫外
線があっても、透明基板内をその界面で反射しながら有
機EL素子の方向に進む途中で、図6に示したように紫
外線吸収皮膜に吸収される。その結果、有機EL素子に
到達する紫外線の量が十分に減らされる。 [実施例5]透明基板として厚さ1.1mmの透明ガラ
スを用意し、その透明ガラスの一方の側の表面上の一部
に、樹脂フィルムと、その樹脂フィルム中に分散された
紫外線吸収剤とからなる紫外線吸収皮膜を貼着するとと
もに、他方の側の表面上に実施例1と同様にして有機E
L素子を形成した。なお、この紫外線吸収皮膜において
は、樹脂フィルムとして、屈折率がガラス(屈折率1.
53)より小さいポリ塩化ビニルを用い、紫外線吸収剤
としてZrO2粉末を用いた。
【0053】実施例2と同様の被包部材を用意して、透
明基板及び被包部材の少なくとも一方の接着面に接着剤
を塗布し、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、窒素ガスの雰囲気中で透明基板及び被包部
材を固定治具で支持しながら、それぞれの接着面を互い
に重ね合わせた。続いて、実施例1と同様の位置に同様
の紫外線ランプを設置し、図7に示すように、実施例1
で使用したマスクと同様のマスクを用い、接着剤に紫外
線を所定の強度で照射した。その結果、接着剤が硬化し
て、透明基板と被包部材とが互いに強固に接着され、か
つそれらの接着面が封止されて有機EL素子が密封され
た。紫外線を照射した後、透明基板から紫外線吸収皮膜
を剥がして、密封された有機EL素子を下記の駆動電圧
及び輝度の測定に供した。本実施例では、接着剤に紫外
線を照射したとき、被包部材の接着面で有機EL素子の
方向に乱反射する紫外線や、被包部材の接着面に透明基
板の表面の法線に対して有機EL素子の方向に斜めに反
射される紫外線があっても、透明基板内をその界面で反
射しながら有機EL素子の方向に進む途中で、図7に示
したように紫外線吸収皮膜に吸収される。その結果、有
機EL素子に到達する紫外線の量が十分に減らされる。 [比較例1]透明基板として厚さ1.1mmの透明ガラ
スを用意し、その透明ガラス上に実施例1と同様にして
有機EL素子を形成した。
【0054】実施例2と同様の被包部材を用意して、透
明基板及び被包部材の少なくとも一方の接着面に接着剤
を塗布し、それらの接着面の間に隙間なく接着剤が介在
するように、透明基板及び被包部材を固定治具で支持し
ながら、それぞれの接着面を互いに重ね合わせた。続い
て、実施例1と同様の位置に同様の紫外線ランプを設置
し、図8に示したように、有機EL素子のみを遮蔽する
ことのできるマスクを用い、接着剤に紫外線を所定の強
度で照射した。その結果、接着剤が硬化して、透明基板
と被包部材とが互いに強固に接着され、かつそれらの接
着面が封止されて有機EL素子が密封された。 [比較例2]透明基板として厚さ1.1mmの透明ガラ
スを用意し、その透明ガラス上に実施例1と同様にして
有機EL素子を形成し、直ぐさま下記の駆動電圧及び輝
度の測定に供した。 [評価]以上の実施例及び比較例1で密封された各有機
EL素子、並びに比較例2の有機EL素子について、1
0mA/cm2の電流で駆動させたときの駆動電圧、及
びそのときの発光輝度をそれぞれ測定した。それらの測
定結果を表1に示す。
【0055】
【表1】 表1において、実施例及び比較例1で密封された各有機
EL素子の測定結果と、比較例2の有機EL素子の測定
結果とを比較すると、次のことがわかる。
【0056】各実施例で密封された有機EL素子では、
いずれも比較例1で密封された有機EL素子に比べて、
駆動電圧の上昇の度合いが小さいことがわかる。また、
輝度についても、全く低下していないか、または低下し
ていてもその低下の度合いが小さいことがわかる。特に
実施例4及び実施例5で密封された有機EL素子は、駆
動電圧の上昇の度合いが極めて小さく、かつ輝度が全く
低下していないことがわかる。このように各実施例のE
L素子の密封方法により、比較例2の有機EL素子とほ
ぼ同等の優れた性能をもつ有機EL素子が得られた理由
としては、次のように考えられる。
【0057】実施例及び比較例1のEL素子の密封方法
では、接着剤に紫外線を照射する際に、いずれの有機E
L素子も紫外線を直接受けていないため、輝度などの性
能の大幅な低下は防止されている。しかしながら、比較
例1のEL素子の密封方法では、被包部材の接着面で有
機EL素子の方向に乱反射した紫外線や、被包部材の接
着面や治具の表面で透明基板の表面の法線に対して有機
EL素子の方向に斜めに反射した紫外線により、有機E
L素子が十分に減衰していない紫外線を間接的に受けて
いることが考えられる。その結果、間接的に受ける紫外
線による有機EL素子の劣化により、有機EL素子の駆
動電圧が上昇したものと考えられる。
【0058】比較例1のEL素子の密封方法に対し、各
実施例のEL素子の密封方法では、先述したように、接
着剤に紫外線を照射する際に有機EL素子が間接的に受
ける紫外線の量が十分に減らされている。その結果、間
接的に受ける紫外線による有機EL素子の劣化が十分に
抑制され、有機EL素子の駆動電圧や輝度などの性能の
低下が防止されたと考えられる。特に、実施例4及び実
施例5のEL素子の密封方法では、有機EL素子の劣化
の抑制効果が大きく、有機EL素子の駆動電圧や輝度な
どの性能の低下が極めて効果的に防止されたと考えられ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1において、接着剤に紫外線を照射し
ている様子を概略的に示すとともに、照射された紫外線
の挙動の一例を概略的に示す縦断面図である。
【図2】 図1で示される一部分を拡大して示した拡大
断面図である。
【図3】 実施例2において、接着剤に紫外線を照射し
ている様子を概略的に示す縦断面図である。
【図4】 図3で示される接着剤を拡大して示した拡大
断面図である。
【図5】 実施例3において、接着剤に紫外線を照射し
ている様子を概略的に示すとともに、照射された紫外線
の挙動の一例(乱反射した紫外線の挙動)を概略的に示
す縦断面図である。
【図6】 実施例4において、接着剤に紫外線を照射し
ている様子を概略的に示すとともに、照射された紫外線
の挙動の一例(乱反射した紫外線の挙動)を概略的に示
す縦断面図である。
【図7】 実施例5において、接着剤に紫外線を照射し
ている様子を概略的に示すとともに、照射された紫外線
の挙動の例(乱反射した紫外線の挙動など)を概略的に
示す縦断面図である。
【図8】 従来例において、接着剤に紫外線を照射して
いる様子を概略的に示す縦断面図である。
【図9】 図8で示される一部分を拡大して示すととも
に、被包部材の接着面で紫外線が乱反射している様子を
示した拡大断面図である。
【図10】 従来例において、照射された紫外線の挙動
の一例を概略的に示す縦断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 毅彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB11 BB01 DA01 DB03 EA01 EB00 EC00 FA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面上にEL素子が形成された透明基板
    と、該EL素子を被包する被包部材とを用意し、該透明
    基板の接着面と該被包部材の接着面との間に紫外線の照
    射により硬化する接着剤を隙間なく介在させてから、該
    接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化させることに
    より、該透明基板及び該被包部材を互いに接着して該E
    L素子を密封するEL素子の密封方法であって、 前記被包部材の接着面に鏡面を形成するとともに、該鏡
    面に対向する側から前記紫外線を該接着剤に照射するこ
    とを特徴とするEL素子の密封方法。
  2. 【請求項2】 表面上にEL素子が形成された透明基板
    と、該EL素子を被包する被包部材とを用意し、該透明
    基板の接着面と該被包部材の接着面との間に紫外線の照
    射により硬化する接着剤を隙間なく介在させてから、該
    接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化させることに
    より、該透明基板及び該被包部材を互いに接着して該E
    L素子を密封するEL素子の密封方法であって、 前記接着剤に照射した前記紫外線が、前記透明基板内を
    その界面で反射しながら前記EL素子の形成されている
    方向に進んだとき、該EL素子に到達した紫外線の強度
    が1μW/cm2以下に減衰しているように、該EL素
    子と該接着剤との間隔の大きさを設定するとともに、該
    透明基板の該EL素子が形成されていない側から該紫外
    線を該接着剤に照射することを特徴とするEL素子の密
    封方法。
  3. 【請求項3】 表面上にEL素子が形成された透明基板
    と、該EL素子を被包する被包部材とを用意し、該透明
    基板の接着面と該被包部材の接着面との間に紫外線の照
    射により硬化する接着剤を隙間なく介在させてから、該
    接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化させることに
    より、該透明基板及び該被包部材を互いに接着して該E
    L素子を密封するEL素子の密封方法であって、 前記接着剤として、前記紫外線を吸収できる紫外線吸収
    剤を含有する接着剤を用い、前記透明基板の該EL素子
    が形成されていない側から該紫外線を該接着剤に照射す
    ることを特徴とするEL素子の密封方法。
  4. 【請求項4】 表面上にEL素子が形成された透明基板
    と、該EL素子を被包する被包部材とを用意し、該透明
    基板の接着面と該被包部材の接着面との間に紫外線の照
    射により硬化する接着剤を隙間なく介在させてから、該
    接着剤に紫外線を照射して該接着剤を硬化させることに
    より、該透明基板及び該被包部材を互いに接着して該E
    L素子を密封するEL素子の密封方法であって、 前記透明基板の少なくとも一方の側の表面上に、紫外線
    を吸収することができる皮膜を、前記接着剤に照射され
    る前記紫外線に対して該接着剤を遮蔽しないように設け
    てから、該紫外線を該接着剤に照射することを特徴とす
    るEL素子の密封方法。
  5. 【請求項5】 前記皮膜は、樹脂フィルムと、該樹脂フ
    ィルム中に分散された前記紫外線を吸収できる紫外線吸
    収剤とからなり、前記透明基板の前記EL素子が形成さ
    れていない側の表面上に貼着されている請求項4に記載
    のEL素子の密封方法。
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