JP4722011B2 - ハトムギ加工品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハトムギ加工品の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、全粒焙煎ハトムギを、高温高圧水蒸気で、連続的に通気処理して、ハトムギ加工品、さらにはハトムギ加工品の溶媒抽出液中の香味を向上させるためのハトムギの処理方法に関し、特に工業レベルにおいても実施可能なハトムギの処理方法に関する。本発明はさらに、ハトムギ加工品を溶媒で抽出する工程を含む、飲料の製造方法に関する。
茶飲料を含む飲料や食品に新たな香味を与えるために、原料に特別な処理を施すことが試みられている。このうち、高温高圧水蒸気の活用に基づくアプローチとして、特許文献1は、特にリグニンを含む植物等を特定条件下、高温高圧の液体等で処理し、バニリン含有組成物を得る方法を記載する。特許文献2は、ウロン酸及び/又はウロン酸誘導体を含有する糖化合物含有物を添加有機酸類の存在下で、湿式加圧下の加熱で処理することを記載し、ほうじ茶、タマネギ等を、湿式加圧のゲージ圧1kg/cm2(120℃)で4時間加熱する実施例を記載する。
茶飲料等の製造に用いられる原料の1つとして、ハトムギがある。ハトムギは、イネ科キビ亜科ジュズダマ属の一年生草本(学名: Coix lachryma-jobi var. ma-yuen)であり、ムギという名を有するが、分類上はトウモロコシに近縁の植物である。ハトムギの草本は1〜1.8mに達し、その種子はジュズダマに似て茶褐色の殻(総苞)を有し、ジュズダマより柔らかく縦縞があり、種子の内側に薄茶色の薄皮(護頴,内外頴)に包まれた子実(玄米に相当)がある。ハトムギは、漢方薬(利尿、鎮痛、消炎、滋養強壮、美肌、抗潰瘍、新陳代謝増加等)、ハトムギ茶等に利用され、近年、消費者の間に健康を志向した食品への関心が高まったこともあって、需要が増加している。
ハトムギを飲料等の原料として用いる際の課題として、製造上の課題と、香味品質上の課題が上げられる。前者について、ハトムギは堅い殻、かさ高な薄皮を有することが、食品原料としての利用面からは短所と言われてきた。後者について、ハトムギは不快臭や苦味があると言われ、特に精白より未精白の場合に不快臭が感じられると考えられており、このような香味品質上の課題を解決するための方策として、例えば、特許文献3は、ハトムギを発芽させた後に焙焼し、煎出することにより、特有の臭みが無くなり、甘みと適当な苦味と芳香を有し、飲料として好ましくなることを開示する。また、特許文献4は、脱穀したハトムギ又は精白ハトムギを、高圧下で加熱処理し、次いで急激に低圧下に放出して膨化させて不快臭が除去された膨化ハトムギを得ることを開示する。
しかし、これらの方法は、上記製造上の課題と香味品質上の課題を共に解決するには充分とは言えず、飲料等の原料として用いるのに好ましいハトムギ加工品を得るためのハトムギの処理方法が求められていた。
WO 2004/039936 特開平11-151068 特公昭40-12391 特公昭55-19073
そのような背景の中、本発明者らは、高温高圧水蒸気によるハトムギの処理に着目した。ここで、ハトムギを含む穀物を高温高圧水蒸気にて処理すると、穀物の未利用成分の大半であるデンプン・セルロース類等が加水分解し、単糖類、ニ糖類、オリゴ糖類などが生ずることが予想されるが、これらの成分は、高温高圧下においては溶解しており、常温常圧下の低水分状態においては、固化する特性がある。この特性が大きな製造上の課題をもたらしている。すなわち、処理中の溶融成分に関し、系外への流出とそれに伴う回収ロス、品質の不均一化、更には装置ダウンフローへの負荷が生じる。また、処理後の処理装置への該成分の強固な固着のため、処理後原料の回収が極めて困難であると同時に、更なる回収ロスが問題となる。現在、飲料市場の大半を占める茶飲料の製造においては、いかに多くの製造量を確保し、かつ製造コストを低く抑えるかということが、高品質であることとともに命題となっている。さらに、香味の点に関して、従来のハトムギの高温高圧水蒸気処理では、不快臭や苦味を低減させることを含む香味品質上の課題の解決が充分ではなかった。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、大麦やトウモロコシのような穀類とは異なるハトムギの硬い穀皮に着目した。通常、内部成分をより効率的に抽出させるために粉砕処理を事前に施すが、ハトムギを脱穀・粉砕せず穀皮付で全粒のまま高温高圧水蒸気処理を施し、また、水蒸気処理前のハトムギの焙煎の有無について検討し、さらに、水蒸気を連続的に通気させることによる品質の均一性確保や装置への固着の回避を検討し、香味の向上したハトムギ加工品を、工業レベルにおいても簡易に得られるハトムギの処理方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、全粒焙煎ハトムギを、有効処理流量の高温高圧水蒸気で、有効処理時間、連続的に通気処理してハトムギ加工品を得ることを特徴とする、ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はまた、前記高温高圧水蒸気の、温度が約160℃〜約210℃、好ましくは約180℃〜約205℃、より好ましくは約200℃前後であり、圧力が0.1〜3.0Mpa、好ましくは1.0〜2.0MPaである、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はまた、前記有効処理流量が、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hr、好ましくは0.5〜20kg/hr、より好ましくは0.5〜10kg/hr程度である、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はまた、前記有効処理時間が、約0.5分以上約30分未満、好ましくは約1分〜約20分、より好ましくは約3分〜約10分、さらに好ましくは約5分前後である、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はまた、前記水蒸気が、飽和水蒸気である、前記ハトムギの処理方法を提供する。本発明はまた、前の処理方法のいずれかで全粒焙煎ハトムギを処理することにより得られた、抽出率の高まった、飲食品用ハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、全粒焙煎ハトムギを、約160℃〜約210℃、好ましくは約180℃〜約205℃、より好ましくは約200℃前後の飽和水蒸気で、約0.5分以上約30分未満、好ましくは約1分〜約20分、より好ましくは約3分〜約10分、さらに好ましくは約5分前後、連続的に通気処理してハトムギ加工品を得る工程;及び該ハトムギ加工品を溶媒で抽出してハトムギ加工品抽出液を得る工程;を含む、飲料の製造方法を提供する。このような製造方法で得られた飲料は、香味が改善しており、また、このような製造方法は、工業レベルにおいても行うことが出来るものである。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中の食物繊維含有量が処理前のハトムギと比較して(例えば90wt%以下、好ましくは80wt%以下、より好ましくは75wt%以下に)減少した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中のデンプン含有量が処理前のハトムギと比較して減少した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中の糖質含有量が処理前のハトムギと比較して(例えば10wt%以上、好ましくは20wt%以上、より好ましくは30wt%以上)増加した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中のオリゴ糖、特にマルトースオリゴ糖含有量が処理前のハトムギと比較して増加した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中のピラジン類、特にアルキルピラジン類、より特定すれば2-エチル-3-メチルピラジンの含有量が、処理前のハトムギと比較して増加した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品中のピラジン類の種類が処理前のハトムギと比較して増加した、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はさらに、前記ハトムギ加工品を溶媒で抽出した場合に処理前のハトムギと比較して抽出率が(好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、若しくは2倍程度に)向上する、前記ハトムギの処理方法を提供する。
本発明はまた、前記処理方法によって得られたハトムギ加工品を提供する。
本発明はまた、前記ハトムギ加工品抽出液が、ハトムギ抽出液と比較して、オリゴ糖含有量が増加した、前記飲料の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記ハトムギ加工品抽出液が、ハトムギ抽出液と比較して、香味が向上し、不快臭・苦味が低減した、前記飲料の製造方法を提供する。
本発明はまた、前記飲料の製造方法により得られた飲料を提供する。
(ハトムギ)
本明細書中において、特記しない限り、用語「ハトムギ」は、ハトムギの種子を指す。本発明の処理方法に用いる「ハトムギ」とはイネ科キビ亜科の一年生草本(学名: Coix lachryma-jobi var. ma-yuen)の種子(果実が黒褐色に成熟する頃(一般に9〜10月頃)に収穫)であり、品種、産地、グレード等は特に限定されない。ハトムギの種子は茶褐色の殻(総苞)を有しており、これは、脱穀により除くことができ、また、該殻の内側の薄茶色の薄皮(護頴,内外頴)は、精白により除くことが出来る。さらに、硬い殻の内部成分をより効率的に抽出させるために粉砕処理を事前に施すことが通常行われるが、本発明の処理方法において、処理中の溶融成分の系外への流出とそれに伴う回収ロス、品質の不均一化、装置への負荷、また、処理後の処理装置への該成分の強固な固着を回避するという観点からは、本発明の処理方法に用いるハトムギは、脱穀、精白をしない、殻付きの未脱穀ハトムギが好ましく、特に粉砕工程を経ない全粒ハトムギを用いる。なお、保管・運搬などにより多少欠ける程度のものはこの全粒ハトムギに含まれる。後述の実施例1に記載のように、全粒ハトムギを用いた場合、粉砕ハトムギを用いた場合と比較して、本発明の処理方法で処理した後の原料の装置への固着がほとんどなく、工業的生産の際にハトムギ加工品を回収しやすい。また、刺激的で好ましくない香りに寄与する成分等をハトムギから除去することが可能なまま、処理後に排出された蒸気中への香ばしい香りに寄与する成分等の流出は抑えられる。
本発明の処理方法に用いるハトムギは、生の状態、乾燥した状態、これらを焙煎した状態であることが出来るが、得られる加工品の香味に着目して、特に焙煎ハトムギを用いる。本明細書中において、焙煎機、焙煎方法、焙煎度は特に限定されない。一般的な焙煎機として、水平(横)ドラム型焙煎機等があり、焙煎方法は、加熱方法で分類すると、直火、熱風、遠赤外線、マイクロウェーブなどの方法がある。例えば、プロバット焙煎機MB-2CODR-APを用い、全粒ハトムギを約200℃で約15分焙煎して全粒焙煎ハトムギを得ることができる。穀物の焙煎度を定義する指標として、L値(明度)が一般的に用いられる。本発明の処理方法において、例えば、L20(焙煎度高)〜L50(焙煎度低)、特にL30〜L35のL値の全粒焙煎ハトムギを用いることができる。
(高温高圧水蒸気)
本発明の処理方法において用いる高温高圧水蒸気について以下に説明する。
水蒸気の種類:水蒸気の種類は特に限定されず、飽和水蒸気、過熱水蒸気、過飽和水蒸気などを用いることができるが、作業性、操作性の観点からは、飽和水蒸気が好ましい。また、蒸気の発生装置は特に限定されず、蒸気ボイラー、和釜などを用いることができる。蒸気の水質は、純水から発生させた蒸気であるピュアスチームが好ましいが、食品の処理に使用可能な水質であればよく、特に限定されず、場合によっては、蒸留水、脱塩水、水道水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水あるいは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール等)や無機塩類を含む水などを、装置への負担を考慮した上で適宜用いて、蒸気を発生させてもよい。また、処理後のハトムギ加工品の品質が許容される範囲であれば、水蒸気は一部循環させて使用してもよい。また、本発明の処理の際に酸化反応を抑えることを目的として、脱気した水から発生させた水蒸気を用いることもできる。本発明の処理方法における処理の際の酸素濃度は、通常の溶存酸素計(DOメータ)等公知の方法で測定した場合に、約0〜1μg/mLの範囲にあると考えられる。
温度及び圧力条件:高温高圧水蒸気の温度は、約100〜240℃であることが出来るが、約160℃〜約210℃、特に約180℃〜約205℃、より特定すれば約200℃前後が好ましい。処理温度が低すぎるとコクや甘み、香ばしい香りの付与効果や不快臭・苦味の除去効果が少なく、また、高すぎるとコゲ臭が強くなる。
高温高圧水蒸気の圧力は、0.1〜3.0MPa、特に1.0〜2.0MPaが好ましい。圧力が高いほど酸味・雑味成分の除去率が上がるが、一方で、圧力が高すぎるとコゲや新たな酸味成分が発生する。また、本発明においては、圧力が飽和水蒸気圧であることが好ましい。なお、本明細書で「圧力」というときは「ゲージ圧力」を意味する。従って、例えば「圧力0.1MPa」は絶対圧力に換算すると、大気圧に0.1MPaを加えた圧力となる。
なお、高温高圧水蒸気として飽和水蒸気を用いる場合、温度条件と圧力条件は、対応関係にあり、約150℃〜210℃の温度に相当する圧力は、約0.35 MPa〜1.8 MPaである。
(連続的通気処理)
本発明において、「連続的に通気処理」するとは、所定の圧力及び/又は温度の水蒸気でハトムギを処理する際に、排気弁が常に開いた状態で処理を行うこと、或いは、排気弁が半連続的に開いた状態で処理を行うことを言う。より具体的には、水蒸気入口配管及び水蒸気出口配管を有する耐圧の圧力容器中にハトムギを配し、出口配管の弁を常に又は半連続的に開いた状態で、水蒸気を入口配管から出口配管へ流し、圧力容器中のハトムギに連続的に接触させる。
本明細書中において、連続的な通気処理の際に排気弁を閉めて同様の処理を行えば、非通気処理となる。その他の非通気処理の例として、蒸煮釜(圧力釜)やオートクレーブを用いた処理が挙げられる。例えば、蒸煮では、一般的に、処理対象物を水蒸気処理する際に、所定の圧力(または温度)に到達すると、排気弁を閉じて、所定時間の保持を行う。
(装置の種類)
本発明の処理に用いる装置の種類は特に限定されず、高温高圧水蒸気による連続的な通気処理が制御できる装置であればよく、横型や縦型、バッチ式や連続式の装置を用いることができる。例えば、後述の実施例中で用いるような装置を用いることができる。
(加工槽及び管路)
本発明の処理方法でハトムギを安定して処理し、高品質のハトムギ加工品を得るには、通気させる水蒸気の処理流量及び処理時の装置内の温度及び圧力の制御が重要となる。主な制御法として、通気させる水蒸気の温度と圧力との相関を利用し、装置内の温度及び圧力を制御することができる。具体的には、任意の加工槽の形状や材質に対し、通気水蒸気に関して適当な管路径、配管材質、管路数などを選択し設計し、さらにはコントロール弁等で管路を自由に制御できる装置を取り付けた加工槽を用いることで、加工槽内を所望の一定の圧力及び温度下に保持しつつ、所望の処理流量で水蒸気を通気させることができる。
(有効処理流量)
本発明の処理方法において、高温高圧水蒸気による通気処理の際の有効処理流量とは、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理流量である。処理流量は、原料の単位重量あたりに接触する水の単位時間当たりの重量によって規定することが出来る。機械の設定としては、総水蒸気流量を調整する。本発明の処理方法における有効処理流量は、ハトムギ1kgあたり、0.1〜100kg/hrであることができ、好ましくは、ハトムギ1kgあたり、0.5〜20kg/hr、特に好ましくは、0.5〜10kg/hrである。
(有効処理時間)
本発明の処理方法において、高温高圧水蒸気による通気処理の際の有効処理時間とは、所望のハトムギ加工品を得ることを許容するような処理時間であり、約0.5分以上約30分未満が好ましく、約1分〜約20分がより好ましく、約3分〜約10分が更に好ましく、約5分前後が特に好ましい。約0.5分未満ではハトムギ加工品に対する香味向上効果が少なく、また、約30分を超える時間では、水熱反応が進みすぎてしまい、良好な香味品質が得られないことがある。さらに、処理に用いる高温高圧水蒸気の温度との関係からは、温度が高い場合には短い処理時間が、温度が低い場合には長い有効処理時間が必要となる傾向がある。
(水蒸気の流れ方向)
本発明の処理方法において、高温高圧水蒸気による連続的な通気処理の際の水蒸気の流れ方向は特に限定されず、処理するハトムギに対して、上→下方向、下→上方向、外→内方向、内→外方向などとすることが可能である。
(水蒸気の排出)
本発明の処理方法において、高温高圧水蒸気による連続的な通気処理の際に排出された水蒸気は、操作環境を考えるとそのまま排出するよりも、コンデンサーなどを使って凝縮し、液体として回収することが好ましい。また、所望のハトムギ加工品を得られる限りにおいて、通気した水蒸気を循環し再度通気処理に用いてもよい。排出された水蒸気は、例えば、刺激的な香りとして感じられる酸味成分や不快臭成分を含有する。
本発明の処理方法を、ハトムギ以外の穀類、例えば、大麦、玄米、トウモロコシ等に用いる際には、いずれも、高温高圧下での溶融成分の、系外への流出や処理後の処理設備への固着が認められ、工業化に向けては課題が残る。
上記高温高圧水蒸気処理ののちに、さらに公知の処理を付加してもよい。そのような処理としては、例えば、粉砕、抽出(超臨界抽出も含む)、乾燥(真空乾燥など)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、乾燥処理を付加する場合、高温高圧水蒸気処理終了後、反応容器を脱気し、真空にして15〜30分程度保持し、真空乾燥を行うことが出来る。この乾燥工程を積極的に付加することにより、その後の粉砕や貯蔵における利用が容易になる。また、上述のような真空乾燥は、工業的にハトムギ加工品を製造する際にも簡便に行うことが出来る。
(ハトムギ加工品)
本明細書中において、特記しない限り、本発明の処理方法で処理したハトムギを、「ハトムギ加工品」という。該ハトムギ加工品の形状は、基本的に処理前と同じ粒状であり、熱が加わる分、典型的には処理前と比較して若干褐色かる。
(ピラジン類)
上記ハトムギ加工品は、本発明の処理方法で処理する前のハトムギと香りの面で比較すると、刺激的な香りが除かれ、香ばしい香りが付与されている。特に、ピラジン類、特に2-エチル-3-メチルピラジンを中心とした香気成分の含有量及びその種類が、処理前のハトムギと比較して増加している。
ここで、ピラジン類は、ピラジン及びピラジン骨格の2、3、5、6位にメチル基やエチル基が付いたものをいう。ピラジン類は、麦茶等に含まれる香ばしい香りの代表的な成分であることが知られ、血小板の凝集を抑え、血栓を出来にくくする作用があることも知られている。上記ハトムギ加工品において、処理前のハトムギと比較して増加しているピラジン類として、例えば、ピラジン、メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジン、2,3,5-トリメチルピラジンが挙げられ、好ましくは、アルキルピラジン類、特に、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジン、が挙げられる。特に2-エチル-3-メチルピラジンは、ナッツ様の加熱香気を有し、特徴的な甘く香ばしい香りに寄与すると考えられる。
ピラジン類を含む香気成分の含有量は、当業者に公知の手法を用いて測定することができるもの、例えば、後述の実施例2に記載の方法を用いて検出されるか否かを判断指標として、測定することができるものを指す。ピラジン類の含有量及び/又は検出されるピラジン類の種類が多ければ、抽出液に付与される香ばしい香りが増加し、香りの面で好ましいハトムギ加工品となると考えられる。
(食物繊維・デンプン・オリゴ糖)
また、上記ハトムギ加工品は、後述の実施例において示すように、処理前と比較して食物繊維・デンプン含有量が減少し、糖質、例えばマルトースオリゴ糖等のオリゴ糖の含有量が増加しているという特徴を有する。これは、ハトムギ中のデンプン等が水熱反応によって加水分解し、単糖、二糖、オリゴ糖等が生成しているためと考えられ、このことによりハトムギ加工品及びその溶媒抽出液に甘みが付与される。
ここで、オリゴ糖とは、2〜10個程度の単糖がグリコシド結合で結ばれた構造をもつ物質の総称であり、上記ハトムギ加工品において、処理前のハトムギと比較して増加しているオリゴ糖として、例えば、3〜6個程度の単糖がグリコシド結合で結ばれたオリゴ糖、例えば、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等が挙げられる。
食物繊維、デンプン、糖質(オリゴ糖等)の含有量は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例2に記載の方法を用いて測定した場合、処理前のハトムギと比較して、ハトムギ加工品は、食物繊維含有量が、例えば90wt%以下、好ましくは80wt%以下、より好ましくは75wt%以下に減少し、糖質含有量が、例えば10wt%以上、好ましくは20wt%以上、より好ましくは30wt%以上増加している(図1)。また、例えば、後述の実施例2に記載の方法を用いて測定した場合、処理前のハトムギと比較して、ハトムギ加工品は、デンプン含有量が減少し、マルトースオリゴ糖含有量が増加している(表2)。オリゴ糖類含有量が多ければ、抽出液に付与される甘みが増加し、呈味の面で好ましいハトムギ加工品となると考えられる。
本発明の処理方法によって、香味の面で好ましいものとなったハトムギの加工品は、冷却、乾燥(真空乾燥、熱風乾燥など)を行った後、常法によって、サイロなどに保管することができる。
(ハトムギ加工品抽出液)
本発明のハトムギ加工品は、そのまま、又は粉砕して、当業者に周知の技術を用いて飲料、菓子、飯類等の飲食品原料に用いることができ、特に好ましい実施態様として、ハトムギ加工品を粉砕し、粉砕した該ハトムギ加工品を溶媒で抽出してハトムギ加工品抽出液を得て、該抽出液を飲料の原料とすることが出来る。
ハトムギ加工品抽出液を得る際のハトムギ加工品の粉砕の程度は、当業者であれば作業効率や所望の抽出液の濃度を基準に適宜容易に決定することができる。粉砕の程度が高すぎると、抽出液を得るために加工品粉砕物の濾過をする際、時間がかかり、好ましくない。粉砕の程度が低いと、抽出の程度が充分でない。例えば、ロールクラッシャーにて粉砕した、目開き2mmメッシュの通過率:約50%の粉砕の程度のハトムギ加工品を用いてハトムギ加工品抽出液を得ることができる。
ハトムギ加工品抽出液を得る際の溶媒は、抽出に適する任意の溶媒であれば特に限定されないが、好ましくは水性溶媒であり、最も簡便には、水を用いることが出来る。水は、食品の処理に使用可能な水質であればよく、例えば、蒸留水、脱塩水、水道水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水あるいは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール等)や無機塩類を含む水などを用いることが出来る。抽出の際、必要に応じて、重曹やビタミンC等、抽出効率を上げるために効果的な物質があれば、それらを添加しても良い。抽出液を得る際の、抽出温度や抽出時間等の抽出条件は、当業者であれば適宜設定でき、例えば実施例5に記載の条件を用いて抽出を行うことが出来る。
本発明のハトムギ加工品を溶媒で抽出した場合、処理前と比較して抽出率が向上するという特徴を有する。これは、加水分解により単糖、二糖、オリゴ糖等を主とする分子量の小さい可溶性固形分が増加したためと考えられ、このことによりハトムギ中の未利用成分がより利用しやすくなる。抽出率が向上することにより、味わいに厚み(コク)や甘みが加わる。また、抽出率が向上することにより、少ない原料でより多くの固形分を得ることができるため、生産性の向上効果も期待できる。
抽出率は、抽出液中の可溶性固形分の量を指標としており、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例5に記載の方法を用いて、BRIXを測定し、その測定値から以下の式(式中、回収液量とは、抽出液量を指す):
抽出率(%) = [(抽出液BRIX ÷ 100)x回収液量(g) ÷ 原料ハトムギ重量(g)] x 100を用いて算出した場合に、前記ハトムギ加工品を溶媒で抽出した場合に処理前のハトムギと比較して抽出率が、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、若しくは、2倍程度、向上している。
本発明のハトムギ加工品を溶媒で抽出した場合、本発明の処理を施す以外は同様の条件で抽出して得られた処理前のハトムギの抽出液と比較して、抽出液中の糖類が増加するという特徴を有する。特に、処理前のハトムギの抽出液と比較して、10個程度の単糖が結合した糖(オリゴ糖)が増加するという特徴を有する。これは、ハトムギ中のデンプンが水熱反応によって加水分解したためと考えられ、このことによりハトムギ加工品抽出液及び該抽出液を用いた飲料に独特の香味が付与される。
抽出液中の糖類の含有量は、当業者に公知の手法を用いて測定することができ、例えば、後述の実施例5に記載の方法を用いて測定することができる。
また、上記ハトムギ加工品抽出液は、本発明の処理を施す以外は同様の条件で抽出して得られた処理前のハトムギの抽出液と比較して、香味が向上し、不快臭・苦味が低減しているという特徴を有する。このような特徴を有するか否かは、例えば後述の実施例5に記載のような官能試験によって判断することが出来る。または、香味に関与する特定の成分(例えば、上述のピラジン類等の香気成分、可溶性固形分(オリゴ糖等)等の呈味成分など)、不快臭、苦味に関与する特定の成分(例えば、ハトムギ中に存在し、不快臭、苦味に関与するといわれる成分など)の含有量を測定することによっても判断することができる。
上記ハトムギ加工品抽出液を用いて、当業者に公知の手法を用いて飲料を製造することが出来る。本発明者らは、上記ハトムギ加工品抽出液を用いて、飲料を製造し、該飲料について専門パネラーによる官能評価を行ったところ、本発明の処理を施す以外は同様の条件で抽出して得られた処理前のハトムギの抽出液を用いて製造した飲料と比較して、香味の評価が高く、不快臭・苦味が低減することがわかった。
上記飲料は、飲料に通常用いられる添加剤を適宜含むことができ、例えば、水、アルコール類、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、乳化剤、酸味料、糖類、甘味料、果汁・野菜エキス類、花蜜エキス類、茶エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を単独、あるいは組み合わせて含むことが出来る。
(ブレンド茶)
本発明の特に好ましい一態様として、本発明のハトムギ加工品を、飲料の中でも特にブレンド茶の原料の一つとして、所望により他のブレンド原料、液体茶エキスなどと共に用いることが出来る。ブレンド茶は常法により製造することができ、茶飲料製造工場で製造してもよい。或いは、ティーバッグや液体茶エキスなどを調製してもよい。
ここで、「ブレンド茶」とは、複数の茶葉や穀物を使用しているお茶全般を指す(最新・ソフトドリンクス、光琳 平成15年9月30日発行)。すなわち、麦類のみを原料として用いたいわゆる「麦茶」においても、上記定義においては「ブレンド茶」に含まれる。「ブレンド茶」では複数の原料、特に穀物系の原料を中心にこれを「茶」を含む葉ものの原料と混合して使用することが一般的に行われる。そのことにより、単一種では表現できないさまざまな味を表現することが可能であり、また数種類の自然素材の成分を摂取できる。原料は大雑把に、植物原料とその他の原料(菌類など)に分けられ、植物の場合は穀物など種子を利用する場合(ハトムギ、オオムギ、玄米、大豆、とうもろこし等)、葉を使用する場合(茶、柿の葉、ビワの葉、クマザサ、アマチャヅル等)、その他の部位(茎、花びらなど)を使用する場合(コンブ、ベニバナ等)がある。一方、その他原料として使用されるものとしては、しいたけ、レイシ等が挙げられる。ブレンド茶の製造工程はPET容器においては「抽出」→「清澄・冷却」→「分離」→「殺菌・冷却」→「充填・密封」、金属容器においては「抽出」→「清澄・冷却」→「分離」→「充填・密封」→「殺菌・冷却」が一般的である(以上、最新・ソフトドリンクス、光琳 平成15年9月30日発行参照)。本発明のハトムギ加工品は、当業者によく知られた手法を用いてブレンド茶の製造に用いることができ、例えば、本発明のハトムギ加工品以外の原料(ハトムギを含む)から製造したブレンド茶に更に本発明の抽出液を混合する、本発明のハトムギ加工品を他の原料と混ぜた混合物から抽出液を得てブレンド茶とする、等の手法を用いることが出来る。
本発明のハトムギ加工品をブレンド茶の製造に用いることにより、ハトムギについて知られる各種の薬効(利尿、鎮痛、消炎、滋養強壮、美肌、抗潰瘍、新陳代謝増加等)をブレンド茶に付与することが期待できるのみならず、不快臭・苦味が抑えられ、甘み・コクの向上したブレンド茶を得ることができる。
本発明の処理方法によれば、香味の向上したハトムギ加工品及びその抽出液を得ることができる。また、該処理方法は、工業レベルにおいても簡易に実施できるという特徴を有する。このように得られたハトムギ加工品及びその抽出液を用いて、独特の香味を有する飲料を得ることが出来る。
以下、本発明について、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例中、全粒焙煎ハトムギに高温高圧水蒸気で連続的通気処理を施したものを、便宜上「(ハトムギ)加工品」と呼ぶこともある。
実施例1 全粒ハトムギ及び粉砕ハトムギの水蒸気処理
全粒焙煎ハトムギ及び粉砕焙煎ハトムギについて、高温高圧水蒸気で連続的な通気処理を行うことで水蒸気処理および水熱反応を同時に行った。
水蒸気入口配管、水蒸気出口配管を有する耐圧3.0MpaのSUS316製圧力容器((株)日阪製作所社製高温湿熱処理装置HTS-70/160、容器容量200L)に、60kgの全粒焙煎ハトムギ(焙煎度:L35)を入れ、蒸気入口配管より1.7Mpa(約205℃)の高温高圧水蒸気(飽和水蒸気)を、焙煎ハトムギ1kgあたり2.0kg/hrの流量にて連続的に通気し、圧力1.7Mpa、温度約205℃、3分の処理を行い、高温高圧水蒸気処理全粒焙煎ハトムギ(加工品1)を得た。この方法を、処理方法1とする。排出された蒸気は、コンデンサーで凝縮して回収した(以下、ドレイン液という)。昇温工程などを含め、およそ20kgのドレイン液を得た。
対照として、全粒焙煎ハトムギを予めロールクラッシャー(三庄インダストリー株式会社製250角mmロールクラッシャー)にて粉砕した粉砕焙煎ハトムギ(目開き2mmメッシュの通過率:約50%)を用いた以外は、処理方法1と同様の手順で高温高圧水蒸気処理を行い、高温高圧水蒸気処理粉砕焙煎ハトムギ(対照品1)を得た。この方法を、対照方法1とする。処理方法1及び対照方法1について、ドレイン液及び処理後の原料を比較した様子を表1に示す。
表1から、対照方法1ではハトムギ中の好ましい香味成分がドレイン液に流出し、また、ドレイン液も着色していることがわかる。また、処理方法1と対照方法1とでは、処理後の原料の装置への固着にも差があることがわかる。これは、排出蒸気中のハトムギの特定の成分が常温で固化するためと考えられ、工業化の際には考慮が必要な要素である。
実施例2 高温高圧水蒸気処理全粒焙煎ハトムギ、全粒焙煎ハトムギ及び全粒ハトムギ
高温高圧水蒸気処理全粒焙煎ハトムギ、全粒焙煎ハトムギ及び全粒ハトムギの成分を比較した。
実施例1と同様の装置を用い、圧力容器に、75kgの全粒焙煎ハトムギ(焙煎度:L35)を入れ、蒸気入口配管より1.4Mpa、約200℃の高温高圧飽和水蒸気を、焙煎ハトムギ1kgあたり1.5kg/hrの流量にて連続的に通気し、5分の処理を行い、高温高圧水蒸気処理全粒焙煎ハトムギ(加工品2)を得た(この方法を、処理方法2とする)。
対照として、高温高圧水蒸気処理をしていない全粒焙煎ハトムギ(焙煎度:L35)を対照品2、水蒸気処理をせずかつ未焙煎の全粒未焙煎ハトムギ(タイ産)を対照品3とした。加工品2、対照品2及び対照品3について、基礎成分、オリゴ糖、及び香気成分の分析を行い、成分比較を行った。
基礎成分分析の結果を、図1に示す。分析結果は、水分を除いた無水換算での100分率で表示した。分析成分及び分析方法は以下の通りである:
水分:定圧加熱乾燥法、タンパク質:ケルダール法(換算係数:6.25)、脂質:酸分解法、灰分:直接灰化法、糖質:栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)による計算式、食物繊維:酵素-重量法。
図1より、処理方法2の高温高圧水蒸気処理を行った加工品2では、通常の焙煎処理(対照品2)においては見られなかった、食物繊維が減少し、糖質が増加するという傾向が見られた。
次に、糖質について、オリゴ糖は高速液体クロマトグラフ法を、デンプンは酵素法を用いて、更に分析を実施した(日本食品分析センター)。マルトースオリゴ糖及びデンプンの含有量を表2に示す。なお、数字は原料100g中のグラム数であり、オリゴ糖の検出限界は0.05(g/100g)である。
表2より、加工品2について、高温高圧水蒸気処理をしていない対照品2及び対照品3では検出されない各マルトースオリゴ糖が増加し、一方デンプンが減少していることが認められた。このことは、ハトムギ中のデンプン等が水熱反応によって加水分解し、オリゴ糖等が生成されたことを示唆する。
さらに、加工品2、対照品2及び対照品3の香気成分を分析した。密閉容器にそれぞれの固体を封入し、GC/MSを用いて測定した。測定条件の詳細を表3に、測定結果を表4に示す。
表4においては、GC/MS-TICにて検出されたものに○印を付けている。その結果、対照品2及び対照品3では検出されず、処理品2で検出された成分として、2-エチル-3-メチルピラジン等のアルキルピラジン類等があった。2-エチル-3-メチルピラジンは、一般的には、ナッツ様の甘く香ばしい加熱香気を有することが知られている。その他、未焙煎ハトムギでも焙煎ハトムギでもみられない、様々な特徴的な香気成分が処理方法2によって得られることが分かった。また、処理方法2を施すことにより、検出されなくなる香気成分が存在することも分かった。
実施例3 種々の条件でのハトムギの高温高圧水蒸気処理と香味評価
全粒ハトムギを原料として用い、水蒸気処理前のハトムギの焙煎の有無、高温高圧水蒸気処理の際の通気の有無、処理温度及び処理時間について、表5に示すように条件を変化させ(約200℃ (約1.4Mpa)、約180℃ (約1.0Mpa)、約160℃ (約0.6Mpa))、実施例2の処理方法に準じて全粒ハトムギを高温高圧水蒸気処理した。高温高圧水蒸気処理の際の通気をしない場合、実施例2の処理方法において、ドレインバルブ(排気バルブ)を閉めて処理をした。
表5に示したこれらの加工品又は対照品2gに対し、90℃のイオン交換水100ml、5分の条件で抽出した抽出液について、専門パネラー3名による香味評価を実施した。香味結果、及びフリーコメントと共に、結果を表5に示す。なお、香味評価は:最も好ましい=◎;好ましい=○;好ましくない=△として評価し、3人の評価の平均を表5に記載した。
表5より、200℃(約1.4MPa)5minの処理条件による高温高圧水蒸気処理によって得られた加工品2(実施例2の加工品2と同一)の熱水抽出液が最も好ましい香味品質を有し、処理条件を変化させることで、香味品質も変化することがわかった。また、得られた処理品から得られる熱水抽出液の香味品質を判断基準とする場合、高温高圧水蒸気処理前の焙煎及び高温高圧水蒸気処理の際の連続的な通気をすることが好ましいことが確認できた。
実施例4 様々な原料に対する高温高圧水蒸気処理
ハトムギ以外の原料に対する高温高圧水蒸気処理を行った。
原料として、カナダ産大麦、国産玄米、アメリカ産トウモロコシを、粉砕を行わず全粒のまま用いた。熱風焙煎機を用いて200℃約10分の条件でこれらを焙煎し、連続的な通気を伴う水蒸気処理(1.4MPa、200℃、5分)を行った。その結果、大麦、玄米、トウモロコシいずれも、高温高圧下溶融成分の系外への流出、及び処理後の原料の処理設備への固着が認められた。大麦、玄米、トウモロコシいずれも、基礎成分(水分、タンパク質、脂質、灰分、炭水化物)のバランスではハトムギと大きく変わるものではない。高温高圧水蒸気処理の際に相違が見られる原因としては、他の原料と比較してハトムギが独特の硬い穀皮で全体的に覆われていることが考えられる。
実施例5 抽出液及び飲料の製造
上記高温高圧水蒸気処理で得られたハトムギ処理品を用いて、抽出液及び飲料を製造した。
(抽出液)
実施例2で得た加工品2(200g)を粉砕し、90℃の熱水5Lを用い、15分間ドリップ抽出の後、固液分離を行って、加工品抽出液1を得た。コントロールとして、対照品2 (水蒸気処理を行っていない焙煎ハトムギ)を用い、同様の手順で対照品抽出液1を得た。
抽出液についてBRIXを測定(アタゴ社製デジタル屈折計 RX-5000αを使用)した結果、加工品抽出液1は、BRIX1.5(≒可溶性固形分1.5g/L)の液が約4.5L得られ、抽出率は34%であった。一方、対照品抽出液1は、BRIX0.7の液が約4.5L得られ、抽出率は16%であった。ここで、抽出率は、以下の式により算出した:
*: 抽出率(%) = [(抽出液BRIX ÷ 100)x回収液量(g) ÷ 原料ハトムギ重量(g)] x 100
処理方法2の高温高圧水蒸気処理により、抽出率の向上が認められた。
(飲料)
次に、2Lの加工品抽出液1に重曹2g及びビタミンC 2gを加え、さらに純水を加えて8Lとし、これを120℃、4分同等以上の条件で殺菌した後、500mlPETボトルに充填し、最終的に加工品飲料1を得た。一方、コントロールとして、対照品抽出液1を用い、同様の製造方法を経て、対照品飲料1を得た。
加工品飲料1及び対照品飲料1について、多糖類分析を行った結果を図2に示す。分析条件は以下の通りである:
カラム:東ソー(株) TSK-GEL ALPHA-M、液体クロマトグラフィー:島津(株)製、検出器:RID-10A、A液:100%H2O(A液のみ)、flow:0.6ml/分、分析時間:40分。
図2に示すように、加工品飲料1には、対照品飲料1とは異なり、検出時間30minごろにピークが発生することがわかった。このピークの存在から、加工品飲料1中には、グルコース換算で10鎖程度の糖が存在することが示唆される。このことは、原料中のデンプンが減少してオリゴ糖などが増加するという実施例2で得られた結果と共に、処理方法2の高温高圧水蒸気処理によって、原料中の未利用成分を有効活用でき、原料中の糖類等の抽出率が向上し、抽出により得られた飲料中に独特の香味が付与されることを示唆する。
次に、加工品飲料1及び対照品飲料1について、専門パネラーによる官能評価を行った。香味評価は、専門パネリスト3名により評点法で行い、平均点を算出した。評点は、「良い」= 5点、「やや良い」= 4点、「ふつう」= 3点、「やや悪い」= 2点、「悪い」= 1点の5段階とした。また、ハトムギ固有の不快臭・苦味の評価は、不快臭・苦味を「感じる」= 3点、「やや感じる」= 2点、「感じない」= 1点の3段階とした。
結果を表6に示す。香味について、加工品飲料1は対照品飲料1に比べて高い評価を得た。また、加工品飲料1は、甘く香ばしい香りを有し、コクがあり厚みがあるというコメントを得た。さらに、不快臭・苦味について、加工品飲料1は対照品飲料1に比べ、不快臭・苦味が少ないという評価を得た。
従って、処理方法2の高温高圧水蒸気処理をしたハトムギ加工品を用いることにより、ハトムギ中の可溶性固形分の抽出効率が高く、かつ、香味が向上し、ハトムギ固有の不快臭・苦味が低減された飲料を得ることができた。
実施例2において、加工品2、対照品2及び対照品3について行った基礎成分分析の結果を示す棒グラフである。 実施例5において、加工品飲料1及び対照品飲料1について多糖類分析を行った結果を示すチャートである。

Claims (6)

  1. 全粒焙煎ハトムギを、有効処理流量の高温高圧水蒸気で、有効処理時間、連続的に通気処理してハトムギ加工品を得ることを特徴とする、ハトムギの処理方法。
  2. 前記高温高圧水蒸気の、温度が160℃〜210℃であり、圧力が0.1〜3.0Mpaである、請求項1のハトムギの処理方法。
  3. 前記有効処理時間が、0.5分以上30分未満である、請求項1又は2に記載のハトムギの処理方法。
  4. 水蒸気が、飽和水蒸気である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハトムギの処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法で全粒焙煎ハトムギを処理することにより得られた、抽出率の高まった、飲食品用ハトムギ加工品。
  6. 全粒焙煎ハトムギを、160℃〜210℃の飽和水蒸気で、0.5分以上30分未満連続的に通気処理してハトムギ加工品を得る工程;及び
    該ハトムギ加工品を溶媒で抽出してハトムギ加工品抽出液を得る工程;
    を含む、飲料の製造方法。
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