JP4721556B2 - カメラ用シャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ用シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ用シャッタには、大きく分けて、フォーカルプレンシャッタとレンズシャッタとがある。そして、最近のフォーカルプレンシャッタは、主に、シャッタ羽根を二つ(先羽根(群)と後羽根(群))備えていて、それらを、シャッタ地板,中間板,補助地板と称されている3枚の板部材で形成した二つの羽根室内に別々に配置した構成をしている。そして、このタイプのシャッタは、フィルム使用のカメラにもデジタルカメラにも用いられており、撮影時には、二つのシャッタ羽根を所定の時間間隔で順に作動させ、それらによって形成されるスリットにより、長方形をした撮像面の一つの辺から対向する辺に向けて、連続的に露光するようにしている。
【0003】
また、デジタルカメラにのみ用いられるフォーカルプレンシャッタとしては、シャッタ羽根を一つしか備えていないものがあるが、その場合には、上記の3枚の板部材のうち中間板を備えておらず、シャッタ地板と補助地板によって一つの羽根室を構成している。そして、このタイプのものは、通常は撮像面を被写体光にさらしておき、撮影の終了時にだけ一時的に撮像面を覆うようにしている。
【0004】
しかしながら、上記のいずれのタイプの場合でも、夫々のシャッタ羽根の構成は同じであって、一端をシャッタ地板に枢着された複数のアームに対し、短冊状をした1枚以上の羽根を枢支することによって、平行四辺形のリンク機構を応用した機構に構成されている。また、各アームと羽根との枢支構成は、アームと羽根とに形成された孔を重ね、それらの孔に、リベット部品である連結軸の先端をアーム側から挿入し、羽根にかしめている。そして、そのかしめ部は、羽根の形状によって羽根の摺動面から突き出ないようにされているが、連結軸の頭部は、シャッタ地板又は補助地板側となっていて、アームから突き出るようになっている。
【0005】
他方、レンズシャッタの場合には、主に、撮影レンズの間に配置されるものと後方に配置されるものとがあるが、それらの殆どのものは、露光開口を開くときは略中央から開き、閉じるときは略中央に向けて閉じるようになっている。そして、いずれのシャッタも、フィルム使用のカメラとデジタルカメラの両方に使用が可能であって、デジタルカメラに用いる場合には、通常は、撮像面を被写体光にさらしておき、撮影の終了時にだけ一時的に露光開口を閉じるようにしている。
【0006】
また、レンズシャッタの場合には、絞り機構と同様に開口規制を行えるものもあり、フィルム使用のカメラに用いる場合には、撮影時に円形の露光開口を全開にする前に所定の開口規制位置から閉じ作動を行わせてしまい、デジタルカメラに用いる場合には、撮影前に所定の開口規制位置に開かせておき、撮影終了時にのみ一時的に閉じ作動を行わせるようにしている。そして、このようなレンズシャッタの場合にも、羽根と、羽根を作動させる部材とは、孔と連結軸との回転可能な嵌合構成によって連結されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような構成をしたシャッタ機構は、かなりの高速で作動しているため、外見上は何の問題もなく作動し且つ停止しているように見えるが、実際には、そのときどきによって複雑な動きを伴いながら作動していたり、停止時には強烈な衝撃力を受けて一時的に羽根などが変形させられたりするため、各部材間の摺動,当接等によって、極めて微細な磨耗粉を発生させている。そして、そのような磨耗粉は、羽根同士間や、羽根と地板間などのように、主に面と面とが摺接する場合にも生じることがあるが、羽根と他の部材との連結部などのように、孔と軸との摺接部から発生する場合の方が圧倒的に多い。
【0008】
そこで、そのような典型例をフォーカルプレンシャッタの場合で説明する。通常のシャッタ羽根は、上記のように、アームと羽根と連結軸とで構成されている。そのため、シャッタ羽根の作動中において、アームと連結軸との嵌合部では相対的に摺接状態となる。そして、停止時における衝撃力はこの嵌合部にも大きく作用する。また、シャッタ羽根の作動中には、連結軸の頭部が地板面を摺動する。そして、この作動中にシャッタ羽根は正規の作動方向へ作動するだけでなく複雑な作動をし、特に、停止時にはアームや羽根が変形させられるので、連結軸の頭部は、シャッタ地板面又は補助地板面に叩き付けられるような現象も生じる。更に、シャッタ羽根の作動中には、殆どの場合、スリット形成羽根の枢支部は、露光開口内を出入りするように構成されているため、露光開口から出るときには、連結軸の頭部がシャッタ地板又は補助地板の開口部の端面に当接したりする。
【0009】
ところで、上記のようなアームや羽根は、通常の場合、比較的剛性に優れた薄い金属性の板材をプレス機械で打ち抜いて製作されている。また、リベット部品としての連結軸は、快削鋼の棒材を切削して製作されている。そのため、複数の羽根でシャッタ羽根を構成する場合であっても、羽根同士の摺動によって磨耗粉を発生させてしまう度合いは極めて少ないし、羽根室を構成している板部材に対して羽根が摺動しても、比較的大きな面と面との摺接であるため、仮に板部材が合成樹脂製であったとしても(シャッタ地板と補助地板は合成樹脂で製作されることがある)、磨耗粉の発生は極めて少ない。
【0010】
しかしながら、連結軸とアームの嵌合部においては、連結軸の方が削られて、比較的多くの磨耗紛を発生させてしまうことがある。また、シャッタ地板や補助地板が金属性の場合には比較的硬質の金属が採用されるため、それらに対する摺動や当接によって連結軸の頭部が削られ、比較的多くの磨耗紛を発生させてしまうことがある。更に、シャッタ地板や補助地板が合成樹脂製の場合には、それらの地板から磨耗紛を発生させてしまうこともある。そして、構成の違いこそあれ、レンズシャッタにも、上記した孔と連結軸との嵌合部があり、且つそのほかにも複数の摺接部を有しているために、多かれ少なかれこのような磨耗粉を発生させてしまう。
【0011】
このようにして磨耗紛が発生しても、その磨耗紛が露光開口から離れた方向へ移動するような特別な手段が講じられていて、露光開口からフィルムやCCDなどの結像面に飛来しないようにしてあれば別であるが、そのような好都合な手段はなかなか見当たらない。そして、このような磨耗紛がフィルムやCCDなどの表面に所定量以上に付着すると好適な撮影結果が得られなくなり、拡大して再現したときには、その不具合さが画像の一部に顕在化されてしまうことになる。特に、デジタルカメラの場合には、撮像素子がカメラ内に固定されているため、磨耗紛が、直接、撮像素子の入射面に付着したり、その前面に配置されたローパスフィルタの入射面に付着したりすると、それ以後の全ての撮影にその影響が現れ、しかも、それ以後に、他の磨耗紛が、その上や周りに次々と付着していくこともあって、極めて問題となる。
【0012】
そこで、フォーカルプレンシャッタを備えたカメラにおいてそのような現象が生じた場合、従来は、レンズを取り外したうえに、ミラーをアップ状態にし、更にシャッタ羽根を撮像素子の前面から退去させた状態(露光開口の全開状態)にしておいて、エアーブラシ等によってそれらの磨耗紛を除去せざるを得なかった。しかしながら、そのような作業は決して簡単なことではなく、また、ズームレンズを備えたカメラや、レンズシャッタを備えたカメラのように、レンズ交換を意図していないカメラの場合には、上記のような方法で行うことすらもできなかった。そして、このようなことは、磨耗粉のみならず、外部からカメラ内に入って来たり、カメラ内で発生したゴミ対策についても同様であった。従って、そのような磨耗紛やゴミなどの影響が出にくいカメラ用シャッタの出現が望まれている。
【0013】
他方、フィルムを使用するカメラの場合には、そのようにして磨耗紛がフィルムに付着しても、フィルムが撮影の都度送られるので、そのコマだけのことで済むし、デジタルカメラの場合のように累積して付着するというようなことはあり得ない。そのため、従来は、このような磨耗紛について余り問題にしていなかったが、最近では、デジタルカメラの場合で問題とされているために、たとえ影響度が小さくても、そのような現象の生じにくいシャッタを採用したいという要求が出るようになってきた。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、シャッタ羽根の作動によって発生した磨耗紛や、カメラ内に存在するゴミなどが、露光開口から結像面に向けて飛来しにくいようにした構成のカメラ用シャッタを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用シャッタは、露光用の開口部を有している2枚の地板の間に羽根室を構成し該羽根室内にシャッタ羽根を配置しているか、前記2枚の地板の間を仕切って二つの羽根室を構成し夫々の羽根室に別々のシャッタ羽根を配置するかしていて、前記シャッタ羽根が、前記2枚の地板の一方に回転可能に取り付けられた複数のアームと、それらのアームに枢支された少なくとも1枚の羽根とを有しており、前記2枚の地板の少なくとも一方が、前記羽根室側の面に、前記アームの取り付け側の前記開口部の縁に沿って外周端まで連なる壁部を有していて、該壁部の前記アームの取り付け側の面及び前記開口部側の面の少なくとも一方に、表面に粘着性を有する粘着手段が設けられているようにする。
【0016】
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記2枚の地板の少なくとも一方の前記羽根室側の面には、前記壁部を間にして前記アームの取り付け側の面及び前記開口部側の面の少なくとも一方に窪みが形成されており、該窪み内に、表面に粘着性を有する第2の粘着手段が設けられているようにすると、シャッタ羽根の作動領域内に該粘着手段を配置することが可能になる。
【0017】
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記2枚の地板の少なくとも一方は、該地板の外周縁において、前記壁部よりも前記開口部側に、前記シャッタ羽根の作動方向に対向するようにして該地板の前記羽根室側の面に対して垂直な遮光壁を有しており、該遮光壁の前記羽根室側の面には、表面に粘着性を有する第3の粘着手段が設けられているようにすると、摩擦粉やゴミを効果的に捕らえやすく、且つ前記開口部側へ飛散しにくくなる。
【0018】
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記2枚の地板の少なくとも一方は、該地板の外周縁において、前記壁部よりも前記アームの取り付けられている側に、前記アームの作動方向に対向するようにして該地板の前記羽根室側の面に対して垂直な遮光壁を有しており、該遮光壁の前記羽根室側の面には、表面に粘着性を有する第4の粘着手段が設けられているようにすると、摩擦粉やゴミをより多く捕らえやすくなる。
【0019】
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記2枚の地板の少なくとも一方の前記羽根室側とは反対側の面には、前記開口部の縁に沿って該反対側の面から突き出した枠体部が形成されていて、該枠体部には、表面に粘着性を有する第5の粘着手段が設けられているようにすると、羽根室外から羽根室内に飛来する摩擦粉やゴミの量を少なくすることが可能となる。
【0020】
更に、本発明のカメラ用シャッタにおいては、前記各粘着手段の少なくとも一つが、反射防止機能を有しているようにすると、漏光防止などの点でも有利になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1〜図7に示した実施例によって説明する。本実施例は、デジタルカメラ用のフォーカルプレンシャッタとして構成したものである。そして、図1は被写体側(撮影レンズ側)から視た実施例の透視図であって、露光作動開始直前の状態を示したものであり、図2は図1のA―A線断面図である。また、図3は図1のB−B線断面図であって、先羽根及び後羽根については概略的に示したものである。図4及び図5は、図1に示されている主要な構成ブロックを個別に示した平面図である。また、図6は撮像素子側から視た実施例の平面図であって、後羽根は露光作動終了直後の状態で示してある。更に、図7は、図1と同じようにして視た実施例の透視図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。
【0022】
先ず、本実施例の構成を説明するが、その説明に際しては、シャッタをカメラに組み付けた状態で、被写体側を表面側と称し、撮像素子側を背面側と称することにする。尚、予めことわっておくが、図面には、先羽根と後羽根を駆動するための各駆動部材や、撮影後それらの駆動部材をセットするためのセット部材や、各駆動部材の露光作動の開始を制御する各々の電磁石などが示されていない。それらは、本発明を理解するのに直接関係がないからであり、本実施例の場合には、それらについての周知の構成が適用される。
【0023】
図4(a)に示されているシャッタ地板1は、図1において一番被写体側に配置されている。このシャッタ地板1は、合成樹脂製であって、略中央部には露光用の開口部1aが形成されており、その左側の側方位置には三つの円弧状の長孔1b,1c,1dが形成されている。そして、長孔1b,1cの上端部には、周知のようにして、平面形状が略C字状をしているブチルゴム製の緩衝部材2,3が取り付けられている。
【0024】
シャッタ地板1には、軸1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1mが立設されている。それらのうち軸1e,1fは、シャッタ地板1の表裏両面に立設されているが、軸1gは表面側にだけ立設され、軸1h,1i,1j,1k,1mは背面側にだけ立設されている。そのうち、軸1e,1fは、表面側において、図示していない周知の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材を回転可能に取り付け、背面側において、後述する先羽根と後羽根のアームを回転可能に取り付けている。そして、上記の各駆動部材に設けられている駆動ピンは、上記の長孔1b,1cを貫通して背面側に突き出ており、露光作動の終了時には、上記の緩衝部材2,3に当接するようになっている。
【0025】
軸1gには、図示していない周知のセット部材が回転可能に取り付けられていて、セット時には初期位置から回転して、上記の各駆動部材を夫々の駆動ばねの付勢力に抗してセット位置まで回転させ、初期位置へ復帰したときには、図示していないピンが上記の長孔1dの一端に当接して停止させられるようになっている。また、軸1h,1iは、後述する先羽根,後羽根のアームを回転可能に取り付けるためのものであり、軸1j,1k,1mは、後述する中間板と補助地板を取り付けるためのものである。
【0026】
シャッタ地板1の表面側には、開口部1aを囲むようにして被写体側に突き出した長方形の枠体部1nが形成されており、その周囲には四つの浅い窪み1p,1q,1r,1sが形成されている。また、シャッタ地板1の背面側には、開口部1aの左側の縁に沿い上下方向に延伸して壁部1tが形成されているが、この壁部1tには、図3の断面図から分かるように、傾斜面1uが形成されている。また、その図3から分かるように、壁部1tの形成されている開口部1aの縁と対向している縁にも傾斜面1vが形成されている。更に、シャッタ地板1の背面側には、図2に示したように、表面側に形成された窪み1pと対応する位置に同じ形状の窪み1wが形成され、表面側に形成された窪み1rと対応する位置に同じ形状の窪み1xが形成されている。
【0027】
そして、このような形状をしたシャッタ地板1には、機能上及び取扱上で問題とならない面に粘着材ADが塗布されている。即ち、図4(a)から分かるように、シャッタ地板1の表面側に形成された窪み1p,1q,1r,1sの底面には、シャッタ地板1の表面に出ないようにして粘着材ADが塗布されている。また、枠体部1nには、図2及び図3から分かるように、開口部1aに向いている面に塗布されているし、枠体部1nと開口部1aとの間の被写体側の面にも塗布されている。
【0028】
更に、背面側において、粘着材ADは、窪み1w,1xの底面に塗布されているし、上記の傾斜面1u,1vにも塗布されているし、壁部1tには、開口部1aとは反対側の面にも塗布されている。また、図3だけでは塗布領域が明確ではないが、シャッタ地板1の背面側の一部(図3において壁1tに繋がる左側の面と、図3の左右端の面)にも、後述する先羽根の作動領域ではないところに塗布されている。尚、図1及び図7においては、図面を見やすくするために、これらの粘着材ADの図示を一部省略してある。
【0029】
以上の説明で、シャッタ地板1自身と、主にシャッタ地板1の表面側に取り付けられる図示していない周知の部材の説明を終わり、以後は、シャッタ地板1の背面側に取り付けられる部材と、それらの取付け構成について説明するが、先ずは、その背面側の全体構成の概要を説明しておく。シャッタ地板1の背面側には、夫々、所定の間隔を空けて中間板4(図4(c)参照)と補助地板5(図5参照)とが取り付けられ、シャッタ地板1と中間板4との間が先羽根(図4(b)参照)の羽根室となり、中間板4と補助地板5との間が後羽根(図4(d)参照)の羽根室となっている。また、中間板4と補助地板5にも、略中央部に開口部4a,5aが形成されており、通常は、シャッタ地板1の開口部1aをそれらと重ね合わせることによって、長方形を横長にした露光開口が合成されるようになっているが、本実施例の場合は、開口部1aのみによって露光開口が規制されている。
【0030】
そこで、先ず、図4(b)に示された先羽根について説明する。本実施例の先羽根は、二つのアーム6,7と、それらの長さ方向に順に枢支された4枚の羽根8,9,10,11で構成され、最先端に枢支された羽根11がスリット形成羽根となっている。そして、アーム6は、その左端部の孔を、シャッタ地板1の背面側に突き出た上記の軸1eに嵌合させて枢着され、長孔6aには、上記した図示していない先羽根用駆動部材の駆動ピンが嵌合している。また、もう一つのアーム7は、やはり、その左端部の孔を、シャッタ地板1の軸1hに嵌合させて枢着されている。
【0031】
アーム6,7に対する各羽根の枢支は、周知のように、リベット部品である連結軸を用いて行われる。そして、それらの枢支構成は全て同じである。そこで、図4(b)においては、スリット形成羽根11の枢支に用いられている連結軸に符号12,13を付けておいたので、全ての枢支構成を代表して、連結軸12を用いた枢支構成について説明する。アーム6と羽根11には予め孔が形成されている。そこで、それらの孔を合わせておき、連結軸12をアーム6側から挿入して、その挿入端を羽根11にかしめている。その場合、アーム6と連結軸12とは固定されていない。従って、この先羽根の場合には、8個の連結軸の頭部は、全て、アーム6,7の面からシャッタ地板1側に突き出ていて、シャッタ地板1に対して摺動するようになっている。
【0032】
次に、図4(c)を用いて中間板4を説明する。上記したように、中間板4は、シャッタ地板1との間に先羽根の羽根室を形成しており、その略中央部には開口部4aが形成されている。この開口部4aは、シャッタ地板1の開口部1aと異なる形状をしているが、その理由は周知であるため説明を省略する。そして、本実施例においては、その開口部4aの左側の形成縁が、開口部1aの左側の形成縁と略重なるように配置されている。また、この中間板4は、三つの孔4b,4c,4dをシャッタ地板1の軸1j,1k,1mに嵌合させて取り付けられているが、本実施例の場合には、中間板4は、明示していない手段によって、その嵌合部において軸1j,1k,1mの軸方向へ移動しないように取り付けられている。
【0033】
中間板4の背面側には、図4(d)に示すような後羽根が配置されている。この後羽根は、上記の先羽根を上下方向に裏返した構成をしていて、二つのアーム14,15と、それらの長さ方向に順に枢支された4枚の羽根16,17,18,19で構成され、最先端に枢支された羽根19がスリット形成羽根となっている。そして、アーム14は、その左端部の孔を、シャッタ地板1の背面側に突き出た上記の軸1fに嵌合させて枢着され、長孔14aには、上記した図示していない後羽根用駆動部材の駆動ピンが嵌合している。また、他方のアーム15は、その左端部の孔を、シャッタ地板1の軸1iに嵌合させて枢着されている。
【0034】
アーム14,15に対する各羽根16,17,18,19の枢支構成は、先羽根の場合と全く同じである。従って、この後羽根の場合には、アーム14,15が羽根16,17,18,19よりも補助地板5側に配置されているから、8個の連結軸の頭部は、全て、アーム14,15の面から補助地板5側に突き出ていて、補助地板5に対して摺動するようになっている。尚、この後羽根は、図1の状態においては、羽根16,17,18,19が重畳状態となって開口部1aの下方位置に格納されているが、図4(d)においては、構成を分かり易くするために、展開状態にして示してある。
【0035】
図5には、中間板4と共に後羽根の羽根室を形成している補助地板5が示されている。この補助地板5は、合成樹脂製であって、略中央部に、既に説明した開口部5aが形成されている。そして、この開口部5aは、シャッタ地板1の開口部1aよりも若干大きい形状をしているが、その左側の形成縁は、開口部1a,4aの左側の形成縁と略重なるようにして配置されている。また、この開口部5aの左側には、四つの孔が形成されているが、それらはシャッタ地板1に立設された四つの軸1e,1f,1h,1iの先端部を受け入れるための孔である。更に、補助地板5の三隅には孔5b,5c,5dが形成されているが、これらの孔は補助地板5をシャッタ地板1の軸1j,1k,1mに取り付けるためのものであって、その具体的な取り付け方は後述する。
【0036】
補助地板5には、その四方の外周に遮光壁5e,5f,5g,5hが形成されているが、これらの遮光壁は、外周方向からの光が羽根室内に入るのを遮断するためのものである。また、補助地板5には、開口部5aの左端縁に沿い且つ遮光壁5e,5gまで延伸して壁部5iが形成されており、その壁部5iには、被写体側に向け且つ開口部1a側に向けて傾斜面5jが形成されているが、その壁部5iが形成されている開口部5aの縁と対向している縁にも傾斜面5kが形成されている。
【0037】
そして、補助地板5の表面側(羽根室側)には、開口部5aの上方位置と下方位置に、夫々、三つずつの浅い窪み5m,5n,5p,5q,5r,5sが形成され、遮光壁5eには緩衝部材20,21が取り付けられ、遮光壁5gには、緩衝部材22,23が取り付けられている。また、補助地板5の背面側には、図2,図3,図6から分かるように、開口部5aを囲むようにして凹部5tが形成され、その周囲には四つの浅い窪み5u,5v,5w,5xが形成されている。
【0038】
このような形状をした補助地板5にも、機能上及び取扱上で問題とならない面に粘着材ADが塗布されている。即ち、図5から分かるように、補助地板5の表面側に形成された窪み5m,5n,5p,5q,5r,5sの底面には、補助地板5の表面に出ないようにして粘着材ADが塗布されている。また、粘着材ADは、傾斜面5j,5kにも塗布されており、傾斜面5jに繋がる遮光壁5e,5gの内面の一部にも塗布されている。また、粘着材ADは、壁部5iの、開口部5aとは反対側の面にも塗布されており、その面と繋がる遮光壁5e,5gの内面の一部と、補助地板5の表面の一部にも塗布されている。更に、粘着材ADは、遮光壁5f,5hの内面と、それらに繋がる補助地板5の表面の一部にも塗布されている。そして、緩衝部材22,23の間に形成されている遮光壁5gの肉厚部にも、その上面に塗布されている。
【0039】
また、このような粘着材ADは、補助地板5の背面側にも塗布されている。即ち、図6から分かるように、補助地板5の背面側に形成された窪み5u,5v,5w,5xの底面には、補助地板5の背面に出ないようにして粘着材ADが塗布されている。また、凹部5tには、図2及び図3からも分かるように、開口部5aに向けている面にも塗布されているし、その内側にある撮像素子側に向けた面にも塗布されている。尚、図1及び図7においては、図面を見やすくするために、このようにして、補助地板5に塗布されている粘着材ADの一部を図示していない。
【0040】
次に、この補助地板5の取付け方を説明するが、その取付け方法は従来から知られているものであるため簡単に説明する。即ち、シャッタ地板1の軸1jの先端面にはねじ孔が形成されていて、軸1k,1mの先端部周囲には環状に溝が形成されている。そして、補助地板5の孔5c,5dは鍵穴を横にした形状をしている。そこで、先ず、図5において孔5c,5dの左側の大きな開口部を、軸1k,1mに嵌合させ、次に、補助地板5を左側に移動させることによって、右側の小さな開口部の縁を、上記した環状の溝に入り込ませる。そして、この状態で、図6に示されたネジ24を孔5bに通し、軸1jのねじ孔に螺合している。
【0041】
本実施例のシャッタユニットは上記のように構成されているが、このシャッタはデジタルカメラ用のフォーカルプレンシャッタである。そのため、補助地板5の背面側には撮像素子が配置されるが、図2に示すように、本実施例の場合には撮像素子としてCCD25が用いられ、その前面にローパスフィルタ26が配置されている。そして、上記した補助地板5の凹部5tは、ローパスフィルタ26を受け入れるためのものであり、このような構成にすることによって、カメラ内における光軸に沿った方向の省スペース化に寄与し、ひいてはカメラの薄型化に寄与するようになっている。尚、本実施例においては、CCD25とローパスフィルタ26を別体としているが、それらを一体化する場合もあるし、ローパスフィルタ26を配置しないものもある。従って、後者の場合には、凹部5tはCCD25を受け入れることになる。
【0042】
次に、本実施例の作動を説明する。図1は、シャッタのセット状態を示している。このとき、図示していない周知の先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材は、夫々の駆動ばねの付勢力に抗し、初期位置から回転させられた図示していないセット部材によって時計方向ヘ回転された状態にある。そのため、各々の駆動部材に設けられている駆動ピンが、先羽根のアーム6と後羽根のアーム14を時計方向へ回転させた状態となっていて、先羽根の4枚の羽根8,9,10,11は展開状態となって開口部1aを覆っており、後羽根の4枚の羽根16,17,18,19は重畳状態となって、開口部1aの下方位置に格納されている。
【0043】
このようなセット状態において、カメラのレリーズボタンが押されると、先ず、図示していない先羽根用電磁石と後羽根用電磁石に通電され、先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材が吸着保持されると、セット部材は初期位置へ復帰する。そして、次に、先羽根用電磁石に対する通電が断たれると、該電磁石による保持力が失われ、先羽根用駆動部材が先羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ回転する。そのため、先羽根用駆動部材の駆動ピンが、アーム6を反時計方向へ回転させ、先羽根の4枚の羽根8,9,10,11を上方へ作動させていく。その結果、各羽根は相互の重なり量を大きくして行き、スリット形成羽根11の下側の縁であるスリット形成縁によって、開口部1aを開いていく。
【0044】
そして、スリット形成羽根11のスリット形成縁が、開口部1aを全開にした段階で、先羽根用駆動部材の駆動ピンが緩衝部材2に当接し、アーム6が緩衝部材20に当接し、羽根8〜11の先端が緩衝部材21に当接して、先羽根用駆動部材と先羽根の作動が停止する。このとき、二つの緩衝部材20,21は、一時的に圧縮させられるが、羽根8〜11が、補助地板5の遮光壁5eに塗布された粘着材ADに接触する程にまでは圧縮されない。そのため、図2から分かるように、遮光壁5eの内側には、かなりの面積に粘着材ADを塗布することが可能である。
【0045】
本実施例の場合は、このようにして行なわれる作動中に、アーム6,7の先端が開口部1aの中を通過しないため、当然のことながら、連結軸12,13も開口部1aの中を通過しない。そのため、連結軸12,13の頭部が、開口部1aの縁の端面に当接したり、その近傍位置においてシャッタ地板1の羽根室側の面に当接したりすることがないので、それが原因となって比較的大きな磨耗紛を比較的多く発生させてしまうようなことはない。しかしながら、この作動中において、アーム6,7と八つの連結軸との間、及び八つの連結軸の頭部とシャッタ地板1の羽根室側の面との間では、比較的大きな磨耗紛を発生させてしまうことがある。
【0046】
また、羽根同士や、羽根とシャッタ地板1の間や、羽根と中間板4との間では、比較的大きな磨耗粉が発生せず且つ比較的多くの磨耗粉が発生しないとはいえ、全く発生しないというわけではない。更に、羽根室内又はシャッタの外側近傍には、前回の撮影までに発生した磨耗粉が滞留していたり、シャッタ機構以外で発生した磨耗粉やカメラ内に進入したゴミなどが滞留している。そのため、上記のような先羽根の作動中には、その作動によって発生した磨耗粉や、滞留していた磨耗粉とゴミが空中に舞い上がることになる。
【0047】
ところが、本実施例の場合には、図1において壁部1tの左側で舞い上がった磨耗粉やゴミは、壁部1tに遮られて開口部1a側には余り進出せず、その作動終了後には、それらの殆どが先羽根の羽根室内に塗布された粘着材ADやその他の部材面に付着する。そして、粘着材ADに付着したものは、再度舞い上がらないようになる。また、図1において壁部1tの右側で舞い上がる磨耗粉やゴミは、左側で舞い上がるものに比較して少ないが、それらも、傾斜面1u,1vや先羽根の羽根室内に塗布された粘着材ADなどに付着するし、可能性としては少ないが、後羽根の羽根室内に侵入したものは、後羽根の羽根室内の粘着材ADなどに付着する。更に、各羽根室外で舞い上がったものは、シャッタ地板1と補助地板5の外側に塗布された粘着材ADなどに付着する。従って、ローパスフィルタ26に向かうものは極めて少なく、且つ傾斜面5j,5kに塗布した粘着材ADに付着してしまうものもある。
【0048】
上記のように、先羽根用電磁石に対する通電が断たれてから所定時間が経過すると、今度は、後羽根用電磁石に対する通電が断たれる。このようにして後羽根用電磁石に対する通電が断たれるタイミングは、撮影条件によって様々であり、実際には、先羽根の露光作動が終了する前に断たれる場合が多い。しかしながら、本実施例の作動説明においては、説明の都合上、上記のように、先羽根の露光作動が終了した後に通電が断たれた場合で説明する。
【0049】
後羽根用電磁石に対する通電が断たれると、後羽根用駆動部材は、後羽根用駆動ばねの付勢力によって反時計方向へ回転させられる。そのため、後羽根用駆動部材の駆動ピンが、アーム14を反時計方向へ回転させ、後羽根の4枚の羽根16,17,18,19を上方へ作動させていくので、各羽根は相互の重なり量を小さくして行き、スリット形成羽根19の上側の縁であるスリット形成縁によって、開口部1aを閉じていく。そして、スリット形成羽根19のスリット形成縁が、開口部1aを閉鎖した段階で、後羽根用駆動部材の駆動ピンが緩衝部材3に当接し、後羽根用駆動部材と後羽根の作動が停止する。その停止状態が図6及び図7に示されている。
【0050】
このような後羽根の露光作動中において、アーム14,15の作動は補助地板5に形成された壁5iの左側で行なわれる。従って、アーム14,15の先端が開口部5aの中を通過しない以上、当然のことながら、スリット形成羽根19の枢支構成に用いられている二つの連結軸も開口部5aの中を通過しない。そのため、それらの連結軸の頭部が、開口部5aの縁の端面に当接したり、その近傍位置において補助地板5の羽根室側の面に当接したりすることがなく、従来のように、そのような当接によって磨耗紛を発生させてしまうことがない。
【0051】
しかしながら、上記した先羽根の作動における場合と同様に、程度の差こそあれ、磨耗粉やゴミは舞い上がる。即ち、この作動中において、アーム14,15と八つの連結軸との間、及び八つの連結軸の頭部と補助地板5の羽根室側の面との間で、比較的多くの磨耗紛を発生させるが、そのようにして発生した磨耗粉が、それ以前から、粘着材の塗布されていない部材面に付着していた磨耗粉やゴミと共に舞い上がることになるが、それらの殆どは壁部5iによって開口部5aに進行するのを阻止され、その作動終了後には、後羽根の羽根室内に塗布された粘着材ADやその他の部材面に付着する。そして、粘着材ADに付着したものは、再度舞い上がらないようになる。
【0052】
また、図1において壁部5iの右側で舞い上がる磨耗粉やゴミは、左側で舞い上がるものに比較して少ないが、それらも、後羽根の羽根室内に塗布された粘着材ADなどに付着するし、先羽根の羽根室内に侵入したものは、傾斜面1u,1vや先羽根の羽根室内の粘着材ADなどに付着する。更に、各羽根室外で舞い上がったものは、シャッタ地板1と補助地板5の外側に塗布された粘着材ADなどに付着するし、ローパスフィルタ26に向かったものの一部は、傾斜面5j,5kに塗布した粘着材ADに付着する。従って、ローパスフィルタ26に飛来するものは極めて少なくなる。
【0053】
上記のことからも分かるように、壁部1t,5iは、磨耗紛などをローパスフィルタ26の方へ進行させないようにするためのものであるから、本来であれば、開口部1a,5aの縁の長さだけ形成すれば足りることになる。しかし、本実施例の場合には、その両端を回り込むものをも阻止できるようにするために、地板1,5の上下端まで延伸させている。
【0054】
また、本実施例の壁部1t,5iの高さ(羽根室側に突き出している寸法)は一律となっている。そして、各壁部1t,5iの先端と中間板4との間の間隔は、先羽根及び後羽根の4枚の羽根を重畳状態にしたときの寸法を考慮して決められている。しかしながら、上記の間隔は、先羽根や後羽根が展開状態にあるときには、おおよそ2枚の羽根の厚さ分だけあればよいことになる。従って、そのように隙間を一律にせず、壁部1t,5iの高さが徐々に変わるようにすれば、磨耗粉やゴミの遮断効果が一層向上することになる。但し、本発明は、壁部1t,5iを、そのような形状にすることに限定されず、また、壁部1t,5iを設けることを必須とするものでもない。しかし、仮に一方の壁部だけを設けるとしたら、ローパスフィルタ26に近い補助地板5の壁部5iであることは言うまでもない。
【0055】
次に、シャッタのセット作動を説明する。図7の状態において、図示していないセット部材が回転を開始すると、先ず、先羽根用駆動部材を、先羽根用駆動ばねの付勢力に抗して時計方向ヘ回転させる。それによって、先羽根用駆動部材の駆動ピンがアーム6を時計方向ヘ回転させるので、先羽根の4枚の羽根8,9,10,11は、相互の重なり量を小さくしつつ下方へ作動されていく。そして、先羽根のスリット形成羽根11と後羽根のスリット形成羽根19との重なり量が所定量に達した段階で、セット部材が後羽根用駆動部材を、後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して時計方向ヘ回転させ始める。そのため、後羽根用駆動部材の駆動ピンがアーム14を時計方向ヘ回転させるので、後羽根の4枚の羽根16,17,18,19は、相互の重なり量を大きくしつつ下方へ作動させられる。
【0056】
このようにして、先羽根と後羽根はセット作動をさせられていくが、このようなセット作動は、実際には急速に行われる。そのため、先羽根の羽根8,9,10,11が展開状態となって開口部1aを覆った直後に、図示していないセット部材の回転は停止するが、先羽根と後羽根の各枢支部には公差が設けられているため、各々の羽根は、それらの枢支部を支点にして、慣性によって時計方向へ若干回転させられる。従って、このとき、後羽根の4枚の羽根16,17,18,19は重畳状態となって緩衝部材22,23に当接し、その後、若干戻って図1に示された状態で静止する。
【0057】
このように、本実施例によれば、先羽根や後羽根の作動に影響を与えないようにして羽根室内の面に塗布した粘着材ADが、各羽根室内で舞い上がる磨耗紛やゴミを付着してしまうので、壁部1t,5iの存在と相俟って、開口部1a,5a側へ進行する量が非常に少なくなる。また、開口部1a,5a側へ飛び出した磨耗紛やゴミの中にも、傾斜面1u,1v,5j,5kに塗布された粘着材ADに付着してしまうものがあるため、ローパスフィルタ26に飛来する量は極めて制限されたものとなる。更に、シャッタの外部に飛び出したものや、最初から外部にあるものは、それらの一部が、シャッタ地板1と補助地板5の外側の面に塗布された粘着材ADに付着するので、その後、ローパスフィルタ26に飛来する量が制限されることになる。
【0058】
尚、上記の実施例においては、シャッタ地板と補助地板に、直接、粘着材を塗布する場合で説明したが、予め粘着材を塗布又は含浸してあるテープ(粘着テープ)をシャッタ地板と補助地板に貼付するようにしても差し支えないし、それらを併用しても差し支えない。また、それらのような粘着手段を、シャッタ地板と補助地板のうち、一方にだけ設けるようにしても差し支えない。また、それらの粘着手段に反射防止材が含有されていると、それらの面で反射した光が、撮影中に撮像面に達したり、カメラの不使用時にフィルムを感光させてしまうのを防止することが可能になる。
【0059】
更に、上記の実施例は、デジタルカメラに用いる場合で説明したが、本発明は、フィルム使用のカメラにも適用できるし、また、デジタルカメラに用いる場合であっても、シャッタ羽根を一つ(一組)にし、シャッタ地板と補助地板とで一つの羽根室を形成したシャッタにしても差し支えない。また、上記の実施例においては、各シャッタ羽根が4枚の羽根を有しているが、その枚数には限定されず、1枚であっても5枚であっても差し支えない。従って、これらのことから、本発明は、フォーカルプレンシャッタのみならず、ビハインド・ザ・レンズシャッタ(撮影レンズの後方位置に配置されるレンズシャッタ)に適用しても有効である。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、シャッタ地板と補助地板の少なくとも一方に、シャッタ羽根の作動に影響を与えないようにして粘着手段を設けたので、シャッタ羽根の作動中に発生した磨耗粉や、それまでに既に発生していた磨耗粉やゴミを好適に付着し、その吸着した磨耗粉やゴミを再度空中に舞い上がらせることがないので、撮像面に飛来し付着する磨耗紛やゴミを極端に少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被写体側、即ち撮影レンズ側から視た実施例の透視図であって、露光作動開始直前の状態を示したものである。
【図2】図1のA―A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図であって、先羽根及び後羽根は概略的に示してある。
【図4】図1に示されている主要な構成ブロックのうち、補助地板を除く各ブロックを個別に示した平面図であって、図4(a)はシャッタ地板を、図4(b)は先羽根を、図4(c)は中間板を、図4(d)は後羽根を示したものである。
【図5】実施例に採用されている補助地板を被写体側から視た平面図である。
【図6】撮像素子側から視た実施例の平面図であって、後羽根は露光作動終了直後の状態で示してある。
【図7】図1と同じようにして視た実施例の透視図であって、露光作動終了直後の状態を示したものである。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a,4a,5a 開口部
1b,1c,1d,6a,14a 長孔
1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k,1m 軸
1n 枠体部
1p,1q,1r,1s,1w,1x,5m,5n,5p,5q,5r,5s,5u,5v,5w,5x 窪み
1t,5i 壁部
1u,1v,5j,5k 傾斜面
2,3,20,21,22,23 緩衝部材
4 中間板
4b,4c,4d,5b,5c、5d 孔
5 補助地板
5e,5f,5g,5h 遮光壁
5t 凹部
6,7,14,15 アーム
8,9,10,11,16,17,18,19 羽根
12,13 連結軸
24 ネジ
25 CCD
26 ローパスフィルタ
AD 粘着材
Claims (6)
- 露光用の開口部を有している2枚の地板の間に羽根室を構成し該羽根室内にシャッタ羽根を配置しているか、前記2枚の地板の間を仕切って二つの羽根室を構成し夫々の羽根室に別々のシャッタ羽根を配置するかしていて、前記シャッタ羽根が、前記2枚の地板の一方に回転可能に取り付けられた複数のアームと、それらのアームに枢支された少なくとも1枚の羽根とを有しており、前記2枚の地板の少なくとも一方が、前記羽根室側の面に、前記アームの取り付け側の前記開口部の縁に沿って外周端まで連なる壁部を有していて、該壁部の前記アームの取り付け側の面及び前記開口部側の面の少なくとも一方に、表面に粘着性を有する粘着手段が設けられていることを特徴とするカメラ用シャッタ。
- 前記2枚の地板の少なくとも一方の前記羽根室側の面には、前記壁部を間にして前記アームの取り付け側の面及び前記開口部側の面の少なくとも一方に窪みが形成されており、該窪み内に、表面に粘着性を有する第2の粘着手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記2枚の地板の少なくとも一方は、該地板の外周縁において、前記壁部よりも前記開口部側に、前記シャッタ羽根の作動方向に対向するようにして該地板の前記羽根室側の面に対して垂直な遮光壁を有しており、該遮光壁の前記羽根室側の面には、表面に粘着性を有する第3の粘着手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記2枚の地板の少なくとも一方は、該地板の外周縁において、前記壁部よりも前記アームの取り付けられている側に、前記アームの作動方向に対向するようにして該地板の前記羽根室側の面に対して垂直な遮光壁を有しており、該遮光壁の前記羽根室側の面には、表面に粘着性を有する第4の粘着手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
- 前記2枚の地板の少なくとも一方の前記羽根室側とは反対側の面には、前記開口部の縁に沿って該反対側の面から突き出した枠体部が形成されていて、該枠体部には、表面に粘着性を有する第5の粘着手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
- 前記各粘着手段の少なくとも一つが、反射防止機能を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
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