JP4720051B2 - 窒化物系iii−v族化合物半導体基板およびその製造方法ならびに半導体発光素子の製造方法ならびに半導体装置の製造方法 - Google Patents

窒化物系iii−v族化合物半導体基板およびその製造方法ならびに半導体発光素子の製造方法ならびに半導体装置の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、窒化物系III−V族化合物半導体基板およびその製造方法ならびに半導体発光素子の製造方法ならびに半導体装置の製造方法に関し、特に、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザや発光ダイオードあるいは電子走行素子の製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、結晶内の欠陥密度が低い窒化物系III−V族化合物半導体基板の製造方法としては、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)(Japanese Journal of Applied Physics vol.36(1997)p.L899) や、ELOの改良版とも言うべきPENDEO(Applied Physics Letters vol.75(1999)pp.196-198) などの横方向結晶成長技術が用いられている。そして、光ディスクの高密度化に必要である青色領域から紫外線領域におよぶ発光が可能な半導体レーザとして近年盛んに研究開発が行われている、AlGaInNなどの窒化物系III−V族化合物半導体を用いた半導体レーザも、こうした基板を用いることで長寿命化が実現されている(Japanese Journal of Applied Physics vol.36(1997)pp.L1568-L1571) 。
【0003】
図8〜図14に、PENDEOを用いて得られた窒化物系III−V族化合物半導体基板を用いて半導体レーザを製造する方法を示す。この方法では、図8に示すように、まず、c面サファイア基板101上に低温で成長させたGaNバッファ層102を介してGaN層103を成長させる。次に、図9に示すように、このGaN層103をエッチングすることにより〈1−100〉方向に延在するストライプ形状にパターニングする。このパターニング後のGaN層103の平面形状を図10に示す。次に、図11および図12に示すように、このGaN層103を種結晶として、c面サファイア基板101の全面で連続膜となるようにGaN層104を横方向成長させる。このGaN層104の面方位は(0001)となる。
【0004】
次に、図13に示すように、このようにして得られた低欠陥密度のGaN層104上に、n型GaNコンタクト層105、n型AlGaNクラッド層106、n型GaN光導波層107、活性層108、p型AlGaNキャップ層109、p型GaN光導波層110、p型AlGaNクラッド層111およびp型GaNコンタクト層112を順次エピタキシャル成長させる。
【0005】
次に、図14に示すように、n型GaNコンタクト層105の上層部、n型AlGaNクラッド層106、n型GaN光導波層107、活性層108、p型AlGaNキャップ層109、p型GaN光導波層110、p型AlGaNクラッド層111およびp型GaNコンタクト層112をエッチングによりメサ形状にパターニングした後、さらにp型AlGaNクラッド層111およびp型GaNコンタクト層112をエッチングによりパターニングすることによりリッジ113を形成する。この後、p側電極およびn側電極の形成などの工程を経て、目的とするGaN系半導体レーザが製造される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、c面サファイア基板101上にGaN系半導体層をエピタキシャル成長させる上述の従来のGaN系半導体レーザの製造方法には、次のような問題があった。すなわち、サファイアとGaNなどのGaN系半導体とは格子定数および熱膨張係数が互いに大きく異なるため、c面サファイア基板101上にGaN系半導体層をエピタキシャル成長させると、基板全体が大きく反ってしまう。例えば、c面サファイア基板101の直径が50mm(2インチ)で厚さが430μmの場合における基板の反り量とGaN系半導体層の厚さとの関係は図15に示すようになり、GaN系半導体層の厚さの増加に伴って反り量が増加する。図15には、参考のために、PENDEOを用いず、c面サファイア基板101上にGaN系半導体層を直接エピタキシャル成長させたときの反り量も載せてあるが、PENDEOを用いた場合と大差ない。図15より、直径50mmで厚さ430μmのc面サファイア基板101の反り量は、GaN系半導体層の厚さが7μmのとき80μm程度になることが分かる。
【0007】
c面サファイア基板101にこのような大きな反りが生じると、GaN系半導体レーザの製造工程、特にリッジを形成するためのフォトリソグラフィー工程における露光やc面サファイア基板101の裏面研削などに支障が生じる。
【0008】
すなわち、露光工程においては、図16に示すように、GaN系半導体層114を成長させたc面サファイア基板101の表面にレジスト(図示せず)を塗布したものにフォトマスク115を用いて露光を行う。フォトマスク115は、透明なガラス基板115a上にマスクパターン115bを形成したものである。この露光においては、c面サファイア基板101に上記のような大きな反りが生じていると、フォトマスク115とレジストとの間の距離が基板面内で不均一になって焦点ずれが生じたり、基板面内でフォトマスク115と基板との寸法のずれが生じたりすることにより、基板面全体で精度良くマスク合わせを行うことが困難である。ところで、GaN系半導体レーザの発光効率の低下、信頼性の低下、寿命の低下などを防止するため、図17に示すように、電流注入領域となるリッジ113は、レーザ構造を形成するGaN系半導体層114のうちの、種結晶であるGaN層103と横方向成長の会合部116との間の欠陥密度の低い領域117に形成する必要がある。しかしながら、上述のようにc面サファイア基板101に大きな反りが生じていると基板面全体で精度良くマスク合わせを行うことができないため、リッジ113の形成位置が欠陥密度の低い領域117から外れてしまう箇所が発生するのを避けることができない。また、c面サファイア基板101の周辺部と中心部とでフォトマスク115による露光パターンの幅が異なり、周辺部の方が中心部に比べて大きくなる結果、リッジ113の幅が周辺部では中心部に比べて大きくなって基板面全体でリッジ113の幅が不揃いとなり、GaN系半導体レーザの歩留まりの低下をもたらす。
【0009】
また、共振器端面を形成するために、GaN系半導体層114を成長させたc面サファイア基板101の劈開を行うのが一般的であるが、この劈開を容易に行うためには、c面サファイア基板101の裏面を研削(ラッピング)して薄くする必要がある。ところが、上記のように大きな反りが生じていると、研削時にc面サファイア基板101が割れてしまうという問題が発生する。
【0010】
これらの問題を解消するために、c面サファイア基板101の厚さを大きくして反り量を低減することも考えられるが、c面サファイア基板101の厚さを大きくすると研削に膨大な時間を要するため、現実的な対策ではない。
【0011】
したがって、この発明が解決しようとする課題は、基板の反り量の大幅な低減を図ることができる窒化物系III−V族化合物半導体基板およびこのような窒化物系III−V族化合物半導体基板を簡単なプロセスで容易に製造することができる窒化物系III−V族化合物半導体基板の製造方法を提供することにある。
【0012】
この発明が解決しようとする他の課題は、基板上に窒化物系III−V族化合物半導体層が形成された窒化物系III−V族化合物半導体基板を用いて半導体発光素子を製造する場合に、基板の反り量の大幅な低減を図ることができ、フォトリソグラフィー工程における露光や基板の裏面研削を短時間で支障なく行うことができる半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【0013】
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、基板上に窒化物系III−V族化合物半導体層が形成された窒化物系III−V族化合物半導体基板を用いて半導体装置を製造する場合に、基板の反り量の大幅な低減を図ることができ、フォトリソグラフィー工程における露光や基板の裏面研削などを支障なく行うことができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような窒化物系III−V族化合物半導体基板あるいはその製造方法を利用した半導体発光素子の製造方法および半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その概要について説明すると、次のとおりである。
図12に示すように、従来のPENDEOにおいては、GaN層104が基板面全体で連続膜となるまで横方向成長を行うことを当然のこととしている。そして、その上にレーザ構造を形成するGaN系半導体層をエピタキシャル成長させている。このようにPENDEOにより横方向成長させたGaN層104およびその上にエピタキシャル成長させたGaN系半導体層114が連続膜となって基板面全体にわたって延在していることが、c面サファイア基板101に大きな反りが生じる原因である。
【0016】
そこで、本発明者は、c面サファイア基板の反り量の低減を図るためには、PENDEOにより横方向成長させるGaN層およびその上にエピタキシャル成長させるGaN系半導体層が基板面全体にわたって連続膜とならないようにすることが有効であると考え、そのための具体的な方策を見い出したものである。
すなわち、従来は、図9および図10に示すように、c面サファイア基板101の全面にわたって、種結晶となるストライプ形状のGaN層103を間隔Wで周期的に形成している。ここで、WはGaN層103から横方向成長するGaN層104が完全につながるように選ばれている。GaN層103の幅をW1 、それらの間にある欠陥密度が低い領域全体の幅をW2 とするとW=W1 +W2 となる。
【0017】
これに対し、図1に示すように、種結晶であるストライプ形状のGaN層3を間隔Wで周期的に形成することを基調としつつも、GaN層3から横方向成長するGaN層4がつながらないような、W´>Wを満たす間隔となる箇所を少なくとも一箇所設けることを考える。図1において、符号1はc面サファイア基板、2はGaNバッファ層を示す。このようにすれば、図2に示すように、横方向成長するGaN層4が基板面上で分断され、その上にエピタキシャル成長されるGaN系半導体層も同様に分断されたものとなるため、c面サファイア基板1の反り量は大幅に低減されることになる。
【0018】
以上のことは、横方向結晶成長技術としてPENDEOを用いる場合に限られず、他の横方向結晶成長技術を用いる場合にも成立し得るものである。また、基板がサファイアと異なる物質からなる場合であっても成立し得るものである。
この発明は、本発明者による以上の検討に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
【0019】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
基板の一主面上に成長された第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることにより形成されたストライプ形状の種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させた窒化物系III−V族化合物半導体基板において、
互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長した第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域を有する
ことを特徴とするものである。
【0020】
この発明の第2の発明は、
基板の一主面上に第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにする工程と、
種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させる工程とを有する
ことを特徴とする窒化物系III−V族化合物半導体基板の製造方法である。
【0021】
この発明の第3の発明は、
基板の一主面上に成長された第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させ、この際、互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長した第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域を有するようにした窒化物系III−V族化合物半導体基板を用い、
この窒化物系III−V族化合物半導体基板上に、発光素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させるようにした
ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0022】
この発明の第4の発明は、
基板の一主面上に第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにする工程と、
種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させる工程と、
第2の窒化物系III−V族化合物半導体層上に、発光素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程とを有する
ことを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0023】
この発明の第5の発明は、
基板の一主面上に成長された第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させ、この際、互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長した第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域を有するようにした窒化物系III−V族化合物半導体基板を用い、
この窒化物系III−V族化合物半導体基板上に、素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させるようにした
ことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0024】
この発明の第6の発明は、
基板の一主面上に第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにする工程と、
種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させる工程と、
第2の窒化物系III−V族化合物半導体層上に、素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0025】
この発明の第1、第3および第5の発明において、窒化物系III−V族化合物半導体基板は、典型的には、種結晶が第1の間隔で周期的に形成されている第1の領域と、種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されている第2の領域とを有する。この第2の領域では、互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長する第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合しないようにすることができる。
【0026】
この発明において、互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長した第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域あるいは種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されている第2の領域は少なくとも一つあればよいが、基板の反り量をより低減し、あるいは、基板が大型化しても反り量を小さく抑える観点からは、好適には複数設けられる。これらの領域を複数設ける場合、これらの領域は周期的に設けてもよいし、非周期的に設けてもよい。
【0027】
この発明において、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層上に発光素子構造などの素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層が成長される場合、典型的には、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域において第3の窒化物系III−V族化合物半導体層がつながらず、分断された状態となる。
【0028】
この発明において、窒化物系III−V族化合物半導体は、Ga、Al、InおよびBからなる群より選ばれた少なくとも一種のIII族元素と、少なくともNを含み、場合によってさらにAsまたはPを含むV族元素とからなり、具体例を挙げると、GaN、InN、AlN、AlGaN、InGaN、AlGaInNなどである。
【0029】
最も典型的には、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層および第2の窒化物系III−V族化合物半導体層はGaN層であるが、AlGaN層、InGaN層、AlGaInN層などであることもある。特に、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層がGaN層、AlGaN層、InGaN層、AlGaInN層である場合には、それぞれGaN基板、AlGaN基板、InGaN基板、AlGaInN基板を得ることができる。これらのGaN層、AlGaN層、InGaN層、AlGaInN層はノンドープであっても、n型不純物またはp型不純物をドーピングしたものであってもよく、前者の場合にはノンドープの基板が、後者の場合にはn型またはp型の基板を得ることができる。
種結晶は好適には、〈1−100〉方向に互いに平行に延在するストライプ形状を有する。
【0030】
第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる基板は、窒化物系III−V族化合物半導体と異なる物質からなる基板であり、具体的には、サファイア基板、SiC基板、Si基板、GaAs基板、GaP基板、InP基板、スピネル(MgAl2 4 )基板、酸化シリコン基板などである。この基板の形状は、基本的にはどのような形状であってもよいが、典型的には円形である。
【0031】
窒化物系III−V族化合物半導体層の成長方法としては、有機金属化学気相成長(MOCVD)、ハイドライド気相エピタキシャル成長またはハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)などを用いることができ、成長は常圧で行っても減圧で行ってもよい。
【0032】
半導体発光素子は、具体的には、例えば、半導体レーザや発光ダイオードである。また、半導体装置は、半導体レーザや発光ダイオードのような半導体発光素子を含むほか、FETやヘテロ接合バイポーラトランジスタなどの電子走行素子を含む。
【0033】
上述のように構成されたこの発明によれば、互いに隣接する少なくとも一対の種結晶から横方向成長した第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域を有することにより、その上に発光素子構造などの素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させた場合、この第3の窒化物系III−V族化合物半導体層はその部分でつながらず、分断された状態となる。このため、基板が、サファイアなどの窒化物系III−V族化合物半導体と格子定数および/または熱膨張係数が大きく異なる物質からなるものであっても、基板全面に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層および第3の窒化物系III−V族化合物半導体層が成長される場合に比べて、基板の反り量の大幅な低減を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1〜図3、図6および図7は、この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を示す。このGaN系半導体レーザは、リッジ構造およびSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造を有するものである。
【0035】
この一実施形態においては、図1に示すように、まず、あらかじめサーマルクリーニングなどにより表面を清浄化したc面サファイア基板1上に有機金属化学気相成長(MOCVD)法により例えば500℃程度の温度でアンドープGaNバッファ層2を成長させた後、このアンドープGaNバッファ層2上にMOCVD法により例えば1000℃程度の成長温度でアンドープGaN層3を成長させる。アンドープGaNバッファ層2は厚さが例えば30nmである。また、アンドープGaN層3は厚さが例えば2μmである。ここで、図1Aは平面図、図1Bは断面図である。
【0036】
次に、アンドープGaN層3の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.1μmのSiO2 膜(図示せず)を形成した後、このSiO2 膜上にリソグラフィーにより所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜をエッチングし、パターニングする。次に、この所定形状のSiO2 膜をマスクとして例えばRIE法によりc面サファイア基板1に達するまでエッチングを行う。このRIEのエッチングガスとしては例えば塩素系ガスを用いる。このエッチングによって、図1に示すように、c面サファイア基板1上の第1の領域では種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3が間隔Wで周期的に形成されるとともに、第2の領域では間隔W´>Wで種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3が形成される。この第2の領域は好適には、等間隔、例えば10mm間隔で複数設けられる。この場合、第1の領域と第2の領域とが交互に配置されることになる。種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3の幅W1 および間隔W2 は、例えばW1 =2.5μm、W2 =13.5μmとし、このときW=W1 +W2 =16μmである。W´は後述のようにして決められるが、例えばW´=50μmとする。このストライプ形状のアンドープGaN層3の延在方向は〈1−100〉方向である。
【0037】
次に、エッチングマスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去した後、図2に示すように、ストライプ形状のアンドープGaN層3を種結晶としてPENDEOによりn型GaN層4を横方向成長させる。このときの成長温度は例えば1070℃とする。また、このn型GaN層4は厚さが例えば5μmであり、n型不純物として例えばシリコン(Si)がドープされている。このn型GaN層4は、種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3が間隔Wで周期的に形成された第1の領域では連続膜となるが、種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3が間隔W´>Wで形成された第2の領域ではつながらず、分断された状態となる。このn型GaN層4の面方位は例えば(0001)であり、第2の領域に現れる、基板面に対して傾斜した側面の面方位は(11−22)である。
次に、詳細は後述するが、図3に示すように、n型GaN層4上にn型GaNコンタクト層5をエピタキシャル成長させた後、その上にレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lをエピタキシャル成長させる。
【0038】
ここで、W´>Wの具体的な決定方法について説明する。
いま、図3に示すように、PENDEOによりn型GaN層4を横方向成長させ、その上にn型GaNコンタクト層5を成長させ、さらにその上にレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lを成長させる場合を考える。n型GaNコンタクト層5の厚さをh1 、GaN系半導体層Lの厚さをh2 とする。また、n型GaN層4、n型GaNコンタクト層5およびGaN系半導体層Lの基板面に垂直方向(縦方向)の成長速度をV⊥、基板面に平行な方向(横方向)の成長速度をV‖とする(図3参照)。なお、レーザ構造を形成するGaN系半導体層Lには数種類のGaN系半導体層が含まれるが、ここでは、これらの層の成長速度は互いに同一であると仮定する。
【0039】
まず、
V⊥:V‖=1:a(ただし、aは比例定数で成長条件に依存する)
とすると、
V⊥=V‖/a (1)
となる。
【0040】
種結晶となるストライプ形状のアンドープGaN層3が間隔Wで周期的に形成される第1の領域で横方向成長するn型GaN層4が連続膜となるまでの時間をt1 とすると、
1 =(W/2)/V‖=W/2V‖ (2)
である。
【0041】
n型GaN層4が連続膜となってからレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lの成長を開始するまでの時間をt2 とすると、
2 =h1 /V⊥=ah1 /V‖ (3)
となる。
【0042】
レーザ構造を形成するGaN系半導体層Lの成長時の成長条件下では成長温度が低いため、
V⊥≫V‖ (4)
となる。
【0043】
いま、
V⊥=V‖ (5)
となる条件を横方向の成長速度の最大値と仮定すれば、レーザ構造を形成するGaN系半導体層Lを成長し終えるまでの時間t3
3 =h2 /V⊥=h2 /V‖ (6)
となる。
【0044】
(2)、(3)、(6)式よりWとW´との関係は以下のように導かれる。
W´/2>V‖(t1 +t2 +t3 )=W/2+ah1 +h2 (7)
(7)式を変形すると、
W´>W+2(ah1 +h2 ) (8)
となる。すなわち、与えられたW、h1 、h2 に対して(8)式を満たすようにW´を選ぶことにより、第2の領域において横方向成長するn型GaN層4がつながらないようにすることができる。
【0045】
aの値は次のようにして決定することができる。
図4はMOCVD法により常圧でGaNを成長させたときの縦方向の成長速度(V⊥)および横方向の成長速度(V‖)の成長温度依存性を示す。図4より、成長温度が高い方が横方向成長が促進されることが分かる。図4より、縦方向成長速度に対する横方向成長速度の比、すなわちaを求めることができる。
【0046】
図5は、Ga原料としてTMGaを用いてMOCVD法により常圧でGaNを成長させたときの縦方向成長速度および横方向成長速度のTMGa供給レート依存性を示す。ただし、成長温度は1065℃である。図5より、TMGa供給レートが低いとき(例えば、40μmol/min以下)には縦方向成長速度は〜0μm/hであり、横方向成長が支配的になり、成長方向の高い選択性が得られていることが分かる。
【0047】
図4および図5の結果を総合すると、aの値の範囲は一般には0<a<∞となる。aの値の具体例を挙げると、成長温度が1065℃のとき約3である。
(8)式にa=3、後述のようにh1 =4μmを代入し、また、後述のようにレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lの厚さの典型的な値としてh2 =2μmを代入し、さらにW=16μmを代入すると、
Figure 0004720051
となる。よって、この不等式を満たすW´の値として例えば50μmを選ぶ。
【0048】
なお、すでに述べたようにレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lは数種類のGaN系半導体層を含むものであり、種類の異なるGaN系半導体層の成長速度は程度の差はあれ互いに異なり得るので、これを考慮して(6)式を一般化すると次式のようになる。
3 =Σt3i=Σh2i/V⊥i =Σh2i/V‖i (6)´
ここで、t3iはGaN系半導体層Lを構成するi番目の層の成長に要する時間、h2iはその層の厚さ、V⊥i はその縦方向成長速度、V‖i はその横方向成長速度で、ΣはGaN系半導体層Lがn個の層からなるとするとi=1からi=nまでの和をとる。また、このときの(7)式に対応する式は
Figure 0004720051
となり、これは(7)式と同じである。よって、この場合も、(8)式が成立する。
【0049】
さて、図2に示すようにn型GaN層4を横方向成長させた後、図6に示すように、n型GaN層4上に、MOCVD法により、n型GaNコンタクト層5、n型AlGaNクラッド層6、n型GaN光導波層7、アンドープのGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層8、アンドープInGaN劣化防止層9、p型AlGaNキャップ層10、p型GaN光導波層11、p型AlGaNクラッド層12およびp型GaNコンタクト層13を順次成長させる。これらのGaN系半導体層は、図3に示すように、第2の領域においてつながらず、分断された状態となる。
【0050】
ここで、n型GaNコンタクト層5は厚さが例えば4μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。n型AlGaNクラッド層5は厚さが例えば1.0μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされ、Al組成は例えば0.08である。n型GaN光導波層6は厚さが例えば0.1μmであり、n型不純物として例えばSiがドープされている。アンドープInx Ga1-x N/Iny Ga1-y N多重量子井戸構造の活性層8は、例えば、井戸層としてのInx Ga1-x N層の厚さが3.5nmでx=0.14、障壁層としてのIny Ga1-y N層の厚さが7nmでy=0.02、井戸数が3である。
【0051】
アンドープInGaN劣化防止層9は、活性層8に接している面から、p型AlGaNキャップ層9に接している面に向かってIn組成が徐々に単調減少するグレーディッド構造を有し、活性層8に接している面におけるIn組成は活性層8の障壁層としてのIny Ga1-y N層のIn組成yと一致しており、p型AlGaNキャップ層10に接している面におけるIn組成は0となっている。このアンドープInGaN劣化防止層9の厚さは例えば20nmである。
【0052】
p型AlGaNキャップ層10は厚さが例えば10nmであり、p型不純物として例えばマグネシウム(Mg)がドープされている。このp型AlGaNキャップ層10のAl組成は例えば0.2である。このp型AlGaNキャップ層10は、p型GaN光導波層11、p型AlGaNクラッド層12およびp型GaNコンタクト層13の成長時に活性層8からInが脱離して劣化するのを防止するとともに、活性層8からのキャリア(電子)のオーバーフローを防止するためのものである。p型GaN光導波層11は厚さが例えば0.1μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。p型AlGaNクラッド層12は厚さが例えば0.5μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされ、Al組成は例えば0.08である。p型GaNコンタクト層13は厚さが例えば0.1μmであり、p型不純物として例えばMgがドープされている。
【0053】
また、Inを含まない層であるn型GaNコンタクト層5、n型AlGaNクラッド層6、n型GaN光導波層7、p型AlGaNキャップ層10、p型GaN光導波層11、p型AlGaNクラッド層12およびp型GaNコンタクト層13の成長温度は例えば1000℃程度とし、Inを含む層であるGa1-x Inx N/Ga1-y Iny N多重量子井戸構造の活性層8の成長温度は例えば700〜800℃、例えば730℃とする。アンドープInGaN劣化防止層9の成長温度は、成長開始時点は活性層8の成長温度と同じく例えば730℃に設定し、その後例えば直線的に上昇させ、成長終了時点でp型AlGaNキャップ層10の成長温度と同じく例えば835℃になるようにする。
【0054】
これらのGaN系半導体層の成長原料は、例えば、Gaの原料としてはトリメチルガリウム((CH3 3 Ga、TMG)、Alの原料としてはトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al、TMA)、Inの原料としてはトリメチルインジウム((CH3 3 In、TMI)を、Nの原料としてはNH3 を用いる。また、キャリアガスとしては、例えば、H2 を用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばシラン(SiH4 )を、p型ドーパントとしては例えばビス=メチルシクロペンタジエニルマグネシウム((CH3 5 4 2 Mg)あるいはビス=シクロペンタジエニルマグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いる。
【0055】
次に、上述のようにしてGaN系半導体層を成長させたc面サファイア基板1をMOCVD装置から取り出す。そして、p型GaNコンタクト層13の全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.1μmのSiO2 膜(図示せず)を形成した後、このSiO2 膜上にリソグラフィーによりメサ部の形状に対応した所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜をエッチングし、パターニングする。次に、この所定形状のSiO2 膜をマスクとして例えばRIE法によりn型GaNコンタクト層5に達するまでエッチングを行う。このRIEのエッチングガスとしては例えば塩素系ガスを用いる。このエッチングにより、n型GaNコンタクト層5の上層部、n型AlGaNクラッド層6、n型GaN光導波層7、活性層8、アンドープInGaN劣化防止層9、p型AlGaNキャップ層10、p型GaN光導波層11、p型AlGaNクラッド層12およびp型GaNコンタクト層133メサ形状にパターニングされる。
【0056】
次に、エッチングマスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去した後、再び基板全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.2μmのSiO2 膜(図示せず)を形成した後、このSiO2 膜上にリソグラフィーによりリッジ部に対応する所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして、例えばフッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング、または、CF4 やCHF3 などのフッ素を含むエッチングガスを用いたRIE法によりSiO2 膜をエッチングし、リッジ部に対応する形状とする。
【0057】
次に、このSiO2 膜をマスクとしてRIE法によりp型AlGaNクラッド層11の厚さ方向の所定の深さまでエッチングを行うことにより、図7に示すように、〈1−100〉方向に延在するリッジ14を形成する。このリッジ14の幅は例えば3μmである。このRIEのエッチングガスとしては例えば塩素系ガスを用いる。
【0058】
次に、エッチングマスクとして用いたSiO2 膜をエッチング除去した後、基板全面に例えばCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などにより例えば厚さが0.3μmのSiO2 膜のような絶縁膜15を上記のメサ部の全体を覆うように成膜する。この絶縁膜15は電気絶縁および表面保護のためのものである。
【0059】
次に、リソグラフィーによりn側電極形成領域を除いた領域の絶縁膜15の表面を覆うレジストパターン(図示せず)を形成する。
次に、このレジストパターンをマスクとして絶縁膜15をエッチングすることにより、開口14aを形成する。
【0060】
次に、レジストパターンを残したままの状態で基板全面に例えば真空蒸着法によりTi膜、Pt膜およびAu膜を順次形成した後、レジストパターンをその上に形成されたTi膜、Pt膜およびAu膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、絶縁膜15の開口15aを通じてn型GaNコンタクト層5にコンタクトしたn側電極16が形成される。ここで、このn側電極16を構成するTi膜、Pt膜およびAu膜の厚さは例えばそれぞれ10nm、50nmおよび100nmとする。次に、n側電極16をオーミック接触させるためのアロイ処理を行う。
【0061】
次に、同様なプロセスで、リッジ14の上の部分の絶縁膜15をエッチング除去して開口14bを形成した後、n側電極16と同様にして、この開口14bを通じてp型GaNコンタクト層13にコンタクトしたPd/Pt/Au構造のp側電極17を形成する。このp側電極17を構成するPd膜、Pt膜およびAu膜の厚さは、例えばそれぞれ10nm、100nmおよび300nmである。次に、p側電極17をオーミック接触させるためのアロイ処理を行う。
【0062】
次に、上述のようにしてレーザ構造が形成されたc面サファイア基板1の裏面を研削して薄膜化した後、これを劈開などによりバー状に加工して両共振器端面を形成する。次に、これらの共振器端面に端面コーティングを施した後、このバーを劈開などによりチップ化する。
以上により、目的とするリッジ構造およびSCH構造を有するGaN系半導体レーザが製造される。
【0063】
以上のように、この一実施形態によれば、c面サファイア基板1上の第1の領域ではストライプ形状のアンドープGaN層3を間隔Wで周期的に形成するとともに、第2の領域では間隔W´>Wでストライプ形状のアンドープGaN層3を形成し、これらのアンドープGaN層3を種結晶としてPENDEOによりn型GaN層4を横方向成長させているので、第1の領域ではn型GaN層4は連続膜となるが、第2の領域ではn型GaN層4がつながらず、分断された状態となる。そして、このn型GaN層4上に成長するn型GaNコンタクト層5およびその上に成長するレーザ構造を形成するGaN系半導体層Lも同様に、第1の領域では連続膜となるが、第2の領域ではつながらず、分断された状態となる。このため、レーザ構造を形成するGaN系半導体層Lの成長後のc面サファイア基板1の反り量の大幅な低減を図ることができる。これによって、レーザのリッジを形成するためのリソグラフィー工程における露光時に、基板面全体で精度良くマスク合わせを行うことが可能となるため、リッジ14を種結晶であるストライプ形状のアンドープGaN層3と横方向成長の会合部との間の欠陥密度の低い領域に正確に形成することができ、GaN系半導体レーザの発光効率の低下、信頼性の低下、寿命の低下などを防止することができるとともに、リッジ14の幅を基板面全体で均一に揃えることができ、GaN系半導体レーザの歩留まりの向上を図ることができる。また、c面サファイア基板1が裏面研削時に割れてしまうという問題も解消することができ、これによってもGaN系半導体レーザの歩留まりの向上を図ることができる。さらに、反りを抑えるためにc面サファイア基板1を厚くする必要がないので、裏面研削に要する時間を短く抑えることができる。
【0064】
また、GaN系半導体層Lの成長時のc面サファイア基板1の反り量も低減することにより、成長時の基板面内温度分布が均一となるため、GaN系半導体層Lの厚さや組成の分布が基板面内で均一となり、特に、活性層8の組成分布を均一にすることができることにより発光波長の分布の均一性の向上を図ることができ、GaN系半導体レーザの歩留まりの向上を図ることができる。
【0065】
さらに、GaN系半導体層LのうちのAlGaN層(特に、n型AlGaNクラッド層6)を成長させると、特に基板周辺部において下地のn型GaNコンタクト層105との格子定数差によりこのAlGaN層にクラックが発生するが、GaN系半導体層Lは第2の領域で分断されるため、このクラックが基板中心方向に伝播するのをほぼ完全に防止することができ、基板中心部のクラック本数をほぼ0にすることができ、GaN系半導体レーザの歩留まりの大幅な向上を図ることができる。
【0066】
加えて、この一実施形態によれば、活性層8に接してアンドープInGaN劣化防止層9が設けられ、このアンドープInGaN劣化防止層9に接してp型AlGaNキャップ層10が設けられているので、アンドープInGaN劣化防止層9により、p型AlGaNキャップ層10により活性層8に発生する応力を大幅に緩和することができるとともに、p型層のp型ドーパントとして用いられるMgが活性層7に拡散するのを有効に抑制することができる。
【0067】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0068】
例えば、上述の一実施形態において挙げた数値、構造、基板、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、基板、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0069】
具体的には、例えば、上述の一実施形態においては、レーザ構造を形成するn型層を基板上に最初に積層し、その上にp型層を積層しているが、これと積層順序を逆にし、基板上に最初にp型層を積層し、その上にn型層を積層した構造としてもよい。
【0070】
また、上述の一実施形態においては、c面サファイア基板を用いているが、必要に応じて、SiC基板、Si基板、スピネル基板、厚いGaN層からなる基板などを用いてもよい。また、GaNバッファ層の代わりに、AlNバッファ層やAlGaNバッファ層を用いてもよい。
【0071】
また、上述の一実施形態においては、この発明をSCH構造のGaN系半導体レーザの製造に適用した場合について説明したが、この発明は、例えば、DH(Double Heterostructure)構造のGaN系半導体レーザの製造に適用してもよいことはもちろん、GaN系発光ダイオードの製造に適用してもよく、さらにはGaN系FETやGaN系ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)などの窒化物系III−V族化合物半導体を用いた電子走行素子に適用してもよい。
【0072】
さらに、上述の一実施形態においては、MOCVD法により成長を行う際のキャリアガスとしてH2 ガスを用いているが、必要に応じて、他のキャリアガス、例えばH2 とN2 あるいはHe、Arガスなどとの混合ガスを用いてもよい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、基板の一主面上に成長された第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では種結晶が第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにし、これらの種結晶を用いて基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させるようにしていることにより、この第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が第2の領域においてつながらず、分断された状態とすることができる。そして、その上に成長させる、発光素子構造などの素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層も、第2の領域においてつながらず、分断された状態とすることができる。このため、基板としてサファイアなどの窒化物系III−V族化合物半導体と格子定数および/または熱膨張係数が大きく異なる物質からなるものを用いても、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長後における基板の反り量の大幅な低減を図ることができる。このため、半導体発光素子や半導体装置の製造において、フォトリソグラフィー工程における露光や基板の裏面研削などを支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための平面図および断面図である。
【図2】この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図4】MOCVD法により成長されるGaNの縦方向成長速度および横方向成長速度の成長温度依存性を示す略線図である。
【図5】MOCVD法により成長されるGaNの縦方向成長速度および横方向成長速度のTMGa供給レート依存性を示す略線図である。
【図6】この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図7】この発明の一実施形態によるGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図9】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図10】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための平面図である。
【図11】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】従来のGaN系半導体レーザの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させたときの基板の反り量とGaN系半導体層の厚さとの関係を示す略線図である。
【図16】従来のGaN系半導体レーザの製造方法の問題点を説明するための略線図である。
【図17】従来のGaN系半導体レーザの製造方法の問題点を説明するための平面図である。
【符号の説明】
1・・・c面サファイア基板、3・・・アンドープGaN層、4・・・n型GaN層、5・・・n型GaNコンタクト層、6・・・n型AlGaNクラッド層、7・・・n型GaN光導波層、8・・・活性層、9・・・アンドープInGaN劣化防止層、10・・・p型AlGaNキャップ層、11・・・p型GaN光導波層、12・・・p型AlGaNクラッド層、13・・・p型GaNコンタクト層、14・・・リッジ、15・・・絶縁膜、16・・・n側電極、17・・・p側電極

Claims (12)

  1. 基板の一主面上に成長された第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では上記種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では上記種結晶が上記第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにし、上記種結晶を用いて上記基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させ、この際、互いに隣接する少なくとも一対の上記種結晶から横方向成長した上記第2の窒化物系III−V族化合物半導体層が会合していない領域を有するようにした窒化物系III−V族化合物半導体基板を用い、この窒化物系III−V族化合物半導体基板上に、素子構造を形成する第3の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させるようにした半導体装置の製造方法。
  2. 上記第1の窒化物系III−V族化合物半導体層および上記第2の窒化物系III−V族化合物半導体層はGaN層である請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 上記種結晶は〈1−100〉方向に互いに平行に延在するストライプ形状を有する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  4. 上記基板は窒化物系III−V族化合物半導体と異なる物質からなる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  5. 上記基板はサファイアからなる請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  6. 上記半導体装置は半導体発光素子である請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  7. 基板の一主面上に第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
    上記第1の窒化物系III−V族化合物半導体層をパターニングすることによりストライプ形状の種結晶を形成し、この際、第1の領域では上記種結晶が第1の間隔で周期的に形成され、第2の領域では上記種結晶が上記第1の間隔より大きい第2の間隔で形成されるようにする工程と、
    上記種結晶を用いて上記基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させる工程と、
    上記第2の窒化物系III−V族化合物半導体層上に、素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程とを有する半導体装置の製造方法。
  8. 上記第1の窒化物系III−V族化合物半導体層および上記第2の窒化物系III−V族化合物半導体層はGaN層である請求項7記載の半導体装置の製造方法。
  9. 上記種結晶は〈1−100〉方向に互いに平行に延在するストライプ形状を有する請求項7記載の半導体装置の製造方法。
  10. 上記基板は窒化物系III−V族化合物半導体と異なる物質からなる請求項7記載の半導体装置の製造方法。
  11. 上記基板はサファイアからなる請求項7記載の半導体装置の製造方法。
  12. 上記半導体装置は半導体発光素子である請求項7記載の半導体装置の製造方法。
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