以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1(A)は本発明の第1の実施の形態に係る結晶基板10の断面構造を表すものであり、図1(B)は図1(A)に示した結晶基板10における転位の様子を模式的に表すものである。この結晶基板10は、成長用基板11の一面側に、例えばバッファ層12を介して結晶層13が積層された構成を有している。
成長用基板11は、例えば、サファイア,炭化ケイ素(SiC),窒化ガリウム(GaN),砒化ガリウム(GaAs),ケイ素(Si)あるいはマグネシウム・アルミニウム複合酸化物(MgAl2 O4 ;スピネル)やリチウム・ガリウム複合酸化物(LiGaO2 )などの結晶性材料により構成されており、その厚さは例えば400μmである。成長用基板11は、また、3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくともヒ素(As)またはリン(P)とを含むIII−V族化合物により構成されていてもよく、更に、転位の存在する結晶基板であれば、広く適用可能である。
バッファ層12は、結晶層13を成長させる際の核となる層であり、例えば、厚さ30nmのGaNにより構成される。なお、バッファ層12には結晶層13へと伝播する貫通転位D1 が存在している。貫通転位D1 は、成長用基板11とバッファ層12との格子不整合あるいは熱膨張係数の差などに起因して発生したものであり、その密度は、例えば3×108 cm-2程度である。
結晶層13は、例えば、ウルツ鉱型構造の結晶により構成されている。ウルツ鉱型構造の結晶としては、例えば、短周期律表における3B族元素のうちの少なくとも1種と5B族元素のうちの少なくとも窒素(N)とを含む窒化物系III−V族化合物が挙げられる。なお、この結晶層13が本発明の「結晶膜」の一具体例に対応している。
この結晶層13では、下層のバッファ層12から転位D1 が貫通しており、個々の転位D1 の終端に空間部13aが形成されている。また、転位D1 の密度によっては空間部13a同士が連通し、空間部13bが形成されている。ここで、転位D1 は、これら空間部13a,13bの基底部に通じ、空間部13a,13bにより上層部へ伝播することが阻止される。
空間部13aの形状は、例えば、貫通転位D1 と通じている部分を頂点とする多角錐、あるいは貫通転位D1 と通じている部分を中心とするすり鉢状であり、多角錐型の具体例としては、外1に示した6つの面(S面)からなる倒立六角錐がある。また、空間部13bは、空間部13aが連結された形状であり、例えば、その断面が転位D1 と通じている部分を中心とする逆三角形をのこぎり刃状に連続させた形状である場合や、転位D1 と通じている部分を中心とするすり鉢状の空間が連続して構成される場合がある。空間部13a,13bに通じている転位D1 の密度をbとすると、転位D1 間の平均距離はb-1/2となるので、個々の転位D1 に対応する空間部13aを連通させて1つの空間部13bとするためには、例えば、各転位D1 に対応する空間部13aを、その径がb-1/2以上となるように形成すればよい。
なお、横方向に結晶成長させる場合に、横方向に成長した結晶同士の会合部に空洞が形成されることがあるが、空間部13a,13bはこの空洞とは異なるものである。また、空間部13a,13bは、3次元的に結晶が不連続になる領域であり、内部は真空状態である場合のほか、少なくとも1部に非晶質の材料が結晶化せずに取り残された状態や、ガスあるいは液体が充填されている状態、またはそれらの複合状態になっている場合もある。
この結晶層13においては、その結晶成長過程において空間部13a,13bから新たに転位が派生するときには、新たな転位は、転位D1 が持つ変位の合計すなわちバーガース・ベクトルの和に相当する変位を持つ。しかしながら、例えば空間部13bでは、転位D1 の変位の総和が0になれば転位は発生せず、上層への転位の伝播をなくすことが可能である。また、転位D1 の変位の合計が0以外の値となった場合においても、転位D1 が持つ変位は、通常は転位D1 が連結するように合成され、転位D1 の数よりも空間部13a,13bから新たに発生する転位の数の方が少なくなる。更に、空間部13a,13bは、後述するようにその上部が横方向成長によって構成されているので、結晶成長過程において転位D1 が持つ変位の向きを変化させ、新たに発生する転位D2 を横方向に伝播させることが可能であり、空間部13a,13bから上層までの領域において転位の伝播をなくすことが可能である。従って、結晶層13の上層における転位密度は下層の転位密度よりも低くなる。なお、各転位D1 に対応する空間部13bの径を30nm以上とすれば、より多くの転位の合成が可能となり、バーガース・ベクトル同士が相殺される確率が高くなるので好ましい。
この結晶基板10は、次のようにして製造することができる。
まず、図2に示したように、成長用基板11を用意し、この成長用基板11の一面(成長用基板11がサファイアよりなる場合には、例えばc面)に、例えば、MOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学気相成長)法によりGaNよりなるバッファ層12を成長させる。その際、成長用基板11の温度(成長温度)は例えば520℃とする。次に、バッファ層12の上に、例えば窒化物系III−V族化合物よりなる結晶層13の下層部13cを1000℃で成長させる。このとき、下層部13cには転位D1 が存在している。
なお、MOCVDを行う際に、3B族元素の原料ガスとしては、例えば、ガリウムの原料ガスとしてトリメチルガリウム((CH3 )3 Ga)、アルミニウムの原料ガスとしてトリメチルアルミニウム((CH3 )3 Al)、インジウムの原料ガスとしてトリメチルインジウム((CH3 )3 In)、ホウ素の原料ガスとしてトリメチルホウ素((CH3 )3 B)をそれぞれ用いる。また、5B族元素の原料ガスとしては、窒素の原料ガスとして例えばアンモニア(NH3 )を用いる。また、キャリアガスには、例えば、水素(H2 )および窒素(N2 )を用いる。更に、結晶層13(下層部13cおよび後述する上層部)を成長させる際には、必要に応じてケイ素(Si)あるいはマグネシウム(Mg)などの不純物を添加して成長させることも可能である。その場合、ケイ素の原料ガスとしては例えばモノシラン(SiH4 )を用い、マグネシウムの原料ガスとしては例えばビス=シクロペンタジエニルマグネシウム((C5 H5 )2 Mg)を用いる。
次に、例えば、3B族元素の原料ガスの供給を停止し、水素を含む雰囲気中で1000℃以上(例えば1020℃)の温度で所定の時間(例えば3分間)加熱する。このとき、転位D1 付近は強度が弱いために、この部分に熱と水素ガスによるエッチングが集中的に進行する。従って、下層部13cの表面には、個々の転位D1 に自発的に対応するエッチピット13a1 ,13b1 が形成される。ここでいう自発的に対応するとは、リソグラフィなどによるパターンニングを必要とせず、自ずと転位D1 に通ずることを意味する。エッチピット13a1 ,13b1 の形成は、転位密度bに対応する径がb-1/2以上となるように成長条件を調整して行い、複数の転位D1 と通じたエッチピット13b1 とすることが好ましい。また、エッチピット13a1 ,13b1 の深さは、例えば30nm以上、好ましくは100nm以上とする。ちなみに、ここでのエッチングは、成長用基板11との界面まで行うようにしてもよい。
更に、例えば、3B族元素の原料ガスの供給を再開し、結晶層13の上層部を成長させる。このとき、下層部13cの表面では、エッチピット13a1 ,13b1 の上よりも成長速度が速く、エッチピット13a1 ,13b1 を覆うように横方向にも成長が進み、空間部13a,13bが形成される。これにより、個々の転位D1 の終端に空間部13a,13bが設けられ、転位D1 が上層部から遮断される。
また、ここで空間部13b(エッチピット13b1 )に通ずる転位D1 の変位の合計が0になれば新たに転位は発生せず、転位D1 の変位の合計が0以外の値となった場合においても、通常、転位D1 が持つ変位が転位D1 が連結するように合成され、転位D1 の数よりも空間部13bから新たに発生する転位の数の方が少なくなる。また、空間部13a,13b(エッチピット13a1 ,13b1 )により転位D1 が持つ変位の向きが変化した場合には、空間部13a,13bから新たに発生する転位(例えば、図1に示した転位D2 )を横方向に伝播させることが可能であり、空間部13a,13bから結晶層13の表面までの領域(すなわち、上層部)における転位密度が低減する。
上層部を一定時間以上成長させると、成長面は実質的に平坦となる。これにより、図1(A),(B)に示した結晶層13および結晶基板10が得られる。
このように本実施の形態では、結晶層13に個々の転位D1 に対応した空間部13a,13bを設けるようにしたので、この空間部13a,13bにより転位D1 の上層部への伝播が阻止され、上層部を転位密度が低い結晶で構成することができる。よって、簡易な構成で、上層部における転位密度が一様に低減された結晶層13を得ることができる。特に、空間部13bでは、各転位D1 の変位が合成される確率が高くなり、転位をより効率的に低減することができる。
従って、転位の分布とは無関係にパターニングされるために、マスクあるいは種結晶から転位が伝播するという従来の問題が解消し、また、このような結晶基板10を用いて半導体装置を作製するようにすれば、基板の位置合わせが不要となる。なお、このような観点から、本発明の結晶基板は、従来の結晶基板に比べてより有効的に転位が低減されていることがわかる。
また、エッチピット13a1 ,13b1 ないしは空間部13a,13bが自発的に形成されるので、結晶層13の上層部における貫通転位密度を効率よく簡便に低減することができる。更に、エッチピット13a1 ,13b1 の形成をMOCVD装置内で行うようにしたので、結晶層13を少ない製造工程数で容易に得ることができる。
(変形例)
上記第1の実施の形態では、エッチピット13a1 ,13b1 を形成し、これを利用して空間部13a,13bを形成するようにしたが、図3に示したように、エッチピット13a1 ,13b1 に代えて成長ピット13a2 ,13b2 を形成するようにしてもよい。
成長ピット13a2 ,13b2 は、例えば以下のようにして形成する。すなわち、1000℃以上の成長温度で下層部13cを成長させたのち、3B族元素の原料ガスの供給を一旦停止し、成長温度を850℃に下げ、再び3B族元素の原料ガスを供給することにより結晶層13の中層部13dを、10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、例えば100nm成長させる。その際、中層部13dには、個々の転位D1 に対応して成長ピット13a2 ,13b2 が自発的に形成される。その積層方向における深さは、例えば10nm〜100nmである。なお、成長ピット13a2 ,13b2 が転位D1 に対応して自発的に形成されるのは、一般にMOCVD法により1000℃以下の成長温度で成長させた結晶膜は成長ピットを生じやすいからである。また、成長ピット13a2 ,13b2 の形状は、例えばエッチピット13a1 ,13b1 と同様である。なお、成長ピット13a2 ,13b2 は、成長速度を急激に低下させて中層部13dを成長させることによって形成することもできる。成長速度を変化させるには、例えば、3B族元素の原料ガスの供給量を変化させたり、3B族元素の原料ガスの供給量と5B族元素の原料ガス全体の供給量との比を変化させたりするとよい。更に、成長ピット13a2 ,13b2 は成長時のMOCVD装置内の圧力(成長圧力)を変化させることによっても形成することができ、上記複数の成長条件を同時に変化させるようにしてもよい。
次に、このようにして形成した成長ピット13a2 ,13b2 の上部を覆うように結晶層13(図1R>1参照)を成長させて空間部を形成する。空間部の形成方法としては、成長速度を急激に速くし、横方向成長を促進させる方法があり、これにより上部を覆うように結晶が成長し、内部に空間が形成される。成長速度を変化させるには、例えば、3B族元素の原料ガスの供給量を変化させたり、3B族元素の原料ガスの供給量と5B族元素の原料ガス全体の供給量との比を変化させたりするとよい。更に、成長ピット13a2 ,13b2 は成長時のMOCVD装置内の圧力(成長圧力)を変化させることによっても形成することができる。ちなみに、上記複数の成長条件を同時に変化させるようにしてもよい。
以下、その他の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同一の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は適宜省略する。
[第2の実施の形態]
図4(A)は第2の実施の形態の形態に係る結晶基板20の断面構造を表すものであり、図4(B)は図4(A)に示した結晶基板20の転位の様子を模式的に表すものである。この結晶基板20は、第1の実施の形態の結晶層13に替えて結晶層23を備えることを除けば、第1の実施の形態の結晶基板10と同様の構成を有している。
本実施の形態の結晶層23は、第1の実施の形態の空間部13a,13bと同様の空間部23a,23bを有している。但し、本実施の形態では、空間部23a,23bの内側表面に、例えば酸素,窒素,フッ素あるいは炭素のうちの少なくとも1種を含む被膜21が設けられている。被膜21は、その上に結晶が成長しにくいように非晶質であることが好ましい。被膜21の材料としては、アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),マグネシウム(Mg),ジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)などの金属材料、またはケイ素(Si)の酸化物,窒化物,フッ化物あるいは炭化物等が挙げられる。なお、被膜21は、上記の金属材料あるいはケイ素の単体、またはレジストあるいはその他の有機材料で構成されていてもよい。
この結晶基板20を製造する場合には、まず、図5(A)に示したように、例えば第1の実施の形態と同様にしてエッチピット23a1 ,23b1 を形成したのち、例えば、3B族元素および5B族元素の原料ガスの供給を中断してケイ素および酸素を含むガスをそれぞれ供給する。これにより、エッチピット23a1 ,23b1 の内部にケイ素と酸素とを含む被膜21が形成される。その際、エッチピット23a1 ,23b1 の深さ方向に進むに従って被膜21の厚さが厚くなるようにすることが好ましい。
なお、上述した方法以外にも、例えば、酸素を含むガスを供給することによりガリウムの酸化物よりなる被膜21を形成するようにしてもよい。また、ケイ素を含むガスを供給することにより、ケイ素の窒化物よりなる被膜21を形成するようにしてもよい。
被膜21を形成したのち、図5(B)に示したように、例えば、水素を含む雰囲気中においてRIEなどのドライエッチングを行う。その際、下層部23cの表面領域はエッチングガスと接触しやすいために、エッチピット23a1 ,23b1 の部分よりもエッチングが進行しやすい。従って、このエッチングにより、被膜21の下層部23cの表面に形成されている部分が選択的に除去される。このとき、エッチピット23a1 ,23b1 の深さ方向に被膜21の厚みが厚くなっていると、被膜21の除去を容易に行うことができる。なお、ここでのエッチングはドライエッチングに限らず、ウェットエッチングを行うようにしてもよい。
次に、例えば第1の実施の形態と同様にして、エッチピット23a1 ,23b1 の上に上層部を成長させて空間部23a,23bを形成する。これにより、図4(A),(B)に示した結晶層23および結晶基板20が完成する。ここでは、エッチピット23a1 ,23b1 の内側表面に被膜21が設けられているので、空間部23a,23bを形成するための成長条件の制御が容易になる。
このように本実施の形態によれば、エッチピット23a1 ,23b1 の表面に被膜21を設けるようにしたので、そののち、上層部を成長させ空間部23a,23bを形成する際に成長条件の自由度を大きくすることができ、その形成を容易なものとすることができる。
[第3の実施の形態]
図6(A)は第3の実施の形態の形態に係る結晶基板30の断面構造を表すものであり、図6(B)は図6(A)に示した結晶基板30の状態を模式的に表すものである。この結晶基板30は、第1の実施の形態の結晶層13に替えて結晶層33を備えることを除いては、第1の実施の形態の結晶基板10と同様の構成を有している。この結晶基板30は以下に説明する方法によって作製される。
まず、図7に示したように、第1の実施の形態と同様にして、下層部33cの表面にエッチピット33a1 ,33b1 を形成する。次いで、エッチピット33a1 ,33b1 を含む下層部33cの表面に対して、例えば、酸化,窒化,フッ化および炭化のうちの少なくとも1種の処理を施し、表面処理領域33c1 を形成する。なお、この表面処理領域33c1 は、厚さ方向に例えば1nmとなるようにする。具体的には、例えば、3B族元素および窒素の原料ガスの供給を中断して酸素を含むガスを供給することにより、この酸素と下層部33cの3B族元素とを反応させて3B族元素の酸化物よりなる表面処理領域33c1 を形成する。その他の方法としては、ケイ素を含むガスを供給することにより、このケイ素と下層部33cの窒素とを反応させてケイ素の窒化物よりなる表面処理領域33c1 を形成するようにしてもよく、フッ素あるいは炭素を含むガスを供給することにより、フッ素あるいは炭素と下層部33cのガリウムとを反応させてガリウムのフッ化物あるいは炭化物よりなる表面処理領域33c1 を形成するようにしてもよい。
次に、例えば、第2の実施の形態と同様にしてドライエッチングまたはウェットエッチングを行い、表面処理領域33c1 の一部を選択的に除去する。それ以降の工程は、第2の実施の形態と同様である。これにより、図6(A),(B)に示した結晶層33および結晶基板30が完成する。
このように本実施の形態によれば、エッチピット33a1 ,33b1 の表面に表面処理を施して表面処理領域33c1 を設けるようにしたので、そののち、上層部を成長させ空間部33a,33bを形成する際、成長条件の自由度を大きくすることができ、空間部33a,33bを容易に形成することができる。
[第4の実施の形態]
図8(A)は第4の実施の形態の形態に係る結晶基板40の断面構造を表すものであり、図8(B)は図8(A)に示した結晶基板40の状態を模式的に表すものである。この結晶基板40は、第1の実施の形態の結晶層13において、層内の空間部13a,13bが形成されている面上にマスク部41が設けられたものである。この結晶基板40は以下に説明する方法によって作製される。
図8(A),(B)に示したように、まず下層部13cを形成し、下層部13cの上に、例えば、酸化ケイ素(SiOx )膜あるいは窒化ケイ素(SiNy )膜またはこれらの積層膜を形成し、RIE(Reactive Ion Etching;反応性イオンエッチング)などのドライエッチングを行って、ストライプ状にパターニングされたマスク部41を形成する。その際、マスク部41の幅は、例えば5μmとし、その間隔は、例えば50nm〜10mmとする。この間隔は、例えば、一定であってもよいし、周期的でなくてもよい。なお、マスク部41のパターンは、ストライプ以外の形状としてもよく、具体的には、矩形状,格子状,六角形状,三角形状あるいは円形状などとしてもよい。
次に、例えば第1の実施の形態と同様にしてエッチピット13a1 ,13b1 を形成する。ここでは、主にマスク部41以外の開口領域において表面がエッチングされ、エッチピット13a1 ,13b1 となる。そののち、上層部を成長させ、空間部13bを形成する。ここでは、上層部は、マスク部41の間の開口領域において成長し始め、マスク部41の上に横方向成長する。その際、転位D1 は、開口領域において空間部13bにより遮断されているため、マスク部41の上へ伝播するものも低減される。よって、上層部全体が低転位密度となる。これにより、結晶層13および結晶基板40が完成する。
このように本実施の形態では、空間部13bが設けられているので、マスク部41に関係なく一様に貫通転位密度が低い結晶基板40が得られる。なお、ここでは下層部13cの上にマスク部41を介して横方向成長させるようにしたので、空間部13bに遮断されなかった転位D1 があったとしても横方向に屈曲されるために、上層部の転位密度が更に低くなる。
また、マスク部41を設けることで、エッチピット13a1 ,13b1 の形成領域が小さくて済み、例えば成長速度を高速化するなど上層部の成長条件を厳しくすることが可能である。なお、エッチピット13a1 ,13b1 の形成と、マスク部41の形成の順番は逆であってもよく、両者の形成位置は自由に選ぶことができる。
[第5の実施の形態]
図9は第5の実施の形態の形態に係る結晶基板50の断面構造を表している。この結晶基板50は、第1の実施の形態の結晶層13において、下層部を種結晶51を基礎とした横方向成長により形成したものである。この結晶基板50は以下に説明する方法によって作製される。
まず、成長用基板11の上にバッファ層12を成長させ、バッファ層12の上に、例えば、MOCVD法によりGaNからなる種結晶膜を2μm程度成長させる。次いで、種結晶膜の上に、例えばストライプ状にパターニングされた窒化ケイ素膜あるいは二酸化ケイ素膜(図示せず)を形成する。続いて、このパターンをマスクとして例えばRIEを行い、種結晶膜から不要部分を除去する。次いで、同じくこのマスクを用いたRIEを行い、成長用基板11に、横方向成長時の結晶が基板11と接触することがないように溝部11aを形成する。その後、例えばウェットエッチングを行って図示しないマスクを除去する。これにより、種結晶51が形成される。
次に、種結晶51を基礎として例えばMOCVD法により結晶層13の下層部を成長させる。下層部の成長は、種結晶51の上面から上方向に、側壁面から横方向に進行する。その際、貫通転位D1 が種結晶51の上部に伝播する。それ以外の部分では、横方向成長に伴い、会合部に転位が生じるものの貫通転位D1 はほとんど存在しない。なお、横方向成長の速度は上面における成長速度よりも大きく、一定時間経過すると成長面が実質的に平坦となる。
次に、例えば第1の実施の形態と同様にして下層部の表面にエッチピット13a1 ,13b1 を形成する。ここでは、上述したように種結晶51の上部では貫通転位密度が高く、エッチピット13a1 ,13b1 が多数形成される。また、会合部に発生した貫通転位D1 に対応してエッチピット13a1 ,13b1 が形成される。次いで、上層部を成長させ、エッチピット13a1 ,13b1 の位置に空間部13a,13bを形成する。上層部の成長を更に続けると、成長面は実質的に平坦となる。これにより、結晶層13および結晶基板50が完成する。
このように、結晶層13は下部層が種結晶51を利用した横方向成長領域となっており、下部層においても貫通転位密度が低いので、上層部において貫通転位密度がより低減したものとすることができる。
[第6の実施の形態]
図10は、第6の実施の形態の形態に係る結晶基板60を模式的に表すものである。この結晶基板60は、第1の実施の形態の結晶層13に替えて結晶層63を備えたことを除いては、第1の実施の形態の結晶基板10と同様の構成である。この結晶基板60は以下に説明する方法によって作製される。
まず、図11(A)に示したように、第1の実施の形態と同様にして下層部63aを成長させたのち、例えば、3B族元素の原料ガスの供給を停止し、成長温度を750℃に下げる。そののち、例えば、ガリウムの原料ガスとインジウムの原料ガスとを所望の割合で供給し、下層部63aの上に、例えば、Inp Ga1-p N(p≧0.05)混晶よりなる中層部63bを5nm成長させる。このようにインジウムの組成比が5%以上程度に高いInGaN混晶を成長させると、図11(B)に拡大して示したように、転位D1 に自発的に対応して金属インジウムが析出し、金属インジウムよりなる転位遮断部63cが形成される。
次に、図12に示したように、例えば、インジウムの原料ガスの供給を停止し、成長温度を1020℃まで上昇させ、中層部63bの上に窒化物系III−V族化合物よりなる上層部63dを成長させる。転位遮断部63cからは、中層部63bおよび成長した上層部63dからよりもGaNの結晶成長が起こりにくく、その上には成長した上層部63dからの横方向成長が進行し(図12(B))、転位D1 の伝播が遮断される。上層部63dの成長を更に続けると、成長面は実質的に平坦となり(図12(C))、結晶層63および結晶基板60が完成する。
このように本実施の形態によれば、中層部63bに個々の貫通転位D1 に対応した転位遮断部63cを設けるようにしたので、この転位遮断部63cにより貫通転位D1 がそれぞれ遮断され、上層部を転位密度が低い結晶で構成することができる。よって、簡易な構成で、上層部における貫通転位密度が一様に低減された結晶層63を得ることができる。
また、ここでは、転位遮断部63cが自発的に形成されるので、結晶層63の上層部における貫通転位密度を効率よく簡便に低減することができる。
以上に説明した本発明の結晶膜および結晶基板は、全て半導体装置等に用いることができる。なお、上記実施の形態の結晶基板10〜60から成長用基板11等を除去して得られる結晶層13〜63あるいはその一部からなる薄膜は、例えば窒化物系III−V族化合物基板として半導体装置等に用いることができる。その際には、成長用基板11やバッファ層12などを研削,ドライエッチング、あるいはウェットエッチング等により除去すればよい。また、第1の実施の形態の結晶層13には、空間部13a,13bが面状に分布しており、この部分では機械的強度が弱くなっているので、この面で結晶層13を分割して下層部以下を除去するようにしてもよい。結晶層13における分割は、例えば、レーザ照射,ランプ照射,超音波の付与,急冷あるいは急加熱を施して行う。その他、機械的に変形させ、空間部13a,13bを利用して上層部を剥離するようにしてもよい。また、上層部を剥離したのち、上層部の一部(剥離部分)を研磨することにより空間部13a,13bを完全に含まない結晶層(結晶膜)としてもよい。なお、この剥離部分の研磨工程は、結晶層(結晶膜)の段階で実行してもよく、また後述のように結晶膜の上に半導体レーザ等のデバイスを形成したのちに実行するようにしてもよい。これらのことは、第2の実施の形態ないし第5の実施の形態の結晶基板20〜50を用いる場合も同様である。
[第7の実施の形態]
この第7の実施の形態では、上記の各実施の形態において製造される結晶基板を用いた半導体装置について説明する。なお、結晶基板の内部構造の違いは考慮する必要がないので、上記実施の形態の結晶基板がいずれも同じように用いられる。よって、ここでは一例として、結晶基板40を用いた半導体レーザについて説明する。
図13は結晶基板40を用いた半導体レーザ1の断面構成を表している。この半導体レーザ1は、リッジ導波型のSCH(Separate Confinement Heterostructure)構造であり、結晶基板40の結晶層13側の面に、n側コンタクト層101,n型クラッド層102,n型ガイド層103,活性層104,結晶劣化防止層105,p型ガイド層106,p型クラッド層107およびp側コンタクト層108からなる半導体層100が設けられている。このうち、結晶基板40は、例えば、厚さ400μmのサファイアよりなる成長用基板11,厚さ30nmのGaNよりなるバッファ層12および厚さ2μmのGaNよりなる結晶層13により構成されている。この結晶基板40は、マスク部41の間に空間部13bが設けられた構造となっているために上層部の貫通転位密度が一様に低くなっている。
半導体層100は、例えば次のように構成することができる。n側コンタクト層101は、厚さが2μmであり、n型不純物としてケイ素を添加したn型GaNにより構成されている。n型クラッド層102は、厚さが1μmであり、n型不純物としてケイ素を添加したn型AlGaN混晶により構成されている。n型ガイド層103は、厚さが0.1μmであり、n型不純物としてケイ素を添加したn型GaNにより構成されている。活性層104は、厚さが30nmであり、Gax In1-x N混晶層とGay In1-y N(但し、x≠y)混晶層とを積層した多重量子井戸構造を有している。
結晶劣化防止層105は、厚さが20nmであり、p型不純物としてマグネシウムを添加したp型AlGaN混晶により構成されている。p型ガイド層106は、厚さが0.1μmであり、p型不純物としてマグネシウムを添加したp型GaNにより構成されている。p型クラッド層107は、厚さが0.8μmであり、p型不純物としてマグネシウムを添加したp型AlGaN混晶により構成されている。p側コンタクト層108は、厚さが0.5μmであり、p型不純物としてマグネシウムを添加したp型GaNにより構成されている。なお、p側コンタクト層108およびp型クラッド層107の一部は、紙面に対して垂直方向に延長された細い帯状となっており、電流狭窄部を構成している。よって、活性層104のうち電流狭窄部に対応した部分が、発光部となっている。
また、ここでは、n側コンタクト層101の一部にn型クラッド層102からp側コンタクト層108までの各層が積層されている。これらの積層部分は、図13において紙面に垂直な方向に展延するストライプ形状となっている。
更に、n側コンタクト層101からp側コンタクト層108の表面は、例えば二酸化ケイ素よりなる絶縁膜111で覆われている。この絶縁膜111には、n側コンタクト層101およびp側コンタクト層108の上にあたる部位に開口がそれぞれ設けられており、これらの開口にn側電極112およびp側電極113がそれぞれ形成されている。n側電極112は、例えばチタン(Ti)およびアルミニウム(Al)を順次積層した構造を有しており、n側コンタクト層101と電気的に接続されている。p側電極113は、例えばパラジウム(Pd),白金(Pt)および金(Au)が順次積層された構造を有しており、p側コンタクト層108と電気的に接続されている。
また、この半導体レーザ1では、半導体層100の延長方向に垂直であり、互いに対向する一対の側面が共振器端面となっており、この一対の共振器端面に図示しない一対の反射鏡膜がそれぞれ形成されている。これら一対の反射鏡膜のうち一方の反射鏡膜の反射率は低くなるように、他方の反射鏡膜の反射率は高くなるようにそれぞれ調整されている。これにより、活性層104において発生した光は一対の反射鏡膜の間を往復して増幅され、一方の反射鏡膜からレーザビームとして出射するようになっている。なお、この半導体レーザ1は、例えば、図示しないパッケージの内部に収納されて用いられる。
この半導体レーザ1は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、例えば、複数の半導体レーザ形成領域を有する結晶基板40を用意し、この結晶基板40の上に、例えばMOCVD法によりn側コンタクト層101,n型クラッド層102,n型ガイド層103,活性層104,結晶脱離防止層105,p型ガイド層106,p型クラッド層107およびp側コンタクト層108を順次成長させ、半導体層100を形成する。一般に、発光特性の劣化防止あるいは向上のためには、少なくとも発光部に転位が伝播せず、この部分が低転位密度領域であることが好ましい。ここでは、表面が一様に低転位密度となっている結晶基板40を用いるので、半導体層100に伝播する転位数も均一に低減する。これにより、発光部が確実に低転位密度領域となる。
次いで、p側コンタクト層108,p型クラッド層107,p型ガイド層106,結晶劣化防止層105,活性層104,n型ガイド層103,n型クラッド層102およびn側コンタクト層101の一部を順次エッチングして、n側コンタクト層101を表面に露出させる。続いて、p側コンタクト層108の上に図示しないマスクを形成し、このマスクを利用してp側コンタクト層108およびp型クラッド層107の一部を選択的にエッチングすることにより、p型クラッド層107の上部およびp側コンタクト層108を細い帯状とし、電流狭窄部を形成する。
次に、露出面全体に、例えば蒸着法により二酸化ケイ素よりなる絶縁膜111を形成し、p側コンタクト層108に対応して開口を設け、p側コンタクト層108を表面に露出させる。また、絶縁膜111のn側コンタクト層101上の領域に開口を形成し、この開口部位に、例えばチタン,アルミニウム,白金および金を順次蒸着し、合金化してn側電極112を形成する。また、露出させたp側コンタクト層108に対応して、例えばパラジウム,白金および金を順次蒸着し、p側電極113を形成する。
次に、成長用基板11を例えば80μm程度の厚さとなるように研削する。そののち、結晶基板40をp側コンタクト層108の長さ方向に対して垂直に分割する。これにより、各半導体レーザ1の一対の共振器端面が形成される。そののち、共振器端面に図示しない反射鏡膜をそれぞれ形成する。続いて、各半導体レーザ1の形成領域に応じて、結晶基板40を半導体層100を延長方向に分割する。これにより、図13に示した半導体レーザ1が複数完成する。更に、完成した半導体レーザ1を、例えば図示しないパッケージに実装する。
この半導体レーザ1では、n側電極112とp側電極113との間に所定の電圧が印加されると、活性層104に電流が注入され、電子−正孔再結合により発光が起こる。ここでは、表面における転位密度が低い結晶層13の上に半導体層100が設けられており、n側コンタクト層101〜p側コンタクト層108における転位密度も低くなっている。よって、半導体レーザ1は、発光特性に優れると共に寿命が延長される。
このように本実施の形態によれば、第4の実施の形態に係る結晶基板40の上に半導体層100を設けるようにしたので、半導体層100は転位密度が極めて低く、良好な結晶性を有する。従って、半導体レーザ1は発光特性の劣化が防止することができると同時に、長寿命化および信頼性の向上を図ることができる。
また、第4の実施の形態に係る結晶基板40を用いることにより、低転位密度の基板を簡易な製造方法で得ることができる。よって、半導体レーザ1の生産性の向上、低コスト化を図ることができる。なお、結晶基板40は、一様に表面上の転位が低減しており、その上では半導体層100を形成領域を選ばず形成することができ、基板の位置合わせが不要となる。ちなみに、通常の横方向成長を利用した結晶基板にはマスク間から延びる貫通転位が多数存在している。そこで、貫通転位を避け、マスクの上部に発光部を設けるように位置合わせを行ったのちに、半導体層の加工を行なっていた。
[第8の実施の形態]
この第8の実施の形態では、上記の各実施の形態において製造される結晶膜を用いた半導体装置について説明する。結晶膜は、いずれの方法で作製されていてもよい。ここでは一例として、結晶基板10を分割して得た結晶層13の上層部を窒化物系III−V族化合物基板81として用いた半導体レーザ2について説明する。なお、半導体レーザ2は、電流狭窄部の両側に電流ブロック層120が設けられていること、およびp側電極113,n側電極112の構成以外は、半導体レーザ1と同一の構成を有している。
図14は第8の実施の形態に係る半導体レーザ2の断面構造を表している。この半導体レーザ2は、窒化物系III−V族化合物基板(以下、基板と略記)81の一面にn側コンタクト層101からp側コンタクト層108までが順次積層された構成を有している。また、電流狭窄部の両側には電流ブロック層120が設けられており、p側コンタクト層108とこの電流ブロック層120の全面にp側電極113が形成されている。更に、基板81の裏面側にn側電極112が形成されている。
基板81は、結晶基板10(図13)から、成長用基板11,バッファ層12および結晶層13の下層部を除去したものである。例えば、空間部13a,13bが分布する面は強度が弱いので、ここにレーザ照射,ランプ照射,超音波の付与,または急冷あるいは急加熱を行い、この面を境に結晶層13を分割し、下部層以下を除去するとよい。また、機械的に変形させ、空間部13a,13bが分布する面で結晶層13の上層部を剥離するようにしてもよい。なお、成長用基板11等に、研削,ドライエッチングまたはウェットエッチング(化学エッチング)を施して除去することもできる。
電流ブロック層120は、周囲との絶縁性を保つものであり、例えばケイ素などのn型不純物を添加したn型AlGaN混晶により構成されている。よって、この半導体レーザ2においても、活性層104のうち電流狭窄部に対応した部分が発光部となっている。なお、電流ブロック層120は、例えば、p型クラッド層107の上部およびp側コンタクト層108を細い帯状としたのち、p型クラッド層107の上に再成長させることにより形成する。
この半導体レーザ2は、基板の裏面側に電極が形成されている通常のAlGaAs系あるいはAlGaInP系半導体レーザと同様の構成を有しているので、これらを製造する際のプロセスと同様のプロセスで製造することができる。例えば、半導体層100の各層を成長させた後に、p型クラッド層107の上部およびp側コンタクト層108を細い帯状とし、その上にレジスト膜を形成する。次いで、半導体層100の全面に絶縁材料を形成し、レジスト膜と共にその上の絶縁材料を除去して(リフトオフ)、電流ブロック層120を形成する。更に、その上面全体にp側電極113を形成し、基板81の裏面側にn側電極112を形成する。なお、このようにして作製された半導体レーザ2は、パッケージについても通常のAlGaAs系あるいはAlGaInP系半導体レーザと同じ形状のものを利用することができる。
ここでは、全体に転位密度が低い基板81の上に半導体層100が設けられており、n側コンタクト層101〜p側コンタクト層108層における転位密度も低くなっている。よって、半導体レーザ2は、発光特性に優れると共に寿命が延長される。
このように本実施の形態では、基板81の上に半導体層100を設けるようにしたので、半導体層100は転位密度が極めて低く、良好な結晶性を有する。従って、半導体レーザ2は発光特性の劣化が防止することができると同時に、長寿命化および信頼性の向上を図ることができる。
また、導電性の基板81を用い、その裏面側にn側電極112を設けるようにしたために、半導体レーザ1に比べて簡易な構成とすることができ、量産性に優れたものとなる。更に、半導体レーザ2では、基板81を厚みの薄いものとすることができ、レーザ構造が簡易であることとあいまって、サイズの縮小化を図ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記第2の実施の形態ないし第5の実施の形態では、エッチピット13a1 〜33a1 ,13b1 〜33b1 を形成し、これを利用して空間部を形成するようにしたが、エッチピット13a1 〜33a1 ,13b1 〜33b1 に代えて成長ピット13a2 ,13b2 を形成し、この成長ピットを利用して空間部13a,13bを形成するようにしてもよい。また、第4の実施の形態および第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の空間部13a,13bを設けるようにしたが、第2の実施の形態または第3の実施の形態のように、被膜21あるいは表面処理領域33cが付設されていても構わない。このように、本発明は、上記実施の形態の範囲内で各種の組み合わせを行なうことが可能である。
また、上記実施の形態では、面上に分布する空間部を1層だけ設けるようにしたが、エッチピット(または成長ピット)形成工程とその後の結晶成長工程とをそれぞれ2回以上行い、空間部を複数層設けるようにしてもよい。これにより、結晶膜の上層部における転位密度の低減化の効率を更に高めることができる。
また、上記実施の形態では、窒化物系III−V族化合物よりなる結晶層13,53,63,73を例に挙げて説明したが、結晶膜をGaAsあるいはInPなどの他のIII−V族化合物で構成するようにしてもよい。また、本発明は、III−V族化合物以外の結晶膜、結晶基板およびこれらを用いる半導体装置に対しても同様に適用することができる。
また、上記第7の実施の形態および第8の実施の形態では、半導体装置として半導体レーザ1,2を具体例に挙げて説明したが、本発明は、発光ダイオードあるいは電界効果トランジスタ等の他の半導体装置についても適用することができる。
1,2…半導体レーザ、10,20,30,40,50…結晶基板、11…成長用基板、12…バッファ層、13,23,33,63…結晶層、13a,13b,23a,23b,33a,33b…空間部、13a1 ,13b1 ,23a1 ,23b1 ,33a1 ,33b1 …エッチピット、13a2 ,13b2 …成長ピット、13c,63a…下層部、13d,63b…中層部、21…被膜、33c1 …表面処理領域、41…マスク部、51…種結晶、63c…転位遮断部、100…半導体層、101…n側コンタクト層、102…n型クラッド層、103…n型ガイド層、104…活性層、105…結晶劣化防止層、106…p型ガイド層、107…p型クラッド層、108…p側コンタクト層、111…絶縁膜、112…n側電極、113…p側電極、81…窒化物系III−V族化合物基板、120…電流ブロック層、D1 ,D2 …転位。