JP2002261033A - 半導体の製造方法、半導体基板の製造方法及び半導体発光素子 - Google Patents

半導体の製造方法、半導体基板の製造方法及び半導体発光素子

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JP2002261033A
JP2002261033A JP2001382955A JP2001382955A JP2002261033A JP 2002261033 A JP2002261033 A JP 2002261033A JP 2001382955 A JP2001382955 A JP 2001382955A JP 2001382955 A JP2001382955 A JP 2001382955A JP 2002261033 A JP2002261033 A JP 2002261033A
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semiconductor layer
lattice constant
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Akihiko Ishibashi
明彦 石橋
Ayumi Tsujimura
歩 辻村
Yasutoshi Kawaguchi
靖利 川口
Nobuyuki Otsuka
信之 大塚
Seiji Onaka
清司 大仲
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 III-V族窒化物からなる複数の半導体積層体
のうち、特に格子定数が小さい半導体層にクラック等が
生じないようにする。 【解決手段】 サファイアからなる基板11の上に、A
0.035Ga0.965Nからなる歪抑制層13を1100℃
程度の温度で成長する。続いて、歪抑制層13の上に、
n型Al0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層15を
成長する。ここで、歪抑制層13におけるAlの組成
を、該歪抑制層13の室温における格子定数が、n型ク
ラッド層15のバルク状態の格子定数と熱収縮又は熱膨
張によって実質的に一致するように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報処理分野等
への応用が期待される半導体レーザ素子を構成するIII-
V族窒化物からなる半導体の製造方法、半導体基板の製
造方法及びそれを用いた半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】V族元素を窒素(N)とするIII-V族窒
化物半導体は、そのバンドギャップが比較的に大きいこ
とから、短波長発光素子の材料として有望視されてい
る。なかでも、窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体
(Alx Gay Inz N(但し、x、y、zは0<x≦
1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1であ
る。))は研究が盛んに行なわれており、青色発光ダイ
オード(LED)素子及び緑色LED素子が実用化され
ている。
【0003】また、光ディスク装置の大容量化のため
に、400nm帯の発振波長を有する半導体レーザ素子
が熱望されており、GaN系化合物半導体を材料とする
半導体レーザ素子が注目され、現在では実用レベルに達
しつつある。
【0004】GaN系半導体レーザ素子の素子構造は、
一般には有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて、
サファイア(Al23単結晶)又は炭化ケイ素(Si
C)等からなる基板上に結晶成長することにより形成す
る。
【0005】以下、一例として、従来のGaN系半導体
レーザ素子について図面を参照しながら説明する。
【0006】図8はレーザ発振が達成されている従来の
GaN系半導体レーザ素子の断面構成を示している。
【0007】図8に示すように、サファイアからなる基
板101上に、低温成長バッファ層102、n型Al
0.05Ga0.95Nからなる歪抑制層103、n型Al0.07
Ga0. 93Nからなるn型クラッド層104、n型GaN
からなるn型光ガイド層105、GaInNからなる多
重量子井戸(MQW)活性層106、p型AlGaNか
らなるブロック層107、p型GaNからなるp型光ガ
イド層108、p型Al 0.07Ga0.93Nからなるp型ク
ラッド層109、及びp型GaNからなるp型コンタク
ト層110が結晶成長により順次形成されている。
【0008】従来例に係る半導体レーザ素子は、その特
徴として、低温成長バッファ層102の上に歪抑制層1
03が形成されている。この歪抑制層103は、Al
0.05Ga0.95Nからなり、そのAlの組成0.05は、
レーザ構造を構成する複数の半導体層のうち格子定数が
最も小さいAl0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層
104のAlの組成0.07と近い値に設定されてい
る。その結果、歪抑制層103がn型クラッド層104
の下地層となって歪を低減するため、レーザ構造の形成
時に、結晶歪みが原因で生ずるクラック又は基板101
の反りを低減する。
【0009】ところで、n型及びp型クラッド層10
4、109は、その膜厚も0.5μm程度とレーザ構造
のなかではもっとも厚く、その格子定数は、バンドギャ
ップを大きく且つ光の屈折率を小さくする必要から、A
lの組成は最も大きい。このため、一般にクラッド層に
はクラックが発生し易い。
【0010】そこで、従来例に係る半導体レーザ素子
は、歪抑制層103のAlの組成を、単純に、サファイ
アからなる基板101の格子定数とAlGaNからなる
クラッド層104、109の格子定数との間の格子定数
となるように決定している。
【0011】また、基板101には、サファイアに代え
て、ハイドライド気相成長法(H−VPE法)等により
形成した窒化ガリウムからなる基板を用いた結晶成長法
も報告されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の半導体の成長方法は、共にAlGaNからなる歪抑
制層103とクラッド層104、109とにおける各格
子定数は厳密に設計されてはおらず、歪抑制層103の
Alの組成をクラッド層104、109のAlの組成
に、単に近づけているに過ぎない。このため、歪抑制層
103は、結晶成長後に室温に戻されると、基板101
との熱膨張係数の差による歪を受けてその格子定数が変
化する。その結果、歪抑制層103の格子定数がクラッ
ド層104、109と異なると、結局はクラック又は反
りが発生してしまう。
【0013】また、基板101が窒化ガリウムの場合
も、クラッド層と基板との間には格子定数の決定的な違
いが存在するため、クラッド層にはクラック又は反りが
発生してしまう。
【0014】本発明は、前記従来の問題に鑑み、III-V
族窒化物からなる複数の半導体積層体のうち、特に格子
定数が小さい半導体層にクラック等が生じないようにす
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明は、基板にIII-V族窒化物と異なる異種の基
板を用いる場合には、該基板上に成長する複数の半導体
層のうち、相対的に格子定数が小さい、すなわちアルミ
ニウムを含む半導体層の格子定数と、歪抑制層の室温に
おける格子定数とを熱収縮又は熱膨張によって実質的に
一致させる構成とする。
【0016】また、基板にIII-V族窒化物と同種の基板
を用いる場合には、該基板上に成長する複数の半導体層
のうち、相対的に格子定数が小さい、すなわちアルミニ
ウムを含む半導体層の格子定数と基板の格子定数とを実
質的に一致させる構成とする。
【0017】具体的に、本実施形態に係る第1の半導体
層の製造方法は、基板の上に、Al x Ga1-x N(但
し、xは0≦x≦1である)からなる第1の半導体層を
室温よりも高い温度で成長する第1の工程と、第1の半
導体層の上に、Alu Gav Inw N(但し、u、v、
wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1、u+v+w
=1である)からなる第2の半導体層を成長する第2の
工程とを備え、第1の工程は、第1の半導体層のAlの
組成xの値を、該第1の半導体層の室温における格子定
数が熱収縮又は熱膨張によって第2の半導体層のバルク
状態の格子定数と実質的に一致するように設定する工程
を含む。
【0018】第1の半導体の製造方法によると、歪抑制
層に相当するAlx Ga1-x Nからなる第1の半導体層
のAlの組成xの値を、該第1の半導体層の室温におけ
る格子定数が、熱収縮又は熱膨張によってアルミニウム
を含む第2の半導体層のバルク状態の格子定数と実質的
に一致するように設定するため、第2の半導体層を成長
した後に、室温に戻したとしても、アルミニウムを含む
ことから格子定数が相対的に小さい第2の半導体層にク
ラック等が発生することがない。
【0019】第1の半導体の製造方法は、第1の半導体
層と第2の半導体層との間、又は第2の半導体層の上
に、Alの組成が第2の半導体層よりも小さい第3の半
導体層を成長する工程をさらに備えていることが好まし
い。このようにすると、第3の半導体層を量子井戸層か
らなる活性層(能動層)として機能させることができる
ため、Alの組成が第3の半導体層よりも大きい第2の
半導体層はクラッド層として機能させることができる。
【0020】第1の半導体の製造方法において、基板が
サファイア、炭化ケイ素又はシリコンからなることが好
ましい。このようにすると、III-V族窒化物からなる半
導体を確実に成長させることができる。
【0021】本発明に係る第2の半導体の製造方法は、
Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x≦1である)から
なる半導体基板の上に、Alu Gav Inw N(但し、
u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1、u
+v+w=1である)からなる半導体層を成長する工程
を備え、半導体基板の格子定数を半導体層のバルク状態
の格子定数と実質的に一致させる。
【0022】第2の半導体の製造方法によると、AlG
aNからなる半導体基板の格子定数をアルミニウムを含
む半導体層のバルク状態の格子定数と実質的に一致させ
るため、半導体層に生じるクラック等の発生を防止する
ことができる。
【0023】本発明に係る第3の半導体の製造方法は、
Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x≦1である)から
なる半導体基板の上に、Alu Gav Inw N(但し、
u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1、u
+v+w=1である)からなる半導体層を成長する工程
を備えている。
【0024】第3の半導体の製造方法において、半導体
基板がインジウムを含むことが好ましい。
【0025】本発明に係る半導体基板の製造方法は、A
u Gav Inw N(但し、u、v、wは0<u≦1、
0≦v≦1、0≦w≦1、u+v+w=1である)から
なる半導体層を、Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x
≦1である)からなる半導体基板の上に成長させる際に
用いる半導体基板の製造方法を対象とし、半導体基板の
Alの組成xを、該半導体基板の格子定数が半導体層の
バルク状態の格子定数と実質的に一致する値に設定す
る。
【0026】本発明の半導体基板の製造方法によると、
Alx Ga1-x Nからなる半導体基板のAlの組成x
を、該半導体基板の格子定数がアルミニウムを含む半導
体層のバルク状態の格子定数と実質的に一致する値に設
定するため、半導体層に生じるクラック等の発生を防止
することができる。
【0027】本発明に係る第1の半導体発光素子は、基
板の上に形成されたAlx Ga1-xN(但し、xは0≦
x≦1である)からなる第1の半導体層と、第1の半導
体層の上に形成されたAlu Gav Inw N(但し、
u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1、u
+v+w=1である)からなる第2の半導体層とを備
え、第1の半導体層の室温における格子定数は、熱収縮
又は熱膨張によって第2の半導体層のバルク状態の格子
定数と実質的に一致している。
【0028】第1の半導体発光素子によると、歪抑制層
に相当するAlx Ga1-x Nからなる第1の半導体層の
室温における格子定数が、熱収縮又は熱膨張によってア
ルミニウムを含む第2の半導体層のバルク状態の格子定
数と実質的に一致しているため、アルミニウムを含むこ
とから格子定数が相対的に小さい第2の半導体層にクラ
ック等が発生しない。
【0029】第1の半導体発光素子は、第1の半導体層
と第2の半導体層との間、又は第2の半導体層の上に、
Alの組成が第2の半導体層よりも小さい活性層をさら
に備え、第2の半導体層はクラッド層である。
【0030】第1の半導体発光素子において、基板がサ
ファイア、炭化ケイ素又はシリコンからなる。
【0031】本発明に係る第2の半導体発光素子は、A
x Ga1-x N(但し、xは0≦x≦1である)からな
る半導体基板と、半導体基板の上に形成されたAlu
vInw N(但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v
≦1、0≦w≦1、u+v+w=1である)からなる半
導体層とを備え、半導体基板の格子定数は、半導体層の
バルク状態の格子定数と実質的に一致している。
【0032】第2の半導体発光素子によると、AlGa
Nからなる半導体基板の格子定数はアルミニウムを含む
半導体層のバルク状態の格子定数と実質的に一致してい
るため、半導体層に生じるクラック等の発生を防止する
ことができる。
【0033】本発明に係る第3の半導体発光素子は、A
x Ga1-x N(但し、xは0≦x≦1である)からな
る半導体基板と、半導体基板の上に形成されたAlu
vInw N(但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v
≦1、0≦w≦1、u+v+w=1である)からなる半
導体層とを備えている。
【0034】第3の半導体発光素子において、半導体基
板がインジウムを含むことが好ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の第1
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】図1は本発明の第1の実施形態に係る半導
体レーザ素子の断面構成を示している。
【0037】以下、図1に基づいて第1の実施形態に係
るIII-V族窒化物半導体及び半導体レーザ素子の製造方
法を説明する。まず、第1の実施形態においては、窒化
物半導体の成長方法としてMOVPE法を用いる。成長
時の雰囲気の圧力は、大気圧(760Torr)、大気
圧以下の減圧状態又は大気圧以上の加圧状態のいずれで
も良い。ここで、1Torrは約133.322Paで
ある。また、各半導体層において、その組成に応じて最
適な成長圧力に切り替えながら成長させても良い。ま
た、原料ガスを基板上に供給するキャリアガスは、少な
くとも窒素又は水素等の不活性ガスを含むガスを用い
る。
【0038】まず、サファイアからなる基板11の基板
温度度を500℃程度に設定し、基板11上に、III 族
源であるトリメチルガリウム(TMG)と、V族源であ
るアンモニア(NH3 )とを供給することにより、基板
11の主面上に、厚さが20nm程度の窒化ガリウム
(GaN)からなり、サファイアと窒化物半導体結晶と
の格子不整合を緩和する、いわゆる低温バッファ層12
を成長する。
【0039】続いて、基板温度を約1100℃にまで昇
温し、III 族源にトリメチルアルミニウム(TMA)を
追加して、低温バッファ層12の上に、厚さが2μm程
度のAlGaNからなる歪抑制層13を成長する。ここ
で、歪抑制層13のAlの組成は3.5%としている。
【0040】続いて、歪抑制層13の上に、n型GaN
からなるn型コンタクト層14、n型Al0.07Ga0.93
Nからなるn型クラッド層15、n型GaNからなるn
型光ガイド層16、GaInN/GaNの積層体からな
る多重量子井戸(MQW)活性層17、p型Al0.14
0.86Nからなるp型キャップ層18、p型GaNから
なるp型光ガイド層19、p型Al0.14Ga0.86N/G
aNの積層体からなるp型超格子クラッド層20、p型
GaNからなるp型第2コンタクト層21、及び該p型
第2コンタクト層21よりも不純物濃度を高くして低抵
抗化を図ったp型GaNからなるp型第1コンタクト層
22を順次成長する。
【0041】ここで、MQW活性層17における井戸層
を構成する窒化ガリウムインジウム(GaInN)の成
長時には、III 族源としてTMGとトリメチルインジウ
ム(TMI)をと供給し、さらに、インジウム(In)
の半導体層への取り込みを確実にするために、成長温度
を約800℃にまで下げる。
【0042】また、MQW活性層17は、厚さが約3n
mのGa0.9In0.1Nからなる井戸層と厚さが約6nm
のGaNからなるバリア層とにより構成されている。
【0043】p型超格子クラッド層20は、厚さが約
2.5nmのp型Al0.14Ga0.86Nからなるバリア層
と厚さが約2.5nmのGaNからなる井戸層とにより
構成され、これら1対を1周期として140周期分が積
層されている。従って、p型超格子クラッド層20の厚
さは約700nmである。また、p型超格子クラッド層
20におけるp型ドーパントにはマグネシウム(Mg)
を用い、バリア層及び井戸層の少なくとも一方にドーピ
ングを行なう。
【0044】次に、p型第1コンタクト層22までが成
長したエピタキシャル層におけるストライプ状の共振器
形成領域をマスクして、該エピタキシャル層に対してn
型コンタクト層14を露出するようにエッチングを行な
う。さらに、共振器形成領域におけるp型超格子クラッ
ド層20、p型第2コンタクト層21及びp型第1コン
タクト層22に対してエッチングを行なうことにより、
共振器形成領域の上部に電流注入領域となるリッジ部3
0を形成する。
【0045】続いて、p型第1コンタクト層22の上面
の電極とのコンタクト部及びn型コンタクト層14の上
面の電極とのコンタクト部をそれぞれマスクし、その後
CVD法等により、リッジ部30及び共振器形成領域の
露出面上に酸化シリコン(SiO2 )からなる保護絶縁
膜23を堆積する。ここで、リッジ部30のストライプ
幅を3μm〜5μm程度としている。
【0046】次に、保護絶縁膜23におけるリッジ部3
0上の開口部を充填し且つリッジ部30のp側面を覆う
ように、例えば蒸着法等を用いてニッケル(Ni)と金
(Au)との積層体からなるp側電極24を形成する。
続いて、保護絶縁膜23におけるn型コンタクト層14
上の開口部を充填するように、蒸着法等を用いてチタン
(Ti)とアルミニウム(Al)との積層体からなるn
側電極25を形成する。
【0047】このようにして得られた半導体レーザ素子
に対して、p側電極24とn側電極25との間に電圧を
印加すると、MQW活性層17に向かってp側電極24
から正孔が注入されると共にn側電極25から電子が注
入される。これにより、MQW活性層17において、正
孔と電子との再結合により光学利得を生じて約406n
mの波長を持つレーザ発振を起こす。
【0048】以下、GaN系半導体結晶が、成長後に室
温に戻された場合にサファイアからなる基板によって圧
縮歪みを受ける現象を説明する。
【0049】図2はサファイア(Al23)上に成長し
た窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)及びフリー
な状態の窒化ガリウム(GaN)の温度と、窒化アルミ
ニウムガリウム(AlGaN)からなるクラッド層の格
子定数との関係を表わしている。ここで、横軸は温度を
表わし、縦軸は格子定数を表わしている。
【0050】図2における破線に示すように、サファイ
ア上のAlGaNの格子定数は、主に、サファイアの熱
膨張係数がGaNの膨張係数と比較して大きいことによ
り、C面内で圧縮歪みを受け、a軸方向の格子定数が縮
むことが知られている。ちなみに、GaN及びサファイ
アの熱膨張係数は、それぞれ5.59x10-6/K、
7.5x10-6/Kである。また、破線で示したサファ
イア上のAlGaNが第1の実施形態に係る歪抑制層1
3に相当する。
【0051】ところで、本願発明者らは、種々の実験を
行なった結果、圧縮されたGaN結晶の格子定数は、G
aN系半導体結晶をMOVPE法により成長する際の成
長条件に依存するという知見を得ている。例えば、基板
の加熱温度、キャリアガスのガス種、結晶成長時の圧
力、ガスの流速又はガスの温度等が、低温バッファ層1
2の膜厚及び結晶性に敏感に影響を与えることを突き止
めている。
【0052】すなわち、基板温度を1100℃程度と十
分に上げ、原料ガスの温度を1020℃程度として、サ
ファイアからなる基板を十分に熱膨張させると、成長後
に室温に戻した場合には、GaN結晶のa軸方向の結晶
格子はより大きく圧縮される。また、基板温度を105
0℃程度とし、原料ガスをプリヒートする等してその温
度を1020℃程度とすると、基板の熱膨張は小さく、
従って、成長後に室温に戻した場合のGaN結晶のa軸
方向の圧縮歪みは相対的に小さくなる。
【0053】窒化ガリウム(GaN)と窒化アルミニウ
ム(AlN)のa軸方向の格子定数はそれぞれ3.18
9Å、3.112Åであり、従って、GaN結晶にAl
を添加することにより、添加するAlの組成に応じてA
lGaN混晶の格子定数を小さくすることができる。
【0054】さらに、本願発明者らの実験によると、成
長条件を調整することにより、室温に戻した場合に、サ
ファイア上で圧縮されるGaN結晶のa軸方向の格子定
数はAlGaN混晶のAlの組成に換算して、0%〜1
0%程度のバルク状態の格子定数に相当する範囲で調整
できるという知見をも得ている。ここで、バルク状態の
格子定数とは、基板によって熱歪みを受けていないバル
ク本来の格子定数をいう。
【0055】また、当然ながら、GaN結晶と同様に、
AlGaN混晶をサファイアからなる基板上に成長して
も、該AlGaN混晶は基板により圧縮歪みを受けてa
軸方向の格子定数が縮む。従って、GaN結晶と同様
に、MOVPE法による成長条件とAlの組成とを調整
することにより、基板上に成長する一のAlGaN混晶
と他のAlGaN混晶とにおけるa軸方向の格子定数を
実質的に格子整合させることができる。
【0056】以上のことから、サファイアからなる基板
11上に、GaN系半導体レーザ素子を形成する場合
に、MOVPE法による成長条件を調整することによ
り、GaN結晶のa軸方向の格子定数を縮めて、AlG
aNからなるクラッド層15、20のバルク状態のa軸
方向の格子定数に実質的に格子整合させることが可能と
なる。
【0057】なお、サファイアに代えて基板材料に炭化
ケイ素(SiC)を用いた場合には、サファイアの場合
とは逆に、SiC上に成長したGaN系半導体結晶は、
SiCの熱膨張係数がGaN系半導体の膨張係数よりも
小さいため、室温に戻された際に引っ張り歪みを受け
る。
【0058】次に、サファイアからなる基板上にMOV
PE法によりGaN結晶を成長する際に、原料ガスの温
度を1020℃付近に確実に制御することにより、基板
上に形成されたレーザ構造を持つ半導体結晶に生じるク
ラック密度を劇的に低減できるという知見をも得てい
る。
【0059】具体的には、図3に示すように、サファイ
アからなる基板上に、約500℃で低温バッファ層を成
長した後、所定の温度にまで昇温し、該低温バッファ層
の上にGaN結晶を成長し始める際の原料ガスの温度
と、レーザ構造を持つ半導体結晶に生じるクラック密度
との関係を得ている。ここで、加熱された原料ガスの温
度とは、ヒータによって加熱される基板温度ではなく、
加熱された基板により原料ガスが2次的に加熱される温
度をいう。すなわち、ヒータからの輻射熱によって、基
板、サセプタ及びガス供給ノズル等が加熱されることに
よって、結果的に原料ガスが加熱される。従って、加熱
機構の熱容量に応じて、基板の加熱温度を調整すれば制
御可能である。加熱された原料ガスの温度を測定するに
は、例えば、供給される原料ガスのガス流における基板
の下流側に温度モニタ用の熱電対温度計を設ければ良
い。
【0060】図3に示すように、低温バッファ層の成長
後にGaN結晶を成長する場合に、その成長開始時にお
ける原料ガスの温度を1020℃付近となるように調節
すれば、クラック密度を大幅に低減することができる。
しかしながら、1020℃付近を外れると、すなわち、
温度が1020℃よりも低ければクラックが大量に発生
し、逆に1020℃よりも高ければ、クラック密度は増
加しないものの、表面の凹凸が増大し平坦性が劣化し
て、いずれの場合も高品質な結晶を得ることはできな
い。ここで、GaN結晶は第1の実施形態の歪抑制層1
3に相当する。
【0061】この原料ガスの温度が1020℃付近より
も高い場合に結晶表面の平坦性が劣化するという現象
は、低温バッファ層の成長後における昇温中で且つ結晶
成長の中断中に、供給する原料ガスの温度を高くし過ぎ
ると、低温バッファ層が蒸発すると共に、さらに該低温
バッファ層の単結晶化が著しく進行するために生じると
推察される。
【0062】これに対し、原料ガスの温度が1020℃
よりも低い場合にクラック密度が増加するという現象
は、低温バッファ層の単結晶化が不十分であり、元々ア
モルファス状態にあった低温バッファ層が単結晶化され
ずに、グレインのサイズが小さいままの状態となってい
ると推察される。その結果、低温バッファ層におけるグ
レインのサイズが小さいままの状態であると、該低温バ
ッファ層上に成長するGaN結晶の配向性が小さくなる
ため、サファイアからなる基板が熱収縮した際に生じる
C面内の圧縮歪みが十分に生じないためと考えられる。
【0063】本発明においては、GaN結晶がC面内で
圧縮される結果、圧縮されたGaN結晶と格子定数がG
aNよりも小さいAlGaNからなるクラッド層とが格
子整合することが、クラックの発生を抑制する重要な要
件となる。
【0064】図4はサファイアからなる基板上に約50
0℃で低温バッファ層を成長した後、所定の温度にまで
昇温し、該低温バッファ層の上にGaN結晶を成長し始
める際の原料ガスの温度と、GaN結晶に生じるc軸格
子歪みとの関係を表わしている。ここで、GaN結晶は
第1の実施形態の歪抑制層13に相当する。
【0065】図4に示すように、原料ガスの温度が10
20℃付近で、C面内に圧縮歪み(c軸方向には引っ張
り歪み)が生じることを確認している。これらの現象
は、低温バッファ層をAlGaNにより構成し、AlG
aN混晶を該低温バッファ層上に成長する場合において
も同様に生じることを確認している。
【0066】ところで、レーザ構造を持つ半導体結晶に
クラックが生じない好ましい歪み(c軸格子歪み=(Δ
c/c)×100)の範囲は、ほぼ+0.06%以上で
あり、これはAl0.07Ga0.93Nからなるクラッド層の
Alの組成に換算すると、その換算組成は約5%以上と
なる。
【0067】c軸格子歪みを大きくし過ぎると、クラッ
ド層がC面内で圧縮されるようになる。クラックを抑制
するという観点からは、圧縮歪みに上限はないが、圧縮
歪みが大きくなり過ぎると、基板が反る等の他の問題を
生ずるため、実質的には、歪抑制層(低温バッファ層上
の半導体層)とクラッド層とを格子整合させることが好
ましい。従って、AlGaNからなる歪抑制層は、Al
GaNからなるクラッド層におけるAlの組成に対し、
Alの組成換算率で−2%〜+2%程度の範囲にある格
子定数を持つことが好ましい。
【0068】第1の実施形態においては、上記の各知見
に基づいて、歪抑制層13のa軸方向の格子定数を、p
型超格子クラッド層20のa軸方向の格子定数と実質的
に格子整合させている。この場合の歪抑制層13におけ
るp型超格子クラッド層20との格子整合条件を満たす
Alの組成は約3.5%である。その結果、径が約5.
1cm(2インチ)のサファイアからなる基板11の全
面において、クラックが発生せず且つ平坦なレーザ構造
を持つ半導体結晶を得ることができる。これにより、レ
ーザ発振の閾値電流密度は従来よりも低い値を得ること
ができ、半導体レーザ素子の歩留まりも格段に向上する
ことを確認している。
【0069】なお、第1の実施形態においては、n側電
極25のコンタクト抵抗を低減させるため、歪抑制層1
3の上に、n型GaNからなるn型コンタクト層14を
設けているが、上述した格子整合条件を有利にするため
には、該n型コンタクト層14は必ずしも設ける必要は
ない。
【0070】また、第1の実施形態においては、III-V
族窒化物半導体からなるレーザ構造をサファイアからな
る基板11上に形成する構成について説明したが、本発
明は、上述した歪抑制層13とp型超格子クラッド層2
0との格子整合条件の原理を生かせる成長であれば、基
板11はサファイアに限られない。
【0071】すなわち、基板11に、炭化ケイ素(Si
C)又はシリコン(Si)等を用いても良く、基板11
による熱膨張又は熱収縮により歪んだGaN系結晶とA
lGaInN系クラッド層とが実質的に格子整合すれば
良いことはいうまでもない。
【0072】また、第1の実施形態においては、サファ
イアからなる基板11のC面を用いて説明したが、上述
の格子整合条件が実質的に満たされていれば、C面に対
してA面又はM面等の方向に微傾斜した基板を用いても
良い。
【0073】さらに、本発明の効果は、AlGaInN
又は窒化ホウ素(BN)及びこれらの混晶等からなるす
べてのIII-V族窒化物半導体に対して成り立つ。
【0074】また、第1の実施形態においては、AlG
aNからなる歪抑制層13の室温における格子定数を、
p型超格子クラッド層20のバルク状態の格子定数と実
質的に一致させるようにしたが、これに限られない。す
なわち、レーザ構造を構成する半導体層のうち相対的に
格子定数が小さい半導体層の格子定数に実質的に一致さ
せれば良い。
【0075】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0076】図5は本発明の第2の実施形態に係る半導
体レーザ素子の断面構成を示している。
【0077】図5に基づいて第2の実施形態に係るIII-
V族窒化物半導体及び半導体レーザ素子の製造方法を説
明する。図5において、図1に示す構成部材と同一の構
成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略す
る。
【0078】前述した第1の実施形態においては、成長
する半導体層と材料が異なる異種の基板を用いることか
ら、成長後に半導体層を室温に戻す際に、基板の熱収縮
又は熱膨張により半導体層、とりわけアルミニウムの組
成及び膜厚が相対的に大きいクラッド層にクラックが発
生しないように、クラッド層の下地層である歪抑制層に
おけるa軸方向の格子定数とクラッド層におけるa軸方
向の格子定数と実質的に格子整合するようにしている。
【0079】第2の実施形態は、成長する半導体層と材
料が同種の基板を用いる場合を説明する。
【0080】図5に示すように、第2の実施形態に係る
基板41は、n型クラッド層15と同一組成のAl0.07
Ga0.93Nにより形成されている。なお、基板41の具
体的な形成方法は第3の実施形態で説明する。
【0081】次に、基板41上に窒化物半導体層をエピ
タキシャル成長する方法及びレーザ構造を形成する方法
を説明する。
【0082】まず、MOVPE装置の反応室に、基板4
1を投入する。続いて、基板41の温度を約1120℃
にまで昇温し、アンモニア、水素及び窒素を含む雰囲気
で10分間程度の熱クリーニングを行なって、基板41
の表面酸化膜を除去する。
【0083】従来のように、基板に窒化ガリウムを用い
ると、1120℃という高温下で熱クリーニングを行な
うと、基板が熱分解を起こしてしまう。逆に、これより
低温で熱クリーニングを行なったとしても、十分なクリ
ーニング効果を得ることはできない。
【0084】第2の実施形態においては、基板41にア
ルミニウムを含み、アルミニウムは窒素との結合力が大
きいため、1100℃を超える高温下でも熱分解するこ
とがない。その結果、基板41の表面酸化膜を確実に除
去できるため、基板41の主面は十分な清浄面を得るこ
とができる。
【0085】次に、アンモニア、水素及び窒素を含む雰
囲気のまま、基板温度を約1020℃にまで降温し、基
板温度がほぼ一定となった時点で、III 族源であるTM
Gの供給を開始する。これにより、基板41の主面上
に、n型GaNからなるn型コンタクト層14が成長す
る。その後、n型コンタクト層14の上に、n型クラッ
ド層15からp型第1コンタクト層22までを第1の実
施形態と同様に成長させる。さらに、共振器形成領域、
リッジ部30、p側電極24及びn側電極25を第1の
実施形態と同様にして形成する。
【0086】なお、ここではn型コンタクト層14には
窒化ガリウム(GaN)を用いたが、これに代えて、窒
化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いても良
い。但し、n型コンタクト層14のAlの組成の最大値
は、n型クラッド層15のAlの組成までとすることが
好ましい。
【0087】以上説明したように、第2の実施形態によ
ると、III-V族窒化物半導体を成長させる基板41に、
n型Al0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層15と
実質的に格子整合するAlの組成を持たせているため、
基板41上に成長する半導体層にはクラックが発生しな
い。その結果、III-V族窒化物半導体からなるレーザ素
子形成用の半導体(ウエハ)を得ることができる。
【0088】第2の実施形態においては、基板41にサ
ファイア又は炭化ケイ素のようなIII-V族窒化物半導体
に対して異なる材料を用いていないため、基板41の熱
膨張の窒化物半導体に与える影響が極めて小さい。従っ
て、基板41のAlの組成は、n型クラッド層15の格
子定数と実質的に格子整合する値に設定することが好ま
しいことはいうまでもない。しかしながら、窒化ガリウ
ム(GaN)に対してアルミニウム(Al)をわずかで
も添加しさえすれば、基板41のクラックを抑制する効
果は十分に発揮される。
【0089】なお、第2の実施形態は、基板41の組成
を、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなる
クラッド層15と格子整合させる、又は格子定数を近づ
けるように設定することには限られない。
【0090】すなわち、基板41の組成はAlGaNに
限られず、レーザ構造を構成するクラッド層、さらには
レーザ構造又は機能素子を構成するエピタキシャル層の
なかで相対的に格子定数が小さい半導体層の混晶の組成
又は材料に応じて、Alの組成を変えたり、他の元素等
を添加したりしても良い。
【0091】また、基板41にインジウム(In)を添
加すると注入キャリアのロスが低減するため、基板41
にInを添加しても良い。
【0092】(第2の実施形態の一変形例)図6に本発
明の第2の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ素子
を示す。図6において、図5に示す構成部材と同一の構
成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略す
る。
【0093】本変形例に係るAl0.07Ga0.93Nからな
る基板41Aは、例えばn型の導電性を持つ。n型ドー
パントには、シリコン(Si)又は酸素(O)等を用い
る。但し、基板41Aは、ドーピングによりa軸方向の
格子定数が若干変化するため、基板41AのAlの組成
をn型クラッド層15のa軸方向の格子定数とに実質的
に格子整合するように調整する。
【0094】図6に示すように、基板41Aは導電性を
有するため、該基板41Aの裏面上にn側電極25を設
けている。このため、基板41Aとn型Al0.07Ga
0.93Nからなるn型クラッド層15との間には、n側電
極を形成しなくて済むため、第2の実施形態のn型Ga
Nからなるコンタクト層14に代えてn型AlGaNか
らなるn型半導体層42を形成している。従って、リッ
ジ部30上に設けられたp側電極24とn側電極25と
は互いに対向する構成となる。
【0095】なお、第1又は第2の実施形態において、
窒化物半導体をMOVPE法により成長して形成した
が、MOVPE法に限定されない。すなわち、ハイドラ
イド気相成長(H−VPE)法又は分子線エピタキシー
(MBE)法等の、III-V族窒化物半導体を成長できる
方法であれば良い。
【0096】(第3の実施形態)以下、本発明の第3の
実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0097】図7は本発明の第3の実施形態に係るIII-
V族窒化物半導体を成長させるためのIII-V族窒化物か
らなる半導体基板の部分的な断面構成を示している。
【0098】図7に基づいて第3の実施形態に係るIII-
V族窒化物からなる半導体基板の製造方法を説明する。
【0099】まず、図7に示すように、成長温度を50
0℃程度とし、例えばサファイアからなる母材基板51
の主面上に、V族源であるNH3 とIII 族源であるTM
Gとを供給して、厚さが約20nmのGaNからなる低
温バッファ層52を成長する。
【0100】次に、成長温度を1020℃程度にまで昇
温した後、III 族源にTMAを追加して、低温バッファ
層52の上に厚さが約1μmのAlGaNからなる下地
層53を成長する。続いて、フォトリソグラフィ法を用
いて、下地層53の上に、それぞれの幅が約3μmで且
つ互いに約12μmの間隔をおいて平行に延びるレジス
トパターン(図示せず)を形成し、形成したレジストパ
ターンをマスクとして下地層53に対してドライエッチ
ングを行なうことにより、該下地層53の上部に、複数
のリセス部53aと該リセス部53a同士に挟まれた領
域からなる複数のストライプ状の凸部53bを形成す
る。
【0101】続いて、例えばECRスパッタ法を用い
て、リセス部53aが形成された下地層53の上にレジ
ストパターン及び凸部53bを含む全面にわたって、窒
化シリコン(SiNx )からなるマスク膜54を堆積す
る。その後、レジストパターンをリフトオフして凸部5
3b上のマスク膜54を除去することにより、該凸部5
3bの頂面を露出する。
【0102】次に、再度、MOVPE法により、成長温
度を1000℃程度とし、NH3 とTMGとTMAとを
下地層53上に供給して、下地層53の凸部53bの露
出面を種結晶として厚さが約2μmのAl0.07Ga0.93
Nからなる選択成長層41aを成長する。続いて、選択
成長層41aの上に厚さが約2μm〜約200μmのA
0.07Ga0.93Nからなる基板本体層41bを成長する
ことにより、選択成長層41aと基板本体層41bとか
らなる半導体基板41を得る。さらに、半導体基板41
を下地層53及び母材基板51から剥離してもよい。こ
の場合、半導体基板41は下地層53の凸部53bとの
み接合しているため、剥離も容易である。但し、半導体
基板41を剥離する場合には、基板本体層41bの厚さ
を200μm程度とする。この場合に、MOVPE法は
成長レートが小さいため、成長レートが約数十μm/h
のH−VPE法を併用すると良い。
【0103】なお、このような、上面にストライプ状の
リセス部53a及び凸部53bを設けた下地層53にお
けるマスク膜54から露出した凸部53bの頂面を種結
晶とする選択成長法をABLEG(Air Bridged Latera
l Epitaxial Growth:松下電器産業株式会社の商標名)
法と呼ぶ。
【0104】このように、第3の実施形態によると、格
子欠陥、クラック及び反りが生じなることがない高品質
な窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなる半
導体基板41を得ることができる。
【0105】ところで、下地層におけるマスク膜からの
露出面から成長させる選択成長によって、AlGaNか
らなる3元混晶を選択成長させると、単体のアルミニウ
ムがマスク膜54上に堆積する。しかしながら、第3の
実施形態においては、ABLEG法を用いているため、
下地層53のリセス部53aによって、選択成長層41
aとの間に空隙が形成される。その結果、選択成長層4
1aには、堆積したアルミニウムが取り込まれなくなる
ので、半導体基板41の結晶品質は格段に向上する。
【0106】なお、3元混晶からなる窒化物半導体基板
の形成方法は、ABLEG法に限られない。すなわち、
MOVPE法又はH−VPE法を用いて、サファイア、
ヒ化ガリウム(GaAs)、シリコン(Si)又は炭化
ケイ素(SiC)等からなる母材基板の上に、数百μm
程度の厚さの窒化物半導体層を成長し、その後、成長し
た窒化物半導体層から母材基板を剥離することにより形
成してもよい。このとき、選択横方向成長(ELO)法
を併用しても良い。
【0107】また、窒素又はアンモニアの高圧雰囲気下
により直接に成長させて形成したバルク上の基板を用い
てもよい。
【0108】
【発明の効果】本発明に係る第1の半導体の製造方法に
よると、第1の半導体層のアルミニウムの組成をアルミ
ニウムを含む第2の半導体層のバルク状態の格子定数と
熱収縮又は熱膨張によって実質的に一致するように設定
するため、成長後に室温に戻したとしても、格子定数が
相対的に小さい第2の半導体層にクラック等が発生する
ことがない。
【0109】本発明に係る第2の半導体の製造方法によ
ると、AlGaNからなる半導体基板の格子定数をアル
ミニウムを含む半導体層のバルク状態の格子定数と実質
的に一致させるため、半導体層に生じるクラック等の発
生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体レーザ素
子を示す構成断面図である。
【図2】本発明における異種基板を用いた場合の概念を
示し、サファイア上に成長した窒化アルミニウムガリウ
ム(AlGaN)及びフリーな状態の窒化ガリウム(G
aN)の温度と、窒化アルミニウムガリウム(AlGa
N)からなるクラッド層の格子定数との関係を表わすグ
ラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体の製造方
法における低温バッファ層の上に半導体結晶を成長し始
める際の原料ガスの温度と、半導体結晶に生じるクラッ
ク密度との関係を表わすグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体の製造方
法における低温バッファ層の上に半導体結晶を成長し始
める際の原料ガスの温度と、半導体結晶に生じるc軸格
子歪みとの関係を表わすグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体レーザ素
子を示す構成断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の一変形例に係る半導
体レーザ素子を示す構成断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体基板の製
造方法を示す部分的な構成断面図である。
【図8】従来の半導体レーザ素子を示す構成断面図であ
る。
【符号の説明】
11 基板 12 低温バッファ層 13 歪抑制層(第1の半導体層) 14 n型コンタクト層 15 n型クラッド層(第2の半導体層) 16 n型光ガイド層 17 多重量子井戸(MQW)活性層 18 p型キャップ層 19 p型光ガイド層 20 p型超格子クラッド層(第2の半導体層) 21 p型第2コンタクト層 22 p型第1コンタクト層 23 保護絶縁膜 24 p側電極 25 n側電極 30 リッジ部 41 半導体基板 41a 選択成長層 41b 基板本体層 41A 半導体基板 42 n型半導体層 51 母材基板 52 低温バッファ層 53 下地層 53a リセス部 53b 凸部 54 マスク膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 靖利 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大塚 信之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大仲 清司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA04 AB14 AB17 AC08 AC12 AD08 AD09 AD14 AD15 BB12 CA09 5F073 AA11 AA55 BA06 CB02 CB04 CB05 CB19 EA29

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の上に、Alx Ga1-x N(但し、
    xは0≦x≦1である)からなる第1の半導体層を室温
    よりも高い温度で成長する第1の工程と、 前記第1の半導体層の上に、Alu Gav Inw N(但
    し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦
    1、u+v+w=1である)からなる第2の半導体層を
    成長する第2の工程とを備え、 前記第1の工程は、前記第1の半導体層のAlの組成x
    の値を、該第1の半導体層の室温における格子定数が、
    熱収縮又は熱膨張によって前記第2の半導体層のバルク
    状態の格子定数と実質的に一致するように設定する工程
    を含むことを特徴とする半導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の半導体層と前記第2の半導体
    層との間、又は前記第2の半導体層の上に、Alの組成
    が前記第2の半導体層よりも小さい第3の半導体層を成
    長する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項
    1に記載の半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記基板は、サファイア、炭化ケイ素又
    はシリコンからなることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の半導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x≦
    1である)からなる半導体基板の上に、Alu Gav
    w N(但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、
    0≦w≦1、u+v+w=1である)からなる半導体層
    を成長する工程を備え、 前記半導体基板の格子定数を、前記半導体層におけるバ
    ルク状態の格子定数と実質的に一致させることを特徴と
    する半導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x≦
    1である)からなる半導体基板の上に、Alu Gav
    w N(但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、
    0≦w≦1、u+v+w=1である)からなる半導体層
    を成長する工程を備えていることを特徴とする半導体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記半導体基板はインジウムを含むこと
    を特徴とする請求項5に記載の半導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 Alu Gav Inw N(但し、u、v、
    wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w≦1、u+v+w
    =1である)からなる半導体層を、Alx Ga1-x
    (但し、xは0≦x≦1である)からなる半導体基板の
    上に成長させる際に用いる前記半導体基板の製造方法で
    あって、 前記半導体基板のAlの組成xを、該半導体基板の格子
    定数が前記半導体層のバルク状態の格子定数と実質的に
    一致する値に設定することを特徴とする半導体基板の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 基板の上に形成されたAlx Ga1-x
    (但し、xは0≦x≦1である)からなる第1の半導体
    層と、 前記第1の半導体層の上に形成されたAlu Gav In
    w N(但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0
    ≦w≦1、u+v+w=1である)からなる第2の半導
    体層とを備え、 前記第1の半導体層の室温における格子定数は、熱収縮
    又は熱膨張によって前記第2の半導体層のバルク状態の
    格子定数と実質的に一致していることを特徴とする半導
    体発光素子。
  9. 【請求項9】 前記第1の半導体層と前記第2の半導体
    層との間、又は前記第2の半導体層の上に、Alの組成
    が前記第2の半導体層よりも小さい活性層をさらに備
    え、 前記第2の半導体層はクラッド層であることを特徴とす
    る請求項8に記載の半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記基板は、サファイア、炭化ケイ素
    又はシリコンからなることを特徴とする請求項8又は9
    に記載の半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x
    ≦1である)からなる半導体基板と、 前記半導体基板の上に形成されたAlu Gav Inw
    (但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w
    ≦1、u+v+w=1である)からなる半導体層とを備
    え、 前記半導体基板の格子定数は、前記半導体層のバルク状
    態の格子定数と実質的に一致していることを特徴とする
    半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 Alx Ga1-x N(但し、xは0≦x
    ≦1である)からなる半導体基板と、 前記半導体基板の上に形成されたAlu Gav Inw
    (但し、u、v、wは0<u≦1、0≦v≦1、0≦w
    ≦1、u+v+w=1である)からなる半導体層とを備
    えていることを特徴とする半導体発光素子。
  13. 【請求項13】 前記半導体基板はインジウムを含むこ
    とを特徴とする請求項12に記載の半導体発光素子。
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