JP4719056B2 - 合成セグメント - Google Patents
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Description
(1)セグメントの全体構造として、トンネル軸方向に間隔をおいた両端部の各主桁1と継手板2の地山側の面を塞ぐようにスキンプレート3を設置し、内部の地山側に両主桁1間をつなぐ縦リブ11を設けてあり、これらにより構成される鋼殻15の内部に中詰めコンクリート4を充填した構造である。
(2)主桁1として、2枚の主桁1をセグメント側部に隔てて設置する構造であり、主桁1にフランジ構造を有する断面性能(特に曲げ性能)に優れる断面形状である。
(3)中詰めコンクリート4としては、主桁1の間に中詰めコンクリート4を打設しただけでは、耐曲げ性能の低い構造物である。
(4)縦リブ11を有する構造は、鋼殻15の寸法精度を確保する機能があり、(a)スキンプレート3側から1方向にかかる地山側から伝達される荷重Pを主桁1に伝達する応力伝達部材としての機能を有する。(b)縦リブ11をトンネル内空面側に設置すると縦リブ縁端面と中詰めコンクリート4との被りが小さくなるため、中詰めコンクリート4のひび割れを誘発する弊害が出る。
前記の(a),(b)の理由により、縦リブ11は地山側に限定して設置する構造が理想的とされている構造の合成セグメントBである。
(5)地山側構造としては、鋼殻15に閉塞された拘束度合いの高い構造である。
(6)内空面側構造としては、コンクリート面が露出するとともに縦リブ11やスキンプレート3を有しない拘束度合いの低い構造である。
このようにトンネル軸方向のセグメント幅を広幅化したときの荷重の負担状態について検討すると、次の(1)〜(4)のようなことが言える。
(1)荷重Pはスキンプレート3および主桁1の地山側に一様に載荷される。
(2)セグメントの幅を拡げても主桁1の幅は変わらないので、主桁1の載荷荷重は変わらないが、中詰めコンクリート4の幅は広くなるので、載荷荷重Pは大きくなり、例えば、下記表1に示すように、構造の幅に応じた荷重(分担割合)がかかる。
(3)断面性能の低い中詰めコンクリート部4は荷重負担が大きくなり、断面性能の高い主桁構造は荷重負担が変化しないために、主桁1の高い断面性能を有効に活用できない。
(4)この現象を解決するためには、荷重負担状態を主桁1および中詰めコンクリート4各々の断面性能に応じて適正に分配することが必要不可欠である。
(1)トンネル軸方向のセグメント幅を大きくすることでセグメントが受ける載荷荷重Pが大きくなり、中詰めコンクリート4から主桁1へ伝達すべき力も大きくなる。
(2)地山側から1方向に中詰めコンクリート4に載荷された荷重Pは、コンクリート4の内部を伝播して主桁1へと伝わるが、セグメントの桁高さ方向に向けて点線で示すように放射状に力の流れが発生するために、トンネル半径方向のずれ止めの位置としてはトンネル内空面側に配置したほうが、トンネル半径方向の多くの伝達荷重を受け止められるので、広幅化による大きな荷重を受けるような場合には合理的である。
(3)しかしながら、地山側にのみ設置したトンネル周方向のずれ止めは、ずれ止め耐力を大きく期待できず広幅化への対応が困難となる。
(4)加えて、トンネル内空面側にはトンネル周方向のずれ止めがないために、主桁1と中詰めコンクリート4とのずれ力が大きく発生し、主桁1とコンクリート4との一体化がますます困難になる。
(5)図42に示すように、セグメント断面の中に発生する曲げモーメント・軸力・せん断力を中詰めコンクリート4から主桁1へ確実に伝達する必要があるが、中でも曲げモーメントによるずれ力ΔMの伝達は、セグメントの構造特性上、困難な問題である。
(6)曲げモーメントによるずれ力ΔMの伝達は、図42(a)(b)に示すように、偶力を形成する圧縮力(圧縮偶力)Cと引張力(引張偶力)Tをずれ止めを介して伝達する。
(7)このトンネル周方向に発生する圧縮力Cと引張力Tは、セグメントに設置される縦リブ11により縦リブ構造を用いて伝達される。
ところが、合成セグメントBの縦リブ11を有する縦リブ構造は、地山側に限定して設置することが合理的であるため、曲げモーメントによるずれ力ΔMの伝達により発生する偶力(C、T)を処理する縦リブ11のセグメント高さ方向のアーム長(偶力の作用距離)λが長く取れないことが、伝達力を大きく出来ない最大の要因である。
一方、セグメント断面の中に発生する前記の軸力とせん断力は、それぞれ縦リブ面および主桁フランジ面に対して垂直に力を受ける構造であり、構造上の問題とはならない。
したがって、前記(A)の広幅化構造に伴う伝達曲げ性能の高耐力化が大きな課題である。
ところが、現在志向している広幅構造は、断面剛性の高い主桁1が、トンネル軸方向に隔てて配置されているために、中詰めコンクリート部4に載荷された荷重Pは、トンネル軸方向に、すなわちセグメント幅方向へと流れる性質が生じる。
上記の荷重伝達の特異性から、中詰めコンクリート4にトンネル軸方向の面外変形が発生し、中詰めコンクリート4の曲げ破壊が懸念される。従来のセグメントの断面性能向上のための施策は、もっぱら中詰めコンクリート4のトンネル周方向の性質を向上させるために、例えば、図44に示すように、トンネル周方向の鉄筋22の鉄筋量を増加するなどの施策がとられてきたが、この技術ではトンネル軸方向の面外変形に対して適切な施策を施すことが出来ていない。
前記のような課題に対して従来の対応方法として、下記(1)〜(3)のような方法が考えられている。
(1)中詰めコンクリートの断面性能を増加する構造。
この方法は、図44に示すように、主桁1間に鉄筋22および配力筋21を中詰めコンクリート4内に埋め込むように配置して、中詰めコンクリート4の断面性能を増加させる方法である。
(2)中詰めコンクリートとスキンプレートの一体化を図る構造。
この構造は、例えば、図45に示すように、スキンプレート3にスタッドジベル23を多数固定して、スキンプレート3と中詰めコンクリート4との一体化を図るようにする構造である。
(3)中主桁を増設する構造。
この構造は、図46に示すように、主桁1間に中主桁24を設けて、断面性能を増加させる構造である。
中詰めコンクリート4と主桁1とは、ずれ止めを有していないため、断面の一体化は達成できず、主構造たる主桁1の性能は余ったままであり、セグメント全体では、コスト増になるばかりであり前記の課題(A)(B)は、まったく解決していない。
このような構造によると、主桁にずれ止めを有するために中詰めコンクリートの荷重をずれ止めを介して主桁へと伝達することができる利点がある。しかしながら、ずれ耐力を大きくしようとすると、ずれ止めを多数設置する必要があるので、ずれ止め耐力を大きく設定できない欠点がある。また、主桁ウェブ中央にずれ止め構造を設ける構造では、偶力のアーム長が確保できない為、特に曲げによるずれ力の伝達性能が小さくなることが課題である。即ち、前記の課題(A)がある。
また、中詰めコンクリートのトンネル軸方向の破壊(幅中央部の曲げ)に対して対応が取れない点が課題である。すなわち、前記の課題(B)がある。
このような構造によると、主桁フランジ構造と縦リブ構造を介して主桁へと伝達することができる利点がある。しかしながら、トンネル内空面側のずれ止め効果が期待できず一体化に限界がある点が弱点である。すなわち前記(A)の課題がある。
また、中詰めコンクリートのトンネル軸方向の破壊(幅中央部の曲げ)に対して対応が取れない点が課題である。すなわち前記(B)の課題がある。
また、トンネル軸方向への面外曲げ変形に対して中詰めコンクリートが抵抗可能な合成セグメントを提供することを目的とする。
主桁と継手板とスキンプレートと縦リブとで形成される鋼殻内にコンクリートを中詰めし、鋼殻とコンクリートの合成構造を形成するようにした合成セグメントであって、
主桁のウェブに対して垂直方向に主桁のウェブからセグメント内部方向へ突出するフランジを、少なくともトンネル内空面側に有する主桁2本をセグメントの幅方向両側側部に設置し、
主桁長手方向の両端部に主桁と直角方向に配置された各継手板を結合し、
主桁における内空面側フランジから離して主桁の地山側に主桁間を渡すように間隔をおいて縦リブを配置すると共に各縦リブの両端部を主桁のウェブと固着し、
前記各主桁と継手板の地山側を塞ぐようにスキンプレートを各主桁と継手板と縦リブに固着し、
地山側または内空面側の少なくともどちらか一方に主桁間を渡すようにトンネル周方向に間隔をおいて、鉄筋または鋼板等の長尺鋼材をコンクリートに内包されるように各主桁に固着し、
前記主桁における少なくとも内空面側フランジに主桁における地山側フランジから離してコンクリートに内包されるようにずれ止めをトンネル周方向に間隔をおいて固着していることを特徴とする。
第2発明では、第1発明の合成セグメントにおいて、前記長尺鋼材の両端部は、各主桁のフランジ内側に固着されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明のいずれかの合成セグメントにおいて、前記内空面側の主桁間に渡す鉄筋または鋼板等の長尺鋼材が、前記内空面側のずれ止め機能を兼ねることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの合成セグメントにおいて、主桁形状は、L形または逆T形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態を有することを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかに記載の合成セグメントにおいて、ずれ止めに、鉄筋または鋼板等の短尺鋼材またはスタッドジベルの少なくともいずれか1つ、または主桁間のフランジに渡って配置されて固着される長尺鋼材を用いたことを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの合成セグメントにおいて、ずれ止めに、短尺鋼材が用いられ、その短尺鋼材の断面形状が、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態であることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの合成セグメントにおいて、主桁間に渡す長尺鋼材の形状が、平板形、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、IまたはH形のいずれかの断面形態を有することを特徴とする。
また、トンネル軸方向への曲げには、長尺鋼材で抵抗できる構造になり、また、トンネル内空面側フランジの内側に主桁間を渡すようにトンネル軸方向に鉄筋または鋼板等の長尺鋼材を設置することで、トンネル軸方向の中央部の曲げに対する補強効果もある合成セグメントとすることができる。
したがって、合成セグメントに土水圧などの外荷重が作用した場合に、合成セグメントに作用する曲げモーメントから生じるずれ力を、中詰めコンクリートから主桁側にずれ止めを介して効率よく伝達することができる。そのため、セグメントを広幅化しても効率よく中詰めコンクリートから主桁に応力を伝達することができる。
また、前記のような合成セグメントの構造とすると、従来公知の主桁仕様を変えることなく、トンネル軸方向のセグメント幅寸法を格段に拡大し広幅化した使用可能な合成セグメントとなり、トンネルを構築する場合に組立工数およびセグメント数の少ないトンネルとすることができるため、安価なトンネルを短工期で施工することも可能になる。
第2発明によると、長尺鋼材の両端部が、各主桁のフランジ内側に固着されているので、広幅化による中詰めコンクリートの荷重負担増加を、長尺鋼材によって支承すると共にトンネル軸方向の曲げに対して補強し、さらに中詰めコンクリートと鋼殻との一体性を高めることができる。また、トンネル軸方向の曲げ力に対して、抵抗することができ、合成セグメントの曲げ剛性を高めることができる等の効果がある。
本願発明によると、主桁間に設ける長尺鋼材が、縦リブであるので、前記の縦リブを利用して、土水圧などの外荷重が合成セグメントに作用した場合に、トンネル軸方向の曲げ力に対して、前記縦リブにより抵抗することができる。
第3発明によると、鉄筋または鋼板等の長尺鋼材が、前記内空面側のずれ止め機能を兼ねているので、広幅化による中詰めコンクリートの荷重負担増加を、長尺鋼材によって支承すると共にトンネル軸方向の曲げに対して補強し、さらに中詰めコンクリートと鋼殻との一体性を高めることができる。また、前記の長尺鋼材の両端部をずれ止め部材として利用して、フランジ内空面側のずれ止めを省略することも可能になる。さらに、トンネル軸方向の曲げ力に対して、抵抗することができ、合成セグメントの曲げ剛性を高めることができ、縦リブがある場合には、これと共同してトンネル軸方向の曲げに対して抵抗できる構造とすることができる等の効果がある。
第4発明によると、主桁形状は、L形または逆T形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態であるので、簡単な断面形状の部材を使用して、主桁を構成することができる。
第5発明によると、主桁の内側フランジに設けるずれ止めを、鉄筋または鋼板等の短尺鋼材またはスタッドジベルの少なくともいずれか1つ、または主桁間のフランジに渡って配置されて固着される長尺鋼材を用いたので、安価な簡単な形状の市販の部材を使用して、ずれ止め部材とすることができる。
第6発明によると、ずれ止めに用いる短尺鋼材の断面形状が、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態であるので、簡単な形状で市販の安価な部材を使用して、短尺鋼材をずれ止めとして利用することができ、合成セグメントを安価に製作することができる。
第7発明によると、主桁間に渡す長尺鋼材の形状が、平板形、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、IまたはH形のいずれかの断面形態であるので、簡単な形状で市販の安価な部材を使用して、長尺鋼材として利用することができ、合成セグメントを安価に製作することができる。
また、前記のフランジ5aの内空面側に、ずれ止め12を設ける構造とすることが可能になり、またその部分にずれ止め12 を設けることで、中詰めコンクリート4と主桁1とのトンネル周方向のずれを抑制し、さらに鋼殻15と中詰めコンクリート4とのトンネル軸方向の一体化性を向上できること。
また、図18、図19、図25、図26に示すように、トンネル内空面側の主桁1間に長尺鉄筋10または長尺鋼板9等の長尺鋼材13を固定する場合に、前記フランジ5aの内空面に溶接等により固定できることである。
継手板2と平行に主桁1間を渡すように長尺鉄筋10または長尺鋼板9または長尺鋼材13を少なくともトンネル内空面側に設置する。
鋼殻15内に、コンクリートを充填して中詰めコンクリート4が形成され、鋼殻15と中詰めコンクリート4との合成構造を形成している。
前記のように構成された本発明の合成セグメントAでは、トンネル周方向と平行に設置する主桁1にフランジ5a(または5aと5b)を設置することで広幅化による荷重負担増加をフランジ5a(または5b)とコンクリート4の接触面で受けることができ、トンネル半径方向(法線方向)のずれを抑制し、トンネル内空面側フランジ5aの内側にずれ止め12を設置することで、トンネル周方向(接線方向)のずれを抑制し、さらに鋼殻15と中詰めコンクリート4のトンネル軸方向の一体性を向上させる。
トンネル軸方向への曲げには縦リブ11等の長尺鋼材13で抵抗し、広幅化により増加するトンネル軸方向の曲げに従来技術の縦リブ11で抵抗不可能な場合は、トンネル内空面側フランジ5aの内側に主桁1間を渡すようにトンネル軸方向に平行に鉄筋または鋼板等の別個の長尺鋼材13を設置することで、トンネル軸方向の中央部の曲げに対する補強効果を有する合成セグメントAとすることができる。
図2〜図4または図7〜図9あるいは図13〜図15に示す形態の合成セグメントA1、A2、A3においても、主桁ウェブ16に対して垂直方向にセグメント内部方向へ突出するフランジ5aを少なくとも備えている構成およびフランジの設け方は、前記の実施形態と同様である。
なお、図示を省略するが、前記の嵌合爪17および18の凹部には、適宜、水膨張ゴム等の止水材が設けられる。
また、図示を省略するが、トンネル軸方向に隣り合う合成セグメントA相互は、公知の連結係止金具(図示を省略した)により連結される。
溶接長が充分確保できない場合は、溶接を全周に施すことが好ましい。
前記の長尺鋼材13として、図19に示すように、トンネル軸方向に延長する鋼板(トンネル軸方向鋼板9)を用いる場合、平板形鋼から製作しても良いが、コストを考慮すると形鋼を用いることが好ましい。
長尺鋼材13を主桁1のフランジ5a(5b)内側に結合させる方法としては、接着剤やボルト結合や溶接を用いることができる。
長尺鋼材13を主桁1のフランジ5a(5b)内側に結合させる場合、製作性,コスト,品質を考慮すると結合方法は、溶接が好ましく、溶接方法は、のど厚がa/√2(但し、aは鋼板厚寸法)である両側隅肉溶接とすることが好ましい。
溶接長が充分確保できない場合は、溶接を全周に施すことが好ましい。
前記の縦リブ11等の長尺鋼材13の固着方法は、強度と品質を考慮すると溶接が好ましい。
前記の縦リブ11として長尺鋼材13をスキンプレート3に固着する場合は、スキンプレート3の精度を考慮すると、千鳥状に、断続したすみ肉溶接により固着するのが好ましい。
縦リブ11として長尺鋼材13を主桁1のウェブ16もしくはフランジ5bに固着する方法としては、縦リブ11の両側をすみ肉溶接により固着するのが好ましい。
縦リブ11等の長尺鋼材13の高さを大きくすると、中詰めコンクリート4の被り(内空面側の被り)が充分確保できなくなり、中詰めコンクリート4の乾燥収縮によるひび割れの発生が懸念されるため、縦リブ11等の地山側に配置する長尺鋼材13の高さ寸法は、最大で、主桁1の高さの6割程度とし、スキンプレート3側に変位した位置に配置するのがよく、このようにすると、縦リブ11等の長尺鋼材13と主桁1のフランジ5aに固定されるずれ止め12あるいは縦リブ11以外の長尺鋼材13との干渉を防止し、縦リブ11以外の長尺鋼材13を配置することができる。
図23(b)では、主桁1の断面形状がI形とされている主桁1の内空面側フランジ5aの内側に、主桁1間に渡って長尺鉄筋10または長尺鋼板9からなる長尺鋼材13をさらに設置し、かつ主桁1の地山側フランジ5bの内側に、短尺鉄筋6(図示の場合)または鋼板7あるいはスタッド8等の短尺鋼材14をさらに設置する形態である。このように地山側にもずれ止めを設けると一層地山側のコンクリートと一体化を図り主桁長手方向のずれ力に抵抗する構造にできる。前記と同様、長尺鉄筋10等の長尺鋼材13の設置にあたっては、主桁1の製造後、鋼殻15の組立時において設置するようにすればよい。各長尺鋼材13の設置部分の両端部は、短尺鋼材14によるずれ止め12を兼ねることができるため、各長尺鋼材13を設置する部分では、短尺鋼材14を省略することができる。
図23(c)では、主桁1の断面形状がI形とされている主桁1の内空面側フランジ5aの内側に、短尺鉄筋6(図示の場合)または鋼板7あるいはスタッド8等の短尺鋼材14を設置し、かつ主桁1の地山側フランジ5bの内側に、主桁1間に渡って長尺鉄筋10または長尺鋼板9からなる長尺鋼材13をさらに設置する形態である。このように地山側にも長尺鋼材13を設けるとトンネル軸線方向の曲げに一層抵抗できる構造となるばかりでなく、一層地山側の中詰めコンクリート4との一体化を図り、主桁長手方向のずれ力に抵抗する構造になる。前記と同様、長尺鉄筋10等の長尺鋼材13の設置にあたっては、主桁1の製造後、鋼殻15の組立時において設置するようにすればよい。各長尺鋼材13の設置部分の両端部は、短尺鋼材14によるずれ止め12を兼ねることができるため、各長尺鋼材13を設置する部分では、短尺鋼材14を省略することができる。
図24(b)では、主桁1の断面形状がC形等の溝形とされている主桁1の内空面側フランジ5aの内側に、主桁1間に渡って長尺鉄筋10または長尺鋼板9からなる長尺鋼材13をさらに設置し、かつ主桁1の地山側フランジ5bの内側に、短尺鉄筋6(図示の場合)または鋼板7あるいはスタッド8等の短尺鋼材14をさらに設置する形態である。このように地山側にもずれ止め12を設けると一層地山側の中詰めコンクリート4との一体化を図り主桁長手方向のずれ力に抵抗する構造にできる。
図24(c)では、主桁1の断面形状がC形等の溝形とされている主桁1の内空面側フランジ5aの内側に、短尺鉄筋6(図示の場合)または鋼板7あるいはスタッド8等の短尺鋼材14を設置し、かつ主桁1の地山側フランジ5bの内側に、主桁1間に渡って長尺鉄筋10または長尺鋼板9からなる長尺鋼材13をさらに設置する形態である。このように地山側にも長尺鋼材13を設けるとトンネル軸線方向の曲げに一層抵抗できる構造となるばかりでなく、一層地山側のコンクリートと一体化を図り主桁長手方向のずれ力に抵抗する構造になる。
また、(b)図では、断面逆L字状の縦リブ11とされ、一辺を脚部19としてこれをスキンプレート3に固着し、横向きの他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込み固定するようにしている。このように他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込む形態では、他辺20がトンネル内空面側の曲げに対して中詰めコンクリート4を確実に支承する機能を有し、中詰めコンクリート4と鋼殻15との一体性を向上させるとともに、トンネル軸方向の曲げ性能を向上させることができる。
また、(c)図では、断面逆T字状の縦リブ11とされ、ウェブの一辺を脚部19としてこれをスキンプレート3に固着し、横向きのフランジからなる他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込み固定するようにしている。このように他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込む形態では、他辺20がトンネル内空面側の曲げに対して確実に中詰めコンクリート4を支承する機能を有し、中詰めコンクリート4と鋼殻15との一体性を向上させるとともに、トンネル軸方向の曲げ性能を向上させることができる。
また、(d)図では、断面C形などの溝形形態の縦リブ11とされ、フランジの一辺を脚部19としてこれをスキンプレート3に固着し、横向きのフランジからなる他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込み固定するようにしている。このように他辺20を中詰めコンクリート4の中間層に埋め込む形態では、他辺20がトンネル内空面側の曲げに対して確実に中詰めコンクリート4を支承する機能を有し、中詰めコンクリート4と鋼殻15との一体性を向上させるとともに、トンネル軸方向の曲げ性能を向上させることができる。
(a)の(イ)には、断面L形の短尺鋼材14および長尺鋼材13の一辺全面を主桁フランジに当接して溶接により固定する場合が示され、(ロ)には、断面L形の一辺の先端面を主桁フランジに当接して溶接により固定する場合が示され、(ハ)には、断面L形のニ辺の先端面を主桁フランジに当接して溶接により固定する場合が示され、(ニ)には断面C形などの溝形の短尺鋼材14および長尺鋼材13のウェブを当接して溶接により固定する場合が示され、(ホ)には、断面C形などの溝形断面の短尺鋼材14および長尺鋼材13のフランジを当接して溶接により固定する場合が示され、(ヘ)には、断面C形などの溝形断面の短尺鋼材14および長尺鋼材13の両フランジ先端を当接して溶接により固定する場合が示され、(b)の(ト)には、断面逆T形の短尺鋼材14および長尺鋼材13のフランジを当接して溶接により固定する場合が示され、(チ)には、断面T形の短尺鋼材14および長尺鋼材13のウェブ先端を当接して溶接により固定する場合が示され、(リ)には、断面H形の短尺鋼材14および長尺鋼材13の各フランジ先端を当接して溶接により固定する場合が示され、(ヌ)には、断面Iの短尺鋼材14および長尺鋼材13の各フランジを当接して溶接により固定する場合が示されている。
また、トンネル軸方向への曲げには、縦リブ11を含む長尺鋼材13で抵抗し、広幅化により増加するトンネル軸方向の曲げに従来技術の縦リブ11で抵抗不可能な場合は、トンネル内空面側フランジの内側に主桁間を渡すようにトンネル軸方向に平行に長尺鉄筋10または長尺鋼板9等の長尺鋼材13を設置することで、トンネル軸方向の中央部の曲げに対する補強効果を有する、合成セグメントとなっている。
次に、従来の合成セグメントを広幅化する場合について、具体的に検討する。
前記のように、従来技術を用いることで、セグメント幅1.5mまでは既に使用されている。主桁1の構造を変更することなく広幅化をした際の限界を、施工面,運搬面,構造面から検討した結果、各項目においてセグメント幅が約2.5mとなった。
そこで、本発明の広幅構造とされた合成セグメントの効果を、広幅セグメントである幅2.5mと、従来技術であるセグメント幅1.5mとで比較する。
前記課題(A)の広幅化した場合における曲げにより生じるずれ力に抵抗するずれ止め効果についての、(1)負担荷重の算定、(2)ずれ力の算定、(3)仕様の決め方の3項目について試算結果を以下に示す。
<ずれ止め仕様算定方法>
(1)負担荷重の算定について
図47に示すように、主桁1と中詰めコンクリート4は、同図に示すような負担幅で荷重を負担する。
(2)ずれ力の算定について
主桁1と中詰めコンクリート4が各々負担する荷重割合(入力値)と、主桁1と中詰めコンクリート4が各々負担する発生断面力の比(出力値)の差を、荷重伝達する力をずれ力とし算定する。
(3)仕様の決め方について
図48に示すように、前記(2)で算定した曲げモーメントΔMによるずれ力(C,T)に対し、地山側ずれ止め(縦リブ11)による抵抗力(C’)と内空面側ずれ止め12(14)による抵抗力(T’)にて曲げモーメントによるずれ力ΔMに対し対抗する仕様を決定する。
また、図49に示すように、縦リブ11が中詰めコンクリート4に対し剛性が高いことから、応力度照査は、コンクリート4の許容支圧強度で行う。
仕様を決定する条件は、以下の通りである
(1)C<C’=bf×tf×コンクリートの許容支圧強度×縦リブ枚数÷トンネル周方向長さ
(2)T<T’=b×t×コンクリートの許容支圧強度×ずれ止め個数÷トンネル周方向長さ
以上の手順で曲げによるずれ力に対するずれ止め11,14の仕様を決定する。
なお、ずれ力とは、図50に示すように、主桁1と中詰めコンクリート4が各々負担する荷重割合(入力値)と、主桁1と中詰めコンクリート4が各々負担する発生断面力の比(出力値)の差を荷重伝達する力とし、これをずれ力とする。
次に、図51〜図64を順に参照して、具体的な計算例について説明する。
図51に検討したトンネル埋設位置の断面を示すように、トンネル外径13m、全土被り25mの軟弱地盤内の円形断面トンネル25において、主桁仕様を一定にし、従来セグメントと広幅セグメントに必要なずれ止め構造を、1リング(Ring)あたりで比較検討した。
検討断面の発生断面力は、以下の通りである。
曲げモーメント:M=509kN・m/Ring
軸力 :N=3211kN/Ring
せん断力 :S=299kN/Ring
せん断スパン :M/S=1.7m
セグメントトンネル周方向長さ:4.0m
各部の寸法は下記の通りである。
セグメント断面について<共通事項>
セグメントについて
桁高 :h=300mm
幅 :B=1500mm
主桁について、
フランジ:tf=36mm bf=150mm
ウェブ :tw=19mm
縦リブ仕様 ht=175mm tf=20mm
セグメント幅1.5m:保有曲げ耐力 509kN・m/Ring
セグメント幅2.0m:保有曲げ耐力 678kN・m/Ring
セグメント幅2.5m:保有曲げ耐力 848kN・m/Ring
縦リブ11の剛性がコンクリート4よりも高いことより、曲げモーメントΔMにより発生するずれ力C,Tの伝達性能は、コンクリート強度に依存する。
曲げモーメントΔMにより発生するずれ力C,Tを縦リブ11で伝えきれなくなる時はコンクリート4の破壊によりずれ力を伝達できなくなる。
そこでコンクリート強度に対し、ずれ力C,Tにより発生するコンクリート4の許容支圧応力度で伝達性能の照査を実施する。
セグメント幅1.5m時の曲げによるずれ力C,Tが発生している状態の応力度σを算定する。
この曲げ応力度がコンクリートの許容支圧強度より小さければ曲げによるずれ力を縦リブで伝達することになる。各セグメント幅の曲げ応力度は下記のようになる。
セグメント幅1.5m時 σ=ΔM/Z=11×106/(282×1752/6)=7 (N/mm2)<16 (N/mm2)
セグメント幅2.0m時 σ=ΔM/Z=37×106/(282×1752/6)=25 (N/mm2)>16 (N/mm2)
セグメント幅2.5m時 σ=ΔM/Z=62×106/(282×1752/6)=43 (N/mm2)>16 (N/mm2)
前記から縦リブ11のみでの曲げ力によるずれ抵抗力抵抗機能保有度については、下記表3のように評価される。○は合格、×は不合格。
ここで、セグメント幅2.5m時において必要になるずれ止め仕様を検討する。
セグメント幅2.5mにおけるずれ止め仕様を鉄筋径32mm、幅70mmを約90mmピッチ(セグメント単位長さあたりで鋼重9.3kgの増加のみ)で設置することで曲げによるずれ力に対し抵抗可能になる。
ΔM=62kN・m=C・λ=T・λ → C=T=387kN
ずれ止め6(12)の断面は高さ32mm、幅70mmの鉄筋とする。
縦リブ11が保有するずれ止め耐力C’およびずれ止め6(12)が有するずれ止め耐力T’は、コンクリートの支圧強度を用いて算定する。
C’=(縦リブ高さ)×(縦リブ幅)×(許容支圧強度)/1000
=175×282×16/1000
=789kN
T’=(ずれ止め高さ)×(ずれ止め幅)×(許容支圧強度)×(ずれ止め数)/1000
=32×70×16×11/1000
=394 kN
セグメント幅1.5m P=1014kN(169kN/m2)
セグメント幅2.0m P=1352kN(169kN/m2)
セグメント幅2.5m P=1690kN(169kN/m2)
これらの載荷荷重Pのうち中詰めコンクリート4から主桁1
へ伝達される荷重について検討すると、下記のようになる。
(1)セグメント幅1.5m Ps=81 kN
(2)セグメント幅2.0m Ps=256 kN
(3)セグメント幅2.5m Ps=422 kN
(1) 縦リブ1枚が有する保有曲げ耐力
曲げ耐力 21kN・m
(2)セグメント幅1.5m時のトンネル軸方向に伝達される力により発生する曲げモーメント
曲げ 15kN・m
(3)セグセグメント幅2.0m時のトンネル軸方向に伝達される力により発生する曲げモーメント
曲げ 64kN・m
(4)セグメント幅2.5m時のトンネル軸方向に伝達される力により発生する曲げモーメント
曲げ 131kN・m
従来の合成セグメント:セグメント幅1.5mで縦リブ11のみでトンネル軸方向に生じる曲げモーメントを伝達するとした場合と、図63(b)に示すように、広幅セグメントでセグメント幅2.0mと2.5mの場合で、縦リブ11とトンネル軸方向鉄筋10でトンネル軸方向に生じる曲げモーメントを伝達するとした場合。
トンネル周方向の鉄筋22を増やす手法でセグメント幅2.5mへの広幅化を試みる場合のセグメント仕様を検討する。
検討では中詰めコンクリート部4の引張側にのみに鉄筋10からなる長尺鋼材13を設置させている。
中詰めコンクリート部4に、D32(直径32mm)の鉄筋22をトンネル周方向に100本設置すれば、ずれ力が発生せずにトンネル軸方向(セグメント幅方向)一様に挙動する。
この手法を採ると、鋼重(鋼材重量)は、トンネル周方向1m当り623kg増加する。
しかし、構造上この手法を採ると構造上断面が成立しない。
A1 合成セグメント
A2 合成セグメント
A3 合成セグメント
1 主桁
2 継手板
3 スキンプレート
4 中詰めコンクリート
5a 内空面側のフランジ
5b 地山側のフランジ
6 短尺鉄筋
7 鋼板
8 スタッド
9 長尺鋼板
10 長尺鉄筋
11 縦リブ
12 ずれ止め
13 長尺鋼材
14 短尺鋼材
15 鋼殻
16 ウェブ
17 雄型の嵌合爪
18 雌型の嵌合爪
19 脚部
20 他辺
21 配力筋
22 鉄筋
23 スタッドジベル
24 中主桁
25 トンネル
Claims (7)
- 主桁と継手板とスキンプレートと縦リブとで形成される鋼殻内にコンクリートを中詰めし、鋼殻とコンクリートの合成構造を形成するようにした合成セグメントであって、
主桁のウェブに対して垂直方向に主桁のウェブからセグメント内部方向へ突出するフランジを、少なくともトンネル内空面側に有する主桁2本をセグメントの幅方向両側側部に設置し、
主桁長手方向の両端部に主桁と直角方向に配置された各継手板を結合し、
主桁における内空面側フランジから離して主桁の地山側に主桁間を渡すように間隔をおいて縦リブを配置すると共に各縦リブの両端部を主桁のウェブと固着し、
前記各主桁と継手板の地山側を塞ぐようにスキンプレートを各主桁と継手板と縦リブに固着し、
地山側または内空面側の少なくともどちらか一方に主桁間を渡すようにトンネル周方向に間隔をおいて、鉄筋または鋼板等の長尺鋼材をコンクリートに内包されるように各主桁に固着し、
前記主桁における少なくとも内空面側フランジに主桁における地山側フランジから離してコンクリートに内包されるようにずれ止めをトンネル周方向に間隔をおいて固着していることを特徴とする合成セグメント。 - 前記長尺鋼材の両端部は、各主桁のフランジ内側に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の合成セグメント。
- 前記内空面側の主桁間に渡す鉄筋または鋼板等の長尺鋼材が、前記内空面側のずれ止め機能を兼ねる請求項1または2に記載の合成セグメント。
- 主桁形状は、L形または逆T形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の合成セグメント。
- ずれ止めに、鉄筋または鋼板等の短尺鋼材またはスタッドジベルの少なくともいずれか1つ、または主桁間のフランジに渡って配置されて固着される長尺鋼材を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成セグメント。
- ずれ止めに、短尺鋼材が用いられ、その短尺鋼材の断面形状が、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、I形またはH形のいずれかの断面形態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成セグメント。
- 主桁間に渡す長尺鋼材の形状が、平板形、L形または逆L形、逆T形またはT形、溝形、IまたはH形のいずれかの断面形態を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の合成セグメント。
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