JP4716065B2 - 軸流送風機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種OA機器等に用いられる軸流送風機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばコンピュータやコピー機のようなOA機器は、その筐体内に電子回路(多数の電子部品)を収容しており、そこからの発生熱が多く、また発生した熱を逃し難いため、熱による電子部品の破壊、あるいは劣化の虞がある。
特に、近年のOA機器の小型化傾向においては、発生する熱量はそれほど減少しないにもかかわらず、機器筐体が小型化されるので、熱に対する対策が重要な技術課題となる。そこで、機器筐体の側壁に通気孔を設けてそこに送風機を取り付け、内部の熱を機器筐体外に放出し、内部で発生する熱による障害を防いでいる。
【0003】
従来多く用いられているこの種の送風機を図3を参照して説明する。
図3において、1はほぼ筒状のケーシングである。このケーシング1の中央部にはハウジング2が一体に成形されており、そのハウジング2の中央部には筒状のベアリング支持体3が嵌挿されている。
【0004】
ベアリング支持体3の内側には間隔を置いて2個のベアリング4,5の外輪が支持されており、ベアリング4,5の内輪には、シャフト6が支持されている。シャフト6の下端には止め輪7が装着されており、シャフト6の抜止めと軸方向の位置決めをするようになっている。
【0005】
8は合成樹脂製のインペラであり、筒状のインペラ本体9の外周に羽根10を形成したものである。このインペラ8は、本体9をカップ状のモータヨーク11に嵌挿することでモータヨーク11に取り付けられている。
モータヨーク11は亜鉛ダイキャスト製のボス12を介してシャフト6の上端に結合している。なお、シャフト6のボス12との結合部分にはローレット13が刻設されており、ボス12と結合するときの密着性を高めるようにしてある。モータヨーク11の内周にはリング状の永久磁石14が固定されている。
【0006】
上記ベアリング支持体3の外側には、ステータ巻線15を施したステータ鉄心16が固定されている。このステータ鉄心16の下方(静止部)には、ステータ巻線15に所定の電流を供給してステータ巻線15・鉄心16側及びモータヨーク11・永久磁石14側をブラシレス直流モータのステータ及びロータとして作動させるための電子回路を搭載した回路基板、ここではPCボード17が取り付けられている。
【0007】
PCボード17上の電子回路は、ステータ巻線15・鉄心16側に対してモータヨーク11・永久磁石14側を回転させるためにステータ巻線15への供給電流を制御する。ステータ巻線15とPCボード17上の電子回路とは、図示しない導電体により接続されている。また、PCボード17にはリード線18が接続されており、このリード線18を介してPCボード17に電源供給するようになっている。
【0008】
上述構成の送風機は、OA機器の筐体(図示せず)の通気孔に取り付けられて使用される。通気孔へは、通常、図中上方側を筐体の外側に向け、シャフト6を水平方向に向けた状態で取り付けられる。
そして、その状態でリード線18に所定電圧の直流電源を供給すると、PCボード17上の電子回路により制御された電流がステータ巻線15に流れる。これによりステータ鉄心16から磁束流が発生し、この磁束流と永久磁石14が発生する磁束流との相互磁気作用によってシャフト6を中心にモータヨーク11、インペラ8が回転する。
【0009】
その結果、図中下方側の、すなわち筐体内部の空気が吸引され、風洞19を通して図中上方側に、すなわち筐体外部に放出される。このような送風動作により、筐体内部の冷却が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述従来の送風機は、図3から分かるように、PCボード17は、何の配慮もなされず単にステータ巻線15・鉄心16の下方に取り付けられており、剥き出しのまま外部の雰囲気中にさらされている。したがってPCボード17は、近接対向するステータ巻線15の影響や送風機取付筐体(送風機)の設置環境の影響をそのまま受けることになる。
【0011】
すなわち、送風機の経年使用により、ステータ巻線15とPCボード17とが接触して短絡を生じさせたり、ステータ巻線15の発生熱が直接放射されることによってPCボード17上の電子回路(部品20)の特性を劣化させたり、絶縁性を低下させることがあった。
【0012】
また、塵、埃あるいは水分の多い送風機設置環境であれば、それら塵、埃あるいは水分がそのままPCボード17に付着して、そのPCボード17上の電子回路(部品20)の劣化や短絡を招く。PCボード17上の電子回路(部品20)は、塵、埃あるいは水分には特に弱く、その部品の絶縁性を大幅に低下させ、従来、この点の改善が要望されていた。
【0013】
更に送風機は、上記筐体内部の冷却を行うが、それ自身も発熱する。にも拘わらず、送風機自身の熱放散については従来、何の配慮もなされておらず、そのため、発生熱が徐々に蓄積されて上記PCボード17上の電子回路(部品20)を劣化させる虞もあった。
【0014】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、搭載した制御用の電子回路(部品)の、ステータ巻線への近接配置に起因する劣化を防ぐことのできる軸流送風機を提供することを目的とする。
【0015】
また本発明は、搭載した制御用の電子回路(部品)の、ステータ巻線への近接配置や、設置環境に起因する劣化、特に絶縁性の低下を防ぐことのできる軸流送風機を提供することを目的とする。
【0016】
更に本発明は、搭載した制御用の電子回路(部品)の、ステータ巻線への近接配置や、設置環境に起因する劣化、特に絶縁性の低下を防ぐと共に、自身の温度上昇も極力防ぐようにして蓄積熱による上記電子回路の劣化を防ぐことのできる軸流送風機を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ほぼ筒状のケーシングの中央部にベアリングを配設し、該ベアリングで支持したシャフトに、外周にインペラを有し内周に永久磁石を有するモータヨークを取り付けると共に、前記永久磁石の内方側にステータ巻線を施したステータ鉄心を配設し、該ステータ巻線・鉄心の近傍には、ステータ巻線に所定の電流を供給する電子回路を搭載した回路基板を備えてなる軸流送風機において、前記ステータ巻線・鉄心の近傍に、前記ベアリングの支持体から熱伝導され得るケース部を形成し、該ケース部内に前記回路基板を収納し、該ケース部の外周壁に、前記シャフトに交差する方向に突出する冷却用フィンを歯車状に連続形成してなり、前記ケース部は、前記ケーシングに一体形成されたモータベースと、該モータベースを覆った状態で該モータベースに結合されるもので前記ベアリングの支持体と一体形成された蓋体とからなり、少なくとも該蓋体はアルミダイキャスト又はこれと同等の熱伝導性を有する良熱伝導性材料で形成されることを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明では、ケース部内に回路基板を収納した。したがって、軸流送風機の経年使用等により、例えばステータ巻線の一部が解けて回路基板側に弛んでもケース部によって回路基板への接触が防止される。また、ステータ巻線の発生熱もケース部で遮蔽されるので、回路基板に直接放射されることがなくなる。
【0022】
また、上記のようにケース部内に回路基板を収納したことによれば、本発明の軸流送風機の設置環境に起因する劣化が防止される。すなわち、塵、埃あるいは水分の多い設置環境であっても、回路基板はケース部により保護され、それら塵、埃あるいは水分がそのまま回路基板に付着して、回路基板上の電子回路(部品)の劣化や短絡を招くことがなくなる。
更に、請求項1に記載の発明では、ケース部の外周壁に、シャフトに交差する方向に突出する冷却用フィンを歯車状に連続形成したので、顕著な放熱効果が得られる。
【0023】
更にまた、請求項1に記載の発明では、ケース部の一部を、シャフトを支持するベアリングの支持体と一体形成すると共に、少なくともその部分をアルミダイキャスト等の良熱伝導性材料で形成したので、軸流送風機自身の発熱による温度上昇も極力防止される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明による軸流送風機(以下軸流送風機を単に送風機と記す。)の一実施形態を示す縦断面図、図2は図1に示した送風機の底面図である。なお、図1は図2中の点A−O−Bを結ぶ線に沿った断面を直線状に展開して示した図である。
両図において、1は合成樹脂からなるほぼ筒状のケーシングで、内周にベンチュリ部1aが形成されている。このケーシング1の中央部にはモータベース21が一体に成形されており、モータベース21はその図中上方を覆う蓋体(仕切板)22とでケース部23を形成する。
【0026】
上記蓋体22の中央部には筒状のベアリング支持体24が一体形成されている。また、ケース部23の外周、詳しくは蓋体22の外周には冷却用フィン25が図2に示すように歯車状に連続形成されている。上記蓋体22、ベアリング支持体24及び冷却用フィン25は、ここでは放熱性の高い、すなわち良熱伝導性の材料、例えばアルミダイキャストで一体成形されている。なお、モータベース21と蓋体22とは、モータベース21外面側から螺入される3本の皿子ねじ26…(図2参照)によりケース部23として結合固定される。
【0027】
ベアリング支持体24の内側には間隔を置いて2個のベアリング4,5の外輪が支持されており、ベアリング4,5の内輪には、シャフト6が支持されている。シャフト6の下端には止め輪7が装着されており、シャフト6の抜止めと軸方向の位置決めをするようになっている。
【0028】
8は合成樹脂製のインペラであり、筒状のインペラ本体9の外周に羽根10を形成したものである。このインペラ8は、本体9をカップ状のモータヨーク11に嵌挿することでモータヨーク11に取り付けられている。
モータヨーク11は亜鉛ダイキャスト製のボス12を介してシャフト6の上端に結合している。
【0029】
なお、シャフト6のボス12との結合部分にはローレット13が刻設されており、ボス12と結合するときの密着性を高めるようにしてある。また、ベアリング4の内輪とボス12との間にはコイルばね27が介装されており、ボス12、換言すればインペラ8に、図中上方への偏倚力が与えられている。更に、モータヨーク11の内周にはリング状の永久磁石14が固定されている。
【0030】
上記ベアリング支持体24の外側には、ステータ巻線15を施したステータ鉄心16が固定されている。このステータ鉄心16の下方(静止部)には、ステータ巻線15に所定の電流を供給してステータ巻線15・鉄心16側及びモータヨーク11・永久磁石14側をブラシレス直流モータのステータ及びロータとして作動させるための電子回路を搭載した回路基板、ここではPCボード17が取り付けられる。PCボード17は上記ケース部23内に収納されている。
【0031】
PCボード17上の電子回路は、ステータ巻線15・鉄心16側に対してモータヨーク11・永久磁石14側を回転させるためにステータ巻線15への供給電流を制御する。ステータ巻線15とPCボード17上の電子回路とは、巻線接続ピン端子28により接続されている。また、PCボード17にはリード線18が接続されており、このリード線18を介してPCボード17に電源供給するようになっている。なお、図1中の29はステータ巻線15・鉄心16間の絶縁物である。
【0032】
上述構成の送風機は、OA機器の筐体(図示せず)の通気孔に取り付けられて使用される。通気孔へは、通常、図1中上方側を筐体の外側に向け、シャフト6を水平方向に向けた状態で取り付けられる。
【0033】
そして、その状態でリード線18に所定電圧の直流電源を供給すると、PCボード17上の電子回路により制御された電流が巻線接続ピン端子28を介してステータ巻線15に流れる。これによりステータ鉄心16から磁束流が発生し、この磁束流と永久磁石14が発生する磁束流との相互磁気作用によってシャフト6を中心にモータヨーク11、インペラ8が回転する。
【0034】
その結果、図中下方側の、すなわち筐体内部の空気が吸引され、風洞19を通して図中上方側に、すなわち筐体外部に放出される。このような送風動作により、筐体内部の冷却が行われる。
【0035】
ここで、本発明の送風機では、図1からも分かるように、PCボード17がケース部23内に収納されている。
したがって、送風機の経年使用等により、例えばステータ巻線15の一部が解けてPCボード17側に弛んでもケース部23、詳しくは蓋体(仕切板)22があるので、そのPCボード17への接触が防止され、ステータ巻線15とPCボード17との短絡を防止できる。また、ステータ巻線15の発生熱も同蓋体22で遮蔽されるので、PCボード17に直接放射されることはなく、PCボード17上の電子回路(部品20)の劣化も防止される。
【0036】
また、本発明の送風機(送風機を取り付けた筐体)が、塵、埃あるいは水分の多い環境に設置された場合であっても、PCボード17はケース部23により保護され、それら塵、埃あるいは水分がそのままPCボード17に付着して、電子回路(部品20)の劣化や短絡を招くことはない。PCボード17上の電子回路(部品20)は、塵、埃あるいは水分には特に弱く、その電子回路の絶縁性を大幅に低下させるが、上述本発明の送風機によればそのような電子回路(部品20)の絶縁性の低下は大幅に改善される。
【0037】
更に、ケース部23の一部(蓋体22)を、シャフト6を支持するベアリング4,5の支持体24と一体形成すると共に、少なくともその部分(22,24)を良熱伝導性材料で形成したので、送風機自身の発熱による温度上昇も極力防止される。したがって、送風機自身の温度上昇による蓄積熱に起因するPCボード17上の電子回路(部品20)の劣化が防止される。
【0038】
更にまた、ケース部23の外周壁に、冷却用フィン25を設けたので、冷却効果が高められ、送風機自身の発熱による温度上昇が大幅に抑えられ、PCボード17上の電子回路(部品20)の更なる劣化防止が図れる。
【0039】
上述実施形態では、冷却用フィン25を、蓋体22及びベアリング支持体24と一体にアルミダイキャストで成形してあるので、放熱効果はより顕著なものとなる。放熱効果が顕著なものになれば、ステータ巻線15の供給電力容量を増大させることができので定格出力を上げる設計も可能となり、送風量の増大あるいは送風機の小型化が図れるという効果も得られる。
【0040】
なお上述実施形態では、冷却用フィン25を、蓋体22及びベアリング支持体24と一体に良熱伝導性材料(アルミダイキャスト等)で成形したが、冷却用フィン25を環状に連設した冷却用フィン環を作製し、これを蓋体22の外周壁に嵌着するようにしてもよい。
【0041】
また上述実施形態では、本発明を軸流ファン型のものに適用した場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えばブロワー型のものにも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、搭載した回路基板上の電子回路(部品)の、ステータ巻線への近接配置に起因する劣化を防ぐことができる。また、上記電子回路(部品)の、設置環境に起因する劣化、特に絶縁性の低下も防ぐことができる。
【0043】
更に、送風機自身の発熱による温度上昇も抑えることができ、自身の蓄積熱による上記電子回路(部品)の劣化を防ぐことができる。放熱効果をより顕著なものにすれば、ステータ巻線の供給電力容量を増大させて定格出力を上げる設計も可能となり、送風量の増大あるいは送風機の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による送風機の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】同上送風機の底面図である。
【図3】従来の送風機の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
4,5 ベアリング
6 シャフト
8 インペラ
11 モータヨーク
14 永久磁石
15 ステータ巻線
16 ステータ鉄心
17 PCボード(回路基板)
21 モータベース
22 蓋体(仕切板)
23 ケース部
24 ベアリング支持体
25 冷却用フィン

Claims (1)

  1. ほぼ筒状のケーシングの中央部にベアリングを配設し、該ベアリングで支持したシャフトに、外周にインペラを有し内周に永久磁石を有するモータヨークを取り付けると共に、前記永久磁石の内方側にステータ巻線を施したステータ鉄心を配設し、該ステータ巻線・鉄心の近傍には、ステータ巻線に所定の電流を供給する電子回路を搭載した回路基板を備えてなる軸流送風機において、
    前記ステータ巻線・鉄心の近傍に、前記ベアリングの支持体から熱伝導され得るケース部を形成し、該ケース部内に前記回路基板を収納し、該ケース部の外周壁に、前記シャフトに交差する方向に突出する冷却用フィンを歯車状に連続形成してなり、
    前記ケース部は、前記ケーシングに一体形成されたモータベースと、該モータベースを覆った状態で該モータベースに結合されるもので前記ベアリングの支持体と一体形成された蓋体とからなり、少なくとも該蓋体はアルミダイキャスト又はこれと同等の熱伝導性を有する良熱伝導性材料で形成されることを特徴とする軸流送風機。
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