JP4709233B2 - ヘアキャッチャー - Google Patents
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Description
同図(a)の排水口は、封水筒902に排水量調節部品904を取り付けて封水筒902の穴径を小さくすることにより、水向案内部903による右回転の渦巻き水流を封水筒902内、すなわち、ヘアキャッチャー901外で発生させている。これにより、ヘアキャッチャー901内に渦巻き水流が発生するとされている。同排水口は、洗い場からの排水がヘアキャッチャー901全体に流入し、全排水が排水量調節部品904を通って少しずつ流下することになる。
また、同図(b)の排水口は、ヘアキャッチャー911の外側面に水向案内部913を一体形成あるいは着脱可能に形成している。同排水口も、水向案内部913による右回転の渦巻き水流をヘアキャッチャー911外で発生させ、この渦巻き水流をヘアキャッチャー911内に導入している。
また、同図(a)(b)に示すヘアキャッチャー901,911は、外側に水向案内部903,913が設けられているため、封水筒902内で渦巻き水流を発生させるためには封水筒902の形状を水向案内部903,913の形状に合わせなければならない。さらに、洗い場からの全排水がヘアキャッチャー901,911全体に流入するため、ヘアキャッチャー全体に毛髪等が付着し、ヘアキャッチャーから毛髪等を除去し難かったり、ヘアキャッチャーが目詰まりしたりすることがある。
一時保水部内で一時的に溜まった排水の中では、毛髪等が浮遊して集まり、旋回流により毛髪等がまとまる。ここで、フランジ部において第一・第二(第一及び第二)の立壁部に沿った下り部分の下り勾配G1,G2よりも傾斜部の下り勾配G3の方が大きいので、第一・第二の立壁部に沿って流れてきた排水は、傾斜部で一時保水部内に向かって速度を上げながら、流れ方向が整えられる。このため、少ない排水量でも効果的に一時保水部で旋回流を発生させることができる。また、フランジ部における第二の下り部分の排水は、一時保水部内の旋回流の回転方向と逆方向から案内されるが、G3>G1>G2であるので、最も大きな下り勾配を持つ傾斜部で旋回流を減衰させにくい方向へ向きが変えられる。なお、第二の下り部分の下り勾配G2が第一の下り部分の下り勾配G1よりも小さいので、第二の下り部分の排水は、少量第一の下り部分へ流れ込んだとしても、流速が第一の下り部分の流速よりも低く、旋回流を減衰させ難い。従って、捕集した毛髪等を容易に除去することができる性能、すなわち、良好な毛髪除去性を得ることができる。
さらに、上述した良好な毛髪除去性は、ヘアキャッチャー単独の構造のみで得られる。
上記排水は、毛髪を含む水とする。従って、下部排水流出部や上部排水流出部は、毛髪を含む水が流出する部位を意味する。
排水中の毛髪の流出を抑止する上記下部排水流出部や上記上部排水流出部は、全ての毛髪を止めなくても良い。すなわち、抑止は、全てを止めることに限定されない。
上記一時保水部が排水を一時的に保水することは、一時保水部内で排水が流出しながらも一時的に排水が溜まった状態にさせることを意味する。従って、一時保水部内での排水の滞留時間は、有限の時間である。中で毛髪が浮遊しながら一時保水部内に存在する排水の状態は、一時保水部内に一時的に保水されている状態に含まれる。
上記凹状の一時保水部は排水を受けて一時的に保水する形状であればよく、該一時保水部の形状には椀状、半球状、上下逆の円錐状、上下逆の角錐状、等の形状が含まれる。また、これらの形状の底部に上方へ突出したり膨出したりした部位が設けられた形状の一時保水部も、上記凹状の一時保水部に含まれる。
第一・第二の下り部分及び傾斜部の下り勾配G1%,G2%,G3%は、水平方向の距離Dh(mm)に対する鉛直方向に下がる距離Dv(mm)の百分率(%)で表されるものとする。Dh>0、Dv≧0であるため、G1≧0、G2≧0、G3≧0となる。
なお、上記ヘアキャッチャーを有する排水トラップの発明や、上記ヘアキャッチャーを有する浴室の発明も、上述した作用、効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、一時保水部内でさらに良好に毛髪等がまとまり、さらに良好な毛髪除去性を得ることが可能となる。
図1は本発明の一実施形態に係るヘアキャッチャー10を設けた浴室用の排水トラップ1を示す垂直断面図、図2は排水トラップ1の分解斜視図、図3,4はヘアキャッチャー10の外観を示す図、図5(a)はヘアキャッチャー10を図4のA3−A3の位置で断面視して示す垂直断面図、図5(b)はヘアキャッチャー10を図4のA4−A4の位置で断面視して示す垂直断面図、図5(c)はヘアキャッチャー10を図4のA5−A5の位置で断面視して示す垂直断面図、図6(a)はヘアキャッチャー10を図3のA1方向から見て示す側面図、図6(b)(c)はヘアキャッチャー10を図3のA2−A2の位置から見て示す垂直断面図である。
排水桝112の四隅には、図2に示すように、ヘアキャッチャー10及びカバー120を載置するための洗い場側段部114a,114a及び浴槽側段部114b,114bが形成されている。カバー120の浴槽側縁部120aには、洗い場側へ凹んだ手かけ部122が形成されている。
一方、一時保水部20における下部排水流出部22の周囲は、水抜き孔の無い壁部21とされ、外側に向かって斜めに立ち上がっている。従って、一時保水部20は、流入した排水を一時的に保水しながら該排水を下部排水流出部22から流出させる。
なお、上記排水流出流量Qdを大きくするには、水抜き孔23の開口面積を大きくしたり、水抜き孔23の数を多くしたりして、水抜き孔23の総開口面積(個々の水抜き孔の開口面積を総和した面積)を大きくすればよい。むろん、Qdを小さくするには、水抜き孔23の総開口面積を小さくすればよい。このようにして、下部排水流出部22を所望の排水流出流量にすることができる。
本実施形態の上部排水流出部30は、排水桝112の中で容積をできるだけ大きくするため、一時保水部20の上部よりも緩やかな傾斜で外側へ延出している。
立壁部50は、排水を一時保水部へ通す流入口56を挟んで上部排水流出部30の外側に配置された第一の立壁部52及び第二の立壁部54から構成されている。本実施形態の立壁部52,54は、洗い場W1側を離間させて流入口56を設けるとともに、浴槽B1側も離間させている。洗い場W1からの排水の多くは洗い場W1側から排水桝112に流入するので、ヘアキャッチャー10上の流入口56は洗い場W1からの排水の多くが流れ込む位置に設けられていることになる。両立壁部52,54は、上部排水流出部30を囲むように上部排水流出部30の外縁部30aから上方へ延出している。立壁部50があることにより、毛髪等を含む洗い場W1側からの排水が直接上部排水流出部30に入らないようになっており、毛髪等による上部排水流出部30の目詰まりを抑止することができる。
ここで、ヘアキャッチャー10を仮想の水平面HP1に投影した平面図形は図4の平面図に相当し、下部排水流出部22の平面図形(水抜き孔23に相当する部分も含まれる)は同図の22で表される二点鎖線で囲まれた図形に相当する。この平面図形は、水抜き孔23に相当する部分を含むものとする。下部排水流出部22の平面図形の重心CE1は、幾何学やシミュレーションで求めることができ、単位面積当たりの重量が均一な板を水抜き孔23の無い下部排水流出部22の形状に切り取って釣り合う点、すなわち、質量中心を探す試験を行うことによっても求めることができる。
仮想の水平面に投影された下部排水流出部の平面図形の重心CE1から水平方向へずれた位置P1に向かうとは、図4に示す傾斜部60の排水の流れ方向D13のように、ヘアキャッチャー10を上から見たときに重心CE1を通らない方向に向かうことを意味するものとする。
また、排水の流れ方向D13の向きは傾斜部60において最も傾斜した向きであり、この向きが傾斜部60の下がる向きであるものとする。本実施形態の傾斜部60が下がる向きは、排水が流れていく方向に見たときに重心CE1から右側とされている。すなわち、重心CE1からみて第二の立壁部54が第一の立壁部52よりも傾斜部の下がった位置P1に近い立壁部である。
第二の領域74は、洗い場側に向かって少しずつ下がり、浴槽側から流入口56へ排水を案内する。図5(b)は、第二の立壁部54に沿った部分であって流入口56に向かって下がる部分(第二の下り部分74a)の第二の領域74を断面視している。同図(b)には、第二の下り部分74aの下り勾配をG2%で表している。
G1 = (Dv1/Dh1)×100 (%)
G2 = (Dv2/Dh2)×100 (%)
G3 = (Dv3/Dh3)×100 (%)
で表されるものとする。ここで、下り勾配を表すDh1,Dh2,Dh3,Dv1,Dv2,Dv3は、正の数である。フランジ部70及び傾斜部60は、G2<G1<G3を満たす形状に形成されている。
第二の領域74上の排水は、一時保水部20内の旋回流の回転方向D1と逆方向から案内されるが、G3>G1>G2であるので、最も大きな下り勾配G3とされた傾斜部60で旋回流を減衰させにくい方向へ向きが変えられる。
以上説明した立壁部50及びフランジ部70により、洗い場W1からの排水が主に流入口56へ案内される。フランジ部70は、流入口56に向けて下がる勾配を有しているので、案内する排水の流速を高め、該排水を傾斜部60へ導く。傾斜部60は、該排水を仮想の水平面に投影された下部排水流出部の平面図形の重心CE1(以下、下部排水流出部の重心CE1と記載)から水平方向へずれた位置に向けて一時保水部20へ導く。
本ヘアキャッチャー10を設けた排水トラップ1は、例えば、床材フランジ部113の先端部にパッキン144を取り付け、トラップ本体のフランジ部133に締め付けフランジ140を螺入して床材フランジ部113とトラップ本体130とを互いに固定し、封水筒150を締め付けフランジ140に取り付け、ヘアキャッチャー10を排水桝段部114に載置し、該ヘアキャッチャー10の隅部にカバー120を載置することにより、形成される。
次に、本ヘアキャッチャー10の作用、効果を説明する。
洗い場W1で生じた排水は、カバー120の周囲から排水桝112に流入し、主にヘアキャッチャーフランジ部70上へ流下する。ここで、図4の左側にある隅部76に流下した排水は第一の領域72へ流れ、同図の右側にある隅部77に流下した排水は下り部分72a,74aから速やかに流入口56へ流れる。第一の領域72上の排水は、第一の立壁部52に沿って左回りに案内された後、流入口56へ流れる。図5(a)に示すように第一の下り部分72aが流入口56に向けて下がる勾配を有しているので、洗い場からの排水が流速を高めながら傾斜部60へ流れる。第二の領域74上の排水は、第二の立壁部54に沿って洗い場W1側へ案内された後、傾斜部60へ流れる。
また、図5(a)〜(c)に示すように、流入口56に向かって下がる部分72a,74aにおいて第一の領域72の下り勾配G1が第二の領域74の下り勾配G2よりも大きく、さらに傾斜部60の下り勾配G3が第一の領域72の下り勾配G1よりも大きいので、第二の領域74上の排水は、一時保水部内の旋回流の回転方向D1と逆方向から案内されるものの、最も大きな下り勾配を持つ傾斜部60で該旋回流を減衰させにくい方向へ向きが変えられる。また、第二の下り部分74aの下り勾配G2が第一の下り部分72aの下り勾配G1よりも小さいので、第二の下り部分74aの排水は、少量第一の下り部分72aへ流れ込んだとしても、流速が第一の下り部分72aの流速よりも低く、旋回流を減衰させ難い。
さらに、流入口56へ流れる第一・第二の下り部分72a,74aからの排水が同じ高さで合流しないので、第一の下り部分72a上で一時保水部20内の旋回流に合わせた向きへ案内される排水の流れが第二の下り部分74a上を案内される排水の流れの影響を受けにくい。
以上より、少ない排水量でも効果的に旋回流を発生させることができる。
図8(c)に示した従来例のように排水が速やかにヘアキャッチャーを通過するようにされていると毛髪等がヘアキャッチャーに絡みついて毛髪等を除去し難くなるが、本ヘアキャッチャー10は、排水が徐々に下部排水流出部22を通過するので、良好な毛髪除去性を得ることができ、清掃し易い。
さらに、図8(a)〜(c)に示した従来例では封水筒や排水桝等を特別な構造にすることより渦流を発生させる必要があるが、本ヘアキャッチャー10は、上述した良好な毛髪除去性及び安定した排水能力をヘアキャッチャー単独の構造のみで得ることができる。特に、図8(a)(b)に示した従来例では洗い場からの排水が全て排水量調節部品904を通過することにより排水能力が制限されるが、本ヘアキャッチャー10によると、封水筒の排水能力を制限する必要が無いので、安定した排水能力が得られる。また、図8(c)に示した従来例では渦流を発生させるために浴槽排水が必要であるが、本ヘアキャッチャー10は、浴槽排水を用いず洗い場シャワー等の洗い場からの排水だけで良好な毛髪除去性を得ることができる。
従って、本ヘアキャッチャー10によると、ヘアキャッチャーを設ける排水トラップに特別な構造を設ける必要が無く、良好な毛髪除去性及び良好な清掃性並びに安定した排水能力を得ることが可能となる。むろん、これらの性能は、既存の排水トラップからヘアキャッチャーのみを交換することにより得られることになる。従って、排水トラップを安価にすることが可能になる。
本発明のヘアキャッチャーは、種々の変形例が考えられる。
ヘアキャッチャーを構成する各部は、全て一体化されていてもよいし、独立した部材で構成されてもよい。
洗い場及び浴槽に対するヘアキャッチャーの向きは、上述した実施形態に限定されず、例えば、鉛直に向いた仮想の回転軸AX1を中心として360°全ての向きに変更可能である。従って、洗い場からの排水を一時保水部へ通す流入口は、上述した実施形態のように洗い場側に配置される以外にも、浴槽側に配置されてもよいし、洗い場側と浴槽側との中間的な位置等に配置されてもよい。
洗い場からの排水を一時保水部へ通す流入口は、立壁部に設けられる隙間以外にも、これらの部位に設けられる開口等でもよい。
上記一時保水部は、半球状や、上下逆の円錐の頂点を丸くしたような凹状に形成してもよい。すると、一時保水部内で排水が旋回流になり易くなると考えられ、毛髪等をよりまとめて捨てやすくすることができると考えられる。
上記下部排水流出部や上記上部排水流出部は、複数の孔で形成する以外にも、繊維や針金等を編んで形成した網で構成したり、複数のスリットで形成したりすることが可能である。
上記上部排水流出部の外側に配置される立壁部は、鉛直方向に延出した形状以外にも、鉛直方向からずれた方向に延出した形状等でもよい。
上記一時保水部が上下逆の角錐の形状、又は、上下逆の角錐の頂点及び稜線を丸くしたような形状である場合、上記排水導入部は一時保水部壁部の水平断面の辺に沿った方向へ洗い場からの排水を導いてもよい。
さらに、一時保水部の底に設けられる凸部は、上方へ膨出した部位等でもよい。
また、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
10,210…ヘアキャッチャー、
20…一時保水部、21…壁部、21a…上縁部、
22…下部排水流出部、23…水抜き孔、
30…上部排水流出部、32…孔、
50…立壁部、
52…第一の立壁部、54…第二の立壁部、56…流入口、
60…傾斜部、
70…フランジ部、
72…第一の領域、72a…第一の下り部分、
74…第二の領域、74a…第二の下り部分、
76,77…隅部、
110…床材、112…排水桝、120…カバー、
130…トラップ本体、140…締め付けフランジ、150…封水筒、
AX1…仮想の回転軸、B1…浴槽、CE1…下部排水流出部の平面図形の重心、
D1…旋回流の回転方向、D11〜D15…排水の流れ方向、
H1…毛髪、S…封水面、W1…洗い場、
Claims (2)
- 排水トラップに設けられるヘアキャッチャーであって、
排水中の毛髪の流出を抑止しながら排水を流出させる下部排水流出部を下部に有し、流入した排水を一時的に保水しながら該排水を前記下部排水流出部から流出させる凹状の一時保水部と、
該一時保水部の上部から延出し、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記一時保水部に入りきらない排水を流出させる上部排水流出部と、
排水を前記一時保水部へ通す流入口を挟んで前記上部排水流出部の外側に配置された第一及び第二の立壁部と、
前記流入口を通って前記第一及び第二の立壁部の外側から前記一時保水部内において仮想の水平面に投影された前記下部排水流出部の平面図形の重心から水平方向へずれた位置に向かって下がった傾斜部と、
該立壁部から外側へ延出して洗い場からの排水を受けるとともに、前記流入口に向けて下がる勾配を有するフランジ部とを備え、
前記下部排水流出部の平面図形の重心からみて前記第二の立壁部が前記第一の立壁部よりも前記傾斜部の下がった位置に近い立壁部であり、
前記第一の立壁部に沿った部分であって前記流入口に向かって下がる部分の前記フランジ部の下り勾配をG1%、前記第二の立壁部に沿った部分であって前記流入口に向かって下がる部分の前記フランジ部の下り勾配をG2%、前記傾斜部の下り勾配をG3%として、前記フランジ部及び前記傾斜部がG2<G1<G3を満たす形状に形成されていることを特徴とするヘアキャッチャー。 - 前記第二の立壁部に沿った部分であって排水が前記流入口へ流れる部分の前記フランジ部の上面は、前記第一の立壁部に沿った部分であって排水が前記流入口へ流れる部分の前記フランジ部の上面よりも高くされていることを特徴とする請求項1に記載のヘアキャッチャー。
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