JP5398085B2 - ヘアキャッチャー - Google Patents
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Description
同図(a)の排水口は、封水筒902に排水量調節部品904を取り付けて封水筒902の穴径を小さくすることにより、水向案内部903による右回転の渦巻き水流を封水筒902内、すなわち、ヘアキャッチャー901外で発生させている。これにより、ヘアキャッチャー901内に渦巻き水流が発生するとされている。同排水口は、洗い場からの排水がヘアキャッチャー901全体に流入し、全排水が排水量調節部品904を通って少しずつ流下することになる。
また、同図(b)の排水口は、ヘアキャッチャー911の外側面に水向案内部913を一体形成あるいは着脱可能に形成している。同排水口も、水向案内部913による右回転の渦巻き水流をヘアキャッチャー911外で発生させ、この渦巻き水流をヘアキャッチャー911内に導入している。
さらに、同図(c)の排水口は、ヘアキャッチャー916の上部位置に水向案内部918を配置している。
特許文献3には、キッチンのシンクに設けられた排水トラップが記載されている。図16(e)は、同文献に記載された排水トラップ930を示す垂直断面図である。排水トラップ930は、水受椀部931aや封水椀部931bや外周流路部931cを有するトラップ本体931、封水椀部931b内に挿入された防臭筒932、水受椀部931a内に配置された網かご933、水受椀部931aの上面開口を蓋う蓋体934、を備えている。外周流路部931cや防臭筒932や蓋体934には、封水椀部931b内で一方向に回転する渦流が水流により発生するように排水を案内する排水案内手段が設けられている。シンクから排水トラップ930へ流れる排水は、封水椀部931b内で渦流が発生するように蓋体934で案内され、網かご933を通過する。
また、同図(a)(b)に示すヘアキャッチャー901,911は、外側に水向案内部903,913が設けられているため、封水筒902内で渦巻き水流を発生させるためには封水筒902の形状を水向案内部903,913の形状に合わせなければならない。
さらに、同図(a)〜(c)に示すヘアキャッチャー901,911,916は、洗い場からの全排水がヘアキャッチャー全体に流入するため、ヘアキャッチャー全体に毛髪等が付着し、ヘアキャッチャーから毛髪等を除去し難かったり、ヘアキャッチャーが目詰まりしたりすることがある。
保水部内に溜まった排水の中では、毛髪等が浮遊して集まり、毛髪等が集まった状態で保水部内に残存する。従って、捕集した毛髪等を容易に除去することができる性能、すなわち、良好な毛髪除去性を得ることができる。
また、上記流入部を有する排水導入部により洗い場からの排水が保水部へ導かれるので、上部排水流出部の孔群の閉塞が抑止される。従って、安定した排水能力を得ることができる。
さらに、上述した良好な毛髪除去性及び安定した排水能力は、ヘアキャッチャー単独の構造のみで得られる。
上記排水は、毛髪を含む水とする。
洗い場からの排水には、洗い場から排水桝内に落ちた後にヘアキャッチャー内へ流れ込む排水が含まれる。
排水中の毛髪の流出を抑止する上記上部排水流出部は、全ての毛髪を止めなくても良い。すなわち、抑止は、全てを止めることに限定されない。
上記保水部が排水を保水することには、排水を一時的に保水することが含まれる。ここで、保水部が排水を一時的に保水することは、保水部内で排水が流出しながらも一時的に排水が溜まった状態にさせることを意味する。
上記凹状の保水部は排水を受けて保水する形状であればよく、該保水部の形状には椀状、半球状、上下逆の円錐状、上下逆の角錐状、等の形状が含まれる。また、これらの形状の底部に上方へ突出したり膨出したりした部位が設けられた形状の保水部も、上記凹状の保水部に含まれる。
流入した排水を保水する凹状の保水部と、
該保水部の上部から延出し、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記保水部に入りきらない排水を流出させる孔を有する上部排水流出部と、
該上部排水流出部の外縁と前記保水部の上部とを繋ぐとともに前記上部排水流出部の孔同士で挟まれた位置で洗い場からの排水を前記保水部へ通す流入部と、
該流入部へ洗い場からの排水を通す流入口を設けて前記孔が存在する前記上部排水流出部の外側に配置された立壁部とを備えるヘアキャッチャーでもよい。
保水部内に溜まった排水の中では、毛髪等が浮遊して集まり、毛髪等が集まった状態で保水部内に残存する。従って、捕集した毛髪等を容易に除去することができる性能、すなわち、良好な毛髪除去性を得ることができる。
また、洗い場からの排水が流入部を経て保水部へ通されるので、上部排水流出部の閉塞が抑止される。従って、安定した排水能力を得ることができる。
さらに、上述した良好な毛髪除去性及び安定した排水能力は、ヘアキャッチャー単独の構造のみで得られる。
排水中の毛髪の流出を抑止しながら排水を流出させる下部排水流出部を下部に有し、流入した排水を一時的に保水しながら該排水を前記下部排水流出部から流出させる凹状の一時保水部と、
該一時保水部の上部から延出し、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記一時保水部に入りきらない排水を流出させる上部排水流出部と、
洗い場からの排水を前記一時保水部へ導く排水導入部とを備えるヘアキャッチャーでもよい。
一時保水部内で一時的に溜まった排水の中では、毛髪等が浮遊して集まる。この一時保水部から排水が抜けると、毛髪等が集まった状態で一時保水部内に残存する。従って、捕集した毛髪等を容易に除去することができる性能、すなわち、良好な毛髪除去性を得ることができる。
また、洗い場からの排水が一時保水部へ導かれるので、上部排水流出部の閉塞が抑止される。従って、安定した排水能力を得ることができる。
さらに、上述した良好な毛髪除去性及び安定した排水能力は、ヘアキャッチャー単独の構造のみで得られる。
排水中の毛髪の流出を抑止する上記下部排水流出部や上記上部排水流出部は、全ての毛髪を止めなくても良い。すなわち、抑止は、全てを止めることに限定されない。
上記一時保水部が排水を一時的に保水することは、一時保水部内で排水が流出しながらも一時的に排水が溜まった状態にさせることを意味する。従って、一時保水部内での排水の滞留時間は、有限の時間である。中で毛髪が浮遊しながら一時保水部内に存在する排水の状態は、一時保水部内に一時的に保水されている状態に含まれる。
上記凹状の一時保水部は排水を受けて一時的に保水する形状であればよく、該一時保水部の形状には椀状、半球状、上下逆の円錐状、上下逆の角錐状、等の形状が含まれる。また、これらの形状の底部に上方へ突出したり膨出したりした部位が設けられた形状の一時保水部も、上記凹状の一時保水部に含まれる。
上記旋回流は、保水部内に存在する排水が回転する流れをいい、保水部に流入した排水が下部排水流出部等から流出するまでの回転数に制限は無い。また、旋回流の仮想の回転軸の向きは、鉛直方向でもよいし、水平方向でもよいし、鉛直方向や水平方向から斜めにずれた方向でもよい。
図1は本発明の第一の実施形態に係るヘアキャッチャー10を設けた浴室用の排水トラップ1を示す垂直断面図、図2は排水トラップ1の分解斜視図、図3,4はヘアキャッチャー10の外観を示す図、図5(a)はヘアキャッチャー10を図3のA1方向から見て示す側面図、図5(b)(c)はヘアキャッチャー10を図3のA2−A2の位置から見て示す垂直断面図である。また、図6(a)(b)は、第一及び第二の実施形態に用いられる締め付けフランジ140及び封水筒150を上から見て示している。
浴室は、図示しないシャワーや給湯栓等が設けられた洗い場W1が浴槽B1の外側に設けられ、この洗い場W1の床材110の一部が凹んで排水桝112が形成されている。この排水桝112は、下側の開口部に向かって略水平方向に内側へ延出したフランジ部113を有し、上側の開口部にカバー120を着脱することができるようにされている。排水トラップ1は、排水桝112に取り付けられ、カバー120と床材110との隙間CL1から排水桝112へ流入した排水を通過させる。本排水トラップ1は、カバー120、トラップ本体130、締め付けフランジ140、封水筒150、及びヘアキャッチャー10を備える。
排水桝112の四隅には、図2に示すように、ヘアキャッチャー10及びカバー120を載置するための洗い場側段部114a,114a及び浴槽側段部114b,114bが形成されている。カバー120の浴槽側縁部120aには、洗い場側へ凹んだ手かけ部122が形成されている。
一方、一時保水部20における下部排水流出部22の周囲は、水抜き孔の無い壁部21とされ、外側に向かって斜めに立ち上がっている。従って、一時保水部20は、流入した排水を一時的に保水しながら該排水を下部排水流出部22から流出させる。
なお、上記排水流出流量Qdを大きくするには、水抜き孔23の開口面積を大きくしたり、水抜き孔23の数を多くしたりして、水抜き孔23の総開口面積(個々の水抜き孔の開口面積を総和した面積)を大きくすればよい。むろん、Qdを小さくするには、水抜き孔23の総開口面積を小さくすればよい。このようにして、下部排水流出部22を所望の排水流出流量にすることができる。
本実施形態の上部排水流出部30は、排水桝112の中で容積をできるだけ大きくするため、一時保水部20の上部よりも緩やかな傾斜で外側へ延出している。
立壁部50は、洗い場W1からの排水を通す流入口56を洗い場W1側に設け浴槽側を離間させて上部排水流出部30の外側に配置された第一の分割立壁部52及び第二の分割立壁部54から構成されている。洗い場W1からの排水の多くは洗い場W1側から排水桝112に流入するので、ヘアキャッチャー10上の流入口56は洗い場W1からの排水の多くが流れ込む位置に設けられていることになる。両分割立壁部52,54は、上部排水流出部30を囲むように上部排水流出部30の外縁部30aから上方へ延出している。立壁部50があることにより、毛髪等を含む洗い場W1側からの排水が直接上部排水流出部30に入らないようになっており、毛髪等による上部排水流出部30の目詰まりを抑止することができる。
ここで、ヘアキャッチャー10を仮想の水平面HP1に投影した平面図形は図4の平面図に相当し、下部排水流出部22の平面図形(水抜き孔23に相当する部分も含まれる)は同図の22で表される二点鎖線で囲まれた図形に相当する。この平面図形は、水抜き孔23に相当する部分を含むものとする。下部排水流出部22の平面図形の重心CE1は、幾何学やシミュレーションで求めることができ、単位面積当たりの重量が均一な板を水抜き孔23の無い下部排水流出部22の形状に切り取って釣り合う点、すなわち、質量中心を探す試験を行うことによっても求めることができる。
仮想の水平面に投影された下部排水流出部の平面図形の重心CE1から水平方向へずれた位置に向かうとは、図4に示す傾斜部60の排水の流れ方向D13のように、ヘアキャッチャー10を上から見たときに重心CE1を通らない方向に向かうことを意味するものとする。
また、排水の流れ方向D13の向きは傾斜部60において最も傾斜した向きであり、この向きが傾斜部60の下がる向きであるものとする。本実施形態の傾斜部60が下がる向きは、排水が流れていく方向に見たときに下部排水流出部22から右側とされている。
以上より、排水導入部40は、フランジ部70により洗い場W1からの排水を主に傾斜部60へ案内し、該排水を立壁部50の外側から傾斜部60に沿って仮想の水平面に投影された下部排水流出部の平面図形の重心CE1(以下、下部排水流出部の重心CE1と記載)から水平方向へずれた位置に向けて一時保水部20へ導く。
本ヘアキャッチャー10を設けた排水トラップ1は、例えば、床材フランジ部113の先端部にパッキン144を取り付け、トラップ本体のフランジ部133に締め付けフランジ140を螺入して床材フランジ部113とトラップ本体130とを互いに固定し、封水筒150を締め付けフランジ140に取り付け、ヘアキャッチャー10を排水桝段部114に載置し、該ヘアキャッチャー10の隅部にカバー120を載置することにより、形成される。
洗い場W1で生じた排水は、カバー120の周囲から排水桝112に流入し、主にヘアキャッチャーフランジ部70上へ流下する。ここで、図4の左側にある隅部76に流下した排水は第一の領域72へ流れ、同図の右側にある隅部77に流下した排水は領域72,74の下流部から速やかに傾斜部60へ流れる。第一の領域72上の排水は、第一の分割立壁部52に沿って左回りに案内された後、傾斜部60へ流れる。第二の領域74上の排水は、第二の分割立壁部54に沿って洗い場W1側へ案内された後、傾斜部60へ流れる。ここで、図4に示す排水の流れ方向D13に沿った傾斜部60の傾斜が排水の流れ方向D11,D12に沿った領域72,74の傾斜よりも大きいので、傾斜部60に流入した排水は一時保水部20内に向かって速度を上げる。このため、少ない排水量でも効果的に旋回流を発生させることができる。また、第二の領域74上の排水は一時保水部内の旋回流の回転方向D1と逆方向から案内されるが、傾斜部60で該旋回流を減衰させにくい方向へ向きが変えられる。
図16(d)に示した従来例のように排水が速やかにヘアキャッチャーを通過するようにされていると毛髪等がヘアキャッチャーに絡み付いて毛髪等を除去し難くなるが、本ヘアキャッチャー10は、一時保水部の孔が少なく、排水が徐々に下部排水流出部22を通過するので、毛髪等が一時保水部に絡み付かず、良好な毛髪除去性を得ることができ、清掃し易い。
さらに、図16(a)〜(d)に示した従来例では封水筒や排水桝等を特別な構造にすることより渦流を発生させる必要があるが、本ヘアキャッチャー10は、上述した良好な毛髪除去性及び安定した排水能力をヘアキャッチャー単独の構造のみで得ることができる。特に、図16(a)〜(c)に示した従来例では洗い場からの排水が全て排水量調節部品904を通過することにより排水能力が制限されるが、本ヘアキャッチャー10によると、封水筒の排水能力を制限する必要が無いので、安定した排水能力が得られる。また、図16(d)に示した従来例では渦流を発生させるために浴槽排水が必要であるが、本ヘアキャッチャー10は、浴槽排水を用いず洗い場シャワー等の洗い場からの排水だけで良好な毛髪除去性を得ることができる。
従って、本ヘアキャッチャー10によると、ヘアキャッチャーを設ける排水トラップに特別な構造を設ける必要が無く、良好な毛髪除去性及び良好な清掃性並びに安定した排水能力を得ることが可能となる。むろん、これらの性能は、既存の排水トラップからヘアキャッチャーのみを交換することにより得られることになる。従って、排水トラップを安価にすることが可能になる。
図6(c)は本発明の第二の実施形態に係るヘアキャッチャー210を上から見て示す平面図、図7はヘアキャッチャー210を設けた浴室用の排水トラップ1を示す垂直断面図、図8はヘアキャッチャー210を設けた排水トラップ1の要部を示す斜視図、図9(a)はヘアキャッチャー210を図6(c)のA3方向から見て示す側面図、図9(b)(c)はヘアキャッチャー210を図6(c)のA4−A4の位置から見て示す垂直断面図である。ヘアキャッチャー210以外の排水トラップ1の構成は第一の実施形態と同じであるので、ヘアキャッチャー210以外の説明を省略する。
ヘアキャッチャー210は、一時保水部(保水部)220と上部排水流出部230と排水導入部240を備え、排水から毛髪等のごみを捕集する。
下部排水流出部222や上部排水流出部230の最大排水流出流量Qd,Quは、第一の実施形態と同様にして設定することができる。
また、第二の立壁部250は、流入口256の部分で上部排水流出部230に繋がっている。
なお、90°間隔とされた締め付けフランジ突起141b及び排水導入部凸部242により、締め付けフランジ140に取り付けられるヘアキャッチャー210の向きを90°単位で変えることができる。むろん、締め付けフランジの開口部が上面視円形であり、ヘアキャッチャーの下部が下面視円形であるので、締め付けフランジ及びヘアキャッチャーの取付部を変更することにより締め付けフランジに対してヘアキャッチャーを取り付ける向きを360°全ての向きに変更可能である。
案内部270は、図6(c)に示すように、流入口256の左側で第二の立壁部250の外側に設けられており、右回りに少しずつ下がって一時保水部220内の旋回流の回転方向D2とほぼ同じ回転方向へ排水を案内する。図6(c)に示す排水の流れ方向D23に沿った傾斜部260の傾斜は、排水の流れ方向D22に沿った案内部270の傾斜よりも大きくしてある。
以上より、排水導入部240は、洗い場W1から排水桝112内に流入した排水の一部を案内部270により傾斜部260へ案内し、排水桝112内の排水を第二の立壁部250の外側から傾斜部260に沿って仮想の水平面HP2に投影された下部排水流出部222の平面図形の重心CE2から水平方向へずれた位置に向けて一時保水部220へ導く。
洗い場W1から排水桝112内に流入した排水は、一部が案内部270上で傾斜部260へ案内され、傾斜部260上で一時保水部220内に向かって速度を上げる。該排水は、下部排水流出部222の重心CE2から水平方向へずれた位置に向かって凹状の一時保水部220に流入し、下部排水流出部222を通り鉛直に向いた仮想の回転軸AX2を中心とするような左回りの旋回流が生じ、下部排水流出部222から下方へ流出する。一時保水部220内で一時的に溜まった排水の渦流の中で、図9(b)に示すように毛髪H1等の異物が浮遊しながら旋回して集まり、下部排水流出部222からの毛髪H1等の流出が抑止される。また、下部排水流出部222の排水流出流量を超える排水が一時保水部220に流入すると、排水は、一時保水部220に入りきらず、毛髪H1等の流出が抑止されながら上部排水流出部230から流出する。図9(b)は、排水が上縁部221aを超えて位置L2にまで上昇していることを示している。このとき、下部排水流出部222から流出した排水が流れ方向D24へ落下するとともに、上部排水流出部230から流出した排水が流れ方向D25へ落下する。一時保水部220内の排水中の毛髪等は集まって浮遊し旋回しているため、上部排水流出部の孔232から流出しようとする毛髪等は少ない。
従って、本ヘアキャッチャー210によると、ヘアキャッチャーを設ける排水トラップに特別な構造を設ける必要が無く、コンパクトな大きさで良好な毛髪除去性及び良好な清掃性並びに安定した排水能力を得ることが可能となる。
さらに、一時保水部の底に設けられる凸部は、上方へ膨出した部位等でもよい。
図11は本発明の第三の実施形態に係るヘアキャッチャー510を設けた浴室用の排水トラップ1を示す垂直断面図、図12,13はヘアキャッチャー510の外観を示す図、図14はヘアキャッチャー510を図13のA6−A6の位置から見て示す垂直断面図、図15(a)はヘアキャッチャー510を図13のA5方向から見て示す側面図、図15(b)(c)はヘアキャッチャー510を図13のA6−A6の位置から見て示す垂直断面図である。
ヘアキャッチャー510は、一時保水部(保水部)520と上部排水流出部530と排水導入部540を備え、排水から毛髪等のごみを捕集する。本ヘアキャッチャー510は、凸部の最上部524aを通る鉛直線を中心として2回回転対称な形状とされている。なお、本明細書において、2回回転対称とは、一つの立体図形を一定軸のまわりに180°回転移動させて初めて同じ立体図形になる性質をいうものとする。
凸部524を含む一時保水部520下部は、複数の水抜き孔523が形成され、排水中の毛髪等の流出を抑止しながら排水を略下方へ流出させる下部排水流出部522とされている。一時保水部520における下部排水流出部522の周囲は、水抜き孔の無い壁部521とされ、外側に向かって膨出しながら斜めに立ち上がっている。凸部524は、最上部524aが一時保水部520の上縁部521aよりも低くされ、一時保水部520の底部から上方へなだらかに膨出している。本実施形態の水抜き孔523は、凸部の最上部524aから一時保水部520の最下部520aを越えて凸部524の周囲にまで複数設けられている。
下部排水流出部522や上部排水流出部530の最大排水流出流量Qd,Quは、第一の実施形態と同様にして設定することができる。
本実施形態の流入部560は、上部排水流出部530と略同一面内で一時保水部520を挟む二箇所に設けられ、流入口556から一時保水部上縁部521aに向かって下がっている。
本実施形態の立壁部550は、各排水流出孔群531,531の外側に存在する第一の分割立壁部552及び第二の分割立壁部554から構成されている。両分割立壁部52,54は、上部排水流出部30を取り囲むように上部排水流出部の外縁部30aから上方へ延出している。各分割立壁部552,554の流入口556側の縁部(区画部553,555)は、排水流出孔群531(上部排水流出部530)と流入部560とを区画するように一時保水部520の方へ曲げられている。これらの区画部553,555は、各分割立壁部552,554において旋回流の回転方向D5の下流側に設けられ、流入部560上の排水が一時保水部520内における凸部の最上部524aから水平方向へずれた位置に向かうように配置されている。本実施形態の区画部553,555の向きは、一時保水部壁部521の内周面に沿う向きとされている。
なお、流入部が一箇所しかないと、排水桝内に流入する排水の流れの向きによって一時保水部内で良好な旋回流が生じないことがある。一方、流入部が三箇所以上あると、流入部から一時保水部へ流入する排水の流れ同士がぶつかることにより一時保水部内で良好な旋回流が生じないことがある。本ヘアキャッチャーは、一時保水部を挟んで流入部が二箇所にあるので、一時保水部内で排水が旋回流になり易い。
なお、傾きG1%,G2%,G3%は、水平方向の距離Dh1(mm),Dh2(mm),Dh3(mm)に対する鉛直方向の距離をDv1(mm),Dv2(mm),Dv3(mm)として、
G1 = (Dv1/Dh1)×100 (%)
G2 = (Dv2/Dh2)×100 (%)
G3 = (Dv3/Dh3)×100 (%)
で表されるものとする。ここで、傾きを表すDh1,Dh2,Dh3は正の数、Dv1,Dv2,Dv3は0以上の数とする。
本ヘアキャッチャー510は、上部排水流出部530に傾きを設けることにより毛髪等を凹状の一時保水部520へ集め、上部排水流出部の傾きG1を水平に近くすることにより泡の排出性能を高めている。これにより、本ヘアキャッチャー510は、凹状の一時保水部520で毛髪等の異物を集めながら排水の水面にある泡を容易に上部排水流出部530から排出することができる。
むろん、90°間隔とされた締め付けフランジ突起141b及び溝543により、締め付けフランジ140に取り付けられるヘアキャッチャー510の向きを90°単位で変えることができる。また、締め付けフランジの開口部が上面視円形であり、ヘアキャッチャーの下部が下面視円形であるので、締め付けフランジ及びヘアキャッチャーの取付部を変更することにより締め付けフランジに対してヘアキャッチャーを取り付ける向きを360°全ての向きに変更可能である。
洗い場W1から排水桝112内に流入した排水は、分割立壁部552,554により排水流出孔群531,531に直接流れ込むことが抑止され、流入口556,556からヘアキャッチャー510内に流入する。流入口556,556から流入した排水は、傾きG2を有する流入部560,560上を区画部553,555に案内されて一時保水部520内における凸部の最上部524a(重心CE5)から水平方向へずれた位置に向かって速度を上げる。なお、排水が流入部560,560に隣接する孔532の上を通過することもあるが、このような排水は僅かである。
また、一時保水部520内に凸部524があることにより一時保水部520へ導かれる排水が旋回流を打ち消す方向へ流入し難いので、一時保水部520内で毛髪等がまとまり易い。
また、本ヘアキャッチャー510は、排水流出孔群531に直接排水が流れ込み難い。
さらに、本ヘアキャッチャー510は、締め付けフランジ140の内径とほぼ同じ外径のコンパクトな大きさで上述した良好な毛髪除去性及び清掃性並びに安定した排水能力を得ることができる。
従って、本ヘアキャッチャー510によると、ヘアキャッチャーを設ける排水トラップに特別な構造を設ける必要が無く、コンパクトな大きさで良好な毛髪除去性及び良好な清掃性並びに安定した排水能力を得ることが可能となる。
一時保水部の底部に設けられる凸部の最上部は、下部排水流出部の平面図形の重心からずれていてもよい。
一時保水部の底部には、上述した凸部が複数設けられてもよい。
一時保水部の水抜き孔は、凸部全体にわたって設けられるのみならず、一時保水部の最下部のみ等、凸部の周囲にのみ設けられてもよい。
上部排水流出部に設けられる排水流出孔群は、複数のみならず、単数でもよい。上部排水流出部に一つのみ排水流出孔群が設けられる場合、該排水流出孔群が一時保水部の周りの一周近くにわたって配置され、該排水流出孔群の右回り方向の縁部と該排水流出孔群の左回り方向の縁部とで挟まれた位置に流入部が設けられてもよい。この場合の流入部も、上部排水流出部の排水流出孔群同士で挟まれた位置で上部排水流出部の外縁と一時保水部の上部とを繋ぐ部位となる。
上部排水流出部には、上記排水流出孔群の代わりに、単一の孔で構成される排水流出孔が設けられてもよい。従って、上部排水流出部に設けられる孔は、複数のみならず、単数でもよい。
本発明のヘアキャッチャーは、種々の変形例が考えられる。
ヘアキャッチャーを構成する各部は、全て一体化されていてもよいし、独立した部材で構成されてもよい。
洗い場及び浴槽に対するヘアキャッチャーの向きは、上述した実施形態に限定されず、例えば、鉛直に向いた仮想の回転軸AX1,AX2,AX5を中心として360°全ての向きに変更可能である。従って、洗い場からの排水を一時保水部へ通す流入口は、第一及び第二の実施形態のように洗い場側に配置される以外にも、浴槽側に配置されてもよいし、洗い場側と浴槽側との中間的な位置等に配置されてもよい。
洗い場からの排水を一時保水部へ通す流入口は、立壁部(50,550)や第二の立壁部(250)や上部排水流出部(230)に設けられる隙間以外にも、これらの部位に設けられる開口等でもよい。
上記下部排水流出部や上記上部排水流出部は、複数の孔で形成する以外にも、繊維や針金等を編んで形成した網で構成したり、複数のスリットで形成したりすることが可能である。
上記上部排水流出部の外側に配置される立壁部や第二の立壁部は、鉛直方向に延出した形状以外にも、鉛直方向からずれた方向に延出した形状等でもよい。
上記排水導入部が一時保水部内へ排水を導く方向は、一時保水部壁部の内周面に沿う方向以外とすることができる。例えば、排水を導く方向を下部排水流出部に向かう方向とすると、一時保水部内で水平に向いた回転軸を中心とするような旋回流が発生すると考えられる。この場合も、一時保水部内で毛髪等が浮遊しながら旋回して集まり、毛髪等がまとまった状態で一時保水部内に残存して、良好な毛髪除去性を得ることができると考えられる。
上記一時保水部が上下逆の角錐の形状、又は、上下逆の角錐の頂点及び稜線を丸くしたような形状である場合、上記排水導入部は一時保水部壁部の水平断面の辺に沿った方向へ洗い場からの排水を導いてもよい。
一方、毛髪が細長いため、保水部内に溜まった排水の中で毛髪に加わる沈む力よりも排水の流れの影響の方が大きく、保水部内で毛髪が浮遊する。これにより、保水部内で毛髪等が集まり、毛髪等が集まった状態で保水部内に残存する。従って、捕集した毛髪等を容易に除去することができる。
また、洗い場からの排水が保水部へ導かれるので、上部排水流出部の閉塞が抑止され、安定した排水能力を得ることができる。
また、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
10,210,310,410,510…ヘアキャッチャー、
20,220,520…一時保水部(保水部)、
21,221,521…壁部、21a,221a,521a…上縁部、
22,222,522…下部排水流出部、23,223,523…水抜き孔、
30,230,530…上部排水流出部、32,232,532…孔、
40,240,540…排水導入部、
50,550…立壁部、
52,552…第一の分割立壁部、54,554…第二の分割立壁部、
56,256,556…流入口、
60,260…傾斜部、
70…フランジ部、72…第一の領域、74…第二の領域、76,77…隅部、
110…床材、112…排水桝、120…カバー、
130…トラップ本体、140…締め付けフランジ、150…封水筒、
250…第二の立壁部、252…水平延出部、254…下方延出部、
270…案内部、
324,424,524…凸部、
520a…一時保水部の最下部、524a…凸部の最上部、
530a…外縁部(上部排水流出部の外縁)、
531…排水流出孔群(孔群)、
553,555…区画部、
560…流入部、
AX1,AX2,AX5…仮想の回転軸、B1…浴槽、
CE1,CE2,CE5…下部排水流出部の平面図形の重心、
D1,D2,D5…旋回流の回転方向、
D11〜D15,D22〜D25,D53〜D55…排水の流れ方向、
H1…毛髪、S…封水面、W1…洗い場、
Claims (2)
- 排水トラップに対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャーであって、
流入した排水を保水する凹状の保水部と、
該保水部の上部から延出し、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記保水部に入りきらない排水を流出させる上部排水流出部と、
洗い場からの排水を前記保水部へ導く排水導入部とを備え、
前記上部排水流出部は、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記保水部に入りきらない排水を流出させる孔群を有し、
前記排水導入部は、前記上部排水流出部の外縁と前記保水部の上部とを繋ぐとともに前記上部排水流出部の孔群同士で挟まれた位置で洗い場からの排水を前記保水部へ通す流入部を有することを特徴とするヘアキャッチャー。 - 排水トラップに対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャーであって、
流入した排水を保水する凹状の保水部と、
該保水部の上部から延出し、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記保水部に入りきらない排水を流出させる上部排水流出部と、
洗い場からの排水を前記保水部へ導く排水導入部とを備え、
前記上部排水流出部は、排水中の毛髪の流出を抑止しながら前記保水部に入りきらない排水を流出させる孔群を有し、
前記排水導入部は、前記上部排水流出部の外縁と前記保水部の上部とを繋ぐとともに前記上部排水流出部の孔群同士で挟まれた位置で洗い場からの排水を前記保水部へ通す流入部を有し、
前記流入部を挟む前記上部排水流出部の孔群同士の間隔が前記孔群の孔同士の間隔よりも広くされていることを特徴とするヘアキャッチャー。
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