JP4702451B2 - 圧縮機用電子回路装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品を半田付けして回路を構成する基板を備えた、冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型電動圧縮機を駆動させるための圧縮機用電子回路装置に関する。
従来、圧縮機用電子回路装置において、電子部品を半田付けして回路を構成する基板は、ケース内に収容され、基板の4角をネジ等の固定具で固定されている。
以下、図面を参照しながら上記従来の固定方法を説明する。
図4は従来の電子回路装置の分解斜視図である。図4において、ナイロンやABS樹脂等の合成樹脂により射出成形されたケース10には、内部に基板20が収納できるように、基板20の大きさに対して若干大きい開口部12を有している。
基板20は、表面あるいは内部に金属のパターン(図示せず)が形成されており、これに電子部品(図示せず)が半田付けされ、電気的な機能を発揮する。そして、基板20には電子部品(図示せず)に金属のパターンにより電気的に繋がるコネクタ22を有する。ケース10にはコネクタ22の相対する位置が開口し、コード引出部15を形成している。
基板20の4箇所の角25には、基板固定用ネジ30によりケース10に固定できるように孔が開けられている。また、ケース10の開口部12の4箇所の角17には、蓋部40の4箇所の角45を蓋部固定用ネジ50で固定できるように孔が開けられている。
以上のように構成された圧縮機用電子回路装置について、以下その動作を説明する。
圧縮機用電子回路装置の組み立ては、まず、コネクタ22がコード引出部15から外部と通信接続を可能となるように、基板20はケース10の開口部12から挿入される。その後、基板20の4個の角25が、基板固定用ネジ30により板厚方向に締付けられてケース10に固定される。最後に、蓋部40の4個の角45が蓋部固定用ネジ50によりケース10の開口部12に固定され、基板20はケース10と蓋部40により覆われ組み立てが完了する。
なお、以上の技術内容は、特開平11−317570号公報に開示されている。
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機用電子回路装置に通電され駆動した際に、基板20に搭載された電子部品の発熱や、ケース10の外気温の温度変化に伴い、基板20とケース10の線膨張係数の違いに起因して、繰り返し応力が電子部品の半田付け部に作用する。
例えば、圧縮機用電子回路装置の場合、極寒地方での使用、圧縮機近傍への設置、電子部品の発熱などにより、使用環境として−50℃〜+90℃といった広範囲な温度変化が想定される。そのため、電子部品の半田付け部に作用する応力のために半田強度の劣化が進行し、半田クラックが発生し回路不良が発生する可能性がある。
本発明は、電子部品の発熱やケースの外気温の変化など、広範囲な使用環境においても、電子部品の半田強度の長期信頼性を確保するとともに、組み立て作業性の良い安価な圧縮機用電子回路装置を提供する。
本発明の圧縮機用電子回路装置は、基板はケース内に板厚方向を拘束されることで展延方向に可動なように保持されるとともに、基板の1箇所を展延方向に拘束したものである。ここで、展延方向とは、基板を引き裂く方向、もしくは基板を縮める方向を意味する。このような構成により、電子部品が発熱したりケースの外気温が変化したりしても、基板の展延方向の伸縮は、ケースの展延方向の伸縮影響を受けることがないため、ケースの歪
による応力が基板には作用せず、基板全体への歪みを防ぐとともに、基板をケース内の所定の位置に固定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置の分解斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置の斜視断面図である。図3は本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置における基板のケース挿入時の組み立て図である。
図1から図3において、変性ポリフェニレンエーテル樹脂により射出成形されたケース110は、内部に基板120が収納できるように、基板120の大きさに対して若干大きい開口部112を有している。
基板120は、コンポジットであるガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂から構成され、図1に示すように、略矩形に形成されている。基板120には、表面あるいは内部に金属のパターン(図示せず)が形成されており、これに電子部品(図示せず)を半田付けされ、電気的な機能を発揮する。また、基板120は電子部品(図示せず)に金属のパターンにより電気的に繋がるコネクタ122を有している。そして、ケース110はコネクタ
122に対向する位置が開口し、コード引出部115を形成している。
基板120の1箇所の角125aには、基板固定用ネジ130によりケース110に基板120を固定できるように孔が開けられている。また、ケース110には角125aの隣角となる角125bに対応する位置に、基板120の板厚より若干大きめの幅を持つ挟み込み部118を有している。
基板120には、アルミ合金をプレスにより成形したU字型の連結体160がネジやカシメ(図示せず)により固定されている。そして、連結体160のU字型の内壁側に、パワーモジュールもしくはブリッジダイオード等の発熱の大きい電子部品180を実装した第2基板128が配置されている。この発熱の大きい電子部品180を実装した第2基板128は、図1に示すように、基板120において矩形の輪郭を形成する一つの側縁に近い位置に取り付けられ基板120と電気的に接続された状態でネジや接着剤(図示せず)により固定されている。したがって、基板120において、第2基板128に近い側縁とこの側縁と隣接するコネクタ122を設けた側の側縁で形成される角部と、角125aは、対角関係にある。
プレス加工されたアルミ合金製の蓋部140が、ケース110の開口部112の4箇所の角117に、蓋部固定用孔145を介してネジ蓋部固定用ネジ150で固定されている。さらに、連結体160は蓋部140にネジ170により固定されている。
以上のように構成された圧縮機用電子回路装置について、以下その動作、作用を説明する。
本発明に係る圧縮機用電子回路装置の組み立ては、以下のようになされる。
まず、内壁部に第2基板128を固定した連結体160を固定した基板120を、コネクタ122がケース110のコード引出部115に対向させる。そして、外部との通信が接続により可能となるように、この基板120をケース110の開口部112から挿入する。
この時、基板120に装着されたコネクタ122側からケース110の開口部112に基板120を斜めに挿入することにより、基板120の角125bは挟み込み部118に遊嵌される。その後、基板120がケース110と平行になるように所定の位置に置かれる。そして、基板120の1個の角125aが、基板固定用ネジ130により、板厚方向に締付けられてケース110に固定される。
最後に、蓋部140の4箇所の蓋部固定用孔145が、蓋部固定用ネジ150によりケース110の開口部112の4箇所の角117に固定される。また、基板120はケース110と蓋部140により覆われる。そして、連結体160がネジ170により蓋部140に固定されて、圧縮機用電子回路装置の組み立てが完了する。
ここで、従来の圧縮機用電子回路装置において、電子部品の半田付け部に半田クラックが発生した原因を調査した。
原因として、基板20とケース10との固定方法と、両者の線膨張係数の材料特性に着目した。すなわち、1つ目は基板20の4個の角25を全て基板固定用ネジ30により、板厚方向に締付けられてケース10に固定されている点である。2つ目は、基板20の線膨張係数とケース10の線膨張係数の差が大きい点である。ちなみに、基板20の材料として線膨張係数が1.4×10-5/℃のガラス布基材エポキシ樹脂が一般的に使用されている。また、ケース10の材料としては線膨張係数が8.2×10-5/℃のナイロンや6.5〜9.5×10-5/℃のABS樹脂が一般的な素材として使用されている。
上記2点に起因して、外気温が変化した際に、ケース10の熱伸縮に基板20の熱伸縮が追従できず、4個の角25を固定している基板固定用ネジ30が基板20を引き裂く方向、もしくは縮める方向に応力が作用する。その結果、この応力による歪みが電子部品の半田付け部に繰り返し作用することで半田強度の劣化が進行すると推定される。
具体的に、ケース10の材料の線膨張係数を7.0×10-5/℃とし、基板20の材料の線膨張係数を1.4×10-5/℃とした場合、極寒地方での使用、圧縮機近傍への設置、電子部品の発熱などにより、使用環境として−50℃〜+90℃といった広範囲な温度変化では、圧縮機用電子回路装置を組み立てた時の室温約20℃に対して、±70Kの使用温度幅となる。圧縮機用電子回路装置の一般的な大きさである1辺が120mmの四角形の基板は、展延方向に±0.12mm変化する。基板20と同じ大きさとしてケース10では展延方向に±0.59mm変化する。基板20に対してケース10の方が最大で0.47mm寸法が大きく変化する。
さらに、基板20がケース10に展延方向に固定されて拘束されていると、温度変化に伴ってこの応力による歪みが電子部品の半田付け部に繰り返し作用することで半田強度の劣化が進行し、半田クラックが発生すると推定される。
以上の推定された半田クラックの発生原因を基に、本発明の実施の形態1においては、基板120は角125aの1箇所のみを、ネジである基板固定用ネジ130でケース110に板厚方向と展延方向に拘束し、この固定した角125a以外の箇所は展延方向に拘束されておらず可動可能としている。
そのため、電子部品が発熱したりケースの外気温が変化したりしても、基板120の展延方向の伸縮は、ケース110の展延方向の伸縮影響を受けず、単に基板120の線膨張係数に依存するだけである。従って、電子部品が発熱したりケースの外気温が変化したりしても、ケース110が伸縮しても基板120全体への歪み影響が無くなるため、基板120とケース110が異なる線膨張係数の材料で形成されても、電子部品の半田付け部に繰返し応力が作用することを防止することができ、半田強度の長期信頼性を確保することができる。
また、基板固定用ネジ130により、基板120の最小限の1箇所を確実に固定することができるため、圧縮機用電子回路装置に外部から振動等の力を受けた場合においても、基板120がケース110からずれたり外れたりすることを防止することができる。
さらに、基板固定用ネジ130により、基板120をケース110内の所定の位置に固定することができるため、ケース110に基板120を固定した後に、基板120に接続される電源コード(図示せず)、通信用コード(図示せず)、その他基板120に取り付ける部品の位置が所定の位置となる。従って、組み立て作業性が向上する。
ここで、基板120の材料は、コンポジットであるガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂である。この材料は、パソコンや精密電子機器等に一般的に使われている基板の材料であるガラス布基材エポキシ樹脂に対して、ガラス不織布が多く、パンチング加工性やドリル加工性が良く、安価である。また、ケース110の材料変性ポリフェニレンエーテルは、燃焼性が自己消化性であり、熱変形温度は120度以上ある。よって、使用環境として−50℃〜+90℃といった広範囲な温度変化においても熱変形はほとんど無く、しかも安価である。
また、ケース110に設けた開口部112を、熱伝導率の高いアルミの材料で形成された蓋部140で覆うことにより、電子部品から発生する熱を電子回路装置内の空気を利用して効率よく蓋部140を介してより効果的に放熱することができる。従って、電子部品の温度上昇を抑えることができる。
さらに、熱伝導率の高いアルミの材料で形成された連結体160にて、蓋部140と基板120を熱的に連結することにより、電子部品から発生する熱を、基板120から熱伝導率の高い連結体160を介して効率的に熱を伝導させて蓋部140より放熱することができる。よって、電子部品の放熱性が更に良くなり、さらに電子部品の温度上昇を抑えることができる。
また、蓋部140と連結体160の材料にアルミを用いることにより、ガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂である基板120と、蓋部140と、連結体160のそれぞれの材料の線膨張係数が2.4〜2.5×10-5/℃とほぼ同等であるため、圧縮機用電子回路装置の温度変化に対して、基板120と蓋部140と連結体160とを機械的に連結していても、蓋部140と連結体160が熱伸縮しても基板120を歪ませることがない。従って、蓋部140からの放熱性を確保しつつ、電子部品および電子部品の半田付け部に応力が作用することを防止でき、さらに複数の箇所で固定するため基板120全体のガタツキを抑えることができる。
また、本実施の形態1においては、基板120の角125bは、挟み込み部118に遊嵌され、基板120の板厚方向のガタツキ代を小さくなるように構成されている。本発明の圧縮機用電子回路装置に外部から振動等の力を受けた場合においても、振動による加振力が電子部品および電子部品の半田付け部に作用することがないため、さらに電子回路と半田強度の長期信頼性を確保することができる。
一方、連結体160は、アルミ板をU字型に折り曲げて構成されている。連結体160の折り曲げた内部に、発熱の大きい電子部品180を実装した第2基板128を配設することができるため、少なくとも第2基板128の大きさ分は基板120をコンパクトにできる。
さらに、発熱の大きい電子部品180の熱を直接連結体160と蓋部140に伝導させて放熱することができるため、発熱の大きい電子部品180の温度上昇を抑えることができる。
また、連結体160の折り曲げた内部に第2基板128を配設することにより、連結体160が第2基板128を外部の衝撃などから保護することができる。
本発明の圧縮機用電子回路装置は、電子部品が発熱したりケースの外気温が変化したりしても、基板全体への歪みを防ぐことができるとともに、基板をケース内の所定の位置に固定することができる。よって、圧縮機用以外の高温用途にも応用できる。
本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置の分解斜視図 本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置の斜視断面図 本発明の実施の形態1に係る圧縮機用電子回路装置における基板のケース挿入時の組み立て図 従来の電子回路装置の分解斜視図
符号の説明
110 ケース
112 開口部
120 基板
130 基板固定用ネジ
140 蓋部
160 連結体
180 電子部品

Claims (4)

  1. 表面あるいは内部に金属のパターンが形成された略矩形の基板と、発熱部品を実装した第2基板と、前記基板と異なる線膨張係数の材料から形成され、かつ前記基板を収納するための開口部を設けたケースと、前記ケースの開口部を閉塞する蓋部を備え、前記第2基板を、前記基板における矩形の輪郭を形成する一側縁に近い位置に取り付け、前記基板における前記第2基板の近い側縁とこの側縁に隣接する側縁で形成される角部の対角となる1角部のみをネジによって前記ケースに固定した圧縮機用電子回路装置。
  2. 前記基板の材料は、コンポジットであるガラス布・ガラス不織布エポキシ樹脂であり、前記ケースの材料は、変性ポリフェニレンエーテルである請求項1に記載の圧縮機用電子回路装置。
  3. 前記ケースに設けた前記開口部をアルミ材料で形成された蓋部で覆った請求項1または2に記載の圧縮機用電子回路装置。
  4. アルミ板をU字状に折り曲げて形成された連結体を、前記基板に取り付け、さらに、前記連結体のU字空間内に前記発熱電子部品を配置し、さらに、前記蓋部を前記連結部に固定することにより、前記基板と前記蓋部を熱的に連結した請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機用電子回路装置。
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