JP4699631B2 - キレート化剤を含む尿トリプシンインヒビタアッセイ - Google Patents

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Description

【0001】
【従来の技術】
ヒトの尿には尿トリプシンインヒビタ(ITU)が存在し、腎疾患によって尿中のその濃度が増すことが長らく知られている。
【0002】
Pietteらは、The European Journal of Medicine Vol. 1, 5 September 1992で、尿トリプシン阻害活性が、特に原因不明の高熱及び/又は血沈速度の上昇のある患者において有用なマーカとなりうることを報告している。Kuwajimaらは、Clinical Biochemistry Vol. 23, April 1990, Pp. 167-171で、尿トリプシンインヒビタの自動化アッセイ(検定法)が、急性期反応の臨床診断に役立つかもしれないことを報告している。
【0003】
したがって、UTIの尿分析は重要な診断ツールである。そのような分析技術は通常、尿試料を、アルギニン又はリシンのいずれかでクロモフォアに付着したトリプシン基質と接触させることを含む。理由は、アルギニン及びリシンは、トリプシンによって開裂するアミノ酸であるからである。尿トリプシンインヒビタは、流体試料中のその濃度にしたがってトリプシン活性を阻害するため、尿試料中の尿トリプシンインヒビタの濃度は、クロモフォアの色反応の強さに反比例する。1998年3月17日公開の特開平10−70997号公報には、尿試料、トリプシンを含有する酵素試料及び緩衝剤を、反応流体中トリプシン1μgあたり0.15μmol以上から尿試料1mlあたり最大100μmolまでの量のカルシウムとともに混合することによる、尿中のトリプシン活性の阻害度を計測する方法が記載されている。加えて、トリプシン基質をその有機溶媒に溶解しやすくするため、界面活性剤が使用される。この技術は、明らかに、大きく過剰のカルシウムをアッセイ試薬に加えることによって尿試料中に存在するカルシウムによって生じる干渉を隠蔽するように設計されている。
【0004】
このアッセイ技術は、カルシウム干渉を覆い隠すための過剰のカルシウム及びトリプシン基質を溶解するための界面活性剤を使用する尿中のトリプシンインヒビタの液相試験を含む。この技術は、尿中の緩衝剤に打ち勝つために乾相アッセイで必要な緩衝剤の量が尿中で沈澱するため、乾相アッセイには適さない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、尿試料を、トリプシン、トリプシンによって開裂すると検出可能な応答を発するトリプシンの基質及び尿試料中に存在するカルシウムからのアッセイに対する干渉を阻害するのに十分な量のポリカルボン酸キレート化剤を含む緩衝アッセイ媒体(medium)と接触させ、トリプシンインヒビタの濃度を該基質の開裂からの検出可能な応答と相関させることを含む、尿中のトリプシンインヒビタのアッセイである。
【0006】
同じく本発明の範囲に含まれるものは、尿試料中のトリプシンインヒビタの存在及び濃度を検出するための、トリプシン、緩衝剤、トリプシン基質及びキレート化剤を吸収性キャリヤ中に有する乾式アッセイ試験具である。
【0007】
【発明の実施の形態】
尿トリプシンインヒビタは、トリプシン、αキモトリプシン、ヒアルロニダーゼ及びクレアチンホスホキナーゼの酵素反応性を阻害する糖タンパクである。トリプシンインヒビタ活性は、以前、細菌感染の診断に可能なスクリーニング試験として示唆されていた。細菌感染が起こると、白血球が動員され、白血球のエラスターゼ活性が活性化される。急性期反応の間、インターロイキン−1が、エラスターゼ活性によって低分子量トリプシンインヒビタに分解されるインター−α−トリプシンインヒビタの産生を誘発する。これらのトリプシンインヒビタは、炎症部位に作用して抗炎症活性及び抗ショック活性を示したのち、尿中に排出されると考えられる。トリプシンインヒビタの量的変化は、感染又は炎症の指標として有用であることが示されている。トリプシンインヒビタはまた、他の状況、たとえば悪性腫瘍、腎疾患、心筋梗塞及び術後で上昇することが示されている。トリプシンインヒビタは、健康な個人の尿中に微量で存在する。
【0008】
感染及び炎症のマーカとしては、血清C反応性タンパク、シアリン酸及び血沈速度が利用されてきた。しかし、これらのマーカはすべて血清ベースであり、分析の前に採血ならびに血液試料の凝固、遠心処理及び分離のための時間を要する。尿トリプシンインヒビタアッセイは、血液試料を必要としない、感染を評価する簡単で迅速で低廉な手段を提供する。尿試料は、容易に収集することができ、分析の前に前処理を要しない。トリプシンインヒビタアッセイは、診断前試験として使用されると、尿試料が血液試料よりも特に採取しやすい小児科の分野で特に高レベルの利用性がある。さらには、トリプシンインヒビタはC反応性タンパク及び血沈速度の変化に十分に相関することが実証されている。
【0009】
本発明のアッセイは、尿中のカルシウムイオンの存在によって生じる尿トリプシンアッセイへの干渉を特定のキレート化剤の使用によって排除することができるという発見に基づく。キレート化剤は、カルシウムを抽出し、除去するために使用したのではなく、塩を錯化するために使用しただけであったため、これは予想外であった。トリプシンはなおも、錯化した塩とで有害に相互作用すると予想されていた。
【0010】
アッセイは、アッセイ試薬を水性又は極性非プロトン性溶媒、たとえば水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジメチルホルムアミド又はメチルエチルケトンに溶解させることにより、液相で実施することができる。最低で、溶液は、10〜750IU/ml(好ましくは100〜500IU/ml)の濃度のトリプシン、通常は0.2〜5.0mM、好ましくは0.5〜2.0mMの濃度のトリプシン基質、0.2〜50mM(好ましくは10〜25mM)の濃度のキレート化剤及び溶液のpHを6.0〜9.0、好ましくは7.0〜8.0に維持するための緩衝剤、たとえばホスフェートを含む。
【0011】
本発明の一つの態様は、尿試料中のトリプシンインヒビタを検出するための分析試験片に関する。試験片は、尿試料が貫流することができ、試薬系で含浸されている吸収性キャリヤを含む。試験片に使用される吸収性キャリヤは、好ましくはろ紙である。吸収性キャリヤとして有用である他の材料は、フェルト、多孔質セラミック片及び紡織又はつや出しガラス繊維である。同じく適したものは、木、布及びスポンジ材料である。調製するには、試験片を通常、緩衝剤、キレート化剤、トリプシン及び場合によっては界面活性剤の水溶液で含浸させたのち、乾燥させる。そして、試験片をトリプシン基質の溶媒溶液で含浸させ、乾燥させる。
【0012】
好ましいキレート化剤は、少なくとも一つの式−N(CH2CO2H)2の錯形成基を有するアミノカルボン酸であり、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレントリアミノ六酢酸、2,-3−プロピレンジアミン四酢酸及び1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸を含む。
【0013】
本発明で使用するのに適したトリプシン基質は、トリプシンによって開裂すると、目視又は分光測光手段によって検出することができる色付き種を形成することができるリシン又はアルギニン結合を含む化合物である。そのような基質は、ベンゾイル−L−アルギニンp−ニトロアニリドを含む。本発明で使用するのに適した他のトリプシン基質は、7−アミノ−4−メチルクマリン、2−アミノナフタレン、4−メトキシ−2−アミノナフタレン、3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−アニリン、2−クロロ−4−ニトロ−アニリン、3−アミノインドール、2−アミノアクリドン、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノピリミジン、ローダミン110及び6−アミノグイノリンのアルギニン又はリシンアミド誘導体を含むが、これらに限定されない。また、種々のエステル及びアミドが、トリプシンのようなプロテアーゼの検出のための基質として使用されている。芳香族アルコールのNα,NGで保護されたニトロ−L−アルギニンエステル、たとえば同時係属出願(MSE#2609と特定され、本出願と同日に出願)に開示されている3−(Nα−トシル−NG−ニトロアルギニルオキシ)−5−フェニルピロールを含む新たなクラスの基質もまた適している。このトリプシン基質は、試験片が尿試料で濡らされるまでトリプシンと基質との反応を防ぐそのニトロ保護基のおかげで、乾式試薬フォーマットに特に適している。
【0014】
【実施例】
以下の例により、本発明を実施する方法をさらに説明する。
【0015】
例I
以下のアッセイ系を使用して、尿トリプシンインヒビタの変形液アッセイの初期試験を実施した。
【0016】
アッセイ手順は、Cobas-Fara分光光度計(Roche Diagnostics)で実施した。尿の10μlアリコートを試料として、リン酸二水素ナトリウム50mMを単独で又はEGTA0.47g/lとともに含む緩衝剤水溶液120μlに加えた。尿中のカルシウムの最大実用量は、公表されたデータに基づくと80mg/dlであると決定され、この量のカルシウムを錯化するために必要なEGTAの量の2倍(0.47g/l)をアッセイ系に加えた。第二に、32mg/lトリプシン酵素水溶液100μlを加え、合わせた溶液を25℃で2分間混合した。最後に、DMSO中ベンゾイル−L−アルギニンp−ニトロアニリド(BAPNA)0.70g/lからなる基質溶液100mlを加えた。得られた混合物を遠心分離し、15秒間隔で8分間、405nmで読みとった。
【0017】
ユリナスタチン(商品名Miraclidの下で販売されている、分子量67,000g/mol及び等電点2.4の糖タンパク)を加えることにより、インヒビタを含まない三つの尿試料をそれぞれ使用して、1リットルあたり尿トリプシンインヒビタ(UTI)活性50、150、250及び350(IU/L)の5個の試料を調製した。このアッセイ系を使用して尿試料を試験し、基質の色の変化をRoche Cobas-Faraクリニカルアナライザで検出した。この実証試験は、EGTAを含めたときのアッセイの変動の減少を実証するために実施した。結果を以下の表A及びBに示す。
【0018】
【表1】
Figure 0004699631
【0019】
【表2】
Figure 0004699631
【0020】
表A及びBから、EGTAがアッセイ溶液中になかったとき、種々の尿試料の間で結果に大きなばらつきがあったことがわかる。表Aの標準誤差は19.02IU/lであるが、表B(EGTAを含む)の標準誤差は10.53IU/lである。したがって、EGTAは、増大する量のカルシウムを有する尿試料の間のばらつきを減らす。3個の尿試料は、異なる量のカルシウムを有していた。カルシウムレベルが高くなるほど、観察された結果は予想された結果から遠かった。これは、カルシウムがトリプシンのインヒビタであることを示した他の標準溶液と一致した。他の尿成分、たとえば他の塩、比重及びpHの分析は、予想された結果と観察された結果との間の相関を実証しなかった。潜在的な尿トリプシン活性化物質及びインヒビタの多数の組み合わせの試験を実施した結果、カルシウムはその活性を増すことがわかったが、塩化物、ナトリウム及びマグネシウムはほとんど影響を及ぼさないことがわかった。さらに、カルシウムは、オーバーウェルムするか錯化させるかしてアッセイ系から除去しなければならないことがわかった。長期的目標は、尿トリプシンインヒビタの乾相試験を製造することであり、カルシウムは大部分の緩衝剤を沈澱させるため、錯化によってカルシウムを除去することにした。
【0021】
トリプシン酵素はpH依存性であり、一定の活性を得るためには約7.0〜8.0の一定のpHが望ましいため、緩衝剤が必要である。ホスフェート及びカルボキシル基は、緩衝剤の電荷を帯びた電離性基として一般的であり、これらの基のカルシウム塩はあまり水溶性ではない(リン酸カルシウムは比較的不溶性である)ため、溶液から沈澱する傾向を示す。
【0022】
例II
この実験には、変形液相アッセイを使用した。液アッセイには以下を使用した。
i.10%界面活性剤0.1ml(表Cに示すとおり)
ii.緩衝液3ml
iii.H2O0.5ml(NaCl添加及び無添加)
iv.MMBDジアゾニウム0.9ml(125mg/25ml)
v.酵素0.2ml(トリプシン10mg/100ml)
vi.基質3−(Nα−トシル−NG−ニトロ−L−アルギニルオキシ)−5−フェニルピロール0.3ml(20mg/50mlアセトン)
【0023】
前記例と同様に、3個の尿試料においてトリプシンインヒビタの分析を実施し、吸光度の結果を表Cに示す。試験した3個の尿試料は次のとおりであった。
試料1=トリプシンインヒビタを含まない通常の尿
試料2=トリプシンインヒビタ250IU/lを含む同じ通常の尿
試料3=トリプシンインヒビタ250IU/lならびに生理的限界の10倍の尿素、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウムを含む同じ通常の尿
【0024】
【表3】
Figure 0004699631
【0025】
表Cから、トリプシンインヒビタの水溶液によって良好な反応性及び混合物レベル区別が可能であったが、アッセイにおける界面活性剤の存在が有意な変動を生じさせることがわかる。陰性試料が影響を受けるだけでなく、2個の陽性試料の間の差が拡大し、界面活性剤の性質に依存する。
【0026】
例III
例II及び表Cに記載のようにして、22個の異なる界面活性剤を試験した。この試験は、以下の5クラスの界面活性剤が存在することを示した。
i.ブランク又は反応性に影響を及ぼさなかったもの。
ii.ブランク及び反応性を増大させたもの。
iii.ブランク及び反応性を低下させたもの。
iv.加えられる塩との反応性を増大させたもの。
v.加えられる塩との反応性を低下させるもの。
【0027】
以下の手順にしたがって、各クラスからの界面活性剤1種を使用して、第一及び第二の溶液を調製することによって試験片を製造した。ろ紙(Alstrom社の204Cグレード)を第一の浸漬溶液で飽和させ、90℃で15分間乾燥させた。得られた試薬を第二の浸漬溶液で飽和させ、90℃で10分間乾燥させて、完全な試薬試験片を形成した。接着剤(3M社のY9494)を試薬試験片に被着させ、それを0.86cm四方のパッドの形状でポリスチレン取っ手に固着した。
【0028】
A.第一の浸漬液の成分
a.水50ml
b.一塩基性リン酸緩衝剤(5.00g)
c.界面活性剤(Ninate 411、Aerosol OT、Tween 80、BioTergr AS-40又はなし)
d.5.1mM(0.119g)エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA)
e.1.75% Plasdone(0.877g)(Sigma-Aldrich社のPVP K30)
f.340U/mlトリプシン酵素
g.175mM MgSO4(2.16g)
h.2.70mM(43.7mg)2−メトキシ−4−モルホリノ−ベンゼンジアゾニウムクロリド、塩化亜鉛(MMBD)(ジアゾニウムカップリング剤)
i.pH7.80±0.02に調節するための1N NaOH
【0029】
B.第二の浸漬液の成分
a.19.3mg又は0.75mM3−(Nα−トシル−NG−ニトロ−L−アルギニルオキシ)−5−フェニルピロール
b.アセトン50ml
【0030】
データは、試験片を、表Dに示す尿配合物に浸漬したのち、Bayer Diagnostics社のCLINITEK(商標)50分光計に入れて、浸漬後15及び60秒でデータを収集し、以下の式を使用してデコード値を計算することによって収集した。
デコード={〔(B15+G15)−(B60+G60)〕/(B15+G15)}*1000
(式中、
B15は、15秒での青波長の反射率であり、
B60は、60秒での青波長の反射率であり、
G15は、15秒での緑波長の反射率であり、
G60は、60秒での緑波長の反射率である)
【0031】
デコード値はUTI濃度に正比例する。>180の結果には0IU/mlを割り当て、<120の結果には250IU/mlの値を割り当てる。
【0032】
この実験の結果を表Dに示す。
【0033】
【表4】
Figure 0004699631
【0034】
界面活性剤なしでトリプシンインヒビタに対する大きな反応が見られているため、表Dは、乾燥試薬中の界面活性剤の存在又は非存在が干渉を減らす効果又は利点をもたらさないことを示す。
【0035】
表Cで報告されたように、EGTAの非存在で強い界面活性効果が認められたため、表Dに示す結果は予想とは異なった。尿pHは、緩衝効果を排除するのに最適な試験片pHである7.5〜8.0に調節した。界面活性剤を含むすべてのアッセイは、水を上回る改善を示さなかった。この研究は、EGTAを含む配合が、EGTAを含まない配合物よりも、界面活性剤の影響を受けにくいという結論を導いた。界面活性剤によって生じるアッセイばらつきのため、界面活性剤をアッセイ配合物から省いてもよい。しかし、基質を溶液に溶かすのに難がある配合物では、非イオン性ポリオキシアルキル界面活性剤、たとえばエチレングリコール単位を含むものを使用してもよい。このクラスの界面活性剤は、Aerosol OT、Ninate 411及びBioterge A-40を含む。これらの界面活性剤はアッセイの再現精度に悪影響を及ぼさないことがわかっている。
【0036】
例IV
さらなる試験片態様では、界面活性剤を使用せず、試験片の緩衝能力を改善することに集中した。緩衝剤のレベルを増しながら一連の試験片配合物を製造した。尿pH効果に打ち勝つのに十分なリン酸緩衝剤(>1M)は、浸漬溶液に溶解することができないことがわかった。尿緩衝能力に打ち勝つ程度に水に溶解することができる有機緩衝剤はわずか数種である。トリス〔トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〕はその1種である。この例では、7.8のpHを得るためにトリスを1.5Mのレベルで使用した。試験片を調製するための配合及び手法は、緩衝剤が1.3Mトリス(水50ml中7.87g)であり、界面活性剤を配合に加えなかったことを除き、例IIIで使用したものと同じであった。
【0037】
この例IVで記載した研究の目的は、T. NoadによってOsaka-stii Igakkai Zasshi Vol. 44, No. 2 June 1992; 485-500に記載されている免疫学的液アッセイ基準法に対する試験片アッセイの相関を実証することであった。例IIで示すように開発した免疫学的基準法を使用し、Hitachi 7070オートアナライザ及びEiken Japan社の抗体キットを使用して、911個の臨床尿を評価した。分析パラメータは次のとおりであった。
【0038】
1)方法:2点末端
2)計測時間:1回目355.35秒、2回目590.94秒
3)波長:660nm
4)試料希釈:pH7.4緩衝液で100倍(標準)/pH7.4緩衝液で50倍(低濃度試料)
5)試料値:5μl
6)試薬値:1回目試薬150μl、2回目試薬50μl
7)標準点:7点(0、7.8、15.6、31.3、62.5、125、250IU/ml)
8)標準曲線:スプライン
【0039】
表Eは、この例の試験片アッセイと免疫学的液アッセイ基準との相関を示す真理表である。全体的に、0、100及び200の試験片結果の一致を表Eの<50、50〜150及び≧150IU/mlでのイムノアッセイ結果と比較することによって示されるように、二つの方法の間の相関は良好である。0、100及び200の値を得るために使用されるデコード範囲及び等式(式中、≧275のデコードは「0」であり、200〜275は「100」であり、<200のデコードは「200」の試験片結果である)。陽性及び陰性の一致は、免疫学的方法の場合、しきい値50IU/mlで66.7及び88.5%であり、試験片試験の妥当な範囲内であった。正常な個人は、99%の場合、<50IU/mlを有することがわかった。
【0040】
【表5】
Figure 0004699631
【0041】
臨床尿試料のうち、898個を、米国特許第5,733,787号明細書に記載のクレアチニン試験片及び定量的Jaffeクレアチニンアッセイを使用してCobas-Faraアナライザでさらに評価した。クレアチニン試験片に対する例IVの試験片アッセイの比率をクレアチニン基準法に対する免疫学的液トリプシンインヒビタアッセイに比較した相関を示す真理表を表Gに示す。クレアチニン基準法は、Roche Diagnostics社のCOBAS-FARA機器のための市販のアッセイであった。全体的に、二つの方法の間の相関は、臨床的に正常、異常及び高度に異常な試料を表す三つのレベル、すなわち<50IU/g、50〜150IU/g及び>150IU/gで試験片結果をイムノアッセイ結果と比較することによる測定で良好であった。デコード比結果は、TI試薬デコードをクレアチン試薬デコードで割ることによって得た。クレアチニンデコードは、赤波長における反射率/緑波長における反射率である。≧85のデコード比結果は、試験片結果では「0」であり、84.9〜50は、試験片結果では「100」であり、<50は、試験片結果では「200」であった。しきい値<50IU/gにおける陽性及び陰性の結果とイムノアッセイとの一致は、85.2%及び86.4%であり、それは試験片試験の妥当な範囲内であった。
【0042】
【表6】
Figure 0004699631

Claims (14)

  1. 尿試料を、トリプシン、トリプシンによって開裂すると検出可能な応答を発するトリプシンの基質及び尿中に存在するカルシウムからのアッセイに対する干渉を阻害するのに十分な量のポリカルボン酸キレート化剤を含む緩衝アッセイ媒体と接触させ、トリプシンインヒビタの濃度を該基質の開裂からの検出可能な応答と相関させる工程を含む、尿中のトリプシンインヒビタのアッセイ。
  2. 該アッセイ試薬が溶液状態にある、請求項1記載のアッセイ。
  3. 該溶液を形成するために使用される溶媒が、水性又は極性非プロトン性溶媒である、請求項2記載のアッセイ。
  4. 該溶媒が、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、アセトン、ジメチルホルムアミド又はメチルエチルケトンである、請求項3記載のアッセイ。
  5. 該アッセイ試薬が乾相にある、請求項1記載のアッセイ。
  6. 尿試料が貫流することができる材料の乾式試験具を緩衝アッセイ媒体に浸漬することによって、アッセイ試薬を乾式試験具に浸漬させたのち、溶媒を乾燥させる、請求項5記載のアッセイ。
  7. 該キレート化剤が、エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′−四酢酸(EGTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレントリアミン六酢酸(TTHA)、2,3−プロピレンジアミノ四酢酸(UEDTA)及び1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸である、請求項1記載のアッセイ。
  8. 該トリプシンが10〜750IU/mlの量で存在し、該キレート化剤が0.2〜50mMの量で存在し、該トリプシン基質が0.2〜50mMの濃度で存在し、pHが6.0〜8.0のレベルに緩衝されている、請求項1記載のアッセイ。
  9. 該トリプシン濃度が100〜500IU/mlであり、該キレート化剤が10〜25mMの濃度で存在し、pHが7.0〜8.0のレベルにある、請求項8記載のアッセイ。
  10. トリプシンの該基質が、7−アミノ−4−メチルクマリン、2−アミノナフタレン、4−メトキシ−2−アミノナフタレン、3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−アニリン、2−クロロ−4−ニトロ−アニリン、3−アミノインドール、2−アミノアクリドン、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノピリミジン、ローダミン110及び6−アミノキノリンのアルギニン又はリシン誘導体からなる群より選択される、請求項1記載のアッセイ。
  11. 尿中のトリプシンインヒビタを測定するための試験具の製造方法であって、吸収性材料のパッドを、トリプシン及びポリカルボン酸キレート化剤の水溶液と接触させたのち、試験片を乾燥させ、それをトリプシンの基質の溶媒溶液と接触させ、続いて乾燥させる工程を含む方法。
  12. 請求項11の溶媒溶液が、非イオン性ポリオキシアルキル界面活性剤を含む、請求項11記載の方法。
  13. 該界面活性剤がエチレングリコール単位を含む、請求項12記載の方法。
  14. 該トリプシン基質が3−(Nα−トシル−NG−ニトロ−L−アルギニルオキシ)−5−フェニルピロールである、請求項11記載の方法。
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