JP4695257B2 - 緩衝器用油圧作動油組成物 - Google Patents

緩衝器用油圧作動油組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は緩衝器用油圧作動油組成物に関し、詳しくは特に自動車の懸架装置(ショックアブソーバー、アクティブサスペンション、ステーダンパー、エンジンダンパー等)に適する緩衝器用油圧作動油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より自動車の懸架装置(ショックアブソーバー、アクティブサスペンション、ステーダンパー、エンジンダンパー等)に使用される緩衝器用油圧作動油としては、摩擦低減と摩耗防止を目的としてリン酸エステル及び/又は亜リン酸エステルを添加したものが知られている。またさらに摩擦低減効果を高めるために脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物等の油性剤を併用したものが使用されてきた(特開平6−128581号公報、特開平7−224293号公報、特開平7−258673号公報等)。緩衝器の摩擦、摩耗は主としてピストンロッド/シール、ピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダーで起こる。従って自動車の振動を緩和して乗り心地や操縦安定性を確保するため、緩衝器に使用される油圧作動油には優れた摩擦低減効果と摩耗防止効果、及びこれらの特性の維持性が要求される。
【0003】
近年、摩擦低減を材料面から図る目的でテフロン樹脂を含浸させたブッシュやテフロン樹脂にカーボンファイバーやグラファイトを埋め込んだモールドピストン(ピストンバンド)が使用されるようになり、これらの摩耗防止が重要な課題となってきた。また摩擦面にかかる荷重が高いガス封入型や減衰力可変型の緩衝器の使用が増加してきたため、緩衝器用油圧作動油の使用条件は過酷になってきた。
そのため本発明者らは亜リン酸エステル及び特定構造を有する脂肪族アミン及び/又はそのアルキレンオキシド付加物を併用することにより、貯蔵安定性が良好で、優れた性能を有する緩衝器用油圧作動油組成物が得られることを見いだし、先に特許出願した(特開平6−128581号公報、特開平7−224293号公報、特開平7−258673号公報、特願平11−357300号、特願平11−357301号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年自動車の振動を緩和して乗り心地や操縦安定性を改善する研究が進められた結果、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高めることにより、小さな揺れを抑制することができ、さらなる乗り心地や操縦安定性の向上が図れることがわかってきた。同時に、ピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダー間の摩擦力は従来通り低いほうが好ましいことも確認されてきた。したがって、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、同時にピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダーの摩擦力を低減させる機能を持つ新しい緩衝器用油圧作動油が必要となってきた。しかしながら上述の特許出願に示された緩衝器用油圧作動油組成物ではこれらの要求を同時に満足させることはできず、上記のような機能を有する新規な緩衝器用油圧作動油組成物の開発が必要となってきた。すなわち、本発明の課題は、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、ピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダー間の摩擦力を低減し、かつ摩耗防止性に優れる機能をもつ緩衝器用油圧作動油組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の窒素含有化合物及び特定のリン含有化合物を含有させた組成物が、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、ピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダー間の摩擦力を低減し、かつ摩耗防止性に優れる緩衝器用油圧作動油組成物を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、潤滑油基油に、
[1](A)下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミン
【化6】
Figure 0004695257
(上記(1)式中、R、R及びRは、それぞれ個別に炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
及び(B)炭素数8〜30の炭化水素基を有するコハク酸イミド
からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物と、
[2](C)下記一般式(4)で表されるリン酸エステル(リン酸トリエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性リン酸モノエステル)、下記一般式(5)で表される亜リン酸エステル(亜リン酸トリエステル、酸性亜リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物から選ばれる炭素数3〜10の分岐炭化水素基を有するリン含有化合物
【化7】
Figure 0004695257
【化8】
Figure 0004695257
(上記(4)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10の分岐状炭化水素基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基である。また上記(5)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10の分岐状炭化水素基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基である。)
及び(D)下記一般式(4)で表されるリン酸エステル(リン酸トリエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性リン酸モノエステル)、下記一般式(5)で表される亜リン酸エステル(亜リン酸トリエステル、酸性亜リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物から選ばれる炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を有するリン含有化合物
【化9】
Figure 0004695257
【化10】
Figure 0004695257
(上記(4)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが(アルキル)アリール基である。また上記(5)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが(アルキル)アリール基である。)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン含有化合物
を含有してなることを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物である。
また、前記(B)成分のコハク酸イミドがホウ酸若しくはその誘導体、リン酸若しくはその誘導体、カルボン酸若しくはその誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類による変性化合物であることが好ましい。
また、前記(C)成分及び/又は(D)成分のリン含有化合物がリン酸トリエステル又は酸性亜リン酸ジエステルであることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる潤滑油基油としては、特に限定されるものではなく、通常潤滑油基油として使用されているものであれば鉱油系、合成系を問わず使用できる。
鉱油系潤滑油基油としては、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油が使用できる。
また、合成系潤滑油基油としては、例えば、α−オレフィンオリゴマー(例えば、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレン共重合体等)又はその水素化物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル等が使用できる。これらの基油は単独でも2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0008】
本発明において使用する潤滑油基油の粘度は特に限定されず任意であるが、一般の緩衝器に要求される減衰力に適合させる必要性から、40℃における動粘度の下限値は、好ましくは8mm2/s、より好ましくは10mm2/sであり、一方、40℃における動粘度の上限値は、好ましくは60mm2/s、より好ましくは40mm2/sのものを用いるのが望ましい。
本発明において使用する潤滑油基油の粘度指数も特に限定されず任意であるが、緩衝器に要求される基本的性能である減衰作用が油圧作動油の粘度に依存し、温度による減衰力の変化をできるだけ小さくするという点から、粘度指数は、好ましくは80以上、より好ましくは95以上のものを用いるのが望ましい。
【0009】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における[1]成分のうち、(A)成分は、下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミンである。
【化11】
Figure 0004695257
上記(1)式中、R、R及びRは、それぞれ個別に直鎖状又は分岐状の、炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示す。
、R及びRは、具体的にはそれぞれ個別に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分岐状でも良い);エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分岐状でも良い)等が例示できる。
また、R、R及びRは基油に対する溶解性や安定性の点から、炭素数が好ましくは5〜18、特に好ましくは炭素数8〜12であることが望ましい。
【0010】
(A)成分として特に好ましいものは、具体的には例えば、トリ(n−オクチル)メチルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)メチルアミン、トリ(n−ノニル)メチルアミン、トリ(n−デシル)メチルアミン、トリ(n−ウンデシル)メチルアミン、トリ(n−ドデシル)メチルアミン(トリラウリルメチルアミン)、ジ(2−エチルヘキシル)n−デシルメチルアミン等のメチルアミン誘導体が例示でき、これらの混合物も使用可能である。
【0011】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における[1]成分のうち、(B)成分は、炭素数8〜30の炭化水素基を有するコハク酸イミドであり、具体的には、下記の一般式(2)又は(3)で表されるコハク酸イミド、これらをホウ酸若しくはその誘導体、リン酸若しくはその誘導体、カルボン酸若しくはその誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類で変性した化合物、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
【化12】
Figure 0004695257
【0013】
【化13】
Figure 0004695257
【0014】
上記一般式(2)又は(3)において、R4及びR5は互いに同一でも異なるものでもよく、各々炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜25の直鎖状又は分岐状炭化水素基である。このような炭化水素基としては、例えば、オクチル基、オクテニル基、ノニル基、ノネニル基、デシル基、デセニル基、ドデシル基、ドデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基の他、炭素数30までのアルキル基又はアルケニル基を例示することができ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。炭化水素基の炭素数が8に満たない場合は溶解性に問題があり、30を越える場合には、ピストンロッド/シール間の摩擦力向上に効果が低いため、それぞれ好ましくない。また、これらの炭化水素基としては炭素数8〜30の分岐状炭化水素がより好ましく、炭素数10〜25の分岐状炭化水素基であることが特に好ましい。炭素数8〜30の分岐状炭化水素基を使用した場合、直鎖状炭化水素基を使用した場合に比べ、ピストンロッド/オイルシール間の摩擦力がより高い緩衝器用油圧作動油組成物を得ることができる。
【0015】
また、前記一般式(2)又は(3)において、R6及びR7は互いに同一でも異なるものでもよく、各々炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基等が好ましい例として挙げられる。
また、前記一般式(2)又は(3)において、R8は水素原子又は炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状炭化水素基であり、好ましくは炭素数8〜30の分岐状炭化水素基であり、炭素数10〜25の分岐状炭化水素基であることが望ましい。
また、前記一般式(2)又は(3)において、nは1〜7の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは1である。nを1〜3の整数とすることで、ピストンロッド/オイルシール間の摩擦力がより高い緩衝器用油圧作動油組成物を得ることができ、特にnを1とすることで、より一層高い摩擦力を示す緩衝器用油圧作動油組成物を得ることができる。
【0016】
なお、一般式(2)又は(3)で表されるコハク酸イミドは、どのような方法で製造しても良く、例えば、アルキル又はアルケニル無水コハク酸とポリアミンとを反応させて得ることができる。具体的には例えば、一般式(2)で表されるビスコハク酸イミドは、炭素素8〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基もしくはアルケニル基を持つコハク酸無水物1molに対し、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンのようなポリアミン0.5molを窒素雰囲気下、130〜180℃、好ましくは140〜175℃で徐々に滴下し、1〜10時間、好ましくは2〜6時間反応させ、生成する水分を除去して得ることができる。また、一般式(3)で表され、式中R8が水素原子であるモノコハク酸イミドは、例えば、該ポリアミン1mol以上に対し、該コハク酸無水物1molを滴下させ前記と同様な反応条件にて生成され、未反応のポリアミンを蒸留し除去する事により得る事ができ、一般式(3)の式中R8が炭素数1〜30の炭化水素基であるモノコハク酸イミドは、例えば、N−オクタデシル−1,3−プロパンジアミンと該コハク酸無水物とを前記と同様の方法で反応させることにより得ることができる。
【0017】
本発明の一般式(2)又は(3)で表されるコハク酸イミドを変成する際に用いられるホウ酸又はその誘導体としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル類等が挙げられる。ホウ酸としては、具体的には例えばオルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸等が挙げられる。ホウ酸塩としては、ホウ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、例えばメタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム、過ホウ酸リチウム等のホウ酸リチウム;メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等のホウ酸ナトリウム;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等のホウ酸カリウム;メタホウ酸カルシウム、二ホウ酸カルシウム、四ホウ酸三カルシウム、四ホウ酸五カルシウム、六ホウ酸カルシウム等のホウ酸カルシウム;メタホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム、六ホウ酸マグネシウム等のホウ酸マグネシウム;及びメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウム等が挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル等が挙げられ、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が挙げられる。
【0018】
リン酸又はその誘導体としては、具体的には、オルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸、ポリリン酸等又はこれらエステル化合物等が挙げられる。
カルボン酸又はその誘導体としては、ぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物又はエステル化合物等が挙げられ、炭素数8〜20のカルボン酸又はその誘導体であることが好ましく、ステアリン酸、オレイン酸等が好ましい例として挙げられる。
硫黄化合物としては、ジアルキルジチオリン酸、ジアルケニルジチオリン酸、ジアルカリールジチオリン酸、ジアリールジチオリン酸、スルホン酸等が挙げられる。
トリアゾール類としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、テトラトリアゾール等が挙げられる。
【0019】
本発明の[1]成分のうち、(B)成分のコハク酸イミドの変性化合物の製造方法としては、一般式(2)又は(3)で表される化合物と前記のホウ酸、リン酸、カルボン酸若しくはこれらの誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類との反応量比率を任意に調整することにより、分子中のアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
具体的な製造方法としては、例えば、一般式(2)又は(3)で表される化合物1molに対し、ホウ酸、リン酸、カルボン酸若しくはこれらの誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類を0.4n mol以上(ここでnは一般式(2)又は(3)におけるnを示す。)、好ましくは0.6n mol以上、特に好ましくは0.9n mol以上の割合で窒素雰囲気下にて加熱しながら反応させることにより得られる。一般式(2)又は(3)で表される化合物1molに対する、ホウ酸、リン酸、カルボン酸若しくはこれらの誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類の反応割合が0.4n mol以上とすることにより、ピストンロッド/オイルシール間の摩擦力をより一層高くすることができる。
【0020】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における[1]成分の含有量は任意であるが、組成物全量基準で、その含有量の下限値は、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.03質量%であり、一方、その含有量の上限値は、好ましくは2.0質量%、より好ましくは1.0質量%であるのが望ましい。[1]成分の含有量が上記下限値未満の場合は、ピストンロッド/オイルシール間の摩擦力向上効果に乏しく、一方、[1]成分の含有量が上記上限値を超える場合は、摩耗防止効果に乏しいため、それぞれ好ましくない。
【0021】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における[2]成分は、(C)炭素数3〜10の分岐炭化水素基を有するリン酸エステル類及び(D)炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を有するリン酸エステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン含有化合物である。ここでリン酸エステル類としては、一般式(4)で表されるリン酸エステル(リン酸トリエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性リン酸モノエステル)、一般式(5)で表される亜リン酸エステル(亜リン酸トリエステル、酸性亜リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル)、これらリン酸エステル類の塩、及びこれらの混合物等を示す。
【0022】
【化14】
Figure 0004695257
【0023】
【化15】
Figure 0004695257
【0024】
上記(4)式中、R4、R5及びR6はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10、好ましくは炭素数4〜8の分岐状炭化水素基又は炭素数6〜18の(アルキル)アリール基であり、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基又は(アルキル)アリール基である。
また上記(5)式中、R7、R8及びR9はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10、好ましくは炭素数4〜8の分岐状炭化水素基又は炭素数6〜18の(アルキル)アリール基であり、R7、R8及びR9のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基又は(アルキル)アリール基である。
なお、上記(5)式において、例えば、R9が水素原子である酸性亜リン酸ジエステルやR8及びR9が水素原子である酸性亜リン酸モノエステルである場合、それぞれ、互変異性体である下記一般式(6)、(7)の形で表されることもあるが、これらは同じ化合物を示すものである。
【0025】
【化16】
Figure 0004695257
【0026】
【化17】
Figure 0004695257
【0027】
上記のような炭素数3〜10の分岐状炭化水素基としては、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の分岐状アルキル基;ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の分岐状アルケニル基(これらアルケニル基の二重結合の位置は任意である)が例示できる。
また、上記炭素数6〜18の(アルキル)アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18、好ましくは炭素数6〜14のアリール基;トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18、好ましくは炭素数7〜16のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)等が例示できる。
【0028】
また、上述したリン酸エステル類の塩としては、具体的には、酸性リン酸モノエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル、酸性亜リン酸ジエステル等に、アンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合物等の含窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一部又は全部を中和した塩等が例示できる。
この含窒素化合物としては、具体的には、アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン等のアルキルアミン(アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい);モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサノールアミン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノールアミン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミン、メタノールエタノールアミン、ジエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノールアミン、ジオクタノールアミン等のアルカノールアミン(アルカノール基は直鎖状でも分岐状でもよい);及びこれらの混合物等が例示できる。
【0029】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における[2]成分のうち、(C)成分としては、上記(4)式においてR4、R5及びR6のうち、すべてが上述のような炭素数3〜10、好ましくは炭素数4〜8の分岐状炭化水素基であるリン酸トリエステル、R4、R5及びR6のうち、1つ又は2つが分岐状炭化水素基である酸性リン酸エステル(酸性リン酸モノエステル、酸性リン酸ジエステル)、これらの塩、上記(5)式においてR7、R8及びR9のうち、すべてが分岐状炭化水素基である亜リン酸トリエステル、R7、R8及びR9のうち、1つ又は2つが分岐状炭化水素基である酸性亜リン酸エステル(酸性亜リン酸モノエステル、酸性亜リン酸ジエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物である。
【0030】
(C)成分として、好ましいリン酸エステルとしては、具体的には、例えば、イソブチルアシッドホスフェート、イソペンチルアシッドホスフェート、メチルペンチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジイソブチルアシッドホスフェート、ジイソペンチルアシッドホスフェート、ジ(メチルペンチル)アシッドホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)アシッドホスフェート、トリイソブチルホスフェート、トリイソペンチルホスフェート、トリ(メチルペンチル)ホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、イソブテニルアシッドホスフェート、ジイソブテニルアシッドホスフェート、2−エチルヘキセニルアシッドホスフェート、ジ(2−エチルヘキセニル)アシッドホスフェート、トリイソブテニルホスフェート、トリ(2−エチルヘキセニル)ホスフェート等の炭素数4〜8の、分岐状アルキル及び/又は分岐状アルケニル基を有するリン酸エステル及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、リン酸トリエステルが特に好ましい。
【0031】
また、(C)成分として好ましい亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えば、イソブチルハイドロジェンホスファイト、イソペンチルハイドロジェンホスファイト、メチルペンチルハイドロジェンホスファイト、2−エチルヘキシルハイドロジェンホスファイト、ジイソブチルハイドロジェンホスファイト、ジイソペンチルハイドロジェンホスファイト、ジ(メチルペンチル)ハイドロジェンホスファイト、ジ(2−エチルヘキシル)ハイドロジェンホスファイト、トリイソブチルホスファイト、トリイソペンチルホスファイト、トリ(メチルペンチル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、イソブテニルハイドロジェンホスファイト、ジイソブテニルハイドロジェンホスファイト、2−エチルヘキセニルハイドロジェンホスファイト、ジ(2−エチルヘキセニル)ハイドロジェンホスファイト、トリイソブテニルホスファイト、トリイソペンテニルホスファイト、トリ(メチルペンテニル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキセニル)ホスファイト等の炭素数4〜8の、分岐状アルキル及び/又は分岐状アルケニル基を有する亜リン酸エステル及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、酸性亜リン酸ジエステルが特に好ましい。
【0032】
本発明の[2]成分のうち、(D)成分としては、上記(4)式においてR4、R5及びR6のうち、すべてが上述のような炭素数6〜18の(アルキル)アリール基であるリン酸トリエステル、R4、R5及びR6のうち、1つ又は2つが(アルキル)アリール基である酸性リン酸エステル(酸性リン酸モノエステル、酸性リン酸ジエステル)、これらの塩、上記(5)式においてR7、R8及びR9のうち、すべてが(アルキル)アリール基である亜リン酸トリエステル、R7、R8及びR9のうち、1つ又は2つが(アルキル)アリール基である酸性亜リン酸エステル(酸性亜リン酸モノエステル又は酸性亜リン酸ジエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物である。
【0033】
(D)成分として好ましいリン酸エステルとしては、具体的には、例えば、フェニルアシッドホスフェート、ナフチルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ジナフチルアシッドホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリナフチルホスフェート等の炭素数6〜10のアリール基を有する酸性リン酸エステル;トリルアシッドホスフェート、エチルフェニルアシッドホスフェート、プロピルフェニルアシッドホスフェート、ブチルフェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、ジトリルアシッドホスフェート、ジ(エチルフェニル)アシッドホスフェート、ジ(プロピルフェニル)アシッドホスフェート、ジ(ブチルフェニル)アシッドホスフェート、ジ(ノニルフェニル)アシッドホスフェート、トリトリルホスフェート(トリクレジルホスフェート)、トリ(エチルフェニルホスフェート)、トリ(プロピルフェニル)ホスフェート、トリ(ブチルフェニル)ホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート等の炭素数7〜16のアルキルアリール基を有するリン酸エステル等;及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、リン酸トリエステルが特に好ましい。
【0034】
また、(D)成分として好ましい亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えば、フェニルハイドロジェンホスファイト、ナフチルハイドロジェンホスファイト、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、ジナフチルハイドロジェンホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等の炭素数6〜10のアリール基を有する亜リン酸エステル等;トリルハイドロジェンホスファイト、エチルフェニルハイドロジェンホスファイト、プロピルフェニルハイドロジェンホスファイト、ブチルフェニルハイドロジェンホスファイト、ノニルフェニルハイドロジェンホスファイト、ジトリルハイドロジェンホスファイト、ジ(エチルフェニル)ハイドロジェンホスファイト、ジ(プロピルフェニル)ハイドロジェンホスファイト、ジ(ブチルフェニル)ハイドロジェンホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ハイドロジェンホスファイト、トリトリルホスファイト(トリクレジルホスファイト)、トリ(エチルフェニル)ホスファイト、トリ(プロピルフェニル)ホスファイト、トリ(ブチルフェニル)ホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト等の炭素数7〜16のアルキルアリール基を有する亜リン酸エステル等;及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明においては、これらのうち、酸性亜リン酸ジエステルが特に好ましい。
【0035】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物において、[2]成分の含有量は特に限定されず任意であるが、ピストンロッド/シール間の摩擦係数を高め、各部の摩耗防止を図るためには、その含有量の下限値は、組成物全量基準で、好ましくは0.1質量%、より好ましくは0.3質量%であり、一方、シール、ブッシュ、ピストンバンドとの適合性を考慮するとその含有量の上限は、好ましくは5.0質量%、より好ましくは2.0質量%であるのが望ましい。[2]成分の含有量が上記下限値未満の場合は、ピストンロッド/オイルシール間の摩擦力向上効果や摩耗防止効果に乏しく、一方、[2]成分の含有量が上記上限値を超える場合は、逆に摩耗防止効果に劣ることがあるため、それぞれ好ましくない。
【0036】
本発明においては上述のように潤滑油基油に対して[1]及び[2]成分を含有させることにより優れた性能を有する緩衝器用油圧作動油組成物を得ることができるが、その各種性能をさらに高める目的で公知の潤滑油添加剤、具体的には例えば、[1]成分以外の摩擦調整剤、[2]成分以外の摩耗防止剤、無灰清浄分散剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、錆止め剤、金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等を、単独で、または数種類組み合わせた形で使用することができる。
【0037】
[1]成分以外の摩擦調整剤としては、炭素数6〜30の直鎖状若しくは分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族モノアミン、直鎖状若しくは分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族ポリアミン、又はこれら脂肪族アミンのアルキレンオキシド付加物等のアミン化合物;炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステル等の脂肪酸エステル;炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族モノアミン又は脂肪族ポリアミンとのアミド等の脂肪酸アミド;炭素数7〜31の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸の、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)や亜鉛塩等の脂肪酸金属塩等及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
[2]成分以外の摩耗防止剤としては、ジチオリン酸亜鉛、硫化油脂、サルファイド;炭素数3〜10の直鎖状炭化水素基を有するリン酸エステル類、炭素数10〜30の直鎖状又は分岐状炭化水素基を有するリン酸エステル類、及びこれらのアミン塩等を挙げることができる。
無灰清浄分散剤としては炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドのホウ酸、リン酸、有機酸等による変性品、コハク酸エステル、ベンジルアミン等を挙げることができる。
金属系清浄剤としては、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネート等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤のほか、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛系、フェノチアジン系等の酸化防止剤を挙げることができる。
【0039】
錆止め剤としては、石油系及びジノニルナフタレン系スルフォネート、エステル系錆止め剤等を挙げることができる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物等を挙げることができる。
粘度指数向上剤、流動点降下剤としては、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、オレフィンコポリマー等を挙げることができる。
消泡剤としては、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等を挙げることができる。
これらの添加剤の含有量は特に限定されず任意であるが、通常、組成物全量基準で、消泡剤の含有量は0.0005〜0.1質量%、粘度指数向上剤の含有量は1〜30質量%、金属不活性化剤の含有量は0.005〜1質量%、その他の添加剤の含有量は0.1〜15質量%である。
【0040】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、特に自動車の懸架装置(ショックアブソーバー、アクティブサスペンション、ステーダンパー、エンジンダンパー等)に好適に使用されるものである。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの内容に何ら限定されるものではない。
【0042】
(実施例1〜11、比較例1〜8)
表1に示す実施例1〜11の組成により、本発明に係わる緩衝器用油圧作動油組成物を調製した。これらの組成物に対して以下に示すバウデン摩擦試験、SRV摩擦試験及び実機耐久試験を実施し、各部における摩擦向上効果、摩擦低減効果、摩擦維持効果及び摩耗防止効果の評価結果を表1に示した。
比較のため、表2に示す組成に従い、組成物(比較例1〜8)を調製し、これらの組成物についても同様の試験を行い、その評価結果を表2に示した。
【0043】
<バウデン摩擦試験>
シール材として使用しているニトリルゴムと鉄との摩擦力を調べるため、バウデン摩擦試験機を用い、ニトリルゴムを円筒治具に入れ、1/2インチ鋼球を圧入することにより半球状にしたゴム試験片と鋼板との間の摩擦係数を以下の試験条件で測定した。
試験油温:60℃
潤滑方法:油塗布
荷重:9.8N
滑り速度:2mm/s
ストローク:10mm
【0044】
<SRV摩擦試験>
ショックアブソーバーに使用しているブッシュ材及びモールドピストン材と鉄との摩擦力を調べるため、SRV摩擦試験機を用い、10mm鋼球とブッシュ材、モールドピストン材との間の摩擦係数を以下の試験条件で測定した。
試験油温:60℃
潤滑方法:油塗布
荷重:40N
ストローク:0.5mm
周波数:40Hz
【0045】
<実機耐久試験>
市販のストラット型ショックアブソーバーを用い、以下の試験条件で加振回数200万回の耐久試験を行った。
試験油温:80℃
試験油量:330ml
横荷重:200kgf
加振全振幅:50mm
加振速度:0.5m/s
【0046】
摩擦係数の測定
上記の実機耐久試験において、加振回数0回時(耐久試験初期)と加振回数200万回時(耐久試験終了時)におけるそれぞれのショックアブソーバーの摩擦面における摩擦係数を測定した。
摩耗防止効果
上記の実機耐久試験において、耐久試験終了後にショックアブソーバーを分解し、その摩擦面(シリンダー、ピストンロッド、ブッシュ、ピストンバンド、オイルシール)の表面を目視で評価した。なお摩耗防止効果の判定基準は0〜5(最良:5)の6段階で表した。
【0047】
【表1】
Figure 0004695257
【表2】
Figure 0004695257
【0048】
表1の結果から明らかなように、本発明に係わる緩衝器用油圧作動油組成物(実施例1〜11)はシール材(ニトリルゴム)を使用したバウデン摩擦試験における摩擦係数が高いこと及び、ブッシュ材やモールドピストン材を使用したSRV摩擦試験における摩擦係数が低いという従来にない機能を持つ緩衝器用油圧作動油組成物であり、自動車の振動を緩和し、乗り心地や操縦安定性に優れると言える。また、実機試験においても、耐久初期における摩擦係数が高く良好であるとともに、その経時変化が少ないという優れた性能を有しており、さらに耐久終了後の摩擦面は摩耗が少なく、摩耗防止効果の面でも優れた緩衝器用油圧作動油組成物であることがわかる。
【0049】
一方、表2の結果から明らかなように、従来の摩擦低減を目的とした緩衝器用油圧作動油(比較例1)ではバウデン摩擦試験における摩擦係数が低く、また、実機試験においても耐久初期における摩擦係数が低いため好ましくない。
また、分子量の大きい炭化水素基を有するコハク酸イミドを使用した場合(比較例2)は従来の緩衝器用油圧作動油(比較例1)に比べてバウデン摩擦試験における摩擦係数は高くなるが十分とはいえない。
本発明に係わる緩衝器用油圧作動油組成物から[1]成分を除いた場合(比較例3)はバウデン摩擦試験の摩擦係数は高いものの、SRV摩擦試験の摩擦係数が高くなってしまい好ましくない。
本発明に係わる緩衝器用油圧作動油組成物の[2]成分以外のリン酸エステル類を使用した場合(比較例4〜7:直鎖状炭化水素基を有する酸性亜リン酸エステル)は比較例1と同様バウデン摩擦試験における摩擦係数が低く、実機耐久試験における摩耗防止効果もしくは摩擦係数の安定性も劣るため好ましくない。
また、[1]成分以外のアミンを使用した場合(比較例8)もバウデン摩擦試験における摩擦係数が低く、実機耐久試験における摩擦係数の安定性も劣るため好ましくない。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の緩衝器用油圧作動油組成物はピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、ピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダー間の摩擦力を低減するという優れた性能を有し、実機試験においても摩擦係数の経時変化が少なく、摩耗防止性に優れるものであり、特に自動車の懸架装置(ショックアブソーバー、アクティブサスペンション、ステーダンパー、エンジンダンパー等)に好適に使用されるものであるが、その他摩擦調整機能、摩耗防止機能が要求される潤滑油、例えば、緩衝器用以外の油圧作動油、自動変速機油、内燃機関用潤滑油としても好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 潤滑油基油に、
    [1](A)下記一般式(1)で表される脂肪族第一級アミン
    Figure 0004695257
    (上記(1)式中、R、R及びRは、それぞれ個別に炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
    及び(B)炭素数8〜30の炭化水素基を有するコハク酸イミド
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の窒素含有化合物と、
    [2](C)下記一般式(4)で表されるリン酸エステル(リン酸トリエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性リン酸モノエステル)、下記一般式(5)で表される亜リン酸エステル(亜リン酸トリエステル、酸性亜リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物から選ばれる炭素数3〜10の分岐炭化水素基を有するリン含有化合物
    Figure 0004695257
    Figure 0004695257
    (上記(4)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10の分岐状炭化水素基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基である。また上記(5)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数3〜10の分岐状炭化水素基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが分岐状炭化水素基である。)
    及び(D)下記一般式(4)で表されるリン酸エステル(リン酸トリエステル、酸性リン酸ジエステル、酸性リン酸モノエステル)、下記一般式(5)で表される亜リン酸エステル(亜リン酸トリエステル、酸性亜リン酸ジエステル、酸性亜リン酸モノエステル)、これらの塩、及びこれらの混合物から選ばれる炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を有するリン含有化合物
    Figure 0004695257
    Figure 0004695257
    (上記(4)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが(アルキル)アリール基である。また上記(5)式中、R 、R 及びR はそれぞれ個別に水素原子若しくは炭素数6〜18の(アルキル)アリール基を示し、R 、R 及びR のうち少なくとも1つが(アルキル)アリール基である。)
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン含有化合物
    を含有してなることを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物。
  2. 前記(B)成分のコハク酸イミドが、ホウ酸若しくはその誘導体、リン酸若しくはその誘導体、カルボン酸若しくはその誘導体、硫黄化合物、又はトリアゾール類による変性化合物であることを特徴とする請求項1記載の緩衝器用油圧作動油組成物。
  3. 前記(C)成分及び/又は(D)成分のリン含有化合物がリン酸トリエステル又は酸性亜リン酸ジエステルであることを特徴とする請求項1記載の緩衝器用油圧作動油組成物。
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