JP5317776B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は潤滑油組成物に関し、特に工作機械用として、好適には工作機械のすべり案内面に用いられる潤滑油組成物に関する。
工作機械の加工テーブルなどのすべり案内面用の潤滑油には、加工精度を向上させるために低摩擦性能やスティックスリップの防止、貯蔵安定性、耐腐食性等が要求されている。
摩擦低減剤として、これまでさまざまな極圧剤や油性剤が用いられてきた。昨今の工作機械においては特に工作精度に対する要求が高まっており、工作精度に重要な影響を与える低速領域における摩擦低減を実現するために、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、カルボン酸、イオウ化合物、アミン類等が用いられている(例えば、特許文献1〜5を参照)。また、酸性リン酸エステルをアルキルアミンで中和することにより安定性を向上させることが試みられていた(例えば、特許文献6を参照)。
また、油性剤の1つとして、モノアミン、ポリアミンおよびアルカノールアミンなどのアミン類を配合してもよいことが多くの特許文献(例えば、特許文献6〜8)に記載され、モノアミンやポリアミンについてはそれらアミン単体の配合が記載され、アルカノールアミンについては酸性リン酸エステルとのアミン塩やカルボン酸とのアミドなど、塩を形成する化合物として用いる方法が記載されている(例えば、特許文献8〜11)。そして、モノアミン、ポリアミンおよびアルカノールアミンなどのアミンは単体として配合しないほうが好ましいとの記載もある(例えば、特許文献12)。しかし、上記のいずれの特許文献においても、油性剤の1つとしてアルカノールアミンが記載されているものの、単体で配合する場合の具体的な化合物の記載はなく、実施例においても具体的に例示したものはない。
このように様々な潤滑性向上剤が検討されているが、長期に亘っての摩擦性能の維持や耐ステイン性など、近年の高度な要求性能を総合的に十分に満足するすべり案内面用潤滑油組成物が無いのが現状である。
特開平8−134488号公報 特開平8−183979号公報 特開2001−104973号公報 特開2003−171684号公報 特開2003−430949号公報 特開2007−238764号公報 特開2007−238765号公報 特開2008−013688号公報 特開2005−290234号公報 特開2005−290335号公報 特開2008−115301号公報 特開2005−187646号公報
しかしながら、これらの従来技術においては、添加剤の環境に対する負荷は高く、かつこのような添加剤では初期の摩擦性能および工作機械の位置決め性能は優れるものの、すべり案内面用潤滑油に水溶性切削液が混入した場合、当初の低摩擦性能を著しく阻害し、またリン酸などの酸性成分が鉄を使用する摺動面に腐食を発生させるなど、工作機械における加工精度を悪化させる原因となり、装置の使用が進むにつれて位置決め精度が悪化する傾向にあった。また、これらの活性が高い添加剤を用いた場合、工作機械の運転休止中に機械の摺動面にステインが発生することが問題とされていた。
これまで酸性リン酸エステルをアルキルアミンで中和することにより安定性を向上させることが試みられていたが、従来の添加剤の組み合わせにおいては長期にわたって低摩擦を維持し続けることは困難であった。そのため長期間に亘って優れた摩擦性能を維持し続け、ステインの発生を抑えることの出来る油剤が必要とされていた。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低摩擦性、位置きめ性、熱安定性、低温貯蔵安定性に優れ、かつ切削液が混入した場合においても当初の低摩擦性を著しく悪化させない潤滑油組成物を提供することにあり、さらには耐腐食性能にも優れた潤滑油組成物をも提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、潤滑油基油に、特定のリン酸エステル化合物、特定のモノアミン化合物、さらに特定のアルカノールアミン化合物
を含有する潤滑油組成物により上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[I]潤滑油基油に、
(A)酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、リン酸エステルおよび亜リン酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を組成物全量基準で0.01〜2質量%、
(B)炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族モノアミンを組成物全量基準で0.005〜5質量%、および
(C)下記一般式(1)で表されるアルカノールモノアミンを組成物全量基準で0.005〜0.3質量%、
を含有し、工作機械のすべり案内面に用いられることを特徴とする潤滑油組成物。
Figure 0005317776
(式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ個別に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基、または炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基のいずれかであり、A、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基であり、またA、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜18アルキル基若しくはアルケニル基である。)
[II]前記の(A)リン化合物が、炭素数2〜30のアルキル基又はアルケニル基を含有する化合物であることを特徴とする前記[I]に記載の潤滑油組成物。
[III]前記(B)脂肪族モノアミンのアルキル基又はアルケニル基が分岐鎖型アルキル基及び/又は分岐鎖型アルケニル基であることを特徴とする前記[I]に記載の潤滑油組成物。
[IV]前記の(C)アルカノールモノアミンが、炭素数3〜18のアルキル基若しくはアルケニル基または炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基1個と炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基2個を有するモノアルキルジアルカノールアミンであることを特徴とする前記[I]に記載の潤滑油組成物。
[V]前記の(A)リン化合物を組成物全量基準で0.03〜1質量%、前記の(B)脂肪族モノアミンを組成物全量基準で0.01〜3質量%、および前記の(C)アルカノールモノアミンを組成物全量基準で0.008〜0.1質量%含有することを特徴とする前記[I]〜[IV]のいずれかに記載の潤滑油組成物。
本発明の潤滑油組成物は、低摩擦性、長期使用時における低摩擦性の維持、鋳鉄に対する貼り付き性、耐ステイン性に優れる。したがって、本発明の潤滑油組成物は、工作機械の動作の安定化、長寿命化などの点で非常に有用である。
実施例で用いた摩擦係数測定システムを示す概略構成図である。
以下、本発明について説明する。
本発明で用いられる潤滑油基油としては特に制限はないが、鉱油、油脂および合成油を挙げることができる。
鉱油系基油としては、その製法に特に制限はなく、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製手段を1種もしくは2種以上適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナフテン系の鉱油を挙げることができる。
油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、あるいはこれらの水素添加物などが挙げられる。また、遺伝子組み換え技術を利用してオレイン酸含有量を高くした前記油脂も好適に使用できる。
合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、これらの水素化物など)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレートなど)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケートなど)、ポリエステル(トリメリット酸エステルなど)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネートなど)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、リン酸エステル(トリクレジルホスフェートなど)、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィンなど)、シリコーン油などが例示できる。
潤滑油基油としては、鉱油、油脂および合成油の中から選ばれた1種を単独で又は2種以上組み合わせて配合して使用することができる。
本発明で用いられる潤滑油基油の粘度については特に制限はないが、40℃における動粘度が10〜700mm/sの範囲にあるものが好ましく、15〜500mm/sの範囲にあるものがより好ましい。また、本発明の潤滑油組成物における潤滑油基油の含有量は特に限定されるものではないが、組成物全量基準で50〜99.98質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物における(A)成分のリン化合物は、具体的には、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステル等のリン酸エステル類;亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸トリエステル等の亜リン酸エステル類;及びこれらの混合物等が挙げられる。上述したリン酸エステル類や亜リン酸エステル類は、通常、炭素数2〜30、好ましくは3〜20の炭化水素基を含有する化合物である。
この炭素数2〜30の炭化水素基としては、具体的には例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらアルケニル基は直鎖状でも分枝状でも良く、また二重結合の位置も任意である);シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である);フェニル基、ナフチル基等のアリール基:トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18の各アルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良く、またアリール基への置換位置も任意である);ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12の各アリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);等が挙げられる。
(A)成分として好ましい化合物としては具体的には以下のものが挙げられる。
リン酸エステルとして、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリペプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸トリアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸トリ(アルキル)アリールエステル;
酸性リン酸エステルとして、モノプロピルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノペンチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノペプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート等のリン酸モノアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);モノフェニルホスフェート、モノクレジルホスフェート等のリン酸モノ(アルキル)アリールエステル;ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジペンチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジペプチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリン酸ジアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ジフェニルホスフェート、ジクレジルホスフェート等のリン酸ジ(アルキル)アリールエステル;
亜リン酸エステルとして、トリプロピルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリペプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト等の亜リン酸トリアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト等の亜リン酸トリ(アルキル)アリールエステル;ジプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジペプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト等の亜リン酸ジアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト等の亜リン酸ジ(アルキル)アリールエステル;ジオレイルホスファイト等の亜リン酸ジアルケニルエステル;モノプロピルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノペンチルホスファイト、モノヘキシルホスファイト、モノペプチルホスファイト、モノオクチルホスファイト等の亜リン酸モノアルキルエステル(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い);モノフェニルホスファイト、モノクレジルホスファイト等の亜リン酸モノ(アルキル)アリールエステル;モノオレイルホスファイト等の亜リン酸モノアルケニルエステル;
及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物において、(A)リン化合物の含有量は、組成物全量基準で0.01〜2質量%であり、低摩擦性能に一層優れる点から、組成物全量基準で、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、得られるすべり案内面用潤滑油組成物の耐腐食性に一層優れる点から、リン化合物の含有量は、組成物全量基準で、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物における(B)成分は脂肪族モノアミンである。通常、炭素数1〜30、好ましくは炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を1〜3つ有するモノアミンであり、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンのいずれであってもよいが、炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つまたは2つ有するモノアミンの第一級アミンまたは第二級アミンが好ましく、さらに炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を2つ有するモノアミンの第二級アミンが最も好ましい。
これらのアルキル基又はアルケニル基の中でも、(A)成分および(C)成分と混合した場合の低温貯蔵安定性、切削油が混入した場合の低摩擦性能に優れる点から、これらアルキル基及びアルケニル基の炭素数は4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましい。また、潤滑油基油に対する溶解性の点からは、これらアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、20以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましく、14以下であることがさらに好ましい。
上記の好ましい炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基としては、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のアルキル基;プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基の二重結合の位置は任意である)などが挙げられる。また、上記のアルキル基及びアルケニル基は分岐鎖型であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、(B)脂肪族モノアミンの含有量は、組成物全量基準で0.005〜5質量%であり、金属材料への耐腐食性能に一層優れる点から、組成物全量基準で、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上である。また、低臭気性に一層優れる点から、脂肪族モノアミンの含有量は、組成物全量基準で、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。
本発明における(C)成分は、下記一般式(1)で表されるアルカノールモノアミンである。
Figure 0005317776
式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ個別に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基、または炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基のいずれかであり、A、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基であり、またA、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜18アルキル基若しくはアルケニル基である。
これらの中でも、アルキル基またはアルケニル基としては、炭素数3〜18が好ましく、さらに好ましくは炭素数8〜18であり、最も好ましくは炭素数10〜18である。
また、ヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数1〜12であり、さらに好ましくは炭素数2〜8であり、最も好ましくは炭素数1〜3である。
また、A、AおよびAのうち、いずれか2つがヒドロキシアルキル基であることが好ましく、さらにA、AおよびAのうち、いずれか2つがヒドロキシアルキル基であり、1つがアルキル基であることが好ましい。
本発明にかかるアルカノールモノアミンとして、好ましい具体例を挙げれば以下のとおりである。
(C−1)炭素数3〜18のアルキル基若しくはアルケニル基または炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基1個と炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基1個を有するモノアルキルモノアルカノールアミン;
モノヘキシルモノエタノールアミン、モノシクロヘキシルモノエタノールアミン、モノオクチルモノエタノールアミン、モノノニルモノエタノールアミン、モノデシルモノエタノールアミン、モノドデシルモノエタノールアミン、モノトリデシルモノエタノールアミン、モノテトラデシルモノエタノールアミン、モノペンタデシルモノエタノールアミン、モノヘキサデシルモノエタノールアミン、モノヘプタデシルモノエタノールアミン、モノオクタデシルモノエタノールアミン、モノオレイルモノエタノールアミン、
モノヘキシルモノプロパノールアミン、モノシクロヘキシルモノプロパノールアミン、モノオクチルモノプロパノールアミン、モノノニルモノプロパノールアミン、モノデシルモノプロパノールアミン、モノドデシルモノプロパノールアミン、モノトリデシルモノプロパノールアミン、モノテトラデシルモノプロパノールアミン、モノペンタデシルモノプロパノールアミン、モノヘキサデシルモノプロパノールアミン、モノヘプタデシルモノプロパノールアミン、モノオクタデシルモノプロパノールアミン、モノオレイルモノプロパノールアミン、
モノヘキシルモノブタノールアミン、モノシクロヘキシルモノブタノールアミン、モノオクチルモノブタノールアミン、モノノニルモノブタノールアミン、モノデシルモノブタノールアミン、モノドデシルモノブタノールアミン、モノトリデシルモノブタノールアミン、モノテトラデシルモノブタノールアミン、モノペンタデシルモノブタノールアミン、モノヘキサデシルモノブタノールアミン、モノヘプタデシルモノブタノールアミン、モノオクタデシルモノブタノールアミン、モノオレイルモノブタノールアミン、
モノヘキシルモノペンタノールアミン、モノシクロヘキシルモノペンタノールアミン、モノオクチルモノペンタノールアミン、モノノニルモノペンタノールアミン、モノデシルモノペンタノールアミン、モノドデシルモノペンタノールアミン、モノトリデシルモノペンタノールアミン、モノテトラデシルモノペンタノールアミン、モノペンタデシルモノペンタノールアミン、モノヘキサデシルモノペンタノールアミン、モノヘプタデシルモノペンタノールアミン、モノオクタデシルモノペンタノールアミン、モノオレイルモノペンタノールアミン、
モノヘキシルモノヘキサノールアミン、モノシクロヘキシルモノヘキサノールアミン、モノオクチルモノヘキサノールアミン、モノノニルモノヘキサノールアミン、モノデシルモノヘキサノールアミン、モノドデシルモノヘキサノールアミン、モノトリデシルモノヘキサノールアミン、モノテトラデシルモノヘキサノールアミン、モノペンタデシルモノヘキサノールアミン、モノヘキサデシルモノヘキサノールアミン、モノヘプタデシルモノヘキサノールアミン、モノオクタデシルモノヘキサノールアミン、モノオレイルモノヘキサノールアミン
(C−2)炭素数3〜18のアルキル基若しくはアルケニル基または炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基2個と炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基1個を有するジアルキルモノアルカノールアミン;
ジヘキシルモノメタノールアミン、ジシクロヘキシルモノメタノールアミン、ジオクチルモノメタノールアミン、ジノニルモノメタノールアミン、ジデシルモノメタノールアミン、ジドデシルモノメタノールアミン、ジトリデシルモノメタノールアミン、ジテトラデシルモノメタノールアミン、ジペンタデシルモノメタノールアミン、ジヘキサデシルモノメタノールアミン、ジヘプタデシルモノメタノールアミン、ジオクタデシルモノメタノールアミン、ジオレイルモノメタノールアミン、
ジヘキシルモノエタノールアミン、ジシクロヘキシルモノエタノールアミン、ジオクチルモノエタノールアミン、ジノニルモノエタノールアミン、ジデシルモノエタノールアミン、ジドデシルモノエタノールアミン、ジトリデシルモノエタノールアミン、ジテトラデシルモノエタノールアミン、ジペンタデシルモノエタノールアミン、ジヘキサデシルモノエタノールアミン、ジヘプタデシルモノエタノールアミン、ジオクタデシルモノエタノールアミン、ジオレイルモノエタノールアミン
(C−3)炭素数3〜18のアルキル基若しくはアルケニル基または炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基1個と炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基2個を有するモノアルキルジアルカノールアミン;
モノヘキシルジメタノールアミン、モノシクロヘキシルジメタノールアミン、モノオクチルジメタノールアミン、モノノニルジメタノールアミン、モノデシルジメタノールアミン、モノドデシルジメタノールアミン、モノトリデシルジメタノールアミン、モノテトラデシルジメタノールアミン、モノペンタデシルジメタノールアミン、モノヘキサデシルジメタノールアミン、モノヘプタデシルジメタノールアミン、モノオクタデシルジメタノールアミン、モノオレイルジメタノールアミン、
モノプロピルジエタノールアミン、モノブチルジエタノールアミン、モノペンチルジエタノールアミン、モノヘキシルジエタノールアミン、モノシクロヘキシルジエタノールアミン、モノオクチルジエタノールアミン、モノノニルジエタノールアミン、モノデシルジエタノールアミン、モノドデシルジエタノールアミン、モノトリデシルジエタノールアミン、モノテトラデシルジエタノールアミン、モノペンタデシルジエタノールアミン、モノヘキサデシルジエタノールアミン、モノヘプタデシルジエタノールアミン、モノオクタデシルジエタノールアミン、モノオレイルジエタノールアミン、
モノプロピルジプロパノールアミン、モノブチルジプロパノールアミン、モノペンチルジプロパノールアミン、モノヘキシルジプロパノールアミン、モノシクロヘキシルジプロパノールアミン、モノオクチルジプロパノールアミン、モノノニルジプロパノールアミン、モノデシルジプロパノールアミン、モノドデシルジプロパノールアミン、モノトリデシルジプロパノールアミン、モノテトラデシルジプロパノールアミン、モノペンタデシルジプロパノールアミン、モノヘキサデシルジプロパノールアミン、モノヘプタデシルジプロパノールアミン、モノオクタデシルジプロパノールアミン、モノオレイルジプロパノールアミン、
モノプロピルジブタノールアミン、モノブチルジブタノールアミン、モノペンチルジブタノールアミン、モノヘキシルジブタノールアミン、モノシクロヘキシルジブタノールアミン、モノオクチルジブタノールアミン、モノノニルジブタノールアミン、モノデシルジブタノールアミン、モノドデシルジブタノールアミン、モノトリデシルジブタノールアミン、モノテトラデシルジブタノールアミン、モノペンタデシルジブタノールアミン、モノヘキサデシルジブタノールアミン、モノヘプタデシルジブタノールアミン、モノオクタデシルジブタノールアミン、モノオレイルジブタノールアミン、
等が挙げられ、いずれもすべての異性体を含む。
(C)成分のアルカノールモノアミンで好ましく用いられるのは、モノドデシルジエタノールアミン(モノラウリルジエタノールアミン)、モノオレイルジエタノールアミンおよびその混合物である。
本発明の潤滑油組成物において、(C)アルカノールモノアミンの含有量は、組成物全量基準で0.001〜0.5質量%であり、鉄材に対する貼り付き性に一層優れる点から、組成物全量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上である。また、得られる潤滑油組成物の貯蔵安定性に一層優れる点から、アルカノールモノアミンの含有量は、組成物全量基準で、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物には、さらにその性能を高めるために、あるいは潤滑油組成物、特に工作機械の摺動面用潤滑油組成物として必要な性能を付与するために潤滑油分野において公知の添加剤を配合することができる。
かかる添加剤としては、例えば、1価アルコール又は多価アルコール、1塩基酸又は多塩基酸、前記アルコールと前記酸とのエステル、本願請求項1以外のアミン、本願請求項1以外のアルカノールアミン等のアミン化合物等の油性剤;ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系化合物、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物等の酸化防止剤;ベンゾトリアゾールやアルキルチアジアゾール等の金属不活性化剤;シリコーン油、フルオロシリコン油等の消泡剤;硫黄を含有するりん酸エステル化合物;アルケニルコハク酸、ソルビタンモノオレート等のさび止め添加剤;ポリメタクリレート等の流動点降下剤;ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリアルキルスチレン、オレフィンコポリマー、スチレン−ジエンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー等の粘度指数向上剤などが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、低摩擦性、長期使用時における低摩擦性の維持、鋳鉄に対する貼り付き性、耐ステイン性に優れる。したがって、本発明の潤滑油組成物は、低摩擦性や耐ステイン性が要求される様々な用途で好適に使用される。中でも、工作機械等のすべり案内面(摺動面)用の潤滑油として使用した場合に、本発明の効果がより一層発揮される。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜11、比較例1〜7]
表1、表2の各例に示すような組成を有する各種の本発明に係る潤滑油組成物及び比較例のための潤滑油組成物をそれぞれ調製した。
各組成物の調製に用いた成分は、以下のとおりである。なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。また、飽和炭化水素成分含有量とは、Analytical Chemistry第44巻第6号(1972)第915〜919頁“Separation of High-Boiling Petroleum Distillates Using Gradient Elution Through Dual-Packed(Silica Gel-Alumina Gel) Adsorption Columns”に記載されたシリカ−アルミナゲルクロマト分析法に準拠し、但し、この方法において飽和炭化水素成分の溶出に使用されるn−ペンタンの代わりにn−へキサンを使用する方法により分取される飽和炭化水素成分の試料全量に対する質量百分率を意味する。
潤滑油基油:
溶剤脱ろう、水素化精製したパラフィン系鉱油(粘度指数101、硫黄分0.51質量%、飽和炭化水素分65.6容量%、40℃における動粘度68.7mm/s、引火点248℃、15℃における密度0.882g/cm
(A)リン化合物
A1:酸性リン酸エステル(モノn−オクチルアシッドホスフェートとジn−オクチルアシッドホスフェートの混合物(リン含有量:11.6質量%))
A2:酸性亜リン酸エステル(オレイルハイドロジェンホスファイト;モノオレイルホスファイトとジオレイルホスファイトの混合物)
A3:亜リン酸エステル(トリフェニルホスファイト)
A4:リン酸エステル(トリクレジルホスフェート)
(B)モノアミン
B1:2−エチルヘキシルアミン
B2:ジ−2−エチルヘキシルアミン
B3:ラウリルアミン
(C)アルカノールモノアミン
C1:オレイルジエタノールアミン
C2:ラウリルジエタノールアミン
次に、実施例1〜11及び比較例1〜7の各潤滑油組成物について以下の試験を行った。
(摩擦特性試験)
図1は摩擦特性評価試験に用いた摩擦係数測定システムを示す概略構成図である。図1中、ベッド6上にはロードセル5を介して連結されたテーブル1及び可動治具4が配置されており、さらにテーブル1上には、加工工具の代用物としてのおもり9が配置されている。テーブル1及びベッド6はいずれも鋳鉄からなるものである。また、可動治具4は軸受部を有するもので、当該軸受部は送りネジ3を介してA/Cサーボモータ2に連結されている。A/Cサーボモータ2により送りネジ3を動作させることで、可動治具4を送りネジ3の軸方向(図中の矢印方向)に往復運動させることができる。さらに、ロードセル5はコンピュータ7と、コンピュータ7及びA/Cサーボモータ2はそれぞれ制御盤8と電気的に接続されており、これにより可動治具4の往復運動の制御及びテーブル1と可動治具4との間の荷重の測定を行うことができる。
このような摩擦係数測定システムにおいて、ベッド6の上面に潤滑油組成物を滴下し、おもり9の選定によりテーブル1とベッド6との間を面圧200kPaに調整した後、送り速度0.1mm/min、送り長さ15mmで可動治具4を往復運動させた。このときのテーブル1と可動治具4との間の荷重をロードセル5(荷重計)により測定し、得られた測定値に基づいて案内面(テーブル1/ベッド6=鋳鉄/鋳鉄)の摩擦係数を求めた。なお、上記試験は慣らし運転を3回行った後に行った。各潤滑油組成物の摩擦係数を表1、表2に示す。
(長期使用時の摩擦特性試験)
上記の摩擦試験を修了させた後、送り速度500mm/minにてベッドの稼動範囲上を144時間往復運動させた後、再度同様の条件にて摩擦特性を評価した。摩擦係数が0.1以下を合格とした。
(鋳鉄貼り付き性能試験)
上端部に孔を開けたJIS G5501に規定する鋳鉄の試験片(FC300、4cm×2cm、厚さ3.0mm、十点平均粗さRz約3.5μm)をメタノールで脱脂したのち重量(W)を測定しておき、その試験片を試料油に浸漬して引き上げ、上端部の孔に針金を通し空中に吊り下げて1時間後の重量(W)と24時間後の重量(W24)を測定した。
鋳鉄貼り付き性能は下式に示すように、1時間経過後の試料油の重量に対する24時間経過後の試料油の重量の百分率(重量%)で評価した。65重量%以上を合格とした。
鋳鉄貼り付き性能(重量%)=(W24−W)/(W−W)×100
(ステイン性能試験)
JIS G3141に規定する冷間圧延鋼板の試験片(SPC材、7cm×7cm、厚さ0.2mm、80番ダル仕上げ)をメタノールで脱脂したのち、試験片の表面に試料油を0.2cc滴下し、その上に同じ材質・形状の試験片を載せて試料油を挟み、100gのおもりを載せて82℃で静置した。24時間経過後の試験片を溶剤で洗浄した後、外観を目視により観察して耐ステイン性能を評価した。表面状態により次のように評価した。
○:変色なし
△:やや変色する傾向あり
×:明らかに変色あり
Figure 0005317776
Figure 0005317776
表1、2に示した結果から明らかなように、実施例1〜11の潤滑油組成物は、比較例1〜7と比較して、低摩擦係数が低く、長期使用時にも低摩擦性能が維持でき、鋳鉄貼り付き性が良好で、且つステイン性能も満足できる性能を兼ね備えていることがわかる。
本発明の潤滑油組成物は、低摩擦性、長期使用時における低摩擦性の維持、鋳鉄に対する貼り付き性、耐ステイン性に優れており、工作機械の動作の安定化、長寿命化などの点で非常に有用であり、特に工作機械のすべり案内面用として好適である。
1…テーブル、2…A/Cサーボモータ、3…送りネジ、4…可動治具、5…ロードセル、6…ベッド、7…コンピュータ、8…制御盤、9…おもり

Claims (5)

  1. 潤滑油基油に、
    (A)酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、リン酸エステルおよび亜リン酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種のリン化合物を組成物全量基準で0.01〜2質量%、
    (B)炭素数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族モノアミンを組成物全量基準で0.005〜5質量%、および
    (C)下記一般式(1)で表されるアルカノールモノアミンを組成物全量基準で0.005〜0.3質量%、
    を含有し、工作機械のすべり案内面に用いられることを特徴とする潤滑油組成物。
    Figure 0005317776
    (式(1)中、A、AおよびAは、それぞれ個別に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基、または炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基のいずれかであり、A、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基であり、またA、AおよびAのうちの少なくとも1つは炭素数1〜18アルキル基若しくはアルケニル基である。)
  2. 前記の(A)リン化合物が、炭素数2〜30のアルキル基又はアルケニル基を含有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記(B)脂肪族モノアミンのアルキル基又はアルケニル基が分岐鎖型アルキル基及び/又は分岐鎖型アルケニル基であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記の(C)アルカノールモノアミンが、炭素数3〜18のアルキル基若しくはアルケニル基または炭素数6〜18の(アルキル)シクロヘキシル基1個と炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基2個を有するモノアルキルジアルカノールアミンであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  5. 前記の(A)リン化合物を組成物全量基準で0.03〜1質量%、前記の(B)脂肪族モノアミンを組成物全量基準で0.01〜3質量%、および前記の(C)アルカノールモノアミンを組成物全量基準で0.008〜0.1質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油組成物。
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