JP4815153B2 - 緩衝器用油圧作動油組成物 - Google Patents
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従来、緩衝器用油圧作動油は、緩衝器のシールとロッド間のスティックスリップ防止とシールの耐久性を確保するために、作動油のシールフリクションを下げることが行われてきた。このフリクションを低減するため、一般に作動油には摩擦を低減するリン酸エステル類や脂肪族アミン化合物等の添加剤が配合されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。また、近年、自動車の振動を緩和して、乗り心地や操縦安定性を改善する研究が進められた結果、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、同時にピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダーの摩擦力を低減させる機能を持つ、特定のアミン化合物等を含む新しい緩衝器用油圧作動油組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、自動車用等の緩衝器は常に振動状態にあり、変位の少ない舗装道路においても微振幅を繰り返し、そのような状態における緩衝器のニュートラル位置では、油圧減衰は非常に小さいため、舗装路面の極小変位による微振幅を繰り返しやすくなる。その結果、車体(ばね上荷重)がふらつくとともに、運転者と乗員に不快感を与えることが判明し、従来にない新規な緩衝器用油圧作動油組成物の開発が必要となってきた。
なお、緩衝器のロッドとロッドガイド部のシール材にはニトリルゴムやフッ素系ゴム等が使用され、ピストンには、ピストンバンドと呼ばれる摺動材が装着される。各材料に合せて作動油の摩擦特性を調整することが重要である。
また、本発明は、さらに(B)炭素数3〜10の炭化水素基を少なくとも1つ有するハイドロゲンホスファイトを含有することを特徴とする前記記載の緩衝器用油圧作動油組成物にある。
また、本発明は、前記記載の緩衝器用油圧作動油組成物により緩衝器のシール材とピストンロッド間を潤滑して緩衝器のシール材とピストンロッド間の摩擦力を高く維持する方法にある。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における潤滑油基油としては、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油、合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、GTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が例示できる。
アルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物は、例えば、通常、モノイミド構造を有するアルキル又はアルケニルコハク酸イミド、ビスイミド構造を有するアルキル又はアルケニルコハク酸イミド、あるいはその他の構造を有する反応生成物及びこれらの混合物が挙げられる。ポリ(イソ)ブテニルコハク酸イミドの場合、通常、ポリ(イソ)ブテン、塩素化ポリ(イソ)ブテン又はこれらの混合物を無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得られるポリ(イソ)ブテニルコハク酸(無水物)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。また、アルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物の誘導体としては、該反応生成物に、カルボン酸等の含酸素有機化合物等でアシル化した誘導体、あるいはホウ酸、リン酸、硫酸等の酸又はそれらの塩を作用させて得られた誘導体等が挙げられる。
(A)成分のような、イミノ基及び/又はアミノ基を有する化合物を無水トリフルオロ酢酸と反応させて得られた反応物は、19F−NMRに供した際に、トリフルオロ酢酸を標準物質としてそのピーク位置を−76.8ppmとした場合に、(a)化学シフト−66ppm〜−72ppmの位置と(b)化学シフト−74ppm〜−79ppmの位置にそれぞれピークが得られる。この(a)のピークは、以下の(1)式のように(A)成分中のイミノ基(−NH−)と無水トリフルオロ酢酸が反応して得られる、(ア)で表される基のピークを示すと推定され、また(b)のピークは、以下の(2)式のように(A)成分中のアミノ基(−NH2)と無水トリフルオロ酢酸が反応して得られる、(イ)で表される基のピークを示すと推定される。
まず、(A)成分0.5gをヘキサン20mlに溶解させた後、これに無水トリフルオロ酢酸1.0gを添加し、系を撹拌しながら20℃で20分間反応させる。その後、反応生成物にメタノール10mlと濃塩酸0.5mlを加え、20℃で20分間攪拌を続け、未反応の無水トリフルオロ酢酸及び反応副成物であるトリフルオロ酢酸をメタノール層に除去する。次いで油層を取り出し、ヘキサンを蒸留により留去し、(A)成分とトリフルオロ酢酸との反応生成物を得る。こうして得られる反応生成物100mgを試料として、共鳴周波数564.4MHzの19F−NMRで分析する。
また、ホウ素を含む(A2)成分を含有させる場合の含有量は、組成物全量基準で、ホウ素量として通常0.001〜0.2質量%、好ましくは0.002〜0.05質量%であり、後記する(B)成分を併用する場合には、安定性の点でより好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.008質量%以下とすることが望ましい。
(B)成分以外のリン系摩耗防止剤としては、例えば、炭素数3〜30の炭化水素基を少なくとも1〜3個有する亜リン酸エステル類、リン酸エステル類が挙げられる(ただし(B)成分を除く)。これら亜リン酸エステル類、リン酸エステル類には亜リン酸エステル、リン酸エステルとアンモニアや炭素数1〜30の脂肪族アミンとの塩、あるいは金属塩等の誘導体も含まれる。ここでいう炭素数3〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基等が挙げられる。好ましい亜リン酸エステル、リン酸エステルの具体例としては、モノ、ジ、又はトリアルキルホスファイト、モノ、ジ、トリアルケニルホスファイト、モノ、ジ、トリアルキルホスフェート、モノ、ジ、トリアルケニルホスフェート、トリアリールホスファイト、トリアリールホスフェート等が挙げられる。
上記(B)成分以外のリン系摩耗防止剤を配合する場合、その含有量は、本発明の効果を著しく悪化させない限り、あるいは、シール材とロッド間のフリクションを微調整するために、特に制限はなく選択できるが、通常、組成物全量基準で、0.01〜5質量%である。
また、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有するポリアミン、ベンジルアミン及びこれらの誘導体等の無灰分散剤を併用してもよい。
これらを含有させる場合、その含有量は、通常、組成物全量基準で0.01〜5質量%である。
粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば、分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合では、通常5,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。粘度指数向上剤の含有量は、通常、組成物全量基準で0.1〜20質量%である。
金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
潤滑油基油に、表1に示す組成の本発明に係る潤滑油組成物(実施例1〜4)、比較用の潤滑油組成物(比較例1〜3)及び、摩擦係数(フリクション)評価の基準となる潤滑油組成物をそれぞれ調製した。これらの組成物に対して、以下に示す摩擦試験を実施し、基準油に対する摩擦係数の低下率を評価し、その結果を表1に示した。基準油に対する摩擦係数の低下率が小さい方がシールフリクションを高く維持しやすいことを意味する。
バウデン試験機を用い、厚さ約2mmのニトリル系シール材を直径10mmの穴の開いたホルダーに敷き、その上から 1/2インチの鋼球を押し付けた状態で固定(潤滑部は半球状となる)し、試験油を数滴滴下したクロムメッキ鋼板の上に設置した。これに9.8Nの荷重をかけ、室温、滑り速度4mm/s、10mmのストロークで往復動させ、ストローク中間の摩擦係数を測定した。
Claims (3)
- 潤滑油基油に、(A)イミノ基/アミノ基比率が15以下であり、数平均分子量が700以上1500以下のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物及び/又はその誘導体であって、
(A1)イミノ基/アミノ基比率が3〜15かつホウ素を本質的に含有しないもの
及び
(A2)イミノ基/アミノ基比率が3未満のもの
から選ばれる少なくとも1種を配合してなる緩衝器用油圧作動油組成物。 - さらに、(B)炭素数3〜10の炭化水素基を少なくとも1つ有するハイドロゲンホスファイトを含有することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器用油圧作動油組成物。
- 請求項1又は2に記載の緩衝器用油圧作動油組成物により緩衝器のシール材とピストンロッド間を潤滑して緩衝器のシール材とピストンロッド間の摩擦力を高く維持する方法。
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