JP4815153B2 - 緩衝器用油圧作動油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、緩衝器用油圧作動油組成物に関し、詳しくは緩衝器におけるシール材とピストンロッド間の摩擦を高く維持し、車体のふらつきや乗り心地を改善するための緩衝器用油圧作動油組成物に関する。
緩衝器にはさまざまな形式があるが、基本的に弁のついたピストンとシリンダー(外筒若しくはチューブともいう)からなる。ピストンはロッドに固定されており、ピストンはシリンダー内面を摺動し、ロッドはロッドガイド部のシールを摺動する。緩衝器は作動油と必要によりガスを封入し弁を通過する作動油の抵抗により緩衝作用を行う。
従来、緩衝器用油圧作動油は、緩衝器のシールとロッド間のスティックスリップ防止とシールの耐久性を確保するために、作動油のシールフリクションを下げることが行われてきた。このフリクションを低減するため、一般に作動油には摩擦を低減するリン酸エステル類や脂肪族アミン化合物等の添加剤が配合されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。また、近年、自動車の振動を緩和して、乗り心地や操縦安定性を改善する研究が進められた結果、ピストンロッド/シール間の摩擦力を高め、同時にピストンロッド/ブッシュ、ピストンバンド/シリンダーの摩擦力を低減させる機能を持つ、特定のアミン化合物等を含む新しい緩衝器用油圧作動油組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、自動車用等の緩衝器は常に振動状態にあり、変位の少ない舗装道路においても微振幅を繰り返し、そのような状態における緩衝器のニュートラル位置では、油圧減衰は非常に小さいため、舗装路面の極小変位による微振幅を繰り返しやすくなる。その結果、車体(ばね上荷重)がふらつくとともに、運転者と乗員に不快感を与えることが判明し、従来にない新規な緩衝器用油圧作動油組成物の開発が必要となってきた。
なお、緩衝器のロッドとロッドガイド部のシール材にはニトリルゴムやフッ素系ゴム等が使用され、ピストンには、ピストンバンドと呼ばれる摺動材が装着される。各材料に合せて作動油の摩擦特性を調整することが重要である。
特開平5−255683号公報 特開平7−224293号公報 特開平7−258678号公報 特開平6−128581号公報 特開2000−192067号公報 特開2002−194376号公報
本発明の課題は、以上のような事情に鑑み、路面の極小変位による微振幅を抑制し、車体(ばね上荷重)のふらつきを抑制するとともに、運転者と乗員の不快感を軽減できる緩衝器用油圧作動油組成物を提供することである。特にアミン系の化合物はピストンロッドとシール材間、特にニトリル系のシール材を使用した場合にフリクションを著しく低下させてしまうため、フリクションを高いレベルで維持できるアミン系の化合物を選択することは重要である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミン系の化合物が微振幅領域におけるピストンロッドとシール材間、特にニトリル系のシール材を使用した場合にフリクションを高いレベルで維持することができ、緩衝器のニュートラル位置での減衰力を高め、微振幅時の車体(ばね上荷重)のふらつきを抑制するとともに、運転者と乗員の不快感を軽減しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、潤滑油基油に、(A)イミノ基/アミノ基比率が15以下であり、数平均分子量が700以上1500以下のアルキル又はアルケニル基を有するコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物及び/又はその誘導体であって、(A1)イミノ基/アミノ基比率が3〜15かつホウ素を本質的に含有しないもの、及び(A2)イミノ基/アミノ基比率が3未満のものから選ばれる少なくとも1種を配合してなる緩衝器用油圧作動油組成物にある。
また、本発明は、さらに(B)炭素数3〜10の炭化水素基を少なくとも1つ有するハイドロゲンホスファイトを含有することを特徴とする前記記載の緩衝器用油圧作動油組成物にある。
また、本発明は、前記記載の緩衝器用油圧作動油組成物により緩衝器のシール材とピストンロッド間を潤滑して緩衝器のシール材とピストンロッド間の摩擦力を高く維持する方法にある。
以下、本発明について詳述する。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における潤滑油基油としては、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油、合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、GTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が例示できる。
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン及び芳香族エステル等の芳香族系合成油;これらの混合物等が例示できる。
本発明における潤滑油基油としては、上記鉱油系基油、上記合成系基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以上の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油との混合油等を挙げることができる。
本発明において用いる潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、一般の緩衝器に要求される減衰力に適合させる観点から、40℃における動粘度の下限値は、好ましくは3mm/s、より好ましくは6mm/sであり、一方、その上限値は、好ましくは60mm/s、より好ましくは40mm/s、さらに好ましくは20mm/sであり、より低摩擦の組成物を得ることができる点で、さらに好ましくは10mm/s以下、特に好ましくは9mm/s以下であることが望ましい。
また、本発明において使用する潤滑油基油の粘度指数も特に限定されず任意であるが、緩衝器に要求される基本的性能である減衰作用が油圧作動油の粘度に依存し、温度による減衰力の変化をできるだけ小さくするという観点から、粘度指数は80以上が好ましく、より好ましくは95以上のものを用いるのが望ましい。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、潤滑油基油に、特定の要件を満たすアルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物及び/又はその誘導体(以下、(A)成分という。)を含有する。
アルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物は、例えば、通常、モノイミド構造を有するアルキル又はアルケニルコハク酸イミド、ビスイミド構造を有するアルキル又はアルケニルコハク酸イミド、あるいはその他の構造を有する反応生成物及びこれらの混合物が挙げられる。ポリ(イソ)ブテニルコハク酸イミドの場合、通常、ポリ(イソ)ブテン、塩素化ポリ(イソ)ブテン又はこれらの混合物を無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得られるポリ(イソ)ブテニルコハク酸(無水物)と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。また、アルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物の誘導体としては、該反応生成物に、カルボン酸等の含酸素有機化合物等でアシル化した誘導体、あるいはホウ酸、リン酸、硫酸等の酸又はそれらの塩を作用させて得られた誘導体等が挙げられる。
本発明における(A)成分におけるアルキル基又はアルケニル基の数平均分子量は1500以下であり、好ましくは1400以下、より好ましくは1300以下、特に好ましくは1200以下とすることが望ましい。当該数平均分子量が1500を超える場合には、ニトリルシール材等のシールフリクションを高く維持しにくい。また、当該数平均分子量は、油溶性の点で150以上であることが好ましく、より好ましくは300以上であり、より高フリクションの組成物を得ることができる点でさらに好ましくは700以上、特に好ましくは900以上とすることが望ましい。
(A)成分は、そのイミノ基/アミノ基比率が15以下であることが必要である。
また、(A)成分は、(A1)イミノ基/アミノ基比率が3〜15の場合には、ホウ素を本質的に含有しないものが良く、ニトリル系シール材等のシール材とピストンロッド間のフリクションを高く維持しやすくなる。また、(A1)成分のイミノ基/アミノ基比率は、より高フリクションの組成物を得ることができる点で好ましくは3.5〜12、さらに好ましくは4〜9、特に好ましくは4.5〜6である。
また、(A)成分は、(A2)イミノ基/アミノ基比率が3未満の場合には、ホウ素を含有していても、含有していなくても良いが、ホウ素を含有するものが好ましい。ホウ素を含有するものであっても、イミノ基/アミノ基比率が3未満であればニトリルシール等のシール材とピストンロッド間のフリクションを高く維持しやすくなり、イミノ基/アミノ基比率が3以上のホウ素含有物に対し、特異的な挙動を示す。(A2)成分のイミノ基/アミノ基比率は0〜3未満であるが、安定性、製造コストの点で、好ましくは1以上、より好ましくは1〜2.5、特に好ましくは1.5〜2.5である。(A2)成分としてホウ素を含有するものを使用する場合、そのホウ素含有量/窒素含有量の質量比(B/N比)は、特に制限はないが、シール材とピストンロッド間のフリクションを高く維持しやすい点及び(B)成分と併用した場合の安定性の点で、好ましくは0.1〜1、より好ましくは0.5〜1、特に好ましくは0.7〜0.9である。
なお、ここでいうイミノ基とは、−NH−で表される基を示し、アミノ基とは−NHで表される基を示し、イミノ基/アミノ比率は(A)成分中のアミノ基(−NH)を構成する窒素原子に対する(A)成分中のイミノ基(−NH−)を構成する窒素原子との比率を表している。例えば、エチレンジアミンモノ(アルケニル)コハク酸イミドのようなイミノ基を含まない化合物では0となり、ジエチレントリアミンビス(アルケニル)コハク酸イミドのようなアミノ基を含まない化合物では無限大となりうる。
イミノ基とアミノ基及びその比率は、具体的には、以下の方法により求めることができる。
(A)成分のような、イミノ基及び/又はアミノ基を有する化合物を無水トリフルオロ酢酸と反応させて得られた反応物は、19F−NMRに供した際に、トリフルオロ酢酸を標準物質としてそのピーク位置を−76.8ppmとした場合に、(a)化学シフト−66ppm〜−72ppmの位置と(b)化学シフト−74ppm〜−79ppmの位置にそれぞれピークが得られる。この(a)のピークは、以下の(1)式のように(A)成分中のイミノ基(−NH−)と無水トリフルオロ酢酸が反応して得られる、(ア)で表される基のピークを示すと推定され、また(b)のピークは、以下の(2)式のように(A)成分中のアミノ基(−NH)と無水トリフルオロ酢酸が反応して得られる、(イ)で表される基のピークを示すと推定される。
Figure 0004815153
Figure 0004815153
なお、(A)成分を無水トリフルオロ酢酸と反応させる手順、19F−NMRによる測定手順は以下のとおりである。
まず、(A)成分0.5gをヘキサン20mlに溶解させた後、これに無水トリフルオロ酢酸1.0gを添加し、系を撹拌しながら20℃で20分間反応させる。その後、反応生成物にメタノール10mlと濃塩酸0.5mlを加え、20℃で20分間攪拌を続け、未反応の無水トリフルオロ酢酸及び反応副成物であるトリフルオロ酢酸をメタノール層に除去する。次いで油層を取り出し、ヘキサンを蒸留により留去し、(A)成分とトリフルオロ酢酸との反応生成物を得る。こうして得られる反応生成物100mgを試料として、共鳴周波数564.4MHzの19F−NMRで分析する。
すなわち、本発明で規定する(A)成分中のイミノ基/アミノ基比率は、この方法により得られた、上記(a)のピーク面積/上記(b)のピーク面積の比率によって特定される値、すなわち、(A)成分中のアミノ基(−NH)を構成する窒素原子に対する(A)成分中のイミノ基(−NH−)を構成する窒素原子との比率を意味している。ただし、同様の結果が得られるのであれば、同様の理論等を用いた別の測定方法を用いても良い。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物において、(A)成分の含有量は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%であり、(A)成分の窒素量としての含有量は、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、特に好ましくは0.005質量%以上であり、また含有量に見合うだけの効果が得られず、また低温特性が悪化する傾向にあることから、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下である。
また、ホウ素を含む(A2)成分を含有させる場合の含有量は、組成物全量基準で、ホウ素量として通常0.001〜0.2質量%、好ましくは0.002〜0.05質量%であり、後記する(B)成分を併用する場合には、安定性の点でより好ましくは0.01質量%以下、特に好ましくは0.008質量%以下とすることが望ましい。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、基油に、上記(A)成分を含有させることで微振幅領域におけるピストンロッドとシール材間、特にニトリル系のシール材を使用した場合にフリクションを高いレベルで維持することができ、緩衝器のニュートラル位置での減衰力を高め、微振幅時の車体(ばね上荷重)のふらつきを抑制するとともに、運転者と乗員の不快感を軽減しうる効果を有するものである。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物においては、微振幅領域におけるピストンロッドとシール材間、特にニトリル系のシール材を使用した場合にフリクションをさらに高めることができる点で、(B)炭素数3〜10の炭化水素基を有するハイドロゲンホスファイトを含有させることが好ましい。(B)成分としては、下記一般式(3)で示されるハイドロゲンホスファイトを挙げることができる。
Figure 0004815153
上記一般式(3)において、RおよびRは、それぞれ個別に、水素又は炭素数3〜10の炭化水素基を示し、少なくともRおよびRのいずれか一方は炭素数3〜10の炭化水素基である。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基(アルキル基、アルケニル基は直鎖でも分枝状でもよく、またアルケニル基の二重結合の位置は任意である。)が挙げられ、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、具体的には、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を挙げることができる(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)。これらの中でも、炭素数4〜8のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい。)がより好ましく、イソブチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルブチル基、イソヘプチル基、2−エチルヘキシル基のような炭素数4〜8の分枝状アルキル基が特に好ましい。
本発明において好ましく用いられるハイドロゲンホスファイトとしては、モノ又はジイソブチルハイドロゲンホスファイト、モノ又はジイソペンチルハイドロゲンホスファイト、モノ又はジ2,3−ジメチルブチルハイドロゲンホスファイト、モノ又はジイソヘプチルハイドロゲンホスファイト、モノ又はジ2−エチルヘキシルハイドロゲンホスファイト等が挙げられ、ジアルキルハイドロゲンホスファイトを主成分とすることがより好ましい。
なお、上記一般式(3)において、R及びRが炭化水素基である酸性亜リン酸ジエステルや、R及びRの一方が水素原子である酸性亜リン酸モノエステルである場合、それぞれ、互変異性体である下記一般式(4)、(5)の形で表されることもあるが、これらは同じ化合物を示すものである。
Figure 0004815153
本発明において、(B)成分を含有させる場合の含有量は、ニトリルシール材などのシール材とロッド間のフリクションをより高め、摩耗防止効果も期待できる点で、組成物全量基準で、リン元素換算量で、0.005〜0.2質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1質量%、特に好ましくは0.015〜0.06質量%である。なお、0.2質量%を超えても含有量に見合うだけの効果を得にくく、酸化安定性が悪化する傾向にある。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物には、さらに必要に応じて、その性能をさらに向上させるために、又は、その他の目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、(B)成分以外のリン系摩耗防止剤、(A)成分に該当しないアルキル又はアルケニルコハク酸とポリアミンとの反応生成物及び/又はその誘導体、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、流動性向上剤、金属不活性化剤、消泡剤の他、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、及び着色剤等の各種添加剤を挙げることができる。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物には、摩耗防止性を付与するために(B)成分以外のリン系摩耗防止剤を含有させても良い。
(B)成分以外のリン系摩耗防止剤としては、例えば、炭素数3〜30の炭化水素基を少なくとも1〜3個有する亜リン酸エステル類、リン酸エステル類が挙げられる(ただし(B)成分を除く)。これら亜リン酸エステル類、リン酸エステル類には亜リン酸エステル、リン酸エステルとアンモニアや炭素数1〜30の脂肪族アミンとの塩、あるいは金属塩等の誘導体も含まれる。ここでいう炭素数3〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基等が挙げられる。好ましい亜リン酸エステル、リン酸エステルの具体例としては、モノ、ジ、又はトリアルキルホスファイト、モノ、ジ、トリアルケニルホスファイト、モノ、ジ、トリアルキルホスフェート、モノ、ジ、トリアルケニルホスフェート、トリアリールホスファイト、トリアリールホスフェート等が挙げられる。
上記(B)成分以外のリン系摩耗防止剤を配合する場合、その含有量は、本発明の効果を著しく悪化させない限り、あるいは、シール材とロッド間のフリクションを微調整するために、特に制限はなく選択できるが、通常、組成物全量基準で、0.01〜5質量%である。
(A)成分に該当しないアルキル又はアルケニルコハク酸(無水物)とポリアミンとの反応生成物及び/又はその誘導体としては、アルキル基又はアルケニル基の数平均分子量が1500を超えるもの、アルキル基又はアルケニル基の数平均分子量が1500以下でイミノ基/アミノ基比率が15を超えるもの、アルキル又はアルケニル基の数平均分子量が1500以下でイミノ基/アミノ基比率が3〜15でホウ素を含有するものが挙げられ、本発明の効果を著しく阻害しない限り(A)成分と併用することができる。
また、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有するポリアミン、ベンジルアミン及びこれらの誘導体等の無灰分散剤を併用してもよい。
これらを含有させる場合、その含有量は、通常、組成物全量基準で0.01〜5質量%である。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物に含有させることができる摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等のモリブデン系摩擦調整剤、炭素数6〜30、好ましくは炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数12〜18の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤等が挙げられ、本発明の効果を著しく悪化させない限り、あるいは、シール材とロッド間のフリクションを微調整するために、通常、組成物全量基準で0.001〜5質量%の範囲で含有させることが可能である。
粘度指数向上剤としては、潤滑油の粘度指数向上剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体又は共重合体若しくはその水添物などのいわゆる非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる。)若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。
粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば、分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合では、通常5,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。粘度指数向上剤の含有量は、通常、組成物全量基準で0.1〜20質量%である。
摩耗防止剤としては、潤滑油の摩耗防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、上記に挙げた(B)成分以外の摩耗防止剤、例えば、チオリン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、炭素数11〜30の炭化水素基を有するハイドロゲンホスファイト、これらの誘導体、これら金属塩、これらのアミン塩、及びジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、ジチオカーバメート、ジチオカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等が挙げられる。これらの摩耗防止剤は、組成物全量基準で、通常0.001〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能である。
酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル置換脂肪酸エステル類等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能である。
流動性向上剤としては、潤滑油の流動性向上剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ポリメタクリレート系流動性向上剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
金属系清浄剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フィネート、サリシレート及びホスホネート等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の緩衝器用油圧作動油組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、流動性向上剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.005〜5質量%、金属不活性化剤では0.005〜1質量%、消泡剤では0.0005〜1質量%の範囲で通常選ばれる。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物は、ピストンロッドとシール材間、特にシール材としてニトリル系シール材を使用した場合にフリクションを高いレベルで維持することができ、緩衝器のニュートラル位置での減衰力を高め、微振幅時の車体(ばね上荷重)のふらつきを抑制するとともに運転者と乗員の不快感を軽減することができる。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
[実施例1〜4および比較例1〜3]
潤滑油基油に、表1に示す組成の本発明に係る潤滑油組成物(実施例1〜4)、比較用の潤滑油組成物(比較例1〜3)及び、摩擦係数(フリクション)評価の基準となる潤滑油組成物をそれぞれ調製した。これらの組成物に対して、以下に示す摩擦試験を実施し、基準油に対する摩擦係数の低下率を評価し、その結果を表1に示した。基準油に対する摩擦係数の低下率が小さい方がシールフリクションを高く維持しやすいことを意味する。
(摩擦試験)
バウデン試験機を用い、厚さ約2mmのニトリル系シール材を直径10mmの穴の開いたホルダーに敷き、その上から 1/2インチの鋼球を押し付けた状態で固定(潤滑部は半球状となる)し、試験油を数滴滴下したクロムメッキ鋼板の上に設置した。これに9.8Nの荷重をかけ、室温、滑り速度4mm/s、10mmのストロークで往復動させ、ストローク中間の摩擦係数を測定した。
表1から明らかな通り、本発明に要件を満たす(A)成分を含有させた組成物(実施例1〜3)は、基準油に対する摩擦低下率が小さいことがわかる。また、さらに(B)成分を併用した場合(実施例4)には、さらに摩擦係数を高くすることができる。それに対し、本発明の要件を満たさない、(A)成分と類似の化合物を使用した場合(比較例1〜3)には、基準油に対する摩擦係数低下率が大きくなり、シールフリクションを高く維持しにくいことがわかる。
Figure 0004815153

Claims (3)

  1. 潤滑油基油に、(A)イミノ基/アミノ基比率が15以下であり、数平均分子量が700以上1500以下のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸(無水物)−ポリアミン反応生成物及び/又はその誘導体であって、
    (A1)イミノ基/アミノ基比率が3〜15かつホウ素を本質的に含有しないもの
    及び
    (A2)イミノ基/アミノ基比率が3未満のもの
    から選ばれる少なくとも1種を配合してなる緩衝器用油圧作動油組成物。
  2. さらに、(B)炭素数3〜10の炭化水素基を少なくとも1つ有するハイドロゲンホスファイトを含有することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器用油圧作動油組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の緩衝器用油圧作動油組成物により緩衝器のシール材とピストンロッド間を潤滑して緩衝器のシール材とピストンロッド間の摩擦力を高く維持する方法。
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