図1は本発明の実施形態に係る炊飯器を示す正面図、図2は炊飯器の表示部分を示し、図2(a)は図1の表示部分の拡大図、図2(b)は表示部分の変形例を示す平面図、図3は図1の炊飯器の外ケース等が省略された縦断面図、図4は図3の圧力弁開放機構を拡大して示す拡大断面図である。
炊飯器1は、図1、図3に示すように、被炊飯物が投入される鍋7と、上方にこの鍋7が収容される開口部及び内部にこの鍋7を加熱し被炊飯物を加熱する加熱手段5を有する炊飯器本体(以下、本体という)2と、この本体2の一側に枢支されて開口部を覆い閉塞状態に係止する係止機構を有する蓋体10と、この蓋体10に装着されて鍋7内の内圧を調整する圧力弁13と、この圧力弁を制御する圧力弁開放機構18と、各種の炊飯メニューを表示して選択する表示操作部30と、選択された炊飯メニューにより加熱手段5及び圧力弁開放機構18を制御して、鍋内の被炊飯物を所定温度に加熱し且つ所定時間掛けて所定量の水分を被炊飯物に吸水させる吸水工程、この吸水された被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する立上加熱工程、この被炊飯物を沸騰状態に維持する沸騰維持工程、この沸騰維持工程後に被炊飯物を蒸らす蒸らし工程を順次実行する制御装置24と、を備えている。
以下において、先ず最初に炊飯器の構造及び制御装置を説明する。
本体2は、図1〜図3に示すように、有底の箱状外部ケース3と、この外部ケースに収容されその中に鍋7が挿入される内部ケース4とからなり、外部ケース3と内部ケース4との間に隙間が形成され、この隙間に制御装置24を構成する制御回路基板等(図示省略)が配設されている。内部ケース4は、その底部4a及び側部4bに加熱手段5、底部4aに鍋底温度を検出するサーミスタ等からなる鍋底温度センサ6が設けられている。加熱手段5には、ドーナツ状に巻装した電磁誘導コイルが使用されている。
鍋7は、図3に示すように、水及び米とからなる所定量の被炊飯物が投入される比較的深底の容器からなり、アルミニウムとステンレスとのクラッド材で形成されている。
本体の前面壁3aには、各種の炊飯メニューが表示され、この表示されたメニューから所定のメニュー等を設定する複数個の操作ボタン等を備えた表示操作部30が設けられている。
この表示操作部30は、図2(a)に示すように、各種の炊飯選択メニュー及び時刻等が表示される表示パネル31と、この表示パネル31の左右及び下方に複数個のスイッチ操作ボタン32a〜32f、33が配設されている。これらの操作ボタンは、炊飯器を作動させる炊飯スタートボタン32a、炊飯予約をする予約ボタン32b、炊飯等の設定を取消す切ボタン32c、炊飯する米を選択するお米選択ボタン32d、炊飯メニューを選択するメニューボタン32e、コースを選択するコースボタン32f、及び表示パネル31に表示されたメニュー等を選択・決定する十字シフトキー33となっている。
これらのボタン及びキーは、押しボタン式のスイッチを構成する操作ボタン等であって、このボタン或いはキーを押圧することにより、それぞれのスイッチ(図示省略)が作動されるようになっている。
これらの操作ボタン32a〜32fのうち、メニューボタン32eは、各種炊飯メニューを表示パネル31に表示させるもので、このボタンを押圧すると、ふつう、かため、やわらか、おかゆ、あっさりがゆ、すしめし、カレー用、もちもち、甘み及びこだわり等が表示される。また、お米選択ボタン32dは、使用される米の種類を選定するもので、例えば白米、無洗米、玄米、発芽玄米等の何れかを選択するものである。更に、コースボタン32fは、うまみ保温、おやすみ保温、マルチ調理及びクリーニング等の機能を選択するものである。
また、十字シフトキー33は、表示パネル31に表示された種々のメニューから所定のメニューを選択するもので、表示された炊飯メニュー、例えば、ふつう、かため、やわらか、おかゆ、あっさりがゆ、すしめし、カレー用、もちもち、甘み及びこだわり等から十字シフトキー33を操作してカーソル(点滅表示)を上下及び左右に移動させて選択するものである。
図2(a)に示した表示操作部30は、表示パネル31及び複数個の操作ボタン32a〜32f、33をそれぞれ個別パネルに配設したものであるが、図2(b)に示すように、1枚のパネルに設けてもよい。
表示操作部30’は表示操作部30の変形例を示し、この表示操作部30’は、図2(b)に示すように、表示パネル31’及び複数個の操作ボタン32a’〜32f’、33’を1枚の操作パネルボード34上に配設したものである。この操作パネルボード34は、上辺が幅広で下辺に向かって幅狭にした横長な矩形状パネルで形成されている。
このように表示パネル31’及び複数個の操作ボタン32a’〜32f’、33’を1枚の操作パネルボード34に配設することにより、各部品をコンパクトに集積化でき、扱いが容易となるとともに炊飯器本体への取付けが簡単になる。また、この操作パネル30’は、操作パネルボード34が上辺が幅広で下辺に向かって幅狭にした横長な矩形状パネルボードで形成されるので、小型箱状をした炊飯器本体に取付けることによってデザイン性の向上が図れる。
この表示パネル31において、こだわり炊飯設定を行う際に表示される表示画面について以下に簡単に説明する。
こだわり炊飯を行う際には、表示パネル31上には、制御装置24により以下の画面が順に表示される。先ず初期画面は、図5(a)に示すように、時刻のみが表示されており、この状態から炊飯を行うためにメニューボタン32eが押圧されると、図5(b)に示すように、ふつう、かため、やわらかめ、高速、炊込みおこわ、おかゆ、あっさりかゆ、すしめし、カレー用、もちもち、こだわり、甘み等の各炊飯設定項目が表示される。その後、十字シフトキー33を操作して、上記表示画面からこだわりを選定すると、この「こだわり」表示が点滅を繰り返す。そこで再びメニューボタン32eを押圧すると、図5(c)に示すように、こだわり炊飯メニューの設定画面が表示される。ここでは「甘み」、「粘り」及び「硬さ」の各パラメータの変更を行うことができ、十字シフトキー33の上下ボタンで設定の変更をするパラメータの選定が行われ、左右ボタンで選定されたパラメータの設定値の変更を行う。上記操作によりこだわり設定が完了すると、再びメニューボタン32eが押圧されることによりその設定を反映し(図5(d)参照)、ここで炊飯スタートボタン32aが押圧されることで炊飯工程の開始表示(図5(e)参照)がなされ、所定時間が経過すると、炊き上がり予定時間の表示がなされる(図5(f)参照)。
以下には上記こだわり炊飯メニューの選択・設定について詳しく説明する。
こだわり炊飯メニューが選択されると、表示パネル31に、甘み、粘り及び硬さがそれぞれ5段階にレベル分けして入力できる画面が表示される。図6は、このこだわり炊飯メニュー画面の異なるタイプの画面を示している。
図6(a)の画面は、甘み、粘り及び硬さを5段階レベルの数字1〜5に星印をマークして好みの炊飯を設定するものである。
この画面を使用して、甘み、粘り及び硬さの設定は、十字シフトキー33により左右上下操作により「こだわり設定」にカーソルを合わせ、メニューボタンを押圧する。すると、例えば図6(a)の画面が表れ、この画面をみて「甘み」、「粘り」及び「硬さ」毎にレベルを設定する。この設定は、例えば甘みに2個、粘りに1個、硬さに5個の星印マークをそれぞれ設定する。この星印マークは、十字シフトキーの左右ボタンを押圧することにより行われる。また、甘み、粘り及び硬さの各パラメータ変更は、このキーの上下ボタンを押圧することにより変更される。それぞれの星印は、甘み2個、粘り1個、硬さ5個となり、これらの星印数により、後述する炊飯パターン「215」が設定できる。この表示パネル31によれば、極めて簡単に甘み、粘り及び硬さのレベルを設定できる。
図6(b)〜図6(g)は、図6(a)とは異なるタイプの画面を示し、白枠をマークして入力する画面(図6(b))、数字を入力する画面(図6(c))、大きな星印を入力する画面(図6(d))、星印に代えて形の異なるマークを入力する画面(図6(e)、図6(f))、更にゼロ(標準)を基準にしてプラス・マイナスで入力する画面(図6(g))等からなっている。これらの画面を利用することにより、ユーザーは、極めて簡単に甘み、粘り及び硬さのレベルを設定できる。
蓋体10は、図3に示すように、鍋7の開口部を閉蓋する内蓋11と、本体2の開口部全体を閉蓋する外蓋12等とで構成されている。この蓋体10は、一端が本体2の一端に枢支され、他端が本体の他端に係止機構により係止されるようになっている。
内蓋11上部には、圧力弁13とこの圧力弁を開放させる圧力弁開放機構18が設けられている。圧力弁13は、図4に示すように、所定径の弁孔14が形成された弁座15と、この弁孔14を塞ぐように弁座15上に載置される金属製ボール16と、このボール16の移動を規制しボール16を弁座15上に保持するカバー17とで構成されている。また、圧力弁開放機構18は、電磁コイルが巻回されたシリンダ19aと、このシリンダ19a内を電磁コイルの励磁により摺動してボール16を移動させるプランジャ19bと、プランジャの先端に装着されたバネ及び作動棹20とで構成されている。
圧力弁開放機構18は、制御装置24により制御される。すなわち、制御装置24からの指令に基づいて電磁コイルが励磁されると、プランジャ19bがシリンダ19aから飛出してボール16に衝突し、このボール16を横方向に押し出す。この押し出しにより、ボール16は弁孔14上から移動され、弁孔14を強制的に開放させる。また、この開放状態において、電磁コイルへの励磁がストップされると、プランジャ19bがシリンダ19a内にばね力により引き戻され、この引っ込みにより、プランジャ19bがボール16を横方向に押す力がなくなり、ボール16は弁孔14上に戻り、弁孔14がボール16により閉塞される。
外蓋12には、内蓋11と外蓋12との間の空間と大気とを連通する蒸気口21が設けられている。また、内蓋11には、鍋内の圧力が所定圧力以上の異常圧力に上昇したときに、鍋内の蒸気を、蒸気口21を介して外部に逃がすための安全弁22が設けられている。また、この内蓋7には、蒸気温度センサ23(図4参照)が取り付けられている。
表示パネルに表示された炊飯メニューは、図7に示す炊飯工程によって実行される。なお、図7は各炊飯工程を鍋底温度対炊飯時間の関係で示した炊飯工程の説明図である。
各種の炊飯メニューを実行する炊飯工程は、図7に示すように、所定の吸水温度及び時間で米に所定量の水を吸水させる吸水工程Iと、この吸水後に水と米とからなる被炊飯物を沸騰温度まで昇温加熱する立上加熱工程IIと、この被炊飯物を所定時間沸騰状態に維持する沸騰維持工程IIIと、この沸騰維持終了後に行う蒸らし工程IVとなっている。このうち蒸らし工程IVは、1回目の蒸らし工程1と、この蒸らし工程1終了後に行う追炊き工程と、追炊き工程の後に行う2回目の蒸らし工程2(仕上げを行う蒸らし工程)とに分かれている。
これらの炊飯工程のうち沸騰維持工程IIIでは、圧力弁の開放制御が行われる。この圧力弁13の開放制御は、立上加熱工程IIで鍋内が沸騰温度に達した後に、圧力弁13の閉時間の長短により、3つの開閉パターンA、B、Cに分けて行われる。開閉パターンAは、所定回数の開閉が行われた後に圧力弁13を閉じ、この閉鎖を追炊き工程後まで継続する弁閉鎖時間が最も長いパターンである。また、開閉パターンBは、所定回数の開閉が行われた後に圧力弁13を閉じ、この閉鎖が鍋内の水分がなくなり温度が最高値、すなわち炊飯切り温度に達するまで継続されるパターンである。更に、開閉パターンCは、所定回数の開閉が行われた後は圧力弁31が開放状態とされるものであり、閉時間が最も短いパターンである。
これらの開閉パターンは、甘み、粘り及び硬さの設定値に基づき選択される(図9参照)。また、この開閉パターン制御は、制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させることにより行われる。
また、沸騰維持工程IIIの終了時に切温度の制御が行われ、蒸らし工程IVにおいて追い炊き時間の制御が行われるが、これらの詳細については後述する。
次に、炊飯メニューのうち、表示パネルに表示される「こだわり」炊飯について説明する。このこだわり炊飯は、ユーザーの味好みを複数に区分し、この区分された味好みを更に複数段階にレベル分けして、炊飯時にユーザーがこれらの区分及びレベルから所定のものを選定できるようになっている。図8は、味好み区分とレベルを説明する説明図である。
ユーザー味好みは、図8(a)に示すように、ご飯の甘み、粘り及び硬さの3つに区分し、更にこの区分はそれぞれが5段階のレベルに細分化されている。
このうち、甘みは、レベル5の甘い、レベル4の少し甘め、レベル3のふつう、レベル2の甘み少し控えめ、及びレベル1の甘み控えめの5段階にレベル分けされている。これらのレベル分けは、炊き上げたご飯のブドウ糖及びショ糖の値(mg/ご飯乾物100g)で決められる。この計測は液体クロマトグラフが使用される。
また粘りは、レベル5の粘りめ、レベル4の少し粘りめ、レベル3のふつう、レベル2の少しあっさり、及びレベル1のあっさりの5段階にレベル分けされる。このレベル分けは、粘着性(N・mm)値で決められる。この計測にはレオメーターが使用される。
更に硬さは、レベル5の硬い、レベル4の少し硬い、レベル3のふつう、レベル2の少し柔らかめ、及びレベル1の柔らかめの5段階にレベル分けされる。このレベル分けは、硬さ(N)の値で決められる。この計測には同じくレオメーターが使用される。
この5段階にレベル分けされた甘み、粘り及び硬さは、こだわり炊飯時に選択・組み合わされる。図8(b)は、この組み合わせパターンを示している。
この甘み、粘り及び硬さをそれぞれ5段階レベルに分けて、それらを組み合わせると、図8(b)に示すように、正四角形の立方体で表すことができる。すなわち、この図8(b)は、3次元座標軸X、Y、Zにおいて、X軸に甘み、Y軸に硬さ、Z軸に粘りをとり、更にX、Y、Z軸を1〜5にレベル分けしてプロットしたものである。そして、この図における三桁の数字は、甘み、硬さ及び粘りの組み合わせを表し、この三桁の数字のうち、3桁目は粘り、2桁目は甘み、1桁目は硬さとなっている。例えば、三桁の数字「115」は、硬さレベル5、粘りレベル1、甘みレベル1となり、この炊飯パターン「115」によって炊き上がったご飯は、甘みと粘りが少なく、硬いご飯、いわゆる硬めのあっさりしたご飯となる。その逆は、数字「551」のパターンとなる。したがって、味好みを甘み、粘り及び硬さの3区分に分け、更にそれぞれを5段階にレベル分けすると、これらの組み合わせの合計は、125通りとなり、この125通りの炊飯パターンで炊飯ができる。
この125通りの炊き分けは、炊飯工程における吸水温度及び吸水時間、沸騰維持電力、弁の開閉回数の制御、及び追炊き時の切温度等を所定値に設定することにより行われる。
図9は甘み、粘り及び硬さと、吸水温度・吸水時間及び沸騰維持電力との関係を説明する説明図である。甘み、粘り及び硬さの制御は、図9に示すように、吸水温度、沸騰維持電力、吸水温度等を各レベル1〜5毎に所定値に設定することによって行われる。以下、この吸水温度、沸騰維持電力、吸水温度等と、甘み、粘り及び硬さ制御との関係を主に図9を参照して説明する。
吸水温度T(℃)は、吸水工程における吸水温度であって、甘みレベル1〜5に対しては、それぞれ温度a1〜a5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さと関連して重みwaが付けられている。これらの温度a1〜a5は、レベル3(ふつう)の温度a3を基準にして、レベル1、2の温度a1、a2は低く、レベル4、5の温度a4、a5は高くしてある。また、粘りレベル1〜5に対しては、それぞれ温度b1〜b5が設定され、これらの値は、他の甘み、硬さと関連して重みwaが付けられている。これらの温度b1〜b5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、21は高く、レベル4、5は低くしてある。更に、硬さレベル1〜5に対しては、それぞれ温度c1〜c5が設定され、これらの値は、他の甘み、粘りと関連して重みwcが付けられている。これらの温度c1〜c5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は高く、レベル4、5は低くしてある。
そして、これらの甘み重みwa、粘り重みwb、及び硬さ重みwcの合計値は100%であり、これらの関係は、wb>wc>waとしてある。この関係から吸水温度は、粘りに最も寄与し、その寄与度は硬さ、甘みの順になり、この吸水温度の高低により、米の吸水率が変わり、その結果、炊き上がり時の粘りがコントロールされることになる。
沸騰維持電力Pは、沸騰維持工程において鍋内の被炊飯物を沸騰状態に加熱維持するために供給される電力であって、甘みレベル1〜5に対しては、それぞれ電力d1〜d5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwdが付けられている。これらの電力d1〜d5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は高く、レベル4、5は低くしてある。また、粘りレベル1〜5に対しては、それぞれ電力e1〜e5が設定され、これらの値は、他の甘み、硬さと関連して重みweが付けられている。これらの電力e1〜e5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は高く、レベル4、5は低くしてある。更に、硬さレベル1〜5に対しては、それぞれ電力f1〜f5が設定され、これらの値は、他の甘み、粘りと関連して重みwfが付けられている。これらの電力f1〜f5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は高く、レベル4、5は低くしてある。
そして、甘み重みwd、粘り重みwe、及び硬さ重みwfの合計値は100%であり、これらの関係は、wd>wf>weとしてある。この関係から沸騰維持電力は、甘みに最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になる。したがって、沸騰維持電力を変化させると、被炊飯物が沸騰している時間が変わり、その沸騰時間の長短により、甘みの度合いをコントロールできる。すなわち、沸騰時間を長くすると、甘みが多くなり、短くすると甘みは少なくなる。
弁の開閉Vは、沸騰維持工程における圧力弁の開閉パターンを示すものであって、甘みレベル1〜5に対しては、それぞれ前記の開閉パターンA〜C(図7参照)が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みw1が付けられている。また、粘りレベル1〜5に対しても、同様にそれぞれ開閉パターンA〜Cが設定され、これらのパターンは、他の甘み、硬さと関連して重みw2が付けられている。更に、硬さレベル1〜5に対しても、それぞれ開閉A〜Cが設定され、これらの値は、他の甘み、硬さと関連して重みw3が付けられている。
そして、これら甘み重みw1、粘り重みw2、及び硬さ重みw3の合計値は100%であり、これらの関係は、w3>w2>w1としてある。この関係から弁の開閉において、開閉パターンの相違、すなわち弁の閉時間の長さは、硬さに最も寄与し、その寄与度は粘り、甘みの順になっている。
切温度CTは、炊飯工程において、鍋内の水分が枯渇して昇温された状態で沸騰維持電力を切断する炊飯切温度であって、甘みレベル1〜5に対しては、切温度g1〜g5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwgが付けられている。これらの切温度は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は低く、レベル4、5は高くしてある。また、粘りレベル1〜5に対しては、切温度h1〜h5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwhが付けられている。これらの切温度は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は高く、レベル4、5は低くしてある。更に、硬さのレベル1〜5に対しては、切温度i1〜i5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwiが付けられている。これらの切温度は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は低く、レベル4、5は高くしてある。
そして、これらの甘み重みwg、粘り重みwh、及び硬さ重みwiの合計値は100%であり、これらの関係は、wg>wh>wiとしてある。この関係から切温度は、甘みに最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になっている。したがって、この切温度は、甘みをコントロールする要因として効果を発揮する。また、この切温度は、その温度を変えると、香りをコントロールできる。その結果、切温度が高いと香りが多く、香ばしいものとなり、切温度が低いと香りが少なくなる。
追炊きCOは、蒸し工程における追い炊き時間(図7参照)であって、甘みレベル1〜5に対しては、追い炊き時間j1〜j5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwjが付けられている。これらの追い炊き時間は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は低く、レベル4、5は高くしてある。また、粘りレベル1〜5に対しては、追い炊き時間k1〜k5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwkが付けられている。これらの追い炊き時間は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は低く、レベル4、5は高くしてある。更に、硬さのレベル1〜5に対しては、追い炊き時間m1〜m5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さとの関連で重みwmが付けられている。これらの追い炊き時間は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は低く、レベル4、5は高くしてある。
そして、これらの甘み重みwj、粘り重みwk、及び硬さ重みwmの合計値は100%であり、これらの関係は、wj>wm>wkとしてある。この関係から追炊き時間は、甘み最も寄与し、その寄与度は硬さ、粘りの順になっている。したがって、この追い炊き時間は甘みをコントロールする要因として効果を発揮する。
更に、吸水時間Hも、甘みレベル1〜5に対してそれぞれ時間n1〜n5が設定され、これらの値は、他の粘り、硬さと関連して重みwnが付けられている。これらの時間n1〜n5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は短く、レベル4、5は長くしてある。また、粘りレベル1〜5に対しては、それぞれ時間o1〜o5が設定され、これらの値は、他の甘み、硬さと関連して重みwoが付けられている。これらの時間o1〜o5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1、2は短く、レベル4、5は長くしてある。更に、硬さレベル1〜5に対してもそれぞれ時間p1〜p5が設定され、これらの値は、他の甘み、粘りと関連して重みwpが付けられている。これらの時間p1〜p5は、レベル3(ふつう)を基準にして、レベル1は長く、レベル4、5は短くしてある。
そして、これらの甘み重みwn、粘り重みwo、及び硬さ重みwpの合計値は100%であり、これらの関係は、wp>wn>woとしてある。この関係から吸水時間は、硬さに最も寄与し、その寄与度は甘み、粘りの順になる。したがって、この吸水時間の長短により、硬さをコントロールできる。すなわち、吸水時間を長くすると、柔らかくなり、短くすると硬くなる。
甘み、粘り及び硬さの制御は、上記の吸水温度、沸騰維持電力、吸水温度等を各レベル1〜5毎に所定値に設定することによって行われるが、以下に、これらの値に基づいた幾つかの炊飯パターン例を説明する。
例えば、炊飯パターン「115」が選択されると、この炊飯パターンを実行するために、制御装置はこのパターンの吸水温度T115、沸騰維持電力P115、及び吸水温度H115等を次の計算式によりそれぞれ算出する。すなわち、
吸水温度T115=a1×wa+b1×wb+c5×wc ・・・・(式1)
沸騰維持電力P115=d1×wd+e1×we+f5×wf ・・・・(式2)
弁の開閉V115=C×w1+C×w2+C×w3 ・・・・(式3)
切温度CT115=g1×wg+h1×wh+i5×wi ・・・・(式4)
追炊きCO115=j1×wj+k1×wk+m5×wm ・・・・(式5)
吸水時間H115=n1×wn+o1×wo+p1×wp ・・・・(式6)
をそれぞれ算出する。
この算出結果から、炊飯パターン「115」の炊飯は、吸水温度T115、沸騰維持電力P115、及び吸水温度H115等に基づいて行われる。この炊飯パターン「115」により、炊き上がったご飯は、甘みと粘りが少なく、硬いご飯、いわゆる硬めのあっさりしたものとなる。
また、別の炊飯パターン「551」が選択されると、制御装置は、吸水温度T551、沸騰維持電力P551、吸水時間H551等を算出する。この際の式は上記(式1)〜(式6)と同様であり、例えば吸水温度T551は、a5×wa+b5×wb+c1×wc、沸騰維持電力P551は、d5×wd+e5×we+f1×wf、吸水時間H551は、j5×wj+k5×wk+m1×wmであり、同様にして弁の開閉V511、切温度CT511及び追炊きCO551を算出する。そして、この算出結果に基づいて、炊飯パターン「551」の炊飯が行われる。
次に、この炊飯器の炊飯メニューによる炊飯工程を図10〜図12を参照して説明する。なお、表示パネルには各種の炊飯メニューが表示されるが、以下には、このうち2つの炊飯メニュー、すなわち白米・標準炊飯メニューとこだわり炊飯メニューについて説明する。
先ず、炊飯の開始に際し、ユーザーにより所定量の水と白米が投入された鍋7が内部ケース4内に収容され、蓋体10が閉められる(S101)。次いで、表示操作部30により炊飯メニューが選択される(S102)。ここで標準炊飯メニューが選択されると(S103)、内部ケース4の外底壁と外側壁とに取り付けられた加熱手段5に高周波電流が印加され、鍋7に渦電流が発生してこの鍋が加熱され、被炊飯物の加熱が開始される(S104a)。
次に、制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動せしめ、圧力弁13を強制的に開状態にし(S105a)、吸水工程Iが実行される(S106a)。この吸水工程Iが開始されると、吸水タイマ(図示せず)が吸水時間T1の計時を開始し(S107a)、次いで鍋底温度センサ6により鍋底温度K1が計測される(S108a)。この鍋底温度K1の計測は所定の温度に達するまで行われ、鍋底温度が所定値、例えば55℃に達したことを確認すると(S109a)、制御装置24により加熱手段5の加熱量を制御して被炊飯物を所定温度に保持しつつ(S110a)、吸水時間の計測が行われる。この吸水工程Iは、予め設定された吸水時間T1、例えば10分間継続される。
設定された吸水時間T1(10分間)が経過すると(S111a)、立上加熱工程IIに移行する(S112a)。この立上加熱工程IIは、短時間で沸騰状態になるように加熱手段5を全加熱(フルパワー加熱)するとともに、制御装置24により、圧力弁開放機構18を作動させてプランジャ19aを引き戻すことでボール16により圧力弁13を閉鎖させる。つまり、ボール16が、自重により弁孔14上に転げて弁孔14を塞ぎ、圧力弁13を閉鎖状態とする(S113a)。この状態においては、鍋7内の圧力は弁孔14を介してボール16を押し上げ得る圧力値に上昇するまで昇圧される。したがって、このときの鍋内の蒸気の圧力は、ボール16の重さ及び弁孔14の大きさを設定することにより適宜定めることができる。
この立上加熱工程IIでは、蒸気温度K2を蒸気温度センサ23により計測する(S114a)。そしてこの蒸気温度K2が所定温度、例えば75℃に達すると(S115a)、被炊飯物が沸騰現象を起こす温度になり、立上加熱工程IIが終了する。このときの鍋7内の圧力は、圧力弁13により制御され、大気圧以上の所定圧力、例えば約1.2気圧となる。そして、図11に示すように、沸騰維持工程IIIが開始される(S116)。
沸騰維持工程IIIに移行すると、鍋7内の圧力は大気圧以上の所定圧力、例えば約1.2気圧となり、被炊飯物はこの圧力に対応する飽和温度で沸騰するようになる。
また、沸騰維持工程IIIに入ると、直ちに制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動させることで圧力弁13の強制的な開動作が行われる(S117)。またこの開動作の際には、加熱手段5の加熱を停止して(S118)、圧力弁13の強制的開動作を所定時間、例えば4秒間継続する(S119)。この圧力弁13の強制的開動作により、鍋7内の圧力が大気圧近傍まで低下する。
このように沸騰維持工程IIIにおいて、鍋7内の圧力を所定沸騰圧力(約1.2気圧)から一気に大気圧近傍まで低下させると、鍋7内は激しい突沸状態となる。この突沸状態になると、鍋内に泡が発生し、この泡によって被炊飯物が撹拌される。この結果、被炊飯物が均一に加熱され、炊き上げられることになる。
圧力弁13を強制的に開放する所定時間は、1回目の圧力弁13の強制的開動作により鍋7内の圧力が略大気圧に戻る程度の時間(すなわち4秒程度)に定められている。圧力弁13を強制的に大気圧に開放する時間をこのように設定することにより、最大限の撹拌エネルギーを得ることができるようにしている。また、圧力弁13の強制的な開放を上記所定時間(4秒間)行った後、圧力弁開放機構18を作動させて再び圧力弁を閉状態とし(S120)、所定時間、例えば28秒間再び加熱する(S121、S122)。なお、この加熱時間(28秒間)は、鍋7内の圧力が前述の所定圧力(約1.2気圧)まで回復するのに必要な時間である。また、この時間は、予め実験的に求められる。
この圧力弁開放機構による圧力弁13の強制的開放は複数回、例えば6回繰り返される(S133)。なお、S121、S122に示す沸騰工程において時間が経過すると、鍋7内の残水量が減少し、圧力変動幅が小さくなり、突沸現象が弱くなる。このため、圧力弁13の強制的な開放は沸騰維持工程IIIの初期段階に集中させると効果的である。
圧力弁13を複数回開放する操作を終えると、圧力弁開放機構18による圧力弁13の強制的開放が停止され、圧力弁13を閉状態とする(S134)。そして、加熱手段5による加熱を継続し(S135)、鍋底温度K3を計測する(S136)。そして、鍋底温度K3が所定温度、例えば130℃になると(S137)、鍋7内の水が枯れて強制ドライアップが終了したと判断されるので、加熱手段5による加熱作用を停止する(S138)。
続いて、蒸らし工程IVを開始し、先ず蒸らし工程1に移行させ、蒸らし時間T2の計時を開始する(S139)。所定の蒸らし時間T2が所定時間、例えば4分経過すると(S140)、圧力弁開放機構18により圧力弁13を強制的に開放し(S141)、追炊き工程に移行する。この追炊き工程に入ると、加熱手段5により再加熱して米の表面に付着した水を蒸発させると共に、追炊き(再加熱)時間T3の計測を行う(S142)。そして、所定の追炊き時間T3、例えば3分が経過すると(S143)、加熱手段5による加熱動作を停止し、蒸らし工程2に移行し、蒸らし時間T4を計時する(S144)。そして、蒸らし時間T4が所定時間、例えば5分経つと(S145)、炊飯を終了し(S146)、保温工程に移行し(S147)、標準炊飯工程を終了する。
次に、図3、図10及び図12〜図14を参照して、こだわり炊飯メニューを実行する炊飯工程を説明する。
先ず、白米・標準メニューを選択する場合と同様に、被炊飯物及び水が投入された鍋7を内部ケース4にセットし(S101)、炊飯コースとしてこだわり炊飯メニューを選択すると(S102、S103)、こだわり設定の設定処理が実行される(S200)。
図14はこだわり設定処理工程を示すフローチャートである。図14に示すように、こだわり設定処理が実行されると、先ず以前にこだわり設定として設定が行われて記憶された設定値を読み出し(S201)、この設定値をデフォルト表示として表示パネル31にこだわり設定画面の表示が行われる(S202)。ここで、炊飯スタートボタン32aが押圧されると(S203)、制御装置24では前記既に記憶され、表示が行われた設定値での炊飯を行うものと認識し、このこだわり設定値に対応した前記(式1)〜(式6)に対応する数値を条件算出手段(図示省略)で算出し、炊飯を開始(S204)してこだわり設定処理を完了する。
こだわり設定画面が表示された際(S202)に十字シフトキー33のいずれかが押圧されるとこだわり設定値の変更が行われる。詳しくは、十字シフトキー33のうち上下方向キーが押圧されると(S205)、甘み、粘り及び硬さの各パラメータの選択操作を行うことができ(S206)、左右方向キーが押圧されると(S207)、上下方向キーにより選択されたパラメータの設定値を変更することができるようになっている(S208)。このこだわり設定値の変更が完了すると、炊飯スタートボタン32aが押圧される(S209)。すると、制御装置24側では、ここで変更されたこだわり設定値を記憶装置(図示省略)内に記憶(S210)して次回からのこだわり設定処理の際にデフォルト表示できるようにし、その後この記憶したこだわり設定値に対応する(式1)〜(式6)に示すような数値を条件算出手段(図示省略)で算出し、での炊飯を開始する。
すなわち、ユーザーにゆり選択されたこだわり設定値は、以降の炊飯の際にも同様の数値で炊飯が可能なように設定値が変更されるごとにその変更内容を記憶するようにし、ユーザーによる選択作業を省略できるようになっている。なお、上では記憶した設定値はデフォルト表示として設定画面に表示されるものとしたが、この様な方法に限らず、例えば記憶されるこだわり設定値は複数個可能とし、ユーザーがその設定値を適宜読み出すこととしても良い。
上記こだわり設定処理が完了すると、制御装置24は炊飯工程を開始する。炊飯工程が開始されると、内部ケース4の外底壁と外側壁とに取り付けられた加熱手段5に高周波電流が印加され、鍋7に渦電流が発生してこの鍋が加熱され、被炊飯物の加熱が開始される(S104b)。次に、制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動せしめ、圧力弁13を強制的に開状態にし(S105b)、吸水工程Iが実行される(S106b)。この吸水工程Iが開始されると、吸水タイマ(図示せず)が吸水時間T1の計時を開始し(S107b)、次いで鍋底温度センサ6により鍋底温度K1が計測される(S108b)。この鍋底温度K1の計測は所定の温度に達するまで行われるがこの温度はこだわり設定処理が行われた際に設定されたこだわり設定値を参照して上記(式1)で示した式を用いて算出される。鍋底温度が吸水温度Tに達したことを確認すると(S109b)、制御装置24により加熱手段5の加熱量を制御して被炊飯物を所定温度に保持しつつ(S110b)、吸水時間T1の計測が継続して行われる。この吸水工程Iは、予め設定された吸水時間T1、詳しくは(式6)で示した式を用いて算出された吸水時間Hの間行われる。
設定された吸水時間Hが経過すると(S111b)、立上加熱工程IIに移行する(S112b)。この立上加熱工程IIは、短時間で沸騰状態になるように加熱手段5を全加熱(フルパワー加熱)するとともに、制御装置24により、圧力弁開放機構18を作動させてプランジャ19aを引き戻すことでボール16により圧力弁14を閉鎖させる。つまり、ボール16が自重により弁孔14上に転げて弁孔14を塞ぎ、圧力弁14を閉鎖状態とする(S113b)。この状態においては、鍋7内の圧力は弁孔14を介してボール16を押し上げ得る圧力に上昇するまで昇圧される。したがって、このときの鍋内の圧力は、ボール16の重さ及び弁孔14の大きさを設定することにより適宜定めることができる。
この立上加熱工程IIでは、蒸気温度K2を蒸気温度センサ23により計測する(S114b)。そしてこの蒸気温度K2が所定温度、例えば75℃に達すると(S115b)、被炊飯物が沸騰現象を起こす温度になり、立上加熱工程IIが終了する。このときの鍋7内の圧力は、圧力弁13により制御され、大気圧以上の所定圧力、例えば約1.2気圧となる。そして、図12に示す沸騰維持工程IIIが開始される(S151)。
沸騰維持工程IIIに移行すると、鍋7内の圧力が大気圧以上の所定圧力、例えば約1.2気圧となり、被炊飯物はこの圧力に対応する飽和温度で沸騰するようになる。なお、このとき供給される電力は(式3)に示した式を用いて算出された沸騰維持電力Pである。この沸騰維持電力Pは沸騰時間を可変させる。
また、沸騰維持工程IIIに入ると、直ちに制御装置24により圧力弁開放機構18を作動させてボール16を移動させることで圧力弁13の強制的な開動作が行われる(S152)。またこの開動作の際には、加熱手段5の加熱を停止して(S153)、圧力弁13の強制的開動作を所定時間、例えば4秒間継続する(S154)。この圧力弁13の強制的開動作により、鍋7内の圧力が大気圧近傍まで低下する。
このように沸騰維持工程IIIにおいて、鍋7内の圧力を所定沸騰圧力(約1.2気圧)から一気に大気圧近傍まで低下させると、鍋7内は激しい突沸状態となる。この突沸状態になると、鍋内に泡が発生し、この泡によって被炊飯物が撹拌される。この結果、被炊飯物が均一に加熱され、炊き上げられることになる。
圧力弁13を強制的に開放する所定時間は、1回目の圧力弁13の強制的開動作により鍋7内の圧力が略大気圧に戻るよう程度の時間(すなわち4秒程度)に定められている。圧力弁13の強制的に開放する時間をこのように設定することにより、最大限の撹拌エネルギーを得ることができるようにしている。また、圧力弁13の強制的な開放を上記所定時間(4秒間)行うと、圧力弁開放機構18を作動させて再び圧力弁を閉状態とし(S155)、所定時間、例えば28秒間再び加熱する(S156、S157)。なお、この加熱時間(28秒間)は、鍋7内の圧力が前述の所定圧力(約1.2気圧)まで回復するのに必要な時間である。また、この時間は、予め実験で求められる。
この圧力弁開放機構による圧力弁13の強制的開放は複数回、例えば6回繰り返される。このとき、こだわり設定により、(式2)に示した式を用いて算出された弁開閉Vが開閉パターンCである場合は(S158)、圧力弁開閉が5回既に行われたかが検出され(S159)、既に行われている際には圧力弁を開状態とし(S160)、S162以降の処理に移行する。また、弁開閉Vが開閉パターンCではない場合には圧力弁開閉が6回行われたか否かが検出され(S161)、行われている際にはS162に移行し、行われていない場合は6回に達するまで上記処理を継続する。なお、S156、S157に示す沸騰工程において時間が経過すると、鍋7内の残水量が減少し、圧力変動幅が小さくなり、突沸現象が弱くなる。このため、圧力弁13の強制的な開放は沸騰維持工程IIIの初期段階に集中させると効果的である。
圧力弁13を複数回開放する操作を終えると、圧力弁開放機構18による圧力弁13の強制的開放が停止される。そして、加熱手段5による加熱を継続し(S162)、鍋底温度K3を計測する(S163)。そして、鍋底温度K3が所定温度、詳しくは(式4)に示した式で算出された切温度CTに達すると(S164)、鍋7内の水が枯れて強制ドライアップが終了したと判断されるので、加熱手段5による加熱作用を停止する(S165)。
続いて、図13に示すように、(式2)に示した式を用いて算出された弁開閉Vが開閉パターンBであるか否かが検出され(S166)、開閉パターンBである場合は圧力弁を開状態とする(S167)。そして、蒸らし工程IVを開始し、先ず蒸らし工程1に移行させ、蒸らし時間T2の計時を開始する(S168)。所定の蒸らし時間T2が所定時間、例えば4分経過すると(S169)、(式2)に示した式を用いて算出された弁開閉Vが開閉パターンAであるか否かが検出され(S170)、開閉パターンAである場合は圧力弁を開状態とし(S171)、追炊き工程に移行する。この追炊き工程に入ると、加熱手段5により再加熱して米の表面に付着した水を蒸発させると共に、追炊き(再加熱)時間T3の計測を行う(S172)。そして、所定の追炊き時間T3、詳しくは(式5)に示した式により算出した追炊き(時間)COが経過すると(S173)、加熱手段5による加熱動作を停止し、蒸らし工程2に移行し、蒸らし時間T4を計時する(S174)。そして、蒸らし時間T4が所定時間、例えば5分経つと(S175)、炊飯を終了し(S176)、保温工程に移行し(S177)、こだわり炊飯工程を終了する。
以上に述べたように、本発明の炊飯器によれば、ユーザーは、表示パネルに表示された甘み、粘り、硬さ等をそれぞれレベル分けして入力することによって、お好みの炊飯を簡単な操作で行うことができるこだわり炊飯を行うことができ、味へのこだわりが強いユーザーにも充分に満足感を与える炊飯ができる炊飯器を提供できるものである。
なお、この実施形態では、味好みを、甘み、粘り及び硬さに区分けし、更にそれぞれを5段階にレベル分けしているが、更に細区分化・細レベル化してもよい。更に、他の味好み、例えば香り、旨み、弾力性、つや等の味好みにし、これらを細区分化・細レベル化してもよい。
また、鍋内の圧力は、圧力弁及びこの圧力弁開放機構により調整したが、このような機構を設けない圧力弁制御により構成してもよい。