JP4691833B2 - 金属蒸着被膜を表面に有する希土類系永久磁石の製造方法 - Google Patents

金属蒸着被膜を表面に有する希土類系永久磁石の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、均一かつ密着性に優れた耐食性被膜としての金属蒸着被膜を磁石の表面に安定して形成することができる希土類系永久磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Nd−Fe−B系永久磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石などの希土類系永久磁石は、高い磁気特性を有しており、今日様々な分野で使用されている。
しかしながら、希土類系永久磁石は、大気中で酸化腐食されやすい金属種(特にR)を含む。それ故、表面処理を行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの影響によって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを招くことになる。さらに、磁気回路などの装置に組み込んだ磁石に錆が発生した場合、錆が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。
上記の点に鑑み、希土類系永久磁石に優れた耐食性を付与することを目的として、真空蒸着法やイオンプレーティング法などにより、その表面にアルミニウムやチタンなどの金属蒸着被膜を形成することが行われている。
特に、アルミニウム蒸着被膜は耐食性や量産性に優れていることに加え、部品組み込み時に必要とされる接着剤との接着信頼性に優れている(接着剤が本質的に有する破壊強度に達するまでに被膜と接着剤との間で剥離が生じにくい)ので、強い接着強度が要求される希土類系永久磁石に対しても広く適用されている。ここで接着剤としては、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、反応性アクリル樹脂系、変性アクリル樹脂系(紫外線硬化型接着剤や嫌気性接着剤)、シアノアクリレート系、シリコーン樹脂系、ポリイソシアネート系、酢酸ビニル系、メタクリル樹脂系、ポリアミド系、ポリエーテル系などの各種樹脂系接着剤、各種樹脂系接着剤(例えば、酢酸ビニル樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤など)のエマルジョン型接着剤、各種ゴム系接着剤(例えば、ニトリルゴム系接着剤やポリウレタンゴム系接着剤など)、セラミックス接着剤などが耐熱性や耐衝撃性などの目的に応じて適宜選択されて使用される。
【0003】
希土類系永久磁石の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成する場合、一般には蒸着装置の処理室内を高い真空度、例えば10−4Pa以下とし、処理室内のO分圧をできる限り低くすることが要求される。なぜなら、処理室内のO分圧が高い雰囲気下で蒸着処理を行った場合、溶融蒸発部から蒸発したアルミニウムが希土類系永久磁石に到達するまでの間に処理室内に存在するOによって酸化されてしまって良質のアルミニウム蒸着被膜が形成されなかったり、溶融蒸発部内のアルミニウム溶湯の表面に酸化アルミニウムの被膜が形成されてしまってアルミニウムが十分に蒸発しなかったり、希土類系永久磁石の表面が酸化腐食されてしまったりするからである。このため、従来、処理室内に存在するOの除去を目的として、処理室内を高い真空度にするために長時間の真空排気を行ったり、大掛かりな排気装置を使用したりしていた。
【0004】
以上のような状況において、処理室内の真空度が比較的低い雰囲気下、例えば10−3Pa以上であっても蒸着処理を行うことができる方法が待ち望まれており、かかる点に鑑みて、本発明者は、処理室内に水素ガスを供給して蒸着処理を行う方法を提案した(特開2001−32062号公報参照)。この方法によれば、処理室内にOが存在することによる悪影響を水素ガスを供給することによって解消することができ、処理室内の真空度が10−3Pa以上であっても蒸着処理が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法は、処理室内を高い真空度にするために長時間の真空排気を行ったり、大掛かりな排気装置を使用したりすることなく、希土類系永久磁石の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成することができる方法として優れたものである。しかしながら、時として、形成された被膜の膜厚にムラがあったり、被膜と磁石の表面との密着性が乏しいことにより、被膜が耐食性に劣っていたり、被膜をピーニング処理すると被膜が磁石の表面から剥離することがあった。
そこで、本発明においては、均一かつ密着性に優れた耐食性被膜としての金属蒸着被膜を磁石の表面に安定して形成することができる希土類系永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ところで、希土類系永久磁石の表面に金属蒸着被膜を形成する場合、希土類系永久磁石の表面に生成した酸化層を除去するために、通常、蒸着処理の前工程として、アルゴンガスのような不活性ガスを使用したグロー放電を行ってその表面の清浄化を行う。本発明者は、この磁石の表面の清浄化工程に着目し、種々の検討を行った結果、磁石の表面の清浄化工程中における処理室内に存在するHOが該工程後に行われる蒸着処理によって形成される金属蒸着被膜の品質の良し悪しに影響を及ぼすことを知見した。
【0007】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明の希土類系永久磁石の製造方法は、請求項1記載の通り、蒸着装置の処理室内に水素ガスを供給して処理室内のHO分圧に対する水素ガス分圧の比(H/HO分圧比)を0.3以上の雰囲気とし、該雰囲気下で不活性ガスを使用したグロー放電を行って希土類系永久磁石の表面を清浄化した後、蒸着処理を行って磁石の表面に金属蒸着被膜を形成することを特徴とする。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、水素ガスを供給する前の処理室内の真空度を10−3Pa〜10Paとすることを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1または2記載の製造方法において、処理室内の水素ガス分圧が10Pa以下となるように水素ガスを供給することを特徴とする。
また、請求項4記載の製造方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法において、処理室内の不活性ガス分圧を0.1Pa〜10Paにしてグロー放電を行うことを特徴とする。
また、請求項5記載の製造方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法において、グロー放電時の電圧を絶対値として0.1kV〜10kVとすることを特徴とする。
また、請求項6記載の製造方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法において、不活性ガスがアルゴンガスであることを特徴とする。
また、請求項7記載の製造方法は、請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法において、処理室内の全圧を10Pa以下とすることを特徴とする。
また、請求項8記載の製造方法は、請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法において、処理室内のHO分圧を1Pa以下とすることを特徴とする。
また、請求項9記載の製造方法は、請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法において、金属蒸着被膜がアルミニウム蒸着被膜であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の希土類系永久磁石の製造方法は、蒸着装置の処理室内に水素ガスを供給して処理室内のHO分圧に対する水素ガス分圧の比(H/HO分圧比)を0.3以上の雰囲気とし、該雰囲気下で不活性ガスを使用したグロー放電を行って希土類系永久磁石の表面を清浄化した後、蒸着処理を行って磁石の表面に金属蒸着被膜を形成することを特徴とするものである。以上の雰囲気下で不活性ガスを使用したグロー放電を行って希土類系永久磁石の表面を清浄化し、続いて、蒸着処理を行えば、磁石の表面の清浄化を十分に行うことができることから、均一かつ密着性に優れた耐食性被膜としての金属蒸着被膜を磁石の表面に安定して形成することができるようになる。
【0009】
以上の効果は、次のような作用によってもたらされると考えられる。即ち、蒸着装置の処理室内にHOが存在している場合、不活性ガスを使用したグロー放電を行って希土類系永久磁石の表面を清浄化しても、磁石の表面に既に存在する酸化層を除去できないばかりか、脆弱な酸化層や水和酸化層をかえって生成せしめてしまうことになる。真空度が比較的低い雰囲気下、例えば10−3Pa以上の雰囲気下では、HO分圧が非常に高く、その現象が顕著である。しかしながら、本発明に従って、処理室内に水素ガスを供給して処理室内のHO分圧に対する水素ガス分圧の比(H/HO分圧比)を0.3以上の雰囲気とすれば、水素ガスを供給する前の真空度が10−3Pa以上であっても、処理室内に存在するHOの悪影響を水素ガスによって解消することが可能となり、既に存在する酸化層を除去することができるとともに、新たな脆弱な酸化層や水和酸化層の生成を抑制することができるようになる。これにより、希土類系永久磁石と金属蒸着被膜との界面において、優れた密着性の付与に寄与するM−O−Nd界面層(Mは金属蒸着被膜の構成元素:特にMがアルミニウムの場合に密着性に対する効果が大きい)が形成されやすくなるのであると考えられる。
【0010】
但し、水素ガスを供給する前の真空度が10Paを越えている場合、グロー放電時に異常放電が起こり、エッチング効果を阻害する恐れがある。従って、該真空度は10Pa以下とすることが望ましい。
【0011】
処理室内にHOが存在することによる悪影響を解消するための処理室内への水素ガスの供給は、多ければよいというものではなく、処理室内に存在するHOの量にも依存するが、通常、処理室内の水素ガス分圧が10Pa以下となるように行うことが望ましい。処理室内の水素ガス分圧が10Paを越えると、磁石が水素吸蔵を起こして磁気特性が劣化したりする恐れがあるからである。一方、HOが存在することによる悪影響をより確実に解消するためには、処理室内への水素ガスの供給は、通常、少なくとも処理室内の水素ガス分圧が10−3Pa以上となるように行うことが望ましい。
【0012】
処理室内への水素ガスの供給は、どのような手段を利用して行ってもよく、例えば、外部から処理室内への水素ガス導入管を通して供給すればよい。また、以下のような方法を採用することもできる。即ち、特開2001−32062号公報に記載したような、水素ガスを含有するワイヤー状金属蒸着材料を溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることにより、該金属蒸着材料から水素ガスを発生させるとともに処理室内壁などに金属蒸着材料を被着させる。処理室内壁などに被着した金属蒸着材料は処理室内に発生した水素ガスを吸着するので、この特性を利用すれば、処理室内壁などに水素ガスを含有する金属蒸着材料を被着させることができる。その後、処理室内に希土類系永久磁石を収容し、所定の真空度にすれば、水素ガスを含有する金属蒸着材料から水素ガスが放出されるので、結果的に、処理室内に水素ガスを供給することができる。
【0013】
グロー放電は処理室内の不活性ガス分圧を0.1Pa〜10Paにして行うことが望ましい。不活性ガス分圧が0.1Pa未満であるとグロー放電による磁石の表面の清浄化が十分になされない恐れがある一方、10Paを越えるとグロー放電時に異常放電が起こり、エッチング効果を阻害する恐れがあるからである。
【0014】
グロー放電時の電圧は絶対値として0.1kV〜10kVとすることが望ましい。電圧が0.1kV未満であるとグロー放電による磁石の表面の清浄化が十分になされない恐れがある一方、10kVを越えるとグロー放電時に異常放電が起こり、エッチング効果を阻害する恐れがあるからである。
【0015】
グロー放電に使用される不活性ガスに特段の制限はないが、通常、アルゴンガスが好適に使用される。
【0016】
処理室内の全圧は10Pa以下とすることが望ましい。処理室内の全圧が10Paを越えると、グロー放電時に異常放電が起こり、エッチング効果を阻害する恐れがあるからである。
【0017】
前述の通り、本発明によれば、処理室内の真空度が10−3Pa以上であっても磁石の表面の清浄化を十分に行うことが可能となる。従って、処理室内に存在するHOの除去を目的として、処理室内を高い真空度にするために長時間の真空排気を行ったり、大掛かりな排気装置を使用したりする必要もない。しかしながら、処理室内に存在するHOの絶対量が多い場合には、その悪影響を水素ガスによって解消しきれないこともあり得る。そのため、HOが存在することによる悪影響をより確実に解消するためには、HO分圧は1Pa以下とすることが望ましい。
【0018】
処理室内を高い真空度にすることなく処理室内のHO分圧を低減する方法としては、例えば、処理室内にクライオポンプを設置してHOを水蒸気として凝縮し、排気する方法が挙げられる。この場合、クライオポンプは、蒸着処理によって損傷を受けないように溶融蒸発部から極力遠い位置に設置することが望ましい。また、クライオポンプと溶融蒸発部との間には、クライオポンプが溶融蒸発部からの輻射熱を受けにくくするために遮蔽板を設けることが望ましい。
【0019】
また、希土類系永久磁石の表面に金属蒸着被膜を形成するための蒸着処理を行うと、処理室内壁などに金属蒸着材料が被着する。蒸着処理を行った後、処理室内を冷却するために大気開放すると、処理室内壁などに被着した金属蒸着材料は大気中のHOを吸着する。HOを含有する金属蒸着材料が被着した処理室内でグロー放電を行おうとすると、HOを含有する金属蒸着材料からHOが放出され、グロー放電時のHO分圧の上昇を招いてしまう。大量生産の際に蒸着処理とその後の大気開放を繰り返し行っていると、その現象が顕著になる。従って、このような問題を解消するためには、処理室内壁などに被着したHOを含有する金属蒸着材料を除去することが望ましい。該金属蒸着材料を除去する方法としては、工具を用いて切削除去する方法、アルカリ溶液を用いて溶解除去する方法などが挙げられる。また、処理室内の構成部品については着脱自在としておき、HOを含有する金属蒸着材料が被着した部品は処理室内から取り外し、上記の方法などにより該金属蒸着材料を除去するようにしてもよい。HOを含有する金属蒸着材料をアルカリ溶液を用いて溶解除去した場合、処理室内壁などにはHOが多量に残存しているので、処理室内にクライオポンプを設置してHOを水蒸気として凝縮し、排気したりすることが望ましい。
【0020】
本発明による希土類系永久磁石の表面の清浄化は、蒸着装置の処理室内で行われるものである。本発明が適用される蒸着装置の方式や形状に特段の制限はない。しかしながら、メッシュ金網などで作製された筒型バレルに複数個の磁石を収容し、磁石を収容した筒型バレルを水平方向に回転させることにより磁石を攪拌しながら蒸着処理を行うことができる装置(必要であれば特開2001−32062号公報を参照のこと)を使用し、蒸着処理を行う前に、磁石を収容した筒型バレルを水平方向に回転させることにより磁石を攪拌しながらその表面の清浄化を行うことが、各磁石に対する表面の均一な清浄化を効率よく行うことができ、かつ、大量の磁石であっても一度に処理を行うことができる点において望ましい。
【0021】
なお、グロー放電時間は、磁石の処理量などによって適宜選定されるが、1分〜1時間であることが望ましく、5分〜30分であることがより望ましい。グロー放電時間が1分未満であると磁石の表面の清浄化が十分になされない恐れがある一方、1時間を越えると生産性の低下を招く恐れや、上記のような、磁石を収容した筒型バレルを水平方向に回転させることにより磁石を攪拌しながらその表面の清浄化を行う場合、磁石同士の衝突などにより磁石の割れや欠けが多発する恐れがあるからである。
【0022】
【実施例】
本発明を以下の実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下の実施例と比較例は、例えば、米国特許4770723号公報や米国特許4792368号公報に記載されているようにして、公知の鋳造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた17Nd−1Pr−75Fe−7B組成(at%)の6mm×15mm×30mm寸法の焼結磁石(以下、磁石体試験片と称する)を用いて行った。
また、蒸着装置は、直径355mm×長さ1200mmのステンレス製メッシュ金網で作製された円筒形バレルを真空槽内に左右平行に2個有し、円筒形バレルを回転させるとともに、水素ガスを含有するワイヤー状金属蒸着材料を溶融蒸発部に連続供給しながら蒸着処理が行えるもの(必要であれば特開2001−32062号公報の図1を参照のこと)を使用した。
【0023】
磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片の表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を2個の円筒形バレルの各々に828個ずつ、合計1656個収容した。真空槽内を1×10−1Paになるまで真空排気した後、種々の割合で水素ガスを含有するアルゴンガスを真空槽内の全圧が1.3Paになるように供給した(蒸着装置に直接接続した全圧真空計による計測値)。その後、バレルの回転軸を1.5rpmで回転させながら、電圧−0.5kVの条件下、15分間グロー放電を行って磁石体試験片の表面を清浄化した。この際の真空槽内のHO分圧と水素ガス分圧とO分圧を以下のようにして求めた。即ち、真空槽外壁と接続した差動排気システムによって全圧を10−4Pa程度に減圧した場所に設置した四重極質量分析計(QIG−066:アネルバ社製)で測定したそれぞれの分圧測定値を、同装置でそれぞれの分圧測定値と同時に測定した全圧測定値が蒸着装置に直接接続した全圧真空計による計測値、即ち、1.3Paになるように換算して求めた。
続いて、Arガス圧1Pa、バイアス電圧−0.1kVの条件下、金属蒸着材料としてアルミニウムワイヤーをワイヤー送り速度3g/minで連続供給しながら(真空槽内に溶融蒸発部であるボートを6個設置し、合計6本のワイヤーを同時供給する方式を採用)、これを加熱して蒸発させ、イオン化し、15分間イオンプレーティング法にて磁石体試験片の表面にアルミニウム蒸着被膜を形成した。蛍光X線膜厚計(SFT−7000:セイコー電子社製)を使用して測定した被膜の平均膜厚(n=10)を表1に示す。
以上のようにして得られたアルミニウム蒸着被膜を表面に有する磁石体試験片をブラスト加工装置に投入し、Nガスからなる加圧気体とともに、投射材としての球状ガラスビーズ粉末(GB−AG:新東ブレーター社製)を、投射圧0.2MPaにて5分間噴射して、ショットピーニングを行った。
ショットピーニングを行ったアルミニウム蒸着被膜を表面に有する磁石体試験片について、目視による外観観察の結果と、外観観察を合格したものについて温度80℃×相対湿度90%の高温高湿度条件下に500時間放置して発錆の有無を観察するという耐食性加速試験を行った結果(n=10)を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004691833
【0025】
表1から明らかなように、実施例においては、真空槽内に水素ガスを供給して真空槽内のHO分圧に対する水素ガス分圧の比(H/HO分圧比)を0.3以上の雰囲気とし、該雰囲気下でアルゴンガスを使用したグロー放電を行ったことにより、磁石体試験片の表面を十分に清浄化することができたことから、その後の蒸着処理によってその表面に均一かつ密着性に優れた耐食性被膜としてのアルミニウム蒸着被膜を安定に形成することができた。なお、いずれの実施例と比較例においてもグロー放電時のO分圧は約7×10−2Paであった。このことから、グロー放電時においては、真空槽内に存在するHOの方がOよりも悪影響が強いことがわかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、希土類系永久磁石の表面の清浄化を十分に行うことができることから、均一かつ密着性に優れた耐食性被膜としての金属蒸着被膜を磁石の表面に安定して形成することができるようになる。また、グロー放電時に供給された水素ガスは、続いて行われる蒸着処理の開始初期におけるOが存在することによる悪影響の解消にも寄与することが期待される。

Claims (9)

  1. 蒸着装置の処理室内に水素ガスを供給して処理室内のHO分圧に対する水素ガス分圧の比(H/HO分圧比)を0.3以上の雰囲気とし、該雰囲気下で不活性ガスを使用したグロー放電を行って希土類系永久磁石の表面を清浄化した後、蒸着処理を行って磁石の表面に金属蒸着被膜を形成することを特徴とする希土類系永久磁石の製造方法。
  2. 水素ガスを供給する前の処理室内の真空度を10−3Pa〜10Paとすることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 処理室内の水素ガス分圧が10Pa以下となるように水素ガスを供給することを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 処理室内の不活性ガス分圧を0.1Pa〜10Paにしてグロー放電を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
  5. グロー放電時の電圧を絶対値として0.1kV〜10kVとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 不活性ガスがアルゴンガスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 処理室内の全圧を10Pa以下とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 処理室内のHO分圧を1Pa以下とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 金属蒸着被膜がアルミニウム蒸着被膜であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法。
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