JP2005268340A - 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の耐食性希土類系永久磁石は、磁石表面に直接に、または下地被膜を介して水素含有非晶質カーボン被膜を有することを特徴とするものである。本発明の耐食性希土類系永久磁石の製造方法は、磁石表面に直接に、または下地被膜を形成した後、CVD法により水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
ところで、近頃、希土類系永久磁石の使用分野は拡大の一途を辿っており、それに伴い、磁石に求められる特性も多様化し、耐食性、絶縁性、他材との接着性などの他、部品への組み込み時に要求される寸法精度、摺動性、耐磨耗性などについても優れた特性が要求されるようになりつつある。
しかしながら、既存の技術をもってしては、このような要求を満足させることは残念ながら困難である。例えば、従来の電気めっき法により形成された金属被膜などは、高い耐食性が要求される場合には、被膜をある程度の厚膜にしたり複数の被膜を積層したりすることが必要であり、また、摺動性や耐磨耗性が劣るものであった。
また、下記の特許文献1に記載されているような、非常に緻密性に優れており超高真空環境で使用されるTiN被膜などは、通常、気相成膜法の中でもPVD法(物理蒸着法)により形成されるため、表面凹凸を有する希土類系永久磁石の表面の凹部まで被膜で均一に被覆し、磁石に優れた耐食性を付与するためには、被膜にある程度の膜厚が必要であり、その薄膜化に限界があった。もちろん、PVD法ではなく、CVD法(化学蒸着法)を採用することで、磁石表面の凹部にもつきまわりよく被膜を形成するといった手段も考えられるが、例えば、原料ソースとして四塩化チタンを使用してCVD法により磁石表面にTiN被膜を形成しようとした場合、真空処理室内に希土類系永久磁石を腐食せしめる塩素ガスが発生したり、TiN被膜に優れた特性を発揮させるためにその結晶性を高める目的で基板温度を非常に高温にする必要があったりするので、磁石の優れた磁気特性に悪影響を及ぼす恐れがあった。また、TiN被膜は、希土類系永久磁石の表面に形成される耐食性被膜の中で、最も耐磨耗性に優れているとされているが、部品への組み込み時に部材と部材の間隙に厳格な寸法精度で磁石を挿入することは困難であり、挿入の際に部材に損傷を与えてしまうといった問題があった。
また、請求項2記載の耐食性希土類系永久磁石は、請求項1記載の耐食性希土類系永久磁石において、水素含有非晶質カーボン被膜の膜厚が0.1μm〜25μmであることを特徴とする。
また、請求項3記載の耐食性希土類系永久磁石は、請求項1または2記載の耐食性希土類系永久磁石において、磁石表面に下地被膜としてSi被膜またはTi被膜を介して水素含有非晶質カーボン被膜を有することを特徴とする。
また、請求項4記載の耐食性希土類系永久磁石は、請求項3記載の耐食性希土類系永久磁石において、Si被膜またはTi被膜の膜厚が0.005μm〜3μmであることを特徴とする。
また、本発明の耐食性希土類系永久磁石の製造方法は、請求項5記載の通り、磁石表面に直接に、または下地被膜を形成した後、CVD法により水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする。
また、請求項6記載の製造方法は、請求項5記載の製造方法において、原料ソースとして水素化炭素ガスを用いて水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする。
また、請求項7記載の製造方法は、請求項5または6記載の製造方法において、磁石表面に気相成膜法によりSi被膜またはTi被膜を下地被膜として形成した後、水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする。
また、請求項8記載の製造方法は、請求項7記載の製造方法において、PVD法によりSi被膜またはTi被膜を形成することを特徴とする。
また、請求項9記載の製造方法は、請求項8記載の製造方法において、基板バイアス電圧をDC−500V〜DC−10Vとし、PVD法としてスパッタ法またはイオンプレーティング法を採用してSi被膜またはTi被膜を形成することを特徴とする。
続いて、図1に概略構成を示すプラズマCVD装置の真空処理室内の基板支持台上に、表面にSi被膜を有する磁石体試験片を載置した後、原料ソースとしてメタンガスを使用し、原料ソースのガス圧50mTorr、基板温度100℃、RF電力密度2.7W/cm2の条件で、下地被膜としてのSi被膜の表面に膜厚が5μmの非晶質水素含有カーボン被膜を形成した。形成された非晶質水素含有カーボン被膜が非晶質であることはX線回折で確認した。被膜中の水素含有量をFTIRで測定したところ35mol%であった。被膜のビッカース硬度は1500であった。
以上のようにして製造した、表面に下地被膜としてのSi被膜を介して非晶質水素含有カーボン被膜を有する磁石体試験片を、温度35℃の5%中性塩化ナトリウム水溶液を用いた塩水噴霧試験(JIS Z 2371)に付したところ、試験開始から50時間経過後においても発錆は観察されず、表1に示した通り、磁気特性の劣化もほとんどなかった。従って、磁石体試験片の表面に下地被膜としてのSi被膜を介して非晶質水素含有カーボン被膜を形成することで、磁石体試験片に優れた耐食性を付与することができることがわかった。さらに、この表面に下地被膜としてのSi被膜を介して非晶質水素含有カーボン被膜を有する磁石体試験片について、鋳鉄板上で荷重1kgをかけて横方向に引っ張る力から摩擦力を測定することで摩擦係数を求めたところ、μ<0.2であり、非常に優れた摺動性を示すことがわかった。また、JIS K 5600−5−10記載の試験片往復法により耐磨耗性の評価を行ったところ、非晶質水素含有カーボン被膜の表面に目視で傷は認められず、耐磨耗性の点においても非常に優れていることがわかった。
Claims (9)
- 磁石表面に直接に、または下地被膜を介して水素含有非晶質カーボン被膜を有することを特徴とする耐食性希土類系永久磁石。
- 水素含有非晶質カーボン被膜の膜厚が0.1μm〜25μmであることを特徴とする請求項1記載の耐食性希土類系永久磁石。
- 磁石表面に下地被膜としてSi被膜またはTi被膜を介して水素含有非晶質カーボン被膜を有することを特徴とする請求項1または2記載の耐食性希土類系永久磁石。
- Si被膜またはTi被膜の膜厚が0.005μm〜3μmであることを特徴とする請求項3記載の耐食性希土類系永久磁石。
- 磁石表面に直接に、または下地被膜を形成した後、CVD法により水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする耐食性希土類系永久磁石の製造方法。
- 原料ソースとして水素化炭素ガスを用いて水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする請求項5記載の製造方法。
- 磁石表面に気相成膜法によりSi被膜またはTi被膜を下地被膜として形成した後、水素含有非晶質カーボン被膜を形成することを特徴とする請求項5または6記載の製造方法。
- PVD法によりSi被膜またはTi被膜を形成することを特徴とする請求項7記載の製造方法。
- 基板バイアス電圧をDC−500V〜DC−10Vとし、PVD法としてスパッタ法またはイオンプレーティング法を採用してSi被膜またはTi被膜を形成することを特徴とする請求項8記載の製造方法。
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