JP2005191276A - 希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石 - Google Patents

希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】 希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石を提供すること。
【解決手段】 本発明の希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法は、Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成することを特徴とするものである。本発明によれば、希土類系永久磁石に対し、その磁気特性を劣化させることなく優れた耐塩水性を付与することができる。
【選択図】 図1


Description

本発明は、希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石に代表されるR−Fe−B系永久磁石やSm−Fe−N系永久磁石に代表されるR−Fe−N系永久磁石などの希土類系永久磁石は、資源的に豊富で安価な材料が用いられ、かつ、高い磁気特性を有していることから、特にR−Fe−B系永久磁石は今日様々な分野で使用されている。
しかしながら、希土類系永久磁石は反応性の高い希土類金属:Rを含むため、大気中で酸化腐食されやすく、何の表面処理をも行わずに使用した場合には、わずかな酸やアルカリや水分などの存在によって表面から腐食が進行して錆が発生し、それに伴って、磁気特性の劣化やばらつきを招く。さらに、錆が発生した磁石を磁気回路などの装置に組み込んだ場合、錆が飛散して周辺部品を汚染する恐れがある。
上記の点に鑑み、希土類系永久磁石に優れた耐食性を付与することを目的として、その表面にAl被膜を蒸着法などの気相めっき法によって成膜することが行われている。Al被膜は耐食性に優れていることに加え、部品組み込み時に必要とされる接着剤との接着信頼性に優れている(接着剤が本質的に有する破壊強度に達するまでに被膜と接着剤との間で剥離が生じにくい)ので、強い接着強度が要求される希土類系永久磁石に対して広く適用されおり、表面にAl被膜を有する希土類系永久磁石は、各種モータなどに組み込まれて使用されている。
各種モータの中でも、自動車用モータに組み込まれる希土類系永久磁石は、使用環境の温度変化が激しく、かつ、寒冷地域においては道路に散布される凍結防止剤に含まれる塩素イオンに晒されたり、海岸近辺では塩水に晒されたりすることから、最も過酷な使用環境にある磁石と言える。従って、自動車用モータに組み込まれる希土類系永久磁石には、最も過酷な耐食性試験である塩水噴霧試験を行っても優れた耐食性を発揮することが要求されるが、残念ながらAl被膜の耐塩水性は必ずしも十分なものではない。表面にAl被膜を有する希土類系永久磁石の耐塩水性を向上させる方法としては、Al被膜の表面に、化成処理被膜を積層形成したり(特許文献1)、金属酸化物被膜を積層形成したり(特許文献2)する方法が考えられるが、製造工程が複雑になったり、それでもなお耐塩水性が十分でないといった問題がある。
特許文献3には、大気開放下での溶融Alめっき系鋼板のめっき表面にMgと酸素を含む被膜を形成することで、塩害環境においても十分な耐食性が得られることが記載されており、このような被膜を形成する方法として、AlとMgを含む浴に鋼板を浸漬して溶融Alめっきを行った後に大気放置することで表面酸化を行う方法が挙げられている。しかしながら、この方法は、以下の理由により希土類系永久磁石には適用することができないものである。
・ 500℃以上で行われる溶融Alめっきを磁石に対して行うと、高熱で磁石の表面がAlと反応して変質してしまい磁気特性が劣化する。
・ 磁石の表面の変質は特に小型磁石の磁気特性に多大な悪影響を及ぼす。
・ 溶融めっきは基本的に浸漬→引き上げにて行うので磁石に接点跡が残る。
特開2000−150216号公報 特開2000−232011号公報 特開2000−282262号公報
そこで本発明は、希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、Al以外の金属成分としてMgを特定量含むAl被膜を希土類系永久磁石の表面に蒸着形成することで、磁石に対して優れた耐塩水性を付与することができることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法は、請求項1記載の通り、Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成することを特徴とする。
また、請求項2記載の耐塩水性付与方法は、請求項1記載の耐塩水性付与方法において、Al以外の金属成分としてMgを含むワイヤー状Al蒸着材料を加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることでAl被膜を蒸着形成することを特徴とする。
また、請求項3記載の耐塩水性付与方法は、請求項2記載の耐塩水性付与方法において、ワイヤー状Al蒸着材料が水素を含有してなることを特徴とする。
また、請求項4記載の耐塩水性付与方法は、請求項3記載の耐塩水性付与方法において、水素の含有量が1ppm〜20ppmであることを特徴とする。
また、請求項5記載の耐塩水性付与方法は、請求項2乃至4のいずれかに記載の耐塩水性付与方法において、溶融蒸発部を1300℃〜1500℃に加熱することを特徴とする。
また、本発明の耐塩水性に優れた希土類系永久磁石は、請求項6記載の通り、Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成してなることを特徴とする。
また、請求項7記載の希土類系永久磁石は、請求項6記載の希土類系永久磁石において、Al被膜の膜厚が0.1μm〜50μmであることを特徴とする。
本発明の希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法は、Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成することを特徴とするものである。本発明によれば、希土類系永久磁石に対し、その磁気特性を劣化させることなく優れた耐塩水性を付与することができる。
本発明の希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法において、磁石の表面に蒸着形成するAl被膜に含ませるMg量の下限を3wt%と規定するのは、3wt%未満であると十分な耐塩水性を付与することができないからである。Al被膜にMgを3wt%以上含ませることによって、Al−Mg合金の腐食に対する電気化学的な挙動は、Mgを3wt%未満しか含まない合金とほとんど変わらないものの、合金の耐塩水性は際立って向上する。このようなAl被膜に含ませるMg量の違いによる耐塩水性についての特性変化は、蒸着形成されたAl被膜を構成する柱状晶の緻密性の程度に相関していると考えられるが、このような現象は、これまで当業者の誰もが知りえなかった驚きに値するものである。なお、Al被膜に含ませるMg量の上限を10wt%と規定するのは、10wt%を超えるとAl被膜の表面が活性(電位的に卑)になり過ぎるため、黒変などの外観不良が顕著になるといった問題を生ずるようになるからである。Al被膜に含ませるMg量は、望ましくは5wt%〜8wt%である。
Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を希土類系永久磁石の表面に蒸着形成する方法は、特段限定されるものではないが、望ましい方法としては、Al以外の金属成分としてMgを含むワイヤー状Al蒸着材料を加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることで蒸着形成する方法が挙げられる。この方法は、Al被膜に含ませるMg量の制御が容易であり、例えば、特開2001−32062号公報に記載されているような表面処理装置を用いて行うことができる。図1はその模式的正面図であり、図略の真空排気系に連なる処理室(真空槽)1内の下部には、Mgを含むAl10を蒸発させる溶融蒸発部であるハース(蒸着材料を溶融させるための容器)2が、支持テーブル3上に立設されたハース支持台4上に複数個配設されている。また、処理室1内の上方には網状部材で形成された籠状の被処理物保持部5が回転軸6を中心に回転自在に2個並設されている。支持テーブル3の下方内部には、Mgを含むワイヤー状Al蒸着材料11が繰り出しリール20に巻回保持されている。繰り出しリール20へのMgを含むワイヤー状Al蒸着材料11の巻回方向を水平方向としているのは、ワイヤーの送り方向、即ち、鉛直方向と直交させることによって、送り出されるワイヤーがねじれたりぶれたりすることを防止するためである。Mgを含むワイヤー状Al蒸着材料11の先端は、ハース2の内面に向かって臨ませた耐熱性の保護チューブ21によってハース2の上方に案内されている。保護チューブ21の一部には切り欠き窓22が設けられており、この切り欠き窓22に対応して設けられた一対の繰り出しギヤー23によって、Mgを含むワイヤー状Al蒸着材料11をハース2内に所定の繰り出し速度で送り出し自在としている。この表面処理装置によれば、被処理物保持部5内に希土類系永久磁石30を収容し、矢示したように被処理物保持部5を回転させるとともに、Mgを含むワイヤー状Al蒸着材料11を図略の加熱手段によって所定温度に加熱したハース2に連続供給しながらMgを含むAl10を蒸発させることで、被処理物保持部5内の希土類系永久磁石30の表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成することができる。
ワイヤー状Al蒸着材料に含ませるMg量は、希土類系永久磁石の表面に蒸着形成されるAl被膜に含まれるMg量が3wt%〜10wt%になる量であれば、特段規定しなければならないものではない。基本的には、Al被膜に含ませるMg量と同量のMgを含む蒸着材料を用いればよい。しかしながら、ワイヤー状Al蒸着材料に含まれるMg量が8wt%を超えると、蒸着材料の硬度が高まることにより、蒸着材料を溶融蒸発部内に繰り出す作業性が悪くなったり、溶融蒸発部内で溶融されていない蒸着材料がスプラッシュを引き起こしたりする恐れがあるので、この点には留意すべきである。また、処理室内に酸素が存在すると、蒸着材料を溶融させた段階や蒸発させた段階でMgが酸化することで、Al被膜に含まれるMg量が、蒸着材料に含まれるMg量よりも減少するので、この点にも留意すべきである。
以上の点に鑑みれば、ワイヤー状Al蒸着材料は水素を含有してなるものが望ましい。蒸着材料を蒸発させた際、処理室内に水素を供給することができるので、別途の手段で処理室外部から水素を供給しなくても、処理室内を還元性雰囲気にして、例えば10-3Pa以上といったような酸素分圧下であっても、溶融させた段階や蒸発させた段階の蒸着材料の酸化を防止することができるからである。蒸着材料の水素含有量は、1ppm〜20ppmが望ましく、2ppm〜10ppmがより望ましい。1ppm未満であると処理室内に水素を十分に供給することができない恐れがある一方、20ppmを超えると溶融蒸発部において水素がボイリングしてスプラッシュを引き起こす恐れがあるからである。
溶融蒸発部の加熱温度は、1300℃〜1500℃が望ましい。1300℃未満であるとワイヤー状Al蒸着材料を効率よく溶融させることができない恐れがあるからである。蒸着材料を効率よく溶融させることができないと、Alの蒸気圧とMgの蒸気圧の違い(Mgの方が蒸気圧が高い)が、蒸着形成されるAl被膜の金属組成に多大な影響を与え、Al被膜に含まれるMg量が、蒸着材料に含まれるMg量と大きく異なるといった現象が起こり、意図した金属組成のAl被膜を蒸着形成することができない場合がある。一方、1500℃を超えると周辺温度が高くなり過ぎることで蒸着材料が軟化して図1における保護チューブ21の内部で詰まるなどするので、これを溶融蒸発部に円滑に連続供給することができなくなる恐れがあるからである。
ワイヤー状Al蒸着材料の溶融蒸発部への送り出し速度は、1g/分〜10g/分が望ましく、2g/分〜5g/分がより望ましい。1g/分未満であると蒸着材料を効率よく溶融させることができない恐れがある一方、10g/分を超えると溶融蒸発部内で溶融されていない蒸着材料がスプラッシュを引き起こす恐れがあるからである。
なお、Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を希土類系永久磁石の表面に蒸着形成する方法は、真空蒸着法のように蒸着材料を単に加熱によって蒸発させて被膜を蒸着形成する方法であってもよいし、イオンプレーティング法のように蒸発したものをイオン化させて被膜を蒸着形成する方法であってもよい。
以上説明したように、希土類系永久磁石の表面へのAl以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜の蒸着形成は、Mgを含む水素含有ワイヤー状Al蒸着材料を、加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることで、容易に行うことができる。しかしながら、希土類系永久磁石の表面へのこのようなAl被膜の蒸着形成は、Mgを含むインゴット状Al蒸着材料を用いた電子ビーム加熱による蒸着法(EB蒸着法)によっても行うことができる。但し、EB蒸着法による場合、スプラッシュを引き起こす恐れが強く、また、処理室外部から水素を供給するといった手段を講じなければ、Al被膜に含まれるMg量が、蒸着材料に含まれるMg量よりも減少しやすいこと、高い蒸気圧を有するMgは、溶融した蒸着材料から蒸発しやすいので、溶融した蒸着材料の金属組成が経時的に変化しやすいことなどの点には留意すべきである。
Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜の膜厚は、0.1μm〜50μmが望ましい。0.1μm未満であると十分な耐塩水性を付与することができない恐れがある一方、50μmを超えると磁石の小型化や有効体積の確保が困難になり、また、コストの面からも望ましくないからである。Al被膜の膜厚は、より望ましくは3μm〜25μmである。
なお、蒸着形成したAl被膜に対してピーニング処理することで耐塩水性の向上を図ることができる。この作用は、投射材をAl被膜の表面に衝突させることにより、Al被膜の緻密性が高まることによるものと考えられる。ピーニング処理は、例えば、投射材としてガラスビーズやスチールボールなどのAl被膜と同等以上の硬度を有する球状硬質粉末を使用し(中でもガラスビーズが好適である)、投射材を0.1MPa〜0.5MPaの投射圧でAl被膜に対して1分〜60分程度投射するようにして行えばよい。投射圧が0.1MPa未満であるとピーニング処理することの効果が十分に得られない恐れがある一方、投射圧が0.5MPaを超えるとAl被膜の面粗度の悪化を招来する恐れがある。
以下、本発明を実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例と比較例は、例えば、米国特許4770723号公報や米国特許4792368号公報に記載されているようにして、公知の鋳造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理、表面加工を行うことによって得られた14Nd−79Fe−6B−1Co組成(at%)の23mm×10mm×6mm寸法の焼結磁石(以下、磁石体試験片と称する)を用いて行った。また、蒸着装置は、図1に示したような、直径355mm×長さ1200mmのステンレス製メッシュ金網で作製された円筒形バレルを真空槽内に左右平行に2個有し、円筒形バレルを回転させるとともに、水素ガスを含有するワイヤー状蒸着材料を溶融蒸発部に連続供給しながら蒸着処理が行えるものを使用した。
(実施例1)
磁石体試験片に対し、ショットブラスト加工を行い、前工程の表面加工で生じた試験片の表面の酸化層を除去した。この酸化層が除去された磁石体試験片を装置内に収容し、真空槽内を1×10-1Paになるまで真空排気した後、Arガスを真空槽内の全圧が1.0Paになるように供給した。その後、バレルの回転軸を1.5rpmで回転させながら、バイアス電圧−0.5kVの条件下、15分間グロー放電を行って磁石体試験片の表面を清浄化した。
続いて、Arガス圧1.0Pa、バイアス電圧−0.1kVの条件下、蒸着材料として表1に示す組成を有するAlワイヤーをワイヤー送り速度3.3g/minで連続供給しながら、これを加熱して蒸発させ、イオン化し、15分間イオンプレーティング法にて磁石体試験片の表面にAl被膜を蒸着形成した。
蛍光X線膜厚計(SFT−7000:セイコー電子社製)を使用して測定したAl被膜の膜厚は10.3μmであった。このAl被膜の組成を表2に示す。
なお、Alワイヤーの組成は、原子発光分析装置(ICP−AES:島津製作所社製ICPS−7500)を用いて測定した。Al被膜の組成は、磁石体試験片と共に蒸着装置内に収容したガラス板(35mm×10mm×1mm)の表面に蒸着形成されたAl被膜の組成を上記の原子発光分析装置を用いて測定した。
以上のようにして得られた、Al被膜を表面に蒸着形成してなる磁石体試験片をブラスト加工装置に投入し、N2ガスからなる加圧気体とともに、投射材として球状ガラスビーズ粉末(GB−AG:新東ブレーター社製)を、投射圧0.2MPaにて15分間噴射して、ショットピーニングを行った。ショットピーニングを行ったAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、35℃−5%NaCl−pH7.0条件(JIS Z 2371に準拠)の塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察したところ、試験開始から300時間経過後も発錆は見られず、実用上問題となる磁気特性の劣化も認められなかった。
(比較例1)
蒸着材料として表1に示す組成を有するAlワイヤーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして磁石体試験片の表面にAl被膜を蒸着形成した。蒸着形成されたAl被膜の膜厚は8.7μmであった。このAl被膜の組成を表2に示す。
このAl被膜を表面に蒸着形成してなる磁石体試験片に対し、実施例1と同様にしてショットピーニングを行い、ショットピーニングを行ったAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、実施例1と同様にして塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察したところ、試験開始から30時間経過後に発錆が見られ、300時間経過後には全面発錆して実用上問題となる磁気特性の劣化が認められた。
(比較例2)
蒸着材料として表1に示す組成を有するAlワイヤーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして磁石体試験片の表面にAl被膜を蒸着形成した。蒸着形成されたAl被膜の膜厚は11.3μmであった。このAl被膜の組成を表2に示す。
このAl被膜を表面に蒸着形成してなる磁石体試験片に対し、実施例1と同様にしてショットピーニングを行い、ショットピーニングを行ったAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、実施例1と同様にして塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察したところ、試験開始から30時間経過後に発錆が見られ、300時間経過後には全面発錆して実用上問題となる磁気特性の劣化が認められた。
(比較例3)
蒸着材料として表1に示す組成を有するAlワイヤーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして磁石体試験片の表面にAl被膜を蒸着形成した。蒸着形成されたAl被膜の膜厚は12.1μmであった。このAl被膜の組成を表2に示す。
このAl被膜を表面に蒸着形成してなる磁石体試験片に対し、実施例1と同様にしてショットピーニングを行い、ショットピーニングを行ったAl被膜を表面に有する磁石体試験片に対し、実施例1と同様にして塩水噴霧試験を行い、発錆の有無を観察したところ、試験開始から30時間経過後に発錆が見られ、200時間経過後には全面発錆して実用上問題となる磁気特性の劣化が認められた。
Figure 2005191276
Figure 2005191276
以上の実施例と比較例から明らかなように、Al以外の金属成分としてMgを3wt%以上含むAl被膜を希土類系永久磁石の表面に蒸着形成することで、希土類系永久磁石に対し、その磁気特性を劣化させることなく優れた耐塩水性を付与することができることがわかった。
本発明は、希土類系永久磁石に対し、その磁気特性を劣化させることなく優れた耐塩水性を付与することができる点において産業上の利用可能性を有する。
希土類系永久磁石の表面にAl被膜を蒸着形成するために好適に用いることができる表面処理装置の一実施の形態の模式的正面図である。
符号の説明
1 処理室
2 ハース(溶融蒸発部)
3 支持テーブル
4 ハース支持台
5 被処理物保持部
6 回転軸
10 溶融した蒸着材料
11 ワイヤー状Al蒸着材料
20 繰り出しリール
21 保護チューブ
22 切り欠き窓
23 繰り出しギヤー
30 希土類系永久磁石

Claims (7)

  1. Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成することを特徴とする希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法。
  2. Al以外の金属成分としてMgを含むワイヤー状Al蒸着材料を加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることでAl被膜を蒸着形成することを特徴とする請求項1記載の耐塩水性付与方法。
  3. ワイヤー状Al蒸着材料が水素を含有してなることを特徴とする請求項2記載の耐塩水性付与方法。
  4. 水素の含有量が1ppm〜20ppmであることを特徴とする請求項3記載の耐塩水性付与方法。
  5. 溶融蒸発部を1300℃〜1500℃に加熱することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の耐塩水性付与方法。
  6. Al以外の金属成分としてMgを3wt%〜10wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成してなることを特徴とする耐塩水性に優れた希土類系永久磁石。
  7. Al被膜の膜厚が0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項6記載の希土類系永久磁石。
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