JP2005105311A - 被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 - Google Patents
被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005105311A JP2005105311A JP2003337430A JP2003337430A JP2005105311A JP 2005105311 A JP2005105311 A JP 2005105311A JP 2003337430 A JP2003337430 A JP 2003337430A JP 2003337430 A JP2003337430 A JP 2003337430A JP 2005105311 A JP2005105311 A JP 2005105311A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vapor deposition
- surface treatment
- deposition material
- treated
- treatment method
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
Abstract
【解決手段】 本発明の表面処理方法は、Cuおよび/またはMgを含むワイヤー状Al蒸着材料を、加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることで、Cuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含むAl被膜を被処理物の表面に蒸着形成することを特徴とする。本発明の希土類系永久磁石は、Cuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成してなることを特徴とする。本発明の被処理物の表面に蒸着形成されるAl被膜の硬度を高める方法は、Cuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含ませることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、Al被膜は、上記のような優れた特性を有する反面、その物性として硬度が低いという特性を有する。従って、磁石をモータに組み込む際、Al被膜が積層鋼板の打ち抜き時に発生したバリに接触したりすると、Al被膜は容易に損傷し、耐食性などの特性を発揮しなくなるといった場合がある。また、電子部品の連続運転時においては、系内に発生する熱によりモータ温度が150℃前後にまで上昇することがあるが、このような環境下では、Al被膜は容易に軟化し、損傷しやすくなる。Al被膜の硬度を高めることができれば、硬度の低さに起因するこのような問題の解消を図ることができるが、今だ有効な手段の提案はなされていないのが実情である。
また、請求項2記載の表面処理方法は、請求項1記載の表面処理方法において、ワイヤー状Al蒸着材料が水素を含有してなることを特徴とする。
また、請求項3記載の表面処理方法は、請求項2記載の表面処理方法において、水素の含有量が1ppm〜20ppmであることを特徴とする。
また、請求項4記載の表面処理方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の表面処理方法において、溶融蒸発部を1300℃〜1500℃に加熱することを特徴とする。
また、請求項5記載の表面処理方法は、請求項1乃至4のいずれかに記載の表面処理方法において、被処理物が希土類系永久磁石であることを特徴とする。
また、本発明の希土類系永久磁石は、請求項6記載の通り、Al以外の金属成分としてCuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成してなることを特徴とする。
また、本発明の被処理物の表面に蒸着形成されるAl被膜の硬度を高める方法は、請求項7記載の通り、Al以外の金属成分としてCuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含ませることを特徴とする。
(Al被膜の蒸着形成方法)
図2に示した基本構成を有する溶融加熱方式のイオンプレーティング表面処理装置(内容積2.2m3)の処理室(真空槽)内の被処理物保持部に磁石体試験片を収容した後、処理室内の全圧が1.0×10-1Paになるまで真空排気を行った。その後、真空槽内にArガスを全圧が1.0Paになるように導入し、表面スパッタによって磁石体試験片の表面を清浄化した後、電圧1.5kVを印加し、処理室内への通電加熱により約1400℃に制御されたハース内に繰り出し速度3.3g/分でワイヤー状Al蒸着材料を送り出すことで連続供給して溶融し、蒸発させ、イオン化させてイオンプレーティングを行い、磁石体試験片の表面に20分で膜厚約20μmのAl被膜を蒸着形成した。なお、この実験は、表1に示す組成を有する3種類のワイヤー状Al蒸着材料を用いて行った。ここで、蒸着材料の金属組成は、蒸着材料を溶融後、原子発光分析装置(ICP−AES:島津製作所社製ICPS−7500)を用いて測定した。蒸着材料の水素含有量は、社内製の水素ガス分析装置を用いて測定した。
磁石体試験片とともに被処理物保持部に収容したガラス板(35mm×10mm×1mm)の表面に蒸着形成されたAl被膜の組成を調べた。Al被膜の金属組成は、Al被膜を溶融後、原子発光分析装置(ICP−AES:島津製作所社製ICPS−7500)を用いて測定した。Al被膜の水素含有量は、グロー放電発光分析装置(GDS:島津製作所社製GDLS−5017)を用いて測定した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、蒸着材料2を用いて蒸着形成したAl被膜に含まれるMgの量と、蒸着材料3を用いて蒸着形成したAl被膜に含まれるCuの量は、蒸着材料に含まれるMgやCuの量よりも減少していた。これは、蒸着材料を溶融させた段階や蒸発させた段階でこれらが酸化することで、蒸着材料に含まれていた全量がAl被膜に取り込まれなかったことによるものと考えられた。
上記の3種類のワイヤー状Al蒸着材料を用い、上記の方法に準じて、ガラス板(35mm×10mm×1mm)の表面に膜厚約100μmのAl被膜を蒸着形成した。各々のAl被膜について、微小硬さ試験を行い、ビッカース硬度を測定した(JIS Z2244の記載の方法にて0.49Nの荷重をかけて測定)。結果を図1に示す。図1から明らかなように、蒸着材料2を用いて蒸着形成したMgを含むAl被膜と、蒸着材料3を用いて蒸着形成したCuを含むAl被膜は、蒸着材料1を用いて蒸着形成したこれらの金属を含まないAl被膜と比較して、常温〜180℃付近までの幅広い温度域で硬度が高いことがわかった。また、蒸着材料2を用いて蒸着形成したMgを含むAl被膜と、蒸着材料3を用いて蒸着形成したCuを含むAl被膜は、蒸着材料1を用いて蒸着形成したこれらの金属を含まないAl被膜と比較して、蒸着形成時に発生する突起形成や被膜剥れなどの欠陥が少なく、膜質特性に優れていた。
(Al被膜の蒸着形成方法)
電子ビーム加熱方式のイオンプレーティング表面処理装置(内容積0.6m3:ワイヤー状蒸着材料の溶融蒸発機構のかわりにインゴットに対する電子ビーム加熱機構を備えること以外は図2に示した基本構成を有する装置)の処理室(真空槽)内の被処理物保持部に磁石体試験片を収容した後、処理室内の全圧が3.0×10-5Paになるまで真空排気を行った。その後、真空槽内にArガスを全圧が5.0×10-4Paになるように導入し、表面スパッタによって磁石体試験片の表面を清浄化した後、全圧が3.0×10-3PaになるようにArガスの導入量を調整した。その後、電圧1.5kVを印加し、電子ビーム加熱法によってインゴット状Al蒸着材料に電子ビームを照射してこれを加熱することで、溶融し、蒸発させ、イオン化させてイオンプレーティングを行い、磁石体試験片の表面に40分で膜厚約20μmのAl被膜を蒸着形成した。なお、この実験では、表3に示す組成を有する2種類のインゴット状Al蒸着材料を用いて行った。蒸着材料の金属組成と水素含有量は、実験Aに記載の方法と同じ方法で測定した。
実験Aに記載の方法と同じ方法で測定した。結果を表4に示す。表4から明らかなように、いずれのAl被膜についても、被膜に含まれるCuやMgの量が、蒸着材料に含まれるCuやMgの量よりも大幅に減少していた。これは、インゴットに含まれる水素の量が少ないことから、蒸着材料を溶融させた段階や蒸発させた段階でその大半が酸化されてしまったことによるものと考えられた。
実験Aに記載の方法と同じ方法で評価した。その結果、いずれのAl被膜についても常温〜180℃付近までの幅広い温度域で硬度が高いことがわかった。また、いずれのAl被膜も蒸着形成時に発生する突起形成や被膜剥れなどの欠陥が少なく、膜質特性に優れていた。
2 ハース(溶融蒸発部)
3 支持テーブル
4 ハース支持台
5 被処理物保持部
6 回転軸
10 溶融した蒸着材料
11 ワイヤー状Al蒸着材料
20 繰り出しリール
21 保護チューブ
22 切り欠き窓
23 繰り出しギヤー
30 被処理物
Claims (7)
- Al以外の金属成分としてCuおよび/またはMgを含むワイヤー状Al蒸着材料を、加熱した溶融蒸発部に連続供給しながら蒸発させることで、Cuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含むAl被膜を被処理物の表面に蒸着形成することを特徴とする表面処理方法。
- ワイヤー状Al蒸着材料が水素を含有してなることを特徴とする請求項1記載の表面処理方法。
- 水素の含有量が1ppm〜20ppmであることを特徴とする請求項2記載の表面処理方法。
- 溶融蒸発部を1300℃〜1500℃に加熱することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面処理方法。
- 被処理物が希土類系永久磁石であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表面処理方法。
- Al以外の金属成分としてCuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含むAl被膜を表面に蒸着形成してなることを特徴とする希土類系永久磁石。
- 被処理物の表面に蒸着形成されるAl被膜の硬度を高める方法であって、Al以外の金属成分としてCuおよび/またはMgを0.1wt%〜20wt%含ませることを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003337430A JP2005105311A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003337430A JP2005105311A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005105311A true JP2005105311A (ja) | 2005-04-21 |
Family
ID=34533254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003337430A Pending JP2005105311A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005105311A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010232350A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Hitachi Metals Ltd | 耐塩水性に優れた希土類系永久磁石の製造方法 |
US8163106B2 (en) * | 2007-05-09 | 2012-04-24 | Hitachi Metals, Ltd. | R-Fe-B based sintered magnet having on the surface thereof vapor deposited film of aluminum or alloy thereof, and method for producing the same |
US8641832B2 (en) * | 2006-03-31 | 2014-02-04 | Hitachi Metals, Ltd. | Method for producing rare earth metal-based permanent magnet |
-
2003
- 2003-09-29 JP JP2003337430A patent/JP2005105311A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8641832B2 (en) * | 2006-03-31 | 2014-02-04 | Hitachi Metals, Ltd. | Method for producing rare earth metal-based permanent magnet |
US8163106B2 (en) * | 2007-05-09 | 2012-04-24 | Hitachi Metals, Ltd. | R-Fe-B based sintered magnet having on the surface thereof vapor deposited film of aluminum or alloy thereof, and method for producing the same |
JP2010232350A (ja) * | 2009-03-26 | 2010-10-14 | Hitachi Metals Ltd | 耐塩水性に優れた希土類系永久磁石の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100607294B1 (ko) | 표면처리방법, 표면처리장치, 증착재료, 및 표면처리된희토류계 영구자석 | |
JPH11124668A (ja) | 低電圧アーク放電からのイオンを用いて基体を処理するための方法および装置 | |
JP5056267B2 (ja) | Mgを含むAl被膜を表面に有する希土類系永久磁石およびその製造方法 | |
JP6697073B2 (ja) | 金属蒸発材料 | |
JP4241901B2 (ja) | 希土類系永久磁石の製造方法 | |
JP4529763B2 (ja) | Alやその合金の蒸着被膜を被処理物の表面に形成する方法 | |
JP2006118055A (ja) | 表面処理装置および表面処理された希土類系永久磁石 | |
JP2005105311A (ja) | 被処理物の表面処理方法、表面処理された希土類系永久磁石およびAl被膜の硬度を高める方法 | |
JP2005191276A (ja) | 希土類系永久磁石に対する耐塩水性付与方法および耐塩水性に優れた希土類系永久磁石 | |
JP2007154310A (ja) | 個片の表面に合金被膜を蒸着形成するための真空蒸着方法 | |
JP5423438B2 (ja) | 蒸着形成される金属被膜の緻密性を向上させる方法 | |
JP5326730B2 (ja) | 耐塩水性に優れた希土類系永久磁石の製造方法 | |
JP5223761B2 (ja) | 表面にMgを含むAl被膜を蒸着形成した希土類系永久磁石の耐塩水性向上方法 | |
JP5691226B2 (ja) | 表面にアルミニウムまたはその合金の蒸着被膜を有する希土類系永久磁石の製造方法 | |
JP5381577B2 (ja) | 耐食性R−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP4729815B2 (ja) | 蒸着装置の処理室内への水素ガス供給方法 | |
JP4483574B2 (ja) | 蒸着被膜形成方法 | |
JP2004076162A (ja) | 表面処理方法および表面処理された希土類系永久磁石 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060418 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20070606 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080609 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20081125 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081202 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20090202 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090616 |