JP4689855B2 - 残渣剥離剤組成物およびその使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路、液晶パネルの半導体素子回路等の製造に用いられる残渣剥離剤組成物及びその使用方法に関し、詳しくは、半導体素子回路等の製造工程における配線形成時に生成する残渣の除去性能と、基板上に形成された銅配線の防食性能を有する残渣剥離剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
剥離剤組成物は、半導体集積回路、液晶パネルの半導体素子回路等の製造に用いられるホトレジストを剥離する際に用いられる。半導体素子回路又は付随する電極部の製造は、以下のように行われる。まず、基板上に形成されたアルミニウム、アルミニウム合金等の導電性金属膜やSiO2膜等の絶縁膜上にホトレジストを均一に塗布し、それを露光又は電子線により描画したのち、現像してレジストパターンを形成する。このパターン形成されたホトレジストをマスクとして前記導電性金属膜や絶縁膜を選択的にエッチングし、微細回路を形成する。その後、不要のホトレジスト層を剥離・除去した後、洗浄液で洗浄する。これらの操作を繰り返すことにより素子の形成が行われる。
【0003】
一方、最近では、配線抵抗が高いアルミニウム合金系配線に代わって、アルミニウム合金系配線よりも低抵抗であり、かつエレクトロマイグレーション耐性に優れている銅配線が注目を集めている。
【0004】
銅を導電性金属配線に使用するときの銅配線を形成する方法としては、銅のドライエッチングが一般に容易ではないことから、ダマシン法と呼ばれる溝配線法が注目されている。この方法によれば、絶縁膜にパターニングされたレジスト等を利用して溝を形成し、レジストを除去した後、銅を含む配線用金属を埋め込み、溝外部の余分な金属をCMP法(化学機械研磨法)を用いて除去することにより溝内に配線パターンを形成する。これらの操作を繰り返すことにより素子の形成が行われる。
【0005】
銅含有配線を使用した半導体素子形成において、レジストを除去する際に使用する剥離剤組成物としては、有機アルカリ、無機アルカリ、有機酸、無機酸、極性溶剤等の単一溶剤、これらの混合溶液、又はこれらの水溶液が用いられている。
【0006】
また、銅含有配線を使用した半導体素子形成において、エッチングをした際や、レジストを除去した際に、エッチング残渣やレジスト残渣が配線用溝に生成されるが、このような残渣を除去するために、アルキルアミン及びアルキルアンモニウム水酸化物の少なくともいずれかと、有機溶剤と、水とを主成分とするレジスト剥離剤組成物も良く知られている。
【0007】
さらに、フッ化水素酸と各種アミンとの混合物が、配線形成時に生成する残渣除去に有効であることが知られている。例えば、特開平8−202052号公報には、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、水溶性有機溶媒及び防食剤を含有するレジスト剥離液組成物が記載されている。また、特開平9−197681号公報には、フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩、水溶性有機溶媒及び水を含有し、水素イオン濃度(pH)が5〜8であるレジスト用剥離液組成物が記載されている。
【0008】
また、特開平7−201794号公報には、半導体装置製造工程において生成する保護堆積膜を、第四級アンモニウム塩とフッ素化合物を含有する水溶液、又は第四級アンモニウム塩とフッ素化合物に、アミド類、ラクトン類、ニトリル類、アルコール類、エステル類から選ばれた有機溶媒を含有する水溶液からなる半導体装置洗浄剤を用いて剥離することが記載されている。また、特開平7−271056号公報には、有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩、及びフッ素化合物を含有する水溶液からなるフォトレジスト用剥離液が記載されている。さらに、特開平9−62013号公報には、フッ素化合物及びベタイン化合物と、アミド類、ラクトン類、アルコール類から選ばれた一種以上の有機溶剤を含む半導体装置用洗浄剤が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、銅を配線材料として使用するとき、半導体素子形成工程において、配線用溝が形成された絶縁膜の下層に銅配線が形成されている場合は、この配線用溝内には、下層の銅配線の上面が露出されている。このため、溝内に生じた残渣を剥離する剥離剤組成物は、残渣除去性に優れ、かつ、基板上に形成された銅配線の腐食を良好に防止できることが要求される。しかしながら、フッ化化合物を含有する上記の公報で開示されている剥離剤組成物では、レジスト残渣の良好な除去を維持しながら、銅の腐食を良好に防止させることはできなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を検討し、フッ化アンモニウム、極性有機溶剤及び水からなる組成物に、防食剤としてエポキシポリアミドを添加することによって、残渣除去性を保持したまま、銅を含む配線の良好な防食性が得られることを見いだし、上記課題を解決した。
【0011】
即ち、本発明では、フッ化アンモニウム、極性有機溶剤、水及びエポキシポリアミドを含有することを特徴とする残渣剥離剤組成物が提供される。
【0012】
ここで、フッ化アンモニウムの含有量が0.1重量%〜50.0重量%であり、極性有機溶剤の含有量が4.9重量%〜80.0重量%であり、水の含有量が1.0重量%〜80.0重量%であり、エポキシポリアミドの含有量が0.01重量%〜10.0重量%であることが好ましい。
【0013】
また、上記残渣剥離剤組成物であって、更に有機アルカリ又は有機酸を含有していてもよい。この場合、有機アルカリ又は有機酸の含有量は0.1重量%〜50.0重量%であることが好ましい。
【0014】
本発明において、有機アルカリが、ジエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノイソプロピルアミン及び2−メチルアミノエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0015】
本発明のおいて、有機酸が、カルボキシル基を含有することが好ましい。
【0016】
また、本発明において、極性有機溶剤が、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール及びジメチルピペリドンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0017】
また、本発明において、エポキシポリアミドの重量平均分子量が、1000〜6000であることが好ましい。
【0018】
本発明では、銅を含有する導電性金属配線を有する無機質基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をエッチングマスクとして前記絶縁膜をエッチングし、少なくとも前記導電性金属配線の上面を露出させるように凹部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、上記残渣剥離剤組成物を用いて前記凹部を洗浄する工程とを含むことを特徴とする残渣剥離剤組成物の使用方法が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で用いられるエポキシポリアミドについて、説明する。本発明で用いられるエポキシポリアミドとしては、例えば、ジアミノアルキルアミンとジカルボン酸との反応物に、グリシジル基及びハロゲン化グリシジル基を導入した化合物を挙げることができる。例えば、下記式(I)で表される繰り返し単位を含む化合物を挙げることができる。
【0020】
【化1】
(式中、R1、R2及びR3は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、低級アルキレン基を表す。Aは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって下記式(II)、下記式(III)又は水素原子であり、少なくとも下記式(II)と下記式(III)とが存在している。mは0〜4の整数であり、nは1以上の整数である。)
【化2】
(式中、Xは、塩素原子等のハロゲン原子を示す。)
【化3】
本明細書において、低級とは、炭素数が約6個以下のことをいう。低級アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等を挙げることができる。
【0021】
上記式(I)中、nは、1〜6であることが好ましく、2〜4であることが更に好ましい。
【0022】
本発明において、エポキシポリアミドの重量平均分子量は、水溶液化させやすい等の点から、1000〜6000であることが好ましく、2000〜5000であることが更に好ましい。エポキシポリアミドとしては、市販されているエポキシポリアミド水溶液を用いてもよく、例えば、メック社製AC−1000、同社製AC−3000、星光化学工業製スターガ4KW−25E等を用いてもよい。
【0023】
本発明の残渣剥離剤組成物中、エポキシポリアミドの含有量は、0.01重量%〜10.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは、0.01重量%〜1.0重量%である。この範囲内であると、良好に銅の腐食を抑えることができるからである。
【0024】
本発明の残渣剥離剤組成物中、フッ化アンモニウムの含有量は、0.1重量%〜50.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは、0.1重量%〜10重量%であり、特に更に好ましくは0.5重量%〜2重量%である。この範囲内であると、レジスト残渣及びエッチング残渣を良好に除去することができる。フッ化アンモニウムの含有量が多過ぎると、銅や酸化膜に対する腐食が激しくなる傾向がある。
【0025】
本発明で用いられる極性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、モノエチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、テトラメチレンスルホン等の硫黄化合物系溶剤を挙げることができ、好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール、ジメチルピペリドン等を挙げることができる。これらの極性有機溶剤は、単独でも使用しても、2種類以上組み合わせ使用してもよい。
【0026】
本発明の残渣剥離剤組成物中、極性有機溶剤の含有量は4.9重量%〜80.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは、50重量%〜75重量%である。極性有機溶剤の含有量が少な過ぎると、レジスト残渣及びエッチング残渣の除去性が低下する傾向があり、また、多過ぎると、フッ化アンモニウムが析出する傾向があるからである。
【0027】
本発明の残渣剥離剤組成物中、水の含有量は、1.0重量%〜80.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは、10重量%〜50重量%である。水の含有量が少な過ぎると、レジスト残渣及びエッチング残渣の除去性が低下し、また、フッ化アンモニウムが析出する傾向があり、また、多過ぎると、銅の腐食を良好に防止することができない傾向があるからである。
【0028】
本発明の残渣剥離剤組成物は、水素イオン濃度(pH)が酸性領域であることが好ましい。pHが酸性領域であると、エポキシポリアミドによる銅の防食効果が高くなる傾向にあるからである。本発明の組成物のpHは、3.5〜6.0であることが更に好ましい。特に、導電性金属として銅を用いる場合は、pHは3.5〜6.0であることが更に好ましい。なお、pHの調整は、硝酸、塩酸等のpH調整剤によって調整され、その添加量は、残渣剥離剤組成物の組成によって適宜決定される。
【0029】
本発明の残渣剥離剤組成物は、更に有機アルカリ又は有機酸を含有していてもよい。
【0030】
本発明において、有機アルカリとしては、例えば、ジエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノイソプロピルアミン、2−メチルアミノエタノールを挙げることができる。これらの有機アルカリは、単独でも使用しても、2種類以上組み合わせ使用してもよい。
【0031】
また、本発明において、有機酸としては、カルボキシル基を含有する有機酸を好ましく挙げることができる。カルボキシル基を含有する有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水アリルコハク酸、無水マレイン酸、フタル酸、無水コハク酸等を挙げることができる。これらの有機酸は、単独でも使用しても、2種類以上組み合わせ使用してもよい。
【0032】
本発明の残渣剥離剤組成物中、有機アルカリ又は有機酸の含有量は、0.1重量%〜50.0重量%であることが好ましく、更に好ましくは、1重量%〜30重量%である。
【0033】
本発明の残渣剥離剤組成物は、水性組成物であり、その状態は分散液あるいは懸濁液であってもよいが、通常は水溶液である。また、本発明の剥離液には、所望により、本発明の目的を損なわない範囲で従来から残渣剥離液に使用されている添加剤を配合しても良い。
【0034】
pH調整剤としては、例えば、硝酸、塩酸、クエン酸等を挙げることができる。
【0035】
残渣剥離剤組成物の濡れ性を向上させるために、界面活性剤を添加してもよく、カチオン系、ノニオン系、アニオン系の何れの界面活性剤も使用することができる。
【0036】
次に、本発明の残渣剥離剤組成物の使用方法について説明する。
【0037】
本発明にかかる使用方法は、銅を含有する導電性金属配線を有する無機質基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をエッチングマスクとして前記絶縁膜をエッチングし、少なくとも前記導電性金属配線の上面を露出させるように凹部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、本発明にかかる残渣剥離剤組成物を用いて前記凹部を洗浄する工程とを含むものである。
【0038】
本発明の残渣剥離剤組成物の使用方法において使用される無機質基板としては、シリコン、非晶性−シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、アルミニウム、アルミニウム合金、銅および銅合金、チタン、チタン−タングステン、窒化チタン、タングステン、タンタル、タンタル化合物、タンタル合金、クロム、クロム酸化物、クロム合金、ITO(インジウム−錫酸化物)等の半導体配線材料あるいはガリウム−砒素、ガリウム−リン、インジウム−リン等の化合物半導体、さらにLCDのガラス基板等を挙げることができる。
【0039】
無機質基板は、銅を含有する導電性金属配線を有している。銅を含有する導電性金属配線としては、純銅配線、銅を含む合金、例えば、アルミニウム及び銅からなる合金、アルミニウム、シリコン及び銅からなる合金等を挙げることができる。配線抵抗を低下させ、本発明にかかる残渣剥離剤組成物を使用することによって配線の腐食を良好に防止する観点からは、純銅配線であることが好ましい。
【0040】
銅を含有する導電性金属配線の形成方法としては、絶縁膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をエッチングマスクとして前記絶縁膜をエッチングして凹部を形成する工程と、前記凹部に銅を含有する配線材料を埋め込む工程を少なくとも含む方法であれば特に制限はない。
【0041】
半導体素子には、一般に、導電性金属材料からなる配線の他に、導電性金属材料からなる接続プラグが形成されるが、導電性金属配線の形成方法としては、接続プラグ用コンタクト孔内に埋め込まれる接続プラグと、配線用溝に埋め込まれる配線とをそれぞれ別々に形成する、いわゆるシングルダマシン法であってもよいし、予めコンタクト孔と配線用溝を開口しておき、これらを配線材料で同時に埋め込むことにより、コンタクト孔内に埋め込まれる接続プラグと溝に埋め込まれる配線を同時に形成する、いわゆるデュアルダマシン法であってもよい。工程数が少ない観点から、デュアルダマシン法で配線を形成することが好ましい。
【0042】
絶縁膜としては、誘電率の小さい材料が好ましく、例えば、SiO2系、SiOC系、HSQ(水素化シルセスキオサキン)系、MSQ(アルキルシルセスキオキサン)系、PAE系、ポーラスHSQ系、ポーラスMSQ系等の低誘電膜等を特に制限なく挙げることができる。
【0043】
絶縁膜のドライエッチング方法としては、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ハードマスクエッチング等を挙げることができる。
【0044】
上記のように銅を含む配線が形成された無機質基板上には、絶縁膜が形成され、この絶縁膜には次の配線や接続プラグを形成するための凹部が形成される。前記凹部は、絶縁膜上に所定のパターンを有するレジスト層を必要な数形成し、このレジスト層をエッチングマスクとして絶縁膜をエッチングすることにより形成される。絶縁膜中には、1層以上のストッパ絶縁膜が形成されていてもよい。
【0045】
絶縁膜の被覆方法や、所定のパターンを有するレジスト層を形成する方法としては、特に制限はなく、半導体素子回路の製造工程において周知の方法を採用することができる。所定のパターンとしては、配線用パターン、接続プラグ用パターンを挙げることができる。レジスト層としては、ネガ型及びポジ型レジストを特に制限なく使用することができる。
【0046】
絶縁膜に凹部を形成するに際し、少なくとも、下層にある銅を含む導電性金属部分の上面を凹部内で露出させる。凹部としては、配線用溝、コンタクト孔を挙げることができる。凹部形成後、エッチングマスクとして利用されたレジスト層は、アッシング等により除去される。
【0047】
続いて、上記のようにして形成された凹部を、本発明にかかる残渣剥離剤組成物を用いて洗浄する。洗浄方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法等を挙げることができる。また、洗浄の際の温度は、通常は常温〜80℃の範囲であり、エッチングの条件や使用される無機質基板により適宜選択すればよい。洗浄に際し、必要に応じて適宜加熱あるいは超音波等を併用することができる。洗浄時間は、特に制限はなく、残渣を充分に剥離することができる時間であれば好ましい。
【0048】
本発明にかかる残渣剥離剤組成物を使用して凹部を洗浄することにより、凹部内や凹部付近に生成したエッチング残渣、レジスト残渣を良好に除去することができる。また、凹部内に露出している銅を含有する配線の腐食を防止することができる。
【0049】
洗浄後のリンスとしては、水でリンスするだけで充分である。半導体素子が多層積層構造である場合は、以上の操作を繰り返すことにより素子の形成が行われる。
【0050】
【実施例】
実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0051】
シリコン基板上に、約1000オングストロームのCu膜を電解メッキにて蒸着し、サンプル1とした。
【0052】
約2000〜2500オングストロームのCu膜を有するシリコン基板上に、低誘電率(Low−k)絶縁膜(ダウケミカル社製:商品名SILK)をスピンコーティングにて膜付けした。続いて、パターニングされたレジストをマスクとしてドライエッチングし、スルーホールを形成した。その後、アッシングによりレジストを灰化し、サンプル2とした。サンプル2のスルーホールの底部・側壁部には、エッチング残渣が生成していた。
【0053】
下記の表1に従って、剥離剤組成物として実施例1及び実施例2、比較例1及び比較例2を調整した。但し、表1中、40%NH4Fは、40%フッ化アンモニウムを、防食剤Aは、メック社製AC−1000(重量平均分子量4000〜5000のエポキシポリアミド3.0%水溶液)を、防食剤Bは、メック社製AC−3000(重量平均分子量2000〜3000のエポキシポリアミド3.0%水溶液)を表す。また、DMACはN,N−ジメチルアセトアミドを、MEAはモノエタノールアミンを表す。なお、表1中、単位は重量%である。
【0054】
【表1】
【0055】
<サンプル1を用いた試験>
500mLテフロンビーカーを用いて、上記のように調製した実施例1、実施例2及び比較例1の剥離剤中に、室温(21.5℃)にて所定時間(5分、10分、15分)サンプル1を浸漬した。この際、実施例1、実施例2及び比較例1の剥離剤のpHは、それぞれ、3.5、4.0、5.0、6.0、7.0、7.5となるように調節してからサンプル1を浸漬した。pH調整剤として、70%HNO3を用いた。
【0056】
同様のビーカーを用いて、上記のように調製した比較例2の剥離剤中に、室温(21.5℃)にてサンプル1を5分間浸漬した。比較例2については、特にpHの調節を行わずにそのまま使用し、浸漬時間を5分又は10分とした。なお、pHを測定したところ8.9であった。
【0057】
上記各剥離剤にサンプル1を浸漬した後、純水洗浄用QDR槽を用いて、純水で10分間洗浄し、窒素ガスにて乾燥させた。
【0058】
こうして得られた処理後のサンプル1における、剥離剤の防食性を評価した。評価は、処理前と処理後のサンプル1上のCu膜の膜厚を測定し、処理前と比較した膜厚減少量を測定することにより行った。膜厚測定装置としては、4−プローブ(4−ディメンジョン社製)を使用した。結果を図1〜図4に示す。図1〜図3中、横軸はpHを示し、縦軸は膜厚減少量(オングストローム)を示す。図4中、横軸は処理時間(分)を示し、縦軸は膜厚減少量(オングストローム)を示す。
【0059】
<サンプル2について>
500mLテフロンビーカーを用いて、上記のように調製した実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の剥離剤中に、室温(21.5℃)にてサンプル2を5分間浸漬した。
【0060】
こうして得られた処理後のサンプル2における、剥離剤の残渣除去性、防食性を評価した。評価は、処理後のサンプル2の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を観察することにより行った。SEMとしては、DS−720(トプコン社製)を使用した。結果を表2に示す。なお、残渣除去性及び防食性については、以下の評価基準により評価した。
【0061】
【表2】
【0062】
残渣除去状態:
◎…極めて良好
Cu防食性:
◎…十分に防食されている。
○…ほぼ防食されている。
△…やや腐食されている。
×…腐食されている。
【0063】
防食性については、図1〜図4及び表2から明らかなように、エポキシポリアミドを含む実施例1及び2にかかる剥離剤にCu防食効果があることがわかった。特に、実施例1及び2の剥離剤であって酸性領域にあるものには、Cu防食効果が顕著にあることがわかった。浸漬時間と防食性能との関係については、エポキシポリアミドを含まない比較例1及び比較例2にかかる剥離剤では経時的にCuが腐食され、膜厚変化量が大きくなっているにもかかわらず、エポキシポリアミドを含む実施例1及び実施例2にかかる剥離剤は、膜厚変化量にほとんど差がなく、経時的なCuの腐食が抑えられていることがわかった。
【0064】
また、表2から、エポキシポリアミドを含む実施例1及び実施例2にかかる剥離剤は、残渣除去性も極めて良好に維持していることがわかった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の剥離剤組成物によれば、銅を含む配線の腐食を防止しながら、レジスト残渣やエッチング残渣を良好に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1を使用した場合のサンプル1の膜厚変化を示した図である。
【図2】 実施例2を使用した場合のサンプル1の膜厚変化を示した図である。
【図3】 比較例1を使用した場合のサンプル1の膜厚変化を示した図である。
【図4】 比較例2を使用した場合のサンプル1の膜厚変化を示した図である。
Claims (8)
- フッ化アンモニウム、極性有機溶剤、水及び重量平均分子量が1000〜6000のエポキシポリアミドを含有することを特徴とする残渣剥離剤組成物。
- フッ化アンモニウムの含有量が0.1重量%〜50.0重量%であり、極性有機溶剤の含有量が4.9重量%〜80.0重量%であり、水の含有量が1.0重量%〜80.0重量%であり、エポキシポリアミドの含有量が0.01重量%〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の残渣剥離剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の残渣剥離剤組成物であって、更に有機アルカリ又は有機酸を含有することを特徴とする残渣剥離剤組成物。
- 有機アルカリ又は有機酸の含有量は0.1重量%〜50.0重量%であることを特徴とする請求項3に記載の残渣剥離剤組成物。
- 有機アルカリが、ジエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノイソプロピルアミン及び2−メチルアミノエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項3又は4に記載の残渣剥離剤組成物。
- 有機酸が、カルボキシル基を含有することを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の残渣剥離剤組成物。
- 極性有機溶剤が、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール及びジメチルピペリドンからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の残渣剥離剤組成物。
- 銅を含有する導電性金属配線を有する無機質基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に所定のパターンを有するレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をエッチングマスクとして前記絶縁膜をエッチングし、少なくとも前記導電性金属配線の上面を露出させるように凹部を形成する工程と、前記レジスト層を除去する工程と、請求項1〜7のいずれかに記載の残渣剥離剤組成物を用いて前記凹部を洗浄する工程とを含むことを特徴とする残渣剥離剤組成物の使用方法。
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