JP4688108B2 - 種結晶の固定状態の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、種結晶の固定状態の評価方法に関するものである。
炭化珪素半導体装置作製用基板としては現在直径2インチのものが市販されているが、半導体装置の性能、歩留まりを向上させるために更に高品質基板が必要となる。炭化珪素基板の高品質化のためには高品質炭化珪素バルク単結晶が必要であり、昇華再結晶法により炭化珪素バルク単結晶の高品質化成長技術開発が従来から試みられてきた。特に種結晶と単結晶成長用ルツボの種結晶支持部との接着不良が原因で発生するマクロ欠陥が問題となってきており、例えば、特許文献1および特許文献2に、その対策方法が開示されている。これらの方法はいずれも種結晶と種結晶支持部とを固定する際に用いる接着剤の種類と後処理方法を指定するものである。前者は高分子材料を高温で炭化するもので、後者は炭水化物と耐熱性微粒子と溶媒を混合したものを室温で乾燥させるものである。いずれの方法も上記マクロ欠陥の抑制効果は見られるが、完全ではなく、マクロ欠陥が発生する場合がある。
特開平9−110584号公報 特開平11−171691号公報
そこで、この発明の目的は、単結晶の成長(例えば、昇華法における炭化珪素単結晶成長)において、種結晶と種結晶支持部とを接着させる際の接着不良が原因で発生するマクロ欠陥を抑制して単結晶の品質を向上させることができるようにすることにある。
請求項1に記載の発明によれば、接着剤を熱処理により炭化させた後に、種結晶を通して接着剤の炭化層を観察して得られる反射光の明暗に基づいて固定状態の良否を判定することによって、成長前にマクロ欠陥発生の有無を予測でき、成長まで行う労力を削減できる。また、接着力の強い良好な接着条件を効率的に探し出すことができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明において、接着剤がカーボン粉末、高分子材料、有機溶媒からなり、耐熱性に優れた接着剤であり高温で成長でき、高温での接着力が大きく接着不良によるマクロ欠陥の発生を抑制でき、このような接着剤を用いた場合において好適な評価方法となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の発明において、カーボン粉末、フェノール樹脂、フェノール、エチルアルコールからなる接着剤を用いることによってカーボン接着剤として市販されており簡便に低コストで入手でき、このような接着剤を用いた場合において好適な評価方法となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の発明において、接着剤の乾燥、硬化の熱処理条件をこのように規定することによって評価することができるようになる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の発明において、接着剤の炭化の熱処理条件をこのように規定することによって良否を明確に判定することができるようになる。
請求項6に記載の発明によれば、種結晶および単結晶が炭化珪素単結晶である場合において好適な評価方法となる。
尚、本明細書においては、単結晶炭化珪素の面を表す場合、本来ならば図面(図8等)に記載されているように、所要の数字の上にバーを付した表現をとるべきであるが、表現手段に制約があるために、前記所要の数字の上にバーを付す表現の代わりに、前記所要数字の前に「−」を付して表現している。
以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
図1〜図6は、本実施形態における種結晶から単結晶を成長する際の説明図である。図6において、容器としてのルツボ20内に単結晶の原料(炭化珪素原料粉末)23が配置されるとともに、ルツボ20における蓋体21での種結晶支持部22に種結晶1が固定されている。このようにして、成長させる単結晶の原料23と種結晶1とが対向して配置される。この状態で、原料23を加熱昇華させて種結晶(炭化珪素基板)1から単結晶(炭化珪素単結晶)3を成長させることになる。
以下、単結晶の成長方法を詳しく説明していく。
まず、図1(a)に示すように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板1を用意する。そして、図1(b)に示すように、炭化珪素単結晶基板1の両面に熱酸化膜2a,2bを形成した後、図1(c)に示すように、フッ酸エッチングにより酸化膜2a,2bを除去する(犠牲酸化を行う)。
次に、図2に示すように、研磨機10に対し種結晶となる炭化珪素単結晶基板1をセットし、ダイヤモンド研磨材13により基板1の接着面となる側を機械研磨する。詳しくは、研磨機10は、研磨盤11とガイドリング14と試料固定治具15から構成されている。炭化珪素単結晶基板1はガイドリング14の内方に配置され、試料固定治具15にて固定される。このように固定された炭化珪素単結晶基板1の接着面側が、回転する研磨盤11の表面に押し付けられ、この状態で研磨が行われることになる。一方、ダイヤモンド研磨材13は、ダイヤモンド粒子が水などの溶媒に混合されたもので、噴射ノズル12から一定時間間隔で研磨盤11の表面に供給される。
その結果、図1(d)に示すように、種結晶となる炭化珪素単結晶基板1における一方の面(接着面側)が機械研磨により所定量t1だけ除去される。このようにして、基板1の一方の面1aが成長面となるとともに他方の面が接着面1bとなる。
研磨面の仕上げ状態、例えば表面粗さに特に制限はないが、接着相手である図6の種結晶支持部22の表面粗さと同程度するのが好ましい。表面粗さは、用いるダイヤモンド粒子の粒子サイズに依存する。本実施形態では、ダイヤモンドの粒子サイズを9μm、3μm、1μmの順に3段階に変えて研磨した面、あるいは9μmの1段階で研磨した面を接着面とした。
研磨面を接着面とすると密着性が良くなる詳細メカニズムは明らかではないが、以下のように推定される。
熱酸化など化学反応により形成された酸化膜を化学的にエッチングして除去した後の表面では、表面原子が終端して表面が不活性になっており、接着剤との原子的な結合が起こりにくくなっているものと考えられる。一方、上記のように機械的に研磨した表面は物理的に破壊した破断面が露出しているため、表面が活性であり接着剤と原子的な結合が起こりやすく密着性が良くなると考えられる。あるいは、炭化珪素をダイヤモンド研磨材13により研磨した場合は、研磨面の表面には非晶質化した層、歪層などの加工変質層が残留し、それが表面活性となる一因であるとも推定される。
接着面1bと反対側、即ち炭化珪素単結晶を成長させる成長面1aに、上記と同様に機械研磨を行い加工変質層が残留した場合は、加工変質層が成長結晶の品質を低下させる。そのため、加工変質層を除去した後に成長させるのが一般的であり、例えば上述したように熱酸化膜形成後にフッ酸エッチングにより酸化膜を加工変質層とともに除去する方法が広く用いられている。このような方法で加工変質層を除去すると接着面側の加工変質層も同時に除去され、上記推察により表面不活性となるので、密着性良く接着するために接着面側を機械的に研磨するようにしている。
上記では機械研磨により表面層を除去したが、他の方法、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)あるいはイオンミリングなどのドライエッチングにより表面層を除去してもよい。
単結晶の成長工程の説明に戻り、研磨が終了すると、次に、図6の成長用ルツボにおける蓋体21を外す。この蓋体21には、図3に示すように、種結晶支持部22が突設されている。蓋体21(種結晶支持部22)は黒鉛製である。
そして、蓋体21の種結晶支持部22に、接着剤30をむらなく厚さが均一になるように塗布する。この接着剤30は本来、黒鉛同士を接着するためのもので、フェノール樹脂(高分子材料)にカーボン粉末が混合され、溶媒としてフェノールとエチルアルコールが使用されている。今回用いた接着剤30は、日清紡績(株)製ST−201である。塗布厚さは50μm以下とし、塗布量は5〜10mg/cm2が好ましい。
引き続き、図4に示すように、表面層が除去された種結晶1を、接着剤30を介して種結晶支持部22に当接する。つまり、種結晶1における表面層が除去された側を、種結晶支持部22に塗布された接着剤30と密着させ、貼り合わせる。
次に、図5に示すように、接着剤30を介して種結晶1を当接した蓋体21を、恒温槽40中の載置台41の上にセットし、重り42により荷重を加えながら、熱処理を行う。これは、接着剤30中に含まれる溶媒を蒸発させるためと、フェノール樹脂を硬化させるためである。この接着剤を乾燥・硬化させる熱処理に関して、その熱処理温度と時間は、図7に示すように、室温から80℃までを1時間で昇温し、80℃で4時間保持し、80℃から120℃までを1時間20分で昇温し、120℃で4時間保持し、120℃から200℃を4時間かけて昇温し、最後に200℃で1時間保持する。その後、自然冷却する。以上の熱処理は200℃と比較的低温であり、雰囲気は空気中でよいので、恒温槽などで行うことができる。また、この温度プロファイルとすることにより接着力の向上を図ることができる。
本例では図5で重り42を種結晶1の上に載せて圧着し、これにより密着性を向上させており、より好ましいものとなっている。重り42の重さは1cm2あたり200g〜1000gとなるようにすればよい。
なお、図7に示した熱処理条件は一つの例であり、他の条件でも勿論接着できる。ただし、上記条件は溶媒が蒸発する際に気泡が発生するのを抑えるために比較的時間をかけて行っているので、上記条件よりも更に時間をかける方が好ましい。
また、接着剤30として日清紡績(株)製ST−201を用いたが、これに限ることなく、要はカーボン粉末と高分子材料を有機溶媒により混合したものを使用するとよい。
以上で、種結晶1と種結晶支持部22との接着が完了したので、図6に示すように種結晶1が接着された蓋体21を、炭化珪素原料粉末23が収納された黒鉛製ルツボ(ルツボ本体)20の上に積載して、所定の成長条件にて炭化珪素単結晶3を成長させる。成長後の結晶3を切り出し、研磨、結晶品質の検査を行った結果、種結晶1と種結晶支持部22との接着不良に起因するマクロ欠陥の存在は見られなかった。
マクロ欠陥とは、大きさが0.1mmから1mm程度の自形を持った空洞状(六角板状の空洞)の欠陥である。接着不良によりマクロ欠陥が結晶中に発生するメカニズムは以下に説明する通りであるが、R.A.Stein,Physica B185(1993)p.211.あるいは、M.Anikin et al., Materials Science Forum Vol.264−268(1998)p.45などの文献に説明がある。
接着不良により種結晶1と種結晶支持部22の間に空隙が生じ、その空隙を通して接着面と外部に空間のパスが形成される。接着面に生じた空隙において種結晶の昇華、再結晶が起こり、温度勾配が駆動力になって種結晶から成長結晶に向かって空隙が進行し、マクロ欠陥となる。上記空間のパスは上記昇華、再結晶を促進させるので、マクロ欠陥の発生を増加させる。また、接着面に生じた空隙は不均一であるため、種結晶1と種結晶支持部22との接触の有無に不均一が生じ、種結晶1と種結晶支持部22との熱伝達に差が生じる。その結果、種結晶面内で温度分布が生じ、その温度勾配により上記昇華、再結晶を促進させ、同様にマクロ欠陥の発生を増加させる。本実施形態による上記接着方法を用いれば、種結晶1と種結晶支持部22は密着して接着され、上記のような空隙は生じないので、マクロ欠陥も発生することはない。
以上のように、種結晶1の接着面の表面層を機械研磨により除去した後において、本来、黒鉛同士を接着するための接着剤(カーボン接着剤)30を用いて炭化珪素単結晶基板(種結晶)1と黒鉛製の種結晶支持部22を密着性良く接着するようにしている。
また、本発明者らは炭化珪素の接着面の結晶学的面方位が接着状態に影響することを見出した。即ち、結晶構造が6H型、4H型、15R型など(以下多形と呼ぶ)のα型の(000−1)カーボン面と(0001)シリコン面とを比較すると、(0001)シリコン面の方が密着性良く接着する歩留まりが低いことを見出した。この原因は明確ではないが、(000−1)カーボン面と(0001)シリコン面とでは最表面原子の違いにより表面エネルギーに差が生じ、接着剤との界面エネルギーの差により接着力に差が生じると考えられる。
4H型多形の結晶を成長させる場合、成長面は(000−1)カーボン面とする必要があり、その場合、接着面は(0001)シリコン面となり、密着性良く接着する歩留まりが低下し、マクロ欠陥の発生率が上昇する。上記接着面の機械研磨の工程がダイヤモンドの粒子サイズを9μm、3μm、1μmの順に3段階に変えた場合、密着性良く接着する歩留まりは50%で、マクロ欠陥発生率は50%となった。一方、6H型多形を持つ結晶を成長させる場合、成長面は(0001)シリコン面とすればよいので、接着面は(000−1)カーボン面となる。接着面の機械研磨の工程が同様にダイヤモンドの粒子サイズを9μm、3μm、1μmの順に3段階に変えた場合、密着性良く接着する歩留まりは100%で、マクロ欠陥発生率は0%となった。そこで、4H型多形の結晶を成長させる場合に密着性良く接着する歩留まりを向上させマクロ欠陥発生率を低下させるために、接着面の機械研磨の工程を変えた場合の効果を調べた。ダイヤモンドの粒子サイズが9μmの1段階で研磨した面を接着面とした場合、密着性良く接着する歩留まりは90%と向上し、マクロ欠陥発生率は10%と低下した。この原因はダイヤモンドの粒子サイズが9μmの場合、接着面が粗くなり種結晶支持部22および接着剤30との接触面積(露出面積)が増加したことと、接触面の面方位に(0001)シリコン面以外の面が追加されたことによるものと推定される。
4H型多形の結晶を成長させる場合に、密着性良く接着する歩留まりを更に向上させマクロ欠陥発生率を0%にするためには、図8に示すように、炭化珪素単結晶基板60,61における(0001)シリコン面60b,61b同士を貼り合わせて接合し図9に示すように種結晶とすることにより接着面、成長面ともに(000−1)カーボン面とすればよい。(0001)シリコン面同士を接合するには、研磨面を直接密着して貼り合わせ、2000℃〜2300℃にてアルゴンガス中で熱処理する方法、あるいは研磨面に熱酸化膜を形成して酸化膜を介して貼り合わせ、1000℃〜1300℃にて熱処理する方法で行う。この方法により、種結晶支持部22と種結晶1の(000−1)カーボン面とが接着することになり、密着性良く接着する歩留まりが向上しマクロ欠陥の発生率を0%にできる。かつ、炭化珪素単結晶3が成長する面が(000−1)カーボン面となり、4H型多形の結晶が成長できる。
さらに、本実施形態においては、種結晶1の固定状態の良否判定を以下のように行っている。
接着剤30を介して種結晶1と種結晶支持部22を当接し、この状態で図7に示した温度プロファイルにて(一回目の熱処理により)接着剤30を乾燥・硬化させた後、図10に示すように、雰囲気炉50内の載置台51にセットし、アルゴンガス雰囲気中で図11に示す二回目の熱処理により接着剤30を炭化させる。つまり、図7に示した熱処理にて接着剤30中に含まれる溶媒を蒸発させるとともにフェノール樹脂を硬化させた後において、図11に示す熱処理を行う。
図11において、室温から300℃までを2時間で昇温し、300℃から500℃までを8時間で昇温し、500℃から800℃までを4時間で昇温し、800℃で1時間保持し、その後、自然冷却する。この熱処理によって接着剤30中に含まれるフェノール樹脂が炭化し、接着層はカーボン粉末と炭化層の混在層になる。
なお、図11に示した処理条件は一例であり、フェノール樹脂が炭化する条件であれば他の条件で熱処理してもよい。また、熱処理雰囲気も黒鉛製である種結晶支持部22が酸化しない雰囲気であればよく、例えば真空中、窒素ガス中などでもよい。
このようにして熱処理を行った後、接着剤30の炭化層のひび割れの有無により固定状態の良否を判別する。つまり、接着状態が良い場合は、透明である炭化珪素単結晶基板(種結晶)1を通して目視により接着層(30)を観察すると接着層(30)には変化がなく単に黒色の層が見えるだけである。これに対し、接着状態が悪い場合は、接着層(30)にひび割れ、空隙が観察され、種結晶1と接着層(30)の一部が剥離しており、接着状態が良い場合と比べて光を多く反射して明るく見える。
このように接着状態を判別(評価)した後に、炭化珪素単結晶3を成長させると接着状態が良いと判別された場合にはマクロ欠陥は発生せず、高品質の炭化珪素単結晶3が得られたが、接着状態が悪いと判別された場合にはマクロ欠陥が多く発生し、得られた炭化珪素単結晶3は品質の悪いものであった。
本判別方法(固定状態の評価方法)を用いれば、種結晶1から炭化珪素単結晶3を成長させる前に、種結晶1と種結晶支持部22との接着状態の良し悪しの判断および成長後のマクロ欠陥発生の有無が予測できるので、マクロ欠陥の発生のない高品質の炭化珪素単結晶3が得られる良好な接着条件を見出す労力を大幅に低減できる。
一度良好な接着条件を見出せば、上記接着状態を判別するための熱処理を行わなくてもマクロ欠陥の発生のない高品質の炭化珪素単結晶3が得られる。しかしながら、量産前に接着方法を見つける方法(研磨材のサイズを見つける等)として使うだけでなく量産時の品質管理に使用することも可能である。つまり、接着状態を判別するための熱処理を行えば、成長前に接着不良品を確実に見つけることができるので、高品質の炭化珪素単結晶3が得られる歩留まり、生産性が向上する。
上記種結晶1の炭化珪素単結晶3を成長させる成長面側に導入された加工変質層を除去する工程のみを行い、接着面側の機械研磨を行わなかった場合、即ち熱酸化膜形成後フッ酸エッチングにより酸化膜を加工変質層とともに除去(犠牲酸化)した後、そのまま種結晶1と種結晶支持部22とを接着した場合は、上記熱処理により接着状態を判別すると接着不良であり、ひび割れ、空隙が発生していることが確認された。一方、上記酸化膜除去後に種結晶1の接着面側に機械研磨を施した後、種結晶1と種結晶支持部22とを接着した場合は、上記熱処理により接着状態を判別すると接着状態は良好であり、ひび割れ、空隙は発生していないことが確認された。さらに、上記両者の方法により接着された種結晶から単結晶を成長させると前者ではマクロ欠陥が多数発生したが、後者ではマクロ欠陥は全く発生しなかった。
以上により、上記接着状態の判別方法(種結晶の固定状態の評価方法)により成長後のマクロ欠陥発生を確実に予測できることがわかる。
以上説明してきたように本実施形態は下記の特徴を有する。
(イ)昇華法により炭化珪素バルク単結晶を成長させる際の種結晶の固定方法として、機械研磨などの物理的手法を用いて種結晶1の表面層のうち種結晶支持部22と接着する面側を除去する工程と、種結晶1の表面層が除去された側の新たな表面1bと種結晶支持部22とを接着剤30を介して接着する工程とを含むものとした。よって、種結晶1を密着性良く種結晶支持部22に接着でき、種結晶1から炭化珪素バルク単結晶3を成長させた場合、接着不良に起因するマクロ欠陥の発生を抑制することができる。その結果、高品質単結晶が得られる。詳しくは、昇華法における炭化珪素単結晶成長において、種結晶と種結晶支持部とを接着させる際の密着性とその歩留まりを向上させ、接着不良が原因で発生するマクロ欠陥を無くし、単結晶の品質を向上させることができる。
ここで、表面層を除去する工程が、ダイヤモンド研磨材を用いた機械研磨であると、簡便で低コストで接着不良によるマクロ欠陥の発生を抑制できる。
また、ダイヤモンド研磨材を用いた機械研磨工程の最終工程で用いるダイヤモンド研磨材の粒子径が、3μm以上であると(先の例ではダイヤモンドの粒子サイズが9μmの1段階で研磨した場合に相当)、シリコン面で接着した場合でも、接着不良によるマクロ欠陥の発生を抑制でき、特に、カーボン面成長となる4H多形の成長において効果がある。
また、接着剤30が、カーボン粉末、高分子材料、有機溶媒から構成されていると、耐熱性に優れた接着剤となり、高温で成長させることができる。また、高温での接着力が大きく、接着不良によるマクロ欠陥の発生を抑制できる。特に、接着剤30に含まれる高分子材料がフェノール樹脂であり、有機溶媒がフェノールとエチルアルコールであると、接着剤がカーボン粉末、フェノール樹脂、フェノール、エチルアルコールからなり、カーボン接着剤として市販されているものを使用でき、簡便に低コストで入手することができる。
(ロ)種結晶1の固定状態の良否を判別するための評価方法として、接着剤30を介して種結晶1と種結晶支持部22を当接し、この状態で一回目の熱処理(例えば図7の温度プロファイル)により接着剤30を乾燥・硬化させるとともに二回目の熱処理(例えば図11の温度プロファイル)により接着剤30を炭化させる工程と、接着剤30の炭化層のひび割れの有無により固定状態の良否を判別する工程とを含むようにした。このように、接着剤30を熱処理により炭化させた後に炭化層のひび割れの有無により固定状態の良否を判定することによって、成長前にマクロ欠陥発生の有無を予測でき、成長まで行う労力を削減できる。また、接着力の強い良好な接着条件を効率的に探し出すことができる。
(a)〜(d)は実施の形態における種結晶の加工工程を説明するための断面図。 種結晶の加工工程を説明するための図。 種結晶と種結晶支持部を接着する工程を説明するための図。 種結晶と種結晶支持部を接着する工程を説明するための図。 種結晶と種結晶支持部を接着する工程を説明するための図。 炭化珪素単結晶の成長装置を説明するための図。 熱処理の際の温度プロファイルを示す図。 2枚の炭化珪素単結晶基板を貼り合わせて種結晶とする工程を説明するための断面図。 2枚の炭化珪素単結晶基板を貼り合わせて種結晶とする工程を説明するための断面図。 評価のための熱処理装置を示す図。 熱処理の際の温度プロファイルを示す図。
符号の説明
1…種結晶、3…単結晶、20…ルツボ、21…蓋体、22…種結晶固定部、30…接着剤。

Claims (6)

  1. 種結晶支持部(22)に固定された種結晶(1)から単結晶(3)を成長させる際の種結晶(1)の固定状態の良否を判別するための評価方法であって、
    接着剤(30)を介して種結晶(1)と種結晶支持部(22)を当接し、この状態で一回目の熱処理により接着剤(30)を乾燥・硬化させるとともに二回目の熱処理により接着剤(30)を炭化させる工程と、
    前記種結晶(1)を通して前記接着剤(30)の炭化層を観察して得られる反射光の明暗に基づいて固定状態の良否を判別する工程と、
    を備えることを特徴とする固定状態の評価方法。
  2. 前記接着剤(30)が、カーボン粉末、高分子材料、有機溶媒から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定状態の評価方法。
  3. 前記接着剤(30)に含まれる高分子材料がフェノール樹脂であり、有機溶媒がフェノールとエチルアルコールであることを特徴とする請求項2に記載の固定状態の評価方法。
  4. 前記接着剤(30)を乾燥・硬化させる一回目の熱処理が、
    室温から80℃までを1時間で温度上昇させる工程と、
    80℃で4時間保持する工程と、
    80℃から120℃までを1時間20分で温度上昇させる工程と、
    120℃で4時間保持する工程と、
    120℃から200℃までを4時間で温度上昇させる工程と、
    200℃で1時間保持する工程と、
    からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定状態の評価方法。
  5. 前記接着剤(30)を炭化させる二回目の熱処理が、
    室温から300℃までを2時間で温度上昇させる工程と、
    300℃から500℃までを8時間で温度上昇させる工程と、
    500℃から800℃までを4時間で温度上昇させる工程と、
    800℃で1時間保持する工程と、
    からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定状態の評価方法。
  6. 前記種結晶(1)および単結晶(3)が炭化珪素単結晶であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定状態の評価方法。
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