JP2015182948A - 炭化ケイ素単結晶の製造方法 - Google Patents

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裕彌 鈴木
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Abstract

【課題】高品質な炭化ケイ素単結晶を得る。【解決手段】 種結晶1の成長面1aにシリコン窒化膜をプラズマCVD法等により形成する保護膜形成工程と、接着剤4を種結晶1の取り付け面1bに塗布し種結晶1を押さえつけてグラファイト製の台座5に取り付け、さらに接着剤4を硬化する取り付け工程と、加熱することにより種結晶1の成長面1aから保護膜3を除去する保護膜除去工程と、種結晶1の成長面1aに炭化ケイ素単結晶を成長する結晶成長工程とを順に実行するように構成した。【選択図】 図3

Description

この発明は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に関する。
従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法を工程順に説明する。はじめに、炭化ケイ素単結晶である種結晶の表面上の異物や表面汚染物を除去するため、酸化工程とエッチング工程とを順に実行する。酸化工程では、熱酸化法により種結晶の表面を酸化して熱酸化膜を形成する。その後、エッチング工程では、この種結晶をフッ酸溶液に浸漬して酸化膜を除去する。これらの工程により表面層は、熱酸化膜として種結晶の表面から除去され、同時に表面層に存在した異物や不純物も種結晶の表面から除去される。
さらに取り付け面研磨工程を実行する。取り付け面研磨工程では、機械研磨法により、結晶成長時には台座に密着する種結晶の取り付け面を研磨する。この工程により、種結晶と台座との密着性が向上する。
つぎの取り付け工程では、種結晶と台座とを接着させるため、接着剤を介して種結晶と台座とを当接させ、種結晶に重りを載せるなどして種結晶に圧力を加えながら熱処理を行う。接着剤は硬化し種結晶と台座とが密着する。なお、この台座は、炭化ケイ素単結晶を成長させる際に用いるルツボのフタを兼ねる。
さらに結晶成長工程を実行する。炭化ケイ素単結晶の原料となる炭化ケイ素粉末の入ったルツボの上に、種結晶が接着された台座をセットし、所定の条件でルツボを加熱し種結晶の成長面に炭化ケイ素単結晶を成長させる。
この従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、種結晶の取り付け面を研磨し、種結晶と台座の密着性を高めることにより、成長した炭化ケイ素単結晶に発生するマクロ欠陥を低減すると考えられている(例えば、特許文献1)。
また、別の従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法では、種結晶に所定の洗浄を施した後、種結晶の成長面に1nm膜厚のタングステン等を蒸着し、その後結晶成長工程を行う方法が開示されている。
この従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法によれば、種結晶の成長面に存在するマイクロパイプ等の結晶欠陥の近傍にタングステン等の蒸着物が付着することにより、種結晶の成長面に成長する炭化ケイ素単結晶への結晶欠陥の進行が阻害され、成長する炭化ケイ素単結晶にはマイクロパイプ等の結晶欠陥が引き継がれないと考えられている(例えば、特許文献2)。
特開2003−119098号 特開2003−128497号
特許文献1の炭化ケイ素単結晶の製造方法では、種結晶の上に重りを載せて種結晶に圧力を加えるので、種結晶の成長面にキズをつけたり異物を付着させたりすることがある。種結晶のこの成長面に炭化ケイ素単結晶を成長させると、キズや異物の付着に起因し成長した単結晶に欠陥が発生することがある。すなわち、キズや異物の付着は、炭化ケイ素単結晶の品質劣化の原因となることがある。
また、特許文献2の炭化ケイ素単結晶の製造方法では、種結晶の成長面に、タングステン等の薄膜を蒸着する。種結晶の成長面に種結晶とは異なる物質が存在すると、種結晶の成長面に異種ポリタイプ結晶が成長することがある。すなわち、種結晶とは異なる物質の存在が、単結晶の品質劣化の原因となることがある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、種結晶と台座との間に高い密着性を維持しつつ種結晶の成長面にキズをついたり異物を付着させたりすることを防止し、種結晶と台座との接着不良に起因する結晶品質の劣化と、種結晶表面のキズと異物に起因する結晶品質の劣化とを抑制する。また、種結晶とは異なる物質に起因する結晶品質の劣化を抑制する。
この発明に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法は、種結晶の成長面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、この種結晶に圧力を加えて台座に取り付ける取り付け工程と、保護膜形成工程において形成した保護膜を除去する保護膜除去工程と、種結晶の表面に炭化ケイ素単結晶を成長させる結晶成長工程とを順に備えたものである。
この発明によれば、取り付け工程の前に保護膜形成工程が実行されるので、取り付け工程時には、種結晶の成長面は保護膜により保護される。そのため、種結晶に圧力を加えて種結晶を台座へ押さえ付けても種結晶の成長面にキズをつけたり異物を付着させたりすることなく種結晶と台座との高い密着性を得ることができる。また、結晶成長工程の前に保護膜除去工程が実行されるので、保護膜は結晶成長を行う前に除去される。そのため、保護膜に起因する異種ポリタイプ結晶が成長することを抑制することができる。
よって、高品質な炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造工程を示す図である。
実施の形態1.
図1から図6は、この発明の実施の形態1に係る炭化ケイ素単結晶の製造方法の工程を示す図である。実施の形態1における炭化ケイ素単結晶の製造方法を図1から図6を順に参照して説明する。
図1を参照して炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。はじめに、種結晶1の取り付け面1bをセラミック製の研磨プレート2に接触させ、種結晶1をセラミック製の研磨プレート2に取り付ける。つぎに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、種結晶1の成長面1aの最表面を除去する。この最表面には、高品質な単結晶の成長を阻害するダメ−ジ層が存在し、このダメージ層を除去することにより、高品質な炭化ケイ素単結晶を成長することができる。その後、研磨プレート2から種結晶1を取り外し、種結晶1を洗浄する。
例えば、種結晶1には、直径が3インチで、結晶構造が六方晶(4H)型で、種結晶1の成長面1aは、面方位(000−1)のカーボン面で、<11−20>方向に4度のオフ角を有するものを用いる。
図2を参照してつぎの炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。保護膜形成工程を実行し、種結晶1の成長面1aに保護膜3を形成する。保護膜3は厚さ100nm以上、300nm以下のシリコン窒化膜である。保護膜3の形成方法には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられる。
なお、保護膜3のシリコン窒化膜の膜厚を100nm以上、300nm以下としたのは、膜厚が100nmより薄いと、種結晶1の成長面1aを保護する効果を十分に得ることができず、膜厚が300nmより厚いと、後述する保護膜除去工程の際にシリコン窒化膜の除去が困難になるからである。
図3を参照してつぎの炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。後述する台座5に種結晶1を取り付ける際に、台座5との密着性を高めるために、CMP法により台座5に取り付けられる種結晶1の取り付け面1bを研磨する。この際、保護膜3で覆われた種結晶1の成長面1aを研磨プレート2に接触させ、種結晶1を研磨プレート2に取り付ける。その後、種結晶1の取り付け面1bを研磨する。なお、取り付け面1bは、研磨により適度な凹凸が形成され、適度な表面積を得ると台座5との密着性が高くなる。なお、この工程において、保護膜3は、種結晶1の成長面1aにキズをつけることや異物を付着させることから保護する。
その後、研磨プレート2から種結晶1を取り外し、種結晶1を洗浄する。
図4を参照してつぎの炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。取り付け工程を実行し、接着剤4を用いて種結晶1をグラファイト製の台座5に取り付ける。まず種結晶1の取り付け面1bに接着剤4を塗布する。その後、台座5に種結晶1の取り付け面1bを押し当て、接着剤4を硬化させる。この際、種結晶1と台座5との密着性を向上させるために、種結晶1の成長面1a上に重りを載せるなどして種結晶1に圧力を加え、種結晶1を台座5に押さえ付ける。なお、保護膜3は、この工程において、種結晶1の成長面1aにキズをつけることや異物を付着させることから保護する。
このとき接着剤4中にはまだ有機溶媒成分が含有しているので、つぎに、この有機溶媒成分を完全に除去するための焼成工程を行う。この焼成工程では、図5に示すように、台座5に取り付けられた種結晶1を焼成用ルツボ6内に配置し、誘導加熱法で焼成用ルツボ6をあらかじめ設定された温度および時間の条件で加熱する。この際、熱輻射を防止し効率よく加熱するために、焼成用ルツボ6の周囲を断熱材(図示せず)で覆う。
つぎに図6を参照してつぎの炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。ここでは、種結晶1の成長面1a上の保護膜3を除去する保護膜除去工程と、炭化ケイ素単結晶を成長する結晶成長工程とを順に実行する。グラファイト製の結晶成長用ルツボ7に炭化ケイ素単結晶の原料8となる炭化ケイ素粉末を充填し、台座5が取り付けられたグラファイト製のフタ9により、結晶成長用ルツボ7を封止する。この状態の結晶成長用ルツボ7とフタ9、すなわち、炭化ケイ素粉末と台座5に取り付けられた種結晶1を収納した結晶成長用ルツボ7とフタ9をルツボセット10と称する。
その後、ルツボセット10の周囲に断熱材(図示せず)を配置し、これらを結晶成長炉(図示せず)の中に配置する。真空ポンプなどを用いて結晶成長炉内を減圧し、結晶成長炉内が予め設定された圧力に達したら、結晶成長炉内にアルゴン等の不活性ガスを導入し、結晶成長炉内の圧力を0.33kPaに保持する。なお、ルツボセット10の内部も結晶成長炉内と同じ圧力になる。
つぎに結晶成長炉内の温度を昇温し、結晶成長炉内で保護膜除去工程を実施する。この際、原料8である炭化ケイ素粉末の方が、種結晶1に比べ温度が低くなるように、ルツボセット10内で温度勾配を設けながら保護膜除去工程を実施する。
仮に原料8である炭化ケイ素粉末の温度が、種結晶1の温度より高くなると、保護膜3であるシリコン窒化膜が完全に除去されないままで炭化ケイ素粉末が昇華して種結晶1の成長面1a上に炭化ケイ素単結晶が成長する。この場合、種結晶1の成長面1aに異種ポリタイプ結晶が成長し、炭化ケイ素単結晶の品質低下が起こることがある。
本実施の形態1では種結晶1が接続されたフタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度を2000℃、原料8を収納した結晶成長用ルツボ7の底部の温度を1930℃にそれぞれ設定する。この温度勾配は誘導加熱用コイルとルツボセット10の位置を調整することにより実現することができる。この温度状態を30分程度維持すると、原料8である炭化ケイ素粉末が昇華することなく、種結晶1の成長面1a上のシリコン窒化膜を除去することができる。
保護膜除去工程におけるフタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度は、1800℃以上、2200℃以下が望ましい。フタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度が、1800℃より低い場合は保護膜3の除去が困難となり、2200℃より高い場合は種結晶1が昇華しやすくなり結晶品質が劣化することがある。
仮に、フタ9および結晶成長用ルツボ7の上部と、結晶成長用ルツボ7の底部との温度差が大きくなりすぎると、種結晶1の昇華が促進されて種結晶1の成長面1aが炭化するために、種結晶1上に成長する結晶の品質が劣化する。このため、保護膜除去工程時のフタ9および結晶成長用ルツボ7の上部と、結晶成長用ルツボ7の底部との温度差は100℃未満にすることが望ましい。
なお、保護膜除去工程では、保護膜3にシリコン窒化膜を用いることにより、シリコン窒化膜の昇華により発生した窒素ガスが結晶成長初期にドーパントとして成長結晶に取り込まれ、安定的にn型の4H型炭化ケイ素結晶を成長し、異種ポリタイプ結晶の成長を防ぐ効果がある。
不活性ガス雰囲気下において、保護膜3を除去した後も継続して種結晶1を加熱すると、種結晶1が昇華することにより種結晶1の成長面1aが炭化し、得られた単結晶の品質が劣化することが実験的に確認されている。
本実施の形態1の炭化ケイ素結晶の製造方法では、種結晶1の成長面1aは、炭化されずシリコン面が維持される。これは保護膜除去工程時に結晶成長用ルツボ7内に原料8の炭化ケイ素粉末が充填されているので、雰囲気中のシリコンガス分圧が高い状態に維持されるため、種結晶1の成長面1aからシリコンが離脱しないためと考えられる。
さらに、保護膜3であるシリコン窒化膜が昇華して発生したシリコンガスにより、結晶成長初期における種結晶1の成長面1aの炭化を伴う昇華反応を防ぐ効果もあると考えられる。
保護膜除去工程完了後、引き続き結晶成長工程を実行する。結晶成長工程では、フタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度を2100℃に設定し、結晶成長用ルツボ7の底部の温度を2200℃に設定する。
これら温度設定および圧力0.33kPaを維持したまま40時間成長させると、結晶成長前の種結晶1の直径40mmの場合、結晶成長後では直径が44mmに拡大した品質の高い炭化ケイ素単結晶のインゴットが得られる。
本実施の形態1の炭化ケイ素単結晶の製造方法により、保護膜形成工程時に種結晶1の成長面1aに形成された保護膜3が、種結晶1の成長面1aを保護するため、取り付け工程時に種結晶1の成長面1aにキズが付いたり異物が付着したり、あるいは接着剤4が種結晶1の成長面1a側に回り込み成長面1aが汚染したりすることを抑止する。さらに、保護膜除去工程では、結晶成長工程を実行する前に保護膜3を除去するので、保護膜3が起因した異種ポリタイプ結晶が成長することはない。
よって、高品質な炭化ケイ素単結晶を得ることができる。
つぎに、実施の形態1に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法と、従来の保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない炭化ケイ素単結晶の製造方法による炭化ケイ素単結晶の品質を比較した例を示す。
(実施例1)
種結晶1に、その直径が3インチで、結晶構造が六方晶(4H)型で、成長面1aに<11−20>方向に4度のオフ角を有している(000−1)カーボン面を有する仕様のものを2個用意した。
一方の種結晶1には、この発明の実施の形態1に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法を施した。この種結晶1を結晶Aと称する。また、もう一方には、従来の保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない炭化ケイ素単結晶の製造方法を施した。この種結晶1を結晶Bと称する。なお、結晶Bには、保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない以外は、結晶Aと同様な工程を施した。
なお、焼成工程の完了後には、結晶Aと結晶Bとに、台座5への取り付け不良が生じていないことが確認した。
結晶Aと結晶Bとに結晶成長工程を施した後に、エッチピット法により各々に成長した炭化ケイ素単結晶の結晶品質を評価した。
結晶Aのらせん転位密度は624個/cmであった。一方、結晶Bのらせん転位密度は2253個/cmであった。すなわち、この発明の実施の形態1に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法の方が、従来の保護膜形成工程および保護膜除去工程を行わなかった方に比べ、らせん転位密度がきわめて低かった。なお、結晶Aには、マイクロパイプは観察されなかったが、結晶Bには、マイクロパイプは観察された。
(実施例2)
種結晶1に、その直径が3インチで、結晶構造が六方晶(4H)型で、成長面1aに<11−20>方向に4度のオフ角を有している(000−1)カーボン面を有する仕様のものを2個用意した。
一方の種結晶1には、この発明の実施の形態1に則り取り付け工程までを施した。この種結晶1を結晶Cと称する。もう一方には、保護膜形成工程を行わずに、取り付け工程までを施した。この種結晶1を結晶Dと称する。なお、結晶Dには、保護膜形成工程を行わない以外は、結晶Cと同様な工程を施した。
結晶Cと結晶Dとに取り付け工程を施した後、結晶Cと結晶Dとの成長面1aを光学顕微鏡で観察を行った。なお、結晶Dに関しては取り付け工程直後に成長面1aの観察を行い、結晶Cに関してはリン酸溶液に結晶Cを浸漬しシリコン窒化膜を除去してから、成長面1aの観察を行った。
結晶Cの成長面1aには異物の付着とキズとが観察されなかったが、結晶Dの成長面1aには異物とキズとが観察された。
結晶Cと結晶Dとの比較評価結果から、保護膜形成工程にて形成したシリコン窒化膜は、取り付け工程時に種結晶1の成長面1aにキズをつけたり異物を付着させたりすることを効果的に抑止していた。
実施例1および実施例2の評価結果から、保護膜形成工程にて形成したシリコン窒化膜は、取り付け工程時に種結晶1の成長面1aに発生するキズと異物の付着を効果的に抑止し、また、保護膜除去工程によりシリコン窒化膜を除去されているため、結晶成長後の炭化ケイ素単結晶に発生する欠陥を抑止していることが確認できた。
実施の形態2.
実施の形態1では、結晶成長用ルツボ7内で、保護膜除去工程と結晶成長工程とを連続的に実行することを説明した。本実施の形態2では、焼成工程と保護膜除去工程と結晶成長工程とを、結晶成長用ルツボ7内で連続的に実行する例を示す。
本実施の形態2では、焼成工程の実行した後に種結晶1を焼成用ルツボ6から取り出すことを省くことができるので、実施の形態1の場合に比べ、炭化ケイ素単結晶の製造時間を短時間化し、コストを削減することができる。
本実施の形態2では、実施の形態1における図1を参照して説明した炭化ケイ素単結晶の製造工程から図3を参照して説明した製造工程の種結晶1の取り付け面1bを研磨する工程までは、実施の形態1と同一あるいは同様な工程を順に遂行する。
さらに、図4を参照して説明した取り付け工程において、実施の形態1と同一あるいは同様に、接着剤4を塗布し種結晶1をグラファイト製の台座5に取り付け、種結晶1の成長面1a上に重りを載せるなどして種結晶1を台座5に押さえ付ける(接着工程)。
つぎに、図6を参照してつぎの炭化ケイ素単結晶の製造工程を説明する。焼成工程と保護膜除去工程と結晶成長工程とを順に行う。グラファイト製の結晶成長用ルツボ7に炭化ケイ素単結晶の原料8となる炭化ケイ素粉末を充填し、台座5が取り付けられたグラファイト製のフタ9により、結晶成長用ルツボ7を封止する。
その後、このルツボセット10の周囲に断熱材(図示せず)を配置し、これらを結晶成長炉(図示せず)の中に配置し、まず焼成工程を実行する。真空ポンプなどを用いて結晶成長炉内を減圧する。予め設定された圧力に達したら、結晶成長炉内にアルゴン等の不活性ガスを導入し、結晶成長炉内の圧力を80kPaに保持する。その後、予め設定された温度および時間で、ルツボセット10を加熱して、接着剤4を焼成する。
連続して保護膜除去工程を実行する。不活性ガスの導入量あるいは真空ポンプの排気量を調整し、結晶成長炉内の圧力を0.33kPaに保持する。種結晶1が接続されたフタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度を2000℃、原料8となる炭化ケイ素粉末を収納した結晶成長用ルツボ7の底部の温度を1930℃にそれぞれ設定する。この温度状態を30分程度維持し、炭化ケイ素粉末を昇華させることなく、種結晶1の成長面1a上の保護膜3であるシリコン窒化膜を除去する。
つぎに、結晶成長工程を実行する。結晶成長用ルツボ7の底部の温度を2200℃、フタ9および結晶成長用ルツボ7の上部の温度を2100℃に設定する。
この温度および圧力0.33kPaを維持したまま40時間成長させると、結晶成長前の種結晶1の直径40mmの場合、結晶成長後では直径44mmに拡大した高品質な炭化ケイ素単結晶のインゴットが得られる。
本実施の形態2の炭化ケイ素単結晶の製造方法により、保護膜形成工程時に種結晶1の成長面1aに形成された保護膜3が、種結晶1の成長面1aを保護するため、取り付け工程時に種結晶1の成長面1aにキズが付いたり異物が付着したり、あるいは接着剤4が種結晶1の成長面1a側に回り込み成長面1aが汚染したりすることを抑止する。さらに、保護膜除去工程では、結晶成長工程の実行する前に保護膜3は除去されるので、保護膜3が起因して、異種ポリタイプ結晶が成長することはない。
よって、高品質な炭化ケイ素単結晶を得ることができる。また、焼成工程、保護膜除去工程および結晶成長工程を順に連続的に遂行するため、実施の形態1の場合に比べ、炭化ケイ素単結晶の製造時間を短縮し、コストの削減を図ることができる。
つぎに、実施の形態2に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法と、従来の保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない炭化ケイ素単結晶の製造方法による炭化ケイ素単結晶の品質を比較した例を示す。
(実施例3)
種結晶1に、その直径が3インチで、結晶構造が六方晶(4H)型で、成長面1aに<11−20>方向に4度のオフ角を有している(000−1)カーボン面を有する仕様のものを2個用意した。
一方の種結晶1には、この発明の実施の形態2に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法を施した。この種結晶1を結晶Eと称する。また、もう一方には、従来の保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない炭化ケイ素単結晶の製造方法を施した。この種結晶1を結晶Fと称する。なお、結晶Fには、保護膜形成工程と保護膜除去工程を行わない以外は、結晶Eと同様な工程を施した。
結晶Eと結晶Fとに結晶成長工程を施した後に、エッチピット法により各々に成長した炭化ケイ素単結晶の結晶品質を評価した。
結晶Eのらせん転位密度は713個/cmであった。一方、結晶Fのらせん転位密度は2589個/cmであった。すなわち、この発明の実施の形態2に則った炭化ケイ素単結晶の製造方法の方が、従来の保護膜形成工程および保護膜除去工程を行わなかった方に比べ、らせん転位密度がきわめて低くかった。なお、結晶Eには、マイクロパイプは観察されなかったが、結晶Fには、マイクロパイプは観察された。
実施例3の評価結果から、保護膜形成工程にて形成したシリコン窒化膜は、効果的に取り付け工程時に種結晶1の成長面1aに発生するキズと異物の付着を効果的に抑止し、また、保護膜除去工程によりシリコン窒化膜を除去されているため、結晶成長後の単結晶に発生する欠陥を抑止していると考えられる。
なお、実施例1における結晶Aと結晶Fとのらせん転位密度を比較しても、大きな差がなかったことから、焼成工程、保護膜除去工程および結晶成長工程をルツボセット10内で実行しても、炭化ケイ素単結晶の品質に影響を与えないと判断することができる。
なお、実施の形態1および実施の形態2では、種結晶1を4H構造の炭化ケイ素の場合について説明したが、この発明は、種結晶1の結晶構造、種結晶1の成長面1a、種結晶1の成長面1aのオフ角および種結晶1の直径などの炭化ケイ素の種結晶1の性質に限られるものではない。
さらに、実施の形態1および実施の形態2では、保護膜3が、シリコン窒化膜の場合について説明したが、この発明は、保護膜3をシリコン窒化膜した場合に限られるものではなく、2200℃以下の温度において、昇華するものであれば、保護膜3は、他の材質でもよく、例えば、シリコン酸化膜などが挙げられる。
また、実施の形態1および実施の形態2では、プラズマCVD法を用いて保護膜3を種結晶1の成長面1aに形成したが、この発明は、保護膜3のこの形成方法に限られるものではなく、例えば、保護膜3の形成方法は、熱CVD法、スパッタ法、蒸着法などの堆積法、および、熱酸化法、スピンコート法などであってもよい。
なお、実施の形態1および実施の形態2では、結晶成長方法に昇華法を用いたが、この発明は、結晶成長法に限られるものではなく、例えば、高温CVD法による炭化ケイ素単結晶の成長法などが挙げられる。なお、高温CVD法の場合、結晶成長前にキャリアガスである水素とともに、シランを流す。このとき、種結晶1の温度は、2200℃とする。ガスの流量は、種結晶表面近傍の飽和蒸気圧よりも気相中のシリコンガスの分圧が低くなるように設定する必要がある。
なお、実施の形態1および実施の形態2では、炭化ケイ素単結晶の原料8として、炭化ケイ素粉末を用いたが、原料8は、炭化ケイ素粉末に限られるものではなく、例えば、シリコンと炭素の混合粉末などを用いてもよい。
1 種結晶、3 保護膜、4 接着剤、5 台座、6 焼成用ルツボ、7 結晶成長用ルツボ、8 原料、9 フタ、10 ルツボセット。

Claims (7)

  1. 種結晶の表面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記種結晶に圧力を加えて前記種結晶を台座に取り付ける取り付け工程と、
    前記保護膜を前記種結晶の表面から除去する保護膜除去工程と、
    前記種結晶の表面に結晶を成長する結晶成長工程とを順に備えることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  2. 保護膜は、シリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  3. 保護膜は、100nm以上300nm以下の厚みを有することを特徴とする請求項2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  4. 保護膜除去工程と結晶成長工程とが、同じルツボ内で行われることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  5. ルツボ内の種結晶の温度が、前記ルツボ内の原料の温度より高い温度で保護膜除去工程が行われることを特徴とする請求項4に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  6. 保護膜除去工程は、1800℃以上2200以下の温度で行われることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  7. 取り付け工程は、種結晶の取り付け面と台座とを接着剤により接着する接着工程と前記接着剤を焼成する焼成工程とを順に備え、
    前記焼成工程と保護膜除去工程とが、同じルツボ内で行われることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
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