JP2011201756A - 単結晶炭化珪素の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大面積を有する高品質の単結晶炭化珪素を、工業的規模で安定に供給し得る結晶製造方法を提供する。
【解決手段】種結晶1を用いた昇華再結晶法により単結晶炭化珪素を成長させる際に、原料2となる炭化珪素粉末に窒化珪素粉末を混合する。その割合は、90対10から99.5対0.5の範囲である。混合される窒化珪素は、分解、昇華温度が炭化珪素に近く、かつ炭化珪素単結晶中に窒素が取り込まれることによりN型の特性を示す。
【選択図】図1
【解決手段】種結晶1を用いた昇華再結晶法により単結晶炭化珪素を成長させる際に、原料2となる炭化珪素粉末に窒化珪素粉末を混合する。その割合は、90対10から99.5対0.5の範囲である。混合される窒化珪素は、分解、昇華温度が炭化珪素に近く、かつ炭化珪素単結晶中に窒素が取り込まれることによりN型の特性を示す。
【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶炭化珪素の製造方法に係わり、特に、青色発光ダイオードや電子デバイスなどの基板ウェハとなる良質で大型の単結晶インゴットの成長方法に関するものである。
炭化珪素(SiC)は耐熱性及び機械的強度も優れ、放射線に強いなどの物理的、化学的性質から耐環境性半導体材料として注目されている。6H型の炭化珪素結晶は室温で約3eVの禁制帯幅を持ち、青色発光ダイオード材料として用いられている。また、4H型の単結晶炭化珪素は、高い電子移動度を有し、高周波デバイスや高耐圧電子デバイスへの適用が期待されている。しかしながら、大面積を有する高品質の単結晶炭化珪素を、工業的規模で安定に供給し得る結晶成長技術は、いまだ確立されていない。それゆえ、炭化珪素は、上述のような多くの利点及び可能性を有する半導体材料にもかかわらず、その実用化が阻まれていた。
従来、研究室程度の規模では、例えば昇華再結晶法(レーリー法)で単結晶炭化珪素を成長させ、半導体素子の作製が可能なサイズの単結晶炭化珪素を得ていた。しかしながら、この方法では、得られた単結晶の面積が小さく、その寸法及び形状を高精度に制御することは困難である。また、炭化珪素が有する結晶多形及び不純物キャリア濃度の制御も容易ではない。また、化学気相成長法(CVD法)を用いて珪素(Si)等などの異種基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより立方晶の単結晶炭化珪素を成長させることも行われている。この方法では、大面積の単結晶は得られるが、基板との格子不整合が約20%もあること等により多くの欠陥を含む(〜107cm−2)単結晶炭化珪素しか成長させることができず、高品質の単結晶炭化珪素を得ることは容易でない。
これらの問題点を解決するために、種結晶を用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が提案されている。この方法では、種結晶を用いているため結晶の核形成過程が制御でき、また不活性ガスにより雰囲気圧力を数Torrから100Torr程度に制御することにより結晶の成長速度等を再現性良くコントロールできる。さらに、結晶の抵抗率は、不活性ガスからなる雰囲気中に不純物ガスを添加する、あるいは炭化珪素原料粉末中に不純物元素あるいはその化合物を混合することにより、制御可能である。単結晶炭化珪素中の置換型不純物として代表的なものに、窒素(N型)、ホウ素、アルミニウム(P型)がある。この内、窒素は単結晶炭化珪素中で炭素原子位置を、ホウ素、アルミニウムは珪素原子位置を置換する。
このように種結晶を用いた昇華再結晶法を用いれば、結晶多形(ポリタイプ)、形状、及び抵抗率を制御しながら、大型の単結晶炭化珪素を再現性良く成長させることができる。
上記従来方法で単結晶炭化珪素を成長した場合、通常の温度条件(摂氏2200度から2400度)では、W.F.Nippenberg,Philips Research Reports vol.18(1963)pp.161−274に記載されているように、6H型の単結晶炭化珪素が高い確率で形成されてしまい、高周波高耐圧電子デバイスに適した4H型の単結晶炭化珪素を得るのは困難である。また、M.Kanay a et al.,Applied Physics Letters vol.58(1988)pp.56−58に、種結晶の温度を低下させ、さらに雰囲気圧力を低下させることにより結晶成長の過飽和度を上昇させ、4H型単結晶炭化珪素の形成確率を高める方法が記載されているが、一般に過飽和度を高めると欠陥発生の確率も上昇してしまい、やはり好ましくない。また、Yu.M.Tairov et al.,Physica Status Solidi vol.25(1974)p.349、A.Ito et al.,Applied Physics Letters vol.65(1994)pp.1400−1402に、Sc、Ceといった希土類金属を炭化珪素成長表面に供給し、表面エネルギーを変化させ4H型結晶の核発生を促進する方法が記載されているが、半導体デバイスへの応用を考えた場合には、これらの重金属の使用は好ましくない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、大型のウェハを切り出せる、欠陥が少なく良質の4H型単結晶インゴットを再現性良く製造し得る単結晶炭化珪素の製造方法を提供するものである。
本発明の単結晶炭化珪素の製造方法は、種結晶を用いた昇華再結晶法により単結晶炭化珪素を成長させる際に、原料となる炭化珪素粉末に窒化珪素粉末を混合することを特徴とするものである。
また本発明においては、前記の炭化珪素粉末と窒化珪素粉末の混合割合が90対10から99.5対0.5の範囲であることを特徴とするものである。
本発明の製造方法では、種結晶を用いた昇華再結晶法により単結晶炭化珪素を成長させる際に、予め炭化珪素粉末に所定割合の窒化珪素粉末を混合したものを原料として使用するものである。
種結晶を用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法で4H型単結晶炭化珪素を製造しようとすると、通常の温度条件(摂氏2200度から2400度)では、W.F.Nippenberg,Philips Research Reports vol.18(1963)pp.161−274に記載されているように、6H型の単結晶炭化珪素が高い確率で形成されてしまい、高周波高耐圧電子デバイスに適した4H型の単結晶炭化珪素を得るのは困難である。これは、炭化珪素が分解、昇華する際の珪素/炭素の割合が炭素過剰の方向へずれてしまうことが一因である。選択的に4H型の単結晶炭化珪素を得るためには、昇華ガス中の珪素分を増加する必要がある。
黒鉛坩堝の内部で、珪素分を増加するためには、原料の炭化珪素粉末に珪素を含む化合物を混合することが考えられる。ただし、炭化珪素は2000℃以上で昇華するため、金属珪素など融点が低い化合物では、炭化珪素が昇華する前に珪素原子が溶融または昇華してしまい、ガスとして黒鉛坩堝外に出てしまったり、一部は種結晶上に不要な核を形成したりするため、好ましくない。
また、珪素と硼素の化合物などを使用すると、成長する結晶中に硼素が取り込まれ、求める単結晶と異なる特性となってしまう。
本発明は、混合する珪素化合物として窒化珪素を使用することにより、良質な4H型の単結晶炭化珪素を得ることができるものである。窒化珪素は、分解、昇華温度が炭化珪素に近く、かつ炭化珪素単結晶中に窒素が取り込まれることによりN型の特性を示すために、炭化珪素原料に混合する化合物として最適である。
以下に、本発明の詳細を実施例に基づき述べる。
図1は、本発明の実施に用いられる製造装置であり、種結晶を用いた改良型レーリー法によって単結晶炭化珪素を成長させる装置の一例である。まず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いた単結晶炭化珪素基板1の上に、原料である炭化珪素粉末2を昇華再結晶させることにより行われる。種結晶の炭化珪素結晶基板1は、黒鉛坩堝3の蓋4の内面に取り付けられる。原料の炭化珪素粉末2は、黒鉛坩堝3の内部に充填されている。このような黒鉛坩堝3は、二重石英管5の内部に、黒鉛の支持板6により設置される。黒鉛坩堝3の周囲には、熱シールドのための黒鉛製フェルト7が設置されている。二重石英管5は、真空排気装置13により高真空排気(10−5Torr以下)でき、かつ内部雰囲気をArガス供給源に接続されている配管9を通じてArガス用マスフローコントローラ10を介して供給されるArガスによって圧力制御することができる。また、二重石英管5の外周には、誘導加熱コイル8が設置されており、高周波電流を流すことにより黒鉛坩堝3を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝上部及び下部を覆うフェルトの中央部に直径2〜4mmの光路を設け坩堝上部及び下部からの光を取りだし、二色温度計を用いて行う。坩堝下部の温度を原料温度とする。
次に、この結晶成長装置を用いた単結晶炭化珪素の製造について実施例を説明する。
まず、市販されている炭化珪素粉末(昭和電工製グリーンデシック#150)950gと窒化珪素粉末(電気化学工業製デンカ窒化珪素)50gを乳鉢で混合した後、黒鉛坩堝3に入れた。黒鉛ルツボ3上部の蓋4の内面には、種結晶として成長面方位が<0001>方向である六方晶系の炭化珪素からなる基板1取り付けてある。黒鉛ルツボ3の周囲に黒鉛製フェルト7を巻いて黒鉛製支持棒6の上に乗せ、二重石英管5の内部に設置した。
石英管の内部を真空排気した後、誘導加熱コイル8に電流を流し原料温度を2000℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとしてArガスを流入させ、石英管内圧力を約600Torrに保ちながら、原料温度を目標温度である2400℃まで上昇させた。
原料温度を2400℃、種結晶温度を2300℃に保持した状態で、72時間後に炉内を自然冷却し、黒鉛坩堝3上部の蓋4の内面に成長した結晶を取り出した。
こうして得られた単結晶炭化珪素をX線回折及びラマン散乱により分析したところ、4H型の単結晶炭化珪素が成長していることを確認できた。成長した結晶は種結晶上より成長最表面まで均一で、高品質の4H型単結晶炭化珪素であった。
以上説明したように、本発明によれば、種結晶を用いた昇華再結晶法による単結晶炭化珪素の製造方法において、炭化珪素粉末に窒化珪素粉末を混合した原料を使用することによって良質の4H型単結晶炭化珪素を再現性良く成長させることができる。このような4H型単結晶炭化珪素を成長用基板として用い、気相エピタキシャル成長法により、この基板上に単結晶炭化珪素薄膜を成長させれば、電気的特性の優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを製作することができる。
1 単結晶炭化珪素基板(種結晶)
2 炭化珪素粉末と窒化珪素粉末の混合原料
3 黒鉛坩堝
4 黒鉛坩堝蓋
5 二重石英管
6 支持板
7 黒鉛製フェルト
8 誘導加熱コイル
9 Arガス配管
10 Arガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
2 炭化珪素粉末と窒化珪素粉末の混合原料
3 黒鉛坩堝
4 黒鉛坩堝蓋
5 二重石英管
6 支持板
7 黒鉛製フェルト
8 誘導加熱コイル
9 Arガス配管
10 Arガス用マスフローコントローラ
11 真空排気装置
Claims (2)
- 種結晶を用いた昇華再結晶法により単結晶炭化珪素を成長させる際に、原料となる炭化珪素粉末に窒化珪素粉末を混合することを特徴とする4H型単結晶炭化珪素の製造方法。
- 前記の炭化珪素粉末と窒化珪素粉末の混合割合が90対10から99.5対0.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の4H型単結晶炭化珪素の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010090845A JP2011201756A (ja) | 2010-03-25 | 2010-03-25 | 単結晶炭化珪素の製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2011201756A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015182948A (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-22 | 三菱電機株式会社 | 炭化ケイ素単結晶の製造方法 |
CN116575122A (zh) * | 2023-07-13 | 2023-08-11 | 宁波合盛新材料有限公司 | N型碳化硅晶体、制备方法及生长装置 |
-
2010
- 2010-03-25 JP JP2010090845A patent/JP2011201756A/ja active Pending
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