JP2001139394A - 種結晶固定剤、種結晶固定方法およびそれらを用いた単結晶の製造方法 - Google Patents
種結晶固定剤、種結晶固定方法およびそれらを用いた単結晶の製造方法Info
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Abstract
な単結晶を得ることができる種結晶固定剤を提供する。 【解決手段】 単結晶成長時に種結晶と種結晶台座との
界面において耐熱性微粒子および炭素の複合構造を形成
することのできる種結晶固定剤であって、具体的には、
樹脂と耐熱性微粒子と溶剤とからなる種結晶固定剤を用
いて、種結晶を種結晶台座に固定する。
Description
結晶を種結晶台座に固定するための種結晶固定剤、種結
晶固定方法およびそれらを用いた単結晶の製造方法に関
する。
用トランジスタ、高耐圧ダイオード等の高耐圧大電力用
半導体装置の半導体基板として開発されている。そし
て、この炭化珪素単結晶基板の製造方法として、大面積
かつ高品質の炭化珪素単結晶成長に有利な昇華再結晶法
(改良レーリー法)が主に採用されている。
置された炭化珪素原料を加熱昇華させ、同じく黒鉛製ル
ツボ内にて炭化珪素原料と対向する位置で台座に固定さ
れた炭化珪素単結晶からなる種結晶上に炭化珪素単結晶
を成長させるものである。
として、以下の(1)〜(4)の4つの方法が知られて
いる。 (1)特開平9−110584号公報 種結晶上に単結晶を成長させる単結晶成長方法におい
て、種結晶とその保持部に高分子材料を含有する液状接
着剤を介在させた後、高温処理を行い、液状接着剤を炭
化することによって種結晶と保持部を結合させる。高分
子材料としては、フェノール樹脂やノボラック樹脂、ク
ロロメチル化ポリスチレンが挙げられる。 (2)W.S.Yoo et al. J. Crystal Growth 99(1990)278
-283 炭化された砂糖を用いて、炭化珪素種結晶を台座に固定
する。 (3)O.Kordina et al. Appl. Phys. Lett. 69 No.10
(1996)1456-1458 溶融グルコースを用いて、炭化珪素種結晶を台座に固定
する。 (4)特開平11−171691号公報 炭水化物と耐熱性微粒子と溶剤とからなる接着剤によっ
て、種結晶を台座に固定する。
(1)〜(4)の方法では、以下の問題が発生する。す
なわち、(1)の方法では、液状接着剤の溶剤の蒸発に
伴って、高分子材料は種結晶の周辺部に凝集するため、
熱処理によって得られた炭素層は、種結晶の周辺部に局
在する。このため、種結晶内の熱伝導が不均一となるた
め、種結晶の表面温度が不均一となる。これによって、
成長初期において種結晶がエッチングされて消失し、そ
の領域で粗悪な結晶が成長してしまう。
結晶と台座との貼付空間の気密性が乏しいため、種結晶
の貼付面を起点とした再結晶が発達し、種結晶および成
長結晶に重大な欠陥領域を生成してしまう。さらに、
(4)の方法においても、種結晶の貼付面を起点とした
再結晶が不定期に発生する場合がある。
良好な結晶成長を実現し、高品質な単結晶を得ることが
できる種結晶固定剤を提供することを目的とする。
め、請求項1に記載の発明では、単結晶成長用の種結晶
(4)を種結晶台座(1b)に固定するための種結晶固
定剤であって、単結晶成長時に種結晶と種結晶台座との
界面において耐熱性微粒子および炭素の複合構造を形成
することを特徴としている。
台座に固定することにより、炭素が貼付面に均一に分散
された耐熱性微粒子を核として貼付面全域に均一に形成
され、種結晶貼付面を覆うこととなる。これにより、単
結晶成長時において、種結晶の台座貼付面における再結
晶の発生を防止でき、また、種結晶中央部で成長初期に
発生するエッチングを防止することができる。
載の発明のように、樹脂と耐熱性微粒子と溶剤とからな
るとすることができる。また、請求項3に記載の発明の
ように、請求項2の固定剤に炭水化物を加えてもよい。
長用の種結晶(4)を種結晶台座(1b)に固定する方
法であって、種結晶と種結晶台座(1b)との間に炭水
化物と耐熱性微粒子と第1の溶剤とからなる第1の種結
晶固定剤を介在させて、種結晶(4)を種結晶台座(1
b)に1次固定した後、樹脂と第2の溶剤とからなる第
2の種結晶固定剤を種結晶(4)と種結晶台座(1b)
との界面の外周部に塗布することを特徴としている。
造方法における種結晶の固定工程で使用する種結晶固定
剤が、樹脂と耐熱性微粒子と溶剤とからなることを特徴
としている。
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
第1実施形態を図に基づいて説明する。図1に、本実施
形態に用いる炭化珪素(SiC)単結晶の成長装置であ
る黒鉛製のるつぼ1を示す。
体1aと、るつぼ本体1aの開口部を塞ぐ蓋体(種結晶
台座)1bとから構成されている。るつぼ本体1aには
炭化珪素原料粉末2が備えられている。蓋体1bは炭化
珪素単結晶層からなる種結晶4を支持する台座となって
おり、種結晶4は種結晶固定剤3によって蓋体1bに固
定される。そして、るつぼ本体1aの炭化珪素原料粉末
2を熱処理によって昇華させることにより、種結晶4上
に炭化珪素単結晶5を結晶成長させる。
脂、炭水化物、耐熱性微粒子および溶剤とから構成され
る。
ル樹脂、フルフリルアルコール樹脂等の加熱して炭化さ
せることによって難黒鉛化炭素となる樹脂が好ましい。
ースのような単糖類及びセルロースのような多糖類)及
びその誘導体等を適宜使用することができる。
他、炭化珪素(SiC)、窒化ホウ素(BN)等の耐熱
物や、タングステン、タンタル等の高融点金属およびそ
の化合物(例えば炭化物や窒化物)を使用することがで
きる。耐熱性微粒子の粒径は、0.1〜10μmのもの
を用いる。このような耐熱性微粒子を固定面に導入する
ことによって、高温加熱時における固定空間の充填率を
微粒子を用いない場合に比較して向上させることができ
る。また、この耐熱性微粒子は、上記の難黒鉛化炭素を
まんべんなく分布させる役割を果たしている。
させることができるものを、例えば樹脂、炭水化物の種
類等に応じて適宜選択する。この溶媒は、同種又は異種
のものを単独又は組み合わせて用いてよい。例えば、炭
水化物を溶解させるアルコールと樹脂を溶解させるセロ
ソルブアセテートを組み合わせて用いることができる。
媒の比率は、種結晶の適切な接着・固定強度が得られる
ように適宜選択する。
つぼ1の外周には、グラファイト製の抵抗発熱体が配置
されている。この抵抗発熱体によって、るつぼ2内の種
結晶4の温度や炭化珪素原料2の温度が調整可能となっ
ている。また、図示されていないが、るつぼ1は雰囲気
圧力の調整可能な容器内に入れられており、るつぼ1内
に不活性ガス等が導入でき、雰囲気圧力の調整が可能と
なっている。
て説明する。まず、炭化珪素種結晶4を用意し、これを
種結晶固定剤3が塗布された台座1bに接着・固定す
る。その際、例えば約0.1MPaの圧力で種結晶4を
台座1bに加圧するとともに、例えば約120℃で1時
間加熱する。次に、所定量の炭化珪素原料粉末2が入っ
たるつぼ本体1aの開口部に、台座1bを配置する。次
に、るつぼ1を加熱・加圧して、原料粉末温度が種結晶
温度より高くなるように、具体的には原料粉末温度を約
2200〜2400℃、種結晶温度を約2100℃〜2
350℃とし、さらに雰囲気圧力を約1Torr〜数十Torr
として、昇華再結晶により種結晶4上に炭化珪素単結晶
5を成長させる。
と耐熱性微粒子と溶媒からなる種結晶固定剤を用いて種
結晶を台座に固定することにより、種結晶と台座との界
面に耐熱性微粒子と炭素の複合構造が形成される。これ
により以下の効果が得られる。
より炭化され、難黒鉛化炭素になる。黒鉛を耐熱性微粒
子として用いた場合、黒鉛微粒子をブリッジとして難黒
鉛化炭素が種結晶貼付面全面および台座全面に広がり、
種結晶が台座に貼付される。その結果、この難黒鉛化炭
素によって種結晶と台座との貼付空間が閉空間となり、
単結晶成長時において、貼付空間の飽和状態が保たれ
る。これにより、種結晶の台座貼付面における再結晶の
発生を防止できる。
局所的に集められることがないため、耐熱性微粒子およ
び難黒鉛化炭素は、貼付面全体に分布される。これによ
り、単結晶成長時における種結晶全体の熱伝導が均一化
され、種結晶内の温度が均一化されることになり、種結
晶の中央部で成長初期に発生するエッチングを抑制する
ことができる。
上に良好な結晶成長が実現し、高品質な結晶を安定して
得ることが可能となる。
形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実
施形態に比較して、種結晶固定剤の構成および種結晶の
固定工程が異なるものであり、上記第1実施形態と同一
の部分は同一の符号を付して説明を省略する。
晶5の製造方法について説明する。まず、炭化珪素種結
晶4を用意し、これを炭水化物と耐熱性微粒子と第1の
溶媒とからなる第1の種結晶固定剤3aが塗布された台
座1bに貼付する(1次固定)。その際、例えば約0.
1MPaの圧力で種結晶4を台座1bに加圧した状態で
1時間以上保持する。次に、種結晶4と台座1bとの界
面の外周部に、樹脂と第2の溶媒とからなる第2の種結
晶固定剤3bを塗布する。この固定剤3bは、毛管現象
によって種結晶と台座との界面に浸入していく。その
後、例えば約0.1MPaで加圧しながら例えば約12
0℃で1時間程度加熱を行って、種結晶4の固定を完了
する。その後、上記第1実施形態と同様の工程で、種結
晶4上に炭化珪素単結晶5を成長させる。
は、樹脂および炭水化物を溶解・分散させることができ
るものであればよく、同種あるいは異種のものを用いる
ことができる。例えば、第1の溶媒としてアルコールを
用い、第2の溶媒としてセロソルブアセテートを用いる
ことができる。
ても上記第1実施形態と同様の結果を得ることができ
る。
晶固定剤を炭化珪素の単結晶成長に適用したが、これに
限らず、炭化珪素以外の結晶、例えばGaN、ZnS
e、ZnS、CdS、CdTe、AlN、BN等の製造
にも適用することが可能である。
所望により例えば界面活性剤、安定剤等の他の添加材を
含んでもよい。
説明する。
法によって成長させる際に、種結晶4を種結晶固定剤3
により黒鉛製台座1bに接着・固定した。その際、約
0.1MPaの圧力で種結晶4を押さえ、約120℃で
1時間加熱し、溶媒を蒸発させた。本実施例では、種結
晶固定剤として、ノボラック樹脂、黒鉛微粒子(直径2
μm以下)を溶媒としてセロソルブアセテートに分散さ
せたものを用いた。
ぼ本体1a上部に配置し、昇華再結晶法によって炭化珪
素単結晶を成長させた。
行に切断し、次いで研磨を行い、断面を顕微鏡にて観察
した。この結果、得られた成長結晶には、種結晶貼付面
を起点とした再結晶は見られず、また、種結晶がエッチ
ングされた形跡も確認されず、良好な結晶成長が実現さ
れた。
法によって成長させる際に、種結晶4を種結晶固定剤3
により黒鉛製台座1bに接着・固定した。その際、約
0.1MPaの圧力で種結晶4を押さえ、約120℃で
1時間加熱し、溶媒を蒸発させた。本実施例では、種結
晶固定剤として、ノボラック樹脂、セルロース、黒鉛微
粒子(直径2μm以下)を溶媒としてアルコールおよび
セロソルブアセテートに分散させたものを用いた。
ぼ本体1a上部に配置し、昇華再結晶法によって炭化珪
素単結晶を成長させた。
行に切断し、次いで研磨を行い、断面を顕微鏡にて観察
した。この結果、得られた成長結晶には、種結晶貼付面
を起点とした再結晶は見られず、また、種結晶がエッチ
ングされた形跡も確認されず、良好な結晶成長が実現さ
れた。
法によって成長させる際に、種結晶4を次の2工程によ
り黒鉛製台座1bに接着・固定した。黒鉛微粒子とセ
ルロースとをアルコールに分散させた第1の種結晶固定
剤3aを黒鉛製台座に塗布し、種結晶を圧力(約0.1
MPa)を加えながら1時間以上保持して貼付する。
その後、種結晶の周辺部にノボラック樹脂をセロソルブ
アセテートに溶かした第2の種結晶固定剤3bを塗布
し、約0.1MPaで加圧しながら、約120℃で1時
間保持する。
つぼ本体上部に配置し、昇華再結晶法によって炭化珪素
単結晶を成長させた。
行に切断し、次いで研磨を行い、断面を顕微鏡にて観察
した。この結果、得られた成長結晶には、種結晶貼付面
を起点とした再結晶は見られず、また、種結晶がエッチ
ングされた形跡も確認されず、良好な結晶成長が実現さ
れた。
法によって成長させる際に、種結晶4を種結晶固定剤に
より黒鉛製台座1bに接着・固定した。その際、約0.
1MPaの圧力で種結晶4を押さえ、約120℃で1時
間加熱した。本比較例では、種結晶固定剤として、ノボ
ラック樹脂をセロソルブアセテートに溶かしたものを用
いた。
つぼ本体上部に配置し、昇華再結晶法によって炭化珪素
単結晶を成長させた。
行に切断し、次いで研磨を行い、断面を顕微鏡にて観察
した。この結果、得られた成長結晶は、種結晶の中央部
がエッチングされて消失しており、その上には結晶欠陥
の非常に多い粗悪な結晶が成長した。
法によって成長させる際に、種結晶4を種結晶固定剤3
により黒鉛製台座1bに接着・固定した。その際、約
0.1MPaの圧力で種結晶4を押さえながら、12時
間放置した。本比較例では、種結晶固定剤として、セル
ロースおよび黒鉛微粒子をアルコールに分散したものを
用いた。
つぼ本体上部に配置し、昇華再結晶法によって炭化珪素
単結晶を成長させた。
行に切断し、次いで研磨を行い、断面を顕微鏡にて観察
した。この結果、得られた成長結晶には、種結晶の周辺
部に種結晶貼付面を起点とした再結晶が見られ、結晶性
の良好な単結晶の歩留まりが低下した。
(るつぼ)の概略断面図である。
晶固定剤、4…種結晶、5…炭化珪素単結晶。
Claims (5)
- 【請求項1】 単結晶成長用の種結晶(4)を種結晶台
座(1b)に固定するための種結晶固定剤であって、単
結晶成長時に前記種結晶(4)と前記種結晶台座(1
b)との界面において耐熱性微粒子および炭素の複合構
造を形成するものであることを特徴とする種結晶固定
剤。 - 【請求項2】 単結晶成長用の種結晶(4)を種結晶台
座(1b)に固定するための種結晶固定剤であって、樹
脂と耐熱性微粒子と溶剤とからなることを特徴とする種
結晶固定剤。 - 【請求項3】 単結晶成長用の種結晶(4)を種結晶台
座(1b)に固定するための種結晶固定剤であって、樹
脂と炭水化物と耐熱性微粒子と溶剤とからなることを特
徴とする種結晶固定剤。 - 【請求項4】 単結晶成長用の種結晶(4)を種結晶台
座(1b)に固定する方法であって、 前記種結晶と前記種結晶台座(1b)との間に炭水化物
と耐熱性微粒子と第1の溶剤とからなる第1の種結晶固
定剤を介在させて、前記種結晶(4)を前記種結晶台座
(1b)に1次固定した後、樹脂と第2の溶剤とからな
る第2の種結晶固定剤を前記種結晶(4)と前記種結晶
台座(1b)との界面の外周部に塗布することを特徴と
する種結晶固定方法。 - 【請求項5】 単結晶成長用の種結晶(4)を種結晶台
座(1b)に固定する固定工程と、前記種結晶(4)に
単結晶(5)を成長させる成長工程とを少なくとも有す
る単結晶製造方法において、前記固定工程で使用する種
結晶固定剤が、樹脂と耐熱性微粒子と溶剤とからなるこ
とを特徴とする単結晶製造方法。
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