JP4687787B2 - 質量分析方法及び質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電場によってイオンを閉じ込めるためのイオントラップを利用して分析対象のイオンを衝突誘起解離させる質量分析方法及び質量分析装置に関する。
質量分析においてはMS/MS分析(タンデム分析)という手法が広く知られている。一般にMS/MS分析では、まず分析対象物から生成した様々なイオン種の中から目的とする特定質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選別し、その選別したプリカーサイオンを例えば衝突誘起解離(以下、CID=Collision Induced Dissociationという)によって開裂させ、プロダクトイオンを生成する。その後、開裂によって生成したプロダクトイオンを質量分析することによって、目的イオンの分子構造についての情報を取得する。イオントラップ型質量分析装置では、イオンを閉じ込める機能を有するイオントラップの内部でCIDを起こさせることができる。
このイオントラップ質量分析装置におけるイオン選別の原理を説明する。いま、図2に示すように円筒座標系(r,Z)において典型的な3次元四重極型イオントラップを考える。即ち、イオントラップ1は、内周面が回転1葉双曲面形状を有する1個の円環状のリング電極2と、それを挟むように対向して設けられた、内周面が回転2葉双曲面形状を有する一対のエンドキャップ電極3,4とから成り、電極2、3、4で囲まれた空間がイオントラップ領域5となる。図示するように、リング電極2に捕捉用の高周波(RF)電圧(以下単に「捕捉電圧」という)としてU−VcosΩtなる電圧が印加されている場合を考える。
上記電圧が印加されているときにイオントラップ領域5に形成される四重極電場における各種イオンの運動は、Z方向、r方向について次の(1)、(2)式で示す独立の運動方程式で記述することができる。
2r/dt2+(z/mr0 2)(U−VcosΩt)r=0 …(1)
2Z/dt2+(2z/mr0 2)(U−VcosΩt)Z=0 …(2)
なお、mはイオンの質量、zはイオンの電荷、r0はリング電極2の内接半径である。いま、az,ar,qz,qrを(3)、(4)式のように定義すると、
z=−2ar=−8U/[(m/z)r0 2 Ω2] …(3)
z=−2qr=4V/[(m/z)r0 2 Ω2] …(4)
上記運動方程式(1)、(2)は次の(5)、(6)式のマチウ(Mathieu)方程式の形で表すことができる。
2r/dζ2+(ar−2qr・cos2ζ)r=0 …(5)
2Z/dζ2+(az−2qz・cos2ζ)Z=0 …(6)
但し、ζ=(Ωt)/2
このマチウ方程式の解の性質は、az,qzを用いて表すことができる。図3はこのマチウ方程式の解の安定条件を説明するための図であり、縦軸がaz、横軸がqzである。図3に示すaz−qz面において実線で囲まれた領域Sが上記方程式の安定解となる。即ち、上記パラメータaz,qzはイオンの質量電荷比m/zによって定まり、これらの値の組(az,qz)が特定の範囲に存在する場合に、このイオンは特定の周波数で振動を繰り返しイオントラップ領域5に捕捉される。具体的には、図3中で実線で囲まれた安定領域Sがイオンがイオントラップ領域5に安定して存在できる範囲であり、その外側がイオンが発散してしまう不安定領域である。
捕捉電圧の直流成分Uが0である場合、図3のaz−qz面ではaz=0となり、図3にQで示すqz軸上のみの条件となる。正弦波形状の高周波電圧を捕捉電圧として用いる、従来知られているアナログ方式のイオントラップ(以下、AITと略す)の場合、qz=0.908が安定領域Sの境界(qz軸上では点P)であるため、qz=0.908以上となる質量電荷比を持つイオンについてはトラップ条件から外れて捕捉されない。(4)式では分母に質量電荷比m/zが含まれているため、特定質量電荷比、即ち下限質量(LMC:Low Mass Cutoff)以下のイオンはトラップされないことになる。理論的にはLMCの値は捕捉電圧の高周波成分の振幅値V或いは周波数Ωを変えることで調整できるが、AITでは周波数Ωを変化させるのは困難であるため振幅値Vを変化させることにより対応する。
一方、矩形波状の高周波電圧を捕捉電圧としてリング電極2に印加するデジタル方式イオントラップ(DIT)の場合には安定領域Sの境界のqzの値がやや低くなる(0.7125)が、それ以外はAITと同様の理論が成り立つことが知られている(非特許文献1など参照)。この場合には、LMC値は捕捉電圧の周波数Ωを変えることで任意に調整可能である。
上記のような条件の下にイオントラップ領域5内にトラップされている特定質量電荷比を持つ目的イオンをCIDにより開裂させるためには、目的イオンの永年振動数Ωsと共鳴する次の(7)式で表される振動数Ωexの高周波電圧をエンドキャップ電極3、4に印加する。
Ωex=Ωs=(1/2)βzΩ …(7)
ここでβzは図3中にも記載したようにイオンのZ方向の振動を表すパラメータであり、0<βz<1の領域内でイオンは安定である。上記高周波電圧によりトラップ領域5内に形成される電場により共鳴励振されたイオンは、希ガスと衝突することでCIDにより開裂し、目的イオンよりも質量電荷比の小さな種々のプロダクトイオン(フラグメントイオン)が生成される。
さて、前述のようにイオントラップ領域5にトラップされているイオンが感知する、捕捉電圧により形成されるポテンシャル井戸の深さDzはqzの値(以下、q値という)に依存する。q値が大きいほどポテンシャル井戸は深くなり、共鳴励振によって、より大きな運動エネルギーを持つ状態まで加速できるので開裂効率は向上することが知られている(非特許文献2など参照)。換言すれば、開裂効率を高めるためには、目的イオンをできるだけ高いq値でトラップすればよいことになる。但し、q値を高くする場合にはLMC値も高くなるため、開裂により生じる、LMC値よりも低い質量電荷比を持つプロダクトイオンはトラップされにくくなる。
一方、MS/MS(又はMSn)分析によりタンパク質のアミノ酸配列を決めるためには低い質量電荷比のプロダクトイオンの情報も重要であり、LMC値を低くして低い質量電荷比範囲も分析する必要がある。このように低い質量電荷比のプロダクトイオンを分析したい場合には、開裂効率を或る程度犠牲にしても、できるかぎり低いq値で目的イオンをトラップせざるをえない。即ち、開裂効率を高めることと分析対象の質量電荷比範囲の下限を下げることとはq値の設定において相容れない要求であり、従来、開裂操作のためのq値の設定は開裂効率と質量電荷比範囲の下限とのトレードオフを考慮して決められていた。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、イオントラップにおいてイオンの開裂操作を行う場合に、分析対象の質量電荷比範囲の下限を低い状態に維持しながら高い開裂効率を達成する、つまり広い質量電荷比範囲と高い開裂効率とを両立させることができる質量分析方法及び質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、複数の電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップを有する質量分析装置において、イオントラップにイオンを保持した後に特定のイオンを開裂させ、それにより生成されたイオンを質量分析する質量分析方法であって、
a)前記イオントラップ内に捕捉されている各種イオンの中で、目的イオンの質量電荷比範囲を含む所定の質量電荷比範囲のイオンをプリカーサイオンとしてイオントラップ内に選択的に残すプリカーサイオン選択ステップと、
b)前記目的イオンを所定の第1のq値で以て捕捉するように少なくとも1つの電極に印加する捕捉用高周波電圧の周波数を調整する高q値設定ステップと、
c)前記目的イオンを共鳴励振させる励振用高周波電圧を少なくとも1つの電極に印加してイオントラップ内で目的イオンの衝突誘起解離を促進させ、それにより生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間中に前記励振用高周波電圧の印加を停止する開裂実行ステップと、
d)前記励振用高周波電圧の印加停止と同時又は電圧印加停止時点から前記開裂により生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間内の時間遅延の後に、プロダクトイオンを前記第1のq値よりも低い第2のq値で以て捕捉するように前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更してプロダクトイオンを捕捉するプロダクトイオン捕捉ステップと、
を実行することを特徴としている。
また第2発明は、上記第1発明に係る質量分析方法を具体的に実施するための質量分析装置であって、複数の電極を含み、それら電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップと、前記複数の電極にそれぞれ高周波電圧を印加する電圧印加手段と、前記イオントラップ内に衝突誘起解離(CID)ガスを導入するガス導入手段と、前記電圧印加手段及びガス導入手段を制御する制御手段と、を具備し、イオントラップにイオンを保持した後に特定のイオンをCIDガスとの衝突によって開裂させ、それにより生成されたイオンを質量分析する質量分析装置において、前記制御手段は、
前記イオントラップ内に捕捉されている各種イオンの中で、目的イオンの質量範囲を含む所定の質量範囲のイオンをプリカーサイオンとしてイオントラップ内に選択的に残すようにそれ以外のイオンを発散させる高周波電圧を前記電圧印加手段により発生させ、
その後、前記目的イオンを所定の第1のq値で以て捕捉するように少なくとも1つの電極に印加する捕捉用高周波電圧の周波数を設定し、
前記ガス導入手段により前記イオントラップ内にCIDガスを導入し、前記目的イオンを共鳴励振させる励振用高周波電圧を少なくとも1つの電極に印加してイオントラップ内で目的イオンのCIDを促進させ、それにより生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間中に前記励振用高周波電圧の印加を停止し、
該励振用高周波電圧の印加停止と同時又は電圧印加停止時点から前記開裂により生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間内の時間遅延の後に、プロダクトイオンを前記第1のq値よりも低い第2のq値で以て捕捉するように前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更するように前記電圧印加手段を制御する、ことを特徴としている。
第1発明に係る質量分析方法及び第2発明に係る質量分析装置によれば、CIDにより開裂させたい目的イオンが第2のq値よりも高い第1のq値で以てトラップされているときにCIDガスが導入され該目的イオンが共鳴励振されて開裂が促進される。開裂の開始時点及びその直後には高いq値で目的イオンがトラップされているため、目的イオンの開裂効率を高くすることができる。但し、高いq値を保ったままであるとLMC値も高いため、開裂により生成される各種プロダクトイオンのうちLMC値よりも低い質量電荷比を持つイオンが捕捉されずに消散してしまう。そこで、こうした質量電荷比の小さなプロダクトイオンがイオントラップ内から消散しない間に励振用高周波電圧を停止させることにより開裂操作を中止し、それと同時又は時間遅延があったとしても上記プロダクトイオンがイオントラップ内に残っている間に、q値を下げるように捕捉用高周波電圧の周波数を変更する。
この周波数の変更により、イオントラップのq値が小さくなってLMC値も低くなる。即ち、質量電荷比の小さなイオンも捕捉され易くなり、イオントラップ内に残留していたプロダクトイオン(及び目的イオン)のうちの質量電荷比の大きなイオンはもちろん、質量電荷比の小さなイオンについてもイオントラップ内に確実に捕捉される。そうしてプロダクトイオンを確実に捕捉した後に、イオントラップ内で或いはイオントラップの外部に設けた別の質量分析器により目的イオンやプロダクトイオンを質量分離して検出する。これにより、イオントラップ内で開裂により生じさせたプロダクトイオンについての分析可能な質量電荷比範囲の下限を低くし、小さな質量電荷比のプロダクトイオンも分析可能となる。
また、イオントラップのq値を変更する際に捕捉用高周波電圧の周波数を変更しており、該電圧の振幅は変更する必要がない。捕捉用高周波電圧の振幅を変えることでq値を変更する場合、高いq値に対しては振幅を大きくする必要がある。特に分析対象の質量電荷比範囲が比較的高い場合であってq値を高くしようとすると、電圧の振幅をかなり大きくしなければならず、イオントラップ内部で不所望の放電が起こるおそれがある。これに対し、周波数を変更することによりq値を変更する方法では、放電が生じるおそれがなく任意にq値の設定を行うことができる。
上記第1び第2発明において、好ましくは、直流電圧をスイッチングすることにより生成した高周波電圧をイオントラップを構成する各電極に印加する構成とするとよい。即ち、イオントラップがAITではなくDITである場合に特に有効である。
一般にAITでは高周波電圧の周波数を変更することでq値の変更に対応することが難しい。即ち、一般にAITでは、電源回路などの制約から、イオントラップ及び周辺回路を含む共振回路系のQ値を大きくして、励起電圧が低くても強い電場を発生できるようにした構成が採られる。しかしながら、効率を上げるためにQ値を大きくすればするほどQ値の周波数依存性が大きくなり時間応答性も悪くなる。このように時間応答性の悪い回路系で電圧の周波数を高速に切り替えることは困難である。これに対し、一定電圧値の直流電圧をスイッチングして高周波電圧を得るDITであれば、周波数の変更は容易であって、その切替えも非常に高速に行うことができる。
またイオントラップの形態としては、例えば、環状のリング電極と、該リング電極を挟んで対向して配置される一対のエンドキャップ電極から成る、いわゆる3次元四重極型の構成とすることができる。この場合、リング電極に捕捉用高周波電圧を印加し、エンドキャップ電極に励振用高周波電圧を印加すればよい。
また第1及び第2発明において、具体的に、第1のq値は0.5≦q<1.0の範囲の値とし、一方、第2のq値は0<q≦0.4の範囲の値とすることができる。これによれば、CID実行時の開裂効率を十分に高くしつつ、開裂により生成された小さな質量電荷比を持つイオンも十分に捕捉することができる。
また、CIDにより生成されたプロダクトイオンがイオントラップ内で消散しない間にCID動作を終了させるには、CIDのためのイオン共鳴励振電圧の印加時間を1ms以下の適宜の時間に設定するとよい。従来の一般的なCIDの場合、イオン共鳴励振電圧の印加時間が30ms乃至数十ms程度であるから、これに比べると本発明における印加時間はかなり短い。
さらにまた、CIDの終了時点でイオントラップ内に残留しているプロダクトイオンが完全に消散する前に捕捉するために、イオン共鳴励振電圧印加終了後の遅延時間は0以上1ms以下とすることが好ましい。
なお、q値を小さくするために捕捉用高周波電圧の周波数を変更するが、その切替え時の電圧の位相はイオンの捕捉効率に影響を与える。そこで、イオンの捕捉効率をできるだけ高くするため捕捉用高周波電圧の周波数を変更する際の位相を調整する位相制御を行うことが好ましい。
具体的には、イオントラップ内では捕捉用高周波電圧の印加により形成される電場の影響を受けてイオンは振動しているが、その電場の影響ができるだけ小さい、即ち、3次元四重極型イオントラップであればリング電極からできるだけ離れた位置にイオンが存在するときにq値を変更するべく周波数を切り替えるとよい。イオンが正イオンである場合、リング電極に負の電圧が印加されているときに期間の中間点(つまりは位相が270°付近であるとき)においてイオンはリング電極から最も離れた位置にあってその移動方向が反転すると考えられるから、位相270°付近で周波数を切り替え、その切替え前後の位相が連続するようにするとよい。このようなイオンの挙動はイオンの極性や励振用高周波電圧による電場の影響などにより変わるから、イオン捕捉効率が最良となる位相は必ずしも確定的ではないが、いずれにしても周波数切替え時の位相を適切に設定するように制御を行うことが望ましい。なお、DITであれば、このような位相の調整は比較的簡単に行うことができる。
第1発明に係る質量分析方法及び第2発明に係る質量分析装置によれば、CID実行時に高い開裂効率を確保しながら、それによって発生したプロダクトイオンについて小さな質量電荷比を有するものも消失させることなくイオントラップ内に捕捉して保持することができる。したがって、分析可能なプロダクトイオンの質量電荷比範囲の下限を下げ、小さな質量電荷比のプロダクトイオンも高い感度で検出することができる。その結果、マススペクトルにおいて目的イオンや各種プロダクトイオンのピークが明確に出現し、目的物質の同定や構造解析をより正確に行えるようになる。
本発明の一実施例によるイオントラップ型質量分析装置の全体構成図。 本発明による質量分析装置の原理を説明するための円筒座標系(r,Z)におけるイオントラップの構成図。 イオントラップにおけるイオンの捕捉動作の安定性を説明するための図。 本実施例によるイオントラップ型質量分析装置におけるMS/MS分析動作を説明するための概略タイミング図。 本実施例によるイオントラップ型質量分析装置におけるMS/MS分析動作実行時のイオン捕捉の安定性を説明するための図。 イオントラップ内でのイオンの挙動を説明するための図。 q値を変更する際の捕捉電圧の周波数変更を説明するための図。 本発明の他の実施例によるイオントラップの構成図。
以下、第1発明に係る質量分析方法を実施するための第2発明の一実施例であるイオントラップ型質量分析装置(IT−MS)について、構成と動作とを詳細に説明する。図1は本実施例のIT−MSの全体構成図である。イオントラップの構成については既に説明した図2と同一の符号を付している。
前述のように、イオントラップ1はリング電極2とエンドキャップ電極3、4とを含み、リング電極2には捕捉電圧発生部13が接続され、エンドキャップ電極3、4には励振電圧発生部14が接続されている。入口側エンドキャップ電極3のほぼ中央に穿孔された入射口6の外側にはイオン源8が配設されており、イオン源8において生成された分子イオンが入射口6を通過してイオントラップ領域5に導入される。一方、出口側エンドキャップ電極4にあって入射口6とほぼ一直線上に設けられた出射口7の外側にはイオン検出器10が配設されており、出射口7を通してイオントラップ領域5から放出されたイオンを検出し、そのイオン量に応じた検出信号をデータ処理部12へと送出する。この構成では、イオンの質量弁別はイオントラップ1内部で行って質量電荷比毎に分離されたイオンをはき出してイオン検出器10に導入して検出するが、出射口7とイオン検出器10との間に飛行時間型質量分析器(或いは四重極質量フィルタのような他の質量分析器)を配置したIT−TOFの構成とし、そこで質量弁別を行うようにしてもよい。また、CIDガス供給部11はイオントラップ1内でCIDを起こすために、制御部15の制御の下にアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の希ガスをイオントラップ1内に供給する。
なお、イオントラップ1の外部で生成したイオンをイオントラップ1内に導入するのではなく、イオントラップ1内に試料分子を導入し、例えばこれに熱電子を照射することでイオン化するようにしてもよい。
捕捉電圧発生部13及び励振電圧発生部14は制御部15から与えられる制御信号により、それぞれ所定周波数及び所定振幅の高周波(交流)電圧を発生するように制御される。また、必要に応じて、それら高周波電圧には所定の電圧値の直流電圧が加算される。本実施例におけるイオントラップ1はいわゆるデジタル方式イオントラップ(DIT)であり、捕捉電圧発生部13の高周波電圧発生回路は、所定の電圧値の直流電圧をスイッチングすることで矩形波状の高周波電圧を発生する回路であって、そのスイッチングの周波数が制御部15により制御される。一方、励振電圧発生部14は捕捉電圧発生部13と同様に矩形波状の高周波電圧を発生する高周波電圧発生回路を有する構成でもよいが、通常の正弦波状の高周波電圧を発生する回路でもよい。
制御部15はCPU、ROM、RAMなどを含んで構成されており、入力部16から設定された条件に基づいて上記各部に制御信号を送る。また、制御部15はデータ処理部12で処理されたデータを受け取って、例えばマススペクトル等の分析結果を表示部17に表示させる。
本実施例によるIT−MSにおいて、或る特定の質量電荷比を有するイオンをMS/MSモードで分析したい場合の動作の一例について図4〜図7を参照しつつ説明する。いまここでは、薬剤の一種であるレセルピン(質量電荷比m/z=609)の構造を解析するためにレセルピンを開裂させて質量分析する場合を例に挙げて説明する。
イオントラップ1内に導入された分析対象である分子イオンは捕捉電圧発生部13からリング電極2に印加される捕捉電圧によってイオントラップ領域5に形成される電場の作用により、イオントラップ領域5に捕捉される(図4中の[A])。この段階では、広い質量電荷比範囲を観測したいので、q値を低くして(ここではq値は0.2)LMCが例えば200程度になるように捕捉用高周波電圧の周波数を設定する。これにより、質量電荷比200以上のイオンがイオントラップ領域5に捕捉される。したがって、レセルピンの分子由来以外の各種のイオンもイオントラップ領域5に存在し得る。このときの状態を示すのが図5(b)であり、目的イオンは安定領域Sの境界から遠い位置に存在している。また、質量電荷比が200〜609の間であるイオンも安定領域S内に存在するから、これらもイオントラップ領域5に安定的に保持される。
次いで、分析対象であるレセルピン分子のイオンのみが選択的にイオントラップ領域5内に残るようにプリカーサイオンの選択操作を実行する(図4中の[B])。プリカーサイオンの選択方法は従来知られているSWIFT法、FNF法などを利用することができる。例えばFNF法では、プリカーサイオンの質量電荷比に対応した周波数にノッチを有する広帯域の励振電圧を生成して、これを両エンドキャップ電極3、4間に印加する。すると、そのノッチに対応した質量電荷比を持つイオン以外のイオンが共鳴励振され、イオントラップ1から吐き出されたり電極2、3、4に衝突したりして消失する。そして、結果的に、共鳴励振されなかった選択対象のプリカーサイオンのみがイオントラップ領域5に残留する。
続いてCIDによる開裂操作を行うが、そのためにまずCIDガス供給部11より希ガスであるCIDガスをイオントラップ1内部に導入する。それから、目的とするレセルピンの分子イオンが高q値(ここではq値は0.7)で捕捉されるように、LMC値がその分子イオンの質量電荷比よりも小さい範囲でできるだけ高く、例えば600程度になるように捕捉用高周波電圧の周波数を変更する。このときの状態を示すのが図5(a)であり、目的イオンとLMCとは非常に近い位置に存在している。このように高q値で目的イオンを捕捉した状態でCIDを起こさせる理由は、q値が高いほど開裂効率が高いからである。この状態で、質量電荷比609を持つイオンが永年振動数に共鳴する、単一又は複数の周波数成分から成る励振電圧をエンドキャップ電極3、4に印加することでCID動作を開始させる(図4中の[C])。この励振電圧の印加によりイオントラップ領域5に形成される電場によって質量電荷比609のイオンが大きく振動し、或る程度の運動エネルギーを持ってCIDガスに衝突し易くなるから、このイオンの少なくとも一部はCIDにより開裂する。
開裂の態様は分子イオンの構造に依存するが、この場合には質量電荷比が600未満のプロダクトイオンが多く生成される。前述のようにq値が高いため開裂効率は高く、プロダクトイオンは相対的に多量に発生する。一方で、上述したようにq値が高い状態ではLMCは約600であるため、開裂により生成される質量電荷比600未満のプロダクトイオンは図5(a)に示す安定領域Sから外れ不安定領域に入る。そのため、プロダクトイオンはイオントラップ領域5に捕捉されずに排出されたり電極2、3、4に衝突したりして徐々に消滅してしまうことになる。一般的には、CIDが開始されてすぐに多量のプロダクトイオンが生成され始め、時間経過とともにその生成量は減少してゆく。一方、プロダクトイオンの消失量は時間が経過するほど増加してゆく。通常、CIDの開始から数百μs程度経過した時点までは、それ以前に多量に生成されたプロダクトイオンの大部分は未だ消失せずにイオントラップ領域5に存在するから、その時点で励振電圧をオフすることでCID動作を終了し、同時に又は短時間の遅延の後にq値が低くなる(ここではq値は0.2)ように捕捉高周波電圧の周波数を切り替える。
図4に示す励振電圧を印加している時間(CID実行時間)t1は例えば100〜500μs程度であり、励振電圧の印加停止(CID動作の終了)からq値を下げるように切り替えるまでの時間t2は例えば0〜100μs程度とするとよい。一般に、イオントラップを利用したCIDでは励振電圧を印加している時間は30ms程度とかなり長いのに対し、本実施例では前述のようにこれに比べて格段に短い。そのため、励振電圧を通常のCIDの際の振幅(1V程度)よりも大きな振幅(例えば20V程度)とすることで、目的イオンに与える運動エネルギーを大きくするとよい。
CID終了後にq値を下げたときのLMC値は例えば150程度である。このときの状態は再び図5(b)に示すようになり、目的イオンは安定領域S内でLMCから離れた位置に存在する。また、質量電荷比が150〜609の範囲にある各種イオンも安定領域S内にあり、これらイオンも安定的にイオントラップ領域5に存在し得る。これにより、そのq値の切替えの直前にイオントラップ領域5に残留していた質量電荷比150以上のプロダクトイオン及び元のプリカーサイオンの大部分は安定的にイオントラップ領域5に捕捉されて保持される(図4中の[D])。そして、その後に、出射孔7から出射されるイオンの質量電荷比が順次走査されるようにエンドキャップ電極3、4に印加する励振電圧を走査することにより質量弁別を実行し、出射孔7を通して出射されたイオンを検出器10により順次検出する。
イオン検出器10では、質量電荷比が609である目的イオンとこれからCIDにより生成された小さな質量電荷比のプロダクトイオンとが高い感度で検出されるから、データ処理部12で作成されるマススペクトル上にはこうした各種イオンに対応するピークが明確に出現し、これに基づいた構造解析を容易に行うことができる。
本実施例のIT−MSでは、前述のように捕捉高周波電圧の周波数を切り替えることでイオントラップ1のq値を変更するが、イオンの捕捉効率を高めるには特にCID実行後にq値を下げるように高周波電圧の周波数を切り替える際の、その高周波電圧の位相を考慮することが重要である。即ち、q値の変更に伴いイオンを捕捉するポテンシャルが急激に変化するため、イオンがどのような状態にあるときにその変化が生じたのかによって捕捉効率が影響を受ける。いま、イオントラップ領域5に捕捉されているイオンの挙動をみると、図6に示すように、非常に長い、質量電荷比に依存する永年振動の周期を持つ波形と、周期が遙かに短い捕捉電場による振動波形とが重畳されたような状態にある。図6において縦軸はZ方向の位置を示すから、上の位置するほどリング電極2から離れた位置にあるとみることができる。リング電極2から離れた位置であるほどイオンに対する捕捉電場の影響は小さい筈であるから、そうした状態であるときに捕捉電圧の周波数を変えればそれだけイオンの挙動を乱しにくい。
捕捉電場による振動をみると、正のピークの位置はイオンがイオントラップ領域5の中心点から遠ざかろうとする方向から近づこうとする方向に反転する位置である。いまイオンが正極性である場合、理想的には、リング電極2に負の電圧が掛かっていてその負の電圧の印加期間の中で時間的にその中間点(つまり位相が270°であるとき)においてイオンの移動方向は上述のように反転する。そこで、この瞬間にq値を切り替えれば、つまり周波数を切り替えればイオンに与える影響を最小限にとどめ、比較的安定に捕捉状態の遷移が行える。
AITと異なりDITの場合には、直流電圧をスイッチングするタイミングを変えるだけで位相を容易に合わせることができる。そこで、上述のように周波数を切り替える際には、図7に示すように、矩形状の捕捉用高周波電圧の1周期中で位相が270°のときに周波数を切り替え、さらに切替え前後の位相を連続させる。即ち、切替え後の高周波電圧の波形は位相270°の位置から始まる。
但し、イオンの極性やその直前の励振電場の影響、或いはそれ以外の種々の要素によって捕捉用高周波電圧の位相とイオンの挙動との関係にはずれが生じる。したがって、捕捉効率をできるだけ高くするために周波数切り替え時の位相の調整を試みて最適なタイミングを見い出すようにするのが望ましい。
もちろん、上記実施例は一例にすぎないから、上記記載の数値は本発明の趣旨の範囲で適宜に変更可能である。即ち、目的イオンの質量電荷比に応じてCIDを実行する際のLMCとその前後のLMCとは適宜に設定すればよい。また、それ以外の点についても、適宜、変更や修正、追加を行えることは明らかである。
こうした変形の一例として、イオントラップ1の構成自体を変形することも可能である。図8はこうした別の構成によるイオントラップ1の一例を示す図である。このイオントラップ1は、互いに平行で所定の円に内接するように配置された、上記リング電極2に代わる4本の双曲面内面を持つロッド電極21、22、23、24と、そのロッド電極21、22、23、24で囲まれる長軸方向の空間の両端を閉塞するように対向して配置された2枚の円盤形状のエンドキャップ電極25、26とから成る。対向する2本のロッド電極21、23と、22と24とは互いに接続され、円周方向に隣接するロッド電極には位相が反転した高周波電圧が印加され、さらにそれに同一の直流電圧が重畳される。
4本のロッド電極21、22、23、24で囲まれる空間にイオンを導入すると、径方向には高周波電場により閉じ込め作用が働き、軸方向には直流電場による閉じ込め作用が働き、イオンはその空間に捕捉される。この空間内にCIDガスを導入して、軸方向の振動周波数に共鳴する励振電圧をエンドキャップ電極25、26に印加することにより、上記3次元四重極の構成と同様に、CIDによりイオンを開裂させることができ、上記実施例と同様の手法が適用できる。

Claims (16)

  1. 複数の電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップを有する質量分析装置において、イオントラップにイオンを保持した後に特定のイオンを開裂させ、それにより生成されたイオンを質量分析する質量分析方法であって、
    a)前記イオントラップ内に捕捉されている各種イオンの中で、目的イオンの質量電荷比範囲を含む所定の質量電荷比範囲のイオンをプリカーサイオンとしてイオントラップ内に選択的に残すプリカーサイオン選択ステップと、
    b)前記目的イオンを所定の第1のq値で以て捕捉するように、イオントラップを構成する前記複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に印加する捕捉用高周波電圧の周波数を調整する高q値設定ステップと、
    c)前記目的イオンを共鳴励振させる励振用高周波電圧を、イオントラップを構成する前記複数の電極のうち前記捕捉用高周波電圧が印加される電極を除く少なくとも1つの電極に印加してイオントラップ内で目的イオンの衝突誘起解離を促進させ、それにより生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間中に前記励振用高周波電圧の印加を停止する開裂実行ステップと、
    d)前記励振用高周波電圧の印加停止と同時又は電圧印加停止時点から前記開裂により生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間内の時間遅延の後に、プロダクトイオンを前記第1のq値よりも低い第2のq値で以て捕捉するように前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更してプロダクトイオンを捕捉するプロダクトイオン捕捉ステップと、
    を実行することを特徴とする質量分析方法。
  2. 少なくとも前記捕捉用高周波電圧として、直流電圧をスイッチングすることにより生成した高周波電圧を用いることを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  3. 前記イオントラップは、環状のリング電極と、該リング電極を挟んで対向して配置される一対のエンドキャップ電極から成るものであることを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  4. 前記第1のq値は0.5≦q<1.0の範囲の値であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  5. 前記第2のq値は0<q≦0.4の範囲の値であることを特徴とする請求項4に記載の質量分析方法。
  6. 前記衝突誘起解離のための励振用高周波電圧の印加時間は1ms以下であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  7. 前記衝突誘起解離のための励振用高周波電圧印加終了後に前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更するまでの遅延時間は0以上1ms以下であることを特徴とする請求項6に記載の質量分析方法。
  8. 前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更する際の位相を調整する位相制御を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の質量分析方法。
  9. 複数の電極を含み、それら電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップと、前記複数の電極にそれぞれ高周波電圧を印加する電圧印加手段と、前記イオントラップ内に衝突誘起解離(CID)ガスを導入するガス導入手段と、前記電圧印加手段及びガス導入手段を制御する制御手段と、を具備し、イオントラップにイオンを保持した後に特定のイオンをCIDガスとの衝突によって開裂させ、それにより生成されたイオンを質量分析する質量分析装置において、前記制御手段は、
    前記イオントラップ内に捕捉されている各種イオンの中で、目的イオンの質量電荷比範囲を含む所定の質量電荷比範囲のイオンをプリカーサイオンとしてイオントラップ内に選択的に残すようにそれ以外のイオンを発散させる高周波電圧を前記電圧印加手段により発生させ、
    その後、前記目的イオンを所定の第1のq値で以て捕捉するように、イオントラップを構成する前記複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に印加する捕捉用高周波電圧の周波数を設定し、
    前記ガス導入手段により前記イオントラップ内にCIDガスを導入し、前記目的イオンを共鳴励振させる励振用高周波電圧を、イオントラップを構成する前記複数の電極のうち前記捕捉用高周波電圧が印加される電極を除く少なくとも1つの電極に印加してイオントラップ内で目的イオンのCIDを促進させ、それにより生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間中に前記励振用高周波電圧の印加を停止し、
    該励振用高周波電圧の印加停止と同時又は電圧印加停止時点から前記開裂により生成されたプロダクトイオンの少なくとも一部がイオントラップ内に残留している期間内の時間遅延の後に、プロダクトイオンを前記第1のq値よりも低い第2のq値で以て捕捉するように前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更するように前記電圧印加手段を制御する、ことを特徴とする質量分析装置。
  10. 少なくとも前記捕捉用高周波電圧を印加する前記電圧印加手段は、直流電圧をスイッチングすることにより高周波電圧を生成するものであることを特徴とする請求項9に記載の質量分析装置。
  11. 前記イオントラップは、環状のリング電極と、該リング電極を挟んで対向して配置される一対のエンドキャップ電極から成るものであることを特徴とする請求項9に記載の質量分析装置。
  12. 前記第1のq値は0.5≦q<1.0の範囲の値であることを特徴とする請求項9に記載の質量分析装置。
  13. 前記第2のq値は0<q≦0.4の範囲の値であることを特徴とする請求項12に記載の質量分析装置。
  14. 前記衝突誘起解離のための励振用高周波電圧の印加時間は1ms以下であることを特徴とする請求項9に記載の質量分析装置。
  15. 前記衝突誘起解離のための励振用高周波電圧印加終了後に前記捕捉用高周波電圧の周波数を変更するまでの遅延時間は0以上1ms以下であることを特徴とする請求項14に記載の質量分析装置。
  16. 前記制御手段は捕捉用高周波電圧の周波数を変更する際の位相を調整する位相制御を行うことを特徴とする請求項9〜15のいずれかに記載の質量分析装置
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