JP4894916B2 - イオントラップ質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電場によってイオンを閉じ込めるためのイオントラップを備えるイオントラップ質量分析装置に関する。
質量分析装置において、電場によりイオンを捕捉する(閉じ込める)イオントラップを利用した装置が従来から知られている。典型的なイオントラップは、略円環状のリング電極と、このリング電極を挟むように配設される一対のエンドキャップ電極とを有する、いわゆる3次元四重極イオントラップである。従来、こうしたイオントラップでは、リング電極に正弦波状の高周波電圧を印加することで電極で囲まれる空間に捕捉電場を形成し、この捕捉電場によりイオンを振動させつつ閉じ込めるようにしている。これに対し、最近、正弦波電圧の代わりに矩形波電圧をリング電極に印加することでイオンの閉じ込めを行うデジタルイオントラップ(Digital Ion Trap:DIT)が開発されている(非特許文献1など参照)。
試料が生体由来の試料であるような場合、上記のようなイオントラップに捕捉されるイオンを生成するイオン源としてはマトリックス支援レーザ脱離イオン源(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:MALDI)などのレーザ脱離イオン源(Laser Desorption Ionization:LDI)がよく用いられる。
MALDIとDITとを組み合わせたイオントラップ質量分析装置では、レーザ光をパルス的にサンプルに1回照射し、それによりサンプルから発生したイオンをイオントラップに導入する。この際にイオンの捕捉効率を高めるべく、予めイオントラップの内部に不活性ガスを導入しておき、入射して来たイオンを不活性ガスに接触させることでイオンが持つ運動エネルギーを減じさせる、クーリングという操作を行う。そうしてイオンを安定的にイオントラップの内部に捕捉した後に、特定の質量(厳密にはm/z)を有するイオンを励振させてイオントラップから排出し、これを検出器で検出する。励振するイオンの質量を走査することで質量走査を行い、これにより得られる検出信号に基づいて質量スペクトルを作成することができる。
しかしながら、一般的にMALDIでは、1回のレーザ光照射によっては十分な量のイオンが発生しないことが多く、そうした場合には、上記のような1回の質量分析により得られる質量スペクトルデータのS/Nは低い。そこで、レーザ光照射によるイオンの生成→イオントラップへのイオンの導入→クーリング(イオンの捕捉)→質量分離・検出、というプロセスを任意の回数、例えば10回繰り返し、それぞれ得られた質量プロファイルをコンピュータ上で積算処理することにより、S/Nの高い質量スペクトルデータを得るようにしている。
ところが、上記一連のプロセスの繰り返し回数を増やすほど質量スペクトルデータのS/Nは改善されるものの、測定結果つまり最終的な質量スペクトル、を取得できるまでの測定時間が長くなってしまうという問題がある。例えば、発明者らが実験に使用した装置では1回のプロセスで約1.1秒の測定時間を要するため、積算回数を10回とすれば測定時間は約11秒、積算回数を30回とすれば測定時間は約33秒となってしまう。そのため、分析のスループットが低く、分析のコストは高くなる。
古橋、竹下、小河、岩本、「デジタルイオントラップ質量分析装置の開発」、島津評論、島津評論編集部、2006年年3月31日、第62巻、第3・4号、pp.141−151
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、従来と同等の品質(例えばS/N)の測定データを取得するために測定時間を短縮することができ、分析のスループットの向上、コストの削減に寄与するイオントラップ質量分析装置を提供することにある。
前述したような質量分析の一連のプロセスの中で、イオンの生成やイオントラップへのイオンの導入に要する時間は短く、これに対しクーリングや質量分離・検出に要する時間は長い。特に、イオントラップにおいて質量分析(質量分離)を行う場合には、質量分離・検出に要する時間が測定時間の中で支配的である。そこで、本願発明者は、1回の質量分離・検出で対象とするイオンの量を増加させるために、イオントラップに導入されたイオンを捕捉したままで、つまりできるだけ発散させずに、後からそのイオントラップ内にイオンを追加導入することを考えた。但し、一般的にイオントラップ内に捕捉電場が形成されている場合、外部からイオンを導入しようとしても必ずしもそのイオン導入効率は高くない。そこで、イオンをイオントラップ内に追加的に導入する際のイオンの導入効率を高める手法を検討し、本願発明を想到するに至った。
上記課題を解決するために成された本発明は、パルス状にイオンを供給するイオン供給源と、複数の電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップと、を具備し、前記イオン供給源より供給されたイオンを前記イオントラップに導入して捕捉した後に、該イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出された後に質量分析するイオントラップ質量分析装置において、
a)前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに、該イオントラップ内にイオンを捕捉するための矩形波電圧を印加する電圧印加手段と、
b)前記イオントラップ内にイオンを捕捉した状態で該イオントラップ内に前記イオン供給源から供給されたイオンを追加的に導入するべく、前記電圧印加手段により前記電極に矩形波電圧を印加した状態で、該矩形波電圧の位相又はレベル変化に同期して前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する制御手段と、
を備え、前記イオントラップ内に捕捉された状態にあるイオンがその捕捉領域の外周部に拡がった状態から中央に向かうタイミングで該イオントラップにイオンが入射するように、前記制御手段は、正イオンを質量分析対象とする場合に、前記矩形波電圧のローレベル期間中に前記イオントラップにイオンが入射するように前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する一方、負イオンを質量分析対象とする場合には、前記矩形波電圧のハイレベル期間中に前記イオントラップにイオンが入射するように、前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御することを特徴としている。
ここで前記制御手段は、前記電圧印加手段により前記電極に印加される矩形波電圧がその1周期期間中の特定のタイミングであるときに前記イオントラップにイオンが入射するように、前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御するとよい。
イオントラップの電極に上記矩形波電圧が印加され、これによりイオントラップ内に捕捉電場が形成されている場合、イオントラップ内に捕捉されているイオンは電場の時間的変動に従って振動している。この振動は矩形波電圧の1周期に同期した振動であり、1周期間にその捕捉領域の外周部と中央部とを往復するように、つまりイオンの集合であるイオン雲が拡張した状態と中央部に収縮した状態とが交互に生じるようにイオンが移動する。このイオン雲が拡張しようとしているとき、即ち、捕捉領域内でイオンが中央から周囲に向かおうとするタイミングでは、外部からイオントラップ内に入射しようとするイオンに対しても該イオンを跳ね返すように電場が作用する。これに対し、捕捉領域内でイオンが周囲から中央に向かおうとするタイミングでは、外部からイオントラップ内に入射しようとするイオンに対しても該イオンを向かい入れるように電場が作用する。
そこで、こうしたイオンの挙動に着目すれば、前記制御手段は、前記イオントラップ内に捕捉された状態にあるイオンがその捕捉領域の外周部に拡がった状態から中央に向かうタイミングで該イオントラップにイオンが入射するように、前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する
また、矩形波電圧の波形に着目すれば、この電圧とイオンの挙動との関係はそのイオンの極性により異なる。即ち、正イオンを質量分析対象とする場合に、前記制御手段は、矩形波電圧のローレベル期間中にイオントラップにイオンが入射するように、イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する。好ましくは、矩形波電圧のローレベル期間の後半の1/2の期間中にイオントラップにイオンが入射するようにイオンの供給タイミングを制御するとよい。矩形波電圧が対称矩形波電圧(デューティ比:0.5)である場合、矩形波電圧のローレベル期間の後半の1/2の期間とはその位相が3π/2〜2πの範囲である。
他方、負イオンを質量分析対象とする場合、前記制御手段は、矩形波電圧のハイレベル期間中にイオントラップにイオンが入射するように、イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する。好ましくは、矩形波電圧のハイレベル期間の後半の1/2の期間中にイオントラップにイオンが入射するようにイオンの供給タイミングを制御するとよい。矩形波電圧が対称矩形波電圧である場合、矩形波電圧のハイレベル期間の後半の1/2の期間とはその位相がπ/2〜πの範囲である。
なお、イオン供給源でイオンが生成されたりイオンが出射されたりした時点からそのイオンがイオントラップの導入口に到達するまでのイオンの移動時間は、イオン供給源とイオントラップとの間の距離やその間の電場の強さなどに依存する。また、同一の電場内では質量の小さなイオンほど移動速度が速いため、上記イオンの移動時間はイオンの質量にも依存する。したがって、制御手段は、イオントラップのイオン導入口にイオンが到達するのに好適なタイミングから上記イオンの移動時間だけ遡った時点でイオンが供給されるようにイオン供給源を制御するとよい。そのため、分析対象のイオンの質量や質量範囲に応じてイオンの供給タイミングが変化するようにイオン供給源を制御することが望ましい。
矩形波電圧は上述のように対称矩形波電圧とすることができるのは当然であるが、デューティ比が0.5でない非対称矩形波電圧とすることもできる。このような非対称矩形波電圧の場合、1周期の中で、正電圧(ハイレベル)の電圧値にハイレベルの時間を乗じた値と負電圧(ローレベル)の電圧値にローレベルの時間を乗じた値とを等しくすることで、安定的に捕捉されるイオンの質量範囲は矩形波電圧が対称矩形波電圧であるときと同様になる。このような非対称矩形波電圧をイオントラップを構成する電極に印加し、相対的に時間が長いハイレベル又はローレベルの期間にイオントラップ内にイオンを入射するタイミングを設定すれば、イオンをイオントラップ内へ効率良く導入し得る時間が長くなる。
前述のようにイオンがイオントラップのイオン導入口に到達するタイミングはイオンの質量によって少しずつずれるため、イオンをイオントラップ内へ効率良く導入し得る時間が長くなれば、それだけ広い質量範囲のイオンを効率良くイオントラップ内に追加的に導入することが容易になる。
本発明に係るイオントラップ質量分析装置の一態様として、前記イオン供給源は、試料にパルス状のレーザ光を照射して該試料又は該試料中の成分をイオン化するレーザイオン源である構成とすることができる。例えば、前記イオン供給源はマトリックス支援レーザ脱離イオン源とすることができる。この構成では、レーザ光の照射タイミングでイオン生成のタイミングが決まるから、制御手段はレーザ光照射のタイミングを決める制御パルスの発生位置(時刻)を制御すればよく、その制御は容易になる。
また本発明に係るイオントラップ質量分析装置の別の態様として、前記イオン供給源は、試料由来のイオンを電場又は磁場の作用により一旦保持し、圧縮してパルス状に出射させるイオン保持部を備える構成としてもよい。こうしたイオン保持部として、例えば特許第3386048号公報に開示された構成を用いることができる。この場合、イオン保持部に蓄えるイオンの発生源(イオン化装置)は特に限定されないが、例えばエレクトロスプレイイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、大気圧光イオン化法(APPI)などの各種の大気圧イオン化法を利用したものとすることができる。
また本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、イオントラップを線形イオントラップとしてもよいが、リング電極と一対のエンドキャップ電極とを有する3次元四重極型のイオントラップとすることが好ましい。
また本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、前記イオン供給源で生成されたイオンを前記イオントラップまで輸送するために静電レンズによるイオン輸送手段をさらに備える構成とすることができる。ここで、静電レンズとしては例えばアインツァルレンズ(単電位レンズ)を用いることができる。静電レンズによるイオン輸送手段を用いた場合、イオンがイオン供給源からイオントラップに到達するまでの間のイオンの質量の相違による移動時間の広がりが小さくて済むので、それだけ広い質量範囲のイオンを高い効率で以てイオントラップに導入し易くなる。
また、本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、前記矩形波電圧の周波数又は振幅を変化させることにより該イオントラップにおいて特定の質量を有するイオンを選択的に該イオントラップから排出し、その排出されたイオンを検出器により検出する構成とすることができる。このようにイオントラップ自体でイオンの質量分析を行う場合、イオンの生成やイオントラップへのイオンの導入に要する時間に比べて質量分離・検出に要する時間がかなり長いため、本発明を適用した場合の測定時間の短縮の効果が大きい。
また、本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、捕捉されているイオンを該イオントラップから一斉に排出し、その排出されたイオンを質量分析器に導入して質量分析した後に検出器により検出する構成としてもよい。ここで質量分析器及び検出器としては例えば飛行時間型質量分析計とすることができる。
さらにまた、本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、特定の質量を有するイオンのみをプリカーサイオンとして前記イオントラップ内に残し、それから該イオントラップ内で前記プリカーサイオンを開裂させ、それによって生成されたプロダクトイオンを該イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出された後に質量分析する構成としてもよい。即ち、これはMS/MS(又はMS)分析を行うイオントラップ質量分析装置である。
こうしたイオントラップ質量分析装置では、プリカーサイオンの選別、プリカーサイオンの開裂等の操作がイオントラップ内で行われるために目的イオンをイオントラップ内に捕捉しておかなければならない時間が長く、それだけ目的イオンの量が減少する可能性が高い。そのため、プリカーサイオンの選別に先立ってイオントラップに捕捉されているイオンの量を増加させることは特に有益である。
また、本発明に係るイオントラップ質量分析装置では、同一試料に由来するイオンを追加的にイオントラップ内に導入するのではなく、異なる試料に由来するイオンを追加的にイオントラップ内に効率良く導入することができる。即ち、異なる試料に由来するイオンをイオントラップ内で混合させることができる。これを利用して、質量分析において質量データの精度を上げるために効果的である、内部標準法による質量較正を実現することが可能である。
質量較正を行うための本発明に係るイオントラップ質量分析装置の一実施態様として、
前記イオン供給源は分析対象試料由来のイオンと質量較正用試料由来のイオンとを選択的に供給するものであり、
前記イオン供給源から分析対象試料由来のイオン又は質量較正用試料由来のイオンのいずれか一方を供給して、これを前記イオントラップ内に捕捉した状態で、前記イオン供給源から分析対象試料由来のイオン又は質量較正用試料由来のイオンのいずれか他方を供給して、これを前記イオントラップ内に追加的に導入し、分析対象試料由来のイオンと質量較正用試料由来のイオンとの混合イオンを前記イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出した後に質量分析する分析制御手段と、
前記分析制御手段による制御の下に得られた質量スペクトルデータの中で質量較正用試料由来のイオンのデータを用いて質量較正を行うデータ処理手段と、
をさらに備える構成とすることができる。
この実施態様によるイオントラップ質量分析装置では、例えば、まずイオン供給源により分析対象試料に由来するイオンを供給し、これをイオントラップ内に安定的に捕捉する。その後に、イオン供給源により質量較正用試料に由来するイオンを供給し、上述したように先行して捕捉されているイオンの損失を抑えながら、イオントラップ内に質量較正用試料由来のイオンを追加的に導入する。この追加的なイオンの導入は効率良く行われるため、分析対象試料由来のイオン、質量較正用試料由来のイオンともに、十分な量のイオンをイオントラップ内に捕捉することができる。もちろん、1回のイオン導入でイオン量が不足する場合には、同様の手法で追加的にイオントラップ内へイオンを導入すればよい。こうしてイオントラップ内で混合されたイオンを質量分析に供することで、両イオンのピークが現れた質量スペクトルを得ることができ、データ処理手段では内部標準法による精度の高い質量較正が行える。
この場合、イオン供給源において分析対象試料由来のイオンの生成と質量較正用試料由来のイオンの生成とは異なるタイミングで行うことができる。換言すれば同時生成ではないので、分析対象試料と質量較正用試料との混合試料のイオン化を行う必要はなく、またイオン化条件も独立に設定可能である。
具体的に上記イオン供給源は、例えば、分析対象試料と質量較正用試料とを異なる位置に有する試料プレートと、試料にパルス状のレーザ光を照射して該試料中の成分をイオン化するレーザ光照射手段と、該レーザ照射手段によるレーザ光照射位置に分析対象試料と質量較正用試料とを選択的に位置させるべく前記試料プレートを移動させる移動手段と、を含む構成とすることができ、これにはマトリックス支援レーザ脱離イオン源が含まれる。
通常の内部標準法では分析対象試料と質量較正用試料とを混ぜた混合試料を用意する必要があるのに対し、上記実施態様による手法では分析対象試料と質量較正用試料とを別々に用意すればよく、試料調製に関しては外部標準法と同様の手間で済む。また、それぞれの試料に合わせて最適な溶媒やマトリックスを選択できるので、その点でも試料調製作業の煩雑さを解消でき、イオン発生量も増やすことができる。さらにまた、両試料のイオン化を異なるタイミングで行うので、一方のイオンが多量に発生する場合に、他方のイオンが発生しにくくなるという「イオン化競合」の問題もない。これにより、試料の調製が容易で簡単になり、しかも各試料のイオン化も良好に、つまり高い効率で以て行うことができる。
上述のように試料以外のイオン化条件も試料毎に最適化することができるから、レーザ光照射手段は、分析対象試料をイオン化するときと質量較正用試料をイオン化するときとでレーザ光強度を変化させるようにするとよい。
また上記実施態様によるイオントラップ質量分析装置は、分析対象試料から生成されるイオンをそのまま質量分析するのではなく、そうしたイオンを1乃至複数回開裂させ、それにより生成されるプロダクトイオンの質量分析を行う、MS/MS分析やMSn分析にも適用できる。
即ち、上記実施態様によるイオントラップ質量分析装置では、イオントラップ内に捕捉したイオンのうちの特定の質量を持つイオンを残し他のイオンをイオントラップ内から除去するように前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに電圧を印加するイオン選別手段と、前記イオントラップ内に捕捉したイオンの開裂を促進させる開裂促進手段と、をさらに備え、
分析対象試料由来のイオンを先行して前記イオントラップ内に捕捉し、前記イオン選別手段により特定の質量を持つイオンを該イオントラップ内に残した後に、前記開裂促進手段によりその残したイオンの開裂を促進し、その後に、質量較正用試料由来のイオンを前記イオントラップ内に追加的に導入する構成とすることができる。
或いは、上記実施態様によるイオントラップ質量分析装置では、イオントラップ内に捕捉したイオンのうちの特定の質量を持つイオンを残し他のイオンをイオントラップ内から除去するように前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに電圧を印加するイオン選別手段をさらに備え、
分析対象試料由来のイオンを先行して前記イオントラップ内に捕捉し、前記イオン選別手段により特定の質量を持つイオンを該イオントラップ内に残した後に、質量較正用試料由来のイオンを前記イオントラップ内に追加的に導入する構成としてもよい。
こうした構成によれば、MS/MS分析やMSn分析で得られる質量スペクトルに現れるイオンピークの質量も、内部標準法による質量較正の下での高い精度で算出することができる。
本発明に係るイオントラップ質量分析装置によれば、イオントラップにイオンを捕捉した状態でさらに新たに生成したイオンをそのイオントラップ内に追加して導入することができる。そのため、イオントラップ内に捕捉するイオンの量を増加させた後に質量分離・検出を行うことができ、従来よりも、高い信号強度で目的イオンを検出することができる。それにより、従来のように質量分析を繰り返してその結果を積算しなくても、或いはそうした質量分析の繰り返しと積算の回数を減らしても、十分に高いS/Nの質量スペクトルを作成することができる。また、同程度のS/Nの質量スペクトルを作成するために必要な測定時間を従来よりも大幅に削減することができ、分析のスループットを向上させることができるとともに、1つの試料の分析に要するコストを削減することができる。
また本発明に係るイオントラップ質量分析装置を質量較正に利用した実施態様によれば、一般的な内部標準法のための試料調製の煩雑さやイオン生成上の問題を回避しつつ、内部標準法と同等の高い質量精度を達成することができる。また、一般的な質量分析だけでなく、MS/MS分析やMSn分析においても、実質的に内部標準法と同様の高い精度の質量較正を行うことが可能である。
本発明の第1実施例によるMALDI−DIT−MSの全体構成図。 質量分析のために実行される一連の処理の手順を示すフローチャート。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおける捕捉電圧の波形の一例を示す図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおいてイオントラップ内へイオンを追加導入する際の動作タイミングの説明図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおいてイオントラップ内へイオンを追加導入するタイミングを説明するための概念図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおける捕捉電圧の波形の他の例を示す図。 図6に示した捕捉電圧を用いた場合のイオントラップ内へイオンを追加導入する際の動作タイミングの説明図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおけるイオン追加導入の効果を検証するためのシミュレーション結果を示す図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおけるイオン追加導入の効果を検証するためのシミュレーション結果を示す図。 第1実施例のMALDI−DIT−MSにおけるイオン追加導入の効果を検証するための実験結果を示す図。 本発明の第2実施例によるMALDI−DIT−MSの全体構成図。 第2実施例によるMALDI−DIT−MSにおいて実行される典型的な質量分析の処理の手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…サンプルプレート
2…サンプル
3…レーザ照射部
4…反射鏡
13…アパーチャ
14…アインツェルレンズ
20…イオントラップ
21…リング電極
22…入口側エンドキャップ電極
23…出口側エンドキャップ電極
24…捕捉領域
25…イオン導入口
26…イオン排出口
27…入口側電場補正用電極
28…引き出し電極
29…クーリングガス供給部
30…イオン検出器
31…コンバージョンダイノード
32…二次電子増倍管
40…制御部
41…レーザ照射タイミング決定部
42…捕捉電圧発生部
43…補助電圧発生部
44…データ処理部
51…試料台
52…試料台駆動部
53…CIDガス供給部
[第1実施例]
本発明の一実施例(第1実施例)であるマトリックス支援レーザ脱離イオン化デジタルイオントラップ型質量分析装置(MALDI−DIT−MS)について、構成と動作とを詳細に説明する。図1は本実施例によるMALDI−DIT−MSの全体構成図である。
イオントラップ20は3次元四重極型のイオントラップであって、内周面が回転1葉双曲面形状を有する1個の円環状のリング電極21と、それを挟むように(図1では上下に)対向して設けられた、内周面が回転2葉双曲面形状を有する一対のエンドキャップ電極22、23とから成り、リング電極21及びエンドキャップ電極22、23で囲まれた空間が捕捉領域24となる。入口側エンドキャップ電極22のほぼ中央にはイオン導入口25が穿設され、その外側にはイオン導入口25付近の電場の乱れを補正するための入口側電場補正用電極27が配設されている。一方、出口側エンドキャップ電極23のほぼ中央にはイオン導入口25とほぼ一直線上にイオン排出口26が穿設され、その外側には後述の検出器30に向けてイオンを引き出すための引き出し電極28が配設されている。また、後述のようにイオントラップ20内でイオンをクーリングするためのクーリングガス(一般的には不活性ガス)を供給するクーリングガス供給部29が設けられている。
イオンを生成するためのMALDIイオン源(本発明におけるイオン供給源に相当)は、サンプルプレート1上に用意されたサンプル2に照射するレーザ光を発するレーザ照射部3と、該レーザ光を反射するとともにサンプル2に集光する反射鏡4と、を含む。サンプル2の観察像は反射鏡10を介してCCDカメラ11に導入され、CCDカメラ11で形成されるサンプル観察像がモニタ12の画面上に表示される。サンプルプレート1とイオントラップ20との間には、拡散するイオンを遮蔽するアパーチャ13と、イオンをイオントラップ20まで輸送するためのイオン輸送光学系としてのアインツェルレンズ14が配設されている。もちろん、アインツェルレンズ14以外の各種の構成のイオン輸送光学系、特に静電レンズ光学系を用いることができる。
一方、イオン排出口26の外側には、導入されたイオンを電子に変換するコンバージョンダイノード31と変換された電子を増倍して検出する二次電子増倍管32とを含むイオン検出器30が配設されている。このイオン検出器30により正イオン、負イオンの両方の検出が可能となっており、イオン検出器30による検出信号はデータ処理部44に入力されてデジタル値に変換された上でデータ処理が実行される。
イオントラップ20のリング電極21には捕捉電圧発生部(本発明における電圧印加手段に相当)42から所定周波数の矩形波電圧が印加されるようになっており、一対のエンドキャップ電極22、23にはそれぞれ補助電圧発生部43より所定の電圧(直流電圧又は高周波電圧)が印加されるようになっている。捕捉電圧発生部42は、後述するように矩形波電圧を発生するために、例えば、所定の正の電圧を発生する正電圧発生部と、所定の負の電圧を発生する負電圧発生部と、正電圧と負電圧とを高速に切り替えることにより矩形波電圧を発生するスイッチング部と、を含む構成とすることができる。CPU等を含んで構成される制御部(本発明における制御手段に相当)40は捕捉電圧発生部42及び補助電圧発生部43の動作を制御し、また制御部40に機能として含まれるレーザ照射タイミング決定部41は上記捕捉電圧発生部42よりリング電極21に印加される矩形波電圧の位相又はレベル変化(立ち上がり又は立ち下がり)に応じたタイミングでレーザ照射駆動パルス信号を生成してレーザ照射部3の動作を制御する。
次に、本実施例によるMALDI−DIT−MSの特徴的な動作を中心に質量分析の手順について説明する。図2はイオンを質量分析するために実行される一連の処理(操作)の手順を示すフローチャートである。図3は捕捉電圧の波形の一例を示す図、図4はイオントラップ内へイオンを追加導入する際の動作タイミングの説明図、図5はイオントラップ内へイオンを導入するタイミングを説明するための概念図である。
図2(a)は従来と同様のイオン追加導入を行わない場合の質量分析の手順である。即ち、まず制御部40の制御の下にレーザ照射部3から短時間レーザ光を出射しサンプル2に当てる。レーザ光照射によりサンプル2中のマトリックスは急速に加熱され、目的成分を伴って気化する。この際に目的成分はイオン化される(ステップS1)。発生したイオンはアパーチャ13を通過し、アインツェルレンズ14により形成される静電場によって収束されつつイオントラップ20に向かって送られ、イオン導入口25を経てイオントラップ20内に導入される(ステップS2)。レーザ光の照射時間はごく短時間であるためイオンの生成時間も短い。そのため、発生したイオンはパケット状にイオン導入口25に到達する。
上記イオン導入時にはリング電極21へ捕捉電圧が印加されておらず、入口側エンドキャップ電極22は電圧ゼロに維持され、出口側エンドキャップ電極23には分析対象のイオンと同極性の適宜の直流電圧が印加される。これにより、イオントラップ20内に入射したイオンはイオン排出口26付近まで進むと、出口側エンドキャップ電極23に印加されている直流電圧により形成される電場により跳ね返されて捕捉領域24の方向に戻る。
上記イオン導入に先立って、イオントラップ20の内部にはクーリングガス供給部29によりヘリウム等のクーリングガスが導入される。前述のようにイオンがイオントラップ20の内部に導入された直後に、制御部40の制御の下に捕捉電圧発生部42は所定の矩形波電圧を捕捉電圧としてリング電極21に印加し始める。この矩形波電圧は、例えば図3に示すように、ハイレベルの電圧値がV、ローレベルの電圧値が−Vであって、周波数がf、デューティ比が0.5(50%)の矩形波電圧である。このような矩形波電圧の印加により、イオントラップ20の内部にはイオンを振動させながら捕捉する捕捉電場が形成される。導入されたイオンは当初、比較的大きな運動エネルギーを持つが、イオントラップ20内に存在するクーリングガスに衝突して運動エネルギーは次第に奪われ(つまりクーリングが行われ)、捕捉電場に捕捉され易くなる(ステップS3)。
適宜の時間(例えば100[ms]程度)、クーリングを行って捕捉領域24にイオンを安定的に捕捉した後に、上記矩形波電圧をリング電極21に印加したまま補助電圧発生部43により所定周波数の高周波信号をエンドキャップ電極22、23に印加することで、特定の質量を有するイオンを共鳴励起(励振)させる。高周波信号として例えばリング電極21に印加している矩形波電圧の分周信号を用いることができる。励振された特定質量を持つイオンはイオン排出口26から吐き出され、イオン検出器30に導入されて検出される。これによりイオンの質量分離及び検出が行われる(ステップS4)。
リング電極21に印加する矩形波電圧の周波数及びエンドキャップ電極22、23に印加する高周波信号の周波数を適宜走査することで、イオン排出口26を通してイオントラップ20から吐き出すイオンの質量を走査し、これを順番にイオン検出器30で検出することにより、データ処理部44で質量スペクトルを作成することができる。
上記手順では、1回のレーザ光照射によりサンプル2から発生するイオンをイオントラップ20の捕捉領域24に捕捉し、これを質量分離・検出に供するので、必ずしも目的イオンの量が十分には多くなく信号強度が低い場合がある。そこで、そうした場合に、本実施例によるMALDI−DIT−MSでは、図2(b)に示す手順で質量分析を実行することが可能である。
ステップS1A〜S3Aは上記ステップS1〜S3と同じであり、これによりイオントラップ20の捕捉領域24にまずイオンを捕捉する。次に、イオントラップ20の捕捉領域24にイオンを捕捉した状態で再びサンプル2にレーザ光を短時間照射することでイオンを生成させ(ステップS1B)、発生したイオンをイオン導入口25を通してイオントラップ20内に追加的に導入する(ステップS2B)。そして、追加導入されたイオンに対するクーリングを行い(ステップS3B)、2回分のイオン導入により捕捉領域24に安定的に捕捉されているイオンを質量分離・検出する(ステップS4)。
図2(b)はイオンの追加導入を1回だけ行う例であるが、ステップS1B〜S3Bの実行を繰り返すことで、任意の回数だけイオントラップ20へのイオンの追加導入を行うことができる。
前述のようにイオントラップ20内へイオンを追加導入する際には、既に捕捉領域24に捕捉しているイオンが発散しないように、図3に示した矩形波電圧をリング電極21に印加し続けておく必要がある。そのため、イオントラップ20内に捕捉電場が形成されている状態でイオン導入口25を通して外部からイオンをイオントラップ20内に導入しなければならないが、矩形波電圧における1周期中の特定のタイミングでないと効率良くイオンを導入することができない。その理由は次の通りである。
図5に示すように、イオントラップ20内には捕捉電場により捕捉領域24が形成されるが、その中でイオンは捕捉電場の変動に従って(つまりは矩形波電圧のハイレベルとローレベルの切替えに従って)移動しており、個々のイオンとしては図5中に矢印で示すように、捕捉領域24の中央24Aと周縁部24Bとの間を往復するように移動する。また、イオン全体の集合として捉えた場合には、イオンの集合であるイオン雲が中央24A付近に小さくかたまる、つまり収縮した状態と、イオン雲が周縁部24Bまで拡がる、つまり拡大した状態とを交互に繰り返すように変動する。例えばいま、イオン雲が収縮状態から拡大状態に変化しようとしているタイミングでイオン導入口25からイオントラップ20内にイオンを導入しようとしても、捕捉電場は入射して来るイオンを跳ね返すように作用するためイオンは導入されにくい。これに対し、イオン雲が拡大状態から収縮状態に変化しようとしているタイミングでイオンを導入すれば、捕捉電場は入射して来るイオンを内部に引き込むように作用するためイオンは導入され易い。したがって、こうしたタイミングを狙ってイオン導入口25にパケット状のイオンが到来すれば、イオンは効率良くイオントラップ20内に取り込まれる。
分析しようとする目的イオンが正イオンである場合、前述したようなイオンの導入に好適なタイミングは図3中にt1で示すように矩形波電圧のローレベル期間であり、特に好ましいのはローレベル期間の後半の1/2(図3中のt1’期間)、つまり対称矩形波電圧では1周期中の(3/2)π〜2πの位相期間である。但し、サンプルプレート1近傍で発生したイオンがアインツェルレンズ14により輸送されてイオン導入口25近傍に到達するまでには或る程度の時間(移動時間)が掛かる。この移動時間は、サンプルプレート1からイオン導入口25までの距離、アインツェルレンズ14の構造やそれに印加される電圧などに依存する。また、イオン生成が全く同時刻であったとしても、質量の小さなイオンほど早くイオン導入口25に到達するから、上記移動時間は分析対象のイオンの質量にも依存する。
そこで、この移動時間を予めシミュレーション計算又は実験的に求め、レーザ照射タイミング決定部41に記憶させておく。上記理由により移動時間は対象とするイオンの質量に依存するから、質量又は質量範囲に応じて異なる移動時間を呼び出せるようにしておくとよい。そして、レーザ照射タイミング決定部41は、図4に示すように、矩形波電圧におけるt1’期間(又はt1期間)の開始点から移動時間t2だけ遡った時点でイオンが生成されるようにレーザ駆動パルスをレーザ照射部3に供給する。これにより、レーザ光照射によってサンプル2から発生したイオンがイオン導入口25近傍に到達したときに、ちょうどリング電極21に印加されている矩形波電圧がt1’期間(又はt1期間)であるようにすることができる。これによって、イオン導入口25を経てイオンは効率良くイオントラップ20内に導入される。
一方、分析しようとする目的イオンが負イオンである場合には、前述したようなイオンの導入に好適なタイミングは図3中にt3で示すように矩形波電圧のハイレベル期間であり、特に好ましいのはハイレベル期間の後半の1/2(図3中のt3’期間)、つまり対称矩形波電圧では1周期中の(1/2)π〜πの位相期間である。したがって、制御部40は分析対象のイオンの極性に応じて、レーザ駆動パルスの発生位置(時刻)を決めるための矩形波電圧の1周期中の基準位置を変更すればよい。
前述したように、サンプルプレート1上で全く同一時刻に全てのイオンが発生したとしても、質量の小さなイオンは先行してイオン導入口25に達し、質量が相対的に大きなイオンは遅れる。そのため、矩形波電圧におけるt1’期間、t3’期間(又はt1期間、t3期間)の時間幅によって、イオントラップ20に導入可能なイオンの質量幅が決まってしまう。したがって、目的イオンの質量範囲が広い場合には、矩形波電圧のローレベル(正イオンの場合)又はハイレベル(負イオンの場合)の時間幅を広げることが望ましい。そこで、例えば分析対象が正イオンである場合に、図6に示すように矩形波電圧を変更するとよい。即ち、矩形波電圧をデューティ比が0.5でない非対称矩形波電圧とすることでローレベルの時間幅を長くする。
但し、捕捉電場の安定化領域を同一として、つまり捕捉され得るイオンの質量範囲を変えないようにするには、上記対称矩形波電圧を周波数を同一とし、1周期においてハイレベル期間の電圧値と時間幅との積がローレベル期間の電圧値と時間幅との積に等しくなるようにそれぞれのパラメータを設定する必要がある。具体的には、図3に示すようにハイレベルとローレベルとの電圧の絶対値が同一ではなく、図6に示すようにハイレベルとローレベルとの電圧の絶対値V1、V2が異なるものとなる。このような非対称矩形波電圧を捕捉電圧としてリング電極21に印加することにより、イオン導入口25を通して正イオンをイオントラップ20内に効率良く取り込むことが可能な期間の時間幅がt4(又はt4’)に広がるので、イオントラップ20に実質的に追加導入されるイオンの質量幅を広げることができる。
実際のレーザ光照射のタイミングは、図7に示す如く、捕捉電圧が対称矩形波電圧である場合と同様に、矩形波電圧について決めた基準、例えばローレベル期間の1/2の位置から移動時間t2だけ遡った時点とすればよい。
また、図6、図7は目的イオンが正イオンである場合だが、目的イオンが負イオンである場合には、このイオンと逆の極性の電圧、つまりハイレベル期間がローレベル期間よりも長いようなデューティ比を持つ非対称矩形波電圧を捕捉電圧とすればよいことは明らかである。
上記実施例によるMALDI−DIT−MSのイオン捕捉効率を検証するために行ったシミュレーション計算の結果を説明する。
図8は、捕捉電圧としてV=1000[V]、f=500[kHz]の対称矩形波電圧をリング電極に印加する場合のシミュレーション結果であり、横軸はイオンの質量、縦軸はイオン個数を示している。図8(a)に示すように、イオン供給源では、質量1000〜4000[Da]の範囲で500[Da]毎に100個ずつのイオンが同時刻(t=0[μs])に生成するものとした。
図8(b)は、上述のように発生したイオンがほぼ全てイオントラップに導入された後にリング電極に矩形波電圧の印加を開始した場合に、t=250[μs]の時点でイオントラップ内に残るイオンの個数をシミュレーションした結果である。具体的なシミュレーション条件としては、t=13[μs]で矩形波電圧の印加を開始し、入口側エンドキャップ電極への印加電圧はゼロ、出口側エンドキャップ電極への印加電圧はt=0[μs]では15[V]で、t=17[μs]において15[V]→0[V]に切り替えた。この場合には、質量1000[Da]のイオンは80%程度に減少するが、それ以外の質量のイオンは95%以上が残っていることが分かる。
図8(c)は、イオントラップにイオンが導入される以前からリング電極に矩形波電圧を印加している場合に、t=250[μs]の時点でイオントラップ内に残るイオンの個数をシミュレーションした結果である。エンドキャップ電極への印加電圧の条件は図8(b)の場合と同じである。この結果を見れば明らかなように、質量1500[Da]のイオンは95%以上の高い確率で捕捉され、それ以外の質量のイオンは殆ど又は全く捕捉されていないことが分かる。
このような結果は、同時にイオン供給源を出発した様々な質量を持つイオンがイオン導入口に到達するまでに質量によって時間差を生じ、質量1500[Da]のイオンがイオン導入口に到達したときに矩形波電圧の波形がイオン導入に適したt1期間(又はt1’期間)であったと考えれば説明がつく。換言すれば、このシミュレーション計算における条件では、質量1500[Da](及びその近傍の質量範囲)のイオンについて、高い効率で以てイオントラップへの追加導入が可能であると言える。したがって、上述したようにイオン生成のタイミング、つまりはレーザ光照射のタイミングをずらすことにより、異なる質量のイオンをイオントラップに効率良く追加導入することもできる。
図9は矩形波電圧のデューティ比を変更した場合の効果を示すシミュレーション結果である。図9(a)に示すように、イオン源では、質量1000〜2000[Da]の範囲で100[Da]毎に100個ずつのイオンが同時刻(t=0[μs])に生成するものとした。
図9(b)は、図8(c)と同一条件でt=250[μs]の時点でイオントラップ内に残るイオンの個数をシミュレーションした結果である。つまり、矩形波電圧のデューティ比は0.5である。この場合には、質量1500〜1800[Da]の範囲のイオンが捕捉されるが、1500[Da]では95%以上が捕捉されているのに対し、1600、1700、1800[Da]のイオンは40%、65%、13%程度の効率でしか捕捉されていない。
図9(c)は、矩形波電圧を、f=500[kHz]、デューティ比:0.25、V1=2000[V]、V2=−667[V]の非対称矩形波電圧とした場合の、t=250[μs]の時点でイオントラップ内に残るイオンの個数をシミュレーションした結果である。この場合には、質量1500〜1800[Da]の範囲と捕捉されるイオンの質量範囲は同じであるが、1500[Da]では95%以上が捕捉され、1600、1700、1800[Da]のイオンの捕捉効率は60%、90%、30%程度と、対称矩形波電圧を用いた場合に比べて1.5〜2倍に効率が向上している。これは、上述したようにイオンを導入可能な時間幅が広がったために質量1500[Da]よりも大きな質量を持つイオンがイオントラップ内に受け容れられ易くなったことを意味している。
以上のように、リング電極に印加される捕捉電圧として非対称矩形波電圧を使用することにより、対称矩形波電圧を使用した場合に比べて、広い質量範囲のイオンを効率良くイオントラップ内に追加導入できることがシミュレーション計算の結果からも確認できた。
上述のようなイオントラップへのイオンの追加導入は1回だけでなく2回以上の任意の回数だけ繰り返すことができ、その繰り返し回数に応じて質量分析に供するイオンの量を増加させることができる。このイオン追加導入の回数による信号強度増加の効果を確認するための実験結果を、図10により説明する。
サンプルはGlufibrinopeptide B(m/z:1570)、マトリックスはα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)である。この実験では、イオントラップへのイオン追加導入なし(つまり最初の1回のみのイオン導入)、1回イオン追加導入、2回イオン追加導入を行い、それぞれのシーケンスを10回繰り返し、それぞれ検出された質量プロファイルを10回分積算して最終的な質量スペクトルを作成した。この結果を図10に示す。図10中には質量1570のピークの信号強度を数値で示している。このように追加イオン導入回数を増加させることで、信号強度を増加してS/Nを改善できることが実験上でも確認できた。
また、前述のようにイオントラップ内にイオンを追加導入することで、測定時間が長引くことを抑えながら信号強度の増加を図ることができる。即ち、イオンの追加導入を行うために図2に示したように、イオン生成→イオン導入→クーリング、という操作が必要になるが、これら一連の操作はその後の質量分析に要する時間に比べると短い。そのため、本願発明者が行った上記実験では、イオン追加導入なし、1回イオン追加導入、2回イオン追加導入のための測定時間は、それぞれ11.1秒、11.2秒及び11.3秒であった。つまり、殆ど測定時間の増加なしに上述のように信号強度増加の効果を得ることができることが分かる。
ちなみに、2回の追加イオン導入を行って質量分析を行って得られる結果は単純に言えば、イオン追加導入なしの質量分析を3回積算した場合と同等である。したがって、上記図10(c)の結果を得るために、イオン追加導入なしの積算を30回行う必要があると考えると、その場合の測定時間は33.3秒掛かる。したがって、2回の追加イオン導入によれば約66%の測定時間短縮効果が得られることになる。
[第2実施例]
次に、本発明の他の実施例(第2実施例)として、上述したイオントラップへのイオンの追加導入の機能を質量較正に利用したMALDI−DIT−MSについて説明する。一般的に質量分析装置において高い質量精度のデータを得るためには、質量が既知である標準試料を用いた質量較正が不可欠である。従来のMALDI−IT−MSにおける質量較正は、イオントラップを搭載しない、例えばMALDI−TOFMSと同様の手法で行われている。一般的にMALDI−TOFMSで質量較正を行う場合、外部標準法と内部標準法という2つの方法がある。
外部標準法による質量較正を行う場合、分析担当者は、サンプルプレート上の分析対象試料(アナライト)とは別の位置に、質量が既知である化合物を含む質量較正用試料(キャリブラント)を測定前に塗布しておく。そして、まず質量較正用試料の測定を実行し、その測定結果を用いて装置の質量較正を行った後に分析対象試料の測定を行う。或いは、分析対象試料の測定後に質量較正用試料の測定を行い、全ての測定後に質量較正用試料の測定により得られたデータを用いて質量較正式を導出し、その式を用いて事後処理的に分析対象試料の質量分析データの質量較正を行うこともできる。さらに、より正確をきすために、分析対象試料の測定前及び測定後にそれぞれ質量較正用試料の測定を実行し、それにより得られたデータを用いて質量較正を行う場合もある。こうした質量較正のための一連の測定や演算処理は、装置付属の専用ソフトウエア上で行うことができるようになっている場合が多い。
一方、内部標準法による質量較正を行う場合、分析担当者は、分析対象試料に予め質量較正用試料を混ぜ込んだ試料を用意しておく。その上で、上記混合試料の測定を行い、得られたデータ(質量スペクトル)上の質量較正用試料由来のピークを用いてデータの質量較正を行い、その較正後、分析対象試料由来のピークの質量を読み取る。
一般に、質量精度の高い較正を行うという点では、外部標準法よりも内部標準法のほうが望ましい。内部標準法を実施するためには、混合試料を測定して得られた質量スペクトル上で、それぞれに由来するピークが全て十分な強度及び分解能で含まれていなければならない。ところが、実際には、一方のイオンが多量に発生する場合、他方のイオンが発生しにくくなるという「イオン化競合」が頻繁に起こるため、上記のような適切な質量スペクトルが得られないことが多い。これを回避するには、分析対象試料と質量較正用試料との混合比を最適化することが望ましいが、分析対象試料の種類毎に最適な混合比は相違するため、このような最適化の作業にはかなり手間がかかる。そのため試料の数が多く、高いスループットを望む場合には、実質的不可能である。
また、分析対象試料と質量較正用試料とで最適な溶媒や最適なマトリックスが相違する場合には、混合試料を調製すること自体が困難であるため、内部標準法を採用できない。そのため、外部標準法を用いざるをえず、質量較正の精度が落ちることになる。
また、MALDI−IT−MSで、MS/MS分析やMSn分析を行う場合には、プリカーサイオン選別の過程で、イオントラップからプリカーサイオン以外のイオンが排除されるため、内部標準法を採用することができない。したがって、この場合にも、外部標準法を用いざるをえず、質量較正の精度が落ちることになる。
こうした問題に対し、上述したようなイオン追加導入の技術を利用して、分析対象試料と質量較正用試料との混合試料を調製することなく内部標準法に則った質量較正を実現することができる。図11はこの第2実施例によるMALDI−DIT−MSの全体構成図、図12は第2実施例によるMALDI−DIT−MSにおいて実行される典型的な質量分析の処理の手順を示すフローチャートである。図11において、図1に示した第1実施例によるMALDI−DIT−MSと同一の構成要素には同一の符号を付して説明を略す。
この第2実施例のMALDI−DIT−MSでは、サンプルプレート1上の異なる位置に分析対象試料2Aと質量較正用試料2Bとが用意される。両者の位置は、できるだけ近い距離であることが望ましい。このサンプルプレート1を保持する試料台51は、モータなどの駆動源を含む試料台駆動部52により移動可能であり、それによりレーザ光照射位置に分析対象試料2Aと質量較正用試料2Bとを選択的に位置させることができる。分析対象試料2Aと質量較正用試料2Bとはそれぞれ独立に調製すればよいから、溶媒やマトリックスはそれぞれに適したものを選択すればよく、外部標準法による質量較正を行う場合と全く同じ手法で調製することができる。また、CIDガス供給部53は、イオントラップ20内でイオンを衝突誘起解離(CID)により開裂させるために、アルゴンなどのCIDガスを導入するものである。
分析が開始されると、制御部40は試料台駆動部52によりレーザ照射位置に分析対象試料2Aを位置させ、レーザ照射部3から短時間レーザ光を出射し分析対象試料2Aに当てる。このときのレーザ光の強度は、予め分析対象試料2A中の目的成分のイオン生成効率が良好となる条件に設定される。レーザ光照射により、分析対象試料2A中の目的成分はイオン化される(ステップS11)。なお、レーザ光照射の直前に、イオントラップ20の内部にはクーリングガス供給部29によりクーリングガスが導入される。レーザ光照射に伴って発生したイオンは、アパーチャ13、アインツェルレンズ14を経て、イオン導入口25を通ってイオントラップ20内に導入される(ステップS12)。このイオン導入時にはリング電極21へ捕捉電圧を印加せず、入口側エンドキャップ電極22には分析対象のイオンと逆極性の適宜の直流電圧が印加され、出口側エンドキャップ電極23には分析対象のイオンと同極性の適宜の直流電圧が印加される。
イオンがイオントラップ20の内部に導入された直後に、制御部40の制御の下に補助電圧発生部43は、入口側エンドキャップ電極22に分析対象のイオンと同極性の直流電圧を印加し、導入されたイオンをイオントラップ20内に閉じ込める。それから僅かに遅れて、捕捉電圧発生部42は所定の矩形波電圧を捕捉電圧としてリング電極21に印加し始める。これにより、イオントラップ20内に閉じ込めたイオンを捕捉電場によって安定した軌道で運動させる。捕捉されたイオンはイオントラップ20内に予め導入されたクーリングガスとの衝突により運動エネルギーを失い、軌道が小さくなって確実に捕捉される(ステップS13)。
次に、イオントラップ20に捕捉された分析対象試料2A由来の各種のイオンの中で特定の質量を有するイオンをプリカーサイオンとして選択的に残すために、それ以外のイオンをイオントラップ20から排出する(ステップS14)。このようなプリカーサイオン選別を行う手法は、従来から知られている手法、例えば米国特許第6,900,433号公報に記載の方法や特開2003-16991号公報に記載の方法などを利用することができる。
一例を挙げると、一対のエンドキャップ電極22、23間に逆位相の高周波電圧を印加すると、その高周波電圧の周波数と一致する固有周波数(振動数)を有するイオンが共鳴して振動する。その共鳴振動の振幅は次第に大きくなり、やがてそのイオンはイオントラップ20内から飛び出したり電極内面に衝突したりして排除される。共鳴振動するイオンの質量はその固有周波数と所定の関係を有する。したがって、或る質量を持つ不要なイオンを排除するには、そのイオンの質量に応じた周波数の高周波電圧をエンドキャップ電極22、23に印加すればよい。
或いは、残したいイオンの質量に対応した周波数にノッチを持つ周波数スペクトルを有する広帯域の交流電圧をエンドキャップ電極22、23に印加する。すると、そのノッチ周波数に応じた質量を有するイオンのみが共鳴振動せずにイオントラップ20内に留まり、それ以外のイオンはイオントラップ20内から排除される。上記のようなノッチを有する広帯域電圧の生成方法としては、多数の周波数の相違する正弦波電圧を合成する、ホワイトノイズにノッチを形成する、といった方法がある。
プリカーサ選別の後、イオントラップ20内に残したプリカーサイオンを開裂させるべく、CIDガス供給部53よりアルゴンなどのCID(衝突誘起解離)ガスをイオントラップ20内へ供給し、その直後に、補助電圧発生部43はエンドキャップ電極22、23にプリカーサイオンの質量で決まる永年振動数と等しい周波数の励起電圧を印加する。それにより、プリカーサイオンは振動し、CIDガスに衝突して開裂して各種のプロダクトイオンを生成する(ステップS15)。
さらに上記開裂操作の後、生成されたプロダクトイオンの軌道を小さくして安定化するために、クーリングガス供給部29からイオントラップ20内にクーリングガスを導入し、プロダクトイオンをクーリングする(ステップS16)。
制御部40は上記レーザ光照射によるイオン生成・導入が終わると、試料台駆動部52により、質量較正用試料2Bがレーザ照射位置に来るように試料台51を移動させる。遅くてもステップS16のクーリング終了時点までには、質量較正用試料2Bがレーザ照射位置にセットされる。
クーリングの後、制御部40の制御の下、レーザ照射部3は短時間レーザ光を出射し質量較正用試料2Bに当てる。これにより、質量較正用試料2B中の成分はイオン化される(ステップS17)。このとき、正イオンを分析するのであれば、レーザ照射タイミング決定部41は、上述したように、図4に示す如く、リング電極21に印加する矩形波電圧におけるt1’期間の開始点からイオンの移動時間t2だけ遡った時点でイオンが生成されるようにレーザ駆動パルスをレーザ照射部3に供給する。この移動時間t2は、分析対象とする質量較正用試料2B由来のイオンの質量に応じて決める。一方、負イオンを分析するのであれば、レーザ照射タイミング決定部41は、リング電極21に印加する矩形波電圧におけるt3’期間の開始点からイオンの移動時間t2だけ遡った時点でイオンが生成されるようにレーザ駆動パルスをレーザ照射部3に供給する。なお、レーザ光照射の直前に、イオントラップ20の内部にはクーリングガス供給部29によりクーリングガスが導入される。
上記のように、レーザ照射タイミングをリング電極21に印加する矩形波電圧の位相に対する特定の位相位置に定めることにより、レーザ光照射によって質量較正用試料2Bから発生した正イオンがイオン導入口25近傍に到達したときに、矩形波電圧はt1’期間、つまり、対称矩形波電圧では1周期中の(3/2)π〜2πの位相期間となる。負イオンであれば、イオン導入口25近傍に到達したときに、矩形波電圧はt3’期間、つまり、対称矩形波電圧では1周期中の(1/2)π〜πの位相期間となる。これによって、イオン導入口25を通過してイオントラップ20内に導入されるイオンは跳ね返されず、良好に受け容れられて、既にイオントラップ20内に保持されている分析対象試料2A由来のプロダクトイオンに追加される(ステップS18)。
その後、追加導入された質量較正用試料2B由来のイオンの軌道を小さくして安定化するために、クーリングガス供給部29からイオントラップ20内にクーリングガスを導入し、追加導入されたイオンをクーリングする(ステップS19)。この結果、イオントラップ20内には、分析対象試料2A由来のイオンの中で特定の質量を持つプリカーサイオンから生成された各種プロダクトイオンと、質量較正用試料2B由来のイオンとが混在した状態で安定的に保持される。
適宜の時間のクーリングの後、第1実施例のステップS4と同様に、リング電極21に印加する矩形波電圧の周波数及びエンドキャップ電極22、23に印加する高周波信号の周波数を適宜走査することで、共鳴励起させるイオンの質量を走査し、それに伴ってイオントラップ20から吐き出されるイオンを順番にイオン検出器30で検出する(ステップS20、S21)。これにより、データ処理部44で所定の質量範囲の質量スペクトルを作成することができる。その質量スペクトルには、分析対象試料2A由来のプロダクトイオン等のピークと質量較正用試料2B由来のイオンのピークとが現れる。質量較正用試料2B由来のイオンは質量が既知であるから、データ処理部44では、質量スペクトル上に現れているピークの中で質量較正用試料2B由来のイオンピークを抽出し、そのイオンピークを用いて質量較正を行う。そして、較正後に、目的とする各種イオンのピークの質量を読み取り、同定などの処理に供する。
即ち、イオントラップ20内で混在する分析対象試料2A由来のイオンと質量較正用試料2B由来のイオンとを同時に測定し、後者の結果を利用して質量較正を行った上で、前者の結果を精度良く求める、という点で、これは内部標準法による質量較正そのものであって、高い質量精度を実現できる。一方で、分析対象試料2Aと質量較正用試料2Bとは予め混合する必要がなく、それぞれ別々に、異なる溶媒と異なるマトリックスを使用して(もちろん同一のものを使用してもよい)調製すればよく、この点だけを捉えれば、外部標準法と同じ簡便性が達成される。つまり、この第2実施例に係る装置で実現される質量較正は、内部標準法による質量精度の高さと外部標準法における試料調製の容易性とを併せ持ったものであると言うことができる。
上記説明では、リング電極21に印加する電圧を対称矩形波電圧であるとしているが、第1実施例の説明で述べたように、非対称矩形波電圧としてもよいことは当然である。
また、上記説明では、分析対象試料2Aと質量較正用試料2Bとをそれぞれ1回ずつイオン化しイオントラップ20内に導入しているが、それぞれの試料由来のイオンをイオントラップ20内に追加導入して質量分析に供するイオン量を増加させるようにしてもよい。
質量較正用試料2B中の試料成分が1種類であるか、或いは試料成分は複数種類であってもその中の1種類の成分のみを質量較正に使用したい場合には、上述したようにその試料成分から生成されるイオンの質量に応じて移動時間t2を求めればよい。また、複数種類の成分を質量較正に使用したい場合でも、各成分由来のイオンの質量が近い場合には、その中の1つのイオンの質量に対応した又は平均的な質量に対応した移動時間t2を求め、レーザ光照射のタイミングを決めることができる。しかしながら、複数種類の成分を質量較正に使用したい場合で、各成分由来のイオンの質量が離れている場合には、1回のレーザ光照射で質量較正用試料2Bから生成した各種イオンを、或る1周期の矩形波電圧の特定の位相期間中にイオントラップ20内に導入することは困難である。何故なら、イオンを効率よく導入し得る矩形波電圧の1/4周期に相当する時間は400−500[ns]にすぎず、質量が離れたイオンに対応する移動時間t2の差はこれを超えてしまうからである。そこで、複数種のイオン毎にそれぞれの質量から最適なレーザ光照射のタイミングを求め、それぞれ1周期以上遅らせつつ最適なレーザ光照射タイミングに基づいて順次レーザ光照射を行うようにするとよい。これにより、異なる質量を持つ質量較正用試料2B由来のイオンが順番に、それぞれ効率良くイオントラップ20内に導入される。
また、分析対象試料2A由来のイオンをそのまま観察したい場合には、図12に示したフローチャートでステップS14〜S16の操作を省略すればよい。この場合には、先に質量較正用試料2Bのイオン化及びイオン導入を行って、その後に分析対象試料2Aのイオン化及びイオン追加導入を行うように、順序を入れ替えてもよい。また、上述のように分析対象試料2A由来のイオンの開裂を1回のみ行うのではなく、プリカーサ選別と開裂操作とを複数回繰り返してもよい。
また、分析対象試料2A由来のイオンの中で特定の質量を持つイオンを選択的に残す操作(ステップS14のプリカーサ選別と同じ操作)を行い、それを開裂させることなく、引き続いて質量較正用試料2Bのイオン化及びイオン追加導入を行うようにしてもよい。
また、一般に、試料の種類によってイオン生成効率は相違するため、分析対象試料2Aのイオン化の際に照射するレーザ光の強度と、質量較正用試料2Bのイオン化の際に照射するレーザ光の強度とは、それぞれ独立に設定できるようにしておくことが好ましい。適切なレーザ光強度は、実際の試料を用いた予備的な実験により決めることができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、追加、修正を行っても本願請求の範囲に包含されることは当然である。

Claims (18)

  1. パルス状にイオンを供給するイオン供給源と、複数の電極で囲まれる空間に形成される電場によりイオンを捕捉するイオントラップと、を具備し、前記イオン供給源より供給されたイオンを前記イオントラップに導入して捕捉した後に、該イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出された後に質量分析するイオントラップ質量分析装置において、
    a)前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに、該イオントラップ内にイオンを捕捉するための矩形波電圧を印加する電圧印加手段と、
    b)前記イオントラップ内にイオンを捕捉した状態で該イオントラップ内に前記イオン供給源から供給されたイオンを追加的に導入するべく、前記電圧印加手段により前記電極に矩形波電圧を印加した状態で、該矩形波電圧の位相又はレベル変化に同期して前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する制御手段と、
    を備え、前記イオントラップ内に捕捉された状態にあるイオンがその捕捉領域の外周部に拡がった状態から中央に向かうタイミングで該イオントラップにイオンが入射するように、前記制御手段は、正イオンを質量分析対象とする場合に、前記矩形波電圧のローレベル期間中に前記イオントラップにイオンが入射するように前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御する一方、負イオンを質量分析対象とする場合には、前記矩形波電圧のハイレベル期間中に前記イオントラップにイオンが入射するように、前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを制御することを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  2. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記制御手段は、分析対象のイオンの質量又は質量範囲に応じて、前記イオン供給源におけるパルス状のイオンの供給タイミングを変化させることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  3. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記矩形波電圧は対称矩形波電圧であることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  4. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記矩形波電圧は非対称矩形波電圧であり、相対的に時間が長いハイレベル又はローレベルの期間に前記イオントラップ内にイオンを入射するタイミングが設定されることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  5. 請求項に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオン供給源は、試料にパルス状のレーザ光を照射して該試料又は該試料中の成分をイオン化するレーザイオン源であることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  6. 請求項に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオントラップは、リング電極と一対のエンドキャップ電極とを有する3次元四重極イオントラップであることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  7. 請求項6に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオン供給源はマトリックス支援レーザ脱離イオン源であることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  8. 請求項7に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオン供給源から供給されたイオンを前記イオントラップまで輸送するために静電レンズによるイオン輸送手段をさらに備えることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  9. 請求項に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記静電レンズはアインツァルレンズ(単電位レンズ)であることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  10. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、前記矩形波電圧の周波数又は振幅を変化させることにより該イオントラップにおいて特定の質量を有するイオンを選択的に該イオントラップから排出し、その排出されたイオンを検出器により検出することを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  11. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、捕捉されているイオンを該イオントラップから一斉に排出し、その排出されたイオンを質量分析器に導入して質量分析した後に検出器により検出することを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  12. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオントラップ内にイオンを捕捉した後に、特定の質量を有するイオンのみをプリカーサイオンとして前記イオントラップ内に残し、それから該イオントラップ内で前記プリカーサイオンを開裂させ、それによって生成されたプロダクトイオンを該イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出された後に質量分析することを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  13. 請求項1に記載のイオントラップ質量分析装置であって、
    前記イオン供給源は分析対象試料由来のイオンと質量較正用試料由来のイオンとを選択的に供給するものであり、
    前記イオン供給源により分析対象試料由来のイオン又は質量較正用試料由来のイオンのいずれか一方を供給し、これを前記イオントラップ内に捕捉した状態で、前記イオン供給源により分析対象試料由来のイオン又は質量較正用試料由来のイオンのいずれか他方を供給して、これを前記イオントラップ内に追加的に導入し、分析対象試料由来のイオンと質量較正用試料由来のイオンとの混合イオンを前記イオントラップにより又は該イオントラップから吐き出した後に質量分析する分析制御手段と、
    前記分析制御手段による制御の下に得られた質量スペクトルデータの中で質量較正用試料由来のイオンのデータを用いて質量較正を行うデータ処理手段と、
    をさらに備えることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  14. 請求項13に記載のイオントラップ質量分析装置であって、
    前記イオン供給源は、分析対象試料と質量較正用試料とを異なる位置に有する試料プレートと、試料にパルス状のレーザ光を照射して該試料中の成分をイオン化するレーザ光照射手段と、該レーザ照射手段によるレーザ光照射位置に分析対象試料と質量較正用試料とを選択的に位置させるべく前記試料プレートを移動させる移動手段と、を含むことを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  15. 請求項14に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記イオン供給源はマトリックス支援レーザ脱離イオン源であることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  16. 請求項15に記載のイオントラップ質量分析装置であって、前記レーザ光照射手段は、分析対象試料をイオン化するときと質量較正用試料をイオン化するときとでレーザ光強度を変化させることを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  17. 請求項13に記載のイオントラップ質量分析装置であって、
    前記イオントラップ内に捕捉したイオンのうちの特定の質量を持つイオンを残し他のイオンをイオントラップ内から除去するように前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに電圧を印加するイオン選別手段と、前記イオントラップ内に捕捉したイオンの開裂を促進させる開裂促進手段と、をさらに備え、
    分析対象試料由来のイオンを先行して前記イオントラップ内に捕捉し、前記イオン選別手段により特定の質量を持つイオンを該イオントラップ内に残した後に、前記開裂促進手段によりその残したイオンの開裂を促進し、その後に、質量較正用試料由来のイオンを前記イオントラップ内に追加的に導入するようにしたことを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
  18. 請求項13に記載のイオントラップ質量分析装置であって、
    前記イオントラップ内に捕捉したイオンのうちの特定の質量を持つイオンを残し他のイオンをイオントラップ内から除去するように前記イオントラップを構成する複数の電極の少なくとも1つに電圧を印加するイオン選別手段をさらに備え、
    分析対象試料由来のイオンを先行して前記イオントラップ内に捕捉し、前記イオン選別手段により特定の質量を持つイオンを該イオントラップ内に残した後に、質量較正用試料由来のイオンを前記イオントラップ内に追加的に導入するようにしたことを特徴とするイオントラップ質量分析装置。
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