JP4686472B2 - 弾性表面波素子及び通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波素子及び通信装置に関するものである。より詳しくは、分波器として使用される弾性表面波素子に関するものであり、特にIDT電極の耐電力性を改善した弾性表面波素子及びその弾性表面波素子を用いた通信装置に関するものである。
近年、通信装置の多機能化に伴い、実装部品はより小型・軽量化することが求められている。
実装部品の中で、送信側周波数帯の信号と受信側周波数帯の信号とを分離する分波器には、従来、誘電体を用いたものが使用されてきた。しかし、誘電体分波器は現状の通信規格の周波数帯では、原理的に小型化できず、また、通過帯域近傍の減衰特性を急峻にできないため、送信側周波数帯と受信側周波数帯とが接近している通信規格では満足な特性が得られなかった。
そこで近年、弾性表面波素子を用いたフィルタを分波器に利用する試みがなされている。
従来から弾性表面波フィルタは、段間のフィルタとして使用されていたが、分波器として使用するには耐電力性が低かった。
しかし、近年この耐電力性の問題はIDT電極の電極構造や電極材料を工夫することで解決することができたため、誘電体分波器より小型で通過帯域近傍の減衰特性の良い弾性表面波分波器(以下ではSAW−DPXと記す。)が現れ始めている。
弾性表面波素子は通常、圧電基板上にIDT電極を含む複数の励振電極が形成されて構成されるが、IDT電極の電極指の周期は、圧電基板の材料の音速と弾性表面波素子が使用される周波数帯とによってほぼ決定される。例えば、タンタル酸リチウム単結晶を圧電基板として用いて800MHz帯で使用される弾性表面波フィルタを作製した場合であれば、電極指の周期は約4μm、つまりIDT電極の電極指1本当りの幅及び隣接する電極指との距離(ギャップ)は共に約1μm程度となる。
また、従来から、電極材料には製造上の扱い易さ及び導電率の高さからアルミニウムを主体とする材料が使用されている。
上記のような細い電極指が狭いギャップで多数配置されてなるIDT電極を含む弾性表面波フィルタに対して、SAW−DPXでは、1Wという大きな電力の高周波信号が印加され、圧電基板の表面は電界の振動に応答して物理的に激しく振動する。
このため、電極には大きな応力が高周波数で印加されるため、電極を構成する材料の原子がマイグレーションを起こし、それにより電極にはヒロックやクラックが発生し、ついには破壊に至ることとなる。特に、電極を構成するアルミニウムを主体とする材料は、アルミニウムの結晶粒界では未結合手が存在するために原子が移動するためのエネルギーが小さくてすむので、マイグレーションが大きいとされている。
そこで、弾性表面波素子において耐電力性を確保することができる電極構造については種々の方法が提案されている。
まず第1の方法は、電極材料のアルミニウムに金属元素を微量添加することである。耐電力性を強化する目的でアルミニウムに添加された元素は、その種類によって2種類の挙動を示す。第1の挙動は、アルミニウムの結晶粒界に析出する、又はアルミニウムの結晶粒界でアルミニウムと金属間化合物を作るというものである。このような元素は、結晶粒界でアルミニウムの未結合手を埋める働きをするため、アルミニウムの結晶粒界におけるマイグレーションを抑える効果がある。このような働きをする元素には、例えばゲルマニウム,銅,パラジウム,シリコン,リチウムがある。
第2の挙動は、アルミニウム自体に固溶するというものである。このような元素は、アルミニウムの結晶中に応力によって発生した転移が移動するのを妨げる働きをする。このような元素には、例えばスカンジウム,ガリウム,ハフニウム,亜鉛,ジルコニウム,チタン,マグネシウム等がある。アルミニウムにこのような2種類の元素を1種類以上添加することによって、弾性表面波素子の耐電力性が強化される(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
ただし、それらの元素は、アルミニウムへの添加量が多過ぎると電極の抵抗が大きくなってしまい、これに電力を印加すると発熱が大きくなってしまい、その熱エネルギーによってマイグレーションが加速されてしまう結果となるため、適当な添加量が存在する。
第2の方法は、アルミニウムを単結晶化して結晶粒界そのものをなくすことである(例えば、特許文献4を参照。)。また、単結晶化までできなくとも、マイグレーションが起こり難いアルミニウム結晶の充填率の高い方位に配向性を高めることによっても耐電力性は向上する。これらのことを達成するには、アルミニウムから成る電極と圧電基板との間に下地膜を設けることが有効である。この下地膜には、アルミニウムとの金属間化合物又は中間相が形成されるときの生成熱が正である材料を選択すればよい(例えば、特許文献5を参照。)。
第3の方法は、電極における大きな応力の伝達を緩和することである。これには様々な方法が提案されている。1つには、アルミニウムの結晶粒が大きいと加わる応力も大きくなるので、結晶粒を小さくして応力を分散する方法がある。結晶粒は一般的にはほぼ膜厚程度の大きさになると言われている。従って、ある決まった膜厚の電極において小さな結晶粒を得るためには、膜厚方向のどこかにアルミニウムとは異なる材料(金属,窒化物,珪化物等)を挿入すればよい(例えば、特許文献6を参照。)。
また、他には、アルミニウムから成る電極と圧電基板との間に厚いチタン層を挿入するという方法が提案されている(例えば、特許文献7を参照。)。この場合の厚いチタン層は、第2の方法で述べたようなアルミニウムを配向させる作用は持たない。というのは、厚い膜を成膜するとその表面の凹凸が大きくなるためである。しかし、チタンはアルミニウムよりも耐電力性が高い材料であるので、このような材料をアルミニウムと圧電基板との間に挿入することによって、アルミニウムへの応力の伝達が小さくなり、その結果、耐電力性が向上するというものである。
また、第4の方法として、アルミニウム以外の金属、例えばタンタルや金,銅等を電極として使用する方法もある(例えば、特許文献8を参照。)。
特開平1−80113公報 実開平2−28120公報 特開平5−267979公報 特開平5−199062公報 特開平4−090268号公報 特開平4−288718公報 特開2002−368568号公報 特開平9−98043号公報 国際公開第2000/074235号パンフレット 特開平7−122961号公報 国際公開第1999/54995号パンフレット
しかしながら、以上の方法を単独で実施しても、十分な耐電力性を得るには至らなかった。そこで、これらのうち第1の方法と、第2又は第3の方法とを組み合わせて使用することにより、さらに耐電力性を向上する方策が提案された(例えば、特許文献9〜11を参照。)。
しかしながら、SAW−DPXにおいては通信装置の高出力化が進む中で、さらに耐電力性を向上させることが要求されている。
また、前述の第4の方法で用いられる材料は、アルミニウムを主原料とする材料よりも耐電力性には優れるものの、細い電極が狭いギャップで多数配置されてなるIDT電極を形成するための微細加工が難しいという問題点があった。また、圧電基板との付着性が低かったり、経時的な酸化の進行があったりする等、信頼性に問題がある傾向があり、耐電力性以外の問題が別に発生するという問題点があった。
本発明の目的は、IDT電極の耐電力性をより向上した弾性表面波素子及びそれを用いた通信装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、微細加工性が優れ、また信頼性上の問題がないIDT電極が形成された弾性表面波素子及びそれを用いた通信装置を提供することにある。
本発明の弾性表面波素子は、圧電基板と、該圧電基板上に、チタンもしくはチタン合金又はクロムもしくはクロム合金から成る複数の第1の金属層と、アルミニウム合金から成る複数の第2の金属層とが、それぞれ一層ずつ交互に積層されて形成された電極によって構成されたIDT電極とを具備し、
前記圧電基板の表面に最も近い前記第1の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第1の金属層における配向性よりも高く、
前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層の厚みが、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層の厚みより小さく、且つ、前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層における配向性よりも高
前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層がアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミニウム合金であり、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層がアルミニウムに銅を添加したアルミニウム合金であることを特徴とする。
この弾性表面波素子によれば、第1の金属層の配向性を考慮しない従来のIDT電極を用いたものに比べて、第2の金属層のうち圧電基板に最も近いために、印加される応力が最も大きい、圧電基板の表面に最も近い第1の金属層の直上の第2の金属層の配向性をより向上させることができる。
配向性が向上することによってマイグレーション耐性が向上するので、その第2の金属層の耐電力性が強化されることから、より耐電力性の高い弾性表面波素子を実現することができる。
また、第1の金属層により第2の金属層と基板との密着性が改善され、かつ第2の金属層が圧電基板と直接接しないことにより圧電基板を構成する元素と第2の金属層との化学反応が抑制されるので、経時的な変化の進行が小さいため信頼性にも優れた弾性表面波素子を実現することができる。
また、前記第2の金属層が複数あり、前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層における配向性よりも高い弾性表面波素子であるので、圧電基板の表面に最も近いために印加される応力が最も大きい部分となる第1の金属層及び第2の金属層の配向性が高いことによって、それぞれの金属層のマイグレーション耐性が向上する。
それら圧電基板の表面に最も近い第1及び第2の金属層の耐電力性が強化された結果、第1及び第2の金属層の配向性を考慮しない従来のIDT電極を用いたものに比べて、より耐電力性の高い弾性表面波素子を実現することができる。
さらに、第1の金属層により第2の金属層と基板との密着性が改善され、かつ第2の金属層が圧電基板と直接接しないことにより圧電基板を構成する元素と第2の金属層との化学反応が抑制されるので、経時的な変化の進行が小さいため信頼性にも優れた弾性表面波素子を実現することができる。
前記第1の金属層がチタンもしくはチタン合金である場合には、耐電力性を強化できるのはもちろんのこと、第1の金属層の圧電基板との密着性がよく、また第1及び第2の金属層は塩素系のガスを用いてRIE(Reactive Ion Etching)加工が可能であるため微細加工性がよく、さらに経時的に深刻な酸化が進行することがないため信頼性にも優れたIDT電極を有する弾性表面波素子を提供することができる。
記第1の金属層の前記圧電基板の表面に最も近い層の層厚が30〜80Åであることが望ましい。この場合、第1の金属層の配向性が高いことに加えて平坦性が優れているものとなるため、耐電力性の優れたIDT電極の形成を好適に実現することができる。
本発明の弾性表面波素子は、圧電基板と、該圧電基板上に、チタンもしくはチタン合金又はクロムもしくはクロム合金から成る少なくとも1つの第1の金属層と、アルミニウム合金から成る複数の第2の金属層とが、それぞれ一層ずつ交互に積層されて形成された電極によって構成されたIDT電極とを具備し、
前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層の厚みが、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層の厚みより小さく、且つ、前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層における配向性よりも高
前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層がアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミニウム合金であり、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層がアルミニウムに銅を添加したアルミニウム合金であることを特徴とする。
この弾性表面波素子であれば、第2の金属層の配向性を考慮しない従来のIDT電極を用いたものに比べて、第2の金属層のうち圧電基板の表面に最も近いために印加される応力が最も大きい部分の第2金属層の配向性が高く、配向性が高いことによってマイグレーション耐性が向上するので、その第2の金属層の耐電力性が強化された結果、より耐電力性の高い弾性表面波素子を実現することができる。また、第1の金属層により第2の金属層と基板との密着性が改善され、かつ第2の金属層が圧電基板と直接接しないことにより圧電基板を構成する元素と第2の金属層との化学反応が抑制されるので、経時的な変化の進行が小さいため信頼性にも優れた弾性表面波素子を実現することができる。
前記第2の金属層は、圧電基板の表面に遠い面から、圧電基板の表面に近い面にわたって、結晶粒が連続して形成されているものであることが好ましい。
通常、IDT電極を構成する材料の原子がマイグレーションを起こし、その結果、ヒロックが発生すると、そのヒロックはいずれ隣り合う電極指や隣り合う電極指から成長したヒロックと接触し、電極指がショートしてしまうこととなる。これにより弾性表面波素子は破壊に至る。マイグレーションは結晶粒界で激しく起こるため、結晶粒界の密度が高いとそれだけ破壊が起こる確率が高くなる。
これに対して、この構成の弾性表面波素子によれば、圧電基板上に、金属層から成るIDT電極が形成されており、前記金属層は、圧電基板の表面に遠い面から、圧電基板の表面に近い面にわたって結晶粒が連続して形成されていることにより、未結合手が存在する結晶粒界を膜厚方向に比べて圧電基板と平行主面上に多く存在させないものとなっている。これにより、結晶粒界の密度が小さくなり、ヒロックが発生し易い領域が減少するため、電極指の耐電力性を向上させることができ、より耐電力性の高い弾性表面波素子を実現することができる。
本発明の通信装置によれば、以上のような本発明の弾性表面波素子によって分波器が構成されていることによって、高い電力が入力される分波器においてもIDT電極の耐電力性が高いため、信頼性に優れた通信装置を提供することができる。
本発明における上述の、又はさらに他の利点、特徴及び効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の弾性表面波素子を分波器(SAW−DPX)に適用した場合の圧電基板の主面を示す平面図である。 IDT電極の電極指の断面の一例を示す断面図である。 IDT電極の電極指の断面の他の例を示す断面図である。 層厚の異なるチタンから成る第1の金属層上に、1質量%の銅を含むアルミニウム合金膜から成る第2の金属層を2000Åの層厚で成膜した場合のシート抵抗値の変化を示す線図である。 IDT電極の電極指の断面のさらに他の例を示す断面図である。 IDT電極の電極指の断面のさらに他の例を示す断面図である。 IDT電極の電極指の従来の結晶構造を示す斜視図である。 IDT電極の電極指の結晶構造の一例を示す斜視図である。 IDT電極の電極指の結晶構造の他の例を示す斜視図である。 本発明の弾性表面波素子を分波器として含む携帯電話機の高周波回路のブロック回路図である。
符号の説明
1:弾性表面波素子
2:圧電基板
3:IDT電極
4:接続電極
5:送信側フィルタの入力パッド部
6:送信側フィルタの出力パッド部
7:受信側フィルタの入力パッド部
8:受信側フィルタの出力パッド部
9:接地電極
10:環状電極
11:接地電極パッド部
12:送信側フィルタ領域(Txフィルタ)
13:受信側フィルタ領域(Rxフィルタ)
31a,31b,31c,31b’:第1の金属層
32a,32b,32c,32b’:第2の金属層
図1は、分波器(SAW−DPX)に適用される本発明の弾性表面波素子の圧電基板の主面(電極形成面のことをいう。本明細書では「表面」ともいう)を示す平面図である。
弾性表面波素子1には、圧電基板2の主面に送信側フィルタ領域(Txフィルタ)12(破線で囲んで示す。)及び受信側フィルタ領域(Rxフィルタ)13(破線で囲んで示す。)が設けられている。
このようにTxフィルタ12とRxフィルタ13を同一の圧電基板2上に形成して、小型化を図りつつ、アイソレーション特性が改善された小型のSAW−DPXとすることができるものとなっている。
各フィルタ12,13には、それぞれ複数の、励振電極であるIDT電極3及びIDT電極3間を接続する接続電極4を含む弾性表面波フィルタが形成されている。IDT電極3は、互いに平行するバスバー電極から、弾性表面波の伝搬方向に直交する方向に形成された、長い電極指を複数備え、これらの電極指を互いに歯合させた形状を有している。
5はTxフィルタ12の入力パッド部、6はアンテナへ接続されるTxフィルタ12の出力パッド部、7はアンテナへ接続されるRxフィルタ13の入力パッド部、8はRxフィルタ13の出力パッド部である。また、10はTxフィルタ12とRxフィルタ13 とを取り囲むように形成された四角枠状の環状電極である。環状電極10は、実装用基板(図示せず)の環状電極に半田等を用いて接続されることにより、弾性表面波フィルタの接地用の電極として機能する。それとともに、圧電基板2と実装用基板との間の空間を封止する役割を持つ。9は、環状電極10につながる接地電極である。
この弾性表面波素子1においては、Txフィルタ12及びRxフィルタ13の各IDT電極3を、弾性表面波の伝搬経路が重ならないように配置している。すなわち、Txフィルタ12及びRxフィルタ13のそれぞれのIDT電極3を弾性表面波の伝搬経路が平行となるように配置している。Txフィルタ12のIDT電極3から弾性表面波が漏れても、それをRxフィルタ13のIDT電極3で受けることがないので、アイソレーション特性は劣化しないものとなっている。
以上に説明した圧電基板2の主面を、実装用基板の上面に対向させて実装することにより、弾性表面波装置が構成される。
図2に、本発明の弾性表面波素子におけるIDT電極3の電極指1本の断面図を示している。
図2において、2は圧電基板であり、タンタル酸リチウム単結晶やニオブ酸リチウム単結晶や四ホウ酸リチウム単結晶等を用いることができる。
31a,31bは、チタンもしくはチタン合金又はクロムもしくはクロム合金から成る第1の金属層である。
32a,32bはアルミニウムもしくはアルミニウム合金又は銅もしくは銅合金又は金もしくは金合金から成る第2の金属層である。
IDT電極3の電極指は、これら第1の金属層31a,31b及び第2の金属層32a,32bを、圧電基板2の主面から上に、金属層31a,32a,31b,32bの順に4層積層して構成されている。
第1の金属層31a,31bを構成するチタンもしくはチタン合金には、いわゆる純チタン及びアルミニウム,銅,錫,ジルコニウム,バナジウム,ニッケル,コバルト,マンガン,クロム,モリブデン,シリコン,鉄,炭素,窒素,酸素等から選択した少なくとも1種類の元素を添加したチタン合金を用いることができる。クロムもしくはクロム合金には、いわゆる純クロム及びモリブデン,鉄,アルミニウム等から選択した少なくとも1種類の元素を添加したクロム合金を用いることができる。
これらの中でも、アルミニウムを添加したチタン合金又はクロム合金を用いると、膜中に欠陥の少ない第1の金属層31a,31bを得ることができるので、得られた第1の金属層31a,31bの抵抗率を小さくすることができる。それによって、電気抵抗による挿入損失が抑えられ、また、電気抵抗による発熱も抑えられるため、より耐電力性に優れたIDT電極とすることができる。
また、第2の金属層32a,32bを構成するアルミニウムもしくはアルミニウム合金には、いわゆる純アルミニウム及びゲルマニウム,銅,パラジウム,シリコン,リチウム,スカンジウム,ガリウム,ハフニウム,亜鉛,ジルコニウム,チタン,マグネシウム等から選択した少なくとも1種類の元素を添加したアルミニウム合金を用いることができる。銅もしくは銅合金には、いわゆる純銅及びアルミニウム,亜鉛,錫,ニッケル等を添加した銅合金を用いることができ、金もしくは金合金には、いわゆる純金及び銀,銅,ニッケル,パラジウム,白金,クロム,コバルト,マンガン,亜鉛等から選択した少なくとも1種類の元素を添加した金を用いることができる。
これらの中でも、アルミニウムもしくはアルミニウム合金を用いると、塩素系ガスを用いたRIEで加工できるため電極指の線幅を1μm程度以下の微細加工が容易である。
また、後に図8、図9で説明するように、第2の金属層32a,32bが多結晶である場合には、微量に銅やマグネシウムを添加したアルミニウム合金の方が純アルミニウムよりもマイグレーション耐性に優れており、より耐電力性の高いIDT電極を実現することができる。さらにまた、銅合金を用いる場合であれば、銅にアルミニウムを添加すると耐酸化性が改善されるため、より長期信頼性に優れたIDT電極を実現することができる。
以上のように、第1の金属層31a,31bに、第2の金属層32a,32bより抵抗率が大きい材料を用いている。
ここで、本発明の実施形態では、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aは、上層の第1の金属層31bよりも配向性が高くなるように形成している。ここで、「配向性」とは、「金属の任意の断面において、結晶方位が同一の方向を向いている程度」をいう。配向性は、X線回折や電子線回折の回折角の半値幅により定量することができる。
これにより、従来のような第1の金属層31aの配向性を考慮せずに第2の金属層32aを形成した場合に比べて、次のような利点がある。すなわち、第2の金属層32aが第1の金属層31aと接する面での結晶格子の乱れが小さくなるので、圧電基板2の表面に近い、第1の金属層31aの直上における第2の金属層32aの配向性を向上させることができる。
第2の金属層32aの配向性が高いことによって、第2の金属層32aのマイグレーション耐性が向上するので、その第2の金属層32aの耐電力性が強化され、従って、より高い耐電力性を備えたIDT電極を有する弾性表面波素子を実現することができる。
次に、IDT電極3の製造方法を説明する。
圧電基板2の表面に第1の金属層31a,31b及び第2の金属層32a,32bを形成するための成膜方法としては、スパッタリング法,電子ビーム蒸着法,イオンビームスパッタリング法等を用いることができる。
また、圧電基板2の表面に成膜した第1の金属層31a,31b及び第2の金属層32a,32bを、所定のIDT電極の形状にパターニングする方法としては、金属層の成膜後にフォトリソグラフィを行い、次いでRIEやイオンミリングやウェットエッチングを行う方法を用いればよい。又は、金属層の成膜前に圧電基板2の表面にレジストを形成しフォトリソグラフィを行って所望のパターンを開口した後、金属層を成膜し、その後、レジストを不要部分に成膜された金属層ごと除去するリフトオフプロセスを行ってもよい。
そして、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aにおける配向性を上層の第1の金属層31bにおける配向性よりも高いものとするには、成膜レート,成膜圧力,成膜時の基板温度等を調整すればよい。例えば第1の金属層の31aの成膜レートを速くすればよい。
この第1の金属層31a,31bにおける配向性は、例えばX線回折,電子線回折を行って得られた回折角の広がり、例えば回折角の半値幅により評価することができる。
このように、本発明の実施形態では、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aにおける配向性は、上層の第1の金属層31bにおける配向性よりも高いものとすることにより、その第1の金属層31aの直上の第2の金属層32aの配向性を、その上層の第2の金属層32bの配向性よりも高めることができる。それによって、第2の金属層32aのマイグレーション耐性が向上することから、第2の金属層32aにおける耐電力性を強化することができ、IDT電極の耐電力性を高めることができる。
また、この図2に示す例では第1の金属層31aと31bとの層厚、及び第2の金属層32aと32bとの層厚をそれぞれほぼ同じであるように示したが、それらはそれぞれ異なっていても構わない。
図3にIDT電極3の電極指の断面図を示す。図3に示すように、圧電基板2の表面に最も近い第2の金属層32aの層厚を上層の第2の金属層32bの層厚より小さくしている。この場合には、第2の金属層32 aのほうが、上層の第2の金属層32bより圧電基板2に近いため、第2の金属層32 aに印加される応力がより大きい。その第2の金属層32aの膜厚を薄くしたことにより、膜厚方向の結晶粒径を小さくすることができるため、IDT電極全体として見た場合の耐電力性をさらに向上させることができる。
今まで説明した電極構造では、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aの配向性を向上させることにより、その直上に位置する第2の金属層32aの配向性を向上させていたが、次のような構造を採用することもできる。
IDT電極の要部断面図は図2と同様であるが、この構造では、圧電基板2の表面に最も近い第2の金属層32aを、上層の第2の金属層32bより配向性が高くなるように形成している。
この例では、第2の金属層32aの成膜条件を最適化することにより、第1の金属層31aの配向性を考慮せずに、第2の金属層32aの配向性を向上させたものである。
このように第2の金属層32aの配向性を高いものとするための成膜条件としては、成膜レート,成膜圧力,成膜時の基板温度等を調整すればよい。例えば第2の金属層の32a,の成膜レートを速くすればよい。
配向性を高めて、マイグレーション耐性を向上させることができることから、第2の金属層32aにおける耐電力性を強化することができ、IDT電極の耐電力性を高めることができる。
なお、第1の金属層31aには第2の金属層32aより抵抗率が大きい材料を用いているため、IDT電極のうち電流が流れるのは主に第2の金属層32aである。IDT電極の電気抵抗をなるべく小さくするためには、IDT電極において第2の金属層32aの占める割合を大きくする方が望ましい。従って、IDT電極全体の耐電力性の向上は主に圧電基板2に近い第2の金属層32aの耐電力性を向上させることによって達成することができる。
これにより、従来のような第2の金属層32a,32bの配向性を考慮せずに成膜した場合に比べて、第2の金属層32a,32bのうち圧電基板2の表面に最も近い第2の金属層32aにおける配向性を上層の第2の金属層32bにおける配向性よりも向上させた結果、より高い耐電力性を備えたIDT電極を有する弾性表面波素子を実現することができる。
今まで説明したIDT電極では、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31a又は第2の金属層32aの配向性を向上させていたが、次のような構造を採用することもできる。
IDT電極の要部断面図は図1と同様であるが、この例では、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aを上層の第1の金属層31bよりも配向性が高くし、かつ、圧電基板に最も近い第2の金属層32aを上層の第2の金属層32bよりも配向性が高くなるように形成している。
このようにすることにより、第1の金属層31aの配向性を向上させた結果、その直上に成膜される第2の金属層32aの配向性を向上させやすくなり、広い範囲の成膜条件で高い配向性を得ることができるようになる。
これにより、従来のような第1の金属層31a,31b及び第2の金属層32a,32bの配向性を考慮せずに成膜した場合に比べて、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31a及び第2の金属層32aの配向性を向上させることができ、より高いマイグレーション耐性を得ることができるものとなる。従って、より高い耐電力性を備えたIDT電極を有する弾性表面波素子を実現することができる。
今まで説明したように、図2、図3の本発明の実施の形態では、第1の金属層31a,31bとしてチタンもしくはチタン合金を、第2の金属層32a,32bとしてアルミニウムもしくはアルミニウム合金を選択してIDT電極を形成している。
ところで、特許文献11には、図2に示す例に類似の構造で、第1の金属層31a,31bにチタンを用い、下層の第2の金属層32aにアルミニウムに固溶する元素と粒界に析出する又は金属間化合物を形成する元素とを同時に添加した3元以上のアルミニウム合金を用い、上層の第2の金属層32bには例えばアルミニウムに銅を添加した2元アルミニウム合金を用いた例が示されている。
これは、下層の第2の金属層32aにおいて、上層の第2の金属層32bに用いる2元合金に加えて3つ目の元素を添加することによって、圧電基板2に近いため大きな応力が印加される下層の第2の金属層32aの耐電力性を向上させたものである。
しかし、このような構成にすると、各層を成膜するために成膜材料を複数種準備する必要がある。
例えば、スパッタリング法で成膜を行う場合であれば、特許文献11の場合には、チタンターゲットと、3元以上のアルミニウム合金ターゲット(例えばAl−Mg−Cu合金ターゲット等)と、2元以上のアルミニウム合金ターゲット(例えばAl−Cu合金ターゲット等)との3種類のターゲットが必要となる。これらを用いてIDT電極を形成しようとすれば、量産性を考慮すると少なくとも3個のターゲットを搭載できる大掛かりなスパッタリング装置が必要となってしまうこととなる。
それに対して、本実施形態の弾性表面波素子におけるIDT電極を形成するには、第1の金属層31a,31bには同一の材料を用意し、第2の金属層32a,32bに同一の材料を用意すればよい。
量産に際しても少なくとも2個のターゲットを搭載できるスパッタリング装置があれば充分であるため、量産がより容易で経済的である。
また、アルミニウム合金においては添加元素量を増やすと耐電力性は向上するが抵抗率が大きくなってしまうことが知られているが、本発明によれば特に添加元素量を増やす必要は無いため、そういった抵抗率が大きくなるような不都合は起きない。
本発明の弾性表面波素子によれば、IDT電極の金属層を配向性が高いものとすることにより抵抗率を小さくすることができる。この抵抗率の減少について、図4を用いて説明する。
図4は、圧電基板上にチタンから成る第1の金属層を0〜500Åの範囲で層厚を変化させて成膜し、その上にアルミニウムに銅を1質量%添加したアルミニウム合金膜から成る第2の金属層を2000Åの層厚で成膜した際の、第2の金属層のシート抵抗の値の変化を調べた線図である。
図4において、横軸はチタンから成る第1の金属層の層厚[Ti層厚](単位:Å)を、縦軸はアルミニウム合金膜から成る第2の金属層のシート抵抗[Al合金膜のシート抵抗](単位:mΩ/sq.)を表しており、黒丸の点及び特性曲線はAl合金膜のシート抵抗の値の変化を示している。
この図4に示す結果から分かるように、Ti層厚が30Å未満の領域ではアルミニウム合金膜のシート抵抗は非常に高くなっている。Ti層厚が30〜80Åの範囲では極小となっており、80Åを超えるとある範囲の値でほぼ一定となっている。
また、この実験に用いたサンプルのアルミニウム合金膜における配向性についてX線回折を用いて評価したところ、Ti層厚が30Å未満の場合には、アルミニウム合金膜の結晶方位がほぼランダムであるという結果であった。
しかし、Ti層厚が30〜500Åの範囲では結晶方位の(111)面が配向していることが確認できた。中でも、Ti層厚が30〜80Åのときには、アルミニウム合金膜の結晶方位の(111)面を示すピークの半値幅が狭いものとなっていた。すなわち、Ti層厚が30〜80Åの場合に、アルミニウム合金膜における配向性が高いものであることが確認できた。
この結果から、アルミニウム合金膜の配向性とシート抵抗との間に相関があることが分かる。
さらに、本発明の弾性表面波素子におけるIDT電極の構成によれば、第2の金属層32aの配向性を向上させることによりIDT電極の低抵抗化が可能である。低抵抗であることによって抵抗による発熱が小さくなるため、より高い耐電力性を得ることができることが分かる。
以上の実験結果より、本発明の弾性表面波素子においてIDT電極を構成する第1の金属層31a,31bがチタンもしくはチタン合金であり、第2の金属層32a,32bがアルミニウムもしくはアルミニウム合金であるとき、次のことが分かる。
すなわち、第1の金属層31a,31bのうち圧電基板2に最も近い第1の金属層31aの層厚が30Å未満であるときには、第1の金属層31aは島状の非連続膜となっており、その直上の第2の金属層32aの配向性を高めることができないものとなる傾向がある。
また、第1の金属層31aの層厚が80Åを超えるときには、第1の金属層31aを構成する結晶粒が大きく成長してしまうため、第1の金属層31aの上面の平坦性が悪くなり、その直上の第2の金属層32aの配向性を高めることができなくなる傾向があることが分かる。
従って、第1の金属層31a,31bのうち圧電基板2に最も近い第1の金属層31aの層厚は、30〜80Åであることが好ましい。
また、アルミニウム合金については添加元素量を増やすとRIEでの加工時にエッチング残渣が残りやすいという問題があったが、本発明の弾性表面波素子におけるIDT電極によれば、アルミニウムもしくはアルミニウム合金に対して新たに添加元素量を増やす必要がないため、そういった問題は起こらない。従って、精度よく微細加工を行って所望の形状のIDT電極を形成することができる。
なお、次のような材料の変更も可能である。
図5に断面図で示すように、圧電基板2の表面に最も近い第2の金属層32aとその上層の第2の金属層32b’とで材料を変更しても構わない。このような材料の変更の例としては、第2の金属層32aにアルミニウムにマグネシウムを添加した合金を用い、その上層の第2の金属層32b’にアルミニウムに銅を添加した合金を用いるという組合せがある。
アルミニウムにマグネシウムを添加した合金は、耐マイグレーション性には優れているものの酸素が存在する環境ではマグネシウムがアルミニウムより酸化しやすいために、添加したマグネシウムが表面(電極膜と酸素を含む雰囲気との界面)に凝集し強固な酸化膜を形成してしまう。そこでIDT電極と外部の電極とを接続するための取り出し電極をIDT電極と同じ材料で形成し、その上にバンプ形成やワイヤーボンディングのためのクロムやアルミニウム,金等からなる積層体の積層を行った場合に、この積層体とアルミニウムにマグネシウムを添加した合金との界面の密着性が悪くなり、接触抵抗も大きくなってしまうという問題がある。
しかし、この例のように第2の金属層32b’にマグネシウムを含まない材料を用いることにより、このような問題を回避することができる。
また、図6に断面図で示すように、圧電基板2の表面に最も近い第1の金属層31aとその上層の第1の金属層31b’とで材料を変更しても構わない。このような材料の変更の例としては、第1の金属層31aにチタン又はチタン合金を用い、その上層の第1の金属層31b’にクロム又はクロム合金を用いるという組合せがある。
クロムはチタンに比べて抵抗率が小さいため、IDT電極全体の抵抗を小さくするためにはクロムを用いるのが好適だが、塩素系のガスを用いたRIEでIDT電極を加工する場合には、クロムのエッチングレートはチタンに比べて非常に遅い。そのため、圧電基板2の面内である程度の膜厚分布を持った金属層を加工する場合に、圧電基板2の面内の全面にわたって圧電基板2直上の第1の金属層31aをエッチングしようとすると、もともと膜厚の薄い部分のエッチングが先に終了し、その場所では圧電基板2全面でエッチングが終了するときにはその部分でかなりオーバーエッチングが進み、圧電基板2自体にダメージを与えてしまうといった現象が発生することがある。
そこで、この例のように第1の金属層31aをチタンによって形成することによって、圧電基板2へのダメージを比較的小さくすることができる。
次に、IDT電極を構成する金属が多結晶である場合の結晶構造を説明する。
ここで、図7は従来の弾性表面波素子におけるIDT電極の結晶構造を説明するための図である。電極指の1本のみを図示している。
IDT電極3は金属の大小の結晶粒Pにより形成され、かつその結晶粒径はIDT電極3の表面に近づくほど大きくなっている。また、圧電基板2とIDT電極3との界面から、IDT電極3の表面までの結晶粒界Bは、多数が網目状に連続的に存在している。
金属原子のマイグレーションは、結晶粒界Bにおいて未結合手が多く存在するために、原子が移動するためのエネルギーが小さくてすむために起き易くなることは、前述の通りである。
図7の構造では、マイグレーションの発生し易い結晶粒界Bが、IDT電極3の膜厚方向に比べて、圧電基板2の表面と平行な方向に多数存在していることで、これら主面方向の結晶粒界Bに沿ってIDT電極3の側面に移動してきた金属原子がヒロックの原因となり、IDT電極3の耐電力性を低下させる要因となっている。
これに対し、図8に、本発明の弾性表面波素子におけるIDT電極の結晶構造図を示す。
図8によれば、第2の金属層32a,32bにおいて、それらの層の上面から下面にわたって結晶粒Pが連続して形成されている。各金属層32a,32bが多数の金属の結晶粒Pにより形成される点は従来の弾性表面波素子と同様であるが、結晶粒Pの形状が従来とは異なっている。
すなわち、第2の金属層32aにおいて、圧電基板2の表面の直上に形成された大きさのまま、第2の金属層32aの上面まで結晶粒Pを柱状に成長させた形状となっている。
第2の金属層32bにおいても、第2の金属層32bの下面から上面まで結晶粒Pを柱状に成長させた形状となっている。
このような結晶構造とすることで、マイグレーションの発生し易い結晶粒界Bが存在するものの、柱状の結晶粒Pが並んだ構造のため、IDT電極3の内側から側面へと連続する結晶粒界Bの密度が低くなっている。
従って、IDT電極3の内側から結晶粒界Bに沿って側面に移動してくる金属原子が少なくなることから、ヒロックの発生を低減することができ、耐電力性を向上させることができる。
また、金属層の電気抵抗の大きな要因として、結晶粒界Bによる電子の散乱が挙げられるが、本発明の弾性表面波素子においては、IDT電極3に関して結晶粒Pが柱状結晶構造となっているため、従来の弾性表面波素子におけるIDT電極と比べて、結晶粒界Bの密度を低減することができ、電気抵抗を小さくすることもできる。これにより、弾性表面波素子の電気抵抗に起因する通過帯域内の挿入損失を低減することができ、また、耐電力寿命を短くする一因となる電気抵抗による発熱が小さくなるため、より高い耐電力性を得ることができる。
IDT電極3における結晶構造を、IDT電極3の厚み方向に対してその下面から上面にわたって柱状の結晶粒Pを形成するには、例えば成膜レート,成膜圧力,成膜時の基板温度を、従来より成膜時のプラズマへの入力パワーを大きくし、成膜レートを速くする等の調整を行って適正化すればよい。
なお、このようなIDT電極3における結晶構造は、例えば透過電子顕微鏡による観察によって評価することができる。
図9に本発明の弾性表面波素子におけるIDT電極の実施の形態の他の例を説明図で示す。
図8の例では、IDT電極3の金属層を形成する結晶粒Pが、金属層の下面から上面にわたるまで細長い柱状の形状で形成されるものであった。
しかしこの図9の構造では、さらなる耐電力性の向上を図るために、結晶粒Pの大きさが、金属層の厚み方向よりも、圧電基板の主面と平行な方向に大きいものが多く存在するものとしている。ここで言う「多く存在する」とは、その層に占める、金属層の厚み方向よりも圧電基板の主面と平行な方向に大きな結晶粒の体積の合計が、金属層の厚み方向よりも圧電基板の主面と平行な方向に小さな結晶粒の体積の合計より大きいことを意味する。もし、金属層の厚み方向よりも圧電基板の主面と平行な方向に小さい結晶粒が無い場合には、金属層の厚み方向よりも圧電基板の主面と平行な方向に大きい結晶粒が最も多い状態となる。
金属層を形成する結晶粒Pを、厚み方向よりも圧電基板の主面方向に大きいものを多く存在させることで、マイグレーションの起こりやすい結晶粒界Bの密度をさらに低減することができ、耐電力性をさらに向上させることができる。
なお、図9に示す例では、第1の金属層31a,31b,31cの間に、第2の金属層32b,32cを中間層として2層挿入している。つまり第1の金属層が3層、第2の金属層が3層、合計6層の構成となっている。
この例のように、IDT電極における第1及び第2の金属層の総積層数が4層の例だけでなく、さらに第1の金属層を積層した5層の構成や、その上に第2の金属層を交互に積層した6層以上の構成とすると、同じ金属材料を用いてIDT電極をほぼ同じ膜厚で構成する場合には、層数を多くして各層の結晶粒を小さくする方がマイグレーション耐性を高めることができる。
ただし、IDT電極全体の膜厚に占める第1の金属層の割合が大きくなるにつれて、IDT電極の電気抵抗が大きくなり、挿入損失が増加し抵抗による発熱が大きくなるため耐電力性も低下するので、適当な積層数の上限が存在する。
図9に示すように、IDT電極における第1及び第2の金属層の総積層数を6層とすると、耐電力性に優れ、しかも電気抵抗も比較的小さく、微細加工も比較的容易な、特性及び信頼性に優れたIDT電極を有する弾性表面波素子とすることができる。
次に、本発明の通信装置の実施形態について、携帯電話機を例にあげて説明する。
受信回路又は送信回路の一方又は両方を備える通信装置において、本発明の弾性表面波素子を、これらの回路に含まれる分波器のバンドパスフィルタとして用いることができる。
図10に、携帯電話機の高周波回路のブロック回路図を示す。
携帯電話機から送信される高周波信号は、弾性表面波フィルタ41によりその不要信号が除去され、パワーアンプ42で増幅された後、アイソレータ43と本発明の弾性表面波素子を含む分波器35を通り、アンテナ34から放射される。
また、アンテナ34で受信された高周波信号は、本発明の弾性表面波素子を含む分波器35で切り分けられ、ローノイズアンプ36で増幅され、弾性表面波フィルタ37でその不要信号を除去された後、アンプ38で再増幅されミキサ39で低周波信号に変換される。
以上のように耐電力性が高く、信頼性にも優れたIDT電極を有する本発明の弾性表面波素子を、高電力の高周波信号が入力される分波器35に適用することにより、耐電力性及び信頼性に優れた本発明の通信装置を提供することができる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
例えば、図1ではラダー型フィルタを構成した場合の例を示したが、本発明はフィルタの構造を限定するものではなく、DMS型やIIDT型のフィルタを用いてもよい。また、入出力パッドの配置も図1に示した例に限定されるものではなく、入出力パッドが圧電基板の対角上に位置するように配置されていても構わない。
38.7°YカットX伝搬タンタル酸リチウム単結晶基板から成る圧電基板2(基板厚みは250μm)の主面に、スパッタリング法により基板側からTi(第1の金属層31a)/Al−1質量%Cu(第2の金属層32a)/Ti(第1の金属層31b)/Al−1質量%Cu(第2の金属層32b)からなる4層の導体層を成膜した。層厚はそれぞれ6nm/209nm/6nm/209nmである。
成膜は圧電基板2直上のTi層(第1の金属層31a)及びその直上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層32a)の配向性が高くなるように、従来よりも成膜時のプラズマへの入力パワーを大きくし成膜レートを速くする等の最適化した条件で行った。
本実施例における成膜条件を具体的に説明すると次のようになる。Ar流量100sccm、成膜圧力0.25Paで、Ti成膜時の入力パワーは800W、Al-Cu成膜時の入力パワーは3kWとした。ただし、成膜条件の最適値については装置やターゲットの使用状態に依存するところが大きいため、この成膜条件は不変的なものではなく、使用する成膜装置および装置内の状態に合わせて、最適な成膜条件を決定する必要がある。本実施例では、第1の金属層31aと第1の金属層31b、また、第2の金属層32aと第2の金属層32bは、それぞれ同じ成膜条件で成膜したが、それぞれの成膜条件は第1の金属層31aおよび第2の金属層32aに対して最適化したため、後述するように第1の金属層31aおよび第2の金属層32aの配向性の方が、第1の金属層31bおよび第2の金属層32bの配向性より高くなった。
次に、この導体層をフォトリソグラフィとRIEとによりパターニングして、それぞれ図1に示すようにIDT電極3と入力パッド部5,7と出力パッド部6,8とを具備する送信側フィルタ領域12及び受信側フィルタ領域13ならびに環状電極10を有する多数の弾性表面波素子領域を形成した。このときのエッチングガスにはBCl及びClの混合ガスを用いた。IDT電極3を形成する電極指の線幅及び隣り合う電極指間の距離はどちらも約1μmである。
次に、入力パッド部5,7及び出力パッド部6,8及び接地電極パッド部11及び環状電極10の上に新たなCr/Ni/Auからなる導体層を積層して、入力パッド部5,7上及び出力パッド部6,8及び接地電極パッド部11上にそれぞれ入力パッド及び出力パッドを形成した。この新たな導体層の厚みはそれぞれ10nm/1000nm/100nmである。なお、この環状電極10は弾性表面波素子1を気密封止するためのものである。
次に、圧電基板2を弾性表面波素子領域毎にダイシングによって分離して多数個の弾性表面波素子1を得た。作製した弾性表面波素子1のIDT電極3にFIB(Focused Ion Beam)加工を行って薄片サンプルを作製し、電子線回折を行うことによってIDT電極3の各層の配向性を調べた。その結果、圧電基板2直上のTi層(第1の金属層31a)及びその直上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層32a)の方が、それぞれその上層に積層したTi層(第1の金属層31b)及びその上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層32b)より配向性が高くなっていることが確認できた。また、IDT電極3にFIB(Focused Ion Beam)加工を行ってIDT電極3の断面を作製し、その面に対してEBSD(Electron BackScatter Diffraction)法を用いた分析を行うことによっても、同様に配向性の違いを確認することができた。
また、比較例として、同じ材料を用いたが従来のように各金属層の配向性を考慮せずに成膜を行った弾性表面波素子のIDT電極についても同様の評価を行ったところ、圧電基板2直上のTi層(第1の金属層)及びその直上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層)とそれぞれその上層に積層したTi層(第1の金属層)及びその上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層)とで配向性は同程度であり、上記の本発明の実施例における上層のTi層(第1の金属層31b)及びその上のAl−1質量%Cu層(第2の金属層32b)と同程度であった。
次に、本発明の実施例及び比較例の弾性表面波素子1をそれぞれLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板からなる実装用基体上に主面を対面させて実装した。
ここで、LTCC基板は圧電基板2の主面に形成した環状電極10に対応する基体側環状電極及び弾性表面波素子1の入出力パッドと接続されるパッド電極を有しており、予めこれら基体側環状電極及びパッド電極には半田を印刷しておいた。これに弾性表面波素子1を実装するにおいては、これら半田パターンに一致するように弾性表面波素子1を配置して超音波を印加することにより仮固定し、その後、加熱することにより半田を溶融することによって環状電極10と基体側環状電極とを、及び入出力パッドとパッド電極とを接続した。これにより、弾性表面波素子1のIDT電極3及び入出力パッドは、LTCC基板の基体側環状電極とこれに接続された環状電極10とによって完全に気密封止された。なお、弾性表面波素子1の実装工程は窒素雰囲気下で行った。
次に、樹脂モールドを行い、弾性表面波素子1の他方主面(裏面)をモールド樹脂で保護し、最後に実装用基体を各弾性表面波素子間でダイシングすることにより、本発明の実施例及び比較例の弾性表面波装置を得た。
このようにして作製した本発明の実施例と比較例とについて、電気特性を評価したところ、どちらもほぼ同様の特性が得られたが、本発明の実施例の方が、若干挿入損失が小さかった。また、耐電力試験を行ったところ、本発明の実施例の方が同じ雰囲気温度で同じ周波数の同じ電力を印加したときの寿命が平均して比較例の4倍程度となって、本発明の実施例では大幅に改善されていることが確認できた。
38.7°YカットX伝搬タンタル酸リチウム単結晶基板から成る圧電基板2(基板厚みは250μm)の主面に、スパッタリング法により基板上にAl−1質量%Cuからなる金属層を成膜した。層厚は390nmである。この成膜は、圧電基板2上のAl−1質量%Cuからなる金属層の厚み方向に対して、上面から下面にかけて1つの結晶粒のみが集まったものにより形成されるように、従来より成膜時のプラズマへの入力パワーを大きくし成膜レートを速くする等の適正化した条件で行った。
本実施例における成膜条件は、Ar流量100sccm、成膜圧力0.25Paで、Ti成膜時の入力パワーは800W、Al-Cu成膜時の入力パワーは3kWとした。ただし、成膜条件の最適値については装置やターゲットの使用状態に依存するところが大きいため、この成膜条件は不変的なものではなく、使用する成膜装置および装置内の状態に合わせて、最適な成膜条件を決定する必要がある。
次に、この金属層をフォトリソグラフィとRIEとによりパターニングして、それぞれ図1に示すようにIDT電極3と入力パッド部5,7と出力パッド部6,8とを具備する送信側フィルタ領域12及び受信側フィルタ領域13、ならびに環状電極10を有する多数の弾性表面波素子領域を形成した。このときのエッチングガスにはBCl及びClの混合ガスを用いた。IDT電極3を形成する電極指の線幅及び隣り合う電極指間の距離はどちらも約1μmである。
次に、入力パッド部5,7及び出力パッド部6,8及び接地電極パッド部11及び環状電極10の上に新たなCr/Ni/Auからなる導体層を積層して、入力パッド部5,7上及び出力パッド部6,8及び接地電極パッド部11上にそれぞれ入力パッド及び出力パッドを形成した。この新たな導体層の厚みはそれぞれ10nm/1000nm/100nmである。なお、この環状電極10は弾性表面波素子1を気密封止するためのものである。
次に、圧電基板2を弾性表面波素子領域毎にダイシングによって分離して、多数個の弾性表面波素子1を得た。作製した弾性表面波素子1のIDT電極3にFIB(Focused Ion Beam)加工を行って薄片サンプルを作製し、透過電子顕微鏡観察を行うことによってIDT電極3を形成する結晶粒Pの形状を調べた。その結果、圧電基板2上のAl−1質量%Cuからなる金属層において、金属層の厚み方向に対してその上面から下面にわたる1つの結晶粒のみが連続したものにより形成されていることが確認された。これは図8の説明図とほぼ類似の結晶構造であった。
また、比較例として、同じ材料を用いたが従来と同様に結晶粒の形状を考慮せずに金属層の成膜を行った弾性表面波素子のIDT電極についても同様の評価を行ったところ、圧電基板2上のAl−1質量%Cuからなる金属層において、圧電基板2とIDT電極との界面からIDT電極の表面までの結晶粒界Bは多数の網目状に連続的に存在し、かつその結晶粒径もIDT電極の表面に近づくほど大きくなっていた。これは図7の説明図とほぼ類似の結晶構造であった。
次に、本発明の実施例の弾性表面波素子1及び比較例の弾性表面波素子をそれぞれLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板からなる実装用基体上に主面を対面させて実装した。ここで、LTCC基板は圧電基板2の主面に形成した環状電極10に対応する基体側環状電極及び弾性表面波素子1の入出力パッドと接続されるパッド電極を有しており、予めこれら基体側環状電極及びパッド電極には半田を印刷しておいた。これに弾性表面波素子1を実装するにおいては、これら半田パターンに一致するように弾性表面波素子1を配置して超音波を印加することにより仮固定し、その後、加熱することにより半田を溶融することによって環状電極10と基体側環状電極とを、及び入出力パッドとパッド電極とを接続した。これにより、弾性表面波素子1のIDT電極3及び入出力パッドは、LTCC基板の基体側環状電極とこれに接続された環状電極10とによって完全に気密封止された。なお、弾性表面波素子1の実装工程は窒素雰囲気下で行った。
次に、樹脂モールドを行い、弾性表面波素子1の他方主面(裏面)をモールド樹脂で保護し、最後に実装用基体を各弾性表面波素子間でダイシングすることにより、本発明の実施例の弾性表面波素子1及び比較例の弾性表面波素子を用いた弾性表面波装置を得た。
このようにして作製した本発明の実施例と比較例とについて、電気特性を評価したところ、どちらもほぼ同様の特性が得られたが、本発明の実施例の方が、挿入損失が若干小さかった。また、耐電力試験を行ったところ、本発明の実施例の方が同じ雰囲気温度(50℃)で同じ周波数(通過帯域の中心周波数)の同じ電力(2W)を印加したときの寿命(IDT電極が破壊に至るまでの時間)が比較例に対して、平均して10倍程度向上し、本発明の実施例では大幅に耐電力性が改善されていることが確認できた。

Claims (9)

  1. 圧電基板と、
    該圧電基板上に、チタンもしくはチタン合金又はクロムもしくはクロム合金から成る複数の第1の金属層と、アルミニウム合金から成る複数の第2の金属層とが、それぞれ一層ずつ交互に積層されて形成された電極によって構成されたIDT電極とを具備し、
    前記圧電基板の表面に最も近い前記第1の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第1の金属層における配向性よりも高く、
    前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層の厚みが、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層の厚みより小さく、且つ、前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層における配向性よりも高
    前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層がアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミニウム合金であり、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層がアルミニウムに銅を添加したアルミニウム合金である弾性表面波素子。
  2. 前記第1の金属層がチタンもしくはチタン合金である請求項1記載の弾性表面波素子。
  3. 記第1の金属層の前記圧電基板の表面に最も近い層の層厚が30〜80Åである請求項2記載の弾性表面波素子。
  4. 前記第2の金属層は、圧電基板の表面に遠い面から、圧電基板の表面に近い面にわたって、結晶粒が連続して形成されている請求項1記載の弾性表面波素子。
  5. 圧電基板と、
    該圧電基板上に、チタンもしくはチタン合金又はクロムもしくはクロム合金から成る少なくとも1つの第1の金属層と、アルミニウム合金から成る複数の第2の金属層とが、それぞれ一層ずつ交互に積層されて形成された電極によって構成されたIDT電極とを具備し、
    前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層の厚みが、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層の厚みより小さく、且つ、前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層における配向性が、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層における配向性よりも高
    前記圧電基板の表面に最も近い前記第2の金属層がアルミニウムにマグネシウムを添加したアルミニウム合金であり、それより前記圧電基板の表面から離れた前記第2の金属層がアルミニウムに銅を添加したアルミニウム合金である弾性表面波素子。
  6. 前記第1の金属層がチタンもしくはチタン合金である請求項5記載の弾性表面波素子。
  7. 記第1の金属層の前記圧電基板の表面に最も近い層の層厚が30〜80Åである請求項6記載の弾性表面波素子。
  8. 請求項1記載の弾性表面波素子を分波器として用いた通信装置。
  9. 請求項5記載の弾性表面波素子を分波器として用いた通信装置。
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