JP4686094B2 - 熱可塑的に成形可能な自己強化ポリ(メト)アクリレートシート、該シートの製造方法および該シートで製造されたサニタリー製品 - Google Patents

熱可塑的に成形可能な自己強化ポリ(メト)アクリレートシート、該シートの製造方法および該シートで製造されたサニタリー製品 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、ポリ(メト)アクリレートから製造された熱可塑的に成形可能な自己強化シート、この型のポリ(メト)アクリレートシートを製造するための方法、ならびにこれらの半製品シートから製造されてもよい浴槽、シャワートレイまたは洗面器のようなサニタリー製品に関する。
【0002】
本発明は、特に、ポリ(メト)アクリレートから製造され、かつ、その充填剤含量で異なる少なくとも2つの層を有する熱可塑的に成形可能な自己強化シートに関し、その際、充填剤含量は、それぞれの層の総重量に対する補強充填剤の百分率比である。
【0003】
前記のポリアクリレートシートは、特にサニタリー製品、例えば浴槽、シャワートレイまたは洗面器の製造に使用される。
【0004】
原則として、サニタリー製品は少なくとも4工程を有する多段階製造工程によって製造される。最初に、アクリルシートが製造され、その後に熱成形される。しかしながら、成形体の機械的強度が不十分であるために、ガラス繊維/スチレン混合物の噴霧によって、補強層を成形体の裏側に塗布しなければならない。木材シートはしばしばこれらの基板領域の補強のために挿入され、さらに補強はガラス繊維を含有する樹脂材料を噴霧塗布することによって確実にされる。
【0005】
補強の後に、はみ出したガラス繊維は裏材料にひろげられる(roll in)。これらの操作の後に得られるサニタリー製品は、補強層を重合させるためにアニールされなければならない。
【0006】
この方法の欠点は、任意の型の裏打ち工程中の、種々の労力集約的操作および望ましくない溶剤の流出、さらにはガラス繊維の取り扱いであり、この場合、これは本質的に主要な危険性を伴う。最終的に、種々のプラスチック成分および補強材料とプラスチックを含有する材料混合物の処理は、サニタリー製品の乏しい再利用性を招く。
【0007】
WO98/45375=PCT/EP98/01881の方法は、これに関連する欠点を回避するためのいくつかの方法を記載している。この刊行物によれば、補強層は、冷却−硬化された(メト)アクリレート樹脂から成り、この場合、これは、100μm以下の粒径を有する微細な充填剤1〜75重量%を含有している。これは、完全に再利用可能なサニタリー製品を可能にし、かつ、任意の繊維充填剤、たとえばアスベストまたはチョップトグラス繊維を使用することがないにもかかわらず、要求される機械的性質を有している。しかしながら、噴霧工程による補強層の塗布は、少なくとも従事者の安全性、特に、操作者の健康面での危険性の点で、全く問題のないものではない。
【0008】
WO97/46625=PCT/GB97/01523(ICI)では、噴霧塗布された(メト)アクリレート系を硬化させるための水性レドックス系を用いて、労力および操作者の危険性を減少させることを提案している。これは、噴霧工程中の溶剤(エチルメチルケトン、他のケトン類および有機溶剤等)の悪影響を減少させるけれども、この減少は極めてわずかなものであり、それというのも使用されるべき硬化剤の量は結合剤成分と比較してほとんどわずかなものであるからである。さらに、噴霧自体が、危険性を全く含まない操作ではない。例えば、(メト)アクリレート樹脂の比較的揮発性の重合可能な成分の噴霧中に回避不可能な極めて微細な分散液が生じることを挙げるべきであろう。MMAおよび他のモノマーのMAC値は、実際にはかなり低く、かつ、たとえば、他の方法による処理中よりも噴霧工程中においてより迅速に達成される。補強層の後噴霧または後塗布を省略可能であることは特に望ましい。
【0009】
本明細書中で挙げられ、かつ論じられた従来技術の点から、本発明の目的は、ポリ(メト)アクリレートから製造されたシート(シート状の半製品)を提供することであり、これから、前記の詳細で記載されたサニタリー製品が、可能な限り低い製造コストで製造できる。
【0010】
ポリ(メト)アクリレートから製造された完全に再利用可能な強化シート(“アクリルシート”)を提供することは同様に本発明の目的である。
【0011】
本発明の他の目的は、半製品シートの製造方法であり、さらにはサニタリー製品の製造方法であり、この場合、これは可能な限り低い流出(溶剤、揮発性物質および有害物質、例えばモノマー等)によって実施される。
【0012】
したがって、半製品は、通常の工業的製造方法による製造および処理が可能でなければならない。
【0013】
また、本発明の他の目的は、完全に再利用可能な成形体、好ましくはシャワートレイまたは洗面器の提供であり、この場合、これは、操作者に対する任意の危険性がないかぎりは、特にアクリルシートのための公知の解重合方法を用いて、金属浴によって、完全に再利用可能である。
【0014】
本発明の他の目的は、シートの形状の半製品を提供することであり、これから製造されたサニタリー製品、好ましくはシャワートレイまたは洗面器は、まさにこの型のサニタリー製品の安定性に関する一般的な要求を、可能な限り原料をセーブ(saving)しつつ満たすものである。
【0015】
また、サニタリー製品中のクラックの形成、特にポリ(メト)アクリレートシート(半製品)の高性能成形中の危険性は、可能な限り低い程度に抑制されるべきである。
【0016】
他のさらなる目的は、可能な限り良好な衝撃強度を有するポリ(メト)アクリレートシートの形での半製品を提供することである。
【0017】
また、新規の半製品およびこれから製造されてよい新規のサニタリー製品(成形体)の双方は、可能な限り簡単に製造されるべきである。
【0018】
さらに、流れに沿った手動操作の範囲は、最小限に減少されるべきである。
【0019】
最終的には、(自己)強化されたポリ(メト)アクリレートシートから成形体を製造するための方法は、可能な限り高い程度で自動化され、かつ簡単な方法で、無駄な部分なく実施される。
【0020】
特に重要な他の点は、強化ポリ(メト)アクリレートシートから製造されるサニタリー製品の提供であり、この場合、このシートは、一つまたは多数、あるいはすべてのこのような機械的パラメーター、たとえば、耐摩擦性、曲げ強度(成形されたアクリルシートの内側(上面)で測定されたもの)、曲げ強度(裏側(下面)で測定されたもの)、弾性率、衝撃強度(成形されたアクリルシートの内側または上面で測定されたもの)、衝撃強度(裏側で測定されたもの(従来技術の“被覆面”に相当する))に関して高いか、および/または改善された値を有する。
【0021】
請求項1の特徴のすべてを有する、成形用熱可塑性自己強化ポリ(メト)アクリレートシートは、前記目的と一緒に、序文での従来技術の記載から簡単に推測することができる他の目的か、またはこれによって自明であるとみなされる他の目的を達成することができるが、しかしながら、これらは詳細には示されていない。
【0022】
本発明の半製品の有利な実施態様は、生成物の独立請求項に従属する請求項によって提供される。
【0023】
方法に関して、方法の独立請求項の特徴により、本発明が基とする問題が解決される。方法の有利な変法は、生成物の独立請求項に従属する製造方法の請求項によって保護されている。
【0024】
サニタリー製品に関して、適切な請求項は、本明細書が基とする問題の解決策を提供するものであり、かつ、有利な実施態様は、この生成物の請求項に従属する請求項の主題である。
【0025】
ポリ(メト)アクリレートから製造され、かつその充填剤含量で異なる少なくとも2つの層を有し、その際、高い充填剤含量を有する破断点伸びと、低い充填剤含量を有する破断点伸びとの比が1.5未満であるシートを提供し、この場合、このポリ(メト)アクリレートシートから、たとえば、自体公知の熱支援型(heat-assisted)成形工程によって、サニタリー製品が製造されてもよく、この場合、これは、サニタリー製品の物理的特性上において、標準的規格および工業的加工装置によって生じるすべての要求を含む良好なコンプライアンスを与える。さらに、これらは他の多くの利点を有する。
【0026】
これらは以下のことを含む:
自体公知の解重合、特にアスベスト繊維またはガラス繊維のポリエステルの使用を回避することによって十分な再利用性が得られる(ポリエステル樹脂、アスベスト、ガラス繊維の不含)。
【0027】
製造中の裏打ちを必要としない、すなわち、サニタリー製品成形後の補強層の塗布を必要とせず、かつ、結果としてさらに製造方法が自動化される。
【0028】
要求されるレベルを超えて、DIN EN198に関する機械的特性(成形能力(shaping capability)、衝撃強度、剛性)での良好なコンプライアンスが得られる。
【0029】
要求されるレベルを超えて、DIN ISO 179に関する機械的特性(衝撃強度)での良好なコンプライアンスが得られる。
【0030】
要求されるレベルを超えて、DIN ISO 178に関する機械的特性(曲げ強度)での良好なコンプライアンスが得られる。
【0031】
要求されるレベルを超えて、DIN ISO 4624に関する機械的特性(引張接着強さ)での良好なコンプライアンスが得られる。
【0032】
圧力下での成形体の高い強度および2層のポリ(メト)アクリレートシート間の結合の優れた耐久性が得られる。
【0033】
市販の機械および系が、半製品(ポリ(メト)アクリレートシート)およびサニタリー製品の製造中で使用されてもよく、したがって、高価かつ専門的な成形装置の使用は、大体において省略されてもよい。
【0034】
ポリ(メト)アクリレートシート、すなわち、半製品からのサニタリー製品の製造中で溶剤の不含は、応力亀裂の危険性を最小限にする。アクリルシートから製造された成形体に対する裏打ちは、DIN EN 198の温度サイクル試験において、最終的な補強層中で特に応力亀裂の傾向がある場合には、場合によっては溶剤含有系が使用される。
【0035】
高い充填剤含量を有する層中での一定の充填剤の使用によって、本発明のサニタリー製品の機械的および物理的特性が著しく改善される。
【0036】
本発明の目的に関して、自己強化ポリ(メト)アクリレートシートまたはポリ(メト)アクリレートから製造された自己強化シートは、その充填剤含量で異なる少なくとも2つの層を有する。
【0037】
シートの用語は、それぞれ丸状、角状または半円状であってもよいシート様構造を示すものとされる。“自己強化”の用語は、“強化”および“自己”の用語を組み合わせたものである。本明細書中で“強化”は、比較可能なシート上の機械的特性の改善に関するが、しかしながら、高い充填剤含量の層を有するものではない。測定することができる一つの方法は、DIN 53457に関する弾性率によるものである。本明細書中の弾性率の任意の増加は、強化とされるべきである。“自己”の用語は、シートを成形しサニタリー製品を得るためにシートを成形した後に、任意の“補強”を使用する必要ではないことを意味するものである。むしろ、“自己強化”シートは、日常的使用に適したサニタリー製品を成形する場合に、付加的な補強が不要であってもよい。
【0038】
本発明によれば、ポリ(メト)アクリレートシートは、その充填剤含量が異なる少なくとも2つの層を含有していなければならない。充填剤含量はそれぞれの層の総重量に対する補強充填剤の百分率比(重量%)である。補強充填剤の他に、本質的に非補強充填剤、たとえば、有色顔料または他の自体公知の添加剤を使用することが可能である。しかしながら、これらは、補強充填剤重量を設定するための補強充填剤含量の測定の場合のみならず、それぞれの層の総重量を設定する場合にも考慮しない。高い充填剤含量を有する層と低い充填剤含量を有する層との比は、充填剤の重量に対して、好ましくは2を上廻り、特に好ましくは4を上廻りおよび極めて好ましくは8を上廻るかあるいは16を上廻る
【0039】
低い充填剤含量を有する層の充填剤含量は、一般には、層の総重量に対して、0〜20重量%未満であるが、その一方で、高い充填剤含量を有する層の充填剤含量は、一般には、より高いかまたは高い補強充填剤含量を有する層の総重量に対して、20〜80重量%である。
【0040】
一つの特に有利な変法は、低い充填剤含量を有する層が、全く補強充填剤を含まないことを提供する。この方法は、特に、たとえば、サニタリー製品用アクリルシート中で好ましい高光沢性の表面を提供する上で特に好結果である。
【0041】
充填剤は、本質的にポリ(メト)アクリレートマトリックスとは異なる構造および組成物の固形添加剤である。これらは、無機材料または有機材料であってもよい。
【0042】
シートの形状の半製品中に存在する充填剤の種類、形状および量は、特定の好ましい適用に依存して広範囲で変更されてもよい。自己強化半製品の製造中で、有利に使用されてもよい充填剤は、滑石、ドロマイト、滑石およびドロマイトの天然に産する付着物、雲母、石英、緑泥石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、粘土、二酸化珪素、珪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫化物、金属酸化物、粉末ガラス、ガラスビーズ、セラミックス、カオリン、ポーセレン、クリストバライト、長石、チョーク、炭素および/または不活性ガス充填中空微粒子を含む。
【0043】
また、原則として、シラン処理された充填剤のグレードが好ましいが、それというのも、シラン処理によって達成可能なマトリックスに対する接着は、シラン処理されていない充填剤よりも良好であるためである。
【0044】
充填剤の型中で、特に重要であるのは雲母、緑泥石、石英を含有する鉱物、たとえば、ナインチ社(Naintsch)からの(R)Plastoritグレード 、ナインチ社からのBC マイクログレード、滑石−ドロマイト合着物、特に白滑石/純粋なドロマイトの合着物、ドルフナー社(Dorfner)からの(R)DORSILIT結晶石英粉末、スタウス社(Stauss)、St.Poeltenからの(R)SIL−CELL微孔性添加剤組み合わせ物、3M社からの(TM)Scotchlite中空ガラスマイクロビーズ、ピアーズ&スティーブンズ社(Pierce & Stevens Corp.)からの(TM)Dualite中空ポリマーマイクロビーズ、PQ社(PQ Corporation)からの(R)Extendshperes XOL 中空マイクロスフェアおよびナバルテク社(Nabaltec)からの(R)Apyral(水酸化アルミニウム)グレードである。
【0045】
微粒子に関しては、広範囲のこれらの変更で使用されてもよい。原則として、これらは規則的かまたは不規則であってもよい中空粒子であるが、しかしながら、好ましくは球顆粒状かまたは球状であり、かつ、その空洞中に不活性ガスを有しているものである。
【0046】
使用されてもよい中空マイクロビーズは、原則として、種々の材料、たとえばガラス、金属、金属酸化物、ポリマーまたは有機化合物から製造される中空マイクロビーズを含む。
【0047】
本発明に関して、プラスチックから製造され、かつポリマー、たとえばポリスチレン、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレートから成る中空マイクロビーズが好ましく;他の好ましい中空マイクロビーズは、挙げられたコポリマーを形成するモノマーを基にしたコポリマーまたはターポリマーから製造されるものである。
【0048】
実際に中空ビーズを形成する前記ポリマーおよびコポリマーの例は、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ポリビニリデン、塩化アクリロニトリル−塩化ビニリデンコポリマー、アクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン−塩化ビニリデンコポリマー等である。
【0049】
また、本発明の目的に関して、中空マイクロビースの混合物を使用することが好ましい。
【0050】
本発明にしたがって使用されてもよい中空マイクロビーズまたは中空微粒子は、処理特性を適応させるかまたは補強特性を変化させるための被膜で被覆されていてもよい。
【0051】
簡単な中空マイクロビーズの改質は、特に適している。たとえば、特に重要な中空マイクロビーズは、周囲媒体の影響に対する良好な適性を保証するために、無機物質で覆われて(被覆されて)いてもよいポリマーから成るものである。
【0052】
中空マイクロビーズの被膜は、極めて微細な無機物質、たとえば、炭酸カルシウム、石英、雲母、水酸化アルミニウム、クリストバライト等から成っていてもよい。
【0053】
特に好ましくは、炭酸カルシウムで被覆された中空マイクロビーズ、特にプラスチックから製造された中空マイクロビースである。
【0054】
中空マイクロベースの製造の概要の例は、David L.Wilcox,Sr.およびMorris Bergによって示された、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.第372巻、1995年 Materials Research Society,第3頁〜第13頁およびそれに引用された文献中に記載されている。
【0055】
プラスチックから製造されたガス充填中空マイクロビーズの特に適したグレードは、(R)Dualite グレード、たとえば、(R)Dualite M6032(Pierce & Stevens Corp.);(R)Expancelグレード、たとえば、(R)Expancel 642WU、(R)Popaque グレード、たとえば、(R)Ropaque OP62(Rohm and Hass Co.)、Matsumoto マイクロスフェア、たとえば、Microsphere F−30E(Matsumoto Yushi Seiyaku Co. Ltd.)等を含む。
【0056】
示された充填剤の型の形態は異なっていてもよい。これらは、球状かまたは非球状であってもよいが、しかしながら、繊維またはフラグメントの形状を有する充填剤はあまり好ましくない。存在する補強充填剤が、層状または針状である場合には、生じる自己強化半製品は、特に性質の良好な組み合わせを有する。充填剤が球顆粒状であるか、または特に層状かまたは針状である場合には、これらは、たとえば、熱成形のような高性能な成形工程によって、サニタリー製品を生じる半製品の成形中に、これらが熱および/または圧力作用下で置かれる場合には、プラスチック材料の流れの方向に沿った粒子の配向を許容する。補強充填剤粒子のこの配向は、シートの形状の半製品の表面に対して平行であることが好ましく、これによって、成形されたサニタリー製品中の均衡のとれた剛性−衝撃強度比を得ることができ、かつ、サニタリー製品の良好な表面の質を可能にし、かつ適切なフローライン抵抗性を与え、かつ耐熱性を改善させ、かつ一般には最終的なサニタリー製品の手触りにおける好ましい作用が発揮される。
【0057】
本発明で得られる半製品の一つの特別な実施態様において、使用される充填剤粒子は層状の充填剤である。本発明の目的に関して、これらは、(成形用熱可塑性半製品の成形の)流れにおいて好ましい配向をとることができる充填剤である。
【0058】
さらに、充填剤粒子の大きさは、本発明の半製品の質を決定する部分を担うものであってよい。たとえば、半製品の剛性およびそれによって得られるサニタリー製品の剛性は、充填剤の適した寸法によって調整されていてもよい。補強充填剤に関して一般に使用される粒径は、約0.01〜約100μmである。使用される充填剤の平均粒径は、有利には0.01〜80μm、特に0.05〜30μm、特に有利には0.1〜20μmの範囲である、
使用される補強充填剤が細かくなればなるほど、サニタリー製品の剛性および衝撃強度は高くなる。得られる半製品は、充填剤がおおきくなればなるほど、より脆くなる。本発明によれば、特に有利な半製品は、20μmの篩いを用いた場合の充填剤からの残留物が、2重量%未満であることを特徴とする。
【0059】
原則として、本発明のポリ(メト)アクリレートシートの任意の層は補強充填剤を含有していてもよいが、しかしながら、前記に示したように、含量は異なっていなければならない。本明細書中で独立した層は、同一であるかまたは異なる充填剤を有していてもよい。
【0060】
(メト)アクリレートの解重合条件下で、不活性充填剤を使用することは好ましい。低い充填剤含量を有する層の充填剤が、高い充填剤含量を有する層の充填剤と異なっていることが明らかであり、したがって、充填剤の種類および量は、示された境界の範囲内で互いに独立している。
【0061】
本発明の目的に関して、(メト)アクリレートの解重合条件下でこれらの不活性充填剤は、アクリレートポリマーの解重合を妨げないかまたは本質的に悪影響を及ぼさない物質である。充填剤のこの性質は、浴槽のような成形体の簡単な再利用を可能にし、この場合、これは、ポリ(メト)アクリレートシートから製造されてもよい。
【0062】
ポリ(メト)アクリレートシートの厚さおよびこれによるそれぞれの層の厚さは、特にその適用に依存する。一方では、薄いポリ(メト)アクリレートシートは、特に簡単に処理される半製品であり、かつ材料に関しての省略によって経費上の利点を有するが、しかしながら、他方では、シートの安定性は、厚さに伴って増加し、したがって、シートの厚さまたはそれぞれの層の厚さにせまい制限を与えるのは不可能である。シートが2個の層を有する場合には、2個の層のそれぞれの厚さは0.5〜10mm、好ましくは1〜7.5mmである。
【0063】
特に、本発明の成形用熱可塑性自己強化シートは、低い充填剤含量を有する層の厚さが2〜4mm、特に2.5〜3.5mmであり、その一方で、高い充填剤含量を有する層の厚さが3〜8mm、好ましくは4〜6mmであることを特徴とする。
【0064】
本発明のポリアクリレートシートは、異なる充填剤含量を有する少なくとも2個の層を有する。さらに、これは、ポリアクリレートシートが、異なるたわみ性、強度および表面特性を有していてもよい3個、4個または5個の層を有していてもよいことを意味する。
【0065】
ポリ(メト)アクリレートシートを、熱成形とも呼称される熱支援型成形工程によって、浴槽を得るための自体公知の方法も使用するといった目的のためには、本発明によれば、シートのレオロジー特性が、一定の要求を満たすことが必要である。
【0066】
驚くべきことに、詳細にわたる試験では、半製品(ポリ(メト)アクリレートシート)を熱成形によってシャワートレイまたは浴槽を得る目的のために、高い充填剤含量を有する層の破断点の伸びと、低い充填剤含量を有する層の破断点の伸びとの比が、1.5未満、好ましくは1未満であるべきと示されている。高い充填剤含量を有する層の破断点の伸びと、低い充填剤含量を有する層の破断点の伸びとの比は、好ましくは0.8〜0.1の範囲であり、特に好ましくは0.6〜0.1の範囲である。この破断点の伸びは、DIN EN ISO 527−2で測定される(フォーストランスダクター 1kN、プレテンションフォース 0.05MPa、粘度 50mm/分、印加されたプレテンションフォースの保圧時間 12分、試験粘度 500mm/分、試験温度 190度、条件:標準的な温度および湿分の条件下で16時間)。
【0067】
破断点の伸びは、ファクターの広範囲の変更に依存する複合的パラメータである。このパラメータは温度、さらにはこのパラメータが測定された時点での試験粘度を含む。
【0068】
示されたように、特定の範囲は、破断点の伸び、すなわち、少なくとも2つの層間の破断点の伸びの比を制限する。しかしながら、この性質の充填剤の影響は、任意の一般的に適用可能な式によって記載することはできないが、流動性を増加させる滑剤のような添加剤を用いるか、あるいは流動性を減少させる極めて高い分子量を有するポリマーを用いることによって、破断点の伸びを調整することが可能である。さらに、また、溶融粘度上での充填剤の効果を測定する試験を用い、かつ、適した割合で充填剤を混合することによって望ましい値に破断点の伸びを調整することも可能である。以下の例は、当業者に公知のガイドラインとして特に役立つものである。
【0069】
高い充填剤含量を有する層の破断点の伸びは、有利には50〜450%であり、好ましくは100〜300%であり、かつ特に好ましくは100〜200%である。
【0070】
低い充填剤含量を有する層の破断点の伸びは、好ましくは300〜1500%であり、有利には600〜1200%であり、かつ特に好ましくは700〜1100%である。
【0071】
生じる自己強化ポリ(メト)アクリレートシートは、一般には、150〜900%、好ましくは200〜600%、かつ、特に有利には300%以上の破断点の伸びを有する。
【0072】
独立した層を得る方法の例は、押出成形および注入成形(casting)である。これら双方の方法は、文献により公知である(たとえば、Ulmann's Encylopedia of Industrial Chemistry, Fifth Edition on CD ROM 1998 edition, keyword “polymethacrylates”)。
【0073】
低い充填剤含量を有する層の一つの好ましい実施態様は、(メト)アクリレート系の重合によって得られてもよく、この場合、これは:
A)a)(メト)アクリレート 30〜100重量%
a1)メチル(メト)アクリレート 0〜99.99重量%
a2)C〜C(メト)アクリレート 0〜99.99重量%
a3)≧C(メト)アクリレート 0〜50重量%
a4)2個またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレート
0.01〜50重量%
a5)ウレタン(メト)アクリレート 0〜50重量%
b)コモノマー 0〜70重量%
b1)ビニル芳香族基 0〜35重量%
b2)ビニルエステル 0〜35重量%
を有し、その際、成分a1)〜a5)は、a)が30〜100重量%である程度に選択され、かつ、成分b1)〜b2)は、b)が0〜70重量%である程度に選択され、その際、a)およびb)は一緒になって、成分A)100重量%であり、
B)A)の全ての重量部に対して、A)中で溶解可能かまたは膨潤可能な(プレ)ポリマー 0〜12重量部、
C)成分A)を硬化させるのに十分な量の開始剤、
D)場合によっては、系の粘度を調整するもの、
E)A)の全ての重量部に対して、通常の添加剤 3重量部まで、
および
F)A)〜E)の合計の総重量部に対して、補強充填剤 0.25重量部未満、である。
【0074】
対照的に、高い充填剤含量を含有する層は、(メト)アクリレート系の重合によって得られてもよく、この場合、これは:
A)a)(メト)アクリレート 50〜100重量%
a1)メチル(メト)アクリレート 0〜99.99重量%
a2)C〜C(メト)アクリレート 0〜99.99重量%
a3)≧C(メト)アクリレート 0〜50重量%
a4)2個またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレート
0.01〜50重量%
a5)ウレタン(メト)アクリレート 0〜50重量%
b)コモノマー 0〜50重量%
b1)ビニル芳香族基 0〜50重量%
b2)ビニルエステル 0〜50重量%
を含有し、その際、成分a)およびb)は、一緒になって100重量%になる程度に選択され、その一方で、重合可能な成分A)に対して、a1)〜a5)は一緒になって50〜100重量%であり、かつ、b1)およびb2)は一緒になって0〜50重量%であり、
B)A)の全ての重量部に対して、A)中で溶解可能かまたは膨潤可能な(プレ)ポリマー 0〜12重量部、
C)成分A)を硬化させるのに十分な量の開始剤、
D)場合によっては、系の粘度を調整するもの、
E)結合剤の全ての重量部(A)〜E)の合計)に対して、補強充填剤0.25〜4重量部
を含有する。
【0075】
成分A)は本質的には、重合させるべき(メト)アクリレート系からなる。
【0076】
任意の( )内の成分は、場合によっては使用され、すなわち、(メト)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートである。
【0077】
モノマー成分A)は、低い充填剤含量を有する層に対して(メト)アクリレート 少なくとも30重量%および高い充填剤含量を有する層に対して(メト)アクリレート 少なくとも50重量%を含有し、好ましい場合には、C〜Cエステル基を含有する単官能性(メト)アクリレートを得る。長鎖エステル、特に、鎖が5個またはそれ以上の炭素原子を有するエステル基を有するものは、成分A)中で50重量%に制限されている。成分A)は好ましくはメチルメタクリレート 少なくとも40重量%を含有する。
【0078】
長鎖(メト)アクリレートの示された量によって、より耐衝撃性の系が生じる。したがって、これらのエステルは、半製品をより柔軟にし、さらに軟化させるものであって、50重量%を上廻る量は性能を制限する。
【0079】
(メト)アクリレートの他に、また、成分A)は、他のコモノマーを含有していてもよく、これらの割合はそれぞれ70または50重量%に制限されている。これらのコモノマー中において、ビニル芳香族基および/またはビニルエステル基は成分A)中に存在していてもよく、それぞれの場合において、それぞれ35重量%までであるかまたは50重量%である。ポリマー中に組み入れるビニル芳香族基の高い割合は異なっており、かつ、系の分離を招く。ビニルエステル基の高い割合は、さらに、低い温度での不十分な硬化を導き、かつ、収縮を増加させる傾向にある。
【0080】
好ましくは、成分A)は(メト)アクリレートを80〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%含有するが、それというのも、これらのモノマーを用いて製造された半製品は、サニタリー製品のための好ましい処理特性および性能特性を有するからである。(メト)アクリレート中でのC〜Cエステルの割合が、成分A)中で50重量%に制限されていることは好ましく、かつ、成分A)中に存在する前記エステルの量は、好ましくは30%を上廻ることはなく、かつ特に有利には20%を上廻ることがない。これは、特に柔軟な層を構築することを可能にする。
【0081】
特に適した単官能性(メト)アクリレートは、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルトリグリコールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0082】
特に適したコモノマーは、ビニルトルエン、スチレン、ビニルエステルである。
【0083】
A)中のスチレンを20重量%を超えない程度に制限することは好ましく、それというのも、この高い含量は、重合中の問題を引き起こすからである。
【0084】
また、二官能性であるかまたはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレートは、成分A)中で必要不可欠なものであり、かつ、0.01〜50重量%の量で存在する。二官能性であるかまたはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレートは、重合中の架橋作用を有し、特に、これは、特に半製品の吸水性を減少させ、かつこのようにして最終的なサニタリー製品が得られる。二官能性またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレートは、好ましくは成分A)の(メト)アクリレートで、0.1〜30重量%、特に好ましくは0.2〜5重量%の量で存在する。二官能性またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレートは、直鎖状ポリマー分子を架橋するのに役立つ。これは、たとえば、柔軟性、引掻抵抗性、ガラス転移温度、融点または硬化挙動に影響を及ぼしてもよい。
【0085】
二官能性またはそれ以上の官能性を有し、かつ、使用される(メト)アクリレートは、好ましくは以下のものを含む:
(1)二官能性(メト)アクリレート
式:
【0086】
【化1】
Figure 0004686094
【0087】
[式中、Rは水素またはメチルであり、かつnは3〜20の正の整数である]の化合物、たとえば、プロパンジオールジ(メト)アクリレート、ブタンジオールジ(メト)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、オクタンジオールジ(メト)アクリレート、ノナンジオールジ(メト)アクリレート、デカンジオールジ(メト)アクリレートまたはエイコサンジオールジ(メト)アクリレートであり;式
【0088】
【化2】
Figure 0004686094
【0089】
[式Rは水素またはメチルであり、かつ、nは1〜14の正の整数である]の化合物、たとえば、エチレングリコールジ(メト)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メト)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メト)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メト)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メト)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メト)アクリレート、プロピレングリコールジ(メト)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メト)アクリレートまたはテトラデカプロピレングリコールジ(メト)アクリレートであり;かつ、グリセロールジ(メト)アクリレート、2,2’−ビス[p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フェニルプロパン]またはビスGMA、ビスフェノールAジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メト)アクリレート、1分子当たり2個〜10個のエトキシ基を有する2,2’−ジ(4−メタクリロキシ−ポリエトキシフェニル)プロパンおよび1,2−ビス(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、
(2)三官能性またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メト)アクリレートおよびペンタエリトリトールテトラ(メト)アクリレート
を含む。
【0090】
二官能性またはそれ以上の官能性を有する通常の好ましい(メト)アクリレートは、特に、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)を含む。
【0091】
本発明にしたがって使用されるべき(メト)アクリレート系の他の好ましい成分は、二官能性またはそれ以上の官能性を有するウレタン(メト)アクリレートである。
【0092】
たとえば、前記のものは、通常の方法および自体公知の方法で、イソシアネート含有プレポリマー、その中で、オレフィン二重結合がヒドロキシル含有化合物によって導入されたもの、たとえばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、ビニルアルコールから得ることが可能である。
【0093】
極めて有利な層は、実際に新規であるウレタン(メト)アクリレートを用いて得られる。これらは、(メト)アクリレートから誘導された、少なくとも3個の反応停止性(reactive teriminal)エチレン性不飽和官能基を有する。これらは、ヒドロキシアルキル(メト)アクリレートとポリイソシアネートおよび少なくとも3個のヒドロキシル官能性基を有するポリオキシアルキレンとを反応させることによって得ることが可能であり、その際、ポリエチレンオキシドの割合は、ポリオキシアルキレンの総量に対して、50重量%未満である。
【0094】
破断点の伸びおよび極限引張強度の点における特性プロフィールは、3個またはそれ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートの割合を選択することによって望ましいように作用されてもよい。三官能性またはそれ以上の官能性を有する化合物の割合が高くなればなるほど、極限引張強度は大きくなる。しかしながら、破断点の伸びは著しく減少する。
【0095】
異なる反応基を有するイソシアネート基を含有する化合物は好ましい。この性質は、反応により簡単に導くが、しかしながら、結果として生じる制限は意図されない。この型の好ましいポリイソシアネートの例は、イソホロンジイソシアネートおよびこれから適切な反応によって誘導されてもよいそれぞれのウレタン(メト)アクリレートである。
【0096】
本発明に関して、特に好ましいウレタン(メト)アクリレートは、3個または4個の反応停止性エチレン性不飽和官能基を有する。
【0097】
本発明に関して好ましいウレタン(メト)アクリレートは、
i)少なくとも一つのヒドロキシアルキル(メト)アクリレートを、
ii)少なくとも一つのポリイソシアネートおよび
iii)少なくとも一つのポリオキシアルキレンと、
反応させる方法によって、製造されてもよい。
【0098】
本明細書中において種々の反応が可能である。たとえば、本発明に関するウレタン(メト)アクリレートは、2段階合成で、たとえば、ヒドロキシルアルキル(メト)アクリレートとポリイソシアネートとを等モル量で反応させ、かつ生じる反応生成物をその後に適した量のポリオキシアルキレンと反応させることで製造することができる。適したポリイソシアネートの選択および適した反応の誘導によって、その後に、特に、3個の反応停止性エチレン性不飽和官能基を有するウレタン(メト)アクリレートを得ることができる。
【0099】
さらに、一工程で反応を実施することも可能である。これは、種々の数のエチレン性不飽和官能基を有するウレタン(メト)アクリレートの混合物を生じる。三官能性ポリオキシアルキレンが使用される場合には、生成物はしばしば、例によって前記に示された式(A.V.)の結合基を含有する、三官能性ウレタン(メト)アクリレートである。生じる混合物は、(メト)アクリレート樹脂中で、さらに精製をすることなく、添加物として使用されてもよい。
【0100】
成分B)は場合による成分であるが、しかしながら、使用することが極めて好ましい。
【0101】
原則的に、B)の製造には2種の異なる方法がある。一方では、B)はA)と混合されるポリマー物質であってもよい。他方では、A)は予備重合(prepolymerized)されてもよく、この場合、これはシラップ(syrups)として公知のものを生じる。このシラップ自体は、その後に、群A)の単量体および群B)の多量体を有し、互いに混合される。
【0102】
樹脂の粘度および系の全レオロジーを調整するため、かつ硬化の良好に完了させるために、B)のポリマーまたはプレポリマーは、示したように、成分A)に添加されてもよい。この(プレ)ポリマーは、A)中で溶解可能かまたは膨張可能であるべきである。A)の全ての部に関して、プレポリマーB)を0〜12部使用する。ポリ(メト)アクリレートは、特に適しており、かつこれらは、A)中で溶解された固体ポリマーの形かまたは公知のシラップとして、特に、適したモノマーの部分的に重合された混合物として使用されてもよい。塩化ポリビニル、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、エポキシ(メト)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、およびこれらの混合物が適している。これらのポリマーの効果の例は、特定の柔軟特性、収縮制御性、安定性または流れ改善性である。
【0103】
A)の1部に関して、B)を2〜11部使用することは好ましい。A)1部に対して、B)を4〜10部使用することは特に好ましい。(プレ)ポリマーを6〜9部を用いて、重合可能なモノマー1部と混合させることは特に好ましい。A)中に(プレ)ポリマーB)を溶解させることは好ましい。
【0104】
好ましい実施態様においては、結合剤の成分B)とA)との比は1:1〜12:1の範囲である。性質の理想的な均衡は、この範囲内で達成される。
【0105】
B):A)の特に有利な比は、5:1〜12:1の範囲である。
【0106】
成分B)((プレ)ポリマー)は、任意の好ましいポリマーであってもよい。懸濁ポリマー、乳化ポリマーおよび/またはリグラインドが特に有利である。(プレ)ポリマーの平均粒径は、通常は<0.8mmである。
【0107】
プレポリマーB)は、懸濁重合によって得ることが可能なPMMAビーズポリマーが極めて有利である。このポリマーは、得られる成形体の適切な衝撃強度を含む特性を有する層の製造を可能にする。
【0108】
本発明におけるビーズポリマーの平均粒径は、約0.1〜0.8mmである。0.2〜0.8mmが好ましく、特に0.4〜0.8mmが好ましい。
【0109】
(プレ)ポリマーB)は好ましくはコポリマーであり、かつ、本明細書中で、補強層の硬さおよび柔軟性は、(プレ)ポリマーB)中のコモノマーの性質および量によって影響されてもよい。使用されてもよく、かつ、それぞれの(プレ)ポリマーB)の構造の一部分であるコモノマーは、アクリレートおよびメチルメタクリレート(MMA)の以外のメタクリレート、ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレンおよび種々のハロゲン置換されたスチレン、ビニルおよびイソプロペニルエ−テル、ジエン、たとえば、1,3−ブタジエンおよびジビニルベンゼンを含む。
【0110】
メチルアセテートに関する好ましいコモノマーの例は、エチルアセテート、ブチルアセテート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、メタアクリル酸、エチルトリグリコールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0111】
成分C)は、重合可能な系の硬化(重合)に関して欠くことのできない本質的な成分である。
【0112】
重合は、フリーラジカルまたはイオン系によって生じてもよく、この場合、フリーラジカル重合が好ましい。熱、放射線および開始剤は、重合のために使用されてもよく、フリーラジカルを形成する開始剤が好ましい。それぞれの重合条件は、選択されたモノマーおよび開始剤系に依存し、かつ当業者に公知である。
【0113】
好ましい開始剤は、当業者に公知のアゾ開始剤、たとえば、AIBNまたは1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、さらにはペルオキシ化合物、たとえば、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ビス(2−エチル−ヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート、前記化合物の2つまたはそれ以上の相互の混合物、さらに、示されていない遊離基を同様に形成することができる前記化合物の混合物を含む。
【0114】
また、レドックス系も使用されてよく、かつ有機溶剤または水性溶液または水性懸濁液中で粘質化(phlegmatized)される系は公知であり、かつ使用されてもよい。この型の系は、アクゾ社(Akzo)からの商標(R)Cadoxで得ることが可能である。
【0115】
段階的な半減期で2個またはそれ以上の開始剤の混合物を使用することは可能である。この方法は、重合反応の良好な調整を得ることができ、局所的不規則性を回避することが可能であり、かつ、よりばらつきのない結果が得られる。また、この方法は、後重合時間を短くすることができる(加熱キャビネット中の半製品のアニーリング)。
【0116】
成分C)の量は、広範囲の制限内で異なっている。モノマーの配合は、(プレ)ポリマーの性質および量、さらに望ましい重合温度、および製造されるべきポリマーの好ましい分子量に依存する。たとえば、1000〜200000の分子量(平均分子量)に関して生じるガイドライン値は、モノマー系の重合可能な成分1モルに対して開始剤2×10−5〜約1×10−4モルである。使用された1個または複数個の開始剤化合物の分子量に依存して、成分A)の重量部に対して、約1×10−3〜5×10−5重量部の成分C)が使用されてもよい。
【0117】
成分D)は重合可能な(メト)アクリレート系の場合による成分であるが、しかしながら、好ましくはこの系中に存在する。例は乳化剤である。好ましくは、レシチン、たとえば大豆レシチンである。使用すべき物質の量は、広範囲で異なっていてもよい。A)の全ての重量部に対して、D)を0.01〜1重量部を使用することは好ましい。A)の全ての重量部に対して、D)を0.1〜0.2重量%使用することは特に好ましい。
【0118】
成分E)は場合による成分である。これらは通常の自体公知の添加剤であり、かつ、添加剤の例は前記に示した。E)は特に、F)に含まれないこれらの充填剤を含む。したがって、これらのカテゴリーは非補強充填剤であり、たとえば、有色顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滑剤、染料、流れ促進剤、光安定剤、有機燐化合物、たとえば、亜リン酸塩およびホスホネート、顔料、チキソトロピー作用を有する薬剤、UV安定化剤、耐候安定剤および可塑剤である。
【0119】
好ましくはこれらの通常の添加剤は、成分F)の充填剤よりも小さい粒径を有する。E)として使用される充填剤の平均粒径は、好ましくは10μm未満の範囲、有利には5μm未満および特に好ましくは1μm未満、および極めて好ましくは0.01μm未満である。充填剤E)とF)との平均粒径の比は、有利には1:3〜1:1000、好ましくは1:5〜1:100の範囲、かつ、特に好ましくは1:10〜1:50の範囲である。
【0120】
成分Fは、本質的には高い充填剤含量を有する層であり、一方で、低い充填剤含量を有する層は、任意の充填剤を有していてはならない。さらに、この成分は、前記に詳細に示されている。
【0121】
前記から、種々の層が、性質、さらには使用された成分A)〜F)の重量比において著しく異なっていてもよいことが明確である。低い充填剤含量を有する層は、特に良好な表面の質、特に、引掻抵抗性およびヘアラインクラッキング耐性を有していなければならないが、その一方で、高い充填剤含量を有する層は、主に補強に役立ち、したがって、これらの層の成分は、それぞれの層の目的に応じて最適化させることができる。
【0122】
高い充填剤含量を有する層は、有利には注入成形工程によって得られる。本明細書中での方法は以下の通りである。
【0123】
a)重合可能な、充填された(メト)アクリレートを供給し、
b)供給された組成物を、製造された金型に注ぎ入れ、
c)室温を超える温度で、金型中で組成物を重合させ、シート型の半製品を得て、かつ、
d)金型から半製品を取り除く。
【0124】
本明細書中で、表面で補強充填剤を排除し、かつシート下面での補強充填剤を濃縮させる一つの特に有利な方法は、重合されるべき(メト)アクリレート系の粘性を利用して、半製品を得ることである。本発明の半製品は、好ましくは、(メト)アクリレート系の重合によって得られ、この場合、これは、重合前に、0.02〜0.1Pa・s(20〜100cp)の範囲、好ましくは0.03〜0.08Pa・s(30〜80cp)の範囲、特に好ましくは、0.04〜0.06Pa・s(40〜60cp)の範囲、極めて好ましくは、約0.05Pa・s(50cp)で有する。シートの重合中の好ましい粘度範囲の使用は、高光沢性表面を達成するために特に有利である。しかしながら、同時に、顔料または他の通常の充填剤の均一な分散を達成することが可能であり、その際、これらは補強充填剤よりも極めて微細である。したがって、本発明は、本発明のサニタリー製品において、適切な自己強化作用を有する着色性および高光沢性表面の組み合わせ中で有利である。特に、高い充填剤含量を有する層は、また、層の厚さ上で補強充填剤の勾配した分布(graded distribution)を有する。
【0125】
粘性を調整するためには種々の方法がある。本発明の方法のまず有利な変法は、重合可能な組成物の粘度が、組成物中で重合可能なモノマーに対する(プレ)ポリマーの割合を変更することによって調整されることを特徴とする。
【0126】
これとは二者択一的にか、あるいは組合わせて、粘度調整剤の割合を変更することによって、調剤の粘性を調節することは有利であってもよい。粘性を調整、特に規制する作用物質は当業者に公知である。これらは、イオン性、非イオン性および両性イオン性の乳化剤を含む。
【0127】
本発明による方法の特に好ましい改法において、使用される粘性調整剤は、乳化剤、好ましくは一つまたはそれ以上のレシチンを含有する。
【0128】
重合可能な組成物の粘性に作用するか、および/または調整するために他の有利なものまたは方法は、特に以下の尺度を含む:
重合系の粘度は、調整剤の添加によって変更されていてもよい。
【0129】
(プレ)ポリマーと、重合系の重合可能なモノマー性構成成分との混合比によって、重合系の粘度を調整することは有利であってもよい。
【0130】
使用された湿潤添加剤、たとえば、示されたレシチン、または他の(R)Catafor等の性質および量は、粘度を望ましい値に調節することを可能にする。
【0131】
自体公知の充填剤濃度は、充填剤または充填剤混合物の性質(粒径、給油価、表面処理)によって、重合系の粘度に影響する。
【0132】
さらに、重合系の粘度は、通常の添加剤、たとえばチオロトロピー作用を有する作用物質(たとえば、(R)Aerosilグレード)によって変更されてもよい。
【0133】
さらに、重合温度は、系の粘性に作用するために使用されてもよい。
【0134】
最終的に、開始剤濃度および重合反応の動態は、重合系の粘度に作用し、したがって充填剤の沈降(settling-out)度合いにも作用する。
【0135】
望ましい場合には、低い充填剤含量を有する層は、注入成形または押出成形によって得ることができる。
【0136】
したがって、本発明のポリアクリレートシートを得るための方法は、適した方法で、低い充填剤含量を有する層に対して、少なくとも一つの高い充填剤含量を有する層を結合させるものである。本明細書中で、層は、接着するかまたは融合によって結合されてもよい。これらの方法は自体公知である。
【0137】
さらに、本発明のポリ(メト)アクリレートシートを、低い充填剤含量を有する層と、高い充填剤含量を有する層との同時押出成形によって得ることは可能である。
【0138】
同時押出成形は当業者に公知である。
【0139】
しかしながら、本明細書中の成形組成物は、特にそのレオロジーに関して自体公知の性質を有していなければならない。したがって、ポリマーの分子量および使用された充填剤の量および性質の双方は制限される。さらに、押出成形は、従来的に、架橋されていないポリマーに関してのみ有利であった。しかしながら、本発明の方法の対費用効果は有利である。
【0140】
本発明のシートを製造するための他の方法は、高い充填剤含量を有する層上に低い充填剤含量を有する層を重合させるか、あるいは低い充填剤含量を有する層上に高い充填剤含量を有する層を重合させる。
【0141】
この重合を実施する方法は、セル−注入成形法として公知の手段を用いるものであり、その際、一つのポリ(メト)アクリレート層は、シートとしてセルの境界を定めるのに役立ち、かつ、第2層は注入成形引き続いての第1層上の塊状重合によって得られる。したがって、使用される高い充填剤含量を有する層はシートであり、この場合、これは、セル−注入成形工程中で、セル成形体のグラスの下部シート上に置かれ、かつ、低い充填剤含量を有する層を得て、その後に(メト)アクリレート系はセル中、高い充填剤含量を有する挿入されたシート上に注がれ、かつ、セル−注入成形工程によって同様に重合される。
【0142】
注入成形法、たとえば、セル−注入成形法またはレステロ法(Restero process)において、(メト)アクリレート系は、金型中に注ぎ入れられ、その後に重合される。
【0143】
本発明のポリ(メト)アクリレートシートは、自体公知の成形方法によって、サニタリー製品を得るために使用されてもよい。これらは、圧伸成形、引張成形、延伸、圧力成形、熱成形、真空成形、引抜成形を含む。好ましい方法は、シートが可塑弾性状態でありながら成形されたものである。特に高く適した方法の例は、熱成形とも呼称される熱支援型成形技術である。
【0144】
これに関して、ポリ(メト)アクリレートシートは、金型の縁で堅く圧締めされ、その後に成形体は、加熱され、支持されていないブランクを形成する応力によって好ましいように成形される。成形に使用される応力は、特に、真空または圧縮空気によって生じるものであるか、または機械的応力、たとえば、プラグアシストプレートまたは押え(hold-down)プレートによって生じるものであり、かつ、これらは別個にかまたは組み合わせて使用されてもよい。成形工程中において、ポリアクリレートシートの壁厚は減少する。
【0145】
本明細書中のポリ(メト)アクリレートシートは、140〜210℃の範囲、特に好ましくは170〜190℃の範囲で加熱される。
【0146】
したがって、成形装置は、通常は、金型と平行に加熱装置を有し、赤外線または空気によってシートを加熱するか、またはたとえば好ましくは赤外線加熱と接触させることによってシートを加熱するが、それというのも、この方法はシートを均一に加熱するからである。
【0147】
加熱されたシートは、その後に金型中で圧伸(drawing)される。これは、成形のために使用された前記応力で生じる。熱支援型成形装置の主要な実施態様において、真空はシートと金型間の領域から空気を排除するために使用される。
【0148】
また、雄型(positive)成形工程と雌型(negative)成形工程は区別される。雄型工程では、正確な再現が成形体の内側で生じ、それというのもこの側が金型と接触するからである。
【0149】
したがって、サニタリー製品を製造するための本発明の方法において、高い成形体含量を有する層は、金型に対して調整することが好ましく、この場合、この成形体は雄型工程によって生じる。
【0150】
この成形技術は自体公知であり、かつ、当業者は、ウルマンズ エンシクロペディア オブ ケミストリー、第5版、CDRM 1998年度版(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth edition on CD ROM, 1998 edition)でキーワード“可塑化工程(Plastics processing)”であるか、あるいはクンストストッフ−メカニーネン−フェーラー、ジョハンナバール、第3版、ハンサーフェアラグ、1992年、第618頁以降(Kunststoff- Maschinen-Fuehrer, Johannaber, 3rd edn. Hanser-Verlag, 1992, pp. 618 et seq.)で重要な情報を見出すことができるであろう。
【0151】

1.高い充填剤含量を有する層の製造(例1)
1.1金型の構造
2個のシートのセキュライトガラス(Sekurit glass)を金型として使用する。PVC漏れ止めビーズは金型のガラスシート間に配置される。その後にクランプをガラスシートの3側面を固定するために使用する。セルの幅は種々の厚さの漏れ止めビーズを使用することによって異なっていてもよい。例において、セルの厚さを提供する隙間は約5mmであった。4番目の側面を、装填の後に密閉する。得られる密閉したシート系は水平に保存され、かつ、水槽中に置かれる。
【0152】
1.2 1.1の金型に装填されるポリ(メト)アクリレート系
【0153】
【表1】
Figure 0004686094
【0154】
ナイティッヒ社(Naintsch)、Graz−Andritz、Austria A−8045からのBC−Micro special extenderは、白色滑石−純粋なドロマイトの合着物であり、その組成物は、化学分析によって、SiO 12%、MgO 22%、CaO 24%、であり、1050℃で1時間に亘る灰化で、40%の損失が生じる。ドロマイト含量(Leco)は85%である。DIN66165の20μmに対するふるい分析は、2.0%の残留物を生じる。
【0155】
架橋剤はトリエチレングリコール ジメタクリレート(TEDMA)である。
【0156】
プレポリマーは、MMA−ベースのシラップであり、この場合、メチルメタクリレートは、約10%の変換率(残留物モノマー90重量%)で、自体公知の方法で重合される。プレポリマーの粘性は約450cpであった。
【0157】
★(R)Aerosol OTは、シアンアミド社(Cyanamid)からのジオクチル ナトリウム スルホスクシネートであり、かつ、剥離剤/離型剤として使用される。
【0158】
大豆レクチンは、シュテルンレシチン社(Stern Lecithin)およびソーヤ社(Soja GmbH)からの製品であり、かつ、使用された充填剤のための湿潤剤として使用される。
【0159】
カラーペーストは、二酸化チタン、有色顔料およびジオクチルフタレート(DOP)の混合物から本質的に成る。混合物は、本発明の顔料着色シートに使用される。
【0160】
★(R)Tinuvin770は、チバ−シュペツイリテーテッテンヒエミー社(the company Chiba-Spezialitatenchemie GmbH)からの光安定剤であり、かつ、HALS生成物群に属する。
【0161】
1.3 装填およびセル中での重合
充填剤および必要とされる添加剤を、必要とされるプレポリマー(1)の約3分の1中に分散する。この前に、分散剤を最初に計量供給し、かつ引き続いて必要とされる添加剤、たとえば、調整剤、架橋剤、熱安定剤等を計量供給し、さらに、補強充填剤を示された量(7、6、5、8、2)で供給する。
【0162】
この溶液を少なくとも30分に亘って混合容器中で分散させ、この場合、この容器は冷却され、かつ排気されてもよい。
【0163】
ここで溶液温度は50℃を超えるべきではない。分散の後に、混合物を室温に冷却し、かつ、プレポリマーの残りの量で希釈し、かつ、その後に、開始剤10)を溶液中で攪拌する。この溶液をその後に、さらに30分に亘って、真空下でホモジナイズする。記載された混合物を金型中に注ぎ入れ;装填された金型を、62℃で水槽中で水平に保存し、かつ、内容物を重合した。大部分の重合は、約90%の変換率を達成する。シートを、120℃で、アニーリングオーブン中で後重合させる。シートを冷却させるやいなや、ガラスの上部シートをセルから除去し、かつ、半製品(ポリ(メト)アクリレートシート)を取り除く。
【0164】
2.補強充填剤の低い含量を有する層の製造例(例2)
2.1 金型の構造
セルが約3.2mmの厚さの隙間を有することを除いては、1.1と同様であった。
【0165】
2.2 金型2.1を装填するためのポリ(メト)アクリレート系
【0166】
【表2】
Figure 0004686094
【0167】
2.3. 装填およびセル中での重合
必要とされる添加剤(3〜9)の示された量を、プレポリマー(1)中に分散し、かつ、30分に亘って、真空下でホモジナイズした。
【0168】
示された混合物を、金型中に注ぎ入れ;装填された金型を、水槽中で62℃で水平に保存し、かつ、内容物を重合させる。大部分の重合は、約90%の変換率で達成される。シートの後重合は、アニーリングオーブン中で120℃で生じる。シートの冷却の後に、セルのガラスの上部プレートを除去し、かつ、半製品(ポリ(メト)アクリレートシート)を取り除く。
【0169】
3. 自己強化ポリ(メト)アクリレートの製造例
3.1 例1のシート上で例2の混合物を重合することによる製造
金型を構築するためにに、例1で記載された補強シートを、金型の下面を形成するガラスシート上に置く。
【0170】
2.1で記載された混合物を、その後に補強シート上に注ぎ入れる。ここで注がれるべき量は、低い充填剤含量を有する層の好ましい厚さに依存する。好ましくは重合された層は、1〜5mmの寸法を有する。例3.1で重合された層の厚さは3.2mmであった。主重合および後重合は、本明細書中例1以下に記載されたようにおこなう。
【0171】
3.2 例2のシート上に例1の混合物を重合させることによる製造
金型を構築するために、例2で記載されたシートを成形体の一つのガラス面上に置く。金型の構築は、例1以下で記載したようにおこなわれる。
【0172】
その後に、1.1で記載された混合物を、補強シート上に注ぐ。例3.2で重合された層の厚さは5mmであった。主重合および後重合は、本明細書中で1以下で記載されたように実施される。
【0173】
3.3. 例2のシートに対する例1のシートの積層による製造
真空工程または含浸工程を、例1で記載されたシートに対して例2で記載されたシートを積層するために使用される。
【0174】
第1の場合において、均一な減圧は、全ての構成成分に亘って真空にすることによっておこなわれる(シート1と2とのサンドウイッチ、さらには適切である場合には、接着促進剤)。包含される空気および過剰量の接着性樹脂を、積層されるべき部分から除去し、2個のシート間で達成される得られる結合は予期せず良好であった。
【0175】
含浸方法の場合において、積層は、オートクレーブ中であるかまたは圧力下で、熱を使用し、かつ圧力を導入することによっておこなわれる。
【0176】
3.4 例1および2のシートの破断点および例3.3からの積層物の破断点の伸びの測定
破断点の伸びは、本明細書中において示された標準に対して測定される。
【0177】
高い充填剤含量を有する層(例1のシート)は、144%の破断点を有する。
【0178】
低い充填剤含量を有する層(例2のシート)は、950%の破断点を有する。
【0179】
例1のシートと例2とのシートの積層物は、333%の破断点を有する。
【0180】
4. 3.1の半製品の高性能成形
4.1 3.1の半製品は、約8.2mmの厚さを有する。約0.9×0.9mの寸法の半製品を熱成形し、シャワートレイを得る。これは、以下のように実施される:成形されるべきシートを、金属フレームで固定する。シートの上面および下面を、表面温度が約190℃に達するまで、赤外線源によって加熱する。その後に、赤外線源を取り除き、かつ、金型をシートの下面に持っていき。シートに対して気密性シールを形成する。加熱されたシートを、真空によって金型に圧伸成形する。成形された製品を冷却後に除去してもよい。
【0181】
例のシャワートレイは、適切な標準物の要求を満たすものである。特に、以下の試験を、例のシャワートレイを例として実施し、かつ認められた:
1)EN249に対する耐化学薬品性:
2)EN249に対する耐温度サイクル性:
3)EN249に対する耐衝撃性;
4)2〜4mmが達成されたEN249(2mmを要求する)に対するたわみ性

Claims (21)

  1. ポリ(メト)アクリレートから製造され、熱成形によって、特にサニタリー製品、例えば浴槽またはシャワートレイを製造するための熱可塑的に成形可能な自己強化シートにおいて、このシートが、その充填剤含量で異なる少なくとも2層を有し、
    その際、充填剤含量は、それぞれの層の総重量に対する補強充填剤の重量百分率比であり、高い充填剤含量を有する層の破断点伸びと低い充填剤含量を有する層の破断点伸びとの比が、0.6〜0.1の範囲であり、その際、各層の破断点の伸びはDIN EN ISO 527−2に対して測定されていることを特徴とする、熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  2. 低い充填剤含量を有する層が補強充填剤を含まない、請求項1に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  3. 高い充填剤含量を有する層の充填剤含量と低い充填剤含量を有する層の充填剤含量との比が、2を上廻る、請求項1または2に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  4. 使用された補強充填剤が、滑石、ドロマイト、雲母、石英、滑石とドロマイトとの天然に産ずる付着物、緑泥石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、粘土、二酸化珪素、珪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫化物、金属酸化物、粉末ガラス、ガラスビーズ、セラミックス、カオリン、ポーセレン、クリストバライト、長石、チョーク、炭素および/または不活性ガスが充填された中空微粒子から成る群から選択された一つまたはそれ以上の充填剤を含むことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  5. 補強充填剤が、球顆粒状、球状および/または層状の形状を有する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  6. 補強充填剤の平均粒径が、0.01〜80μmである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  7. シートが、異なる充填剤含量を有する2個の層を含有し、その際、それぞれの層の厚さが0.5〜10mmの範囲である、請求項1から項までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  8. それぞれの層の厚さが1.5〜7mmの範囲である、請求項7に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート
  9. 低い充填剤含量を有する層の厚さが2〜4mmであり、かつ高い充填剤含量を有する層の厚さが3〜8mmである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  10. 低い充填剤含量を有する層が、
    A)a)(メト)アクリレート 30 〜100重量%
    a1)メチル(メト)アクリレート 0 〜99.99重量%
    a2)C〜C(メト)アクリレート 0 〜99.99重量%
    a3)≧C(メト)アクリレート 0 〜50重量%
    a4)2個またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレート
    0.01 〜50重量%
    a5)ウレタン(メト)アクリレート 0 〜50重量%
    b)コモノマー 0 〜70重量%
    b1)ビニル芳香族基 0 〜35重量%
    b2)ビニルエステル 0 〜35重量%
    を含有する(メト)アクリレートを重合することによって得られ、その際、成分a1)〜a5)は、a)が30〜100重量%である程度に選択され、かつ成分b1)〜b2)は、b)が0〜70重量%である程度に選択され、かつa)とb)は一緒になって成分A)100重量%であり、
    B)A)の全ての重量部に対して、A)中で溶解可能または膨潤可能な(プレ)ポリマー0〜12重量部、
    C)成分A)を硬化させるのに十分な量の開始剤、
    D)場合によっては、系の粘度を調整するためのもの、
    E)A)の全ての重量部に対して、通常の添加剤3重量部まで、および
    F)結合剤の全ての重量部(A)〜E)の総量)に対して、補強充填剤0.25重量部未満
    を含有する、(メト)アクリレート系を重合することによって得られる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シート。
  11. 高い充填剤含量を有する層が、
    A)a)(メト)アクリレート 50 〜100重量%
    a1)メチル(メト)アクリレート 0 〜99.99重量%
    a2)C〜C(メト)アクリレート 0 〜99.99重量%
    a3)≧C5(メト)アクリレート 0 〜50重量%
    a4)2個またはそれ以上の官能性を有する(メト)アクリレート
    0.01 〜50重量%
    a5)ウレタン(メト)アクリレート 0 〜50重量%
    b)コモノマー 0 〜50重量%
    b1)ビニル芳香族基 0 〜50重量%
    b2)ビニルエステル 0 〜50重量%
    を含有する(メト)アクリレート系を重合することによって得られ、その際、a)およびb)は一緒になって重合可能な成分A)100重量部になる程度に選択され、
    B)A)の全ての重量部に対して、A)中で溶解可能かまたは膨潤可能な(プレ)ポリマー0〜12重量部、
    C)成分A)を硬化させるのに十分な量の開始剤、
    D)場合によっては、系の粘度を調整するためのもの、
    E)A)の全ての重量部に対して、通常の添加剤3重量部まで、および
    F)結合剤(A)〜E)の総量)の全ての重量部に対して、補強充填剤 0.25重量部〜4重量部
    を含有する、(メト)アクリレート系を重合することによって得られる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化プラスチックシート。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法において、低い充填剤を有する層および高い充填剤を有する層が同時に押出成形されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法。
  13. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法において、低い充填剤含量を有する層が、高い充填剤含量を有する層上で重合されるか、あるいは高い充填剤含量を有する層が低い充填剤含量を有する層上で重合される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法。
  14. 高い充填剤含量で用いられる層が、セル−注入成形工程中でガラスシート金型の下面に置かれるシートであり、かつ、低い充填剤含量を有する層を得るために、その後に(メト)アクリレート系を、高い充填剤含量を有する挿入されたシート上のセルに注ぎ入れ、かつこのシート上でセル−注入成形工程によって重合させる、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1から11に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法において、押出成形によって得られ、かつ高い充填剤含量を有する少なくとも一つの層を、低い充填剤含量を有する層と結合させることを特徴とする、請求項1から11に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートを製造する方法。
  16. 層が、接着剤を用いて、互いに貼り合わされる、請求項15に記載の方法。
  17. 低い充填剤含量を有する層を、発熱融合によって、高い充填剤含量を有する層と結合させる、請求項15に記載の方法。
  18. 請求項1から11に記載の熱可塑的に成形可能な自己強化シートから製造されるサニタリー製品。
  19. サニタリー製品が浴槽、シャワートレイまたは洗面器である、請求項18に記載のサニタリー製品。
  20. 請求項18または19に記載のサニタリー製品を製造する方法において、請求項1から11のいずれか1項に記載のシートが、熱および圧力を用いて成形される、請求項18または19に記載のサニタリー製品を製造する方法。
  21. 請求項1から11のいずれか1項に記載のシートが熱成形される、請求項20に記載の方法
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