JP4686083B2 - 光重合性組成物、粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系の光重合性組成物と、これを紫外線により光重合した粘着剤と、この粘着剤を基材上に設けた粘着シートとに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを主体とする単量体の重合体、つまりアクリル系ポリマーは、粘着付与樹脂を添加しなくても粘着剤となりうるが、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低極性表面を有する被着体に対しては良好な接着性を発揮させにくい。
【0003】
このため、アクリル系ポリマーに粘着付与樹脂を添加して、低極性被着体への接着性を改良することが試みられている。しかるに、低極性被着体への接着性を追及すると、高極性被着体への接着性が低下し、これらの特性を両立させることは容易なことではなかった。とくに、耐反発性試験により評価されるような低速で剥離が進行するような状態下では、上記の傾向が顕著であり、ポリプロピレン(低極性被着体)とポリスチレン(高極性被着体)との両方の被着体に対して、耐反発性を確保することは非常に難しかった。
【0004】
たとえば、特公昭62−48994号公報や特開2000−273428号公報には、アクリル系粘・接着剤用の粘着付与樹脂として、シクロペンタジェン系単量体と極性ビニル単量体とを共重合させて得られる極性基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物を使用すると、上記極性基を持たない脂環式炭化水素樹脂の水素化物に比べ、アクリル系ポリマーとの相溶性を改善でき、これによりポリオレフィン被着体に対して、すぐれた接着性を発揮できることが開示されている。しかるに、ポリオレフィンに比べて高極性であるポリスチレンのような被着体に対する接着性を満足させるには至っていない。
【0005】
また、従来より、アクリル系の粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主体とした単量体を有機溶剤中で溶液重合することにより調製されてきたが、近年では、地球環境への配慮から、大気汚染や環境問題の制約が課題となっており、紫外線を使用した光重合により無溶剤系で粘着シートを製造する方法が、安全面や環境面でとくに有利とされている。
【0006】
しかし、光重合による粘着シートの製造に際し、接着性の改良のために粘着付与樹脂を添加すると、この粘着付与樹脂は一般に光重合反応の連鎖停止剤として作用するため、光重合を阻害し、アクリル系ポリマーの低分子量化を引き起こして、接着力を低下させる。このため、この種の粘着剤に用いる粘着付与樹脂は、光重合の抑制作用ができるだけ少ないものが望ましい。
【0007】
この観点から、たとえば、特開平2−18485号公報には、水素化ロジンエステル系粘着付与樹脂を用いることが提案されている。この粘着付与樹脂は、光重合時の連鎖停止剤として作用しにくく、重合阻害の抑制という点で確かに効果が認められる。しかし、アクリル系ポリマーとの相溶性に乏しく、またポリプロピレン(低極性被着体)とポリスチレン(高極性被着体)の両方の被着体に対して、耐反発性を確保できるとはいえず、未だ満足できない。
【0008】
また、特開平7−33832号公報には、脂環族飽和炭化水素樹脂を粘着付与樹脂として使用することが提案されている。この粘着付与樹脂も、光重合時の連鎖停止剤として作用しにくく、重合阻害の抑制という点で確かに効果が認められる。しかるに、この粘着付与樹脂は低極性であるため、アクリル系ポリマーとの相溶性に乏しく、良好な接着特性を発揮させることはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、現在のところ、無溶剤系で大気汚染や環境問題のない光重合型のアクリル系の粘着剤として、低極性から高極性被着体への接着特性を両立させることができる粘着剤は、未だ知られていないのが実情である。
【0010】
本発明は、上記の事情に照らし、ポリプロピレンやポリスチレン、アルミ板などの低極性から高極性までの被着体に対する接着性、とくに耐反発性にすぐれる光重合型のアクリル系の粘着剤を得ることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、光重合用の組成物に配合する粘着付与樹脂として、脂環式炭化水素樹脂の水素化物であってその極性の異なる特定のものを2種組み合わせ使用するとともに、両水素化物の使用量をアクリル系モノマーに対し特定割合とすると、光重合時の重合阻害現象がみられず、高い重合率が得られて、両水素化物の相互作用に基づき、ポリプロピレンやポリスチレン、アルミ板などの低極性から高極性までの被着体に対する接着性、とくに耐反発性にすぐれる透明性の高いアクリル系の粘着剤が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は、n−ブチルアクリレートを単量体全体中50重量%以上含有し、かつアクリル酸を単量体全体中1〜10重量%含有する単量体と粘着付与樹脂と光重合開始剤とを含有する紫外線により光重合する光重合性組成物において、上記の粘着付与樹脂は、a)水酸基価が60〜200mgKOH/gである水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物と、b)非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物とからなり、上記の単量体100重量部あたり、a成分の水素化物が15〜30重量部、b成分の水素化物が0.05〜5重量部であることを特徴とする光重合性組成物に係るものである。
また、本発明は、上記構成の光重合性組成物として、a成分の水素化物の軟化点が70〜150℃である上記構成の光重合性組成物、a成分の水素化物の色調がガードナー3以下である上記構成の光重合性組成物、a成分の水素化物が水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂中のオレフィン性二重結合のすべてが水素化されたものである上記構成の光重合性組成物、を提供できるものである。
【0013】
さらに、本発明は、上記各構成の光重合性組成物を紫外線により光重合したことを特徴とする粘着剤に係るものであり、また、この粘着剤を基材の片面または両面に設けたことを特徴とする粘着シートに係るものである。
なお、本明細書において、上記の「粘着シート」には、通常幅広の粘着シートだけでなく、通常幅狭の粘着テープも含まれるものであり、その他、粘着ラベルなどの各種の粘着製品が含まれるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における単量体は、炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体としたものであり、上記アルキルエステルをこれ単独で使用してもよいが、通常は、これと共重合可能な他の単量体を併用するのが望ましい。この場合、上記他の単量体は、単量体全体中50重量%以下となる割合(換言すれば、上記アルキルエステルが単量体全体中50重量%以上となる割合)で用いられ、とくに好ましくは単量体全体中0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%となる割合で用いられる。
【0015】
炭素数2〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から、その1種または2種以上が用いられる。
【0016】
共重合可能な他の単量体としては、カルボキシル基含有単量体、酸無水物基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、りん酸基含有単量体、水酸基含有単量体、アミド系単量体、スクシンイミド系単量体、ビニル系単量体、シアノ(メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体などや、炭素数1または13以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどがあり、これらの中から、その1種または2種以上が用いられる。
【0017】
カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などが挙げられる。酸無水物基含有単量体には、無水マレイン酸、無水イタコン酸などがある。スルホン酸基含有単量体としては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。りん酸基含有単量体には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートなどがある。
【0018】
水酸基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0019】
アミド系単量体には、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのN−置換(メタ)アクリルアミドなどがある。スクシンイミド系単量体には、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどがある。ビニル系単量体には、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、N−ビニルカプロラクタムなどがある。シアノ(メタ)アクリレート系単量体には、(メタ)アクリロニトリルなどがある。
【0020】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体には、(メタ)アクリル酸グリシジル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートなどがある。炭素数1または13以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0021】
本発明における単量体としては、耐反発性を確保する点より、単量体全体中、n−ブチルアクルートを50重量%以上含有するのが望ましい。また、単量体全体中、アクリル酸を1〜10重量%含有するのがより望ましい。アクリル酸を1重量%以上含有すると、耐反発性を確保して浮きが生じにくくなり、10重量%以下とすることで、常温でのタック感を確保させやすい。
【0022】
本発明においては、粘着付与樹脂として、脂環式炭化水素樹脂の水素化物であって、その極性の異なるものを2種組み合わせ使用したことを特徴とする。その1種は、a成分として水酸基価が60〜200mgKOH/gである水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物であり、他のもう1種は、b成分として非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物である。
【0023】
a成分の水素化物は、水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂を得たのち、これを水素化(水素添加)することにより、製造できる。上記の水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂は、各種の方法で合成することができるが、通常は、▲1▼ナフサの熱分解にて得られるC5留分中のジシクロペンタジェン、シクロペンタジェンなどの脂環式化合物と、アリルアルコールなどの重合性二重結合を有するアルコール化合物とを、共重合させる方法が、好ましく採用される。
【0024】
その他、▲2▼上記同様の脂環式化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル、メチルプロペニルカルボキシレートなどの重合性二重結合を有するエステル化合物を共重合させたのち、分子内のエステル基を還元して水酸基に変換する方法、▲3▼上記同様の脂環式化合物と酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニル化合物を共重合させたのち、分子内のアシルオキシ基を加水分解して水酸基に変換する方法、▲4▼上記同様の脂環式化合物を重合または共重合させて脂環式炭化水素樹脂を得、これに含まれる二重結合を水和して水酸基に変換する方法なども採用できる。
【0025】
これらの合成方法の中でも、上記▲1▼の方法であって、とくに脂環式化合物としてジシクロペンタジェンを使用し、これとアリルアルコールなどのアルコール化合物とを熱重合などにより共重合させる方法が、最も望ましい。この方法で得られる水酸基含有のジシクロペンタジェン系樹脂は、接着性に寄与する水酸基価のコントロールが容易であるという特徴を有している。なお、上記の合成方法において、アルコール化合物は、ジシクロペンタジェン100重量部に対し、通常、10〜200重量部の割合で使用するのが望ましい。
【0026】
このように合成される水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化は、水素化触媒の存在下、上記の樹脂を溶融した状態、あるいはシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤に溶解した状態で、含有水酸基の分解反応を可及的に抑制できる適度な水素化条件を選択して、行われる。水素化は、プロトン核磁気共鳴スペクトルで測定される水素化率が95%以上となるまで、とくに樹脂中のオレフィン性二重結合のすべてが水素化されるまで、行うのがよい。こうすることにより、その水素化物が光重合時に連鎖停止剤として作用して重合阻害を引き起こす心配がなくなり、また脱色が十分となり、その水素化物がアクリル系ポリマーと良好に相溶して淡色のアクリル系の粘着剤の製造を可能とする。
【0027】
水素化触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、ルテニウム、レニウム、モリブデンなどの金属、これら金属の酸化物、硫化物などの金属化合物を、広く使用できる。また、これらの水素化触媒を、多孔質で表面積の大きなアルミナ、シリカ(ケイソウ土)、カーボン、チタニアなどの担体に担持させて、使用してもよい。これらの中でも、アルカリ土類金属を含むニッケル−ケイソウ土触媒が、水素化率を前記範囲内に調整しやすく、色調にすぐれたものが得られやすく、とくに好ましい。このニッケルーケイソウ土触媒の市販品としては、堺化学工業(株)製の「SN−250」などがある。
【0028】
水素化反応の条件は、水素化圧力が通常30〜300Kg/cm2 の範囲、とくに好ましくは100〜200Kg/cm2 の範囲とするのがよく、また反応温度が通常200〜300℃の範囲とするのがよい。水素化圧力が30Kg/cm2 に満たないと水素化が進みにくく、300Kg/cm2 を超えると設備上の問題がある。また、反応温度が200℃に満たないと水素化物の淡色化が難しく、300℃を超えると分解が起こり、軟化点が低下する傾向がみられる。
【0029】
水素化反応の形式には、回分式のほか、固定床式や流動床式などの流通式がある。水素化触媒の量や反応時間などは、上記反応形式に応じて適宜設定できる。たとえば、回分式の場合、水素化触媒の量は、原料樹脂である水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂に対して、通常0.1〜2重量%、とくに好ましくは0.1〜0.8重量%となるようにするのがよく、反応時間は、通常1〜7時間、とくに好ましくは2〜6時間となるようにするのがよい。
【0030】
このようにして得られるa成分の水素化物は、JIS−K0070により測定される水酸基価が60〜200mgKOH/gの範囲にあることが必要で、とくに好ましくは70〜170mgKOH/gの範囲にあるのがよい。水酸基価が60mgKOH/g未満となると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下して粘着特性が悪くなりやすい。また、水酸基価が170mgKOH/gを超えると、耐反発性が低下したり、分子量が小さくなって作業性が悪くなりやすい。
【0031】
また、このa成分の水素化物は、JIS−K2531の環球法により測定される軟化点が通常70〜150℃の範囲、とくに好ましくは80〜140℃の範囲にあるのがよい。軟化点が70℃未満となると、ブロッキングが生じ作業性の低下を招いたり、アクリル系ポリマーと相溶せずにブリードが生じやすい。軟化点が150℃を超えると、アクリル系ポリマーとの相溶性が悪くなる。
さらに、このa成分の水素化物は、既述したとおり、一般に淡色化されているが、その色調としては、通常、ガードナー3以下、とくに好ましくはガードナー2以下、最も好ましくはガードナー1以下である。
【0032】
また、上記a成分の水素化物は、数平均分子量が通常100〜600の範囲、とくに好ましくは200〜400の範囲にあるのがよい。数平均分子量が100未満では、軟化点が低くなり作業性が悪くなる。また、数平均分子量が600を超えると、軟化点が高くなり、他成分との混練が難しくなる。
【0033】
b成分の水素化物は、非極性の脂環式炭化水素樹脂を用いて、これをa成分の場合と同様に水素化することにより、製造できる。上記の非極性の脂環式炭化水素樹脂としては、ナフサの熱分解で生成するC9留分をカチオン重合して得られるC9系石油樹脂、C5留分をカチオン重合して得られるC5系石油樹脂、C5留分に由来するシクロペンタジェンをカチオン重合または熱重合して得られるシクロペンタジェン系樹脂およびテルペン樹脂などが挙げられる。
【0034】
上記のb成分において、非極性とは、樹脂中に水酸基および酸基を含まないことを意味する。しかし、前記の方法で測定される水酸基価ならびに酸価が10mgKOH/g以下、好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは2mgKOH/g以下であればよい。この要件を満たすb成分の水素化物の市販品としては、荒川化学工業株式会社製の「アルコン」などが挙げられる。
【0035】
本発明において、上記のa成分およびb成分の水素化物は、単量体に対して、それぞれ、特定の割合で用いられる。すなわち、単量体100重量部あたり、a成分の水素化物が15〜30重量部、b成分の水素化物が0.05〜5重量部となる割合で用いられ、好ましくは、a成分の水素化物が17〜25重量部、b成分の水素化物が0.1〜3重量部となる割合で用いられる。a成分の水素化物が15重量部未満では、その効果が十分に得られず、接着強さや耐反発性が乏しくなり、30重量部を超えると、初期タックや耐熱保持性が低下しやすい。また、b成分の水素化物が0.05重量部未満では、ポリスチレンに対する耐反発性が乏しくなり、5重量部を超えると、アクリル系ポリマーとの相溶性が乏しくなり、初期タックや接着強さが十分でなくなる場合がある。
【0036】
本発明における光重合開始剤には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインエーテル、アニソールメチルエーテルなどの置換ベンゾインエ−テル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換アルファーケトン、2−ナフタレンスルフォニルクロライドなどの芳香族スルフォニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどの光活性オキシムなどがある。これらの光重合開始剤は、単量体100重量部あたり、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部となる割合で用いられる。
【0037】
本発明の光重合性組成物は、本質的に、上記の単量体と、上記のa成分およびb成分の水素化物からなる粘着付与樹脂と、光重合開始剤とを、上記した割合で含有してなるものであり、その取り扱い上、塗工に適した粘度(通常は、常温で300〜20,000センチポイズ程度)に調整するため、ある程度(通常は、10重量%程度)、予備重合させておくことができる。また、適宜の増粘用ポリマーを配合して、上記粘度に調整することもできる。
【0038】
増粘用ポリマーとしては、前記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルにアクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリロイルモルホリンなどを共重合したアクリル系ポリマー、スチレン−ブタジェンゴム(SBR)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジェンブロック共重合体(SBS),エチレン−酢酸ビニル共重合体などが用いられる。これらの増粘用ポリマーの使用量は、光重合性組成物中、5〜40重量%となるようにするのがよい。
【0039】
本発明の光重合性組成物には.光重合後の溶剤不溶分を調整する目的で、必要により、多官能架橋性モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレートなどの2官能以上の多価アルキル(メタ)アクリレートを配合してもよい。
【0040】
このような多官能架橋性モノマーの使用量は、官能基数などにより多少異なるが、光重合後の溶剤不溶分が5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%となる割合とするのがよい。このような割合で用いることにより、光重合時に粘着付与樹脂への連鎖移動により凝集力の多少の低下がみられても、これが上記モノマーの架橋効果によって補われ、良好な凝集力が維持でき、常温での保持性を向上させることができる。
【0041】
本発明の光重合性組成物には.上記成分のほかに、さらに、架橋剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料などの従来公知の各種の添加剤を、光重合性を阻害しない範囲内で、適宜配合することができる。
【0042】
本発明の粘着剤は、上記の光重合性組成物を紫外線により光重合したことを特徴とする。光重合は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cm2 である紫外線を、光量400〜4,000mJ/cm2 程度照射することにより、実施できる。このときの重合率は90重量%以上で、未反応モノマーは通常の乾燥工程で除去できる。このように光重合したアクリル系の粘着剤は、ポリプロピレンやポリスチレン、アルミ板などの低極性から高極性までの被着体に対して、良好な接着性を示し、とくに耐反発性にすぐれた接着力を発揮する。
【0043】
本発明の粘着シートは、上記の粘着剤を基材の片面または両面に設けたことを特徴とする。この粘着シートは、光重合性組成物を基材の片面に塗工し、または基材の両面に塗工(両面に同時塗工ないし片面ずつ順次塗工)し、これを前記の方法で光重合させるか、あるいはセパレータ上に塗工し前記の方法で光重合した粘着剤を基材の片面または両面に移設することにより、製造できる。
【0044】
基材としては、たとえば、紙や布、不織布などからなる多孔質基材、プラスチックフィルムないしシート、発泡体、金属箔などの薄葉体からなる適宜のものが用いられる。基材に設ける粘着剤の厚さは、とくに限定されないが、良好な接着強度を確保するため、通常10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上(通常、400μmまで)であるのがよい。
なお、基材として、セパレータを用いて、実用時には基材レスの両面粘着シートなどとして使用することもできる。
【0045】
【実施例】
つぎに,本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。以下において、部とあるのは重量部を意味する。なお、光重合した粘着剤のアクリル系ポリマーの重合率は、以下の方法により、算出したものである。
【0046】
<重合率>
試料の初期重量X1(g)とこれを130℃で2時間乾燥後の重量X2(g)より、重合率(%)=(X2/X1)×100として、算出した。
【0047】
実施例1
ブチルアクリレート95部、アクリル酸5部,2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.12部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.12部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることにより、重合率が10重量%である部分重合したシロップを得た。
【0048】
この部分重合したシロップ100部に、粘着付与樹脂として、水酸基価140mgKOH/g、軟化点92℃、色調1G、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量281の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物(a成分の水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物)17部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンM115」、b成分の非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物〕3部とを加え、これにさらに、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2部を加え、これらを均一に混合して、光重合性組成物を調製した。
【0049】
この光重合性組成物を,基材(厚さ25μmのポリエステルフィルム)上に、最終的な厚さが50μmになるように塗布し、その上をシリコーン離型処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで被覆して酸素から遮断した。これをコンベアに載せて、ランプ直下での照射面の照度が70mW/cm2 (約350nmに最大感度を持つ「トプコンUVR−T1」で測定)になるようにランプ高さを調節したメタルハライドランプにより紫外線を照射した。光量で約3,000mJ/cm2 まで照射し、光重合したアクリル系の粘着剤を形成した。このときの重合率は94重量%であった。その後、130℃の乾燥機で3分間熱処理して、微量に残った単量体を揮発させて、透明性試験および接着力試験用の粘着シートを作製した。
【0050】
また、これとは別に、基材(厚さ25μmのポリエステルフィルム)に代え、セパレータ(シリコーン離型処理した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を使用した以外は、上記と全く同様にして、セパレータ上に光重合したアクリル系の粘着剤を形成し、上記と同様に微量に残った単量体を揮発させて、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0051】
実施例2
ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート5部、アクリル酸5部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.12部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.12部を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率が10重量%である部分重合したシロップを得た。
【0052】
この部分重合したシロップ100部に、粘着付与樹脂として、水酸基価127mgKOH/g、軟化点93.5℃、色調300H、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量285の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物(a成分の水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物)18部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンP90」、b成分の非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物〕2部とを加え、これにさらに、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2部を加え、これらを均一に混合して、光重合性組成物を調製した。
【0053】
この光重合性組成物を使用した以外は、実施例1と全く同様にして、基材(厚さ25μmのポリエステルフィルム)上に光重合したアクリル系の粘着剤を形成した。このときの重合率は94重量%であった。その後、実施例1と同様にして微量に残った単量体を揮発させて、透明性試験および接着力試験用の粘着シートを作製した。またこれとは別に、セパレータ(シリコーン離型処理した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、上記と同様にして、光重合したアクリル系の粘着剤を形成し、上記と同様に微量に残った単量体を揮発させて、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0054】
実施例3
粘着付与樹脂として、水酸基価127mgKOH/g、軟化点93.5℃、色調300H、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量285の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物(a成分の水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物)20部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである市販のテルペン樹脂の水素化物(b成分の非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物)2部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
【0055】
この光重合性組成物を使用した以外は、実施例1と全く同様にして、基材(厚さ25μmのポリエステルフィルム)上に光重合したアクリル系の粘着剤を形成した。このときの重合率は94重量%であった。その後、実施例1と同様にして微量に残った単量体を揮発させて、透明性試験および接着力試験用の粘着シートを作製した。またこれとは別に、セパレータ(シリコーン離型処理した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、上記と同様にして、光重合したアクリル系の粘着剤を形成し、上記と同様に微量に残った単量体を揮発させて、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0056】
比較例1
粘着付与樹脂として、水酸基価140mgKOH/g、軟化点92℃、色調1G、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量281の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物を20部用い、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンM115」〕3部を用いなかった以外は、実施例1と同様に、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0057】
比較例2
粘着付与樹脂として、水酸基価206mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物19部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである市販のテルペン樹脂の水素化物1部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0058】
比較例3
粘着付与樹脂として、水酸基価45mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物19部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである市販のテルペン樹脂の水素化物1部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0059】
比較例4
粘着付与樹脂として、水酸基価140mgKOH/g、軟化点92℃、色調1G、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量281の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物18部と、水酸基価45mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物3部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0060】
比較例5
粘着付与樹脂として、水酸基価117mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物35部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンP100」〕3部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0061】
比較例6
粘着付与樹脂として、水酸基価117mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物18部と、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンP100」〕6部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0062】
比較例7
粘着付与樹脂として、水酸基価および酸価がともに0mgKOH/gである石油樹脂の水素化物〔荒川化学工業(株)製の「アルコンM115」〕を20部使用し、水酸基価140mgKOH/g、軟化点92℃、色調1G、不飽和結合の水素化率100%、数平均分子量281の変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0063】
比較例8
粘着付与樹脂として、酸価8.9mgKOH/gのロジンエステルの水素化物〔荒川化学工業(株)製の「KE−656」〕を20部使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0064】
比較例9
粘着付与樹脂として、水酸基価117mgKOH/gの変性ジシクロペンタジェン樹脂の水素化物18部と、酸価8.9mgKOH/gのロジンエステルの水素化物〔荒川化学工業(株)製の「KE−656」〕1部とを使用した以外は、実施例1と同様にして、光重合性組成物を調製した。
この光重合性組成物を用い、実施例1と同様にして、透明性試験および接着力試験用の粘着シートと、耐反発性試験用の粘着シートを作製した。
【0065】
上記の実施例1〜3および比較例1〜9の透明性試験および接着力試験用の各粘着シートを用いて、下記の方法により、透明性試験および接着力試験を行い、また耐反発性試験用の各粘着シートを用いて、下記の方法により、耐反発性試験を行った。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0066】
<透明性試験>
粘着シートの透明性を目視にて判定し、透明を○、不透明(白濁)を×、と評価した。
【0067】
<接着力試験>
粘着シートを20mm幅に切断し、JISZ−1522に準じ.被着体として、ポリスチレン板およびポリプロピレン板を用いて、接着力(N/20mm幅)を測定した。表中、「A」はポリスチレン板、「B」はポリプロピレン板である。
【0068】
<耐反発性試験>
粘着シートを厚さ0.4mmのアルミニウム板(面積10mm×100mm)に貼り付け、直径50mmになるよう円弧上に曲げた。ラミネーターにてポリスチレン板およびポリプロピレン板に曲げ形状を元に戻しながら貼り合わせた。それを70℃の雰囲気下に2時間置き、その後、アルミニウム板の端部の剥がれの有無を観察した。上記剥がれが5mm未満のものを○、5mm以上のものを×、と評価した。表中、「A」はポリステレン板、「B」はポリプロピレン板である。
【0069】
【0070】
上記の表1の結果から、粘着付与樹脂として、a成分である水酸基価が60〜200mgKOH/gである水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物と、b成分である非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物とを、単量体100重量部あたり、a成分の水素化物が15〜30重量部、b成分の水素化物が0.05〜5重量部となる割合で併用した実施例1〜3によると、透明性にすぐれて、低極性(ポリプロピレン)から高極性(ポリスチレン)までの被着体に対する接着力、耐反発性を満足するアクリル系の粘着剤が得られることがわかる。
【0071】
これに対して、比較例1では、a成分の水素化物だけを使用し、b成分の水素化物を使用していないため、ポリプロピレンに対する耐反発性は良好であるが、ポリスチレンに対する耐反発性は劣っている。比較例2では、a成分として水酸基価の高すぎる水素化物を使用しているため、両被着体に対する耐反発性に劣っている。比較例3では、a成分として水酸基価の低すぎる水素化物を使用しているため、アクリル系ポリマーとの相溶性に乏しく透明性に劣っており、また両被着体に対する接着力、耐反発性に劣っている。
【0072】
比較例4では、b成分として非極性でない水素化物を用いているため、ポリスチレンに対する耐反発性に劣っている。比較例5では、a成分の水素化物の量が多すぎるため、両被着体に対する接着力、耐反発性が低下し、透明性にも劣っている。比較例6では、b成分の水素化物の量が多すぎるため、両被着体に対する接着力やポリスチレンに対する耐反発性が低下し、透明性にも劣っている。
【0073】
比較例7では、従来技術として、b成分の水素化物だけを使用し、a成分の水素化物を使用していないため、アクリル系ポリマーとの相溶性が乏しく透明性に劣り、両被着体に対する接着力、耐反発性に劣っている。比較例8では、上記同様の従来技術として、極性のロジンエステルの水素化物をこれ単独で使用しているため、ポリスチレンに対する耐反発性に劣っている。比較例9では、a成分の水素化物と上記ロジンエステルの水素化物とを併用したものであるため、やはりポリスチレンに対する耐反発性に劣っている。
【0074】
【発明の効果】
以上のように,本発明は、光重合型のアクリル系の粘着剤において、光重合用の組成物に配合する粘着付与樹脂として、a成分である水酸基価が60〜200mgKOH/gである水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物と、b成分である非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物とを、単量体100重量部あたり、a成分の水素化物が15〜30重量部、b成分の水素化物が0.05〜5重量部となる割合で併用するようにしたことにより、ポリプロピレンやポリスチレン、アルミ板などの低極性から高極性までの被着体に対する接着性、とくに耐反発性にすぐれるアクリル系の粘着剤とその粘着シートを提供できる。
Claims (6)
- n−ブチルアクリレートを単量体全体中50重量%以上含有し、かつアクリル酸を単量体全体中1〜10重量%含有する単量体と粘着付与樹脂と光重合開始剤とを含有する紫外線により光重合する光重合性組成物において、上記の粘着付与樹脂は、a)水酸基価が60〜200mgKOH/gである水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂の水素化物と、b)非極性の脂環式炭化水素樹脂の水素化物とからなり、上記の単量体100重量部あたり、a成分の水素化物が15〜30重量部、b成分の水素化物が0.05〜5重量部であることを特徴とする光重合性組成物。
- a成分の水素化物は、軟化点が70〜150℃である請求項1に記載の光重合性組成物。
- a成分の水素化物は、色調がガードナー3以下である請求項1または2に記載の光重合性組成物。
- a成分の水素化物は、水酸基を有する脂環式炭化水素樹脂中のオレフィン性二重結合のすべてが水素化されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の光重合性組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光重合性組成物を紫外線により光重合したことを特徴とする粘着剤。
- 請求項5に記載の粘着剤を基材の片面または両面に設けたことを特徴とする粘着シート。
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